甲子園での松代高校野球部の健闘は嬉しかったですね。本命視さ
れていなかった県立高校が、しかも全員地元出身の選手の皆さんだ
そうですが、あれよあれよと言う間に県大会で優勝して、甲子園へ
の切符を手にしたと思ったら、一回戦は強豪の倉吉北に延長11回
サヨナラ勝ち、二回戦も八重山商工に負けたとは言え、最終回、相
手を追い詰める展開に、長野市民、特に松代の皆さんは大いに盛り
上がり、大きな夢を見させてくれました。ありがとう、松代高校の
皆さん。
今回の快挙は、長野市にとっても大きかったと思います。
平成15年から準備し、平成16年度に実施したプロジェクト
「エコール・ド・まつしろ」では、大成功という評価をいただき、
全国に松代の名前を発信しましたが、松代高校の快挙はそれ以上の
大きな発信力を示してくれたのではないか、と感じています。来年
はNHKの大河ドラマ「風林火山」でまた松代に注目が集まるでし
ょう・・・なんだか松代の勢いを感じますね!
8月25~27日を中心に、第27回北信越国民体育大会が、今
年は長野県が当番県ということで、長野市を中心に開催されました。
福井県、石川県、富山県、新潟県、長野県の各県選手が集合し、9
月30日から兵庫県で開催される「のじぎく兵庫国体」への出場権
獲得を目指して、熱戦を繰り広げました。
カヌーは6月・7月、水泳は7月・8月、ゴルフは8月・・・な
ど、種目によって時期を分散して開催されています。中心開催期間
となるこの3日間は、長野市では開会式のほか8競技が行われ、長
野県一円で29競技が開催されました。宣伝が足りないからでしょ
うか、選手・役員等が8,200人も参加した大会としては、あま
り話題にならなかったのは、ちょっと残念でした。
私は開会式であいさつし、飯綱の馬術競技を視察させていただき
ました。国体への参加切符を手にされた選手の皆さんには、北信越
の代表として精一杯頑張ってきてほしいと思います。
8月18日、長野プロバスケットボール設立準備委員会の皆さん
が訪問されました。株式会社長野スポーツプロダクションの方々で
すが、長野にプロバスケットボールチームを誕生させ、bjリーグ
(日本プロバスケットボール リーグ)への新規参入を計画してお
り、今後各方面へのPRなどの支援を求めたいということでした。
なお、経済的支援は不要(多分行政の)ということで、ただチーム
が誕生した際には「ビッグハット」をホームコートとして使わせて
ほしい旨の希望がありました。
現在、bjリーグは8チームでリーグ戦を展開中で、今後チーム
数を拡大していく予定とのことで、今回来庁された皆さんは
2007-08年シーズンにリーグ新規加盟の申請をしているとの
ことでした。9月には審査結果が発表されるようです。bjリーグ
は11月から3月の土・日曜日に12戦程度のリーグ戦をチームの
地元で行うもので、ビッグハットが氷を張った状態でも、その上に
2時間ぐらいで仮設コートを設置して、ゲーム開催は可能であると
のことでした。
似たような話ですが、北信越プロ野球のリーグを結成したいとい
う話がありました。長野JCシニアの人達が中心のようですが、四
国で、元西武球団で活躍された石毛選手が始めた四国アイランドリ
ーグが下敷きになっているようです。日帰りで試合ができるように
ということで、北信越といっても福井県は入っていないそうですが、
石川、富山、新潟、長野の4県で1チームずつ作って、リーグ戦を
戦う構想のようです。東京で選手選考会(トライアウト)をやって
100人の選手を選んで雇用し、4県に25人づつ均等に分けてス
タートするという話でした。
各県ごとに地元企業や個人の出資を募り、資本金約1億円で株式
会社として球団を設立。リーグは来年4月下旬に開幕、10月まで
に1チームが年間72試合を金曜日から土曜日の週末に開催する計
画だそうです。
選手の給与は月15万円前後、契約は原則一年、シーズンオフに
ついては、人材派遣会社と提携し、派遣先で働くなど、生活基盤の
確立も目指しているとのことでした。
