2009年7月23日木曜日

企業誘致フェア


 先週、7月15日(水)から17日(金)までの3日間、東京国
催されました。このフェアは、社団法人日本経営協会が主催してい
るもので、企業を誘致して地域活性化を進めたい地方自治体と、新
たな立地先を探している企業とのお見合いの場とも言えるイベント
です。昨年に続き、2回目の開催になります。

 長野市では、本市の最上位計画である第四次長野市総合計画で
「企業立地の推進」を重点施策に位置付けていることをはじめ、産
業振興部内に企業立地推進室を設けたり、「長野市産業集積・企業
誘致戦略」を策定したりするなど、積極的に企業立地を進めていま
す。そのような中でこのフェアは、長野市への企業立地をご検討い
ただくとても良い機会になりそうだということで、展示ブースを出
展して産業用地やオフィスビルの情報を発信するとともに、私も市
長としてプレゼンテーションをしてきました。

 長野市の製造業の現状について、少しご説明させていただきます。
従業員4人以上の事業所を対象とした「製造品出荷額等」の推移を
見ますと、ピークの平成9年が7,936億円だったのに対し、平
成16年には約半分の4,018億円まで落ち込んでしまいました。
その後は増加傾向に転じ、平成19年には4,903億円まで回復
しましたが、ピーク時と比較して3,033億円、率にして約38
%も落ち込んでいる状況なのです。
 また、従業者数も減少を続けており、出荷額などが持ち直した後
も経営の合理化などに伴い減少が続いている状況です。
 このような状況において、雇用の確保やまちに元気を呼び戻す効
果が期待できる「企業誘致」という政策は、市内の企業を応援する
政策と並んで、長野市にとって大変重要になっています。

 現在、企業へ分譲するために長野市がストックしている産業用の
用地は4区画です。ただ、これでは、スムーズな企業誘致はできま
せんので、川合新田の南部浄化センター跡地と南長池の三菱電機長
野工場の跡地を利用して、新たに産業用地を整備する計画です。
 また、中心市街地では、営業所の統合や撤退によって空室が目立
っているオフィスビルもありますので、ここへの企業誘致もしたい
と考えています。

 ただし、企業を誘致したいということは、事情はそれぞれでも全
国の地方都市に共通する思いであり、近年では自治体間の誘致合戦
が過熱している状況でもあるのです。このような中では、長野市の
魅力をいかにお伝えできるか、ということが大事になってくるので
しょう。7月15日に行ったプレゼンテーションでは、私もさまざ
まな思いを込めながら、最大限アピールさせていただきました。
 私が行ったプレゼンテーションは、おおむね以下のような内容で
す。

優れた交通アクセス
・東京までは、新幹線で1時間30分。北陸新幹線延伸により金沢
 までは1時間。長野市を拠点とした営業エリアがさらに拡大する。
・首都圏、中京圏へは複数の交通ルートがあり、災害時でも容易に
 支援体制が確保できる。
・新潟県上越市の直江津港までは車で1時間。中国・韓国との交易
 に優れている。

都市と自然が共生するまち
・上信越高原国立公園へは、長野駅から車で30分。ここには、飯
 綱高原や神話の舞台にもなる戸隠などがあり、都市機能と自然の
 安らぎが調和している。また、志賀高原や北アルプスも間近に望
 むなど、大自然の魅力に満ちあふれている。
・スポーツ、レジャー、癒やしなど、ワークライフバランスに優れ
 た環境にある。
・善光寺や真田十万石の城下町松代など、伝統・文化の宝庫。周辺
 には、「栗と北斎のまち小布施」や「蔵のまち須坂」、「名月の
 里 千曲」など、歴史や文化の薫るまちがある。

気候(過去30年の平均)
・年間平均気温は11.7度。夏場でも朝夕は涼しい。
・年間降水量は900ミリ前後。全国平均と比較すると半分程度で
 あるが、水源を数多く有しており、水不足の心配はない。
・冬場の最大積雪量は、平地で20センチメートル程度。迅速な除
 雪により、事業活動や日常生活への影響は少ない。

