2012年12月27日木曜日

読書について


 本年最後のかじとり通信になりました。今回は、少し私の個人的
な言い分になりそうです。

 昨年の夏から約半年間かけて、自宅にあるいろいろな本を、秘書
課に用意してもらった古い段ボール箱に詰めて市役所に運びました。
職員研修所が研修用の図書を管理しているため、職員に読んでもら
い何かの足しにしてもらえばと考えたものです。
 私は昔から「活字中毒」なんて言われるほどかなりの活字好きで、
いつも何かの本を読んでいないと、どうにも落ち着かない性格だっ
たようです。ある程度本を運んだ時点で職員に何冊ぐらい運んだか
聞いてみると、2,000冊以上ということでした。その後も運ん
でいますから、相当な数になっているでしょう。自宅にまだあるの
ですが・・・、市役所に置くのに、あまりくだらない本では恥ずか
しいと考えて、昨年いっぱいで一応やめました。

 家の中が本でいっぱいというわけではないのですが、一度読んだ
本をまた読みたくなることはあまりありませんし、かといって捨て
るわけにもいかず、どうしようか迷った末のことでした。初めは
「寄付する」と言ったのですが、市長が寄付することはできない
(公職選挙法違反だそうです)とのことで、それならば「貸す・・
・」ということにしました。市長を退任した後は、忘れたことに・
・・とも考えています。

 職員に読んでもらえれば、本も本望だろうと思っていたところ、
本県出身でフリージャーナリストとして幅広く活動している池上彰
という本のことを書いていました。池上さんが紹介するショウペン
ハウエルの考え方にちょっとショックを受けて、慌ててその本を購
入して読んでみました。

 皆さん、ショウペンハウエルという哲学者をご存じですか・・・
「デカンショ節」をご存じですか。昭和30年代前半、私の高校時
代、昔の旧制中学のバンカラの気風が残っていたせいでしょうか、
酒こそ飲みませんでしたが、コンパや合宿の時など、あまり意味も
考えずに、大きな声で歌ったものです。

 デカンショ!デカンショ!で半年暮(く~ら)し、あとの半年
(はんとしゃ)寝て暮らす。
 よーい、よーい、デッカンショ!ほら、デッカンショ~。

 多分、「デ」はデカルト、「カン」はカント、そして「ショ」は
ショウペンハウエルの略で、いずれも高名な哲学者ですが・・・シ
ョウペンハウエルについては、正直に言って、私はあまり知りませ
んでした。

 ショックを受けた一文を紹介します。
「読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、
他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。習字の練習をする
生徒が、先生の鉛筆書きの線をペンでたどるようなものである。だ
から読書の際には、ものを考える苦労はほとんどない」(訳:斎藤
忍随 岩波文庫)

 本の表紙にも同じような文章がありました。
「『読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に
費す勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。』
一流の文章家であり箴言(しんげん)警句の大家であったショウペ
ンハウエル(1788-1860)が放つ読書をめぐる鋭利な寸言、
痛烈なアフォリズムの数々は、出版物の洪水にあえぐ現代の我われ
にとって驚くほど新鮮である」

 要は、他人の書いたものなど何の価値もない、自分で考えろ・・
・とショウペンハウエル先生はのたまっているのです。これはショ
ックでした。結局、自分で考えることが大切ということなのでしょ
うが、凡人にはその力はありません。他人の書いてくれた素晴らし
い文章で、楽しみ、自分の知識を増やし、人間性を高めている・・
・のでしょう。

 そして「読んだ本」の内容を、自分なりに納得できた本が、良い
本だと思ってしまう。そうでない本は、題名に引かれて購入して読
み始めても、すぐに飽きてしまって本棚の片隅に積んでおく(「積
読(つんどく)」というのだそうですが・・・)。私もご多分に漏
れず、随分無駄をやってきたものです。

 ただ、ショウペンハウエル先生だからあんなことが言えるのであ
って、われわれ凡人はそんなことはできません。彼の主張は無視し
て、他人の知恵で気に入ったものをどんどん使わせてもらいましょ
う(著作権については、ここでは触れません)。

 特に、市長という立場で発言するとき、自分独自の説を述べるだ
けでは、何となく権威や重みがないため、説得力に欠ける場合もあ
りますよね。そこで「著名な先生いわく・・・」というように書物
から引用すれば、大抵の人は納得するという便利さがあります。具
体的に申し上げると、よく使わせていただくフレーズは、藤原正彦
さんの「どんなに正しい論理でも、その論理をつきつめていくと社
会は崩壊する」というくだりです(著書「国家の品格」より)。

