11月4日、「ながの緑育協会(愛称:ながの花と緑そして人を
育てる学校)」が主催する「育種寺子屋表彰式」と「篠ノ井中央公
園管理棟完成記念講演会」に、主催者代表として出席しました。
表彰式では、ペチュニアを交配させてオリジナルの花を育てる
「育種寺子屋」の授業で、素晴らしい花を咲かせた小学生の皆さん
を表彰しました。また、講演会では、盆栽家の山田香織さんが
「『生きた小宇宙』ともいわれる盆栽に、草花などを寄せ植えして、
日本の原風景を描いていく」という「彩花盆栽」などについて、興
味深いお話をされました。
実は、私もペチュニアの交配方法を教えてもらって、濃いワイン
レッドと白の2種類のペチュニアを交配させてみました。その結果、
白地に赤い筋状の模様の入った、上品なペチュニアができました。
私はこれに「ここであなたに会おうとは」という名前を付けました。
さて、その篠ノ井中央公園は、地域の皆さんの防災の拠点として
重要な場所であるとともに、長野市の緑化推進の柱である「緑育」
の拠点でもあります。
公園内では、今年の春に寄付していただいたピンオークや、長野
市民会館の敷地から移植したイチョウが、この秋とても奇麗に色づ
きました。また、今週末の12月2日まで、公園の管理棟で「ビオ
ラ展2012」を開催しており、店頭などではなかなか見ることの
できない珍しい品種を含む約200種のビオラを展示しています。
さらに12月15日からは「シクラメン展」を開催する予定です。
ご家族で足を運んでみてはいかがでしょうか。
「緑育」という言葉は、緑を育てるという単純な意味にとどまら
ず、緑を育てることで人も育つ、また地域も育つという、まちづく
りのキーワードでもあります。
緑育の推進に当たっては、昨年4月に市内の緑化や造園に関わる
皆さんと協働して「ながの緑育協会」を設立し、NHKの「あさイ
チ」や「趣味の園芸」などのテレビ番組で活躍する矢澤秀成(やざ
わ ひでなる)さんを職員として招くなど、体制を整えてきました。
篠ノ井の地が、花と緑によるまちづくりによって一層発展するこ
ことを願っています。
10月20日には、茶臼山自然植物園に原種のチューリップとク
ロッカスの球根を植えるイベントを行いました。当日は天気にも恵
まれ、約100人の皆さんにお集まりいただき、約3万7千球を植
えることができました。
このたび植えていただいた球根の花は、来年3月下旬から4月上
旬にかけてクロッカスが、その後、4月中旬から5月中旬にかけて
約10種類のチューリップがお楽しみいただける予定です。その後
茶臼山自然植物園では、5月下旬に藤棚やツツジが見頃を迎えます
し、6月にはユリが咲きます。この「花のリレー」も、皆さんに楽
しんでいただきたいと思います。
昨年の10月に、約300人のボランティアの皆さんに植えてい
ただいたチューリップとクロッカスは、この春見事に開花しました。
数カ月も前に植えた球根が、やがて花を咲かせ、植えた皆さんは
もちろん、多くの皆さんにも楽しんでいただける。まちづくりと、
花を育てることは、どこか重なるところがあるような気がします。
2012年11月29日木曜日
緑育発祥の地
2012年11月22日木曜日
今年も、2つのサミット
昨年11月のかじとり通信で、山口県宇部市で開催された野外彫
刻事業をテーマにした「彫刻のあるまちづくりサミット」と、和歌
山市で開催された「中核市サミット」の2つのサミットについて報
告しました。今年も同じ時期に「2つのサミット」に出席しました
ので、報告します。
まずは、11月8日の北陸新幹線停車駅都市観光推進会議の「観
光サミット2012」です。このサミットは、新幹線の金沢延伸が
2015(平成27)年春に迫ってきた中で、より一層都市間の連
携を深め、誘客戦略を図ることを主な目的として2008(平成
20)年度から毎年開催されているもので、今回は長野市で開催し
ました。加盟都市は、金沢市、高岡市、富山市、黒部市、上越市、
上田市、高崎市、本年度から加入した糸魚川市と飯山市、そして長
野市の10市です。
歴史を振り返れば、加盟都市は古くから「北国街道」で結ばれて
いた街です。北国街道は加賀藩前田家の参勤交代の道であったこと
から、今回のサミット会場には、参勤交代の際に大名が宿泊された
本陣である善光寺門前の旧旅館「藤屋御本陳(ごほんじん)」を選
びました。
会場には、素晴らしい菊が飾られていました。皆さんご存じの
「巴(ともえ)の錦」で、この名は参勤交代の際にこの菊を見つけ
た加賀百万石の前田利常(としつね)侯が、名のないことを惜しん
で付けたといわれています。大豆島地区で昔から大切に育てられ、
今日まで受け継がれてきたもので、サミットにお越しになる方々を
