2012年12月20日木曜日

長野市のものづくり産業


 このメールマガジンの配信は暮れも押し詰まった頃になるはずで
すので、少し前の話になりますが、今年も「産業フェアin善光寺
平2012」が11月2日、3日の2日間にわたり、ビッグハット
で盛大に開催されました。
 この産業フェアは、長野市、須坂市、千曲市、高山村の4自治体
と(社)長野法人会、長野商工会議所などの経済団体が実行委員会
を組織し、2006(平成18)年にスタートして、今年で7回目
の開催になります。年々規模を拡大し、内容も充実してきています。
今年は「明日へつなぐ出会いと発想」をテーマに、97もの企業・
団体がブースを出展し、実ににぎやかなフェアになったという印象
を受けました。関係の皆さんのご努力のたまものと感謝しています。
 今回のフェアでは「『航空宇宙産業が未来を拓(ひら)く』~地
域産業活性化のためのモノづくり・ひとづくり~」を特別企画とし
て掲げ、「航空宇宙ビジネスゾーン」の設置や元JAXA(宇宙航
空研究開発機構)宇宙飛行士の山崎直子さんを講師に迎えて講演会
を開催するなど、成長産業としての宇宙分野を意識した構成となっ
ていました。私もぜひ、山崎さんのお話を拝聴したいと思っていた
のですが、日程の都合でかなわず、本当に残念でした。
 入場者数は、2日間で10,907人と、1万人の大台を超え、
毎年、着実に結果を残しています。

 また、11月15日から17日にかけて、諏訪湖畔にある旧東洋
バルヴ(株)工場跡地で「諏訪圏工業メッセ2012」が開催され、
過去最多の337の企業・団体が出展し、こちらも大変盛大でした。
地方で開催される工業メッセ(見本市)としては最大級であると評
価が高いこのメッセを視察しようと、私も初日の15日にお邪魔し
ました。
 このメッセも「医療」「航空・宇宙」「環境・エネルギー」の成
長分野を強く意識した展示・技術紹介となっていました。会場が工
場跡地であるということ、またブースも比較的簡素であることから、
全体的に地味な印象を受けましたが、主な開催目的が企業のビジネ
スチャンスの拡大を図ることに置かれているとお聞きして納得しま
した。確かに会場のあちこちで商談会が行われていて、中には外国
人バイヤーの姿も見られました。
 このメッセの当初の開催理由・目的の一つに、隣同士の企業であ
っても何を製造し、どんな技術を有しているかを知らないという状
況があることから、地域の強みを相互に理解することで、地域内で
ある種の技術イノベーションを起こしていこうという意図があった
ようです。ご存じのとおり諏訪地方は、以前から「日本のスイス」
と呼ばれ、精密工業を中心にものづくりの一大エリアとして発展し
てきた地域です。リーマンショック、円高など、激しい逆風の中で、
個々の力だけでなく、地域としての総合力を結集して企業活動を盛
り上げていこうという試みは、的を射たものだと感じました。

八ケ岳型の産業構造」だと分析しています。つまり、一部の産業分
野が地域経済をけん引する「富士山型」ではなく、さまざまな産業
分野がそれぞれの固有資源や知識・情報を生かし、独自性を発揮す
ることで、地域の経済力を全体として底上げしているのです。
 工業製品出荷額を見ても、さまざまな産業分野がくまなく存在し
ている状況ですが、その中でも食品加工業が約2割を占める実績を
挙げています。また意外と知られていませんがソフトウェア産業が
健闘していることなどが、諏訪地方などの県内他地域とは若干異な
る、長野市の特色だろうと思います。
 産業フェアin善光寺平では、その特色をもう少し前面に出した
企画が立案できないか、あるいは現在、長野市を含む3市1村から
参加している企業・団体を東信地方を含めたもっと広いエリアから
募り、積極的なビジネスチャンスにつながるような展開ができない
のかなど、諏訪圏工業メッセを視察して、新たな課題が浮かび上が
ってきたように思いました。今後、関係の皆さんと検討していきた
いと考えています。

 せっかくの機会ですので、本年度から始めた「長野市企業コーデ
ィネート・サポートチーム」による企業支援制度について説明しま
す。
 現在、長野市ものづくり支援センター(UFO長野)と(公財)
長野県テクノ財団の「善光寺バレー地域センター」には、それぞれ
コーディネーターがおり、企業に技術的な支援を行っています。こ
の制度は、これらコーディネーターと(株)八十二銀行や長野信用
金庫が行っている企業の研究開発に対する支援活動を一つにまとめ、
「産学官金」のチームを編成することで、短時間で効果的な中小企
業支援を展開することを目的としています。特に、企業の研究開発
意欲を促進するための事業計画に対しては、市から利子補給を行い、
実質的な無利子融資として企業に利用いただけるようになっていま
す。市では当面、運転資金として上限500万円を、また設備投資
資金として1,000万円を限度に融資を行うこととしており、本
年度10月までに既に6企業がこの制度を利用しています。
 今後さらに利用する企業が増え、企業収益に貢献するような研究
開発が行われることを大いに期待しているところです。
 ものづくり企業を支援する制度としては、さまざまな目的に合わ
せた低利の制度資金や産業団地の造成などがありますが、企業の市
外流出を防ぐためにも、これからは特に長野市内に立地している既
存企業への支援活動に力を入れていくことが重要になっていると認
識しています。

 さて、2012(平成24)年も暮れようとしています。
 新しい年が、皆さまにとりまして希望の多い年となりますことを
ご祈念申し上げます。
 来年もよろしくお願いします。