2004年12月28日火曜日

合併、そして民意 所感(号外)


 今日は、官庁の「仕事納め」の日です。明日から、6日間の年末
年始の休みになります。もちろん、継続的な市民サービスが必要な
職場では、年末年始の休み中も公務に携わっています。特に今回は
市町村合併を控えているため、窓口事務や情報システムなどに支障
のないよう担当職員は年末年始休暇を返上して取り組む予定です。
また、合併町村の標識や看板の書き換えも急ピッチで行われており
ます。

 豊野町・戸隠村・鬼無里村・大岡村との1月1日の合併まで、あ
と4日となりました。大晦日の夜は、住民の皆さんによるカウント
ダウンイベントが各地で計画されており、新市誕生のムードもいよ
いよ高まってまいりました。

 新たに長野市民になられる皆さんが、一日も早く長野市に慣れ親
しんでいただけるよう、私たちは大きな心で歓迎したいと思ってい
ます。

 合併により長野市は、約738平方キロメートルという大変広大
な面積になります。全国に誇れる、魅力溢れる豊かな自然と観光ス
ポット、そして、恵まれたスポーツ環境を十分に活用して、市民の
皆さんや各地域が光り輝き、そして、都市と自然が調和する 「多
軸都市ながの」を目指し、来る年の干支である「酉」の如く、皆さ
んと一緒に羽ばたいてまいりたいと思っております。

 さて、合併には「民意」の把握が不可欠であります。豊野町・戸
隠村・鬼無里村・大岡村の住民の皆さんも、それぞれの町村の将来
を真剣に考え、長野市との合併を選択したものです。私は編入合併
される側の立場は、哀しさと寂しさ、そして期待が入り混じった複
雑な心境であると思います。長い町村の歴史が終わるわけで、先輩
への申し訳ないという思い、あるいは住民が合併して良かったと思
えるかどうかの不安、そんな思いが複雑に折り重なっているはずで
す。私は長野市との合併に踏み切った町村の閉町式・閉村式に参加
してみて本当に目頭が熱くなりました。そして、その「民意」をし
っかりと受けとめ、新市の舵取りをしっかりやっていかなければな
らないと思っております。

 「山口村の越県合併問題について」ですが、皆さんはどう感じて
おられますか?私は、長野市長としてこの件で発言することは、問
題を混乱させるだけと考え、公式発言は控えてきたつもりです。

 皆さんのご承知のとおり、知事は、合併議案を9月、そして、
12月の県議会に提出しなかったため、県議会がもめにもめ、遂に、
12月22日、議員提案という形で決定されました。私は、県議会
での山口村の越県合併問題が一区切りついたため、所感を申し上げ
たいと思います。

 私は、知事の泰阜村への住所移転問題といい、山口村越県合併問
題といい、どう考えてみても、知事としてあまりにもひどい行動で
あると感じています。

 山口村へは私も訪れたことがありますが、素晴らしい場所で、村
民の皆さんが本当に島崎藤村を誇りに思っておられる気持ちが伝わ
ってきて、感心したことを覚えています。

 そんな山口村が、長野県から岐阜県に移るという話を聞いたとき、
残念に感じたことは事実です。しかし、山口村の地形は岐阜県中津
川市に向かって開けており、古くから中津川市、坂下町との交流が
深く、経済的にも両市町との関係が深いとのこと、そして昭和33
年に大変な騒動があって、旧神坂村が中津川市に編入合併され、山
口村と引き裂かれたという歴史、加えてテレビも長野県側の放送は
視聴できないといった実態をお聞きすると、生活圏は長野県には無
いのかなあ、ということを感じざるを得ませんでした。

 さらに、今回の合併に際し、アンケート調査や投票方式による村
民意向調査を実施し、民主的な手段で、住民の意思を確認してきた
ことで、やむを得ないと思っていました。

 知事は当初、この合併については十分理解を示していたと、その
言動から推察できます。そのため、合併推進重点地域のお墨付きを
出してもいたわけです。ところが、合併協議が滞りなく進められ調
印が行われてから、後になって「長野県が溶ける」と合併反対の姿
勢を打ち出し、県民意向調査をするなんて話は、事態を混乱させ、
山口村の民意を踏みにじるものだと思います。

 今までに、知事は何をやっていたのか、よく分かりません。県民
の意思を聴くというならいくらでも方法はあったはずで、山口村の
村民の意見をどの程度聴いたのか、理解に苦しみます。法定合併協
議会が終了し、合併の調印が行われてから、県民意向調査をするな
んて話は、民意を無視した言動ではないでしょうか。仮に県民意向
調査で合併反対となったら、どうするのですか?事態を混乱させ、
山口村の民意を踏みにじるだけです。どこかで気が変わってしまっ
たのでしょうが、住民の心をもてあそんでいるとしか、言いようが
ないと私は思います。

 山口村の手続きは極めて民主的に行われたと言われています。山
口村は、村議会での議決も行って、万感の思いで知事に書類を提出
したと思います。私は、長野市に編入合併する町村の皆さんと接し、
編入合併される町村の立場がよく理解できます。山口村も編入合併
ですから、調印するまでに当然葛藤があったはずで、知事が、途中
まで合併を認めておいて、途中で気が変わったというのは許せるこ
とではありません。