もてなそうと、同地区保存会の皆さんが、一生懸命に飾り付けをし
てくれました。
サミットでは、善光寺を参拝した後、シンポジウムを開催しまし
た。パネルディスカッションでは、参加市長がパネリストとなり、
新幹線金沢延伸を契機とした誘客対策などについて、プレゼンテー
ションソフトを使いながら、大いに議論しました。特に今回は、
2016(平成28)年度に加盟都市が連携して大きな誘客事業を
行うことなど、情報交換にとどまらず具体的な話をすることができ、
とても素晴らしいサミットになったと思います(2015(平成
27)年度は、新幹線の延伸により、それぞれ忙しいだろうから、
1年後に開催しようということになりました)。
新幹線延伸により、人・物の流れは想像している以上に活発にな
り、国土軸も大きく変わるのではないでしょうか。「北信越」とい
う地域を一つの大きなまとまりとして、多くの人に認識してもらう
絶好の機会です。このビッグチャンスをどう生かすのか。新幹線沿
線地域全体の魅力を高めるとともに、各市もそれぞれの魅力を高め
る必要があると感じています。首都圏から観光客を呼び込むことは
もちろん、沿線都市間の市民同士の交流も大切だと思います。
今回のサミットに合わせて作られたポスターもお披露目されまし
た。沿線10都市の観光地を並べた立派なポスターでしたが、やは
り「善光寺が一番目立っているかなあ」とひいき目で見てしまいま
した。
もう一つのサミットは、11月1日、2日に青森市で開催された
「中核市サミット」です。このサミットは、年に1度、全国41中
核市の市長が一堂に会する会議で、地方分権の推進について地方か
ら声を発信するために1996(平成8)年から開催されています。
本年度は、「市民と共につくる中核市~地域主権改革をリードす
る中核市を目指して~」をテーマに行われ、分科会では「災害対策」
「社会保障と財政運営」「地球温暖化対策」「市民協働によるまち
づくり」の4分野について、各市の事例発表と意見交換が行われま
した。長野市議会からも11人の議員さんが、調査・視察のために
参加されていました。
私は、長野市で取り組んできた都市内分権を紹介して、意見交換
したいと考え、「市民協働によるまちづくり」の分科会に参加し、
その中で次のように説明しました。
〇人口が減少する中、地域社会を持続・発展させるためには、必ず
しも市内全域で一律の取り組みを行うのではなく、住民自らが地域
の個性や実情に応じた活動に取り組み、その活動を行政が積極的に
支援することが重要である。そのため、2006(平成18)年度
から「長野市版都市内分権」を推進し、現在は、市内32地区全て
に住民自治協議会(住自協)が設立されて3年度目を迎えている。
〇特徴は、市が主導して設置してきた各種団体の連合会組織を廃止
したこと。また、各種団体へ交付していた補助金を住自協へ一括交
付するという仕組みに転換し、使途は限定せず、区費と合わせて住
自協で自由に使えるようにした。
○住自協活動においても区長の役割は大きく、区長に集中している
負担を分散・軽減しつつも、区長のリーダーシップや地域を思う気
持ちが生かされることが重要である。
○住自協を中心に地域ビジネス的な活動が生まれることを期待して
いる。特に、中山間地域については、農林業でもうかる事業が実現
すれば、地域の魅力や活力が高まり、交流人口や定住人口も増える
のではないか。また、今後計画的にまちづくりを進めるためにも、
住自協に長期計画を策定してもらいたい。
いずれにしても、それぞれの住自協が、特色ある興味深い活動を
始めていて、私が目指してきた住民自治の実現に向けた手応えを感
じていることはお伝えできたと思います。
サミット終了後、青森市内の視察がありました。印象的だったの
が、JR青森駅に隣接する青森市文化観光交流施設「ねぶたの家
ワ・ラッセ」で、ねぶた祭の様子や歴史が1年中体感できる近代的
な施設です。ねぶたは「ねぶた師」が製作しているとのことで、見
上げるほど大きく勇壮なねぶたが展示されていました。一番気にな
ったのは、こんな立派なねぶたを作る資金は、どこから出ているの
だろうということです。ご案内いただいた鹿内博(しかない ひろ
し)青森市長さんに聞いてみたところ、スポンサー企業からの出資
金が主だということでした。1台のねぶたを作るのに約2,500
万円掛かるそうで、台車は使い回しをするので、毎年新たに掛かる
費用は本体部分(勇ましい武者のようなあの部分です)の約500
万円。ねぶたの多くは台車を除いて1年限りで廃棄されるそうで、
素晴らしい作品であるが故に「惜しいなあ」と思いました。
その他、青函連絡船メモリアルシップ「八甲田丸」、棟方志功記
念館、三内丸山遺跡も拝見しました。
秋は、1年の活動の最盛期ということでしょうか。サミットのよ
