2007年3月29日木曜日

体感!川中島の戦い2007


 3月24日(土)、NHK大河ドラマ「風林火山」の特別企画展
が、長野市制110周年記念事業として、八幡原史跡公園と長野市
立博物館を会場に始まりました。
 武田信玄と上杉謙信の川中島の戦いは、合計5回あったと言われ
ていますが、その中で「第四次」川中島の戦いは両雄死力を尽くし
た戦いとして、歴史上有名です。

 その決戦の場である八幡原史跡公園、私たちが立っているこの地
で戦いは行われたのです。武将たちの魂が宿るこの地で446年後
の現在、その戦いを蘇(よみがえ)らせてみることは歴史的、文化
的に大変意義深いことであると思っています。

 昭和44年の大河ドラマは、海音寺潮五郎作「天と地と」で、主
人公は上杉謙信でした。その放映を記念して、信玄・謙信一騎討ち
の像が八幡原に建立されました。そして、その37年後の今年、武
田側の軍師「山本勘助」を主役にした「風林火山」が放映されてい
ます。

 オープニング・セレモニーは、下氷鉋小学校の児童たちの「竹太
鼓」と「霧の川中島」の曲に乗った舞で始まりました。竹太鼓は初
めて聴きましたが、竹を太鼓に見立て、みんな打ちそろっての素晴
らしい演奏でした。

 セレモニーの後、博物館に入って企画展を見て回りました。武田
二十四将図、上杉十六将図や、文字でみる両家の盛衰、山本勘助の
考案した「きつつき戦法」や謙信の「車懸(くるまがか)りの戦法」
を分かりやすく解説したジオラマ(展示物とその周辺環境・背景を
立体的に表現する方法)、そして第四次川中島の戦いを再現した合
戦体感シアターなど、内容がとても豊富でした。NHKの協力を頂
きながら、なかなか迫力のある企画展に仕上がっており、お越しに
なられた皆さんはきっと満足していただけるであろうことが確信で
きました。

 見終わって博物館から出ると、そこには風林火山関連グッズ、地
元特産物の販売コーナーがあり、お客さんでにぎわっていました。
私も関連グッズを一つ買いました。その後、博物館の外側にある古
い石碑、この戦いで亡くなった多くの武士の亡骸(なきがら)を埋
葬したと伝えられる首塚や今回の企画の一環として新たに武田軍や
上杉軍の陣立などを配した八幡原史跡公園一帯を見て回りました。

 続いてオープニングイベントとして開催されたトークショーでは、
皆さんお待ちかねの大河ドラマの主役であるお二人、勘助役の内野
聖陽(うちの まさあき)さん、由布姫役の柴本幸(しばもと ゆ
き)さん、そしてチーフプロデューサーの若泉さんをお迎えして、
ドラマを演じるに当たっての熱い思いを語っていただきました。花
火を上げるタイミングでハプニングがありましたが、まあお許しい
ただける範囲のことと思います。
 お二人の出演を待って、早朝から多くのお客さんが場所取りをし
ていました。お二人には午後、篠ノ井市民会館で開催された「勘助・
由布姫が語る風林火山」と銘打った大河ドラマ講演会への出演もお
願いしました。
 そして、主役のお二人は帰りに妻女山(さいじょざん)と勘助の
墓に立ち寄られ、二人とも戦いのスケール感が感じられる妻女山か
らの眺望に感銘したようで、特に内野さんは役作りに生かしたいと
言っておられたそうです。

 ところで、八幡原史跡公園からあまり遠くない場所に胴合橋(ど
あいばし)と呼ばれている小さな橋があります。特別企画展オープ
ンの二日前、この場所で、地元の方々が中心となって建立された
「山本勘助翁(おう)鎮魂碑」の除幕式が行われました。勘助が合
戦で討ち死にしたあと、生き残った家来が首を奪い返し、この橋の
あたりで血まみれの首を洗っていると、見覚えのある鎧(よろい)
を着た胴体が流れついたので、首と胴体をつなぎ合わせたところ、
ぴったり一致したため、家来たちは、亡骸を橋のたもとに手厚く葬
ったと伝えられています。この話から、この橋は胴合橋と呼ばれる
ようになったそうです。

 川中島合戦ゆかりの地は、この場所のほかに、海津城(松代城)や
妻女山、典厩寺(てんきゅうじ)、勘助の墓を含めたくさんありま
す。往時の武将たちや現代の役者さんの思いを想像しながらゆっく
りと史跡巡りをすると、きっと楽しいですよ。

