平成18年の仕事納めの日になりました。民間に居るとき、大晦
日(おおみそか)31日が休めるようになったのは、20年ぐらい
前からでしょうか。それより以前は、大晦日まで仕事をして、家に
帰ったら除夜の鐘という生活だったのですから、役所の勤務はあり
がたいものです。その代わり、普段は土・日曜日、祝日のない生活
をしていますので、年末年始ぐらいはお許しいただきたいと感じて
いるのも、事実ですが・・・。
年末、あまりふさわしい話ではないと思いますが、最近感じてい
ることを、思い付くままに、アトランダムに書いてみたいと思いま
す。
日本全体の中で公務員(公的な仕事をしているという意味では広
い概念で考えています)のプライドは、どこへ行ってしまったのか?
飲酒運転の事故、官製談合・天の声、汚職事件、裏金問題などの不
適切な行動・・・全国で起こる公務員の不祥事は一体どうしたので
しょうか・・・確かにそれは、ほんの一部の不届き者の仕業である
とは思います。しかし、その一部の不届き者のせいとはいえ、公務
員全体が批判されるのは、社会全体の奉仕者であることや、全体的
に公務員は恵まれているという社会認識からすると、ある意味で当
然だと思います。また、刑事罰にはならないとしても、もっと不適
切なあるいは不合理なこともあります。それは、政策の失敗により
後年度に大きな負担を国民にかけ、本人たちはのうのうとしている
ことです。これも極端な言い方をすればまさに犯罪と言ってもよい
でしょう。
塩野七生さんの「ローマ人の物語」第15巻。まさに滅びようと
しているローマ帝国の最後の一世紀、問題山積みの中での言葉。
「4世紀後半から5世紀のローマ帝国にとって真の問題は、生産
者数の減少と生産性の低下に反比例するかのように増加していた、
非生産者の数にあったのだ。軍人と官僚が二大非生産者だが、それ
に加えてキリスト教会関係者という、数でも力でも前二者に優ると
も劣らない人々を、国家ローマは養っていかねばならなかった。」
さしずめ日本なら、江戸時代の武士階級でしょうし、現在の公務
員は現代の非生産者といえるかもしれません・・・ただこの非生産
者というのは、現代においてはローマ時代のように単純に分類する
わけにはいかないと思います。効率を上げるために企画をきちんと
作ることも、福祉の現場で苦労していることも、生産的な仕事でし
ょうから。しかし、この塩野さんの指摘は、行政改革に一層努力し
なくてはならない現在の行政の立場に、警告を発していると私は思
います。
人口減の社会について、いろいろな議論がなされています。長野
市の人口も減少に転じたことは、先日のメルマガで報告したとおり
です。
(社)地方行財政調査会が発行した「人口減少社会に直面して」
という出版物を読んでいましたら、国立社会保障・人口問題研究所
副所長の高橋重郷さんの文章が目にとまりました。難しい議論は別
にして、気になる点を書いてみますと、
(1)現在の出生率(合計特殊出生率)1.29を固定して推計す
ると、2005年の日本の人口約1億2777万人が2100年
には約4,100万人、さらに3300年になると一人になる。
(2)現実の日本社会は、もう既に35年間にわたって出生率が低
い水準にある。1973年の石油ショックの翌年から持続的に出
生規模が減少している。出生率が2.07以上ないと、人口は維
持できない。
(3)低い出生率が目に見えて人口として現れるには30数年かか
る、なぜかというと、親と子の平均世代間隔が34、5年あるた
めです。
(4)もし日本の出生率が突然2.1に上昇したとしても、人口減
少が止まるのはその後の30数年となる。すなわち2050年あ
たりまでの人口減少は既に約束されており、避けることはできな
い。突然の出生率2.1への上昇はありえない話ですから、実際
にはもっと長く人口減少は続くということでしょう。
(5)平均寿命は女性85年、男性78年ということで女性が長生
きしている。1910年前後には差がなかったのに、現在は7年
も差がついてしまった。このことは、女性高齢者社会につながっ
ていく。
その他、65歳以上人口の推移、人口ボーナス社会、中国やイン
ドの出生率・・・大変、幅広に考察されています。
これら推計結果から言える点や、超低出生率の社会経済的背景、
そして超少子化社会をどう乗り越えてゆくのか、さまざまな角度か
ら述べられていました。
改めて人口減少社会について、頭の整理をさせていただいた気分
です。
来年のNHK大河ドラマ「風林火山」にちなんで、井上靖さんの
小説を読んだことは、既に報告させていただきましたが、11月に
なって、童門冬二さんから「戦国一孤独な男 山本勘助」という本
を頂き、読ませていただきました。井上靖さんの本とはまた趣きが
違って、面白く読みました。
また、池波正太郎さんの「真田太平記」全12巻も、人から薦め
られ読んでみました。歴史小説の常として、どこまでが史実で、ど
こがフィクションか、よく分かりませんが、山本勘助の生きた時代
と同じころから、江戸時代初期まで(真田信之侯が松代に移封され
るまで)のことで、とても面白かったです。
安倍首相の「美しい国へ」も読ませていただきました。その他手
元にいろいろな本がありますが、忙しい日々の合間に読もうとして
もなかなか時間が取れずに困っています。
待望の塩野七生さんの「ローマ人の物語」第15巻(最終)も休
み中、じっくり読みたいと思っています。私にとっては年末年始、
恒例の読み物です。
さて平成18年も後わずかとなりました。今年もこのメルマガに、
いろいろな事柄を書かせていただきました。私の思いをうまく伝え
られたかどうか・・・お付き合いいただいた方々に感謝しています。
まとまった雪が降ることを期待し、来年も良い年でありますよう
に願いつつ、そして良いお年をお迎えください。
※次回のメールマガジンは、平成19年1月5日金曜日に配信予定
です。