 素晴らしい言葉や考え方は、これからも大いに使わせていただく
つもりです。多くの皆さんにお伝えできて、そして共感してもらえ
れば幸いです。ショウペンハウエルの言葉を借りるなら、われわれ
凡人にとって、思わずペンでたどってみたくなるような魅力的な
「鉛筆書きの線」に巡り合えることは大きな喜びなのです。
 
 以下、思い付くままに、私の好きな作家を挙げさせていただきま
す。古い人、新しい人、ジャンルなどはいろいろです。
司馬遼太郎、寺田寅彦、山本七平、梅原猛、松下幸之助、童門冬二、
中谷巌、中西輝政、藤原正彦、山折哲雄、塩野七生、吉川英治、小
松左京、岸田秀(敬称略)
 まだまだいらっしゃいますが、このくらいで、私の発想法がお分
かりいただけると思います。来年も、良い本にたくさん出会えるこ
とを願っています。

 話は変わります。12月16日に衆議院議員総選挙が行われ、国
民の審判が下されました。自民党が単独過半数を大きく上回る議席
を獲得し、公明党との連立により、両党は参議院で否決された法案
を再可決できる3分の2以上の議席を確保しました。しかし、参議
院においては、自民・公明両党でも過半数の議席に満たない状態が
来年夏の参議院議員選挙まで続くため、ねじれ国会による政治の混
乱が続く可能性があります。安倍新政権には、衆議院で得た多数の
議席に慢心することなく、ねじれ国会における与野党の合意形成に
努め、政治の混乱を終結させること、また、国民の声、地方の声に
真摯(しんし)に耳を傾けながら、多面的、長期的視点に立って国
政運営に当たっていただくことを強く望みます。

2012年12月20日木曜日

長野市のものづくり産業


 このメールマガジンの配信は暮れも押し詰まった頃になるはずで
すので、少し前の話になりますが、今年も「産業フェアin善光寺
平2012」が11月2日、3日の2日間にわたり、ビッグハット
で盛大に開催されました。
 この産業フェアは、長野市、須坂市、千曲市、高山村の4自治体
と(社)長野法人会、長野商工会議所などの経済団体が実行委員会
を組織し、2006(平成18)年にスタートして、今年で7回目
の開催になります。年々規模を拡大し、内容も充実してきています。
今年は「明日へつなぐ出会いと発想」をテーマに、97もの企業・
団体がブースを出展し、実ににぎやかなフェアになったという印象
を受けました。関係の皆さんのご努力のたまものと感謝しています。
 今回のフェアでは「『航空宇宙産業が未来を拓(ひら)く』~地
域産業活性化のためのモノづくり・ひとづくり~」を特別企画とし
て掲げ、「航空宇宙ビジネスゾーン」の設置や元JAXA(宇宙航
空研究開発機構)宇宙飛行士の山崎直子さんを講師に迎えて講演会
を開催するなど、成長産業としての宇宙分野を意識した構成となっ
ていました。私もぜひ、山崎さんのお話を拝聴したいと思っていた
のですが、日程の都合でかなわず、本当に残念でした。
 入場者数は、2日間で10,907人と、1万人の大台を超え、
毎年、着実に結果を残しています。

 また、11月15日から17日にかけて、諏訪湖畔にある旧東洋
バルヴ(株)工場跡地で「諏訪圏工業メッセ2012」が開催され、
過去最多の337の企業・団体が出展し、こちらも大変盛大でした。
地方で開催される工業メッセ(見本市)としては最大級であると評
価が高いこのメッセを視察しようと、私も初日の15日にお邪魔し
ました。
 このメッセも「医療」「航空・宇宙」「環境・エネルギー」の成
長分野を強く意識した展示・技術紹介となっていました。会場が工
場跡地であるということ、またブースも比較的簡素であることから、
全体的に地味な印象を受けましたが、主な開催目的が企業のビジネ
スチャンスの拡大を図ることに置かれているとお聞きして納得しま
した。確かに会場のあちこちで商談会が行われていて、中には外国
人バイヤーの姿も見られました。
 このメッセの当初の開催理由・目的の一つに、隣同士の企業であ
っても何を製造し、どんな技術を有しているかを知らないという状
況があることから、地域の強みを相互に理解することで、地域内で
ある種の技術イノベーションを起こしていこうという意図があった
ようです。ご存じのとおり諏訪地方は、以前から「日本のスイス」
と呼ばれ、精密工業を中心にものづくりの一大エリアとして発展し
てきた地域です。リーマンショック、円高など、激しい逆風の中で、
個々の力だけでなく、地域としての総合力を結集して企業活動を盛
り上げていこうという試みは、的を射たものだと感じました。