 もちろん、山口村の合併反対派の方々の存在は、心が痛みます。
しかし、住民意向調査で決まった結論ですから、少数意見を大切に
しなくてはいけないとはいえ、議論を尽くした上で最後は多数決で
決めることはやむを得ない選択だと思います

 今回の県議会では、最終的に、議員提案という異例な方法で行わ
れ、大差で合併議案が可決されたわけですが、私は、知事の行動こ
そが、結果として、山口村を岐阜県に追いやる世論を作り上げてし
まったと思います。理由は2つあります。

 一つは、もし知事が早くから越県合併反対という世論喚起に努め
ていたら、または、山口村が長野県にとどまれる諸施策を提案して
いたら・・・。あるいは最低でも議論をするために、議会に正式に
議案を提出していたら・・・。少なくとも議会はあんなに圧倒的な
差では決まらなかったでしょう。私の周辺にも、馬籠は長野県であ
ってほしいという意見はたくさんあります。議会も世論も、知事の
民主主義への挑戦に対して、団結してしまったということでしょう。

 もう一つは、知事の考えが分からず、みんなが振り回された。自
分の心の中を示さないで(例えば議会に対し、議案を提案しないと
は言わないで「葛藤している」という言い方)、みんなが右往左往
していることを楽しんでいる・・・・。密室政治という言葉があり
ますが、これは密“心”政治といえる、まさに形の変わった独裁政
治というべきだと思います。

 さて、今後は知事の対応次第となりました。2月13日の合併に
間に合うよう総務省に申請してほしいと思います。山口村、そして、
中津川市や合併予定町村の皆さんが、知事の犠牲になるのは気の毒
です。直ちに総務省に申請することが、せめてもの罪滅ぼしではな
いでしょうか。

 私は、泰阜村への住民票の異動問題についても、知事が自分の裁
定の誤りを認めれば問題が収まるわけで、「知事の判断一つで決着
する話」という意味では、山口村の越県合併問題と同じなのかなと
思っています。

2004年12月22日水曜日

2004年を振り返って


 年末になりました。今年最後のメールマガジンです。少し長くな
ってしまい恐縮ですが、お付き合いください。
                        
 さて、市長に就任して以来、早いもので4年間という任期も残す
ところ10カ月余りとなりました。この3年間、市民生活の充実と
長野市の発展を念頭に置きながら、私なりに懸命に職責を全うして
きたつもりです。また、もんぜんぷら座や市立高等学校のあり方、
浅川治水・泰阜村・住基ネット等々の諸課題の対応に悩む日もあり
ました。特に市長としては市民の皆さんにとって厳しい発言をせざ
るを得なかったこともありますが、その中にあって市政を運営する
ことができたのは、市民の皆さん、議員の皆さんのご理解、ご支持、
そして、共に苦労してくれた職員のおかげであると心から感謝をし
ています。

 来年は、4年間の集大成の年として、1町3村との合併で生まれ
る新市のまちづくり、「長野市版都市内分権」の具体的な検討、行
政改革の着実な実行、さらに、直面する福祉、環境、教育などの諸
課題の解決に向けて全力を尽くします。開催が迫っている2005年
スペシャルオリンピックス(SO)冬季世界大会の成功に向けても
全力を挙げてまいります。

 また、これらの課題に機敏に対応していくためには、職員一人ひ
とりの意識改革が不可欠と考え、昨年度から人事制度改革に取り組
み、このたび人事評価マニュアルがまとまりました。能力評価と業
績評価を計画的に実施し、行政課題に積極的に挑戦できる職員の育
成に努めてまいります。

 今年度のまちづくりアンケートでは、住み良い長野市をつくるた
め、特に力を入れてほしい施策として、

 第1位は「高齢者福祉サービスの充実」で、12年連続でトップ
となりました。高齢者が激増している時代、安心して生活できるた
めの方策(セーフティーネット)の重要性を痛感しています。

 第2位は「中心市街地の活性化」であり、一昨年7位、昨年5位
から更に上位となりました。中心市街地の衰退に対し、市民が心配
している結果でしょう。

 第3位は「子育て支援と子どもが夢を持てる社会」で、3年連続
で第3位です。将来を担う子どもが夢を持てる社会が大切であると
いう点は、すべての人が同意するテーマですし、少子化に歯止めを
かける施策の必要性を感じています。

 第4位は「犯罪防止の推進」、今回新しく追加した項目ですが、
いきなり上位になりました。信じられないような凶悪犯罪事件が日
常茶飯事の如く発生し、市民が不安を感じている。防犯は「警察」
の役目と考えていた従来の市行政の取り組みではいけないという警
告かもしれません。

 第5位は「生活道路・幹線道路の整備」、毎年上位にランクされ、
各地の市民会議でも常に出されるテーマです。地域社会にとって、
道路の建設・改良・整備は大切であるということでしょう。典型的
な公共事業であり、財政改革の真っ只中、予算的には厳しいものが
あります。