バスケット、野球のほかにも、長野エルザサッカークラブがサッ
カーのプロ入りを目指してここ数年間頑張っています。現在北信越
リーグのトップを走っていることは皆さんご存じのとおりです。い
ずれにしろ、プロ・スポーツを目指すというのは、長野では今まで
にはあまり無かった動きです。新しいビジネスモデルといえるかも
しれません・・・でもちょっと心配もあります。
スポーツを軸にしたまちづくりを目指す長野市にとって、嬉しい
動きではありますが、果たして経済的に成り立つかどうかというこ
とです。長野地域広域市町村圏を経済圏として見ると、人口は
約57万人です。プロ・スポーツが成り立つかどうか、それも三つ
のスポーツが一度に出てきましたので・・・当然スポンサー企業を
獲得して支援をしてもらうことも必要ですが、大企業が少ない地方
にとっては困難が待ち受けているような気がします。しかも中心に
なって支えていく人たちがダブっているのではないか・・・私は若
干心配しています。
スポーツが、現在の社会の中で大きな存在になってきていること
は認めます。先ごろの高校野球はもちろんですが、サッカーのワー
ルドカップも日本中、いや世界中を興奮の渦に巻き込みましたし、
長野冬季オリンピックやSO(スペシャルオリンピックス)なども、
私たちに素晴らしい感動と夢を残してくれました。ローマ時代のパ
ンとサーカスだという方もいらっしゃいますが、日本も豊かな社会
になった証左かもしれない、という思いもあります。
私は、スポーツの持つ社会的なパワー・存在感が、社会の中で将
来も大きな存在になっていくことは時の流れであり、またそうあっ
てほしいと願っていますが、プロとなると産業です。市民に大きな
喜びを与えながら、チームが経済的に成り立ち、選手の生活が保証
できるかが、カギとなるでしょう。
プロの結成とは違いますが、長野市では小中学生のスポーツクラ
ブの全国大会進出が最近目立ってきています。全日本バレーボール
小学生大会、全日本小学生女子ソフトボール大会、全日本リトルリ
ーグ野球選手権大会、全国小学生ソフトテニス大会など、全国大会
出場報告に、市長室を訪問してくださいます。そして、全日本バレ
ーボール小学生大会で若穂ジュニア(男子)が、全国小学生ソフト
テニス大会の4年生以下男子の部で古牧小学校5年生のペアが見事
優勝されたとのことです。
プロ・アマ問わずスポーツのすそ野の広がりを感じられることは、
本当に嬉しいことです。
2006年8月31日木曜日
スポーツは元気な話題がたくさん
2006年8月24日木曜日
候補者の公約と首長の政策
長野県知事選挙が告示になった7月20日、滋賀県の嘉田由紀子
新知事が就任されました。「もったいない」を合言葉に、東海道新
幹線の新駅建設反対を唱えて、現職知事を破っての当選(7月2日
投票日)でした。無党派の風が吹いたようですがそのわりには投票
率が約45%ということで意外に低かったというのが印象です。私
は、この選挙結果が長野県知事選挙にどういう影響があるか心配し
たのですが、長野県民の判断は先日の結果のとおりでした。
私はお盆の最中、インターネットで滋賀県のホームページなどを
見ながら、その後の流れを調べ、考えてみました。
嘉田知事は京都精華大学の教授(56歳)で、琵琶湖の環境保全
運動に取り組んできた方で、きちんとした学問の裏付けを持ってい
ること、初議会でご自身のマニフェストに書かれた4項目を達成は
困難との見通しを示すなど、良い悪いは別にして、大変柔軟な思考
のできる方であること、映像等で見る限り大変誠実そうな方と感じ
ました。この方なら当初は議会や市町村との関係で苦労されるでし
ょうが、段々に理解されていく可能性はあるのではないか・・・直
接お会いしたこともありませんし、ホームページを見ての感想です
が、そんな思いを持ちました。
就任後、計画通り実行できない見通しを示したマニフェスト4項
目は、新聞記事によると次のとおりです。
(1)約2万人の県職員を2010年度までに1割削減。(1割と