八ケ岳型の産業構造」だと分析しています。つまり、一部の産業分
野が地域経済をけん引する「富士山型」ではなく、さまざまな産業
分野がそれぞれの固有資源や知識・情報を生かし、独自性を発揮す
ることで、地域の経済力を全体として底上げしているのです。
 工業製品出荷額を見ても、さまざまな産業分野がくまなく存在し
ている状況ですが、その中でも食品加工業が約2割を占める実績を
挙げています。また意外と知られていませんがソフトウェア産業が
健闘していることなどが、諏訪地方などの県内他地域とは若干異な
る、長野市の特色だろうと思います。
 産業フェアin善光寺平では、その特色をもう少し前面に出した
企画が立案できないか、あるいは現在、長野市を含む3市1村から
参加している企業・団体を東信地方を含めたもっと広いエリアから
募り、積極的なビジネスチャンスにつながるような展開ができない
のかなど、諏訪圏工業メッセを視察して、新たな課題が浮かび上が
ってきたように思いました。今後、関係の皆さんと検討していきた
いと考えています。

 せっかくの機会ですので、本年度から始めた「長野市企業コーデ
ィネート・サポートチーム」による企業支援制度について説明しま
す。
 現在、長野市ものづくり支援センター(UFO長野)と(公財)
長野県テクノ財団の「善光寺バレー地域センター」には、それぞれ
コーディネーターがおり、企業に技術的な支援を行っています。こ
の制度は、これらコーディネーターと(株)八十二銀行や長野信用
金庫が行っている企業の研究開発に対する支援活動を一つにまとめ、
「産学官金」のチームを編成することで、短時間で効果的な中小企
業支援を展開することを目的としています。特に、企業の研究開発
意欲を促進するための事業計画に対しては、市から利子補給を行い、
実質的な無利子融資として企業に利用いただけるようになっていま
す。市では当面、運転資金として上限500万円を、また設備投資
資金として1,000万円を限度に融資を行うこととしており、本
年度10月までに既に6企業がこの制度を利用しています。
 今後さらに利用する企業が増え、企業収益に貢献するような研究
開発が行われることを大いに期待しているところです。
 ものづくり企業を支援する制度としては、さまざまな目的に合わ
せた低利の制度資金や産業団地の造成などがありますが、企業の市
外流出を防ぐためにも、これからは特に長野市内に立地している既
存企業への支援活動に力を入れていくことが重要になっていると認
識しています。

 さて、2012(平成24)年も暮れようとしています。
 新しい年が、皆さまにとりまして希望の多い年となりますことを
ご祈念申し上げます。
 来年もよろしくお願いします。

2012年12月13日木曜日

晩秋から初冬の出来事


 「日本でいちばん美しい晩秋の花火」といえば、「えびす講の花
火!」と即答される人も結構いらっしゃることでしょう。それほど
長野えびす講の花火は、「花火は夏」というイメージを覆して、寒
さが厳しくなる11月の澄みきった夜空を見事に彩ることで有名で
す。11月23日に開催された「第107回長野えびす講煙火大会」
では、約1万発の花火が打ち上げられ、昨年を上回る約40万人の
観客(長野市の人口を超える人出ということになりますから驚きで
す)で、会場の犀川河川敷は身動きが取れないほどのにぎわいでし
た。この不景気にもかかわらず協賛いただいた企業、個人の皆さん、
そして何よりも主催した長野商工会議所と長野商店会連合会の皆さ
んに、毎年のことながら敬服します。それにしても、ミュージック
・スターマインはすごいですね。花火と音楽と光の共演で、その迫
力には圧倒されてしまいました。
 