 この企画展は12月16日まで、長期間にわたり開催されます。
運営側となる地元の皆さんも大変ですが、長野発の情報が全国に伝
わるよう、そして全国から多くのお客さんに来ていただき満足して
お帰りいただくように、おもてなしの心を大切に頑張りましょう。
 今年は長野市制施行110周年、国宝善光寺本堂再建300年祭、
そして戸隠イヤー・・・観光施策は大変豊富です。

 また、3月28日には二つのセレモニーがありました。
 一つは、城山公園の再整備開園式です。ここは長年親しまれてき
た市営野球場が南長野運動公園へ移転したことに伴い再整備し新た
な施設として生まれ変わりました。この辺りは桜の名所として親し
まれてきましたが、今回はさらに約150本のサクラを植樹しまし
たので、数年後には多くの花をつけ、花見の新名所として皆さんを
お迎えできると思います。
 もう一つは、アシカ来園記念セレモニーです。城山動物園の2頭
のアシカがいなくなってずいぶんと経ちますが、ようやく大阪市の
天王寺動植物公園で生まれたオスのカリフォルニアアシカを迎える
ことができました。名前は「シュン」君です。皆さんもシュン君に
会いに城山動物園にお出掛けください。

2007年3月22日木曜日

格差社会について


 格差社会という言葉がいろいろな場面でいわれています。労働組
合の連合も格差是正が最も重要であるとの認識を示しているようで
す。
 確かに私もいろいろな格差を感じますし、その是正は社会正義の
実現、社会の安定にとって大変重要な課題だと感じています。

 ただ、格差にもいろいろあります。格差とは何か、是正すべき格
差とは何かということを、はっきりさせておかないと、悪平等主義
(個性や特質を無視して、一律同じ扱いにするため、かえって不平
等になること)に陥る危険があるのではないか?と感じています。
そうなれば社会全体が活力を失うことになるかもしれません。

 考えられる格差を挙げてみました。
 一般的には、経済格差、情報格差、所得格差、地域間格差などが
いわれていますが、具体的には、身分(正社員、嘱託、臨時社員)
による所得・待遇・年金格差、大都市と地方都市の財政力の差によ
る都市基盤格差、企業の収益性の差による従業員の福利厚生面での
格差、先進国と開発途上国の医療、教育など生活水準格差など・・
・数え挙げれば切りがありません。

 戦後日本の高度成長を支えてきた中間層が崩壊しつつある、この
ことが一番問題であると主張されている人もいらっしゃいますが、
逆に世界的に比較すると、日本の社会は格差が少ない方だというデ
ータを示す人もいらっしゃいます。

 一方で、よく考えてみれば“違い”は昔からあったのでしょう。
学校での勉強が「得意」と「不得意」、足が「速い」と「遅い」な
ど、でもこれは個性であって、それによって生じてくる利益、不利
益を格差というのではないでしょうか?

 30年ぐらい前だったと思いますが、高校の入試改革で総合選抜
方式を導入しようという県教委に対し、私は当時のPTAを代表し
て、教育の機会均等か、結果の平等か・・・随分議論したことがあ
ります。結局機会が均等であれば、結果の平等は問うべきでないと
いう結論になったように記憶しています。でもこれも格差是正とい
う話なら、総合選抜にすべきだったかもしれません。

 根底に横たわっている問題は、自由主義か、全体主義かの選択だ
ったようにも思いますし、人間は、建前の平等だけでは満足しない
という問題だったと思います。個々の能力の違いを認め合うこと、
個々の適性を伸ばすこと、一流大学への進学だけが道ではないと言
いながら、うちの子だけは・・・そんな意識が皆さんの本音だった
と今思い出しています。そこにはある程度の格差は、認めようとい
う気持ちもあったのではないでしょうか。

 連合の皆さんが格差是正を主張しているのは、正規職員と臨時職
員の身分格差、所得の格差の問題であろうと思います(このことに
ついては、企業だけでなく、行政も関係があります。正規職員と臨
時職員の格差については、前にもメルマガで取り上げました)。

 冷戦が終焉(しゅうえん)、グローバルスタンダード(世界基準)
が幅を利かせる時代になって、格差を否定するのは極めて困難にな
ってきていると感じています。外国から安いモノがどんどん入って
きて、それを阻止することはできない、特に農産物などについては、
どうしようもないと悲鳴が上がっていますし、安い賃金を求めて企
業は海外進出(国内の空洞化)・・・。そして、一般市民にすれば
安いモノが手に入るならありがたいと感じている・・・一方、企業
は世界と競争するには、人件費はなるべく抑えて、企業をフレキシ
ブル(柔軟)な状態に保ちたい、今利益が上がっていても、来年の
ことは分らない・・・これも無理のない話だと思います。

