新年度の市政運営の根幹に係る予算や条例などの重要案件につい
て審議いただく3月市議会定例会が、先月27日に開会しました。
開会日に私から施政方針を申し上げ、予算をはじめ主な施策などに
ついて説明させていただきました。今回のかじとり通信では、施政
方針の内容を盛り込みながら、これまでもお伝えしてきた長野市の
大規模プロジェクト事業(10事業)についてお話しします。
現在、長野市では1つの事業予算がおおむね30億円以上のもの
を大規模プロジェクト事業と位置付け、長野市の魅力に磨きをかけ、
都市の存在感をさらに大きくする、将来の長野市の発展に必要不可
欠な事業として取り組んでいます。市長就任以来、「入りを量りて
出ずるを為す」の基本理念の下、オリンピック施設建設のために膨
らんだ借金の返済に極力努め、オリンピック後の次のステップアッ
プに向けてずっと力をためてきました。各事業で建設する施設など
には、今の時代が求めている新たなものもあれば、老朽化によりこ
れまでの役目を終えて、新たに生まれ変わるものもあります。長野
市のこれまでの歴史を振り返り、そしてこれからの将来を考えてみ
たとき、今この時期に大規模プロジェクト事業を推進することは
「宿命」ではないかと感じています。そして、これらは、私の任期
のうちに「やりたいこと」というよりは「やらなくてはならないこ
と」、さらに申し上げれば「やらざるを得ないこと」なのです。多
くの事業がここ2、3年のうちに竣工(しゅんこう)を迎えますし、
こうした公共事業の適切かつ計画的な実施により、雇用を確保し、
地域経済を活性化させることが、今行政に求められていることだと
思っています。このことは、各種団体の会合などでも機会があるご
とにお話しさせていただいています。
大規模プロジェクト事業は以下のとおりです(総事業費は、約
1,800億円で、事業費ベースでは、おおむね半分が実施済み
となっています)。
〈1〉 新市役所第一庁舎建設事業
〈2〉 新長野市民会館建設事業
3 斎場新設事業(大峰斎場・松代斎場)
4 ごみ処理施設広域負担金
5 ごみ焼却施設周辺整備事業
〈6〉 長野駅善光寺口駅前広場整備事業
7 長野駅周辺第二土地区画整理事業
8 小・中学校耐震化事業
〈9〉 南長野運動公園総合球技場整備事業
10 第四学校給食センター建設事業
そして、これらの事業のうち、〈 〉(山かっこ)を付けた4つ
の事業、また、上記以外にも、中央通り歩行者優先道路化事業が、
新幹線が金沢まで延伸し、善光寺の御開帳も開催される2015
(平成27)年の3月の竣工を目指しています。長野市にとって、
長野冬季オリンピック以来のエポックイヤー(新しく画期的な年)
になるわけです。エポックイヤーに向けて準備が進む5つの事業の
現況についてお知らせします。
まずは、1および2の新市役所第一庁舎および新長野市民会館の
建設事業についてです。
現在、工事発注に向けた図面作成や積算を進めており、今月末に
は建設(ハード)に係る実施設計が完了する予定です。旧市民会館
の解体に続き、市役所玄関棟の解体も完了したため、建設地は現在
さら地になっており(ご覧になった方も多くいらっしゃると思いま
す)、工事着工を今か今かと待ちわびているようです。工事発注に
ついては、市内への経済効果に配慮し、工区分割やJV(共同企業
体)構成など、市内企業の参画機会を極力確保する方針をすでに決
定しています。そして、4月から土留め壁工事、7月から本体工事
の着手を予定しています。なお、事業費については、当初の134
億円を見直し、現在17億円増額の151億円を見込んでいます。
これは事業決定時においては、建物の概要が決まっていなかったた
め、他市の類似施設の建設費(決算ベース)を参考に134億円を
見込んでいたのですが、今回、実施設計の途中ではありますが、積
算して見直しを行った結果、151億円に修正したものです。当初
お示しした建設費が増額となったことについては、本議会でも指摘
をいただきました。当初の事業費の説明が必ずしも十分ではなく、
正確な情報提供という点で配慮が欠けていましたことに、あらため