は、人員でいうと2千人ということですが、どの部分を減らすのか、
定員の決まっている部門もあり、職種によっては増員しなくてはな
らないところもあって、良く調べ、検討しなくてはならないことが
分かったのでしょう。)
(2)小・中学校の35人学級を来年度から行う。(これは無茶な
話です。まず財政的問題が考慮されていないのではないか。さらに、
単なる先生の数と人件費だけの問題ではなく、先生の質の問題、一
挙に良質の先生を採用することは困難です。そして、教室等の施設
負担等がすべての市町村にかかってしまいます。)
(3)治水ダムの代わりに2015年度までにダム建設予定の河川
の改修工事を実施。(「脱ダム宣言」みたいなものでしょうが、6
カ所のダムを一律にすべてやめるというのは、地域の実情から見て
も、学問的、技術的にも無理ということに気がついたのでしょう、
それぞれの地域ごとに検討することになったようです。)
(4)1千億円を超える負担軽減のため、県造林公社、びわ湖造林
公社の統合。(これは事情を知らない私にはコメントしようがあり
ませんが、統合してコストが下がるなら当たり前のことなのでしょ
うが・・・)
東海道新幹線の新駅問題は、達成は困難との見通しを示した4項
目に入っていないのは当然なのでしょうが、県外の私たちには分か
りにくい部分もあります。議会や評論家は、「実現可能であっても
無くても、言った方が勝ち」「マニフェストは有権者との契約であ
り、変えるならその説明をきちんとしなくてはならない」・・・い
ろいろな批判が出ているようですが、その内容を読む限り、この件
に関する批判はおだやかな感じがするのですが・・・。
嘉田知事は議会答弁で、新人立候補者には情報が少ないことを理
由にあげ、知事就任以降、精査した結果、達成は困難などの見通し
を示されました・・・。強引に間違った自説を正当化するより数段
勝っており、柔軟だし、話し合いの精神もあるし、理屈は通ってい
ると私は感じています。ただ長野県民なら猛反発かもしれません・
・・県民性の違いもあるかもしれません。
評論家的な言い方で失礼ですが、嘉田知事には時間をかけ、誠意
を示し、代替案と手順、スケジュールを示して、きちんと反対論と
向き合っていただき、柔軟な姿勢を持ち続けていただきたいと思い
ます。
新駅賛成派の県議、市町村長の皆さんはこれから長い闘争が待っ
ているかもしれませんが、新駅問題にからむ本年度の県の負担金は、
先日市へ支払ったそうです、順法精神には富んでおられるようです
から、大いに議論していただきたいと思います。
滋賀県と長野県との比較は別にして、これらの問題を通して今後
大きなテーマになりそうなことが3つあります。
(1)県知事も県会議員も、どちらも県民に選ばれた人です。両者
の意見が対立したとき、「どのような解決策を見いだすべきなのか」
についてです。県知事が新規事業を行う場合は、予算を伴いますの
で、県議会の議決が必要になり何らかの決着はつくのですが・・・
長野県の浅川ダム建設問題や滋賀県の新駅建設問題のように、継続
事業の場合は知事の執行権の問題ですから、議会で決定されたとし
ても執行しないことは法的には可能であるということですので、問
題は複雑です。
(2)「行政の継続性」ということは、今後どうなるのでしょうか。
前政権が約束し、実行してきたことを、いとも簡単にやめますとい
うことは、行政の信頼を間違いなく失うことだと思います。私も市
長就任後、幾つかそういうテーマに出会っています。一つの例とし
ては、長野駅東口の整備計画です。ある会派の方々は止めるべきと
主張されました。膨大な資金が必要な事業でしたので、私もやめら
れるものなら・・・と考えた時期もありましたが、事業の必要性を
理解する中で、継続して実施していますが、事業完了までにはまだ
まだ時間がかかります、次の市長にも引き継がなくてはならないテ
ーマであると覚悟しています。下水道の全戸水洗化の事業や浅川治
水事業もこの系列に入る事業です。
(3)マニフェストという「候補者と有権者の契約」を、当選後に