 さて本年度、取り組んできたテーマを報告させていただきます。
市行政は総花的ですべての施策・事業が大切なものでありますが、
私は、その中で敢えて次の5項目を今年度の重点課題に据えて、全
力を挙げて取り組んでまいりました。予算額の大きさではなく、数
年以内にきちんと実行しなければならないことを基準に考え、取り
組んできた事柄です。

 一つ目は、市町村合併と都市内分権の推進であります。

 豊野町・戸隠村・鬼無里村・大岡村との合併につきましては、去
る11月18日、総務大臣による「市町村の廃置分合」の告示があ
り、来る1月1日に長野市と合併することが決定いたしました。

 都市内分権につきましては、今年1年間、「調査・研究の内容」
を市民の皆さんにお示しし、説明と議論をしてまいりましたが、こ
の度、いただいたご意見を反映し、長野市としての原案を庁内で決
定し、報告書としてまとめました。来年度早々この「原案」をもとに、
議会の了承を得ながら、市民の代表や市議会議員、学識経験者等で
構成する都市内分権の審議会を設置し、市民の視点に立った議論を
していただき、長野市にふさわしい都市内分権の具体的な内容を検
討していただこうと考えております。

 二つ目は、行政改革と民間活力の導入です。

 4月に、松代斎場の火葬業務、第二学校給食センターの一部給食
業務、9月には上下水道料金徴収業務等の民間委託をしてまいりま
した。それぞれ実績を上げています。県内では初めての試みである
温湯温泉のPFI(注1)事業は、事業者選定委員会で事業者の選
定が行われました。PFI事業については、その手法を学びながら
実施しており、今後の行政システム改革の手段として更に研究し、
増やしていきたいと考えています。

注1:PFI=Private Finance Initiativeの略。民間の資金、経営能力
および技術的能力を活用して公共施設等の設計、建設、維持管理、
運営等を行う手法

 指定管理者制度につきましては、地方自治法の改正の趣旨を踏ま
え、長野市行政改革推進審議会に「市有施設の見直し検討部会」を
設置し、523の市有施設のあり方をご審議いただきました。同審
議会から検討結果の提言を受けましたので、今後、この提言を尊重
してまいります。来年は合併町村の施設についてもご審議いただく
ことになります。

 行政評価につきましては、今年度は1,840件の事務事業につ
いて評価いたしました。今後、この評価結果を平成17年度予算編
成に生かすわけですが、懸案事項である外部評価についても検討し
たいと考えています。
 
 日曜開庁につきましては、10月から月1回第3日曜日に本庁の
証明書等発行の窓口を中心に、16課で試行的に実施しております。
今後、来年3月までの試行期間の中で市民ニーズの把握に努め、市
民の目線に立ったより充実したサービスの向上を目指し、本格実施
に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 三つ目は、廃棄物処理対策の充実であります。

 本市に設置する長野広域連合の焼却施設の建設候補地につきまし
ては、「長野市ごみ焼却施設建設地検討委員会」において、委員の
皆さんに精力的にご審議をいただいております。検討委員会は、現
在、候補エリア選定の最終段階に入っております。今後、選定され
た候補エリアから、建設候補対象地を抽出し、比較評価するための
指標や基準をご審議いただき、建設候補地を選定していただきたい
と考えております。市民コンセンサスが得られる候補地選定は重要
ですので、十分なご審議をお願いしたいと考えております。
 
 さて、本市では、4月から全市でプラスチック製容器包装の分別
収集を開始いたしましたが、上半期の結果は順調です。加えて可燃
ごみ、不燃ごみとも、予定以上の減量効果が見られ、昨年度より約
7パーセント減っております。市民の皆さんのご協力に感謝すると
ともに、引き続き分別の徹底、ごみの減量、再資源化の取り組みを
お願いしてまいります。

 四つ目は、教育環境・内容の充実であります。

 平成17年度以降の小学校高学年の35人学級編制事業につきま
しては、県と市町村のあり方懇談会の中で「4年生までは県が負担
する」併せて「5・6年生については、県と市町村の協働方式によ
る35人学級や少人数学習・ティームティーチング(注2)、加配
教員の振替方式などの中から選択・併用等も可能」とする提案があ
りました。これらの提案に対し、県市長会で討議の結果、来年度に
ついては県の提案を受け入れ、各市の判断により進めるという方向
になりましたので、長野市としても保護者や学校の意向を考慮しな
がら、選択肢の中で最適な方策を考えてまいります。

注2:ティームティーチング=学級の児童・生徒の状況に応じて、
複数の教員が役割分担をして、きめ細かく指導を行う方法の一つ。

 中心市街地3小学校の統廃合計画につきましては、学校説明会や
地区懇談会を開催して関係校の保護者や住民の皆さんと話し合いを
行ってまいりました。その中で、住民の皆さんからいただいたご意
見やご要望を反映することにより、保護者の意向を尊重しながら緩
やかなかたちで将来の方向を決定していく移行措置の導入という考
え方を10月にお示しいたしました。この移行措置は、後町・鍋屋田・
山王小学校の3校を通学区域特例校と定め、通学区域の弾力化を図
ることにより、来年度から市内全域の新入学児童がこの3校のうち
から選択して通学することができるようになると同時に、3校の在
校児童や新入学児童もそれぞれ限定した隣接学校を選択して通学す
ることができるという学校選択制を実施するものです。そして、導
入後はその動向を検証して将来的に1学年複数学級が見込めるかど
うかを判断基準として、最終的な方針を決定するという考え方であ
ります。