ておわびいたします。
なお、国の補助金が増額の見通しとなったため、市の負担額は当
初の予定額と同程度となり、今後の入札などの結果によってはそれ
を下回る見込みではありますが、事業内容などにつきまして一層ご
理解を頂けるよう、市民の皆さんへの説明に努めてまいります。
運営など(ソフト)については、本年度、副市長プロジェクトに
より詳細な検討を加えながら、運営管理実施計画の策定を進めてき
ました。新年度は、指定管理者として会館の運営管理を担当する
「(仮称)長野市文化芸術振興財団」を設立するなど、長野市の文
化芸術振興拠点施設としての役割をしっかりと果たせるよう準備を
進めていきます。
次に、6の長野駅善光寺口駅前広場整備事業についてです。昨年
9月から実施している準備工事により、広場にあった岩山やバスシ
ェルターが撤去され、長野市の玄関口のシンボルであった如是姫
(にょぜひめ)像の善光寺への一時移転も終了し、駅前は広々とし
た感があります。先日、JRも新たな駅ビル整備の実施について発
表されましたが、今後、歩行者用デッキや地下通路などの工事が、
いよいよ本格化します。
また、長野駅から善光寺までの中央通り歩行者優先道路化事業も
順調に進んでいます。車道を狭めて歩道を広げ、車道は石畳、歩道
にはベンチなどを設置しており、「歩いて楽しいまちづくり」が目
に見えてきました。
なお、9の南長野運動公園総合球技場整備事業については、2月
21日のかじとり通信でもお知らせしたとおり、プロポーザルの結
果、工期が8カ月短縮され、完成予定が平成27年2月末となった
ことから、AC長野パルセイロの成績などによっては、当初の想定
より1シーズン早くJ2に昇格できることとなりました。長野県サ
ッカー協会やAC長野パルセイロ関係者、そしてサポーターの皆さ
んなどから、歓喜の声が数多く寄せられています。なんでも、一番
喜んでいるのは選手の皆さんだと伺いました。3日後に迫ったJF
L(日本フットボールリーグ)の開幕が楽しみですね。
先月26日、2014(平成26)年シーズンから、Jリーグの
新たなリーグ「J3」が創設されるという報道がありました。AC
長野パルセイロはこのJ3に参加することになると思いますが、ス
タジアムに関して言えば、南長野運動公園総合球技場は「J1基準」
を満たすスタジアムとして整備するので、J3ができたとしても何
ら問題はありません。J3の全容はまだ分かりませんが、将来のJ
リーグ全体の存在価値を高めるため、必要な改革に取り組んでいる
のだと思います。
こうした大規模プロジェクト事業が本格化するため、平成26年
度までの間、建設投資が集中することになります。新年度予算(案)
の一般会計は、大規模プロジェクト事業を含む普通建設事業費に前
年度対比27億4千万円増の296億1千万円を計上し、総額
1,556億円となりました。切れ目のない経済対策を実行するた
め、国の緊急経済対策分の3月補正予算と一体の「15カ月予算」
とし、緊急経済対策の前倒し分67億8千万円を含めると、前年度
対比105億2千万円の大幅増の総額1,623億8千万円となり
ます。
なお、財源となる歳入については、基幹収入である市税や地方交
付税の落ち込みが見込まれる中、建設市債を前年度対比23億5千
万円増の123億4千万円、また交付税の振替財源となる臨時財政
対策債を前年度と同額の70億円とするなど、交付税措置のある有
利な市債の借り入れに努め、財政調整基金などからの取り崩し額を
前年度対比6億円減の28億円に抑えることができました。
引き続き財政規律を堅持し、効率的かつ健全な財政運営を図り、
さらなる市民サービスの充実・拡大に努め、地域の特色を生かした
魅力と個性があふれるまちづくりにまい進していきます。
市長3期目の任期も残すところ約8カ月となりました。副市長2
人体制によって強化されたトップマネジメントの効果を最大限に発
揮しながら、この地で結ばれる全ての人とともに将来の夢を語り合
える希望あふれるまち「ながの」を築き上げるため、引き続き全力
を尽くしていく所存です。