台風22号の痛手が癒えない10月20日(水)、またまた超巨
大台風23号が近づいてくる。台風が日本列島を縦断するという最
悪のコースが予想され、西日本各地の被害が続々報道されておりま
した。長野市も今回は直撃されそうだということで、緊急時に備え
た態勢をとり、私も電話が来ればすぐ飛び出す態勢を整えました。
帰宅直後、災害対策本部会議を開くという連絡が入り、直ちに市
役所の災害対策本部室へ。既に台風23号の影響が出始め、市内山
間部が土砂崩れ等で道路がズタズタ・・・先日の台風22号のため
陥没した国道19号も、長野国道事務所の努力でやっと迂回(うか
い)路を設置して機能回復を図ったのに、別の場所数カ所で寸断さ
れ、不通になったとのことでした。
また、柳原と布野の排水機場の能力が追い付かず、千曲川に排水
することができないため浸水被害があるとの報告があり、深夜1時
半頃、現場を視察するとともに避難されている皆さんのお見舞いに
出かけました。地域の自主防災会や消防団の皆さん、そして消防局
や建設部の関係職員が一生懸命に活動中でした。国の千曲川河川事
務所も可動式のポンプを持ち込んでくださり、排水機場のポンプと
併用し溢れた水を千曲川へ汲み出す作業の真っ最中でした。
地元の方の中には今までも市民会議等の機会に機場のポンプ容量
について、「市の計算は間違っている、もっと大きな容量のポンプ
を増設しなくては駄目だ」と強調しておられる方がいらっしゃいま
した。いずれにしろ浸水被害が発生したわけですから、現在の排水
能力だけでは問題があることは事実でしょうし、きちんと改良して
いくことは必要だろうと感じました。
布野公民館、排水機場、そして避難場所の柳原小学校、朝陽公民
館等を見舞いながらいろいろ話を伺いました。今回はそれほど大き
な災害ではなかったけれど、ポンプ容量問題は、国道18号のバイ
パス建設の問題ともからんで、今後検討する必要があると痛感させ
られました。
浅川も豊野地籍の千曲川合流点で被害、やはり立ケ花狭さく部の
問題が根本問題として浮上することは確実でしょうし、新幹線の車
両基地周辺の水害を見ると、浅川治水におけるダム問題を地元の皆
さんが強調することは当然と思いました。
さらに犀川の小市地区の水位も上昇を続けているうえ、上流にあ
るダムの放水もあって、安茂里地区に避難勧告を出してほしいとの
千曲川河川事務所からの要請がありましたので、現地に収入役を派
遣し、消防団や地域防災会の方々が巡視と警戒、そして無堤防地域
への土のう積みを行いました。幸い、それほど犀川の水位は上がり
ませんでしたので、犀川流域では安茂里小市地区の一部を除き避難
勧告までには至らなかったことは助かりました。この地域は人口が
多い場所だけに、避難勧告となれば、避難場所の設置、食糧や毛布
の手配等、大変な準備が必要になるところでした。
千曲川、犀川の水位が峠を越しても、立ケ花の水位だけは危険水
位を突破して上がっていく。長野市だけでなく、周辺市町村もかな
り被害が出ているようでした。
朝5時過ぎ、2回目の災害対策本部の会議を終了。明るくなって
からの点検作業を指示し、路線バスや学校については、安全を第一
にすることを申し合わせました。
21日(木)は午前中、浅川を視察しました。中流域は普段より
かなり多い濁り水が出ていましたが、危険は無さそうでした。しか
し、浅川と千曲川の合流点付近の冠水状況は大変でした。一面の水
浸しの中にりんごの木が立っているという状態で、千曲川の状況も、
普段は木が生えているはずの場所すべて、川幅一杯に泥水が音を立
てて流れていました。
新幹線の車両基地の周辺まで行ってみましたが、水が深くて車が
進めず、引き返さざるを得ませんでした。
午後は安茂里地区の視察を行いました。小市公民館には、避難勧
