2003年7月31日木曜日

周辺町村との合併についての市民会議


 長野市は現在、豊野町及び大岡村・戸隠村・鬼無里村と任意合併
協議会を開催していることはご存じと思います。それと並行して、
5月末から7月にかけて、合併に関する市民の皆さんの意見をお聴
きするために、「市町村合併に関する市民会議」を市内11か所で
開催し、1か所平均100人前後の皆さんにご出席をいただきまし
た。

 会議では、最初に私からプロジェクターを使い市町村合併の概要
について説明をさせていただき、その後、出席者からの質問にお答
えし、約一時間半で終了させていただく形式で行いました。なお、
終了後、出席された皆さんにアンケートにお答えいただくことをお
願いしました。

 ご説明した内容は

1.近隣の町村と長野市は、通勤・通学・買物・通院・消防・救急
  等で、すでに広域圏を形成し、長野市と事実上一体となってい
  ます。さらに、周辺市町村から長野市へ多くの方が転入して来
  られたことによって、今の中核市としての機能を有する長野市
  が形成されてきています。その意味では地域のリーダー都市と
  して周辺住民の総合的な福祉を考えていくことが大切ではない
  でしょうか。

2.人口は現在の約36万人から約2万人しか増えないけれど、市
  域は現在の404平方キロから738平方キロに増えます。効
  率面からいえば厳しいかもしれないが、その中には素晴らしい
  自然と文化、そして歴史があり、“ながの”を上回るブランド
  力と考えられるものもあります。こういう地域が合併すること
  によって、長野の魅力が一段と高まるのではないでしょうか。
  都市部と山間部の共生を考えたいと思います。

3.財政の問題は、総体的に考えた場合、合併をしてもしなくても、
  現在の長野市にとっては大きな違いはありません。もちろん借
  金は多少増えますが、収入もあるわけで、長野市の財政力から
  いえばたいしたことはないと断言できます。国の三位一体の改
  革の中で、税源移譲をするということは、地方分権の本旨に照
  らして望ましい方向ではありますが、何の税源を移譲するのか
  がはっきりしません。今後の流れを見守る必要があるけれど、
  国の財政状況からいえば、厳しい話しが出てくることは間違い
  ありません。その時、小さな町村は多分問題になるでしょう。
  地方分権の受け皿たるべき市町村の行財政能力を上げておくこ
  とが、一番大切であり、合併はその手段である。地域みんなで
  力を合わせましょう、ということでしょうか。

4.新市の名前は「長野市」、事務所の位置も長野市役所の場所、
  合併の形式も昭和41年の大合併とは違い「編入合併」(対等
  に合併する場合は新設合併と言います)ということが、任意合
  併協議会の場で了承されています。

5.市民に対するサービス及び市民の負担については、約2,500
  項目の事務事業について、現在、調整を行っています。基本的な
  方針は、「一体性の確保・サービス水準の維持・財政の健全性の
  維持」ということで、原則として長野市の水準が高い場合には、
  長野市の制度に統一する。町村の水準が高い場合には、財政負担
  等を勘案して、調整するという方針です。全般的には長野市の水
  準が高いのですが、部分的には町村の方が住民に手厚くしている
  部分があり、それを全て長野市に適用すると、大変な負担になる
  ものもあるようです。

6.新市の建設計画は、任意合併協議会の下に、公募委員も含めて
  設置された建設計画策定委員会で現在策定中ですが、法定合併
  協議会に移行するまでには計画案を定める、ということで議論
  をお願いしています。要は、合併特例債を使ってどんな事業を
  やるか、国や県の補助金が厳しくなる中で、住民の皆さんがど
  んなまちづくりを望んでいるのか、慎重に考えています。公共
  事業はいらないと言う方もいらっしゃいますが、地域の皆さん
  の要望は結構多いようです。私は、もう箱物はほとんどいらな
  いと思いますが、道路は一体性確保の意味でも必要と思ってい
  ます。いずれにしろ、合併特例債があるから全て使うというの
  ではなくて、必要な公共事業は実施していくという考え方で進
  めたいと思います。

 以上のようなことを、皆さんにご理解いただけるように、プロジ
ェクターを使って説明をさせていただきました。

 来週は、この「合併に関する市民会議」を通じて寄せられたご意
見やアンケートの回答の内容などについてお伝えしたいと思います。

2003年7月24日木曜日

住基ネット離脱問題について(その2)


