2007年1月25日木曜日

並行在来線について


 1月12日に実施された長野以北並行在来線対策協議会の関係機
関などへの要請活動では、会長である村井知事のお供をさせていた
だき、飯綱町、信濃町の町長さん、飯山市の部長さん方と一緒に、
東京・新宿のJR東日本本社を訪問し、清野社長以下の幹部役員の
皆さんにお会いして、並行在来線問題について、意見交換をさせて
いただきました。

 現在の長野新幹線が開通したとき、その新幹線と並行して走って
いる在来線は、JRとしては経営しないという合意が国レベルでな
され、その合意に従って、軽井沢~篠ノ井間(正確には、トンネル
手前の軽井沢変電所まで)は、JRから切り離されて長野県に譲渡
され、県が主体になって沿線市町村、経済団体、金融機関、関連企
業が出資して、「しなの鉄道株式会社」が設立され、今日まで運営
されてきていることは、皆さんご存じの通りです。

 この話し合いの段階で、一番問題になったのは篠ノ井~長野間の
帰属問題でした。この間は軽井沢~長野間のドル箱区間と考えられ、
「しなの鉄道」とすれば、経営を安定させるためにはぜひとも欲し
い区間でしたが、JR側としても、名古屋・新宿、松本方面からの
中央線も通っていることから、譲ることはできないし、JR貨物の
運行管理も含めて設立したばかりの「しなの鉄道」では対応できな
いという主張がなされ、結局譲渡されませんでした(長野県側とす
れば、オリンピックを前にして、何としても長野新幹線の開通を優
先した結果なのでしょうか)。

 そして、当時の県としては、それでも経営は成り立つという前提
で「しなの鉄道」を企画し、国の認可を得て、事業がスタートした
わけですが・・・現実は大変苦しい経営を続けています。県も
100億円余の出資、沿線自治体も補助金を交付し、そしてしなの
鉄道も減損会計を導入して償却負担を減らすなど、懸命の経営努力
をしておられますが、正直安定したとはいえない状況が続いている
のが実情です。

 次に起きてきた問題は、長野新幹線の北への延伸です。正式名称
が「北陸新幹線」という名称のとおり、長野新幹線は上越から富山
・金沢・福井(福井から先はまだ路線も決まっていませんが)を経
て大阪まで延びるということが前提になっていますから、この区間
の並行在来線問題は、軽井沢~長野間以上に大きな問題になること
は、当然予想されることですし、いよいよ俎上(そじょう)に挙が
ってきたということです。

 長野市にとって、新幹線の北への延伸は、浅川治水問題と関係し
ているということと、並行在来線をどうするか、という二つの大き
な問題を抱えています。新幹線の建設着手には、その大前提となる
設計協議に至るまでさまざまな同意が必要となりますが、浅川治水
については、知事交代によって地元の皆さんの考えも、良い方向に
向かっていると感じていますが、一方の並行在来線の経営問題は現
在のところ、全く五里霧中といった感じです(北陸新幹線全体につ
いてならば、大宮~東京間の時間短縮問題、福井から先線ルート問
題などもありますが)。

 在来線の長野から県境までについては、名だたる豪雪地帯、そし
て乗車人員も少ない単線区間です。長野~豊野間はまだしも、その
先の経営は、現在の「しなの鉄道」の区間以上に厳しいものと予測
されています。

 しかし、考えてみますと
(1)地域の皆さんの足としては重要路線であること
(2)長野~上越間は日本海時代を見越すと、今後交流は増えるで
 あろうこと
(3)人の交流だけでなく、JR貨物の物資輸送を考えると大切に
 すべきこと
(4)地球環境を考えたとき、今後鉄路の重要性は増してくること

等々で、やめると言う選択肢は無いのではないかと感じています
(ただ新潟県側の動向は、まだ全然分かっていません。新潟県側と
すれば、並行在来線問題は、北陸本線の上越から富山・金沢・・・
そしてまだできたばかりの第3セクター会社が運営しているほくほ
く線の経営問題にも影響があるはずで、長野県以上に大問題かもし
れません)。
 以上、並行在来線問題について、私見を交えて書いてきました。

 村井知事と清野社長の会談は、友好的な雰囲気で進められました。
 村井知事は「日本一、いや世界一の鉄道会社として、地域の発展
をぜひ考えて欲しいこと」を強調され、JR東日本を含めて、あら
ゆる関係者で、「この問題を検討する場を作ってほしい」旨を申し
入れました。
 清野社長からは「JRは純粋な民間会社で、株主もいることなの
で、厳しい議論をすることになるかもしれないが、一緒に検討しま
しょう、過去は県と議論する場が全くなかった」との話がありまし
た。

 今回の会談で、問題の解決ができたわけではありません。実際に
議論が始まれば、双方が主張し合い厳しい場面も予測されます。で
も一つのテーブルに着いて検討を始めようということが合意された
ことは、大変な前進です。双方の事務方同士の話し合い、そして時
には知事と社長の話し合い、色々なレベルで検討が行われるはずで
す。

 今後、長野以北並行在来線対策協議会の場で必要な事項が協議さ
れますが、沿線市町は対策協議会に参画していることから、色々な
アイデアを出し合うなかで、鋭意努力したいと考えています。