3月25日、3月市議会定例会が閉会しました。重要案件がたく
さんありましたが、全て可決されました。
3月市議会は、本年度(平成24年度)の締めくくりと、新年度
(平成25年度)の事業と予算を決める重要な議会です。しかも、
平成24年度の3月補正予算と平成25年度の当初予算を合わせた
「15カ月予算」としたことで、一般会計は1,600億円を上回
る規模になりました。
「アベノミクス」という言葉はすっかり有名になりました。金融
政策、財政政策、成長戦略、これらを「三本の矢」として、日本経
済を立て直すという安倍首相の政策は、現時点までは円安・株高を
導き、大きな成果を上げているように見えます。
世論調査によると、「今、必要な政策は」との設問に対する回答
は、「雇用の拡大」が常にトップになっている状況です。「景気は
気から」といいますし、日銀総裁人事も無事に国会での同意を得る
ことができ、安倍内閣は順調にスタートしたといっていいのでしょ
う。決められない政治、首相がくるくる変わる事態は、この辺りで
世論が許さなくなったということだと思っています。
TPP(環太平洋経済連携協定)についても、安倍首相は「交渉
参加」に踏み切りました。しかし、まだ国内、特に政権党である自
民党内の状況は複雑で、反対者も結構いるようです。
私は、わが国の経済が自由貿易体制の下で発展してきたことを踏
まえ、国際的な経済連携は欠かせないものであると考えています。
首相が交渉参加を表明した以上、そもそも是非を議論することに意
味はありません。私は、安倍首相が交渉参加を表明した晩に、「交
渉をして、いかに日本の国益を確保しながら、国内産業の強化、特
に農業を強化する絶好のチャンスとして、国に働き掛けていくかが
大切」と、新聞記者のインタビューに答えました。世論調査でも、
交渉参加に賛成の方が半分以上との報道もありますし、ようやく決
められない政治を脱却して、方向性が出てきたということでしょう
か・・・。
国政においても、大きな変革のうねりの中、新年度のスタートを
迎えます。
年度が切り替わるこの時期は、別れの時でもあります。長野市立
後町(ごちょう)小学校は、3月31日をもって137年の歴史に
幕を閉じます。3月20日に行われた閉校式に出席しましたが、こ
れまで数え切れないほどの児童が使用した下駄箱や、児童の皆さん
が磨き上げた廊下、重厚な造りの校舎からは、歴史の重みを感じま
した。校長室で開式を待っていると、大きな太鼓の音が鳴り響き、
その瞬間、学校全体が静まり返りました。後町小学校伝統の「静思
の時間」です。私も起立して約1分間、黙想を行いました。
閉校式は体育館で行われ、33人の在校生と保護者の皆さん、そ
して卒業生や地域の皆さんなど大勢の方々が出席されました。
1876(明治9)年、朝陽(ちょうよう)学校として開校した
後町小学校は、明治期においては、商家で子守をする児童を集めた
「子守教育」を実施し、日本で初めて障害のある児童を支援する
「晩熟生(ばんじゅくせい)学級」や「盲人教育所」などを創設し
ました。また、大正期には、働く少年のための「補修夜(や)学校」
なども付設されました。
個性を尊重する教育は、「後町教育」と呼ばれ、初等教育の担い
手として地域に貢献し、幾多の人材を輩出してきました。
社会環境の変化や少子化が進む中、中心市街地における小学校の
児童数は徐々に減少し、小学校の在り方についての検討が避けて通
れないものとなりました。
子どもたちが、多くの友達と触れ合い、心を通わせ、切磋琢磨
(せっさたくま)しながら学校生活を送ることで集団生活を学び、
社会を生き抜く、強くたくましい心を養い、健やかに育つことがで
きる教育環境を創造していくためにはどうすべきか。1994(平
成6)年3月に「第二次長野市立 小・中学校通学区域等改善委員
会」の答申を受け、1995(平成7)年から2006(平成18)