 この考え方を10月下旬から3校の保護者や住民の皆さんに説明
し話し合いを行ってまいりました結果、一部には依然として統廃合
そのものの白紙撤回を求める反対意見がありますが、これまで反対
されていた皆さんからも今回の考え方を評価するご意見をいただい
ております。また、多くの皆さんから移行措置の導入を肯定的に受
け止めていただいておりますので、来年度から実施できるよう努力
してまいります。

 市立高等学校の改革につきましては、本年8月に改革モデルプラ
ンを作成し、広報ながの及びホームページを通じて広く市民の皆さ
んのご意見をお聞きしたところ、多岐にわたる建設的なご意見をい
ただきました。現在、これらのご意見も踏まえ、学校現場と一体と
なって具体的な教育内容について検討を進めております。また、よ
り魅力ある学校づくりに向け、高校生が在学中に大学等の講義を受
講できる「高大連携」の協力を信州大学及び清泉女学院大学等へ要
請したところであります。

 五つ目は、バス路線網再編計画であります。

 公共交通の活性化を目指して策定中であります「バス路線網再編
基本計画」につきましては、長野市交通対策審議会、同都市交通部
会においてご審議いただいております。現在、本年度中の最終報告
に向け、合併町村における今後の交通体系整備も含めご審議いただ
いており、今後、市民の皆さんのご意見もお聞きしながら、実効性
のある計画策定を進めてまいります。
 
 地域内をこまめに回る地域循環コミュニティバスにつきましては、
本年9月1日から市内2路線で小型バスを使用して運行を始めまし
た。地域の利用者の皆さんには大変好評でありますので、今後も地
域の皆さんとともに、一層のPRに努め、定着を図ってまいりたい
と考えております。今は、マイカーが普及し、バスの利用度が低い
地域でも、バス運行が継続されることによって、高齢者をはじめ地
域に住む大勢の皆さんがバスに目を向けてくれるものと信じており、
今後もバスが生活に密着した移動手段として利用していただけるよ
う創意工夫を凝らしてまいりたいと考えております。

 以上、16年度に取り組んできた重点項目についてお話しいたし
ました。本年度内に片付きそうもないテーマもありますが、今後も
全力を挙げて取り組みます。

 今年あった大きな出来事といえば、やはり災害です。この秋は災
害が全国各地で相次ぎました。新潟県中越地方の大地震による被害
は言葉では言い尽くせないものがあります。本市でも信更町安庭の
地滑りや台風23号による大変多くの被害がありました。被害があった
河川・道路などの公共施設につきましては、国の支援をいただいて、
現在できるところから復旧作業を行っております。
 
 新潟県中越地方の大地震による被災地では、現在でも避難勧告が
4千人余りに対して出されたままとなっており、こうした方々の大
半は、仮設住宅で雪の季節を迎えることとなります。本市からも被
災地の援助として、消防救助隊をはじめ、給水車、水槽車、バキュー
ムカーによる支援活動、また、保健師や「応急危険度判定士」の資
格を持つ技術職員のほか、「炊き出し」など現地で支援するために
職員を派遣いたしました。今後は新潟県災害対策本部からの要望・
要請に基づき、国・県・市長会などと連携しながら、適切な支援活
動をしていくつもりです。また、大勢の長野市民がボランティアと
して被災地で支援活動をしていただいています。心から敬意を表し
ます。

 浅川治水問題についても簡単に触れさせていただきます。

 国が「継続扱い」とし、「従来の計画」に基づいた「河川改修工
事」につきましては、護岸工事などが予定している一部で再開され
ています。しかし、整備計画につきましては依然として先送りされ
ているため、10月には県知事に対し、また、11月には県土木部
長に対し、河川管理者として県自らの責任で、一刻も早く、安全で
信頼のおける整備計画を進めるよう要望いたしました。しかし、県
からは「広く意見を聞きながら進める」という趣旨の答えがあった
だけで時期などは示されませんでした。私は従来から申し上げてい
るとおり、

(1)基本高水流量450トンを下げることは、市民の安全を値切
   る話ですから、絶対に死守する。

(2)造るかどうかは別として、ダムは危険という論拠の無い意見
   については議論しない。

 この2点を変える理由は無いと思っています。このまま議論に進
展がないと、北陸新幹線の進捗にとって大きな支障となる可能性が
出てきます。

 少し長くなりすぎましたので、終わりにさせていただきます。本
当は三位一体改革によって長野市の財政はどうなるか、入札制度の
改革、スペシャルオリンピックスなどもお話ししたいのですが、次
の機会にさせていただきます。

 「一隅(いちぐう)を照らす」という言葉があります。約1,200年前、
伝教大師最澄が説いた言葉で、「金銀財宝などは国の宝ではない。
自分が生きているところ、あるいは、自分が置かれたその場所で努
力し、明るく光り輝くことのできる人こそ、かけがえのない国の宝
である。一人ひとりがそれぞれの立場で全力を尽くすことによって、
世の中が明るくなる」という意味だそうです。