 先週は、住基ネット(注1)離脱問題における経緯と私の意見を
述べさせていただきました。

 今週は、住基ネットに関連して大きな影響力をもつ、委員会や審
議会のあり方について感じたことをお伝えするとともに、国が進め
るe-JAPAN構想(注2)について触れてみたいと思います。

 現在、住民参加の行政運営においてますます重要性を増している
委員会や審議会は、様々な見地から検討を行うことができる重要な
組織ですが、最近の県における委員の選ばれ方が恣意的すぎるとい
うことは私が前から主張してきたことであります。

 過去の委員会や審議会は、議会論議等でもう一度慎重に検討する
ことができたから良かったのでしょうが、現在の状況は当時と違い、
委員会や審議会が格段に力を持ってしまった(それは田中知事効果
でしょうが)時代になると、委員会や審議会のあり方をもう一度問
い直し、特に委員の選び方を根本的に変える必要があるように思い
ます。ただこれは難しい。

 私も長野市行政を運営するに当たって、委員会や審議会を数多く
設置し、行政を進める上でのご意見をいただいております。この委
員さんの選任権は市長にあるのですが、公正に選任することはかな
り難しい。知っている人を選ぶのは、公正とは言えません。まして
や賛成者ばかりということも許されないのです。

 私は、市長就任以来、1年8か月の間にいろいろな委員さんを任
命させていただきましたが、私から意見を言ったのは1名だけ(こ
の方をぜひ入れてほしいという意味)、その他は、全て担当課が選
んだ方をお願いしています。しかも、長野市にはいろいろ制約があ
って、一人の方がいろいろな委員に選任されることを認めない、あ
るいは女性の登用比率の努力目標もあって、委員を公平に選ぶとい
うのは簡単ではありません。

 ただ、これだけは言えます。その委員会や審議会が仮に紛糾した
場合、多数決で結論を出すことだけは、やってはいけないことだと
思います。なぜなら多数決で良いなら、委員を任命した段階で全て
おしまい、結論は出ているわけです。審議はセレモニーに過ぎない
と思うのです。

 もうひとつ、根本的な問題があります。日本はIT社会の進展に
伴い、e―JAPAN構想を打ち出し、世界に冠たるIT国家にし
ようということを目指しています。住基ネットはそのベースになる
ものでしょう。そして現在、コンピューターのない社会は想像でき
ないほどに私達の生活に浸透してきていると思います。行政だけが
時代遅れのことをやっているわけにはいかない、e―JAPAN構
想は時代の流れを見通した上で、それなりの方針・哲学をもってス
タートした事業であると私は感じています。

 いろいろ問題はあるでしょうが、私達の社会を素晴らしいものに
発展させてくれる道具の一つであるということを、私は信じていま
す。そのことに反対の方々がいらっしゃることは承知しています。
でも、その方々に申し上げます。それならまず国に対しおっしゃっ
ていただき、国の法律を変える努力をすべきであり、それが民主主
義の原点だということです。

(注1)
住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)=全国の市町村
と都道府県などを専用回線で結び、本人確認情報(氏名・生年月日・
性別・住所・住民票コードとこれらの変更情報)により、全国共通
の本人確認を可能とするシステム。


(注2)
e―JAPAN構想=国内における情報通信ネットワークの普及と
技術向上を図り、世界最先端のIT(情報通信技術)国家となるこ
とを目指す構想

2003年7月17日木曜日

住基ネット離脱問題について(その1)


 長野県の本人確認情報保護審議会(住基ネットにおける本人確認
情報の保護について調査審議する審議会)が、住基ネットからの離
脱を中間答申したという報道にびっくりしました。

 今回は、この住基ネット離脱の問題と答申に至るまでの疑問点に
ついて、2回に分けて配信したいと思います。

 住基ネット離脱問題は、当初、単なる審議会の意見であり、それ
を受けた県がどうするか、という問題であり、市町村の立場とすれ
ば、県がこのような答申をまともに受けるはずはないと考えていた
のですが、その後、状況が変わる可能性もあるようなので、あえて
私の意見を表明させていただきます。

 住基ネットは、国が定めた「住民基本台帳法」に基づき、市町村
が制度を整備しなくてはならない事務事業であり、県は国と市町村
との中間で、市町村のデータをまとめて国に渡す部分を担当する責
務があります。