 グローバル社会が徹底すれば、私は「一物一価」の社会に向かっ
て進んでいくのだと感じています。モノの値段もそうですが、人件
費についても、日本企業が中国や東南アジアへ進出している一番の
理由は人件費の安さであることは明白です。そして進出した地域の
人件費が日本企業の進出によって上がってくれば、またほかの地域
に移動していく・・・そんなことの繰り返しでグローバル化が進む、
そして日本国内の人件費も抑えられる・・・一物一価に向かって進
んでいくのでしょう。

 格差は少なくすべきだと思います。ただ単純に格差是正といって
も難しいですし、社会の活力を奪うことになりかねません。すなわ
ち、何事も徹底してはいけないのです。是正すべき格差を、ある程
度明確にして、その解消に向かってみんなが努力する・・・そのこ
とが大切なのではないでしょうか。

 最近、景気の拡大に伴って、長野でも有効求人倍率がかなり高く
なっているとのことで、新規学卒者も売り手市場になっているとの
ことです。長野職業安定所管内の今年1月の求人について内訳を調
べてみますと、正規社員は40.1%で、契約・嘱託社員15.6
%、パート労働者30.1%、登録型派遣労働者9.0%など、非
正規社員は59.9%だそうで、現段階では非正規社員の求人がか
なり高いことは事実です。

 ただ、有効求人倍率は1.43倍だそうですから、こういう状況
が続けば、企業は正社員を多く採用する方向を打ち出さないと、優
秀な社員の確保が難しくなりそうですから、景気回復によって徐々
に格差は是正されていくのではないかとも考えられます。

 現実に大手の企業では、パート社員や契約社員を正社員化する動
きが始まっているようです。景気の上昇はいろいろな場面で良い方
向に向かっているように思います。

2007年3月15日木曜日

住民合意とは


 浅川治水に関する一連の議論を聞いていて、色々考えさせられま
した。

 県の「治水専用ダム(いわゆる穴あきのダム)」「河川改修」
「浅川排水機場の増強」「ため池の治水利用」等々の説明は、少な
くとも浅川治水のためにはダムが必要という意見の方々からみれば、
国の認可が得られそうですし、安全性、確実性、経済性、効率性、
環境などを重視し、利水は断念したとしても、納得のいくものであ
り、一日も早い完成を望んでいるのが、実情でしょう。

 しかし、脱ダム派の人たちからみれば、「ダム予定地区には地滑
り地帯、断層があり、地附山地すべりの素因の一つとみられている
スメクタイト(注)がある・・・などで危険性がある」、「流域が
小さいからダムには水がたまらない、ダムを造っても下流の水害は
無くならない・・・根本は千曲川問題だということ」、「450ト
ン/秒、1/100は過大である・・・などで、納得がいかない」、
「説明責任を果たしていない」、「住民参加の流域協議会に断りな
く県が決定したことは、けしからん」・・・。大別すれば、こんな
ご意見ではないでしょうか?

