4月7日、長野県の青山出納長と小林河川課長が、浅川治水対策
について説明するため、長野市を訪れました。
県では、浅川の治水について、国が継続扱いしている従来の全体
計画(ダムを含む)に従って再開すること、並行して、新しい整備
計画(多分、ダム無しなのでしょう)を作って、国の認可を得るよ
うにするという説明でした。
私は、知事の脱ダム宣言以来、代替案が示されず、いたずらに事
態を先送りして市民の命と財産が危険にさらされている現状に鑑み、
ダムの問題は後で考えるとして、従来の河川計画のみでも先行して
安全度を上げて欲しいと主張してきたこともあり、長野市河川課の
考えと同じと理解し、この対応に対しては「歓迎する」と返事をし
ました。
併せて、河川改修工事の開始は歓迎するが、8月までに浅川の基
本高水流量450t/秒について、新たな河川整備計画の骨組みを
きちんと作り、国の認可を得ること、地域の皆さんに説明責任をき
ちんと果してくださいということを県に申し入れ、県サイドもそれ
は当然と受け止めていただいたように思います。
県の河川課長から新しい河川整備計画についても若干の説明があ
りました。まだ数値は未確定のようですが、溜池の利用と河道内遊
水地の話が主体でした。
素人考えですが、溜池については、灌漑(かんがい)を必要とす
る農地が減少している現在、農業「利水」を目的とした溜池を、所
有者・水利権者の理解が得られるならば「治水」に転用することは
不可能ではないでしょう。古い溜池のため、堤防の強化をいずれや
らなくてはならない時期になっているのですから、一石二鳥かもし
れません。問題はどのくらいの貯水量が計算できるかです。
また、河道内遊水地というのは、実際はダムでしょう。高さが
15mであろうが無かろうが河川をせき止める施設はダムであって、
従来ダムを計画していた場所に、高さ30mぐらいの堤を考えてい
るという話は、浅川治水については、やはり一部をダムに頼る以外
に方法が無いということなのでしょうか?まあしかし、それは知事
さんの面子を考えて、いろいろ表現方法を変えてのことでしょうか
ら言葉の遊びはどうでもいいことです。長野市民にとっては、河川
の安全が保てれば良いわけで、私もダムにこだわっているわけでは
ありませんが・・・。
ただ、従来の高さ約59mのダム計画の中には、100年間で約
40万立方メートルの土砂が堆積する計算があったはずです。これ
をどうするのか・・・・。県の説明ではダムでは無くていわゆる
「穴明きダム」とおっしゃる。すなわち本来ダムに溜まるはずの土
砂は一番下にある穴から下流に流れていくから、ダム本体の大きさ
は小さくて済むということなのでしょう。すると次なる問題は、浅
川は近い将来、また天井川になる危険性があるわけで、毎年溜まっ
た土砂を浚渫(しゅんせつ)するとすれば、まあ大丈夫なのかも知
れませんが、家屋が連担した浅川沿岸で、浚渫をやるというのは容
易ではなく、メンテナンス費用は今後かなり大きくなると思います。
計画している穴明きダムに土砂が流れ込まないように、その上流に
砂防ダムを幾つか作れば良いかもしれませんが・・・、検証しなけ
ればならない技術的な問題をたくさん含んでいると考えられます。
古里や長沼にお住まいの方々はその土砂に悩まされ被害を受けて来
た事実があり、それをどうするのかも大切です。
もう一つは、檀田に作ろうとする遊水地です。私も現地を見てき
ましたが、地権者の方々のご理解をいただけるかは別として、実際
には建設不可能ではないでしょうか。市街地の真ん中に深い池、あ
るいはかなり高い壁(10mぐらい)を作るようですから、景観上
はもちろん、安全性の面からも無理でしょう。
要は30mのダムをもう少し高くすれば、全て河道内で解決でき
るのではないでしょうか?ダムの容量を小さくすればするほど、そ
の分、遊水地が大きくならざるを得ないはずで、土地の買収費等も
あって資金的にも大変でしょう。
県の発表を受けて4月20日に開かれた浅川流域協議会では、河
川改修工事については皆さんの理解を得られたようですが、その他
の項目は異論続出(特に河道内遊水地という穴明きダムについて)
だったようです。加えてもう終わったはずの「ダムは危険」という
一部の方の議論がぶり返してきたようです。
まだきちんとした計画ができているわけではなく、今後、地元の
意見を個々に聞いたり(土地を買収するとすれば、地権者の同意が
必要ですし、また、溜池の管理者や利用者の同意が必要です)、市
・町の意見も聞かなくてはなりません。さらに、国の指導も仰がな
ければ進まない話ですから、8月までに可能な手続きができるかど
うか・・・・・・。
現段階では、心配してもきりがありません。何はともあれ、河川
改修が今年の渇水期には行われること、8月までには新しい治水計
画が発表されることに希望を持ちたいと思います。