 法律で定められている行為ですから、日本国民である以上、まし
てや地方自治体が勝手に止めるということはできないはずです。し
かもここ数年、県当局が、国の指導に基づき県内市町村の住基ネッ
ト整備について、指導してきており、市町村はその指導に従って、
莫大な費用(長野市の場合1億2,000万円)をかけてきたわけ
ですから、その責任はどうするのでしょうか?本当に離脱するとす
れば、あまりにも一貫性が無く、あきれてしまうばかりです。

 離脱答申の新聞記事を読んで、ひとつだけ私も気になった部分が
あります。それは住基ネットがインターネットにつながっている自治
体があるという点です。

 私もすぐ担当者を呼び、長野市の方式については、完全に離れて
いることを再確認してホッとしました。ただ、つないである自治体も
二重のファイアウォール(インターネットを通じた不正アクセスか
ら住基ネットを守る障壁)でガードしてあり、国、県がそれでよろ
しいということで認め、指導してきたとのことです。

 私には分かりませんが、インターネットには絶対に安全というこ
とはないそうで、ファイアウォールが破られる可能性があるという
ことが言われていることは承知しています。しかし、行政の担当者
にすれば、法律が決まって、県から指導されれば、その通りやるこ
とは当たり前でしょう。

 また、審議会の中間答申の元になった、各自治体の担当者を対象
としたアンケート調査についても確認しました。大変失礼ですが、
完全に誘導質問だなと思いました。

 まず結論ありきで作られたアンケートであり、私も担当者として
の答えを聞いて、当然と思いました。そんなアンケートを元に「離
脱せよ」という話しは全くナンセンスだと思います。

 アンケートにもいろいろありますが、公正な世論調査をするなら、
例えば世論調査協会等、第三者機関がきちんとしたかたちでやらな
くては、恣意的といわれても仕方ないでしょう。単なる意見を聞い
てみる程度の発想なら結構ですが、アンケートに答えた担当者も、
「このアンケートが元で「離脱」とは・・・」とびっくりしていました。

 長野県の一審議会とすれば、もし危険性があるということでした
ら「インターネットにつなぐことは危険があるので、切り離すよう
に指導すべきであり、国にもそのことを提言すべきである」と提言
するのが、本来の姿勢でしょう。県の指導で8月から住基ネットの
第二次稼動に向けて準備している市町村に対し、いたずらな混乱を
引き起こすことは避けるべきです。中間答申を受けた県の反応が気
になります。

 あえて申し上げるとすれば、住基ネットの情報のうち、住民票コ
ードと変更情報以外の4情報(住所、氏名、生年月日及び性別)に
ついては、手続きを行えば誰でも閲覧ができる情報であり、住基ネ
ットの安全性確保のために、莫大な金をかけるということには、矛
盾や疑問を感じます。

 もうひとつ、情報漏れというのは、ほとんどの場合それを扱う人
間の問題であると様々の事件報道を見ていて感じます。保護すべき
情報はもちろんありますし、それが外部に漏れないようにガードを
固めることは大切ですが、情報漏れを防ぐ重要な鍵は、人間教育だ
と私は思います。

 いずれにしろ、長野市として法律違反はできません。予定通り進
めます。

 来週は、審議会のあり方やe-JAPAN構想について、私の考
えをお伝えしたいと思います。


(注)
住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)=全国の市町村
と都道府県などを専用回線で結び、本人確認情報(氏名・生年月日・
性別・住所・住民票コードとこれらの変更情報)により、全国共通
の本人確認を可能とするシステム。

2003年7月10日木曜日

こども広場がスタート、盛況です。


 もんぜんぷら座の2階に、こども広場(じゃん・けん・ぽん)が
オープンし、連日、大勢のお母さんや子どもさん達で賑わっていま
す。

 オープンから1か月経った7月1日(火)、少し時間が空いたので
立ち寄ってみました。ちょうど、お母さん方が夕食の仕度で一番忙
しい時間帯でしたので、遊んでいるお子さんは少なかったようです
が、担当の方から、1か月間で約6千人が訪れたというお話しを聞
いて、需要があるのだな、ということを確信しました。

