先日、約2時間ぐらいでしたか、長野市の教育委員さん5名と懇
談会を行いました。
別に特段テーマがあるわけではない・・・いや昔、私が教育委員
をさせていただいたころは、教育委員から市長に対し予算要望をす
るのが恒例だったのですが、予算については財政部と教育委員会事
務局の間で議論・査定して、めどが付いてから市長査定に上がって
くるルールになっていますので、最近はこのような場では、よほど
のことが無い限り、予算の話はありません。
それより教育委員さんと市長がひざを交えて長野市の教育につい
てテーマを決めずに懇談することが主題になっている感じです(前
に雑談力についてメルマガに書きましたが、あれに近い話です)。
冒頭、教育委員長から二つの話がありました。文部科学省が4月
に実施した「全国学力・学習状況調査」で、本市の小学校6年生と
中学校3年生ともに全国平均を上回る結果であったという話と、行
政視察で宇都宮市教育委員会のコンピューター教育の現場を見に行
ってきたが、そこの情報担当の職員から「長野市から視察に来られ
ても、何もお見せするものは無い、すべて長野市から教わったもの
です」と逆に感謝されたという話でありました。
教育水準の話については、数年前から“NRT”という標準学力
検査に全市の学校が取り組み、その成果が表れてきていること(か
なり予算を使っています)、コンピューター教育は、フルネットセ
ンターの有効利用を含めて、NTTの皆さんと長野市の先生方が真
剣に取り組んできた成果である、とのことでした(これも数年前、
文部大臣表彰を受けています)。
私からは「それはうれしい話です。慢心せずさらに頑張ってくだ
さい。でも市長の耳には概して良い報告は入るけれど、悪いことは
入りにくい。そんなことも含めて今日はざっくばらんに話をしまし
ょう」と申し上げて、自由な懇談をさせていただきました。
自由な懇談ですから、内容をきちんと整理するのは難しい、同席
した教育委員会事務局の皆さんに任せた方が正確でしょう。また、
あまり詳しく内容をお話するのは趣旨に反するのではないかとも思
います。
いつも「元気なまちづくり市民会議」の最後には、市長総括と称
して、その日論議されたテーマから印象に残ったこと、あるいは市
長の口から申し上げておいたほうが良いと判断したことについてコ
メントしています。それと同じような気持ちで、懇談の内容を個条
書きにまとめてみました(ただし以下は、私の感じたこと、すなわ
ち私見です。委員さんの話を勝手に解釈したり、私が日ごろ感じて
いることもありますがお許しください)。
人を評価することは難しい、特に数値化できないことは難しい。
でも差があることは事実。
NRTという標準学力検査は今後も継続したい。児童生徒の成績
が単に上がっただけでなく、教師が自らの指導方法を省みる手段と
もなり、長野市の教育にとって素晴らしい成果を上げつつある。
子どもたちに、大きな、積極的な夢・目標を持たせたい。
親の中に、先生や学校を困らせる人がいる。これに大変困ってい
る。毅然(きぜん)とした態度を取りたいのだが・・・親にも教育
の実情を知ってほしいのだが、PTAの会合などに出て来てくださ
る方は問題のない家庭が多い。出て来ていただけない家庭をどうし
たらよいか。
家庭の教育力は絶対に必要、そのためには家族のだんらん、すな
わち親子で過ごす時間を長くすべきなのに、一方で、働かなければ
いけない状況がある。放課後子どもプランも始まるが、どうすれば
よいか。共働きの時代、できるだけ長く預かるべきという意見も根
強い。政策的には矛盾がある。
また、子どもを地域で育てるということも昔から言われているが、
個人主義の時代、難しいテーマと感じている。
教育だけではないが、理念の上ではみんな分かっていることが多
い、その理念を具体的にするべきではないか(分かっていないとい
う意見もありました)。
長野市には素晴らしい教育大綱がある。加えてもう一つ、具体性
のある目標を設定できないか。
普遍的で具体性のある行動目標は「あいさつ」ではないか。あい
さつ運動は各学校で実施しているが、学校ではできても、違う場面
ではできない子が多い。
“この件については、本年長野商工会議所篠ノ井支部の新年会に招
かれた時、中島支部長があいさつの中で、「はきものをそろえる」
と書いた木製パネルを示し、これを市内の全学校に届けるという素
晴らしい話がありました。私は「あいさつ」も結構ですが、せっか
く中島さんが素晴らしい提言をしてくださり、パネルまで用意して
いただいたのですから、この話に相乗りして一緒に運動したらどう
かと考えています。要は何か長野市を挙げてみんなで取り組むこと
が必要という意味で考えました。”
もし学校で事故が発生すると、その責任追及は極めて厳しい。ど
うしても先生は憶病にならざるを得ない。でも、それが子どもたち
にとって本当に幸せだろうか。
教育界は強制されることを、極端に嫌う。それはある面で正しい
けれど、間違っている面もあるのではないだろうか。また、現在は
強制することがいけないという風潮が強すぎる。子どもたちにも、
一定年齢に達するまでは(具体的には義務教育期間)強制すること
があってもよいのではないか、というより強制すべきことがたくさ
んあるのではないか。
教育については、10人いれば10の意見があると言われており、
すべての人が一家言持っている。なかなか一致は難しい、だから普
遍的に、そして安全にということが重視され、現状をつくってしま
った・・・。
以上、懇談会の報告です。文責はあくまで市長にあることを重ね
て強調しておきます。