本年の第63回国民体育大会冬季大会「長野かがやき国体」は、
開催に至るまで紆余(うよ)曲折がありましたが、ぎりぎりのタイ
ミングで、3競技そろって、長野県で開催されることが決まりまし
た。決まってからの期間が短かったこともあって、県民の皆さんへ
の周知が十分ではなかったことは事実ですが、長野県、そして開催
地である軽井沢町・野沢温泉村・長野市の三市町村は、一生懸命頑
張って、準備をしてきました。
そんな中で、皇太子殿下ご夫妻が「長野かがやき国体」にお出で
いただけるというのは、ビッグニュースでした。お二人でお出でに
なることは、長野市民にとって大変名誉なことであり、本当にうれ
しいことでした。特に妃殿下がお出でになられたこと、市民みんな
が期待していたことです。25日午後、新幹線で長野駅にお着きに
なり車に乗り換えられる際は、大勢の市民が集まって、手を振り、
歓声を上げて、大歓迎でした。私も県知事、県議会議長、県警本部
長、市議会議長、そして駅長さん方とお出迎えさせていただきまし
た。寒い中、殿下のベージュ色のコートと妃殿下の白いコートが大
変印象的であり、にこやかな、そして気品のあるお姿を拝し、大変
うれしく思いました。
翌26日、開会式は、皇太子・同妃両殿下をお迎えし、県民文化
会館で行われました。
開式前のアトラクションでは、乗鞍アルプホルン愛好会、信濃の
国踊り「紫季舞(しきぶ)」、長野市立裾花小学校ポプラマーチン
グバンドの皆さんが出演してくださいました。それぞれ大変素晴ら
しい、そして印象深い熱演でした。
役員・選手団の入場は、各都道府県で旗手を含めて5名以内に制
限されていたようですが、皆さん元気に、長野商業高校の生徒たち
が持つプラカードに先導されて行進し、国体ムードが盛り上がりま
した。
村井県知事の開会宣言、国旗儀礼、森第63回国民体育大会会長
(日本体育協会会長で元首相)のあいさつ、服部県議会議長のあい
さつ、そして私は開催地市町村長を代表して、歓迎のあいさつをさ
せていただきました。
皇太子殿下のお言葉は「この長野かがやき国体が、多くの皆さん
に感動を与え、いつまでも心に残る素晴らしい大会となることを願
います」という内容でした。
力強く選手宣誓したのは、スピードスケート成年女子に出場する
加治木彩選手(長野市の八幡屋磯五郎所属)でした。
以下は、地元市長として私の歓迎のあいさつ全文です。
皇太子殿下、皇太子妃殿下のご臨席を仰ぎ、第63回国民体育大
会冬季大会が、ここ長野市、そして軽井沢町、野沢温泉村を会場と
して、盛大に開催されますことは、誠に光栄であり、三市町村を代
表して、全国各地よりご参加いただいた多くの選手ならびに役員の
皆さまを心から歓迎申し上げます。
三市町村にとりましては、1998年に開催されました、愛と感
動の長野オリンピックから10周年を迎える節目の年に本大会を開
催できることは、大変喜ばしいことであります。
本大会においては、厳しい練習を重ねられた全国の精鋭の皆さま
による、エキサイティングなレースや、華麗な演技、そして激しい
得点争いが繰り広げられることが期待されます。
競技会場となります、長野市のエムウェーブとビッグハット、軽
井沢町の風越公園アリーナ、野沢温泉村のオリンピックスポーツパ
ークは、いずれもオリンピックで数々の感動を世界中に発信した場
所であります。
このような会場で選手の皆さまには、日ごろの練習の成果を十分
に発揮され、大会スローガン「輝いて 雪と氷の 華となれ!」のご
とく、夢の舞台で大いに輝き「華」となることを願っております。
また、競技のあとには、それぞれのまちの魅力にも触れてみてく
ださい。長野市は国宝善光寺の門前町として古くから全国の皆さま
に親しまれておりますし、軽井沢町は雄大な浅間山のふもとに位置
し、古くから国際的な保健休養地として知られています。そして、
野沢温泉村は歴史あるスキー場と豊富にわき出る温泉が魅力のスキ
ーの村です。
どこのまちでもオリンピックで培った、ホスピタリティーあふれ
るおもてなしの心で、地域住民は迎えてくれるはずです。長野の思
い出をたくさん、ふるさとに持ち帰っていただきたいと思います。
最後になりますが、開催に当たりご尽力いただきました関係の皆
さまに心から敬意と感謝の意を表しますとともに、選手の皆さまに
はさらなる飛躍をご祈念申し上げ、歓迎のことばといたします。
以上が、かがやき国体の開会式の模様です。
午後は、長野市のビッグハットで、成年女子のフィギュアスケー
トのショートプログラムを観戦させていただきました。皇太子殿下
も貴賓席から、橋本日本スケート連盟会長の説明をお受けになりな
がら、応援されました。そして午後3時過ぎ、長野駅から新幹線で
お帰りになりました。
ご夫妻には、素晴らしい印象を長野市民に残していただきました。
ありがとうございました。
長野かがやき国体の日程は、
1月26日~1月29日 フィギュア(会場はビッグハット)
1月29日~1月30日 ショートトラック(会場はビッグハット)
1月27日~1月30日 スピードスケート(会場はエムウェーブ)
1月28日~2月1日 アイスホッケー
(会場は軽井沢町 風越公園アリーナ)
2月19日~2月22日 スキー
(会場は野沢温泉村 野沢温泉スキー場)
既に終了した日程もありますが、皆さん、応援していただければと
思います。
30日には、スケート競技会が終了しました。スケート競技会で
の長野県勢は、皇后杯得点(女子総合)が第1位、天皇杯得点(男
女総合)が第2位と活躍されました。たくさんの感動をいただいた
選手の皆さんに感謝します。
さて、今年の冬季国体は、財政事情が厳しい折なので、コスト削
減のために、いろいろな新機軸・工夫がなされています。
(1)種目はスキー、スケート、アイスホッケーですが、最近は一
つの県での開催は少なく、ばらばらの開催が多かったのですが、
今回は長野県が思い切って三種目一緒に開催を引き受けたもので
す。
(2)開会式を三種目合同で行うことで、雰囲気の盛り上げ、冬季
国体の一体感の醸成、そして全体コストの大幅削減ができました。
(3)過去の冬季国体で、競技役員・運営役員に配っていたコート
類を倹約しました。
(4)企業スポンサー、言い換えると広告を大幅に取り入れました。
ほかにもあるかもしれませんが、これらの工夫によって、長野県
が使った費用は、前回の国体費用の半分ぐらいで済むようです。
若干国体のムードが変わったという意見も出そうですが・・・私
は良かったと思っています。無駄を排し、華美にならず、簡素な形
で国体を行うことが、長く国体を続けていく上で大切なことと感じ
ました。