うな大きな会議もあれば、住自協が中心になったイベントなど、い
ろいろな催しが市内各地で行われ、にぎわっています。
若穂地区で開催されたマラソン大会「ながのとびっくランinわ
かほ」は、今回が第1回目でしたが、900人を超えるランナー、
450人を超える役員とボランティアの皆さんが参加されました。
また、トイーゴの生涯学習センターでは、「住民活動フォーラム
2012」として、住自協の皆さんの活動発表がありましたし、男
女共同参画をテーマに開催された「しなのき市民会議in信州新町」
では、女性団体が日頃の活動を発表しました。JFL(日本フット
ボールリーグ)のAC長野パルセイロは、昨年に続き今シーズンも
2位を確保し、AC長野パルセイロ・レディースも来シーズンのチ
ャレンジリーグ残留を勝ち取りました。住自協の活動が活発化して
地域コミュニティーが元気になったと感じられること、スポーツに
も明るい話題が多いこと・・・本当にみんなが元気に頑張っていま
す。
そういえば、明日は、恒例の長野えびす講煙火大会、花火1万発
の競演ですね。
2012年11月15日木曜日
3期目の任期、残り1年(その3)
前回、前々回の2回のかじとり通信では、昨年からの市政運営を
検証し、3期目の任期の残り1年間でやらなくてはならないことを
項目ごとに整理してみました。そして、今後について概括的に考え
てみると、新幹線が金沢まで延伸し、善光寺御開帳も開催される
「2015(平成27)年」が長野市にとってエポック(新しく画
期的な年)となる予感がします。現在、それに合わせ、長野駅善光
寺口駅前広場整備事業、中央通り歩行者優先道路化事業に取り組ん
でおり、さらには市役所新第一庁舎・新長野市民会館もその年に
しゅん工する予定です。
冬季オリンピック開催以来の変革期を迎えて、長野市が大きく変
わろうと動き出している中、そのかじ取りを担う立場にあって、常
に留意すべきと考えている重大な課題があります。
一つは、何といっても少子化問題です。日本の構造的な問題であ
るが故に、大変深刻です。社会の営みは、全て循環で成り立ってい
ます。これは、経済にしても環境にしても、全てに共通する原則で、
持続可能な社会は、循環なくしては成り立ちません。この循環が
滞ったり途切れたりすると、社会は衰退や破綻に向かいます。少子
化は、こうした社会の循環にブレーキをかける根本的な原因になる
大きな問題です。
特に、少子化に伴う労働力人口の減少は、経済や国家・地方財政
の縮小につながり、社会も必然的に縮小せざるを得ません。今後も
出生率の上昇が見込めない中、労働力を確保するための対策として、
女性の社会進出促進や定年退職年齢引き上げ、高齢者の再雇用、外
国人労働者や移民の受け入れなどが考えられますが・・・。いずれ
にしても、これまで右肩上がりの経済を基調に構築してきたさまざ
まなシステムを見直さなければ、社会が成り立たなくなるのではな
いか。社会を将来にわたって持続可能な規模にまで、徐々に縮小し
ていかざるを得ないのではないかと心配です。
加えて、国の社会福祉政策について、地方自治体を悩ますテーマ
があります。
例えば、地方自治体が担っている社会保障給付サービスの中に、
子どもへの医療費給付があります。少子化対策・子育て支援の役割
も担うものとして、重要であることは事実ですが、地方自治体がそ
れぞれの判断により対象年齢の引き上げなど独自の施策を取り入れ
ています。こうした施策は、子育て家庭にとっては、経済的負担の
軽減につながりますが、これに伴う経費は地方自治体の負担になり
ます。社会保障給付サービスの上乗せは、地方自治体間での過度な
サービス競争や不均衡を生じさせる結果となっています。
誰が責任を持って取り組む施策なのか、国なのか、地方自治体な
のか、そして、国民を含めた負担割合をどのようにするのか、本来
確立されるべきことが確立されていない。国は、適正な基準、そし
て地方との役割分担を明確にすべきだと考えています。私は、この
ことやその不条理さについて、これまでに中核市サミットや総務大
臣との懇談会において主張してきました。そして、今年の中核市サ
ミットでは、分科会のテーマの一つとして大いに議論されました。
子どもへの医療費給付だけでなく社会保障給付サービス全般にい
えることですが、こうしたサービスの適正水準は、ナショナル・ミ
ニマムとして国がその責任において確保すべきであり、国の基準を
超える地方自治体の上乗せ給付は廃止すべきだというのが私の主張
です。早急に解決、是正しなければならない問題であると常日頃か
ら感じています。
一方、国の規制緩和も必要です。例えば、保育所や幼稚園、学校
について言えば、国が子ども1人当たりの面積基準を決めていたり、