年まで12年をかけて、後町小学校を含めた中心市街地の小学校の
在り方について議論に議論を重ね、検討してきました。
この間、通学区域外の児童が希望により入学できる「通学区域特
例校制度」を採用し、特色ある学校づくりを推進しながら、望まし
い規模の学校として存続できる道を模索しました。しかし、結果と
して、後町小学校が存続するための道筋を付けることはかないませ
んでした。
閉校は、大変残念なことですが、児童の皆さんには、歴史と伝統
ある後町小学校で学んだことを大切にし、新たな学校で新しい友達
と、楽しく充実した学校生活を送ってほしいと願っています。
年度の押し迫った3月27日、広域ごみ焼却施設建設に関する協
定書の調印式を行いました。大豆島地区の皆さまには、1962
(昭和37)年に市のごみ焼却施設が移転して以来、約半世紀の長
きにわたって施設を受け入れていただいた上、さらに新たな施設を
受け入れるという大変重い決断をしていただき、この上ない感謝の
気持ちとともに、身が引き締まるほどの責任を感じています。
本来ごみ処理は、排出から最終処分まで、市民全体で負担すべき
問題です。ごみ焼却施設を受け入れていただく大豆島地区の皆さま
に対する感謝の念は、全市民が常に意識しなければならないもので
あり、そのことが、ごみの減量や資源化につながるものと感じてい
ます。今回の受け入れを契機として、新たなまちづくりを推進しよ
うとされている大豆島地区の活動を最大限支援していくことが、広
域連合および市の責務であると考えています。今後、2018(平
成30)年度中の新施設の稼働に向け、全力を尽くしてまいります。
大豆島地区では、このたび、大豆島総合市民センターが完成し、
本日、完成記念式典が行われます。これは、従来の大豆島支所と公
民館のバリアフリー化や耐震化を図り、行政サービスの向上を目的
に、建て替え計画を進めてきたものです。
市長就任以来の念願である「地域コミュニティーの再生」に向け
て都市内分権を進める中、支所や公民館は地域活動の拠点として重
要な役割を担うものであり、大いに活用いただくことを期待してい
ます。
2013年3月28日木曜日
本年度最後のメルマガです
2013年3月21日木曜日
自治体の仕組み
長野市が本年度から始めた副市長プロジェクトは、6つあります。
それは次のとおりです。
①新幹線金沢延伸・中心市街地活性化対策
②南長野運動公園サッカースタジアム整備検討
③公共交通利便性向上
④冬季オリンピック友好都市交流検討
⑤市役所第一庁舎・新市民会館建設および運営体制調整
⑥中山間地域活性化推進
これらは、①~④を私が、⑤と⑥を樋口副市長がそれぞれリーダー
を務め、部局横断的に問題解決を図ろうとするものです。
副市長プロジェクトを立ち上げてから間もなく1年を迎えます。
職員の皆さんの協力と努力のおかげで、スピード感をもって仕事を
進めることができています。そのため、プロジェクトによっては在
り方を柔軟に変えていく必要があると感じています。一定の方向性
が定まったものは、副市長プロジェクトという形を採らなくとも、
基本は組織に戻し、調整しながら事業を進めることができるものも
あろうと思います。
行政の仕事は分業制です。1つは国と都道府県、市町村の垂直分
業。もう1つは組織内、つまり市役所の中での部とか課といった水
平分業です。これは、過去何十年にもわたって日本に定着してきた
基本的な仕組みで、それが今、制度疲労を起こし、さまざまな弊害
を生じてきています。
現在の組織としての水平分業の中で、つくってはいけないものが
3つあると考えています。1つ目は無駄であるという点で「重複」。
いわゆる二重行政です。2つ目として「壁」。壁は連携を妨げます。
3つ目は「隙間」です。“It’s my job.”は意欲的で必要なこと
