(本当に怖いのは、糸魚川-静岡構造線
が動くことではないでしょうか)
8月30日(土)、恒例の長野市総合防災訓練が行われました。
今年は、主会場を更北地区にお願いし、犀川南運動場を中心に、サ
ブ会場として三本柳小学校、青木島小学校、そして吉田地区(吉田
高等学校外)、若穂地区(綿内小学校外)でも、それぞれの地域の
皆さんに参加していただき、総合防災訓練を実施いたしました。
私は、主会場に設置された対策本部長席で全体を見せていただき
ました。今回は、午前7時55分、震度6強の地震が発生し、倒壊
家屋が続出、市民のライフラインが破壊され、火災も発生している
という想定のもとに訓練が行われました。
市民の皆さんの避難誘導、救急処置、消火器の使い方、煙体験等
から始まって、倒壊家屋の下敷きになった人の救出、事故車の処理、
消火のためのバケツリレー、炊き出し・・・・。市民のライフライ
ンの復旧という面では、電気、水道、ガス、通信等は、それぞれ事
業者の方が緊急自動車等を動かしたり、特殊工作機械を使ったりし
て復旧活動を行いました。道路に倒壊した建物等の除去には、建設
業協会の大きなタイヤドーザーが出動していました。
私は、訓練の中で総務部長や消防局長と一緒に、長野県の防災ヘ
リコプターに乗せていただき、吉田高校、東部中学校、長野運動公
園、綿内小学校で市民の皆さんが真剣に訓練に励んでいる姿などを
上空から視察させていただきました。また、川の中洲に取り残され
た人をヘリコプターで救出する訓練も興味深く拝見しましたし、自
衛隊のヘリコプターも飛来し、重傷者の搬送訓練をしていただきま
した。
午前11時頃、一連の訓練が終了しました。あっては困ることで
ありますが、いざ実際の地震に遭遇した時、今日のように整然と行
動できるかどうか心配しながら、終了の挨拶をさせていただきまし
た。
昨年はこの防災訓練の翌日、若穂で山林火災が発生して3日間燃
え続けたことは、記憶に新しいところです。
「災害は忘れた頃にやってくる」とは古くからの言い伝えですが、
行政の責任の重要な部分として、災害から市民の生命、財産を守る
ということがあり、行政は常に市民の皆さんに防災意識の啓発をし
ていくことも含め、きちんとした危機管理体制を整え、迅速な対応
をしていかなくてはなりません。
そういう意味から申し上げると、過日、松代の住宅火災の折、消
防車が到着したのに、消火栓から水が出なかったということは本当
に申し訳ない事故だったと反省しています。水道管を敷設したのが、
大正時代だったとか、消火栓の放水試験をすると赤水が発生し、市
民、特に食堂経営等の方に迷惑がかかるという問題があるようです
が、それは理由になりません。消火栓が消火栓の役目を果さなかっ
た、危機管理ということを常に言っている立場として、本当に申し
訳ないことと思っています。
地震発生を想定した防災訓練をやって、改めて痛切に感じること
が一つあります。それは、昔の善光寺地震の例でもわかるように、
長野市が災害に遭うとしたら一番怖いのは、やはり地震ではないで
しょうか。
特に、糸魚川-静岡構造線(牛伏寺断層)が今後30年の間に14
%の確率で大地震を起こすであろうと言われております。
この地震は、長野市にとって、いや長野県にとっての緊急に備え
るべき最大のリスクだと感じています。日本にある数多くの活断層
の中で、最大規模で発生確率も最高だと位置付けられているようで
すし、私も子どもの頃から、先生にその危険性を教わった記憶があ
ります。
東海地震、東南海・南海地震や宮城県沖地震を含む日本海溝周辺
地震、そして首都直下型地震など、これらの地震に関しては中央防
災会議の専門調査会が作られ、政府を挙げて対応策の議論が継続、
あるいは開始しているようです。
私の個人的な見解ですが、糸魚川-静岡構造線に関しても、政府
の中央防災会議で議題として取り上げていただき、予想される甚大
な被害に備える対応策を議論していくべきだと思います。地震調査
研究推進本部地震調査委員会では、マグニチュード7.5から8.5
という阪神淡路大震災の6倍から36倍くらいのエネルギーの大地
震が、信濃の国を高い確率で襲うと評価しているのですから、地元
の県としては、政府への要請として、そのくらいの体制で検討をは
じめてもらいたいし、県でも本腰を入れて取り組む姿勢が必要なの
ではないでしょうか。
しかしながら現段階では、中央政府の中に、「長野県のために一
肌脱いでやろうではないか、東海地震よりフォッサマグナの方が危
険だよ」と言ってくれる人は残念ながらいないのではないでしょう
か。足元の大規模地震に備えるという県の姿勢も、本格的とは思え
ません。逃げるわけではありませんが、長野市単独ではどうにもな
らないテーマです。
県の姿勢として、県出身の国会議員の先生や県会議員、市町村長
を糾合し、説得して国に働きかけることをぜひお願いしたいと思い
ます。
今、県に求められているのは、国に対し抵抗勢力であることを誇
ることではなく、国と協力し合って真に必要なことを実現する、国
にその必要性を説き、説得することであろうと私は考えます。
県の施策を応援しようとする国や市町村の体制、人脈があまりに
も少ない。今のままでは心配です。このままでは・・・・・・。