一方的に破棄することが許されるのか。新人候補者には情報量が少
ないから、当選後撤回は仕方がないというのは、何となく理解はで
きますが、そのマニフェストを読んで投票した人のことを考えると
複雑です・・・。
以上、お盆に少し余裕ができたので、滋賀県のホームページなど
を見ながら感じたことを書いてみました。地方の時代が来て、地方
の権限が大きくなって、国、県、市町村の役割がドンドン変わって
きています。国、道州、市町村に変わるということも想定されてい
ますが、まだ議論は始まったばかり、詳細は分かりません。いずれ
にしろ、それぞれの役割分担、かじ取りが本当に難しい時代になっ
たと感じています。
2006年8月17日木曜日
天下りについて
少し前の話ですが、防衛施設庁の官製談合が表面化し、相変わら
ず高級官僚の天下りとゼネコン等の癒着が問題になっています。天
下りが禁止されても、それは一定期間のことで、何年か別の組織で
過ごして、禁止期間が過ぎてから天下りすれば、防ぎようがないの
が実態のようです。加えて「職業選択の自由」という憲法上の規定
がある以上、「終身の天下り禁止」ということは難しいと言われて
いるようです。
私は防ぎようが無いならば、天下りを禁止するより、観点を変え
て、天下りを積極的に認め、そのことが悪いことにつながらない、
すなわち談合や癒着にはならない方法を考えるべきと思います。
例えば、国の高級官僚が民間企業に転職する場合は50歳(仮の
数字です、場合によっては45歳とするべきかもしれません)以下
に限ると法律で決めるのはどうでしょうか。50歳以下ならそれほ
ど大きな権限が在るわけではなく、癒着が起きるとは考えにくいと
思いますし、憲法上の規定からも許される範囲であろうと思います。
そして50歳になった方には、天下りを禁止し、その代わり退職後、
働く場を国が用意し、65歳~70歳ぐらいまでは国が管理してい
くことにしたらどうでしょうか。
人数にもよりますが、国にとって必要な人材は当然あるはずです。
年金問題(65歳支給開始)もありますから60歳定年制はそろそ
ろ考える時期だと思います。
一生懸命働いて定年を迎えたのだから、転職はいやだ、悠々自適
の生活を楽しみたい、そんな方ももちろんいらっしゃるでしょう。
何かの事情で勤めをやめる方もいると思いますが、そういう方は関
連した業界への再就職はしないという誓約書を出して退職し、1年
に1回国に報告するシステムを確立すればよいと思います。
ただ幾つか条件が必要だと思います。報酬をどうするか、退職金
をどうするか、整理しなくてはならない問題はたくさんあると思い
ます。猪瀬直樹氏の本で知ったことですが、赤字公団の理事長の年
収が2,000万円を越すこと、そして退職金も相当な額になるこ
とに、あぜんとしたことがあります。こういう話が理解できないの
です。少なくとも2度目の勤めでしょう。ボランティアとは言いま
せんが、節度が必要です。
いずれにしろ天下りを良い意味で活用することは、国家の資源の
有効活用です。希望があるなら地方公共団体に派遣するというのも
あるかもしれません。経験を生かし、活躍の場があれば、素晴らし
いことではないですか。出身地へ戻って働く場が得られれば理想か
もしれません。今でも中央官僚から知事や市長に出馬する人はいく
らもいるのですから、別に不思議ではないでしょう。
退職後の人材派遣ではありませんが、長野市では歴代財政部長に
総務省から来てもらっています。市職員には良い意味で刺激もあり、
国の考え方を知って、政策の方向性を示してもらえる、あるいは地
域のしがらみにとらわれない見方ができる等々、その必要性は大き
いと思っています。
話は少し変わりますが、国家公務員を減らすという話が現実性を
持って語られています。小さな政府を目指す意味で、それは必要な
施策であるとは感じていますが、ひとつ注意しなくてはならない面
があります。それは研修派遣と称して、地方自治体から国の省庁等
へ職員派遣が行われているのです。
