2005年6月23日木曜日

温湯地区温泉利用施設整備・運営PFI事業がスタートしました


 長らく市民の皆さんに親しまれてきた温湯(ぬるゆ)温泉市民セ
ンターが老朽化したため、平成15年度をもって閉館させていただ
いたことは、ご存知の方もいらっしゃると思います。そして新たな
施設整備が要望される中で、新しい温泉掘削にも成功したこともあ
って、長野市としてもなんとか地元の皆さんの要望に沿いたいと考
え、各方面との話し合い、事業化の検討、建設場所の選定作業等に
取り組んでまいりました。

 このたび、地元の皆さんのご協力も得て、綿内東山工業団地内の
一角に、市民の皆さんの憩いの場に加え、老人福祉センターを併設
する温泉利用施設を設置することになり、5月21日(土)安全祈
願祭が行われました。ここに至る間、地元意見の調整にご努力いた
だいた県議会議員さん、市議会議員さん、地元の区長さん、綿内東
山工業団地の皆さんに、感謝申し上げたいと思います。

 本事業の一番の特徴は、施設の建設から運営まで、PFI(注)
を使って、民間資金や運営ノウハウを活用する事業化への取り組み
ということであります。この手法は長野市ではもちろん、長野県内
でも初めてということで、非常に注目を浴びています。この財政難
の時期、今後も大いに活用したい手法ですが、長野市としても初め
ての計画なので、ここに至るまでにいろいろ研究してまいりました。

 PFI事業方式を採用するには、「事業が小型すぎるのではない
か」、「延べ払いの公共事業に過ぎない」、「手続きがやっかいで
実施までに時間がかかりすぎる」など、いろいろなご意見をいただ
きました。しかし、このPFI方式は民間活力導入の一つの選択肢
であり、民間ノウハウが活用され素晴らしいサービスが行われるう
え、一度に多くの資金がいらない、維持管理経費を含めたトータル
コストも低い、もしかすると新しい産業が起きるのではないか・・・
そして契約期間(今回は15年間に設定されました)終了後は、名
実ともに長野市の資産になる・・・ということからPFI方式とい
う手法を活用してサービスを提供する魅力は充分にあると判断し、
踏み切ったものです。

 3月25日(金)に議会の議決をいただき、SPC健康福祉マネ
ジメント株式会社さんと正式契約いたしました。本施設の建設・運
営をお願いする「SPC」とは特別目的会社というもので、今回の
場合は、設計会社、建設会社、施設運営会社等がグループを組んで
温湯温泉施設の建設と運営という特定した目的を達成するために、
設立された会社です。この会社の母体となるグループが総合評価一
般競争入札に参加し、選定委員会において事業者としての決定を受
け、その後正式に会社(SPC)を立ち上げ、長野市と契約して事
業に取り組むことになったわけです。すなわち、会社(SPC)は
温湯温泉施設を自らのお金で、設計・施工し、完成後15年間営業
し、期間満了後、長野市に施設を引き渡して、そのあと、出資者が
利益を分けあって会社(SPC)を解散することになります。その
間、利益が上がらなければ損することになりますから、皆さん一生
懸命頑張ってくださるはずで、その分サービスは良くなるというの
が、長野市の期待するところです。

 SPCが提出した企画書では、この施設は温泉を利用したプール
でインストラクターによる各種教室を開催する健康維持増進ゾーン、
各種浴槽・サウナ等を利用した温浴施設ゾーン、各種講座を開催す
る老人福祉ゾーン等からなる特徴ある施設となります。どうか、市
民の皆さんには大勢来場していただき、活気ある施設となることを、
そして事業者の皆さんには素晴らしい施設を建設していただき、良
いサービスを提供し、大いに利益を上げていただくことをお願いい
たします。

 PFI事業とは若干違いますが、現在、長野市は指定管理者制度
の導入に向けて、ピッチを上げています。5月末締め切りの募集に
多くの応募があり、ホッとしています。この制度も民間活力導入の
一つの手法であり、これから応募者について審査させていただき、
それぞれ管理者を決めたいと思っていますが、既にこの手法につい
ては、採用済みの施設があります。それは、1月1日の合併前に豊
野町が温泉施設「りんごの湯」をJAながのに、また鬼無里村が共
同作業所「てづくな」を鬼無里地区社会福祉協議会に、それぞれ指
定管理者として指定し、現在順調に運営されています。りんごの湯
については、合併後の現在は利益の半分が長野市に入る契約になっ
ています。

 いずれにしろ「民間で出来ることは民間に」という流れは、これ
からもどんどん進むはずです。もちろん手法はいろいろであると思
います。施設の目的、形態、建設年度等によってベストの方法を選
んでいくことが求められています。

(注)プライベート・ファイナンス・イニシアチブ(Private Finance
Initiative)の略。民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用
して公共施設等の設計、建設、維持管理、運営等を行う手法のことで、
平成11年に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に
関する法律(PFI法)」が成立し、国や各自治体で事業化に取り組
んでいる。