今日は、官庁の「仕事納め」の日です。明日から、6日間の年末
年始の休みになります。もちろん、継続的な市民サービスが必要な
職場では、年末年始の休み中も公務に携わっています。特に今回は
市町村合併を控えているため、窓口事務や情報システムなどに支障
のないよう担当職員は年末年始休暇を返上して取り組む予定です。
また、合併町村の標識や看板の書き換えも急ピッチで行われており
ます。
豊野町・戸隠村・鬼無里村・大岡村との1月1日の合併まで、あ
と4日となりました。大晦日の夜は、住民の皆さんによるカウント
ダウンイベントが各地で計画されており、新市誕生のムードもいよ
いよ高まってまいりました。
新たに長野市民になられる皆さんが、一日も早く長野市に慣れ親
しんでいただけるよう、私たちは大きな心で歓迎したいと思ってい
ます。
合併により長野市は、約738平方キロメートルという大変広大
な面積になります。全国に誇れる、魅力溢れる豊かな自然と観光ス
ポット、そして、恵まれたスポーツ環境を十分に活用して、市民の
皆さんや各地域が光り輝き、そして、都市と自然が調和する 「多
軸都市ながの」を目指し、来る年の干支である「酉」の如く、皆さ
んと一緒に羽ばたいてまいりたいと思っております。
さて、合併には「民意」の把握が不可欠であります。豊野町・戸
隠村・鬼無里村・大岡村の住民の皆さんも、それぞれの町村の将来
を真剣に考え、長野市との合併を選択したものです。私は編入合併
される側の立場は、哀しさと寂しさ、そして期待が入り混じった複
雑な心境であると思います。長い町村の歴史が終わるわけで、先輩
への申し訳ないという思い、あるいは住民が合併して良かったと思
えるかどうかの不安、そんな思いが複雑に折り重なっているはずで
す。私は長野市との合併に踏み切った町村の閉町式・閉村式に参加
してみて本当に目頭が熱くなりました。そして、その「民意」をし
っかりと受けとめ、新市の舵取りをしっかりやっていかなければな
らないと思っております。
「山口村の越県合併問題について」ですが、皆さんはどう感じて
おられますか?私は、長野市長としてこの件で発言することは、問
題を混乱させるだけと考え、公式発言は控えてきたつもりです。
皆さんのご承知のとおり、知事は、合併議案を9月、そして、
12月の県議会に提出しなかったため、県議会がもめにもめ、遂に、
12月22日、議員提案という形で決定されました。私は、県議会
での山口村の越県合併問題が一区切りついたため、所感を申し上げ
たいと思います。
私は、知事の泰阜村への住所移転問題といい、山口村越県合併問
題といい、どう考えてみても、知事としてあまりにもひどい行動で
あると感じています。
山口村へは私も訪れたことがありますが、素晴らしい場所で、村
民の皆さんが本当に島崎藤村を誇りに思っておられる気持ちが伝わ
ってきて、感心したことを覚えています。
そんな山口村が、長野県から岐阜県に移るという話を聞いたとき、
残念に感じたことは事実です。しかし、山口村の地形は岐阜県中津
川市に向かって開けており、古くから中津川市、坂下町との交流が
深く、経済的にも両市町との関係が深いとのこと、そして昭和33
年に大変な騒動があって、旧神坂村が中津川市に編入合併され、山
口村と引き裂かれたという歴史、加えてテレビも長野県側の放送は
視聴できないといった実態をお聞きすると、生活圏は長野県には無
いのかなあ、ということを感じざるを得ませんでした。
さらに、今回の合併に際し、アンケート調査や投票方式による村
民意向調査を実施し、民主的な手段で、住民の意思を確認してきた
ことで、やむを得ないと思っていました。
知事は当初、この合併については十分理解を示していたと、その
言動から推察できます。そのため、合併推進重点地域のお墨付きを
出してもいたわけです。ところが、合併協議が滞りなく進められ調
印が行われてから、後になって「長野県が溶ける」と合併反対の姿
勢を打ち出し、県民意向調査をするなんて話は、事態を混乱させ、
山口村の民意を踏みにじるものだと思います。
今までに、知事は何をやっていたのか、よく分かりません。県民
の意思を聴くというならいくらでも方法はあったはずで、山口村の
村民の意見をどの程度聴いたのか、理解に苦しみます。法定合併協
議会が終了し、合併の調印が行われてから、県民意向調査をするな
んて話は、民意を無視した言動ではないでしょうか。仮に県民意向
調査で合併反対となったら、どうするのですか?事態を混乱させ、
山口村の民意を踏みにじるだけです。どこかで気が変わってしまっ
たのでしょうが、住民の心をもてあそんでいるとしか、言いようが
ないと私は思います。
山口村の手続きは極めて民主的に行われたと言われています。山
口村は、村議会での議決も行って、万感の思いで知事に書類を提出
したと思います。私は、長野市に編入合併する町村の皆さんと接し、
編入合併される町村の立場がよく理解できます。山口村も編入合併
ですから、調印するまでに当然葛藤があったはずで、知事が、途中
まで合併を認めておいて、途中で気が変わったというのは許せるこ
とではありません。
もちろん、山口村の合併反対派の方々の存在は、心が痛みます。
しかし、住民意向調査で決まった結論ですから、少数意見を大切に
しなくてはいけないとはいえ、議論を尽くした上で最後は多数決で
決めることはやむを得ない選択だと思います
今回の県議会では、最終的に、議員提案という異例な方法で行わ
れ、大差で合併議案が可決されたわけですが、私は、知事の行動こ
そが、結果として、山口村を岐阜県に追いやる世論を作り上げてし
まったと思います。理由は2つあります。
一つは、もし知事が早くから越県合併反対という世論喚起に努め
ていたら、または、山口村が長野県にとどまれる諸施策を提案して
いたら・・・。あるいは最低でも議論をするために、議会に正式に
議案を提出していたら・・・。少なくとも議会はあんなに圧倒的な
差では決まらなかったでしょう。私の周辺にも、馬籠は長野県であ
ってほしいという意見はたくさんあります。議会も世論も、知事の
民主主義への挑戦に対して、団結してしまったということでしょう。
もう一つは、知事の考えが分からず、みんなが振り回された。自
分の心の中を示さないで(例えば議会に対し、議案を提案しないと
は言わないで「葛藤している」という言い方)、みんなが右往左往
していることを楽しんでいる・・・・。密室政治という言葉があり
ますが、これは密“心”政治といえる、まさに形の変わった独裁政
治というべきだと思います。
さて、今後は知事の対応次第となりました。2月13日の合併に
間に合うよう総務省に申請してほしいと思います。山口村、そして、
中津川市や合併予定町村の皆さんが、知事の犠牲になるのは気の毒
です。直ちに総務省に申請することが、せめてもの罪滅ぼしではな
いでしょうか。
私は、泰阜村への住民票の異動問題についても、知事が自分の裁
定の誤りを認めれば問題が収まるわけで、「知事の判断一つで決着
する話」という意味では、山口村の越県合併問題と同じなのかなと
思っています。