ですが、これが行き過ぎると「重複」ができます。逆に、
“It’s not my job.”だと「隙間」ができます。この加減が難し
いのです。隙間があれば、市民からの問い合わせに誰も答えられま
せん。それに、昨今の課題として生ずる問題は、この組織の隙間か
ら生ずるものが多いのも事実です。残念ながら、これは、国の省庁
でも、県の組織でもどこでも生じている問題です。垂直分業の、国
と県の間、県と市の間にもあります。
これらの「重複」「壁」「隙間」など、つくってはいけないもの
があることで、一番不幸になってしまうのは市民です。市民の皆さ
んから見てどうなのか、という目線で常に考えることが大切だと感
じています。冒頭に述べたプロジェクトは、こういった面での手立
てとして、長野市はもとより、他の団体においても採られている手
法でしょう。
昨年末に執行された東京都知事選挙で当選を果たされた猪瀬直樹
氏と、昨年、ある研修の講師として長野市にお越しになった際にお
会いし、その時に猪瀬氏の著書「決断する力」を頂きました。その
中で、当時副都知事であった猪瀬氏は「僕はプロジェクトリーダー
としてラインを横断してメンバーを集め、その人たちを使って問題
解決をはかっていく」「縦割りの組織に楔(くさび)を入れる。も
ともと縦割りの組織には司々(つかさつかさ)の専門性があるから、
その専門性を持ち寄って、新しいクリエイティブな空間をつくり出
す」と言っています。さぞかし、氏も東京都という組織の中で、ご
苦労されたことと思います。
ところで、昨今、新人の知事、市長などの首長さんにとっては、
基本的な政策提示よりも話しやすく、話題性もあるという理由から、
みの話はあくまでも手段の問題にすぎず、その目的とするのは、そ
ういう仕組みを通じて、その首長さんがどんな社会を築き、住民を
幸せにするか、なのではないでしょうか。
最近、○○都構想とか、道州制とか、大きく打ち出して有名に
なった首長さんが何人かいますが、さて、それに呼応して住民は幸
せになったかと問えばどうでしょうか。打ち出すことで失業率は
減ったのか、犯罪は減ったのか。首長の仕事は、住民が世間から注
目を浴びることではなく、住民を幸せにすることです。こういうふ
うに住民を幸せにしたい、社会を築きたい、だからそのために、国、
都道府県、市町村など、役所の内部組織をこういうふうに変えたい、
そういう議論の順番が必要です。仕組みという「手段」が「目的」
化してしまってはいないでしょうか。最近の教育委員会不要論も、
また、同じ道をたどってはいないでしょうか。地方分権や道州制な
どは、これも国家を治める手段なのですから、その是非や組み合わ
せを論ずる前に、あるべき国家像とそのための国と地方の役割分担
を、まず明確にすべきでしょう。
2013年3月14日木曜日
春の訪れ
今年の2月はとても寒く、今シーズンのスキーは例年より遅い時
期までできるかなと喜んでいたのですが、3月の声を聞いた途端、
とても暖かくなり、各地から花の便りが聞こえるようになりました。
こうなると、スキー場の雪がちょっと心配です。春が訪れ、各種ス
ポーツがシーズンインするのは楽しみなことですが、まだまだスキ
ーを楽しみたい。市長室の窓から差し込む暖かな春の日差しを心地
良く感じながら、でも、「春がもう少しゆっくり訪れてほしいなあ」
と、そんなわがままな思いでいます。
今シーズンの戸隠スキー場と飯綱高原スキー場は、オープン当初
から降雪に恵まれ、理想的なシーズンでした。まだシーズン途中で
はありますが、両スキー場の来場者数は、まずまずであると聞いて
います。長野市においては順調なスキーシーズンですが、今月2日
から3日にかけて暴風雪となった北海道や東北地方では、お亡くな
りになった方もいるなど、本当にお気の毒です。
3月9日・10日、私にとって恒例の野沢温泉への1泊2日のス