先生の配置基準を決めていたり・・・、基準の枠に縛られずに、保
育や教育環境を改善したいと意欲を持って取り組もうという人は、
随分不合理に思われるのではないでしょうか。先日の田中真紀子文
部科学大臣の3大学不認可騒動は、独断的かつ唐突で、批判は当然
ですが、大臣の頭の中には、学生数の減少により経営が成り立たな
くなることへの心配や大学の設置・規制は官僚支配の最たるものと
いう考えがあったとすれば、一概に否定できないなあと感じていま
す(長野県短期大学の4年制化については、県内の大学収容力(*)
が全国最低水準であることや、4年制化に対する地元高校生や企業
のニーズが高いことから、別の問題と考えています)。
次の課題は、今後行政の重い足かせとなるであろう、既存インフ
ラについて膨らみ続ける維持管理費問題です。少子化は、行政活動
の規模、とりわけ公共施設の在り方についても影響を与え始めてい
ます。
以前、かじとり通信でもお話ししましたが、1960年代の高度
経済成長期に次々と建設された都市基盤となる大型建築物、道路、
橋、水道などのインフラが老朽化し、今後膨大な維持費、更新費用
が掛かってくることが予想されます。景気の低迷が続き、今後大き
な税収増が見込めない中、こうしたインフラの維持・更新費用の増
大に自治体はどう対処すべきか、とても深刻な問題です。また、新
たに公共施設を建設する場合は、国の補助メニューがあるのですが、
建設後の維持管理費に対しては国の補助メニューがないことも地方
自治体にとっては痛い話です。
そのため、現在、長野市の「公共施設白書」を作成しようと、全
部局長に指示をして、今ある公共施設の規模や建設年度、当時の建
設費用、耐用年数など全ての状況を洗い出す作業を始めています。
そして、それが出来上がった後は、「公共施設再配置計画」の作成
を検討することにしています。つまり、今後新たな施設を建設する
際には、それと競合、もしくは重複するような既存施設の統廃合を
義務付けるというものです。
その結果、行政サービスを縮小、あるいはやめざるを得ない事態
も十分考えられるわけで、そうなった場合は市民の皆さんからの激
しい反発は自明の理です。行政側も、問題を解決するためにはもの
すごいエネルギーが必要になるでしょう。しかし、人口が減少する
時代を迎え、避けては通れない問題であり、市民の皆さんのご理解
がなければ解決できない問題であると考えています。
持続可能な社会をつくるために、将来の維持費、建て替え費用な
どを検討する中で、「公共施設再配置計画」の作成が大切なのです。
このように申し上げると、前回のかじとり通信では、ハード分野
として10を超える大型事業を示しておきながら、今回の内容は矛
盾するではないかとお叱りを受けそうです。それはごもっともなの
ですが、やはり、社会が循環していくためには、新たなニーズに応
じたインフラも並行して整備していかなければならないことも事実
です。何事もバランスが大切ということでしょう。
全て廃止、縮小では、将来に何の夢も抱けません。まちづくりは
木や森を育てることと似ていると思っています。今ここにこんな木
がほしい、森がほしいと思っても、それを見越して、何十年も前に
種をまき、苗から少しずつ大きく育てていかなければ、その実現は
不可能でしょう。都市の文化や魅力は、じっくりと時間をかけてつ
くり上げていくものです。
今整備しようとしているハード事業は、そうした将来への布石に
もなるものだと思っています。常に夢を持ちながら、将来に投資し
ていくことも必要です。
3期目の任期残り1年を迎え、これからも、市民の皆さんと夢を
語り合いながら、市政のかじ取りをしていきたいと決意を新たにし
ています。
(*)県内の大学収容力:県内大学入学者数を県内18歳人口で
除したもの。長野県の大学収容力は15.1%(平成22年)で全
国平均50.9%の3分の1以下であり、全国最低の水準(46位)
である。(出典:長野県短期大学の将来構想に関する報告書 平成
23年7月)
2012年11月8日木曜日
3期目の任期、残り1年(その2)
前回のかじとり通信では、「3期目の任期、残り1年(その1)」
と題して、「1 ソフト分野(部門)」についてお話ししました。
今回はハード分野、そしてソフト・ハードの両方に関する分野につ
いてお話しします。
2 ハード分野
(1)市役所第一庁舎と長野市民会館の建て替え
旧長野市民会館については5月に解体工事が終了し、市役所第一
庁舎については10月から玄関棟の解体工事が始まりました。来年
度には本体の建設工事に着手し、2014(平成26)年度の完成
を目指します。新第一庁舎は本市の防災拠点としての機能を備えた