 この言葉を市役所にあてはめてみますと、職員が、本庁や支所な
ど自分の置かれている職場や立場で、日々ベストを尽くし職務を遂
行することによって、職員一人ひとりが光り、そしてその職場が光り、
やがては市役所全体が輝きます。そして、長野市にとっては、市民の
皆さん一人ひとりが光り、それによって各地域が輝き、やがて、長野市
全体が光り輝くことになると考えます。

 長野市は、合併により約738平方キロメートルという大変広大
な面積を保有することになります。合併する1町3村を含めた住民
の皆さんや各地域が光り輝くことができるよう、さらに、観光・
スポーツ・自然など全国に誇れる魅力を最大限に引き出し、そして、
補完しあう、そんな「多軸型のまちづくり」を目指し、

 「人が輝く 地域が輝く 多軸都市ながの」
 「都市と自然が調和する 多軸都市ながの」

 を新市のイメージとして、職員と一丸となって頑張ってまいりた
いと考えております。

 市民の皆様にはどうぞ良いお年をお迎えくださいますようご祈念
申し上げます。

※次号のメールマガジンは、1月6日(木)に配信します。

2004年12月16日木曜日

お年寄りは元気です


 今年のえびす講の花火は綺麗でした。例年晩秋のこの時期の花火
は、空気が澄んでいて、寒いことを除けばとても綺麗なことで有名
ですが、今年は天気にも恵まれ、例年より暖かく、絶好の花火日和
でした。人出も18万人ということですが、会場となった犀川第二
緑地一帯は人で一杯、夜店の数も例年より随分多いと感じました。
風がなくて花火の煙がなかなか流れず、次の花火の邪魔になったく
らいでした。

 そんな中、毎年、打ち上げ場所のすぐ北側の「サンライフ長野」
の2階に、喜寿(77歳)の皆さんとその家族をご招待して、花火
を観ていただく催しが行われています。商工会議所の会頭さん、市
議会の副議長さんと一緒にご挨拶をさせていただき、記念写真を撮
っていただきましたが、皆さんとてもお元気でした。

 100回目を迎える来年のえびす講煙火大会でも、多分また喜寿
の皆さんの招待は行われると思いますので、多くの方にお集まりい
ただきたいものです。

 今週は、元気なお年寄りをテーマに、歳をとっても新たな挑戦を
続けている方や、ユニークな取り組みをされている方を紹介したい
と思います。

 9月は老人の日を中心に、テレビで元気なお年寄りの話題が随分
多かったように思います。もちろん元気な話題だけでなく、“オレ
オレ詐欺(振り込め詐欺)”とか、ひとり暮らしの老人が殺害され
たとか・・・、気が滅入るような悲しい出来事もありますし、本当
にどうしてこんな事件が起きるのか信じられない思いをすることも
多いです。確かに日本の高齢化の進行は他の先進国に見られない速
度で進んでおり、急速に日本社会は変化しているようです。

 でも元気な方もたくさんいらっしゃいます。NHKのテレビで見
たのですが、98歳の方がご自分の経営する障害者のための学園で、
教材を工夫して作って成果を上げている。しかもご本人は95歳か
ら中国語を学び、中国で障害者のための講演(中国語で)をやった
り、教材を紹介して喜ばれたり・・・・、正に超人です。そして専
門家の先生がその方の脳を調べてみると、脳の海馬の部分が新しく
活性化していて、こういうことがあるとは凄い発見だというような
ことを言っていました。

 また、102歳の方が奥さんを亡くし、若干の痴呆もあって何も
できなかった状態から一念発起し、走ることに挑戦、5kmマラソ
ンの記録を出す。そしてご自分では「走るなんてもんじゃない、歩
いているようなもの!」なんておっしゃっていましたが、どうして
どうして、たいした方です。

 三浦敬三さん(世界的スキーヤーの三浦雄一郎さんのお父さん・
100歳)もテレビで元気な話をしておられました。現在でも現役
のスキーインストラクターとして活躍し、99歳でモンブラン山系
最長のフランス・バレーブランシュ氷河を滑り降りるという6度目
の冒険スキーにチャレンジし、見事成功するという偉業を成し遂げ
ましたが、スキーのトレーニング中に骨折したことを悔しがってお
られたのは印象的でした。次の目標はツェルマットを滑ることだそ
うです。

 これらの番組を見ていて感じたことですが、人は年をとっても、
生きている限り可能性を信じて努力すること、ある意味では何かを
継続してやり抜くことが、ボケ防止や寝たきりにならないで長生き
する為の大切な要素ではないかということです。95歳から中国語
を勉強しようなんて、語学音痴の私にはとても信じられませんが、
でもそういう方がいらっしゃる、そして専門家もびっくりするほど
の脳の構造に変わっていくというのですから・・・。(ただ生涯現
役ということで、頑張ることは結構なのですが、年をとるとどうし
ても頑固になり、融通性がなくなるという傾向はあるようです。若
い人の活躍の邪魔にならず、仲良くいたい、そして、聞き上手にな
ることも、我々の世代になると、大切なことでしょう。)