キー旅行を、仲間と一緒に楽しんできました。それまでは、公務の
合間を縫ってなんとかスキーに出掛けていましたが、ようやくスキ
ーに行ったが天気が悪い・・・。そんな日が多くて、なんとも残念
でしたが、9日は絶好のスキー日和。ただ、天気が良すぎて雪が重
く、かなり疲れました。その代わりと言ってもいいのかもしれませ
んが、スキー場なのに、まるで海水浴にでも来ているような水着姿
の男女を目にし、びっくりしました。宿のご主人に聞くと、少し前
には着物姿で滑る女性もいたようで、「一種の流行かなあ」とおっ
しゃっていました。まさかスキー場で、ほとんど「裸」のスキーヤ
ーに出会うとは・・・確かに暖かな日でしたが、世の中変わったも
のだと驚きました。
10日、今シーズンのJFL(日本フットボールリーグ)が開幕
しました。AC長野パルセイロは、ホームの南長野運動公園総合球
技場でJFL初参戦のSC相模原と対戦しました。私も試合に間に
合うように野沢温泉から飛んで帰ってきましたが、前日とはうって
変わって、強風が吹き荒れ、雪交じりの冷たい雨が降る最悪の天候
で、「なぜこんなに違うのだろう」と、天を恨みたい気持ちでした。
しかし、そんな悪天候の中でも、約2,400人のサポーターが応
援に駆け付けてくださいました。とにかく寒い日でしたが、あれだ
け多くのサポーターが集まってくれるとは、本当にうれしい。そし
て、感謝です。
そんな観客の思いを一番感じていたのは選手の皆さんでしょう。
強風で思い通りのプレーができず、0対0の均衡が破れずにいまし
たが、パルセイロが試合終了間際にゴールを決めて、1対0で勝利。
試合終了の1分ぐらい前に選手交代があり、その途中出場した選手
が得点するという、まさに劇的な幕切れで、スタンドは蜂の巣をつ
ついたような盛り上がり。美濃部新監督の初陣を勝利で飾ることが
できましたし、チームにも勢いが付くでしょう。パルセイロのサポ
ーターも大きな感激を味わいました。
長野市では、JFLの開幕に合わせ、多くの皆さんに開幕戦を観
戦していただこうとJR長野駅の東西自由通路に3枚の巨大な垂れ
幕を設置しました。垂れ幕には、「長野市は地域のサッカーチーム
『AC長野パルセイロ』を応援しています」「共に行こう! Jリ
ーグへ」といった言葉が踊っていました。また、南長野運動公園の
ある篠ノ井地区でも住民自治協議会と南長野青年会議所が協力して、
篠ノ井駅前通り沿いの街灯に応援バナーを取り付けたとのことです
し、市内には、店頭にパルセイロのユニホームを飾っている商店な
どが増えてきているとのことで、J2昇格に向けて応援の機運は確
実に高まってきています。地域を挙げた応援は、市民の一体感を醸
成し、まちに元気と活気を与えています。
パルセイロの運営会社「(株)長野パルセイロ・アスレチックク
ラブ」は3月5日に株主総会と取締役会を開き、これまでパルセイ
ロのスーパーバイザーであった丹羽(にわ)洋介さんを新社長に選
任しました。丹羽さんは、サッカーの日本代表選手として活躍され、
民間会社での勤務を経て、2005(平成17)年から長野県サッ
カー協会の会長を4期8年務められました。昨年7月からは、パル
セイロのスーパーバイザーを務めておられましたが、いよいよJ2
へ昇格するための体制を整えるために、Jリーグにも精通している
丹羽さんを社長に迎えたそうです。トップチームを2年連続してJ
FL準優勝に導いた小池睦雄前社長には、引き続き取締役(後援会
についても担当されるとのことです)としてご活躍いただくそうで、
万全の体制が整ったと感じています。
新監督の美濃部直彦さんは、J2徳島ヴォルティスの前監督で、
一昨年のシーズンにはJ2で4位の成績を残されるなど、実績と経
験を兼ね備えた方です。新加入の選手も8人いて、みんなの期待が
大きく膨らんでいます。足立勇輔スポーツディレクターの存在も大