産・学・行の連携が活発
・市内には、長野市ものづくり支援センター、超微細な炭素繊維で
 あるカーボンナノチューブなどの研究成果が注目されている信州
 大学工学部、長野工業高等専門学校(長野高専)、県工業技術総
 合センターなど、産・学・行連携支援機関が集積している。
・長野市ものづくり支援センターには、「クリーンルームシステム」
 のほか、研究者が企業と連携しながら試験・研究・試作を行う
 「レンタルラボ」や産・学・行の交流をもたらす「交流ゾーン」
 などが整備されている。

コンベンション機能が充実
・約7,000人を収容できる宿泊能力、2万人を収容できるコン
 ベンション施設もあり、学会や国際会議などの開催が可能で、助
 成制度もある。

企業立地への支援体制
・研究開発や販路拡大に向けた情報提供を積極的に推進。
・立地後も、企業の求める情報の提供や技術支援などのフォローを
 積極的に実施。
・不動産関係者や金融機関などと連携し、産業用地整備やオフィス
 ビルの情報を発信。

さまざまな助成制度を用意
・工場用地の取得に対する助成
・固定資産税相当額の助成
・貸付特約付分譲制度
・事業用定期借地制度
・事業所税相当額の助成
・雇用創出企業立地支援助成金制度
・施設改修に関する助成

 以上のようなことをアピールさせていただきました。これを契機
に、多くの企業に長野市への立地をご検討いただけますと、うれし
く思います。

 話は変わりますが、今年は4年に一度の市長選挙の年です。長野
市選挙管理委員会では、10月18日告示、10月25日投開票と
いう日程を決定しています。
 私、鷲澤正一は、6月市議会で三選を目指して立候補するという
意思表明をさせていただきました。

 現職としての公務は11月の任期まで続くわけですが、選挙が近
くなるにつれ、候補者としての側面も強くなってきます。それ故に、
市の公の施設(道具)を使って、選挙運動だと誤解されるような行
動をとることは、当然、自粛すべきであると認識しています。
 公職選挙法では、選挙運動と政治活動を区別してはいるのですが、
どこで線を引くのか、必ずしも明確ではありません。しかし、現職
であるが故に、紛らわしいことは遠慮すべきということ、肝に銘じ
ているつもりです。

 従って、市役所のサーバーを使って配信している「かじとり通信」
は、休刊することにし、市役所とは別のホームページを立ち上げて、
私の考えを述べさせていただくことにしました。
 前回、すなわち、私の二期目の市長選の時も、同様の処置をした
と記憶しています。もちろん、このホームページでも選挙運動をす
るつもりはありません。過去と同じように、市政の課題について、
私の考えをきちんと述べさせていただくつもりです。

 この自主規制は、特に法的根拠があるわけではありません。報道
機関では、選挙前3カ月は候補者(その可能性のある方も含む)の
顔写真や記事などを出さないようにしているそうで、その例に倣っ
ているものです。投票日の10月25日の3カ月前と言えば7月
25日前後ということになりますので、今日が最終日ということに
なります。

 以上のように、来週からしばらくの間、私が執筆するメールマガ
ジン「かじとり通信」は休刊させていただくことにします。そのほ
かのコーナー「お知らせ&イベント情報」と「新着情報」は、従来
どおり配信させていただきますので、引き続きご覧いただければ幸
いです。

 なお、投票日以後の最初の木曜日は10月29日です。その時は、
当落に関係なく、私はまだ任期中ですので、再びメルマガを書かせ
ていただく予定です。

追記
 7月9日付けのメルマガ「底割れを防ぐ経済対策」の中でアメリ
カの経済政策は日本の政策を受け継いだ、という趣旨のことを書か
せていただきましたが、少し言葉が足りない面がありましたので、
補足させていただきます。
 民間会社に資本を注入したということは、大きな意味でアメリカ
も日本も同じなのですが、アメリカの場合は、ゼネラル・モーター
ズ(GM)の優良資産だけを引き継いだ新会社、新GMをつくり、
そこへ政府が資本注入したわけです。残された借金など、不良資産
の部分は旧GMに残され、資産売却などを行い清算するそうです。
しかし、これには、かなり大きな財政負担が見込まれるはずで、日
本の場合とはかなり違っています。

 メルマガの配信後、このことを十分に書かなかったことが気にな
っていたものですから、今回、付け加えさせていただきました。