長野市からも環境省、総務省・・・計7人を派遣しています。長
野市とすれば、職員の能力を高めるため、又国の政策の方向性を知
るため、今後も要請があれば、あるいは機会があれば派遣するつも
りですが、実際には単なる研修生ではなく、各省庁等では戦力にな
っていると思っています。それだけ優秀な職員を選抜しているつも
りです。
もちろん長野市だけの話ではなく、いずれの県や市町村も派遣し
ているのではないでしょうか?トータルすればかなりの人数になる
と思います。ですから単に国家公務員を何%減らすと言っても、こ
ういう派遣職員数のことも考慮しなくてはならないと思います。た
だそうは言うものの、地方自治体職員の受け入れはやめると言われ
ても困りますが・・・。
こんなメルマガを書いているうちに、行政関係の雑誌を読んでい
たら福島大学教授の今井照氏の以下のような記事に出会いました。
一部ご紹介しますと、
『中央省庁に勤務する私の友人の職場では、管理職を除く12人の
課員のうち、6人が自治体からの出向者らしい。このうち、2人は
正規の手続きを取り、一時的に国の職員に身分を切り替えているが、
残り4人は、あくまでも市町村や都道府県の職員のまま国の業務に
携わっているという。つまり、人件費は自治体が持っている。』
同じ記事の中で、総務省の発表したまとめによると、『国から自
治体へは1613人、自治体から国へは1764人が出向している』
とあるのですが、長野市の実態からするととても信じられない数字
です。ひょっとしたら、広く行われている自治体からの研修派遣が
カウントされていないかもしれないと教授は述べておられます。
正確な情報はありませんので、よく分からない話ですが、単純に
国家公務員を5%減らすと言っても、地方自治体の研修派遣や外郭
団体への派遣人員についても考えなくてはならないはずですから、
簡単ではないはずです。
長野市でも市の外郭団体に職員を派遣しています。具体的には長
野市社会福祉協議会、長野市開発公社等へ正規職員を派遣していま
すが、その人件費は実質的には長野市から補助金として組織に支払
い、組織が市の規定に基づいて支払っています。もちろんその必要
性については当然良く検討した上で行っていますし、予算書にすべ
て載っている話ですから問題はないのですが、市民の皆さんから見
れば分かりにくい話だと思います。
それとは別に、退職後の管理職の人に長野市の施設の所長等をお
願いしています。以前にもメルマガに書いたことですが、賃金はか
なり低くなっており、私としては申し訳ない気持ちでお願いしてい
ます。
いずれにしろ人口減の時代、そして高齢者が増加している時代で
す。60歳の定年制はどんなものでしょうか?国の資源の無駄遣い
をしないよう・・・そして公平感を失わないよう・・・小さい政府、
行政改革、そして雇用率との絡みでも難しい問題です。
もうひとつ、最近これは不合理だなあと感じていることがありま
す。それは公職の選挙に立候補する場合、一般職の公務員、議員、
首長などは、職を辞してから出馬しなくてはならないということで
す(例えば、市長は任期満了の市長選であれば現職のまま立候補で
きますが、市議会議員が市長選に立候補した場合には立候補と同時
にその職を失います)。民間企業の場合、在職のまま立候補する事
例が見られます。あるいは農業、医師、弁護士等のいわゆる個人事
業主の場合も、別に職を辞してからという必要がないわけで、これ
は著しく不公平だと思います。
自由な立場で選挙に出る人、自分の職をかけて(大げさに言えば
負けたら無一文になる覚悟をしなくてはならない人)必死の思いで
出る人・・・・この競争は少なくとも公平とはいえません、考える
べき問題です。兼職ということももっと自由に許されるべきではな
いでしょうか。行政職の中に市長、あるいは議員に出てほしい人が
いる、でも負けたら生活に困るだろうから推薦しにくい・・という
人はたくさんいそうですし、人材の有効活用という意味でももった
いない話です。