施設に、新長野市民会館は本市の文化芸術の拠点となる、質の高い、
使いやすい施設にすべく、一生懸命取り組んでいます。
(2)ごみ焼却施設の建設
長野広域連合による環境アセスメントが3月に終了し、大豆島地
区の皆さんと合意形成に向けて協議を進めています。稼動時期につ
いては、2014(平成26)年度を目指していましたが、建設ま
でにはさらに時間を要することから見直しを行い、稼動目標を
2018(平成30)年度としました。市では、建設候補地の周辺
環境整備について、地元からの提案に配慮しながら、本市全体の発
展と活性化につながる事業として、「サンマリーンながの」に代わ
る新たな健康・レジャー施設などの整備計画をまとめた「ごみ焼却
施設周辺環境整備基本計画(案)」を策定し、11月6日に大豆島
地区と松岡区で説明会を開催しました。
今後、大豆島地区の各区で13回、大豆島地区全体および市民を
対象として各1回の説明会を開催するとともに、パブリックコメン
トの実施により、広く市民の皆さんのご意見をお聴きしながら基本
計画をまとめ、ごみ焼却施設建設の合意形成につなげていきたいと
考えています。
(3)斎場2カ所の建て替え
大峰新斎場は2014(平成26)年秋、松代新斎場は2015
(平成27)年3月の供用開始を予定していて、事業は順調に進ん
でいます。間もなく敷地造成工事が完了する大峰新斎場は、来年4
月から建築工事に着手する予定です。松代新斎場については、3月
に地元の東寺尾地区との間で建設合意書の調印を行い、現在は地権
者の皆さんと用地交渉を行うとともに、建築設計を進めています。
(4)市立小・中学校の耐震化対策
耐震化事業を前倒しして行った結果、耐震化率は10月1日現在
で83.1%、来年度末には93%に達する予定です。2019
(平成31)年度に耐震化工事の完了を目指していますが、少しで
も早く完了するように取り組んでいきます。
(5)JR長野駅東口周辺整備(土地区画整理事業)
道路の築造工事が進むにつれて住宅の建築も進み、地区によって
は、本格的に新しい街並みが形成され始めています。公務の移動中
に自動車から眺めて、街の変貌ぶりに驚いています。地域の皆さん
とまちづくりについて話し合いながら、ピッチを上げて事業を進め
ています。
(6)中心市街地(JR長野駅善光寺口前・中央通り・権堂地区)
の活性化
長野駅善光寺口駅前広場の整備では、バスシェルターなどの撤去
が完了し、また広場のシンボルでもある如是姫(にょぜひめ)像も
善光寺に一時移転し、これから整備工事が本格化します。中央通り
の歩行者優先道路化事業も順調に進んでいて、石畳舗装工事は善光
寺前の大門交差点からトイーゴやもんぜんぷら座のある新田町交差
点までの全長700メートルのうち45%が完了しました。車道を
狭め、歩道を広げ、歩いて楽しいまちづくりを目指します。
セントラル・スクゥエアでは、善光寺表参道に観光客を誘導する
方法や効果を検証するために大型バス専用駐車場の実証実験を、9
月から10月にかけて実施しました。「歩いても苦にならない距離
だった」「商店のおもてなしが良かった」などの感想を多く頂くな
ど、おおむね好評であったと受け止めています。
実証実験での観光客へのアンケートを集計し、分析結果や課題を
まとめ、セントラル・スクゥエアの今後の利活用を含めた中心市街
地の活性化施策の参考にします。
(7)Jリーグ対応のスタジアム整備
9月市議会定例会において、南長野運動公園総合球技場整備事業
として総工費80億円(財源内訳は国庫支出金38億円、市債32
億円、寄付金6億円、一般財源4億円)の債務負担行為を設定する
補正予算を可決していただきました。当初60億円程度と見込んで
いた建設費は、観客1万人収容のJ2仕様から1万5,000人収
容のJ1仕様への収容規模拡大のためのサイドスタンド建設や、J
リーグのクラブライセンス制度導入によるスタンドへの屋根の設置
などにより増額となりました。現時点では、2015(平成27)
年度中の完成、2016(平成28)年度シーズンからの供用開始
を予定しています。
また、2019(平成31)年に日本開催が決定しているラグビ
ーワールドカップに向けた親善試合などでの活用も見込まれます。
同議会の一般質問においては、1万5,000人収容のスタジア
ムの必要性について説明を求められましたが、私は、「『スポーツ
を軸としたまちづくり』を推進するための都市の核としてスタジア
ムは必要である」と答弁させていただきましたし、都市の品格とし
ても必要であると考えています。10月24日にはAC長野パルセ
イロを運営する(株)長野パルセイロ・アスレチッククラブと共同
で「長野市にJリーグを!『スポーツを軸としたまちづくり』市民
