現在、市民の皆さんが大きな期待を寄せていることの一つ、それ
はAC長野パルセイロのJリーグへの昇格でしょう。Jリーグの1
つ下のリーグに位置するJFL(日本フットボールリーグ)で2年
連続準優勝しているのに、昇格できない無念さ。だから一日も早く
条件をクリアして、Jリーグへ昇格して活躍してほしい、松本山雅
FCに追い付いてほしいということでしょう。これは、私自身の願
いでもあります。
昇格の諸条件の中で一番難問だったのが、Jリーグ基準を満たす
スタジアムの整備ということは、皆さんよくご存じの話です。
そのことが、ようやく解決に向けて大きな一歩を踏み出しました。
先週12日、南長野運動公園総合球技場整備に係る事業設計者お
よび施工者の選定委員会が開催されました。全体工期の短縮やコス
ト縮減などを図るため、設計・施工を一体として発注することとし、
市が示した条件を満たす整備プラン(施設設計や金額など)を提案
してもらい、選定委員会が審査して決めるプロポーザル方式で事業
者の選定が行われました(一番安い事業者が落札する入札方式とは
少し違います)。
選定委員会は、学識経験者および行政関係者6名で構成し、委員
長は建築関係の学識経験者である五十田博(いそだ・ひろし)信州
大学工学部建築学科教授にご担当いただきました。その結果、応募
のあった5者の中から最優秀者に竹中工務店(大阪府)、東畑建築
事務所(大阪府)、北信土建(長野市)、千広建設(長野市)、ア
ーキプラン(長野市)で構成される共同企業体(JV)が選定され
ました。
事業費は、71億4千万円(2番目に安い金額です)で、収容人
員は、J1昇格も見込んだ1万5千人、観客席には4面に屋根を設
置する提案です。
実は、私の一番の心配は、屋根と事業費との関係でした。当初、
市が作成した概要計画では、屋根は1面設置で事業費は80億円で
した。昨年10月に開催した「スポーツを軸としたまちづくり市民
会議」では、最高の観戦・応援環境を確保するために屋根を4面設
置してほしいという要望を多数頂きました。このため、もし屋根が
1面で安い事業費の提案と、屋根は4面でも事業費が高い(80億
円近い)提案が示された場合、選定委員会はどちらを採用するのか
ということでした。しかし、参加5者の提案全てが4面屋根付きで
あったため、ホッとしたというのが正直なところです。
選定結果の詳細については、今後、ホームページなどで発表しま
すが、最優秀者の主な選定理由を以下に記載します。
1 市では当初、2015(平成27)年11月ごろの供用開始を
予定していたが、今回採用された案では工期が8カ月短縮され、
同年3月のシーズン開幕から使用できる。
2 南側サイドスタンドの屋根を低くし、南・北側サイドスタンド
下部全面に風道を設け、芝の管理に十分な配慮がされている。
3 事業費を削減するだけでなく、屋根に太陽光発電パネルを設置
するなどして、ランニングコストの削減にも考慮した計画となっ
ている。
特に、上記1については大変ありがたいことです。AC長野パル
セイロの成績などにもよりますが、これまで2016(平成28)
年シーズンを予定していたJ2昇格が1シーズン早められる可能性
が出てきたわけです。実現すれば、長野市にとってのエポックイヤ
ー(新しく画期的な年)を一層盛り上げる大きなコンテンツとなる
ことは間違いありません。
今後は、来月から12月まで設計を行い、並行して8月から9月
に現施設の解体工事を実施。また、工期短縮のため基本協定を結び、
材料の手配などの準備行為を可能とし、来年1月からの本体建設工
事の着手を目指します。Jリーグ公式戦のほか、ラグビーやアメリ
カンフットボールなどの国内トップリーグの試合や国際試合、小・
中学生や高校生の大会、スポーツ教室などを通じて多くの皆さんに
利用していただくことで、長野市の象徴となる施設として、県内有
数のスポーツの拠点施設にしていきたいと思っています。
先日、2019(平成31)年に日本で初めて開催されるラグビ
ーワールドカップの各国代表チームのキャンプを菅平高原に誘致す
る動きが本格化してきたという新聞記事を読みました。そこにも記
載されていましたが、長野市のスタジアムが完成すれば、ラグビー
の公式試合ができる本格施設となり、誘致の追い風になるそうです。
スポーツを通じた広域的な連携や経済効果、そして多くの人たちの
盛り上がりも期待できますね。
改修期間中は施設を使用できませんから、AC長野パルセイロの
ホームゲームは長野運動公園陸上競技場のほか、佐久市に来月完成
する佐久総合運動公園陸上競技場での開催が予定されています。佐
久市への移動は大変になるかもしれませんが、長野市からも多くの
サポーターに応援に駆け付けてほしいと思います。そして、佐久市
をはじめ東信地方にもサポーターの輪を広げる好機となるはずです
し、しなければなりません。
今後、AC長野パルセイロのJ2昇格を実現するためには、ホー
ムゲーム1試合平均観客数3千人以上という条件をクリアする必要
があります。さらに申し上げれば、3千人はJ2昇格のための最低
限の目標であり、これではチーム経営は成り立ちません。昇格後に
は毎試合1万人以上の集客ができるように、今からサポーターの裾
野を広げておく必要があります。AC長野パルセイロは今シーズン、
市内の各地区から直接スタジアムに行ける「応援バスツアー」を計
画しているそうです。多くの市民の皆さんにご参加いただき、応援
機運がさらに高められるよう、市としても協力していきたいと考え
ています。
先月22日には、AC長野パルセイロの新監督になられたトップ
チームの美濃部直彦監督とレディースチームの本田美登里監督が就
任のあいさつにお越しになりました。新監督の下、選手の皆さんに
は闘志みなぎる果敢なプレーで勝利を積み重ね、サポーターの大き
な期待に応えてほしいと思います。
先週15日、長野商工会議所の主催で、松本市と長野市の政経懇
談会が開催されたとき、松本山雅FCの後援会長である松本商工会
議所の井上会頭があいさつの中で、なぜ松本山雅FCにはあれほど
サポーターが多いのかについて、「理由はよく分からない。自然発
生的です」ということを言っておられました。うらやましい・・・
でも松本山雅FCには負けてはいられないと心から思いました。