当選後どうすればよいかは研究する余地(給与・報酬の二重取り
防止など)はありそうですが、一般職の公務員の政治的中立の確保
・職務専念義務という原則がありますので、何らかの制度を整えた
うえで、少なくとも現職のまま、選挙に立候補できるようにすべき
ですし、極端かもしれませんが、議員で職員という人が居ても良い
のではないか、県議と市議の兼職だって意義があるかもしれません。
いずれにしても、貴重な人材、財産ともいえる人材を十分に活用
できるシステムを構築する必要があると思います。
2006年8月10日木曜日
県知事選挙が終わって
長野県知事選挙がようやく終わり、結果は村井仁氏の勝利、すな
わち新知事が誕生しました。田中知事体制からの転換、県と市町村
が話し合いをしながら、それぞれの役割を務めていく、まさに新た
な信頼関係を「創る」ことから始まります。
私自身、長野県、そして長野市のためにとの強い思いがあったの
で、精神的には自分の選挙(市長選)より大変でしたし、長野市内
に限って言えば、悔いの無い選挙運動(公職選挙法の制約の中で)
ができたと思っています。
「輝く長野県を考える会」の近藤会長を中心にした動き、県議会
議員の活躍、長野市では市議会議員の活躍が原動力になったと思い
ます。文字通り組織選挙でした。そして、組織選挙の中から市民団
体が段々結集して、大きな輪になったと信じています。
田中知事の県政については別の機会に書かせていただきますが、
今週のメルマガでは、私が選挙運動の中で重点的に皆さんに訴えて
きた二つのことを書かせていただきます。
(1)景気を良くすることが肝要であり、そのためには資金を県内
に流すことが重要であると私は思います。田中知事はまったく逆の
手法をとり、国の補助金を断って、借金を減らしたことのみを強調
してきました。子供たちに借金の山を残してはいけないという言葉
の美しさに、反対はしにくいし、大切にしなくてはならないことで
すが、やるべきことをやらずに、借金を返したというのは、いかが
なものでしょう。周辺の県の経済が少しずつ上昇を始めているのに、
長野県の場合は、まだ良くなってこない・・・。
借金の返し方にも問題があります。県の預金を取り崩したり、優
良資産を売却したりした資金で返済していますが、それ自体は県の
スリム化ということで非難すべきことではありません。しかし、先
輩たちが過去に苦労して築き上げたモノを使っているわけで、少な
くとも自慢することではなく、むしろ先輩の皆さんに感謝すべきで
はないでしょうか。あわせて借金返しのもう一つの方法論はやるべ
き仕事をしていないという点も強調しておきます。社会全体がシュ
リンク(注)していく中で借金を返すことのみに熱心では、結局借
金の重みに耐え切れなくなってしまう・・・。
(2)組織を動かしたことが無い人であるがゆえか、時間の経過と
ともに、県組織がどんどん壊れてしまった。県職員労働組合のアン
ケートで、知事の支持率が3.6%という数字にはびっくりしまし
たし、信じられない数字でした。私には長野オリンピックのころか
かわった県職員は優秀だったという印象があります。それに比べ今
の職員は走り使いに見えて仕方ありません。自分の意志を表現して
いないように感じます。
市町村の職員も地方分権一括法が出来るまでは、「国の機関委任
事務」をきちんとすることが本務であり、創意工夫は求められなか
った。そういう意味では、市町村職員は国の走り使いだったかもし
れません。しかし、法律が変わったことで市町村職員は自ら提案、
工夫をすることが求められ随分変わってきています。
その意味では県の職員が昔の市職員のように、「知事の委任事務」
の走り使いになってしまった、すなわち県の重要な財産の無駄使い
をしていると思うのです。
5年前、私が長野市長に就任したとき、ひそかに抱いていた目標
が三つありました。
①行政はすべてをやることはできない。市民の協働の力が必要だ。
②民営化は時の流れ。徹底的にやろう。
③きちんとした政治。田中知事が誕生して一年、これでは無理だ。