会議」を開催し、200人を超える皆さんに参加していただきまし
た。会議では、「子どもたちに夢を与え、将来に誇れるスタジアム
の建設を」「観客席全面に屋根の設置を」といったご要望や、80
億円の建設費に対するご質問などを頂きました。引き続き、市民の
皆さんへの丁寧な説明を行っていくことはもちろん、新たなスタジ
アムが必ずや長野市の元気の源の一つとなるよう、市民の皆さんと
一丸となって取り組んでいきたいと強く感じています。本市のサッ
カーが、スポーツを軸としたまちづくりの中心的な存在に成長して
くれそうだなあと期待しています。
その一方で、今後の課題として考えられるのが、ホームゲームに
おける観客数の増加です。J2昇格条件の一つである平均
3,000人以上は最低限の人数で、この数字に満足していたらチ
ーム経営は成り立ちません。J2でチームを維持していくためには、
年間5億円程度の運営費が掛かると聞いていますし、J1を目指し
さらに強いチームにしていくためには、選手の補強などにさらなる
経費が必要になるでしょう。チームの安定経営という面からも、昇
格後には、毎試合1万人以上の集客を目指して頑張ってもらいたい
と思っています。
(8)茶臼山動物園・自然植物園の再整備とモノレール建設
茶臼山一帯は、長野市の大きな観光資源であり、その魅力にもっ
と磨きを掛けたいと思っています。昨年設立した「ながの緑育協会」
には、NHK「趣味の園芸」などテレビで活躍している矢澤秀成さ
んを職員としてお迎えしました。4月には矢澤さんが校長を務める
「ながの花と緑そして人を育てる学校」が開設され、10月には篠
ノ井中央公園管理棟が完成し、同学校の活動拠点として活用してい
ただくようにしました。日頃、矢澤さんが言っている「人は花を育
てる、花は人を育てる」のコンセプトの下、茶臼山、そして篠ノ井
地区を花いっぱいのエリアにしたいと考えています。
茶臼山動物園では、「レッサーパンダの森」などが大人気です。
また、北口駐車場から動物園北口までの急傾斜地の移動を容易にす
るためのモノレールの建設にも着手しました。
以上申し上げましたことは、本市の大型プロジェクト事業として
位置付け推進を図っています。最近では、学校給食センターの新設
といった話も出てきており、こうした事業も含めるとその数は10
を超えます。
3 ソフト・ハード両面に関する分野
前回、そして今回お話ししたソフト、ハード分野の両面に関係す
る事業としては、(1)全ての施設において再生可能エネルギーの
活用と省エネルギーを基本とする設計、(2)太陽光・小水力・木
質バイオマスなどの再生可能エネルギーの活用、(3)再生可能エ
ネルギーの研究と開発、といったものがあることは昨年と同様です。
特に、(2)についてお話ししますと、太陽光発電システムの設
置補助については、一般住宅向けの補助に加え、2009(平成
21)年度からは事業所を対象とする補助も実施しています。本年
10月末までの補助件数は5,415件で、1,000キロワット
のメガソーラーシステム23基分に相当する規模となっています。
小水力発電については、現在大岡地区で導入していて、大岡小・
中学校の電力の約3分の1を賄っています。また、奥裾花自然園で
進められていた小水力発電による電力確保計画については、当初の
計画を大幅に見直し、小水力、太陽光、バイオディーゼルの3種類
による発電と、電力の需給管理にIT技術を活用するミニ・スマー
トグリッドを導入する方向で計画を進めています。
木質バイオマスエネルギーの活用としては、保科温泉への木質バ
イオマスボイラーの導入をはじめ、ペレットストーブを6カ所の市
有施設に導入しています。
以上、昨年11月のかじとり通信「3期目の折り返し点を迎えて」
で列挙した項目を検証しました。その他には、冬季オリンピックを
通じた国際交流を考えており、2018(平成30)年の韓国平昌
(ピョンチャン)での冬季オリンピックの開催について、平昌と何
らかの提携ができないか、探っています。
次回のかじとり通信では、こうした事業を推進していく上で、こ
れは留意しなければいけないなあと感じていることをお話ししたい
と思います。
2012年11月1日木曜日
3期目の任期、残り1年(その1)
昨年この時期のかじとり通信に、3期目の任期の折り返し点とい
うことで、市長として残り2年でやりたいこと、またはめどは付け
ておきたいことを書かせていただきました。やりたいことと言うよ
りは、やらなくてはならないことと言った方が良かったかなと感じ
ています。
あれから、1年があっという間に過ぎてしまい、3期目の任期も
残り1年になりました。そこで、今回のかじとり通信では、昨年申
し上げた項目を検証しながら、残りの1年間、どのように市政を運