 花火の元気なイメージで、最近の出来事を紹介します。
 まずは、毎年行っている長野市の新規採用職員との懇談会です。
4月から元気いっぱい、仕事に全力疾走しているフレッシャーズと
のこの懇談会は、私にとっても若い人の考えや意見を聴く貴重な機
会です。以前は朝7時30分から、朝食を取りながらブレックファ
スト・ミーティングとして行っていたこともありました。
 懇談会は、テーマを決めずにそれぞれが思い思いに関心のあるこ
となどを語る形式で行いました。中でも多く取り上げられたのは、
「市民とのコミュニケーションの大切さ、難しさ」「AC長野パル
セイロの観客数をいかに増やすか」「これからの農業をどう考える
か」の3点でしょうか。長野市の未来に向けた、真っすぐな気持ち
を聴くことができたと感じています。
 懇談会最終日には打ち上げとして有志が懇親会を企画し、招待を
受けて私も参加してきました。新規採用職員の中には、再就職した
職員や既に家庭を持っている職員も結構いて、プライベートな話題
など懇談会とは違った角度からのやりとりができ、楽しい時間でし
た。しかし、やはり年代の違いでしょうか、若い彼らの考えに、
「う~ん」とうなってしまうこともありました。

 先日、「ながのいのち 未来へつなげる ながのいのちの輪」と
題して、長野放送の取材がありました。長野放送では、2008
(平成20)年から毎年1回、「ながのいのち」をテーマとしたシ
リーズ番組を放送していて、大きな宣伝効果が期待できます。「え
ごまラスク」「あとひき豆」「まこもどうふ」といった長野市産の
農産物を使った加工品や、移動販売車「ひっぱりだこ号」、農産物
市「ザ・ぎんざ にぎわい市」などで、「ながのいのち」は、多く
の人に浸透してきたと感じています。新商品も順調に開発され、
「ながのいのち」のブランドマークも、いろいろな場所で見掛ける
ようになりました。大量生産とはいきませんが、一つ一つの商品が
深みのある、信頼されるブランドに成長していると確かな手応えを
感じています。
 今回の番組は5回目で、12月29日土曜日の正午から放送され
ます。ぜひご覧ください。

 長野オリンピックから15年がたとうとしています。国際都市長
野は、外国籍の皆さんからどのように見られているのでしょうか。
魅力あふれる元気なまちなのでしょうか。12月9日に、「国際交
流市民会議」を開催しました。毎年開催している市民会議ですが、
今年は趣を変えて各国の「文化」「食」「衣」「遊び」などを体験
できるイベント「おぉ!地球人 ワールドフェスタIN長野」の一
環として開催され、もんぜんぷら座の会場は外国籍の方を含めた多
くの皆さんで盛り上がりました。市民会議は、パネルディスカッシ
ョン形式で行われ、「外国人の目から見たNAGANO」をテーマ
に意見交換をしました。「外国人観光客が善光寺に参拝した後、長
野駅までの間を歩いて散策できる案内マップがない」「SNS(ソ
ーシャルネットワーキングサービス)を活用した海外への観光情報
発信が有効」といった提案などを頂き、私からは、「国際化」とい
うことでは、観光客と居住者との2つの視点から考えることが必要
であると申し上げました。また、私も含めて長野の人はシャイだと
以前から感じていて、いざ「外国の人と話しましょう」となると、
ちょっと苦手で、もっと積極的にならないと駄目なのかなあと感じ
ています。
 
 保育所や幼稚園に入園前の子どもたちの遊び場と親同士の交流の
場、また育児相談の場として、市内に、専用施設のこども広場が2
カ所、保育所に併設された地域子育て支援センターが14カ所、ま
た、ほぼ全ての保育所、幼稚園に園開放や育児相談などを行う「お
ひさま広場」を開設しています。こども広場の年間利用者数は、も
んぜんぷら座の「じゃん・けん・ぽん」が約6万人、篠ノ井の「こ
のゆびとまれ」が約3万人で、連日、大勢の子どもたちの元気な声
が響きわたっています。11月27日、私が市内各地へ出向き、市
民の皆さんと膝を交えて自由な意見交換を行う「みどりの移動市長
室」で、「このゆびとまれ」にお伺いしました。

 参加いただいた皆さんからは、家庭での保育が一時的に困難な場
合に子どもを保育所で預かる「一時預かり」や病後児保育の充実な
どの要望を頂いたほか、市政における子育て支援施策の位置付けな
どについて質問がありました。地域のつながりの希薄化や核家族化
の進行などにより、現在の育児を取り巻く環境は、私が子育てをし
たころと比べると大きく変わっています。育児に不安や悩みを抱え
る保護者が多いことも心配です。ぜひとも、こども広場などの施設
を大いにご利用いただき、他の親子との触れ合いの機会を増やして
ください。「子どもと過ごす時間をできるだけ長く取ってほしい」
というのが私の持論です。