 昨年、市内の保育所を視察し、保育士さんの話を聞く機会があり
ました。保育所の2階などに「子育て支援センター」が設けられて
いて、その保育所に入園していないお子さんがお母さんと一緒に通
ってくるのですが、その理由は、教育とか子どもを遊ばせるという
ことだけでなく、お母さん同士のコミュニケーションが出来ること
が素晴らしいということでした。また、新聞などにも出ていたので
すが、「家に子どもと二人でいると、息が詰まる」という不安をも
ち、支援センターを利用されている方もいらっしゃるようです。

 その時からいろいろ考えていたのですが、もんぜんぷら座の取得
が決まった段階から、このこども広場のプロジェクトを立ち上げる
ことになり、運営も「こどもの城」を作りたいというNPOが手を
挙げてくださいましたので、公募審査を経て、長野市が運営委託を
したものです。

 大型店が撤退して空洞化した市街地ですから、何とか人の賑わい
をつくりたい、商売も多少はやりたい、空洞化した市街地の復活モ
デルにしたい、ということがベースにありましたので、その目玉の
施設になるのではないか・・・・、行政はそう考えて取り組みを始
めたものです。

 運営を受託したNPO法人「ながのこどもの城いきいきプロジェ
クト」のスタッフは、自然の素材を生かした遊具や絵本を用意した
り、子どもさんが自由に跳んで歩けるような配慮をしてくださって
いますので、評判は良いようです。

 子育て支援施設に関しましては、長野市南部にも欲しいという地
元の皆さんの要請もあり、篠ノ井ハローワークの跡地の建物を利用
して、基幹的子育て支援センターを作る予定で取り組んでいます。
ただ、現在9か所ある「子育て支援センター」に通ってこられるお
母さん方の中には、今日はどこのセンターが開いているか、調べて
渡り歩くというお話しも聞いていますので、運営には若干の工夫は
いると思います。

 ただし、このような施設を市内にたくさん作ることは、想定して
いません。常時オープンしている施設ということで、既存の幼稚園
や保育園と競合関係が出てきてしまうことは困ります(子育て支援
センターは無償ですから、私の言う民営化の競合関係ではないので
す)。中心市街地にある、子育てに関する一つのメニューとして利
用していただければ幸いです。

 もんぜんぷら座について付け加えさせていただくならば、3階の
市民公益活動センターの利用も始まっています。まだ宣伝が十分行
き届いていないようですが、NPOにお貸しするブースもあと3つ
残るだけですし、広場利用、あるいは国際交流コーナーの利用者の
輪が広がっているようです。

 4階以上の利用法も含めて、引き続き市民の皆さんの活用を期待
しています。それが元気なまち長野につながると信じています。

2003年7月3日木曜日

Eメール碁の楽しみ


 7月1日(火)、長野ホテル犀北館で、囲碁タイトル戦「第28期
碁聖戦五番勝負第一局」が行われました。碁聖・小林光一九段に対
し依田紀基名人が挑む、この対局は信濃毎日新聞創刊130周年の
記念行事として行われたもので、囲碁ファンにとっては、文字どお
り夢の対局といってもオーバーではない組み合わせでした。

 私は前夜祭にご招待いただき、ご挨拶をさせていただきました。
両対局者は北海道の出身とのことですが、大盤解説を担当される
小林覚九段はじめ、皆さん長野県には大変深いご縁のある方という
ことで、奇縁を感じました。歴史を誇る信濃毎日新聞さんの素晴ら
しい企画に感謝、感激でした。

 この大勝負とは関係ありませんが、今回は、私の趣味でもある囲
碁について書かせていただきます。 

 先日、「信州囲碁新報」という日本棋院県本部の機関紙を読んで
いましたら、「囲碁往還」という囲み記事の中で、「パソコン“ゴ”
に挑戦しよう」という記事がありました。内容は、最近囲碁の世界
で若手の台頭が著しいのは、コンピュータ時代のなせる現象という
ことで、「囲碁に強くなるために時代に即した、パソコン“ゴ”に
挑戦しよう」とありました。

 ある意味では、我々の年代の奮起を促した文章と拝読しました。
そんなことで、「パソコン碁について」の私の考え方を聞いていた
だきたいと思います。

 最近の囲碁の流行は、“ヒカルの碁”という漫画の影響もあるそ
うですが、子供たちの間でかなり盛んになっているようです。テレ
ビゲームに夢中になるより、“碁”の方が考えるし、相手との会話
やコミュニケーションがとれるなど、教育の一環としても良いので
はないかと言われています。