 今度、長野市で信州大学の大下教授のお勧めで「健康麻将(マー
ジャン)初心者講座」を始めました。手先と頭を使うため、ボケ防
止に役立つのだそうです。まだ始まったばかりですが、評判は上々
で、お年寄りが喜んで参加されているようです。仲間作りにも良い
とのことで新しいコミュニティーが生まれているようです。

 読売新聞の記事によりますと、1988年に設立された「日本健
康麻将協会」(本部・東京都)が提唱し、全国のマージャン店など
と協力して主に昼間に遊び場所の提供や教室の開催を行っていると
のことです。昨年1年間で、延べ10万5千人(初心者教室の参加
者を除く)と、前年より1万2千人も増えたそうです。

 健康麻将のルールは(金を)賭けない(酒を)飲まない(タバコ
を)吸わない、そして「先ヅモ厳禁」と前後の挨拶をすることだそ
うです。信大の大下教授によると「過去の悪い印象を除けば、マー
ジャンほど面白いゲームはありません。ファミコンやテレビゲーム
よりはるかに面白い」そうです。そういえば、これもかなり前にテ
レビで見た話で恐縮ですが、中国でもお金を賭けないマージャンが
「競技」として行われているそうです(そのうちにオリンピック
種目になりませんかね???)。

 私のマージャン好きは昔からの仲間はみんな知っています。学生
時代の徹夜マージャンから社会人になってからも随分楽しみました。
今にして思えば随分無駄な時間を費やしたなあという悔いも若干残
っていますが、でも健康麻将の提言を受けてすぐ反応できたのは、
マージャンの楽しさを知っていたからなのでしょうか。来年あたり、
「市長杯」を出してくれというような話になれば楽しいなあと期待
しています。

 私も含めて、現在のマージャン愛好家がこのルールのマージャン
に入ってくるかどうかというと、正直言って当面は難しいでしょう
ね。でもみんな高齢者になってきていますから、いずれ友達が欲し
くなって、仲間になってくると私は思っています。それよりマージ
ャンが世間に認知されたゲームとして、オリンピックや日本選手権
に登場するようになれば、張り切って我こそはと名乗りを挙げてく
るはずなのですが。

 思い出話をひとつ。塚田前市長の前の故柳原市長が、お酒とパチ
ンコが大好きだったことは有名です。昭和48年、柳原さんが最初
の市長選挙に当選された後の話ですが、柳原さんから「マージャン
をやりましょう、青年会議所の皆さんとでどうですか?」と誘われ
ました。そして卓を囲んだのですが、柳原さんは大きな風呂敷包み
を抱えて来られて、その中から小物を沢山出し、「今日は、上がっ
たら景品を上げます」という話。今なら100円ショップで売って
いるようなものや飴玉みたいな景品でしたが、いい思い出として記
憶に残っています(でも、それ以後、柳原さんのお誘いも、私たち
の仲間からの挑戦もなく、1回で終了しました)。

2004年12月9日木曜日

おじゃまします、長野市長です


 11月1日の鬼無里村を皮切りに、15日大岡村、22日戸隠村、
24日豊野町と、合併する町村を訪問させていただき、住民の皆さ
んと話し合う機会を持つことができました。

 合併する町村の住民の皆さんの中には、長野市民になることに不
安を感じている方がいるかもしれない、その不安を払拭したい、合
併協議の間、町村の中では賛否両論があったはずなので、合併が決
まった以上皆さんのわだかまりを一日も早く解消したい・・・そん
な思いでした。

 私とすれば、もっと早い時期に実施したかったのですが、合併が
決まる前にやることは町村政に干渉することになるという心配もあ
り、県議会が合併決議をして県知事が総務大臣に書類を送付し、実
質的に決まったこの時点で町村にお願いして実現したものです(正
式には11月18日、総務大臣の告示が行われ、来年1月1日の合
併が確定しました)。

 会議はそれぞれの町村の集会場で行われ、180人~270人ぐ
らいの出席をいただきました。長野市内で行っている「元気なまち
づくり市民会議」と比較して、人口比で考えればかなり多くの住民
の皆さんに集まっていただいたと感じています。

 町村長さんと議会議長さんの挨拶の後、私(市長)が挨拶をし、
スライドを使いながらそれぞれの町村との合併協議の経過、そして
住民の皆さんの生活がどう変わるのかについて・・・特に生活に密
着した住民サービス、住民負担の変化について率直に話させていた
だきました。

 合併協議段階での基本方針は、長野市と周辺町村を比較して、

1.長野市の住民サービスが良い、あるいは負担が軽い場合は長野
  市の制度を適用する。
2.町村のサービスが良い、あるいは負担が軽い場合は、財政負担
  等を考えて調整する。

 というもので、後者の場合は町村の住民にとって不利になること
もあるわけで、後でこんなはずではないと感じられることだけは避
けたいと考え、サービスの低下するもの、住民負担が増えるものに
ついて、具体例をもって率直に説明させていただきました。そして
最後に将来の新市の目標について「都市と自然が調和する多軸都市
ながの」を目指し一緒に頑張りましょうと結びました。

