10月27日、5人の立候補者が競った長野市長選挙が終了しま
した。
結果は、加藤久雄さんが当選。次の市長が決まって、ようやく肩
の荷が下りました。
持論として「地方自治体の運営には、できるだけ幅広い層からの
支持が必要」と申し上げてきたとおり、加藤さんは70歳という年
齢を感じさせることなく、市民団体や政党も含め、幅広く支持を集
められました。いずれにしろ、ご本人も経済、雇用が大切というこ
とをおっしゃられていますし、長野商工会議所の会頭、企業経営者
などの顔をお持ちであった加藤さんに有権者の支持が集まったのも、
当然のことと感じています。
前回の市長選では、「チェンジ」が大きなキーワードで、今回は
「安定」がキーワードだったのではないでしょうか。
心配していた投票率は、全体で42%(男性43.16%、女性
40.94%)。今回もあまり好成績とはいえず、民主主義におけ
る選挙とは何か・・・考えさせられるテーマであることは変わりま
せんでした。私のときもそうでしたが、当選しても複雑な気持ちで
はないでしょうか。「投票率は最低50%が民主主義の原点である」
と私は常々考えています。
以前かじとり通信にも書きましたが、私が長野市長に就任して初
めて姉妹都市のアメリカ・フロリダ州クリアウォーター市を訪問し
たとき、「長野市長選の投票率が40%台ではお恥ずかしい」と話
しましたら、返ってきた言葉は「40%は上出来だ。クリアウォー
ター市では30%にも満たない」とのことでした。民主主義の先進
国アメリカでも、こんな状況なのかということを実感させられた話
でした。
それぞれの獲得票数は、加藤さんが5万6千票余り、次点の方が
3万5千票弱、その他の3人の得票は合計3万7千票余りという結
果でした。
獲得票数が有効票の10%に達しない下位のお二人については、
供託金が没収になるようです。私の1回目の選挙では5人の立候補
者のうち、3人が供託金没収でしたので、供託金没収の割合は、少
し下がったということでしょう。
1人の欠員が生じていた長野市議会議員の補欠選挙も併せて行わ
れ、5人の方が立候補し、41歳の北澤哲也さんが当選されました。
立候補者全員が2万票台ということで、大変な激戦でした。約2年
の任期ですが、健闘を期待しています。
地方自治体の首長選挙は、なるべく多くの方に支持していただく
必要から、政党色はあまり出さない場合が多く、今回も全員「無所
属」ということでした。無所属候補とはいえ、実質は政党が応援し
ている方もいらっしゃいました。しかし、ポスターや選挙公報を見
ても、どの政党が応援しているのか分からないことも事実です。
私自身の去就について、「もっと早く表明すべきであったはず」
「あの時期では立候補準備ができない」「けしからん」とおっしゃ
る方もいらっしゃいました。しかし、私は昨年から首長の任期は
「3期が限度」と申し上げてきました。さらに、以前あったように、
政治的に同じような考え方の者同士で選挙戦をすることは、長野市
を二分にするような事態になり、結果として市民の間にしこりが残
ることにもなる。できれば候補者を一人に絞れないかと考えたこと
は事実ですし、辞めると言った瞬間から任期中にもかかわらずレー
ムダック(※)になるのも嫌だ、などなど皆さんから見れば勝手な
言い分と思われたかもしれません。申し訳なかったとは思いますが、
私も悩みに悩んだ末の結果でした。
当選された加藤さんと私は、学生時代、長野青年会議所時代、そ
して長野商工会議所時代、さらには商売の面でも経歴が似通ってい
ることは事実です。それだけに、二人で話し合ったのではないかと
いううわさが一番困りました。
市長選について二人で話したのは、天地神明に誓って、私が公式
に不出馬宣言をしてから一度だけ、それも加藤さんがごあいさつに
みえられたときだけです。そのときも私は加藤さんに、応援すると
は申し上げておりません。実質的には「頑張ってください」の一言
だけだったと思います。辞めるという宣言をさせていただいたとき
以来、私は市長としてどなたも応援はしないということを、記者会
見などで言わせていただいていますし、そのことは最後まで押し通
させていただきました。
かなり早い時期から出馬のうわさがあり、実質的な選挙運動をや
っておられた方もいらっしゃったと思いますので、私の進退表明が
遅すぎたという批判は当たらないと思っています。短期決戦の方が、
お金も掛からないし、話題性もあり一番良いのではという思いもあ
りました。
当選された加藤さんは、明るく、元気なキャラクターの持ち主で、
私には無いものをたくさん持っておられますし、経営的な手腕も安
定している方だと思います。比較して私はシャイだなあといつも感
じており、市長にはあの元気さが必要だなと思います。
今後の政策面については、今年8月の1カ月間に、5回(号外も
含めると6回です)にわたるかじとり通信できちんと書かせていた
だきました。家族には、あんなことを書けばもう一度やると言って
いるようなものだと批判されましたが、そんな気は毛頭ありません
でした。私は次の市長さんのご参考になれば・・・と考えただけで
あり、中身も私の好みというより、長野市がやらなくてはならない
ことを列挙したつもりです。
どんな時代でも「人心の一新」は必要なのだと思います。加藤さ
んには、29日の火曜日に長野市選挙管理委員会から当選証書が付
与されました。しがらみに縛られることなく、ぜひ元気な長野市を
つくるために頑張っていただきたい。期待しています。
もうすぐ冬がやってきます。私の大好きなスキーシーズンです、
そして私が所属する乗馬倶楽部の皆さんも、私がちゃんと馬に乗れ
るようになることを期待してくれているようです。スポーツクラブ
に通って身体を鍛え、大いに楽しみたいと思っています。
市長を辞めても仲間が遊んでくれるだろうことを祈って、選挙報
告を終わります。
※レームダック:残った任期を消化しているだけの者などを揶揄
(やゆ)する言葉