営していくのか考えてみました。
1 ソフト部門
(1)都市内分権の着実な推進と市民の自立・自治意識の確立
都市内分権の本格実施から3年目を迎えました。地区ごとの温度
差はあっても、市内32地区全ての住民自治協議会(住自協)が、
地域の特性を踏まえた活動に熱心に取り組んでいただいており、私
としては手応えを感じています。
住自協のさらなる自立に向けた支援策として、本年度から、新た
に事務局長の人件費に対する財政支援を始めました。住自協は、地
域コミュニティー再生の中心として徐々に存在感を示し始めていま
す。住自協が「隣は何をする人ぞ」的な考えでなく、「自分たちの
町は自分たちでつくる」という意気込みで地域課題に取り組んでい
くためには、1、2年の短期で交代する役員さんだけでは運営や事
業の継続性に支障があるという声をお聴きし、住自協に思い切って
事務局長を雇用してもらい、頑張ってもらおうというものです。
住自協会長さんをはじめ、区や自治会の代表者として地域のけん
引役になり、住自協の中枢部分を担っている区長さんなどが連携し
ながら、地区におけるまちづくりの長期計画を作ったり住自協の中
に法人をつくったりして、県や市などのさまざまな支援メニューを
活用しながら、「もうける」ことを目標の一つとし、前向きにトラ
イしてほしいと欲張りな期待を掛けています。
地域活動の妨げとなる要因の一つは、過疎化の進行です。人口減
少は中山間地域だけでなく中心市街地の課題でもありますが、住自
協から具体的な提案を頂きながら、市としても元気が出るような活
動を、一生懸命支援していきたいと考えています。
(2)中山間地域の振興
中山間地域が、若年層を中心とした住民の流出とそれに伴う高齢
化、農作物の野生鳥獣被害などの重く大きな課題を抱えていること
は、皆さんご承知のとおりです。
前述した住自協の事務局長の雇用支援の件とも関連があるのです
が、中山間地域のある市内13地区の住自協には、地域活性化推進
員の雇用に対しても支援しています。地域活性化推進員は2009
(平成21)年度から配置していますが、各地区の課題解決に向け
て地域が主体となった取り組みや事業を行うために、本年度から各
住自協で雇用してもらうように変更したものです。人材については、
地区内に適任者がいれば、その人を採用してもよいし、場合によっ
ては地区外から採用してもよいのではないかと考えています(公募
もありです)。買い物弱者や農家民泊への支援など、各地区それぞ
れの課題解決に向けた具体的な活動が始まっているとのことですが、
今後は、中山間地域の振興を含めた新しい条例の設置も検討し、長
い目で中山間地域の活性化に取り組む必要性を感じています。
中山間地域の活性化は、「副市長プロジェクト」の一つに位置付
け、「地域活性化の基盤整備」や「日常生活と地域コミュニティー
への支援」を中心に検討を進めています。
地域活性化の基盤整備については、中山間地域で一定の収入を得
ながら安心して住み続けることができるように、来年度の新規事業
として、雇用の受け皿にもなり得る多角的なビジネスが展開できる
モデル事業の検討を進めています。中山間地域の活性化には、地域
の皆さんの「強い思い」が大切で、今必要なのは新しい「アイデア」
だと思っています。さらに、そこに「行政の支援」を加え、新たな
ビジネスの創出を目指すものです。
本市では、中山間地域に限らず市内全域を対象に、国に先駆け昨
年度から「新規就農者支援事業」を実施して(国では本年度から
「新規就農総合支援事業」を開始)、新たな農業の担い手の確保・
育成に努めています。これらの事業により、昨年度は21名、本年
度はこれまでに国と市の支援事業を合わせて11名が、新規就農支
援対象者に決定しています。今後は、地域での受け入れ体制づくり
が大切と考えています。
地域の特産品開発、ITを活用した販売促進、軽トラ市の開催、
直売所の整備、「(仮称)ながのマルシェ」の構築も意欲的に進め
られています。農業については、ぜひとも売れる、もうかる農業を
目指してほしいと思います。
野生鳥獣被害は年々大きくなっています。その原因としては、農
地の耕作放棄により、野生獣の隠れ場所となる茂みが増えたことな
どが挙げられています。被害を防ぐためには、茂みをなくし緩衝帯
を整備するとともに防護柵を設置する必要があります。また、猟友
会員の高齢化による減少対策として、狩猟免許を所持していない人
でも、銃器を使わない網やわなによる捕獲に限り、猟友会員の指導
監督の下で、補助者として捕獲作業に携わることができる「集落等
捕獲隊」の結成を進めていければ、被害対策に効果がありそうです。
イノシシ肉を料理に活用しようというプロジェクトも進行していま
す。
(3)公共交通機関の再生