きいようです。
今年はパルセイロ・レディースにも注目です。本田美登里新監督
は、女性で初めてS級ライセンスを取得された方です。サッカー王
国静岡県のご出身で、日本代表選手でもいらっしゃったとのことで
す。なでしこリーグ昇格を目指して頑張っていただけそうです。
また、ジュニアユースチームの監督には、昨年まで10年間、J
2モンテディオ山形の育成部門で指導者を務められた渡辺卓(たく)
さんを迎えています。
8月からは南長野運動公園総合球技場の解体工事が始まります。
工事期間中のホームゲームは、佐久市の佐久総合運動公園陸上競技
場で開催される予定です。また、来シーズンからは、今年の秋に改
修を予定している長野運動公園陸上競技場でも開催できるよう調整
しています。佐久市での開催は、東信地方のサポーターを獲得する
大きなチャンスです。長野運動公園陸上競技場の改修についても、
将来練習グラウンドが不慮の事態で使用できないような場合に、臨
時的に代替施設として使える大変なメリットがあります。
南長野運動公園のある篠ノ井地区の茶臼山自然植物園に、この春、
素晴らしいお花畑ができるようです。現在園内では、NHKの「趣
味の園芸」などのテレビ番組で活躍する矢澤秀成(ひでなる)さん
がいらっしゃる「ながの緑育協会」の主催で植えられたニゲル種の
クリスマスローズ200株が開花中で、待ちに待った花いっぱいの
春のスタートです。クリスマスローズに続いて、家族広場では、原
種のクロッカスとチューリップが5月中旬まで楽しめます。この時
期からは、まさに百花繚乱(りょうらん)。約300メートルのフ
ジ棚、15万本のツツジ、オオデマリのトンネル、アジサイなど、
多くの花々が開花を迎えます。また、今月20日には市民の皆さん
により、ユリ1万4千球余りが植えられる予定で、新たな初夏の魅
力が増えることになります。ぜひお出掛けいただき、茶臼山自然植
物園で春を感じてみてはいかがでしょうか。
さらに篠ノ井中央公園では、昨年11月にパルセイロの土橋宏由
樹(どばし ひろゆき)アンバサダーにも参加いただいて植えた、
オレンジ色のチューリップ1万球が開花します。パルセイロカラー
に染まる篠ノ井中央公園にも足を運んでいただきたいと思います。
スポーツの話題といいますか、皆さんの健康増進に関係した、う
れしいニュースがあります。
水中運動などができる温泉プール付き日帰り温泉入浴施設として
人気の「温湯(ぬるゆ)温泉 湯~ぱれあ」の入場者が、100万
人を突破しました。湯~ぱれあは、県内で初めてPFI(*)方式
を導入して、2006(平成18)年4月に開業しましたが、開業
7年目にしてこの数字は素晴らしい実績です。市民の皆さんに愛さ
れ、予想を上回る早さで達成できたこと、そして、PFI方式によ
る「民間活力の導入」が順調に経過していることも、うれしい限り
です。建設当時、PFI方式は「民間の資金、経営・技術的能力を
活用して、公共施設などの設計、建設、運営などを行う新たな手法」
として注目を集めていましたが、まだあまり導入例はありませんで
した。そうした中、PFI方式の採用に踏み切ったわけで、当時の
産みの苦しみが今では懐かしく思われます。
*PFI:プライベート・ファイナンス・イニシアチブ
(Private Finance Initiative)
2013年3月7日木曜日
やらなくてはならないこと
新年度の市政運営の根幹に係る予算や条例などの重要案件につい
て審議いただく3月市議会定例会が、先月27日に開会しました。
開会日に私から施政方針を申し上げ、予算をはじめ主な施策などに
ついて説明させていただきました。今回のかじとり通信では、施政
方針の内容を盛り込みながら、これまでもお伝えしてきた長野市の
大規模プロジェクト事業(10事業)についてお話しします。
現在、長野市では1つの事業予算がおおむね30億円以上のもの