 これらの意見をお聞きして、私が考えたことを申し上げます。
(1)脱ダム派の人たちの話していることはいつも同じで、端的に
 言えば6年間同じことを話していると私は感じています。目新し
 い議論は無い中でもその都度県は答えています。
(2)断層、地層、土質などで危険という話は、その分野を専門と
 する権威のある方々が「ダムを造るのに支障となる第四紀断層は
 存在しない」と結論付けているのですから、専門外の人たちが感
 覚で口を出すことはいかがなものか。しかも日本のダムの歴史は
 100年以上ありますが、過去崩壊したダムは無く、近くに小さ
 な断層がある場所、あるいはスメクタイトを含む地盤でも十分な
 対策をしてダムを造れば心配はない・・ということは国土交通省
 の方々からお聞きしました。県の担当も十分把握していることと
 思います。
(3)安全度が過大であるという話は、地域の方々をないがしろに
 した意見です。過去、実際にあった洪水を検証して、ごく普通の
 やり方で導き出した数値を、過大だから反対というのは、全く理
 解できない理論です。できるのであれば安全度を無限大に大きく
 したい、でもそれは不可能だから通常全国の地域で採用されてい
 る安全基準を根拠としていくというのが、ごく普通の住民の感覚
 だと思います。繰り返しますと、浅川の治水安全度は、特に高い
 わけではなく、ごく普通の計算式で導き出された数字であるとい
 うことは、ダム反対派の学者さんですら、認めているのです。
(4)流域協議会に諮る前に県が決めたことに批判があったという
 話ですが、そもそも流域協議会は、県が案を示した上でご意見を
 お聞きする場と認識しています。「治水専用ダム」に関しては、
 過去の協議会で十分意見は出されていますから、これまでの議論
 を踏まえ、県は河川管理者として責任ある判断を行った上で説明
 し、流域協議会のご意見をお聞きしたものです。
  流域協議会の位置付けについて、村井知事の言葉を借りれば、
 「誰でもお入りになれるということで、一種の住民懇談会と同じ」
 ということですから、住民懇談会に、まず諮らなかったからけし
 からんと話されるのは筋違いと感じます。まして、県は「原案を
 作った上で、いろいろな形で住民の意見を聞いていく」とも話し
 ていますから、批判するのはおかしいのではないでしょうか。
(5)理論で相手を説得できれば一番望ましいと思われますが、浅
 川治水対策については、脱ダムを主張している方は何を言われて
 も多分説得されないでしょうし、ダムが必要だという方は安全度
 の切り下げは認めない、6年経過して代替案はなかったのだから、
 ダム無しでは駄目、これも説得は難しい・・・こんな場合、住民
 合意はどうするのでしょうか?
  民主主義ではこういう場合、選挙か、住民投票か、世論調査か、
 いずれにしても多数決で決めるのが一つの方法でしょう。そして、
 多数決をどの場で取るか、議会制民主主義ですから県議会で決め
 るのが一つの方法論かなと思います・・・多数決で決めるべき問
 題かどうかの批判はあるでしょうが。また、昨年夏の県知事選挙
 の結果が、方向性を決めたのではないかというのも、また一つの
 意見であろうと思います。

 以上、2月末、浅川流域で行われた一連の県の説明に関し、ダム
に反対する方からの意見について対論を述べさせていただきました
(賛成する方々の意見は省略させていただきました)。

 私は、この一連の説明会での賛成・反対の意見を聞いていて、住
民合意とは何だろうと考えさせられました。
 対立した意見があった場合、そしてどちらにも理屈があると思わ
れる場合、合意を得ることは極めて困難でしょう。声が大きいか、
たくさん主張するか・・・いずれにしても双方合意はできないでし
ょう。

 結局、どうするかですが、執行権者(この場合、河川管理者であ
る県)が大局的見地から決め、河川法に基づく手続きをきちんと経
て、粛粛と行っていく以外に方法はありません。もう6年間も議論
してきたのですから。
 その場合には、治水安全度をきっちり守った上で経済性、効率性
なども重視した適切な判断が必要であると私は思います。それが
「穴あきダム」ということになるのではないでしょうか。

 私は本が好きで、日ごろできるだけ多くの本を読もうと努めてい
ます。ただ、どんな本を読んだ場合に納得するかというと、自分自
身が「その通り!」と納得できる中身の場合、あるいは全く知らな
かった新しい発見があって勉強になった場合(小説の面白さも含め
て)、この二つでしょう。興味を引かれ、勉強になるのです。これ
が普通の感覚でしょう。

 同じこと、脱ダム派の人たちにとって、治水専用ダムの建設を前
提とした河川整備計画について、何を言っても理解しようとしてい
ただけないのでしたら、これ以上の議論は新たな発展には至らない
のではと私は思います。
 県では、いろいろな形で住民の皆さんの意見を聞いていくという
ことですから、流域協議会や住民説明会では、今までの主張をただ
繰り返すのではなく、県の示した治水案について建設的な姿勢で議
論する場であってほしいと思います。

(注)スメクタイト・・・粘土鉱物の一つ

2007年3月8日木曜日

人口動態結果と人口重心について


 長野市の独自集計ですが、平成19年1月1日現在の長野市の人
口と世帯数は、
 人口  383,322人
 世帯数 146,079世帯 となり、
人口は前年に比べ6人の微増となりました。昨年は、人口減少に転
じていたのですが、本年はほぼ同じということでした。
 人口動態については、自然動態と社会動態に分けて分析されてい
ます。

 自然動態というのは、出生数と死亡数を比べるのですが、昨年の
場合、3,455人が生まれ、3,152人が死亡されましたので、
自然動態による人口は、その差303人が増加ということになりま
した。