 最後に、皆さんが、そして誰よりも私が元気になるスキーの話題
です。今年は順調に雪が降っていて、戸隠スキー場は予定どおり
12月15日にオープンします。私も当日、安全祈願祭に戸隠スキ
ー場に行きます。楽しみです。そういえば、先ほどの「おぉ!地球
人 ワールドフェスタIN長野」では、(社)長野市開発公社の提
供による戸隠スキー場の招待券などが当たる抽選会が盛り上がって
いました。スキー場の招待券が当たった人はもちろん、皆さんもぜ
ひ家族や友達をたくさん誘ってお出掛けください。

 スキー客の増加を目指す長野市開発公社の協力を得た抽選会は、
なかなか粋な企画です。持ちつ持たれつ、相乗効果が図れるアイデ
アをどんどん考えて、元気になる企画で長野をもっともっと盛り上
げましょう。

2012年12月6日木曜日

師走です。12月市議会定例会も始まりました


 早いもので今年もあと1カ月を切りました。師走という声を聞く
だけで何かと気ぜわしさを感じますね。国政においても、第46回
衆議院議員総選挙が4日に公示され、慌ただしさを極めています。
市選挙管理委員会事務局も目が回るほど多忙のようです。今回の総
選挙は、民主党が与党として国民の審判を受けるわけで、政権奪回
を目指す自民党など既成政党のほか、新党が乱立し、短期間での離
合集散もあったことから、有権者は各政党の主張を十分に理解する
ことは極めて難しいと思われますが、くれぐれも棄権することなく、
投票することで政権選択を問うにふさわしい選挙となることを期待
しています。

 市議会においても12月定例会が11月30日に開会し、本日か
ら一般質問が始まりました。開会のあいさつでは、現在の長野市の
動向として、都市内分権の推進、公共交通機関の整備、環境対策の
充実、エネルギーの適正利用、文化芸術活動への支援と文化の創造、
中山間地域の活性化、スポーツを軸としたまちづくりなどについて
説明しました。今回のかじとり通信では、この中から、最近の出来
事や具体的な施策、また、これまでかじとり通信でお伝えできなか
ったことについてお話ししたいと思います。

 まずは、公共交通機関の整備のうち長野電鉄旧屋代線の関連資産
の活用についてです。昨年10月に長野電鉄株式会社から「一括無
償譲渡」の申し出を受け、沿線地域の活性化のための活用策につい
て、沿線の松代地区、若穂地区の皆さんの要望などを踏まえて検討
してきました。10月に活用方針の素案である「基本構想案」を沿
線地区へ提示するとともに、須坂市、千曲市および長野電鉄株式会
社とも協議を重ねています。近々、「基本構想」をまとめた上で、
沿線地区の皆さんと協議しながら、事業実施時期、概算事業費、維
持管理方法などの具体的な内容を示した「整備計画」を作成し、次
年度から順次、事業に着手する予定です。

 中山間地域の活性化については、若穂地区において「若穂ジビエ
振興会」が、捕獲したイノシシなどを食肉として加工する施設の建
設に取り組んでいます。そのため、本定例会には、同施設の建設費
補助に係る補正予算案を提出しました。今後、同施設を活用するこ
とで、イノシシ肉などの有効活用による地域活性化や、捕獲促進に
よる有害鳥獣の被害防止を図り、有害鳥獣に負けない地域づくりを
目指します。

 観光交流の推進の一つとして、現在、茶臼山公園一帯の整備を進
めています。先月、動物園北口から最寄りの駐車場をつなぐモノレ
ールの設置工事に着手しており、年度内の完成を目指しています。
自然植物園は、「緑育」を実践する場として整備を進めるとともに、
チューリップの植栽イベントなどを開催し、市民と共につくる植物
園として新たな魅力の創出を図り、茶臼山エリア全体の活性化を目
指しています。

 スポーツを軸としたまちづくりのために、2010(平成22)
年に創設した「ながの夢応援基金」を活用し、冬季競技大会やオリ
ンピック記念イベントなどの開催に対して助成を行っています。今
月はスピードスケート競技のワールドカップや全日本スピードスケ
ート選手権大会、また、来年2月には、全国中学校スケート大会が
この基金を活用し開催されます。なお、全国中学校スケート大会に
ついては、2007(平成19)年度から10年連続での長野市開
催が決定しており、今回で6年目となります。11年目以降も、引
き続き長野市で開催できるよう、関係者と協議を進め、主催者に要
望していきたいと考えています。