を大規模プロジェクト事業と位置付け、長野市の魅力に磨きをかけ、
都市の存在感をさらに大きくする、将来の長野市の発展に必要不可
欠な事業として取り組んでいます。市長就任以来、「入りを量りて
出ずるを為す」の基本理念の下、オリンピック施設建設のために膨
らんだ借金の返済に極力努め、オリンピック後の次のステップアッ
プに向けてずっと力をためてきました。各事業で建設する施設など
には、今の時代が求めている新たなものもあれば、老朽化によりこ
れまでの役目を終えて、新たに生まれ変わるものもあります。長野
市のこれまでの歴史を振り返り、そしてこれからの将来を考えてみ
たとき、今この時期に大規模プロジェクト事業を推進することは
「宿命」ではないかと感じています。そして、これらは、私の任期
のうちに「やりたいこと」というよりは「やらなくてはならないこ
と」、さらに申し上げれば「やらざるを得ないこと」なのです。多
くの事業がここ2、3年のうちに竣工(しゅんこう)を迎えますし、
こうした公共事業の適切かつ計画的な実施により、雇用を確保し、
地域経済を活性化させることが、今行政に求められていることだと
思っています。このことは、各種団体の会合などでも機会があるご
とにお話しさせていただいています。
大規模プロジェクト事業は以下のとおりです(総事業費は、約
1,800億円で、事業費ベースでは、おおむね半分が実施済み
となっています)。
〈1〉 新市役所第一庁舎建設事業
〈2〉 新長野市民会館建設事業
3 斎場新設事業(大峰斎場・松代斎場)
4 ごみ処理施設広域負担金
5 ごみ焼却施設周辺整備事業
〈6〉 長野駅善光寺口駅前広場整備事業
7 長野駅周辺第二土地区画整理事業
8 小・中学校耐震化事業
〈9〉 南長野運動公園総合球技場整備事業
10 第四学校給食センター建設事業
そして、これらの事業のうち、〈 〉(山かっこ)を付けた4つ
の事業、また、上記以外にも、中央通り歩行者優先道路化事業が、
新幹線が金沢まで延伸し、善光寺の御開帳も開催される2015
(平成27)年の3月の竣工を目指しています。長野市にとって、
長野冬季オリンピック以来のエポックイヤー(新しく画期的な年)
になるわけです。エポックイヤーに向けて準備が進む5つの事業の
現況についてお知らせします。
まずは、1および2の新市役所第一庁舎および新長野市民会館の
建設事業についてです。
現在、工事発注に向けた図面作成や積算を進めており、今月末に
は建設(ハード)に係る実施設計が完了する予定です。旧市民会館
の解体に続き、市役所玄関棟の解体も完了したため、建設地は現在
さら地になっており(ご覧になった方も多くいらっしゃると思いま
す)、工事着工を今か今かと待ちわびているようです。工事発注に
ついては、市内への経済効果に配慮し、工区分割やJV(共同企業
体)構成など、市内企業の参画機会を極力確保する方針をすでに決
定しています。そして、4月から土留め壁工事、7月から本体工事
の着手を予定しています。なお、事業費については、当初の134
億円を見直し、現在17億円増額の151億円を見込んでいます。
これは事業決定時においては、建物の概要が決まっていなかったた
め、他市の類似施設の建設費(決算ベース)を参考に134億円を
見込んでいたのですが、今回、実施設計の途中ではありますが、積
算して見直しを行った結果、151億円に修正したものです。当初
お示しした建設費が増額となったことについては、本議会でも指摘
をいただきました。当初の事業費の説明が必ずしも十分ではなく、
正確な情報提供という点で配慮が欠けていましたことに、あらため
ておわびいたします。
なお、国の補助金が増額の見通しとなったため、市の負担額は当
初の予定額と同程度となり、今後の入札などの結果によってはそれ
を下回る見込みではありますが、事業内容などにつきまして一層ご