変えなくてはならない。
この三つの目標は、あまり公にはできませんでしたが、私の信念
と言ってもよいと思います。そして①は都市内分権が始まり、少し
ずつ形になってきました。②は指定管理者制度などが誕生し、追い
風が吹いてきました。そして③は今回の選挙で実現されました。
県民が選択した村井新知事が誕生して、私の政治的判断が間違っ
ていなかったことが確認できたと考えています。市町村長が県知事
選にあまり首を突っ込むべきでない、もし負けたらどんな責任をと
るのか・・・とメディアの方に聞かれ、負けるとは思っていないか
ら考えていないと言いながら、投票日が近づくにつれ、胃が痛くな
る毎日でした。
これからは村井新知事とじっくり話し合いながら、新たな信頼関
係の構築に努めていきたいと思います。
村井さんは選挙に当たって、具体的な事柄についてはあまり踏み
込んだ発言をされませんでした。これは当然です。県民世論に推さ
れて、政策作りの時間の無い中での立候補ですから、県全体のこと
はこれから勉強されるのでしょう。この段階で踏み込んだ発言はで
きないし、すべきではないと思います。県職員、県議会、市町村と
じっくり話し合い、それから施策を打ち出していく、その姿勢が大
切だと思っています。村井さんはそれができる方です。村井新知事
に大いに期待したい、ざっくばらんに、腹を割った話をしたいと思
っています。
(注)シュリンク(Shrink)とは「小さくなる」の意。
2006年8月3日木曜日
元気な話題が続々
岡谷をはじめ各地に雨による災害が起き、お亡くなりになった方
もおられます。被害を受けた皆様に心からお見舞い申し上げます。
長野市でも農作物被害だけでなく、道路や路肩等に大きな被害を被
りました。復旧には13億円程度掛かるということで、大変です。
今回の災害について書こうと思っていたのですが、どうもますます
悲観的になってしまう・・・そう思っていましたら、素晴らしい
“ビッグ ニュース”が入ってきました。松代高校の甲子園出場決
定です。そこで
被害を受けた方々には申し訳ないのですが、元気が出る話題につ
いて書くことにしました。皆さんに元気を出していただきたい、そ
んな思いで、報告させていただきます。
【松代高校、甲子園への切符】
松代高校が、甲子園への切符を手にしました。
7月28日、第88回全国高校野球選手権長野大会の最終日、県
営上田球場で決勝が行われ、長野市の松代高校が強豪の佐久長聖高
校を破って、甲子園出場を決めました。
失礼な言い方ですが、公立の高校ということで世間での前評判は
それほど高くなかっただけに、学校創立100周年という記念の年
に、初出場ということですから、まさに皆さんの喜びが爆発しまし
た。
当日、上田での試合が終わったのが、午後3時ころ。5時過ぎに
選手がバスで長野へ帰り着くまでに、松代城跡には舞台が準備され、
1,000人ぐらいの皆さんが集まって大喜び、その情報の伝わり
方の速さにはびっくりでした。それだけ決勝進出のニュースに皆さ
ん「もしかすると・・・」との期待が大きかったのでしょう。
選手が到着すると「良くやった!良くやった!」ということで大
騒ぎ。報告会終了後は、太鼓門からスタートして町中をパレードさ
れたようです。
31日には市役所へ出場報告に来られ、翌日1日には甲子園へ向
け出発されました。すべての力を出しきり健闘されることを期待し
ております。
【風林火山・プロジェクトながの、本格始動】
風林火山のプロジェクトが本格始動しました。先日、行政だけで
なく、交通事業者、旅行業者、そして地元の皆様も一緒に、実行委
員会が結成され、NHKに協力をいただきながら、来年の大河ドラ
マ「風林火山」を契機に、長野に多くのお客さんにお出でいただこ
うというプロジェクトが動き出しました。昭和44年の大河ドラマ、
海音寺潮五郎さんの「天と地と」放映を契機に、今の八幡原史跡公
園内に両雄一騎打ちの像が出来て、大勢のお客さんが訪れたことは
ご記憶の方も多いかと思いますが・・・夢よもう一度と考えていま
