昨年11月のかじとり通信で、山口県宇部市で開催された野外彫
刻事業をテーマにした「彫刻のあるまちづくりサミット」と、和歌
山市で開催された「中核市サミット」の2つのサミットについて報
告しました。今年も同じ時期に「2つのサミット」に出席しました
ので、報告します。
まずは、11月8日の北陸新幹線停車駅都市観光推進会議の「観
光サミット2012」です。このサミットは、新幹線の金沢延伸が
2015(平成27)年春に迫ってきた中で、より一層都市間の連
携を深め、誘客戦略を図ることを主な目的として2008(平成
20)年度から毎年開催されているもので、今回は長野市で開催し
ました。加盟都市は、金沢市、高岡市、富山市、黒部市、上越市、
上田市、高崎市、本年度から加入した糸魚川市と飯山市、そして長
野市の10市です。
歴史を振り返れば、加盟都市は古くから「北国街道」で結ばれて
いた街です。北国街道は加賀藩前田家の参勤交代の道であったこと
から、今回のサミット会場には、参勤交代の際に大名が宿泊された
本陣である善光寺門前の旧旅館「藤屋御本陳(ごほんじん)」を選
びました。
会場には、素晴らしい菊が飾られていました。皆さんご存じの
「巴(ともえ)の錦」で、この名は参勤交代の際にこの菊を見つけ
た加賀百万石の前田利常(としつね)侯が、名のないことを惜しん
で付けたといわれています。大豆島地区で昔から大切に育てられ、
今日まで受け継がれてきたもので、サミットにお越しになる方々を
もてなそうと、同地区保存会の皆さんが、一生懸命に飾り付けをし
てくれました。
サミットでは、善光寺を参拝した後、シンポジウムを開催しまし
た。パネルディスカッションでは、参加市長がパネリストとなり、
新幹線金沢延伸を契機とした誘客対策などについて、プレゼンテー
ションソフトを使いながら、大いに議論しました。特に今回は、
2016(平成28)年度に加盟都市が連携して大きな誘客事業を
行うことなど、情報交換にとどまらず具体的な話をすることができ、
とても素晴らしいサミットになったと思います(2015(平成
27)年度は、新幹線の延伸により、それぞれ忙しいだろうから、
1年後に開催しようということになりました)。
新幹線延伸により、人・物の流れは想像している以上に活発にな
り、国土軸も大きく変わるのではないでしょうか。「北信越」とい
う地域を一つの大きなまとまりとして、多くの人に認識してもらう
絶好の機会です。このビッグチャンスをどう生かすのか。新幹線沿
線地域全体の魅力を高めるとともに、各市もそれぞれの魅力を高め
る必要があると感じています。首都圏から観光客を呼び込むことは
もちろん、沿線都市間の市民同士の交流も大切だと思います。
今回のサミットに合わせて作られたポスターもお披露目されまし
た。沿線10都市の観光地を並べた立派なポスターでしたが、やは
り「善光寺が一番目立っているかなあ」とひいき目で見てしまいま
した。
もう一つのサミットは、11月1日、2日に青森市で開催された
「中核市サミット」です。このサミットは、年に1度、全国41中
核市の市長が一堂に会する会議で、地方分権の推進について地方か
ら声を発信するために1996(平成8)年から開催されています。
本年度は、「市民と共につくる中核市~地域主権改革をリードす
る中核市を目指して~」をテーマに行われ、分科会では「災害対策」
「社会保障と財政運営」「地球温暖化対策」「市民協働によるまち
づくり」の4分野について、各市の事例発表と意見交換が行われま
した。長野市議会からも11人の議員さんが、調査・視察のために
参加されていました。
私は、長野市で取り組んできた都市内分権を紹介して、意見交換
したいと考え、「市民協働によるまちづくり」の分科会に参加し、
その中で次のように説明しました。
〇人口が減少する中、地域社会を持続・発展させるためには、必ず
しも市内全域で一律の取り組みを行うのではなく、住民自らが地域
の個性や実情に応じた活動に取り組み、その活動を行政が積極的に
支援することが重要である。そのため、2006(平成18)年度
から「長野市版都市内分権」を推進し、現在は、市内32地区全て
に住民自治協議会(住自協)が設立されて3年度目を迎えている。
〇特徴は、市が主導して設置してきた各種団体の連合会組織を廃止
したこと。また、各種団体へ交付していた補助金を住自協へ一括交
付するという仕組みに転換し、使途は限定せず、区費と合わせて住
自協で自由に使えるようにした。
○住自協活動においても区長の役割は大きく、区長に集中している
負担を分散・軽減しつつも、区長のリーダーシップや地域を思う気
持ちが生かされることが重要である。
○住自協を中心に地域ビジネス的な活動が生まれることを期待して
いる。特に、中山間地域については、農林業でもうかる事業が実現
すれば、地域の魅力や活力が高まり、交流人口や定住人口も増える
のではないか。また、今後計画的にまちづくりを進めるためにも、
住自協に長期計画を策定してもらいたい。
いずれにしても、それぞれの住自協が、特色ある興味深い活動を
始めていて、私が目指してきた住民自治の実現に向けた手応えを感
じていることはお伝えできたと思います。
サミット終了後、青森市内の視察がありました。印象的だったの
が、JR青森駅に隣接する青森市文化観光交流施設「ねぶたの家
ワ・ラッセ」で、ねぶた祭の様子や歴史が1年中体感できる近代的
な施設です。ねぶたは「ねぶた師」が製作しているとのことで、見
上げるほど大きく勇壮なねぶたが展示されていました。一番気にな
ったのは、こんな立派なねぶたを作る資金は、どこから出ているの
だろうということです。ご案内いただいた鹿内博(しかない ひろ
し)青森市長さんに聞いてみたところ、スポンサー企業からの出資
金が主だということでした。1台のねぶたを作るのに約2,500
万円掛かるそうで、台車は使い回しをするので、毎年新たに掛かる
費用は本体部分(勇ましい武者のようなあの部分です)の約500
万円。ねぶたの多くは台車を除いて1年限りで廃棄されるそうで、
素晴らしい作品であるが故に「惜しいなあ」と思いました。
その他、青函連絡船メモリアルシップ「八甲田丸」、棟方志功記
念館、三内丸山遺跡も拝見しました。
秋は、1年の活動の最盛期ということでしょうか。サミットのよ
うな大きな会議もあれば、住自協が中心になったイベントなど、い
ろいろな催しが市内各地で行われ、にぎわっています。
若穂地区で開催されたマラソン大会「ながのとびっくランinわ
かほ」は、今回が第1回目でしたが、900人を超えるランナー、
450人を超える役員とボランティアの皆さんが参加されました。
また、トイーゴの生涯学習センターでは、「住民活動フォーラム
2012」として、住自協の皆さんの活動発表がありましたし、男
女共同参画をテーマに開催された「しなのき市民会議in信州新町」
では、女性団体が日頃の活動を発表しました。JFL(日本フット
ボールリーグ)のAC長野パルセイロは、昨年に続き今シーズンも
2位を確保し、AC長野パルセイロ・レディースも来シーズンのチ
ャレンジリーグ残留を勝ち取りました。住自協の活動が活発化して
地域コミュニティーが元気になったと感じられること、スポーツに
も明るい話題が多いこと・・・本当にみんなが元気に頑張っていま
す。
そういえば、明日は、恒例の長野えびす講煙火大会、花火1万発
の競演ですね。