昨日、長野市議会3月定例会が終了、諸議案をご決定いただきま
した。これにより、「環境対策の充実」、「都市内分権の推進」、
「産業基盤の整備」、「中山間地域の活性化」を包括的・横断的に
取り組む“基盤施策”とした上で、“優先施策”として「子育ち・
子育て支援の推進」、「エネルギーの適正利用」、「快適で安全な
教育環境の整備」、「公共交通機関の整備」を位置付けた平成22
年度予算が成立。新年度のスタートに向けた準備が整いました。
新年度予算では、財源不足を補うために積み立ててある財政調整
基金などからの取り崩しを前年度の半分に減らし、加えて、新たな
基金を積み立てることも予定しています。
なお、平成21年度決算はこれからですが、健全な財政を堅持で
きる見込みです。
今回は、予算や決算とは別の話ですが、市民の皆さんがご心配さ
れているであろう、今後予定している本市の大規模プロジェクトに
ついてお話しさせていただきます。
まず、平成22~31年度の今後10年間で予定している事業で、
10年間に見込まれる事業費が1件30億円を超えるプロジェクト
を、財政部の資料から抜き出してみました。
以下に列挙したものは、現段階で考えられる大規模事業8件の概
要と今後10年間で見込まれる概算事業費です。もちろん、市議会
での審議・決定を経ているわけではありませんから、今後どう変わ
るか分かりませんし、あるいはもっと違うプロジェクトが生まれる
かもしれません。
(1)新市役所第一庁舎建設事業
耐震強度の確保と市民サービスの向上を目指し、昭和40年に完
成した現在の庁舎を建て替える事業です。事業には、平成20年度
から積み立ててきた「庁舎整備基金」(平成21年度末で約14億
円)を活用することにしています。新庁舎の建設は平成25年度、
現庁舎の解体とその跡地の駐車場整備は平成27年度の事業完了を
目指しています。
概算事業費:50億円
(2)斎場新設事業
老朽化が進んでいる松代斎場、大峰斎場を再整備する事業です。
平成26年度の事業完了を目指しています。
概算事業費:40億円
(3)ごみ処理施設広域負担金
長野広域連合が進めているごみ処理施設建設に要する費用のうち、
長野市分の負担金です。平成26年度中の稼働を目指しています。
概算事業費:110億円
(4)ごみ焼却施設周辺整備事業
ごみ焼却施設周辺整備事業として、サンマリーンながのに代わる
新たな健康レジャー施設整備のほか、公園整備、資源化施設の改修、
現焼却施設解体などを行う事業です。現在のところ、平成31年度
までに以下の事業費を見込んでいます。
概算事業費:90億円
(5)長野駅善光寺口駅前広場整備事業
暫定整備の状態にある長野駅善光寺口駅前広場を完成させるため、
再整備を行う事業です。平成25年度の事業完了を目指しています。
概算事業費:45億円
(6)長野駅周辺第二土地区画整理事業
都市基盤を整備して生活環境の向上と防災対策を講じるとともに、
個性豊かな街づくりを進めるため、JR長野駅の東口に位置する面
積58.2ヘクタールの地区を対象に、平成5年度から実施してい
る土地区画整理事業です。総事業費約781億円のうち、今後見込
まれる事業費は以下のとおりです。平成28年度の事業完了を目指
しています。
概算事業費:190億円
(7)小・中学校耐震化事業
校舎、体育館などの耐震性を強化するために、平成15年度から
計画的に実施している耐震補強または建て替え事業です。総事業費
約500億円のうち、今後10年間に見込まれる事業費は以下のと
おりです。平成31年度の事業完了を目指しています。
概算事業費:410億円
(8)新長野市民会館建設事業
現長野市民会館の課題を改善するとともに、より質の高い文化芸
術拠点となるよう、権堂B-1地区再開発事業予定地(予定)に建
設する事業です。事業には、昭和62年度から積み立ててきた「市
制90周年記念文化施設建設基金」(平成21年度末で約23億
7,000万円)を活用することにしています。平成26年度の事
業完了を目指しています。
概算事業費:80億円
以上、列挙したプロジェクトの事業費は、合計1,015億円に
もなります。
しかし、この額すべてを市の一般財源から支出するわけではあり
ません。プロジェクトの実施に当たっては、国や県の補助金を最大
限活用していくほか、事業実施に向けて積み立ててきた基金の活用、
資金(市債)の借り入れも予定しています。
ただ、市債の借り入れに当たっては、資金を返済する際に国が交
付税で面倒を見てくれる有利な市債(合併特例債など)を可能な限
り活用することが前提です。
このようなことを踏まえた上で、今後10年間の本市の財政状況
を試算してみました。
それによると、それぞれのプロジェクトが本格化することで、一
時的に歳出が大幅に上昇し、基金残高が減少、市債の借入額や市債
残高の増加などが見込まれます。
基金残高の減少や市債残高の増加などにより心配されるのは、自
治体財政の健全性の目安となる“財政健全化指標”のうちの「実質
公債費比率」と「将来負担比率」の悪化です。この二つの指標が一
時的に悪化することは、どうも避けられそうにありません。ただし、
財政的に国からさまざまな制約を受けることになる注意信号“早期
健全化基準”を上回ることはないとみています。
想定外の事業の発生や、国の政策変更などで試算が狂う可能性も
ありますから、心配がまったくないとは言い切れませんが、現在の
ところ、予定している大規模プロジェクトを実施しても、長野市は
健全財政を維持できる見込みです。