2013年2月14日木曜日

ごみ焼却施設受け入れの基本同意について


 先月22日、長野広域連合が計画する新たなごみ焼却施設の建設
について、2005(平成17)年に大豆島地区および松岡区にお
願いして以来7年間の協議を経て、建設に関する基本同意書を大豆
島地区から頂くことができました。地域に反対意見がある中、歴代
役員の皆さんが中心となり将来の長野市のごみ問題について誠意を
持ってご検討いただき、施設の受け入れをご判断いただいたこと、
本当に感謝に堪えません。

 1月24日配信のかじとり通信でも、基本同意書の受領について
皆さんに報告させていただきましたが、大豆島地区の皆さんが大変
重い決断をしてくださったこと、そして今後のごみ行政を実施する
上で、大変重要なことですので、今回あらためてお話しさせていた
だきます。

 「大豆島地区だけが、これから数十年間もごみを受け入れていい
のだろうかというのが正直な気持ち。誰だって、自分の住んでいる
近くにごみ焼却施設はない方がいいに決まっている。単に賛成か反
対かと問われれば、誰だって反対と言うでしょう。しかし、毎日ご
みは出る。放っておくわけにはいかない。どこかで処理しなければ、
長野市中がごみでいっぱいになってしまう。苦渋の選択であった」
 これは、基本同意書をご提出いただいた際の大豆島地区住民自治
協議会の山下会長さんのあいさつです。これまでのご苦労がにじみ
出た言葉でした。

 基本同意書には、以下の5つの条件が付されました。
1 計画施設は、周辺環境への影響を最大限軽減できる施設とし、
 運転管理については、安全・安心を最優先とすること。
2 現計画のごみ焼却施設の更新に伴う次のごみ焼却施設及び次の
 プラスチック製容器包装圧縮梱包施設並びに資源化施設の建設地
 は、大豆島地区以外とすること。
3 現計画に必要となる付帯施設を除き、現計画エリアに計画以外
 の施設等の設置は行わないこと。
4 大豆島地区の課題解消に向け、誠意を持って対応すること。
5 上記の詳細については、大豆島地区住民自治協議会と別途協定
 書を締結し、その実現に努めること。

 これらの条件の中で一番悩んだのは、条件の2です。今回建設す
る施設は、今後30年以上の稼働をお願いすることになるでしょう
から、施設を更新するころには生きているはずもない私が、「次の
ごみ焼却施設は大豆島地区には造らない」と約束をしてもよいもの
だろうか・・・長野市の担当者も悩んだはずです。
 しかし、ごみ焼却施設は、既に1962(昭和37)年から50
年以上、大豆島地区に受け入れをお願いしてきたもので、さらにこ
れから30年以上お願いすることになるわけですから、次の施設の
建設は「大豆島地区以外とする」条件は、受け入れるべきだと判断
しました。

 ごみは、私たちの生活から日々排出されるものです。そして、そ
のごみの焼却施設をどこかの地区に設置しなければなりません。こ
のことを私たちは強く自覚し、一人一人がごみ処理についてもっと
真剣に考えなければいけません。ごみの減量に努めることはもちろ
んのこと、ごみ焼却施設を受け入れていただく大豆島地区の皆さん
の気持ちを重く受け止める必要があります。そうしたことからも、
条件の4および5も重要な意味を持っていると思います。
 
 基本同意書受領後の懇談で出た話を列記してみますと、「大豆島
地区が基本同意したことで、千曲市、須坂市への影響はどうなるか」
「今回、建設候補地の選定に7年間を費やしたように、候補地選定
には時間がかかる。次の候補地の選定作業に早く入ること。施設が
古くなってからでは遅い」「将来、大豆島地区からごみ焼却施設を
撤去した後、何か具体的な跡地利用の考えはあるか」「大豆島地区
の活性化策は」などなど・・・。

 私からは、「長野市のA焼却施設の建設が前進することになると、
それがきっかけになって千曲市のB焼却施設と須坂市の最終処分場
の話はかなり進むであろうと聞いている。今回の基本同意で広域全
体のごみ処理計画の動きが非常に良くなるであろうと感じている」
「基本同意書の条件を実現させることについては、今後、十分な協
議を重ね、協定書の中で定めていきたいと考えている。しかし、事
業によっては、長い時間を要するものや困難なものもあるかもしれ
ない。まずは、実施することを大原則に、誠心誠意取り組んでいく」
「次のごみ焼却施設の建設地を大豆島地区以外とすることについて
は、過去から施設を受け入れ、そして今回、新施設の建設にご同意
いただいた大豆島地区の皆さんへの重要な約束であり、また、全市
民がごみ処理に対して、あらためて認識すべき基本的な事項である
と思っている」とお答えしました。

 基本同意までの過程を皆さんに知っていただくため、これまでの
経過を記しておきます。
 2005(平成17)年11月
   現在の施設の老朽化やごみ処理の広域化に対応するため、建
  設候補地を松岡二丁目(サンマリーンながのおよびその周辺部)
  に選定し、建設に係る検討を依頼 
 2006(平成18)年
   測量および地質調査を実施
 2008(平成20)年10月~2012(平成24)年3月 
   環境影響評価を実施 
 2012(平成24)年11月~12月
   「広域ごみ焼却施設の計画概要」および「ごみ焼却施設周辺
  環境整備基本計画(案)」に関する説明会を19回開催(大豆
  島地区7区13回・地区全体1回・市民説明会1回など)

 なお、現在の清掃センターについて申し上げますと、現施設の維
持・管理については、施設の安全で安定した稼働の確保を目的に
「中期保全計画」を策定し、計画的な整備を実施しています。今後
も、毎年約5億から6億円程度の補修費を想定していますが、新焼
却施設稼働まで、安全で適正な施設運営に努める所存です。

 今回、大豆島地区の皆さんから同意書を頂き安堵(あんど)する
反面、将来のごみ処理の在り方については、これまでの考えを見直
す必要もあるのではないかと感じています。最新技術を駆使し、安
全で効率性の高いごみ焼却施設で広域処理することは、現段階では
最善の方法だと考えています。しかし、先ほども述べたとおり、ご
み処理は、排出から最終処分まで全市民の責任であり、市民全体で
負担すべき問題です。今後の技術開発の動向を注視しながら、全市
民が平等に負担する、将来にわたり持続可能なごみ処理の発想が必
要なのではないかと感じています。

 焼却施設や最終処分場を受け入れ、今日の快適な市民生活を支え
ていただいている地区の皆さんに対する感謝の念は、決して忘れて
はならないものだとの思いを強くするとともに、迷惑施設というイ
メージを払拭(ふっしょく)する最新施設を建設し、大豆島地区を
全国に誇れる先進地区としたい。そして、大豆島地区のさらなる発
展につながるよう、最大限の努力をする所存です。