長野市の独自集計ですが、平成19年1月1日現在の長野市の人
口と世帯数は、
人口 383,322人
世帯数 146,079世帯 となり、
人口は前年に比べ6人の微増となりました。昨年は、人口減少に転
じていたのですが、本年はほぼ同じということでした。
人口動態については、自然動態と社会動態に分けて分析されてい
ます。
自然動態というのは、出生数と死亡数を比べるのですが、昨年の
場合、3,455人が生まれ、3,152人が死亡されましたので、
自然動態による人口は、その差303人が増加ということになりま
した。
社会動態というのは、転入した人と転出した人などの数を比べる
わけですが、転入が12,990人、転出が13,298人、転出
取り消しなどによる増が11人ということで、297人の減になり
ました。昭和62年から平成9年までは転入が上回る社会増となっ
ていましたが、平成10年(オリンピック開催年)からは転出が上
回る社会減が続いています。
そして、自然動態と社会動態を合計した結果、(303人-
297人)で6人増加という結果になったわけです。
出生数が3,455人ということは、前年より34人増えたとい
うことで、喜ばしいことですが、昭和49年のピーク時の出生数は
5,711人だったということですから、それに比べれば少子化の
傾向は明らかです。
社会動態はオリンピック終了後、転出者増が止まらない状況が続
いています。景気が悪いこと、新幹線ができて、東京の企業が長野
市の拠点を縮小、あるいは撤退しても営業活動ができるとの判断、
または学生さんの転出などによるものと思われます。県外への転出
者の転出先を調べてみると、東京都、神奈川県、埼玉県、国外、愛
知県の順番となっています。また県内の転出先は、松本市、千曲市、
上田市、須坂市、佐久市の順番となっています。
長野市内の地区別人口の増減を調べてみますと、
増加 第四地区
微増 第二、第三、第五、古牧、吉田、古里、大豆島、朝陽、若槻、
安茂里、篠ノ井、若穂、更北地区
微減 芹田、三輪、柳原、浅川、松代、川中島、豊野地区
減少 第一、長沼、小田切、芋井、七二会、信更、戸隠、鬼無里、
大岡地区
となっています。この結果も予測の範囲ではありますが、将来の長
野市がどうなるか、考えさせられるものです。
話は変わりますが、人口重心とか商業重心という言葉をご存じで
すか?
人口の地域的な分布の状況を、集約して分かりやすく示すものが
人口重心だそうですが、その地域に分布している市民の一人一人が
同じ重さをもつと仮定して、その地域の平衡を保つことのできる点
(重心)を言うのだそうで、人口分布の偏りを集約した形で知るた
めに用いられているようです。人口重心の変化をみることによって、
その地域の人口の移動状況を知ることができるということです。
地域の人口分布の重心点とその推移を求めることによって、いろ
いろな行政施策、学術研究、民間企業での活用が考えられるようで
す。
例えば、次に挙げるようなものです。
・中心的行政施設の新設、移転などの際の設置場所選定資料
・防災計画策定(避難場所、防災備蓄倉庫など)の資料
・まちづくり計画の資料
・産業振興計画や企業誘致プレゼンテーションの資料
・住宅建設計画、住宅マスタープランの資料
・都市交通計画や道路整備計画の資料
・市町村合併の際の新事務所の設置場所検討資料
・社会学、人口学、地理学、経済学などの学術研究資料
・民間企業の出店計画などの資料
長野市の人口重心は、地区ごとに、その人口が市立公民館(49
カ所)の所在地にすべて集まっていると仮定して、各市立公民館の
緯度・経度ごとに加重平均を算出することにより人口の重心点を求
めています(なお、国および都道府県の人口重心は、国勢調査の結
果に基づいて市町村内のすべての人が市町村役場にいるものと仮定
して計算され、総務省統計局から発表されています)。
長野市の人口重心の位置は、現市域でみてみますと、大正9年ご
ろは安茂里の犀川浄水場の付近だったのですが、だんだんと裾花中
学校の方向へ移り、中御所、そして現在は若里(芹田地区)へと、
おおむね東の方向に移動してきています。これは市域の東部から北
部にかけての、古牧、大豆島、朝陽、柳原、古里、若槻地区および
南部の川中島、更北地区などの人口増と中心市街地および西部中山
間地域などの人口減の影響があると思われます。
もうひとつ、人口重心の算出方法と同様の手法を用いて、商業統
計調査結果の卸売り業および小売業の地区別年間商品販売額から求
めた「長野市の商業重心」があります。
それによりますと、長野市の商業重心は、昭和51年にはJR長
野駅西口の辺りであったのが、昭和63年ごろから駅東口の方向へ
移動し、さらに平成16年には、大字栗田付近になっています。少
しずつですが、長野駅から南の方向へ移っているといえるのかもし
れません。
この「人口重心」「商業重心」の推移を調べてみると、長野市が
地域的にどういう方向へ発展しているかが分かり、興味深いもので
す。今後の長野市の施策の参考にしていければと思います。