 私の説明の後、参加された皆さんからご意見・ご質問をいただき、
私あるいは同行した企画政策部長から答えさせていただきましたが、
基本的には前向きのご意見が多く、特に問題は無かったと考えてい
ます。ただ豊野町でのご意見の中で、浅川治水に関し「ダム問題に
は興味は無い。問題は鳥居川であり、千曲川の狭さく部である」と
いう意味の意見表明がありました。今回は一切触れなかった浅川に
関する長野市の見解に対する批判意見かもしれませんが、浅川と鳥
居川は合流しているわけですから、治水に関しては「上流と下流の
コミュニケーションが大切」ということを、お話しさせていただき
ました。

 最後にそれぞれの町村の助役さん、あるいは収入役さんの挨拶が
あって終了しました。終了後、町村長さんの部屋でお茶をいただき
ながら、会議の結果について意見交換をさせていただきましたが、
住民の皆さんにおおむねご理解いただけたのではないかとの感想を
いただきました。私も合併前にきちんとお話ができて良かったと感
じています。

 話は変わりますが、本年度の各地区での「元気なまちづくり市民
会議」は、11月28日で終了しました。7月から始まって、市内
26地区(27会場)で開催させていただきました。今年は半数以
上の15地区において土・日曜日に開催しました。地域の皆さんは
もちろん、私に同行する市職員も結構苦労してもらった、という気
がしています。

 会議では、最初に私から本年度の長野市の重点課題ということで

1.市町村合併と都市内分権の推進
2.行政改革の継続と民間活力の導入
3.環境対策(ゴミ問題)の充実
4.教育問題(中心市街地小学校の統合と市立高等学校)の充実
5.公共交通機関の整備・充実

 これらの概略を説明してご理解を求めたあと、都市内分権につい
て少し詳しく説明させていただきました。続いて地域からのご意見・
ご要望、そして参加された皆さんから自由意見をお聞かせいただき、
それぞれ同行した部長が対応についてお答えし、最後に私が出され
たご意見・ご要望に対する総括的なお話をさせていただきました。

 平成14年度の市民会議から「自由討議」の時間を増やして欲し
いと主催する各地区区長会にお願いしてきましたが、時間の制約も
あり、なかなか満足いく形にはならなかったように感じていました。
しかし、今年はかなり意見も多くなり、理想に一歩前進したように
感じています。

 来年は合併に伴って30地区になるわけで、日程的にかなりハー
ドになることは避けられません。最初と最後の市民会議の開催日が
約半年離れてしまうこともやりづらい面があります。少し工夫をし
たいと考えています。

2004年12月2日木曜日

「中核市サミット2004in宮崎」に出席しました


 今年の中核市サミットは、九州宮崎市で開催されました。

 中核市制度というのは、前にも申し上げたことがあるかと思いま
すが、政令指定都市以外で、人口30万人以上(人口50万人未満
の市は面積100平方キロメートル以上)の市に対し、政令指定都
市に次ぐ事務権限を認め、できる限り住民の身近なところで行政を
行うことができるようにした都市制度です。

 この中核市制度は平成7年に施行され、翌年12市でスタートし
ました。長野市は冬季オリンピック終了後の平成11年4月に中核
市に移行し、サミットに仲間入りしました。中核市は現在、全国で
35市ありますが合併が進むともう少し増えるかもしれません。

 (財)地方自治研究機構理事長の石原信雄さんの基調講演では、
市町村合併が一段落すると、地方公共団体の中で力のある所と無い
所の二極分化が起こる、そして道州制論議が盛んになって、都道府
県の空洞化は進む。その中で地方分権の旗手は中核市だ、その責任
を覚悟をしてほしいという内容の講演をいただき、中核市の果たす
役割の重要性を説明していただきました。

 その後、第4分科会に出席、「市民との協働によるまちづくり」
について意見を述べさせていただきました。できるだけ具体的にと
いう注文がついていましたので、私は理念の話はやめて徹底的に具
体論を展開しました。

 他市の市長さんたちの話を聞いてみると、総合計画に位置付けた
り、指針を策定しているのはどこも同じように感じました。

 具体的に長野市では、「市民と行政とのパートナーシップによる
まちづくり」を掲げ、あらゆる分野において市民との協働を進めて
いること。一例として、市内の中心市街地の空き店舗を改修し設置
した「こども広場(じゃん・けん・ぽん)」では、企画段階から
NPO法人が積極的に関与し、開設後の管理・運営をこのNPO法
人に委託していること。自由な発想と柔軟な対応により、大変評判
の良い施設となっており、開設後1年5ヶ月余りで利用者が10万
人を突破したことなど。また、「市民公益活動促進のための基本方
針」を平成15年3月に策定し、協働によるまちづくりに必要な基
本的なルールや具体的な方策の骨子等を定めたことや、平成15年
4月には、市民自らの知恵と責任による自主的なまちづくりを資金
面で支援するために、「ながのまちづくり活動支援事業」を創設し、
市民の代表により組織された公開審査会で補助金の決定を行うなど、
事業の透明性・公平性を保ちながら実施していることなどについて
発表し、実際にどのようなNPO等がどのような事業のために、ど
の位の資金を獲得したか、実例をお話しました。

