2013年10月3日木曜日

乗馬の魅力


 飯綱・戸隠高原は、冬はスキーに、夏はハイキングやキャンプに
と、近くて気軽に行ける高原として、特に市民の皆さんに人気です。
そしてそこに、本州随一といわれるミズバショウの群生地として有
名な奥裾花自然園があり、鬼女紅葉などの「伝説の里」としても知
られる鬼無里地区を加え、各地区がお互いの持つ魅力を高め、連携
し合い、観光振興と中山間地域の活性化を目指す「いいときエリア
構想」(3地区のそれぞれの頭文字を取ったもので、名付け親は私
です)を進めてきました。そこに、新たな魅力として「乗馬」を加
えようということは、以前から考えてきたことです。

 その「乗馬」が、今回素晴らしいチャンスに恵まれ、大きな一歩
を踏み出しました。先月21~23日、飯綱・戸隠高原一帯で「第
14回全日本エンデュランス馬術大会2013」を開催することが
できたのです。この大会は、2000(平成12)年から始まり、
これまで2008(平成20)年に山梨県で開催された以外はすべ
て北海道で開催されていましたが、ぜひ長野市でも開催し、両高原
の素晴らしさを広くアピールしたいという皆さんの熱意がようやく
実り、「招致」が実現したわけで、画期的なことです。
 大会では、制限時間12時間の120キロメートルと8時間の
80キロメートルの2種目が行われ、県内からの2組を含む23組
が出場しました。

 エンデュランス競技は、「馬のマラソン」とも言われますが、人
間のマラソン大会のように単に早くゴールした者が勝ちというもの
ではありません。人馬ともに元気に走り抜くことが必要で、良いコ
ンディションで完走することに重きが置かれています。
 コースは、レグ(またはフェイズ)という複数の区間に分けられ、
各レグを走り終えた後には獣医師による検査があります。馬のけが
や心拍数、脱水状況などを検査し、問題がなければ決められた休養
後、次のレグに進みます。検査の結果、馬のコンディションが悪い
と判断されれば失格となります。そして、制限時間内にゴールした
組のうち、コンディションが良好と判断された組が残り、タイム順
に順位が決定します。

 この競技のもう一つの特徴は、実際にコースを走る選手と馬以外
に、馬の体調管理を行うクルーと呼ばれるサポートスタッフの存在
がとても重要だということです。各レグ後の休養時間の時はもちろ
んのこと、クルーポイントでは、先回りをして選手と馬を迎え、馬
に水を飲ませたりして、馬の体調管理に努めます。
 選手と馬、そしてサポートスタッフが一丸となって、優勝を目指
すのです。

 今回の優勝者は、120キロメートルは東京の谷邦彦さんで、2
位を約1時間離して断トツの強さだったそうです。80キロメート
ルは山梨の榊原あかねさんでした。
 なお、6月に開催されたプレ大会の60キロメートル競技で優勝
した飯綱高原乗馬倶楽部の宮澤建治さんは、長野市の顧問弁護士を
お務めいただいている私の仲間ですが、今回は残念ながら欠場との
ことでした。理由を聞いてみたら、なんと大会前に「馬が筋肉痛」
になってしまったとか。馬の筋肉痛・・・?ちょっと意外でしたが、
馬のコンディションをいかに良好に保つかが重要ということなので
しょう。結局馬を代えて、全日本選手権大会ではなく、同時開催の
「秋季いいとき乗馬エンデュランス馬術大会2013」の20キロ
メートル競技(40キロメートル競技も同時に開催されました)に
出場され、完走されたということでした。
 全日本選手権に比べれば、いいとき乗馬大会は短い距離です。競
技の経験がなくても、ある程度練習すれば参加できるのではないで
しょうか。皆さんもチャレンジしてみませんか。

 全日本クラスの馬術大会は、県内でも初めての開催でした。まだ
まだ長野市においては馬術競技の歴史が浅いので、全日本選手権と
いうのは無理かなあと思っていたのですが、飯綱地区の皆さんの献
身的な努力で見事な成功を収めることができました。

 皆さんからは、次回はぜひ私にも出場するようにと勧められまし
たが・・・。ようやく馬に乗れる時間もできそうなので、なんとな
く挑戦したい気も湧いてきたような、こないような・・・。大好き
なスキーを、思う存分楽しむための夏場のトレーニングも兼ねて
「ちょっとやってみようかな」と思い始めていますが・・・まあ、
無理でしょう。
 参加された選手の皆さんの声をお聞きすると、エンデュランス競
技は、だいたいが人のいない山の中のコースを走るので寂しいもの
だそうですが、今回のコースでは、観光客などたくさんの人が応援
してくれて、とても良いコースだったとおっしゃっていました。う
れしい評価でした。

 馬の話を続けます。例年10月に開催される松代藩真田十万石ま
つりでの武者行列では、立派な鎧(よろい)の武者姿で騎乗させて
いただき、多くの思い出ができました。しかし、松代城の正門が復
元された2004(平成16)年の武者行列の前日夕方、信更地区
安庭で国道19号が台風などによる大雨で崩落して、飲食店舗とそ
の店主宅、そして野外彫刻「長野市の門」の一つ「ARC(アーク)
 OF NAGANO」が流された時には行列に参加できませんで
した。この時ばかりは馬に乗っているわけにはいかないと、行列の
出発前にあいさつだけさせていただき、現場に駆け付けたことを覚
えています(確かもう一度だけ、別の公務と重なり参加できなかっ
た年がありました)。
 なお、被害に遭った野外彫刻は長野国道事務所のおかげで再建さ
れ、飲食店も国道19号長野南バイパス沿いに移転新築されました。

 初めて馬上から見る松代のまちの景色に感動したこと。2007
(平成19)年の行列は、NHK大河ドラマ「風林火山」の放映の
影響で約10万人という大変な人出であったこと。アメリカ・クリ
アウォーター市との姉妹都市提携50周年の2009(平成21)
年、行列に特別参加されたフランク・ヒバード前市長さんをはじめ
とした訪問団の皆さんが、市民の皆さんと何度もハイタッチを交し
ていた時の最高の笑顔。そして「カチューシャの唄知音都市」の仲
間である中野市、島根県浜田市、新潟県糸魚川市の皆さんとの交流
など、とても思い出深いものでした。思い起こせば、例年天気にも
恵まれ、秋晴れの穏やかな青空の下で大勢の皆さんに声を掛けられ、
手を振っていただきながら、情緒深い松代の城下町で過ごす秋の一
日はとても楽しかった。武者行列には、故青木一(はじめ)中野市
長さんも参加していただいたこともありましたが・・・先ほどのヒ
バード市長さん同様、お二人とも立派な体格の方で、馬がかわいそ
うに見えたことも懐かしい思い出です。

 今年の真田十万石行列は、来週13日に開催されます。私は、歴
女に一番人気だといわれる真田幸村役に扮(ふん)して、市職員が
扮する真田十勇士を従えての行列とのことです。合戦太鼓や槍(や
り)振り隊のパフォーマンスはいつものこと、勇壮な雰囲気を出し
てもらえると思います。
 ただ私としては、信州松代のお殿様は真田信之公だというこだわ
りがありますので、できれば信之役がよかったなあと、ちょっとわ
がままを言いたかったのですが・・・。当の信之役は、本家本元の
真田家14代当主真田幸俊さんが務められると聞いて、納得した次
第です。

 「天高く、馬肥ゆる秋」。今回のかじとり通信は、これからの長
野市の新たな魅力の一つになるであろう「馬」をテーマに書かせて
いただきました。