バスや鉄道などの公共交通を新しい発想で再生・活性化させ、都
市のインフラとして将来にわたって維持していくことは、大変重要
です。バス交通の利便性向上に向け、10月27日からバス共通I
Cカード「KURURU(くるる)」の運用を開始しました。カー
ドの販売数は、10月31日現在で6,253枚となり、今後、利
用者が順調に伸びていくものと期待しています。将来は買い物時や、
図書館などの施設でも利用できるよう、利用範囲をどんどん広げて
いきたいと考えています。
また、次世代型路面電車システム(LRT)を含めた新交通シス
テム導入の可能性について、調査を始めました。新交通システムの
導入は、大きな経費が掛かることや現在の道路利用などを考えると
一朝一夕にできるものではないと感じています。しかし、将来の市
の交通体系を見据え、新年度策定予定の交通ビジョンにつなげてい
くための大事な調査ですので、課題や問題点を整理して総合的に検
討していきたいと考えています。また、新幹線金沢延伸に伴いJR
からしなの鉄道株式会社に経営が移管される長野以北並行在来線の
利用促進を図るため、長野-豊野駅間における新駅の設置について
も基本調査を始めました。
なお、3月に廃線となった長野電鉄旧屋代線の跡地については、
沿線地域の活性化を図るため、駅周辺および鉄道用地の跡地活用に
ついて基本構想案を作成し、地域での話し合いを進めています。
(4)長野市民病院の黒字化
「長野市民病院中期経営健全化計画(公立病院改革プラン)」に
掲げる2013(平成25)年度の黒字化を前倒しして、昨年度決
算で黒字化を達成することができ、一つの「区切り」が付きました。
これは、一つには国の「病院の機能分化・強化と連携」というビジ
ョンに合わせて、がん、脳卒中の診療など高度な医療や、救急医療
へ積極的に対応してきたことの結果です。1995(平成7)年の
市民病院開設以来続けてきた病院の増床、充実、強化を図るための
投資が、ようやく実を結び始めてきたこともあります。
まだ累積赤字もあり、先端医療を担う市民病院の役目を果たして
いくためには今後も投資が欠かせません。経営的には大変ですが、
市民病院でなければできないことに取り組み、診療水準の向上に努
めながら、この基調を維持できるように取り組んでいきたいと考え
ています。
(5)いいとき(飯綱・戸隠・鬼無里)構想の進展と戸隠・飯綱高
原スキー場の経営改善
飯綱、戸隠、鬼無里の3つの地域が持つそれぞれの魅力をうまく
結び付けて、地域の観光を振興し、地域を市民の憩いの場にすべく
頑張っています。
パワースポットブームで多くの観光客にお越しいただいている戸
隠では、7月に戸隠キャンプ場・戸隠牧場のリニューアル整備が完
成し、日本最大級のキャンプ場となりました。最盛期の夏休み期間
中には、3万人を超える利用者があり、連日、多くのキャンパーで
にぎわいました。また、新たな取り組みとして、乗馬を魅力の一つ
に加えた、戸隠・飯綱高原の一体的な振興策も考えており、来年度、
「全日本エンデュランス馬術大会」を開催したいと日本馬術連盟に
お願いしています。さらに、鬼無里には本州随一のミズバショウの
群生地として有名な奥裾花自然園があります。
これらの地域には、豊かな自然、信仰、物語、トレッキング、マ
ラソンなどキーワードがたくさんあり、多くの可能性を秘めている
地域だと期待しています。
スキー場事業についても、いいとき構想の中に入れて、大きな期
待を込めて取り組みを始めています。スキー場は長野市にとって冬
の重要な観光資源です。昨シーズンは誘客のために、女性をターゲ
ットにしたプロジェクト(戸隠スキー場)を実施したり、ファミリ
ー層を取り込むために動く歩道を設置(飯綱高原スキー場)したり
しました。今後も各スキー場の特色を生かした誘客に引き続き努力
します。
(7)歴史、文化、芸術を大切にするまちづくり
地域の観光資源を生かした「地域ブランド化」を推進し、各地域
の魅力を高めようと2004(平成16)年度から実施してきた
「イヤーキャンペーン事業」や「エコール・ド・まつしろ」、また、
未来を担う子どもたちに文化芸術に親しんでもらうために、本年度
から実施している「子どもたちのための文化芸術プログラム事業」、
まちに潤いを与える「野外彫刻設置事業」など、歴史と文化、そし
て芸術の薫り漂うまちづくりは大切なことだと考えています。新市
民会館がオープンする2015(平成27)年春を目指して、長野
の文化・芸術活動を大きく進展させる基盤にしたいと考えています。
以上、少し長くなりましたが、ソフト部門について説明しました。
次回のかじとり通信では、ハード部門とソフト・ハード部門の両方
に関する事項についてお話ししたいと思います。