 次に、市民公益活動や交流を行う上で必要な場所の提供として、
「市民公益活動センター」を中心市街地の空き店舗に設置し、活動
の支援、情報の共有化を図っていること。また、このセンターには、
「NPO共同オフィス」として12のブースを設け、月5千円の使
用料で貸し出していることもお話しました。

 市職員に対しては、「市民公益活動団体との協働をどのように進
めるか」をテーマとした研修会を実施するとともに、市民公益活動
団体が市政への協働提案を行いやすくするため、福祉、環境、まち
づくり等、協働活動に関わりの深い41の所属に協働推進員43名
を配置し、協働に適した事業の事務手順を定めた、職員向けの「協
働マニュアル」を作成して、庁内におけるソフト面での環境整備を
進めていることを発表しました。

 次に、地域における取り組みについては、長野市は過去の合併の
経緯により26の地区に分かれており、地域の行政運営を円滑に進
め、地域の声を迅速に行政に反映させるため、都市内分権を提案し
ていること。NPOの専門性と地縁団体の人間関係のネットワーク
をいかに融和していくかが、今後の課題と考えていることなどにつ
いてお伝えしました。

 長野市は、自治会加入率が91%と非常に高く、各自治会の代表
者の集まりである区長会は、地区住民の合意形成を行うための組織
として、重要な役割を果たしている。また、各地区には、当市が抱
える課題を解決するために、環境美化連合会、交通安全推進委員会、
青少年健全育成地区会議など、市の要請によって分野別の団体を設
置していただき、地区内での活動を促している・・・ということを
お話しましたが、終了後、91%の加入率は驚異だという市の方が
いました。

 次に、市民との協働によるまちづくりにおける課題につきまして
は、市民公益活動促進のためには、市民と市職員が互いに協働に対
する認識を一層深め、自主性・自立性を尊重した対等な立場で、地
域における様々な課題の解決に向けて、どう取り組んでいくか。ま
た、協働の相手となる市民公益活動団体の人材育成や資金調達に対
する支援等も大切と申し上げました。

 地域における区長会や各種団体による取り組みにつきましては、
全国的な傾向として、従来の住民組織は役員の高齢化や自治会活動
への意識の低下などにより、活動の担い手が不足し、地区内の課題
を地区自らが解決することが難しくなっており、行政への依存が強
まっております。一方、行政側も、少子・高齢化や核家族化の進行
などにより、住民ニーズが複雑化・多様化しており、行政サービス
の領域が拡大している状況です。

 長引く景気低迷や人口減少時代の到来に伴い、右肩上がりの税収
増加は見込めず、行政が全てを担うことが難しくなっているため、
今後は市民の自治意識の高揚を図り、市民と行政との協働関係を構
築することが重要であると訴えました。

 NPOの持つ専門性と地縁団体が持つ地域内の人的ネットワーク
を生かしながら、連携・協働を進めることは、地域の課題解決にと
って有意義と考えられることから、今後どのような方法でこれらの
団体の連携を図るか、そのためにどのようなシステムを構築するか
が、市民との協働によるまちづくりを成功させる上で重要であると
捉えていることをお話しました。

 最後に、都市内分権を実施するためには、市民の皆さんの理解と
協力が不可欠であり、市民の「自らの住む地域を良くしたい」「自
分もまちづくりに参加したい」という意識を高める方策や市民が地
区活動に積極的に参加できるよう、企業等の協力を得ることが重要
と主張しました。

 翌日は、バスに乗って行政視察に出掛けました。宮崎市はスポー
ツに力を入れてまちづくりをやっていることが良く分かりました。
宮崎市立の「生目(いきめ)の杜運動公園」は、1万1,000人
収容の野球場「アイビースタジアム」を中心に、第2野球場、多目
的グラウンド、雨天練習用の「はんぴドーム」などがある立派な公
園ですが、まだ半分しか完成しておらず、平成21年の完成に向け
て工事中でした。

 宮崎県総合運動公園は、プロ野球巨人軍のキャンプ地で有名です
が、サンマリンスタジアムを中心にあらゆるスポーツができるよう
な施設が整っている広大なものでした(さすがに冬季スポーツ関係
の施設はありませんでしたが)。木の花ドームでは巨人軍の秋季キ
ャンプの最終日で、打撃練習をやっていました。

 野球場を中心とする施設を視察させていただきましたが、施設使
用料が非常に安いというのが率直な感想です。

 日南海岸の青島方面も視察しましたが、この時期でもサーフィン
に興じる若者が沢山いるのにはびっくりです。聞くと通年可能だそ
うで、サーファーの大部分は宮崎県人ではなく、関西、そして関東
からの人であり、みんな働きながらサーフィンを楽しんでいるそう
で、中には住み着いてしまう人もいるそうです。

 宮崎市は平成18年の1月1日に周辺4町と合併する予定だそう
ですが、いろいろお聞きすると大変なようです。周辺の4町は、約
9万人と人口が結構多く、合併後は40万都市になるそうですが、
全国的にも先駆的に合併特例区及び地域自治区の設置に向け準備を
進めており、地方分権の目指す自治体の強化にしっかりつながって
行くのかどうか、宮崎市の担当者も迷い、苦心しながら事務処理を
続けているように感じられました。