 また、南長野運動公園総合球技場の整備事業については、設計・
施工一体型のプロポーザル方式により事業者の選定を進めています。
10月に第1回選定委員会を開催し、応募要領、要求水準書につい
て決定しました。

 中心市街地の活性化については、一つの取り組みとして権堂地区
で「10月、権堂、昭和のまち。」や「ごんバル」などの各種イベ
ントが開催されました。昭和の雰囲気を感じられる催しとして、映
画館で「ウルトラマン」が特別上映されたほか、射的などの懐かし
い遊びや食事が楽しめる「グルメ・縁日広場」などが開催されたそ
うです。これらは「権堂地区再生計画」に盛り込まれた提案事業の
実現のため地元組織である「権堂まちづくり協議会」との協働で実
施されたもので、多くの皆さんで街がにぎわいました。
 また、先月から、権堂アーケード通りの東側、権堂地区東街区で
再開発事業が始まりました。権堂B-1地区市街地再開発組合が権
利変換計画の県の認可を経て、建物の取り壊しに着手したものです。
完成は、2014(平成26)年12月を予定しています。

 保健福祉施策のうち高齢者福祉施策として、「おでかけパスポー
ト」のICカード化の手続きが始まっています。10月27日から
バス共通ICカード「KURURU(くるる)」の運用が始まり1
カ月が経過しましたが、おかげさまで順調なスタートを切ることが
できました。これまでご愛用いただいた「おでかけパスポート」は
ICカードに交換することになりますが、既に約4万人の申し込み
を頂いています。「引換交換会」は、来年の2月21日まで、市内
全域の62カ所で延べ101回開催します。実際にバス車内でのI
Cカードの読み取りを体験することもできますので、ぜひお出掛け
ください。私も、ICカードに交換しました。

 市民の皆さんの「生命、身体および財産」を守る消防救急体制に
ついては、11月1日に中央消防署東部分署がエムウェーブ西側の
第二東部工業団地に開署しました。化学消防車や大型水槽車などを
配置し、特殊災害にも対応できる防災拠点となります。また、中山
間地域における救命率向上のため、中央消防署七二会分署で医師の
指示の下で救急救命処置が可能な高規格救急車の運用を開始しまし
た。

 最後に、新市役所第一庁舎および新長野市民会館の建設について
です。両施設については、来年度の本体工事着工に向け、現在、実
施設計において詳細図面の作成などを進めています。本体工事に当
たっては、本年3月議会において、市内企業への発注および受注機
会に配慮した工区割りを求める請願が採択されたことなどを受け、
地域全体への経済効果を考慮し、市内企業の参画の機会を極力確保
できるよう方針を決定しました。具体的には、建築主体工事は2工
区に分割し、大ホールなど複雑な施工が求められる第1工区はJV
(建設企業共同体)の代表として一定の市内企業も応募できる形態
とし、庁舎棟となる第2工区は代表を含むJVの全てを市内企業へ
の発注としました。また、設備工事は適切な工種ごとに分離して市
内企業を含むJVなどに発注することとしました。
 今後、2014(平成26)年度の竣工(しゅんこう)に向けて
準備を進めていきますが、全体工期の関係から、本体工事(着工は
来年6~7月ごろ)前に施工する土留め壁工事については、本年度
中に準備を行い4月から着工できるよう、関連する補正予算案を本
定例会に提出しました。
 現在、玄関棟の解体工事が行われています。新しい建物の完成ま
での間、ご来庁の皆さんにご不便をお掛けすることのないよう、職
員が積極的な声掛けやご案内をするよう努めます。

 本定例会の会期は、12月18日までの19日間です。議員、市
民の皆さんに分かりやすい答弁を心掛けることはもちろんのこと、
市政発展のための議論の場となるよう、精力的に取り組もうと気持
ちを引き締めています。閉会日を迎えると、いよいよ年の瀬です。
忙しい中にも、私はスキーでリフレッシュするのが楽しみです。今
年は12月15日に戸隠スキー場が、22日には飯綱高原スキー場
がオープン予定です。雪に恵まれ、両スキー場が、まさに順調な
「滑り出し」となればいいなあと願っています。