 社会動態というのは、転入した人と転出した人などの数を比べる
わけですが、転入が12,990人、転出が13,298人、転出
取り消しなどによる増が11人ということで、297人の減になり
ました。昭和62年から平成9年までは転入が上回る社会増となっ
ていましたが、平成10年(オリンピック開催年)からは転出が上
回る社会減が続いています。

 そして、自然動態と社会動態を合計した結果、(303人-
297人)で6人増加という結果になったわけです。

 出生数が3,455人ということは、前年より34人増えたとい
うことで、喜ばしいことですが、昭和49年のピーク時の出生数は
5,711人だったということですから、それに比べれば少子化の
傾向は明らかです。

 社会動態はオリンピック終了後、転出者増が止まらない状況が続
いています。景気が悪いこと、新幹線ができて、東京の企業が長野
市の拠点を縮小、あるいは撤退しても営業活動ができるとの判断、
または学生さんの転出などによるものと思われます。県外への転出
者の転出先を調べてみると、東京都、神奈川県、埼玉県、国外、愛
知県の順番となっています。また県内の転出先は、松本市、千曲市、
上田市、須坂市、佐久市の順番となっています。

 長野市内の地区別人口の増減を調べてみますと、
増加 第四地区
微増 第二、第三、第五、古牧、吉田、古里、大豆島、朝陽、若槻、
   安茂里、篠ノ井、若穂、更北地区
微減 芹田、三輪、柳原、浅川、松代、川中島、豊野地区
減少 第一、長沼、小田切、芋井、七二会、信更、戸隠、鬼無里、
   大岡地区
となっています。この結果も予測の範囲ではありますが、将来の長
野市がどうなるか、考えさせられるものです。

 話は変わりますが、人口重心とか商業重心という言葉をご存じで
すか?
 人口の地域的な分布の状況を、集約して分かりやすく示すものが
人口重心だそうですが、その地域に分布している市民の一人一人が
同じ重さをもつと仮定して、その地域の平衡を保つことのできる点
(重心)を言うのだそうで、人口分布の偏りを集約した形で知るた
めに用いられているようです。人口重心の変化をみることによって、
その地域の人口の移動状況を知ることができるということです。

 地域の人口分布の重心点とその推移を求めることによって、いろ
いろな行政施策、学術研究、民間企業での活用が考えられるようで
す。
例えば、次に挙げるようなものです。
・中心的行政施設の新設、移転などの際の設置場所選定資料
・防災計画策定(避難場所、防災備蓄倉庫など)の資料
・まちづくり計画の資料
・産業振興計画や企業誘致プレゼンテーションの資料
・住宅建設計画、住宅マスタープランの資料
・都市交通計画や道路整備計画の資料
・市町村合併の際の新事務所の設置場所検討資料
・社会学、人口学、地理学、経済学などの学術研究資料
・民間企業の出店計画などの資料

 長野市の人口重心は、地区ごとに、その人口が市立公民館(49
カ所)の所在地にすべて集まっていると仮定して、各市立公民館の
緯度・経度ごとに加重平均を算出することにより人口の重心点を求
めています(なお、国および都道府県の人口重心は、国勢調査の結
果に基づいて市町村内のすべての人が市町村役場にいるものと仮定
して計算され、総務省統計局から発表されています)。

 長野市の人口重心の位置は、現市域でみてみますと、大正9年ご
ろは安茂里の犀川浄水場の付近だったのですが、だんだんと裾花中
学校の方向へ移り、中御所、そして現在は若里(芹田地区)へと、
おおむね東の方向に移動してきています。これは市域の東部から北
部にかけての、古牧、大豆島、朝陽、柳原、古里、若槻地区および
南部の川中島、更北地区などの人口増と中心市街地および西部中山
間地域などの人口減の影響があると思われます。

 もうひとつ、人口重心の算出方法と同様の手法を用いて、商業統
計調査結果の卸売り業および小売業の地区別年間商品販売額から求
めた「長野市の商業重心」があります。
 それによりますと、長野市の商業重心は、昭和51年にはJR長
野駅西口の辺りであったのが、昭和63年ごろから駅東口の方向へ
移動し、さらに平成16年には、大字栗田付近になっています。少
しずつですが、長野駅から南の方向へ移っているといえるのかもし
れません。

 この「人口重心」「商業重心」の推移を調べてみると、長野市が
地域的にどういう方向へ発展しているかが分かり、興味深いもので
す。今後の長野市の施策の参考にしていければと思います。

2007年3月1日木曜日

ちょっと早いかな?