理解を頂けるよう、市民の皆さんへの説明に努めてまいります。
運営など(ソフト)については、本年度、副市長プロジェクトに
より詳細な検討を加えながら、運営管理実施計画の策定を進めてき
ました。新年度は、指定管理者として会館の運営管理を担当する
「(仮称)長野市文化芸術振興財団」を設立するなど、長野市の文
化芸術振興拠点施設としての役割をしっかりと果たせるよう準備を
進めていきます。
次に、6の長野駅善光寺口駅前広場整備事業についてです。昨年
9月から実施している準備工事により、広場にあった岩山やバスシ
ェルターが撤去され、長野市の玄関口のシンボルであった如是姫
(にょぜひめ)像の善光寺への一時移転も終了し、駅前は広々とし
た感があります。先日、JRも新たな駅ビル整備の実施について発
表されましたが、今後、歩行者用デッキや地下通路などの工事が、
いよいよ本格化します。
また、長野駅から善光寺までの中央通り歩行者優先道路化事業も
順調に進んでいます。車道を狭めて歩道を広げ、車道は石畳、歩道
にはベンチなどを設置しており、「歩いて楽しいまちづくり」が目
に見えてきました。
なお、9の南長野運動公園総合球技場整備事業については、2月
21日のかじとり通信でもお知らせしたとおり、プロポーザルの結
果、工期が8カ月短縮され、完成予定が平成27年2月末となった
ことから、AC長野パルセイロの成績などによっては、当初の想定
より1シーズン早くJ2に昇格できることとなりました。長野県サ
ッカー協会やAC長野パルセイロ関係者、そしてサポーターの皆さ
んなどから、歓喜の声が数多く寄せられています。なんでも、一番
喜んでいるのは選手の皆さんだと伺いました。3日後に迫ったJF
L(日本フットボールリーグ)の開幕が楽しみですね。
先月26日、2014(平成26)年シーズンから、Jリーグの
新たなリーグ「J3」が創設されるという報道がありました。AC
長野パルセイロはこのJ3に参加することになると思いますが、ス
タジアムに関して言えば、南長野運動公園総合球技場は「J1基準」
を満たすスタジアムとして整備するので、J3ができたとしても何
ら問題はありません。J3の全容はまだ分かりませんが、将来のJ
リーグ全体の存在価値を高めるため、必要な改革に取り組んでいる
のだと思います。
こうした大規模プロジェクト事業が本格化するため、平成26年
度までの間、建設投資が集中することになります。新年度予算(案)
の一般会計は、大規模プロジェクト事業を含む普通建設事業費に前
年度対比27億4千万円増の296億1千万円を計上し、総額
1,556億円となりました。切れ目のない経済対策を実行するた
め、国の緊急経済対策分の3月補正予算と一体の「15カ月予算」
とし、緊急経済対策の前倒し分67億8千万円を含めると、前年度
対比105億2千万円の大幅増の総額1,623億8千万円となり
ます。
なお、財源となる歳入については、基幹収入である市税や地方交
付税の落ち込みが見込まれる中、建設市債を前年度対比23億5千
万円増の123億4千万円、また交付税の振替財源となる臨時財政
対策債を前年度と同額の70億円とするなど、交付税措置のある有
利な市債の借り入れに努め、財政調整基金などからの取り崩し額を
前年度対比6億円減の28億円に抑えることができました。
引き続き財政規律を堅持し、効率的かつ健全な財政運営を図り、
さらなる市民サービスの充実・拡大に努め、地域の特色を生かした
魅力と個性があふれるまちづくりにまい進していきます。
市長3期目の任期も残すところ約8カ月となりました。副市長2
人体制によって強化されたトップマネジメントの効果を最大限に発
揮しながら、この地で結ばれる全ての人とともに将来の夢を語り合
える希望あふれるまち「ながの」を築き上げるため、引き続き全力
を尽くしていく所存です。