 また、高齢者を中心に囲碁は盛んなようで、老人憩いの家などで
は、そのためだけではありませんが、囲碁をやる方が多いので部屋
を増築して欲しい、といった陳情もありましたし、子供たちと高齢
者のコミュニケーションの手段としても、囲碁は大きな役割を果た
しているとお聞きしています。

 県内では大町市が「囲碁によるまちづくり」に取り組んでいるこ
とは有名です。各種の大会や囲碁教室が開催され、世界中から囲碁
をやる人が町にやってくるようです。観光施策の一環としても有効
と判断され、取り組んでおられるようです。

 私も囲碁は大好きです。でも忙しいものですから、碁を打つ時間
はほとんどとれないのが実情です。そこで、インターネットのEメ
ールを使った碁を、結構楽しんでやっています。

 囲碁の対戦ソフトを私も利用したことがありますが、コンピュー
タ相手では、本当の囲碁の醍醐味を味わえないという感じでした。
コンピュータ相手の囲碁ではなくて、人間相手の対戦の場として
(コンピュータを使うことには変わりはないのですが)インターネ
ット上に「囲碁道場」のような場が設定されています。

 多分最近は色々なシステムが開発されていると思いますが、私の
知っているものは、そのサイトを運営している方々が、誰でも参加
できるように工夫してあり、登録すると棋力等を勘案し相手を探し
てくれるもので、その組み合わせで囲碁を楽しむ。当然個人の棋力
に応じた力の差は出るわけで、通常の対局とほとんど変わりなく対
局できるわけですし、終われば「さようなら」ということで、まことに
嬉しいシステムでした。ただ私は、顔も知らない方と囲碁をやるの
はどうも気が進まないし、結局一局終わるまである程度、時間的に
拘束されるわけで、あまりやる気にはなりませんでした。

 長野オリンピックが終わったころ、友人から「囲碁をやりましょ
うよ」と誘われ、インターネット利用の碁盤をメールで送ってもら
いました。碁盤といっても、画面上に361個の┼、├、┤・・・・
を組み合わせた碁盤で、あまり美しいとは言えないものですが、使
ってみると、大変面白い。以後すっかりはまってしまいました。

 その盤上に一手▲を入れて送る。すると相手は一手△を打って返
してくる。次は自分が前に打った▲を●に変えて、次の▲を打って
返す。すると相手も前の△を○に変えて、次の△を打ってくる。こ
の繰り返しです(△、▲は自分の打った手を示す意味で、必要で
す)。一日一手の場合もありますし、休みの日にお互い家にいて、数
手進むこともあります。一局終わるのに、最短でも3ヶ月はかかり
ます。

 随分悠長な話とお感じになるでしょうが、このメール碁で一番有
り難いのは、時間の制約がないことです。例えば私などは、夜中に
メルマガを書きながらでも、相手から送ってきた盤面に一手加えて
送信すればよいだけですから、1分もあれば充分、良い息抜きにも
なっています。もう一つの素晴らしい点は、会話が出来ることです。
何の制約もないメールですし、相手も親しい人ですから、碁盤と一
緒に、いくらでも文章を書いて送ればよいのです。

 碁好きで議論好きな人は、延々と文章を書いて、その下に碁盤を
つけてくる。遠く離れた人と近況を報告し合うこともありますし、
楽しく、素晴らしい情報源です。加えて友達さえいれば、何人とで
も、お金が全然かからないで楽しく遊べるということでしょう。
高齢者が多い時代にはピッタリのシステムと考えています。

 欠点を申し上げますと、碁盤を作るのが意外に面倒なことと、返
信を忘れてしまうことがあることです。碁が難しい局面では、もう
少し考えてから・・・。すると、そのうちに忘れてしまうのです。
返事をよこさない人には、催促する意味でもう一度同じ盤を送るこ
とが必要でしょう。

 海外へ長期出張するときなど「明日から出かけるので、しばらく
お休み」なんてメールがついてきて、出張から帰ってくると、お土
産話がついた盤面が送られてきます。「なぜパソコンを持って行か
ないのですか?」なんて冗談を言ったこともありました。

 友達の中には、夜、自分のパソコンを開くとき「恋文がきている
かなと胸が躍る」なんて言う方もいます。なかなか楽しいですよ。