 もう2月も終わり、今日から3月です。市議会定例会も始まりま
した。
 今シーズンは温暖化の影響でしょうか、雪が少なくて参りました。
昨年のこの時季は大雪で参ったのですが、今年は全く逆になってし
まっています。これからの降雪はあまり期待できそうもない感じで
すので、今回はちょっと早いかなと思いながら、この時点で私なり
に思うことをまとめてみました。

 先日、ある市民の方から「今年は雪が少なくて、過ごしやすい。
除雪費用も掛からないから、いいですね」と言われました。確かに、
通常、長野市の予算に計上する除雪費用は、約3億5千万円ですが、
昨年はあの豪雪の影響で、8億円以上掛かってしまいました。それ
が今年は2月末で推定2億円ぐらいです(雪が少ないのにと思われ
るかもしれませんが、凍結防止剤を散布する費用などが掛かってい
ます)。
 昨年は、余計に掛かった除雪費用の一部については、国から補助
金や特別交付税で措置され大変助かりました。

 この冬は多くの市民の皆さんにとっては過ごしやすいと感じてお
られると思いますが、反面色々な問題が発生しそうで心配していま
す。

 一つは、雪解け水が少なくて、一昨年のような水不足に見舞われ、
農家が困るのではないかということです。一昨年は信更地区などで、
水不足で本当に困っている農家の方々の実情をお聞きしました。で
もその後対策を講じたという話は聞いていませんから、心配です。
 二つは、雪や寒さを期待している事業者は、いずれも打撃を受け
ているようです。スキー場では、戸隠スキー場は雪がまあまあ降っ
たので、良かったそうですが、飯綱高原スキー場や聖山パノラマス
キー場は、雪が少ないが故にお客さんも少なくて、スキー場自体の
経営はもちろんですが、食堂や貸しスキー業を営んでいる方々は困
っているでしょうし、しかも今シーズンは終了が早そうですから、
収入は厳しいのではと感じています。
 暖房器具や冬物衣料、あるいはスキー用具などを扱うお店もどう
なのか、そして、除排雪の機会が極端に少ないので、これまで市道
の除雪をお願いしてきた事業者の経営にも影響が出ているのではな
いかと心配しています。

 根本の問題として、このまま温暖化が進行して雪が無くなってし
まうのでは・・・一直線にそんな状態に進んでいくことはないでし
ょうが、しかし50年後には北極の氷が解けて無くなってしまうな
んて報道を聞くと、心配です。スキー場をリニューアルしようとし
ている長野市の計画も、このまま進めてよいものか迷ってしまいま
す。その他、温暖化の影響は農業関係にも出るということで、「長
野の名産であるリンゴは暖かくなると困る」、「その分ブドウやモ
モの生産が増える」という方がいらっしゃいますが・・・
 野生の動物、クマ・イノシシ・サルなどの被害も増えているとい
う報告もあり、心配の種は尽きません。

 このように少雪がいろいろな影響を与えていて悩ましいのですが、
一方で皆さんもそれぞれに冬の楽しみ方を持っていらっしゃると思
います。私の場合はそれがスキー(過去に何度もメルマガに書かせ
ていただいています)で、雪不足のシーズンではありますが、時間
を工夫して戸隠、飯綱、大岡の市内3スキー場はもちろん、妙高杉
ノ原、野沢温泉などへも足を伸ばしました。
 妙高杉ノ原では長いコースを経験しました。長ければ良いとは言
えないのかもしれませんが、しかし魅力的です。戸隠のメノウ山の
頂上から越水までの距離の数倍はあるそうですから、一気に滑り降
りるのは厳しいのですが・・・こんなコースが長野市にもあれば素
晴らしいですね。

 私にとって一人ではなかなかスキーに行きづらいので、誘ってく
れるスキー仲間がいるのはありがたいことです。仲間と一緒に飲ん
だり歌ったり、話したり・・・これもスキーを楽しむ方法の一つか
もしれません。戸隠では中社の旅館に一泊して、夜の探訪をしてみ
ました。夜の深々とした静けさも魅力がありますが、もう少しアフ
タースキーの娯楽があってもよいのかなと思いました。

 スキーヤーやスノーボーダーにとって、雪が無くなるというのは
本当に恐怖です。あの白銀の中を滑走する爽快(そうかい)さ、景
色の美しさ、何事にも勝ると思っています。我々の楽しみを奪わな
いでほしい・・・切に望んでいます。

 いろいろな心配の種を減らすためにも、地球温暖化を防止し、地
球の環境保全を皆さんと一緒になって進めていきたいものです。