告が出ている地区の皆さんがまだ避難を続けておりましたし、松ケ
丘小学校の裏山での土砂崩落は、体育館の周辺に相当の土砂が流入
していて、地元の消防団の皆さんが、一生懸命排除活動をしておら
れました。しかし、人力ではとても大変で、重機を入れざるを得な
い状況と感じました。安茂里には無堤防地区があり、今回は無事だ
ったが、安心はできないとのことでした。
台風23号は、長野市における人的被害こそ無かったものの、避
難勧告が柳原布野地区では約200世帯、安茂里小市地区で約40
世帯が対象となり、被害個所は数え方にもよりますが、柳原布野で
59世帯が床下浸水、信更町赤田で1戸が床上浸水となったほか、
道路関係が70カ所、河川関係が32カ所、農作物や農道・林道、
公園施設など市内各所で災害の爪あとを残しました。崩れやすい傾
斜地の多い長野市です。地滑り地帯も多くあります。地形が急峻で
あることは、土石流発生の危険性も常にあるわけで、残念ながら災
害に強い町と胸を張って誇れないのが実情です。今回の被害の対応
については災害発生時の救援活動について協定を結んでいただいて
いる建設業協会の皆さんにいろいろな場面で活躍していただきまし
た。
22日(金)に上京して、国土交通省を訪問しました。主として
は台風22号の影響で陥没した国道19号の一刻も早い復旧を陳情
してきました。大宮の国土交通省関東地方整備局と霞ケ関の本省を
訪ね、幹線道路の陥没で大変な影響を受けていること、また、地域
の生活道路を迂回路に使っていることから、主として中条村から長
野市七二会地区にかけての住民への影響が極めて大きいということ
を訴えました。災害が連続しているため、官庁の幹部職員が現地視
察に出て留守の所が多かったのですが、訴えを親身に聞いてもらい、
何とか年度内には、仮橋による国道復旧をしていただけそうな感触
を得ることができたことは収穫でした。
このメルマガを書いている最中、大きな地震が発生しました。幸
い長野市ではこの地震による災害は現段階では報告されませんでし
たが、報道によると、震源地は新潟県の小千谷市で震度6強・・・
そして翌日、時間の経過とともに、被害の凄まじさが伝わってきま
した。亡くなった方、負傷した方が増える一方ですし、家屋倒壊、
道路崩壊、土石崩壊等々・・・・電気・ガス・水道も壊滅的な被害
を受けたようで、自衛隊も出動する最悪の状態のようです。被災さ
れた方々に心からお見舞申し上げるとともに、何とか復旧するまで
頑張っていただきたいと思います。
今回の災害にともない、長野市では24日(日)に新潟県からの
要請に応じ水道局から2トン給水車2台、消防局から10トン水槽
車1台が十日町市に向かうとともに、25日(月)には総務省の指
示により、長野県救急消防援助隊部隊として県内の消防をまとめ、
最大の被災地に向かいました。テレビで見ると、住居を失っただけ
でなく、「寒い」「水が足りない」「食糧が足りない」・・・・・
豊かといわれている現在の日本では信じられないことが起きている
わけです。すぐにでも何か行動したい・・・・すみやかに、整然と
した援助活動をしたいと思っています。
このような中、長野県市長会の18市では、新潟県の災害対策本
部と連絡をとり、各市が提供できる救援物資のほか、復旧作業に必
要な技術職員を派遣、市営住宅や宿泊施設についての情報を提供し、
被災地の要望に合った救援を行うよう準備を進めました。
隣県の災害です。日を追って伝わる災害情報を見る限り、この新
潟中越地震は阪神淡路大震災に肩を並べる大災害と感じますし、今
回の地震にみられた集落の孤立という事態は、もし長野市で震災が
起これば発生しうることです。中山間地や1町3村との合併後のま
ちづくりでも、ライフラインの確保と情報伝達体制の充実に努めて
いきたいと思います。