す。
また、「川中島の戦い」ゆかりの地の整備は、(財)東日本鉄道
文化財団の協力もいただけることになっており、大変ありがたいこ
とです。来年は長野市制施行110周年にも当たりますので、その
記念事業にも位置付けて取り組む計画です。
風林火山に大変ゆかりのある松代、その地元の松代高校が甲子園
に出場することは、私たちが、これから「川中島の戦い」を全国に
発信しようとする矢先の大変素晴らしい贈り物であり、幸先の良い
スタートが切れました。
【長野の香りが発売】
長野の香りが出来ました。長野オードパルファム「NYOZE」
が完成、商品発表会が行われました。オードパルファムとはフラン
ス語で香水という意味のようです。
現在、長野市は1,200万人観光交流推進プランを策定・推進
をして地域活性化に取り組んでいますが、「香り」をテーマにした
商品を開発して、長野をPRしていこうという意欲的なプロジェク
トです。「NYOZE」のネーミングは、善光寺創建を縁に駅頭に
立つ「如是姫」(にょぜひめ)像にちなんだものです。香りは、健
康的でエレガントなイメージだと感じています。
(財)ながの観光コンベンションビューローや(株)まちづくり
長野が中心になって企画を担当、製造は資生堂に委託し、長野市内
のお店に販売していただく計画だそうです。香りをCI(シテイ・
アイデンティティ)戦略の一環にしようということですが、長野に
お越しいただいた方々の思い出づくりとしてなかなか清新なアイデ
アだと思います。長野市民に使っていただくだけでなく、長野から
のお土産としても洒落た感じで嬉しいですね。
【ずくなしの会に出席】
みどりの移動市長室で、若槻のコミュニテイーセンターで行われ
ている「ずくなしの会」に出席させていただきました。
この会は、会員約40名で地元の方だけでなく、牟礼や須坂から
来ている方もおられるそうですが、きっかけは“もったいない”と
いう気持ちから、ごみになる「ぼろ布」を何とか再利用しようとい
うことで、「ぞうり」を作り始めたのだそうです。
月1回の定例活動で、会員が集まって「ぼろ布」でぞうり等を作
り、支所の玄関や地元神社のお祭りなどで1足300円で販売して、
売り上げは会員に還元しているが、ほとんどは社会福祉協議会
へ寄付しているのだそうです。
会員の皆さんと一緒に私も教わりながら片方だけ作ってみました
が、コツをつかむまではなかなか難しい、でも楽しい作業でした。
皆さんのお話では「指先に良いので、ボケ防止になる」「友達が増
える」「お金がかからない」等、良いことづくめでした。
私がお聞きして一番びっくりしたのは「もったいない運動」の嚆
矢(注)はこの会ではないかということです。会が発足したのは平
成13年の2月だそうですから、「もったいない」で有名なケニア
の環境副大臣の「ワンガリ・マータイ」さんがお出でになったとき
より前だと思います。
マータイさんが日本を訪問したとき「MOTTAINAI」とい
う言葉を知り、日本人が昔もっていた「もったいない」の考え方こ
そ環境問題を考えるにふさわしい精神として感銘したと仰って、そ
れ以後「もったいない」がすっかり有名になり、この言葉を「国際
語」にしようという活動が行われていることは、ご存じの方も多い
と思います。
「ずくなしの会」の代表の田原さんのお話ですと、この会の趣旨
は「もったいない」という気持ちが原点ということです。どちらが
先ということにこだわっているわけではありませんが、多分「もっ
たいない運動」の原点というか、先に唱えたのはこの「会」の皆さ
んでしょう、豊かな発想を持った皆さんでした。
今回は6日に投票日を迎える県知事選の話についても、皆さん投
票にいきましょうという趣旨で書こうと思ったのですが、松代高校
の素晴らしい頑張りがあったので、急遽方針変更して、元気な話題
を集めてみました。ほかにも市民祭も真っ盛り、皆さん元気です。
これも書きたかったのですが・・・次の機会に送らせていただきま
す。
(注)嚆矢(こうし)・・・ものごとの初め。最初の意