長野市には、これまで3つのスキー場があったことは、皆さんご
存じの通りです。
スキーシーズンが終了するに当たり、それぞれの利用状況につい
てご報告します。
(1)戸隠スキー場
営業期間:平成21年12月19日~平成22年4月4日
(107日間、前年度比5日増)
利用者数:11万598人(前年度比6,922人減)
今シーズンから社団法人長野市開発公社が指定管理者として運
営しています。また、シーズン当初より、株式会社東急リゾート
サービスから支配人など2人のスタッフ派遣を受け、民間の専門
的見地から経営改善や顧客サービスの向上に努めてきました。
さらに施設面では、老朽化して危険になっていた中社第二リフ
トの架け替え、コース改良、シャルマン戸隠の改修などを行い、
利便性を高め、頑張ってきたつもりです。
利用者が約7,000人も減少してしまった原因ですが、各地
で豊富な積雪に恵まれたことにあると考えています。昨シーズン
は、暖冬による雪不足で、年末にかけて営業できなかった近隣の
スキー場が多かったようです。そのため、積雪に恵まれていた戸
隠スキー場に利用者が集中し、シーズン序盤に大きく利用者が増
加しました。
しかし、今シーズンは、12月中旬から各地に降雪があり、近
隣のスキー場も営業できました。その分、戸隠の利用者が減少し
てしまったようです。また、シーズン最盛期の2月以降、週末に
気温が上昇して雨が降るなど、天候不順も利用者が伸びなかった
原因の一つでしょう。
(2)飯綱高原スキー場
営業期間:平成21年12月19日~平成22年3月20日
(92日間、前年度比21日増、本来は3月22日ま
で営業する予定でしたが、大雨により2日短縮して
営業を終了)
利用者数:5万5,978人(前年度比2万458人増)
平成18年度から、長野市開発公社が指定管理者として運営し
ています。
今シーズンは、閉鎖していた「里谷多英コース」などを復活さ
せ、稼動リフトも増やしました。
昨シーズンは、戸隠スキー場と反対に雪不足により営業できな
い日が多く、大きく利用者数を減らしてしまいました。
一方、今シーズンは、オープンの日から豊富な積雪に恵まれ、
ほぼ予定通り営業できましたので、その分、利用者が増えていま
す。特にシーズン最盛期には、大雪で他スキー場への道路状況が
悪い中、市街地からのアクセスが容易であることも幸いしたので
しょうか。また、里谷多英コースの復活も誘客につながったよう
だと報告を受けています。
(3)聖山パノラマスキー場
営業期間:平成22年1月2日~2月25日
(55日間、前年度比34日増、本来は12月19日
から3月22日まで営業する計画でしたが、雪不足
によりシーズン途中でオープン、シーズン途中で営
業を終了)
利用者数:5,398人(前年度比4,586人増)
平成19年度から聖山高原リゾート共同企業体を指定管理者と
して運営してきましたが、スキー場の営業は、今シーズン限りで
終了です。そのため、今シーズンは“さよならキャンペーン”を
展開しました。
飯綱高原スキー場と同様に、昨シーズンは雪不足により、利用
者数を大きく減らしてしまいした。21日間しか営業できなかっ
た昨シーズンに対し、今シーズンは55日間も営業できましたの
で、一応、利用者数は増えています。
また、“さよならキャンペーン”でリフト券を格安に提供した
ことも誘客に大きな効果があったようです。
以上が3スキー場の利用状況です。
聖山パノラマスキー場については、標高が低いことに加え、地球
温暖化の影響もあるのでしょうか、近年、雪不足が際立っています。
一昨年、このままで継続することは難しいと地元の皆さんが判断さ
れ、スキー場の廃止を決断していただきました。しかし、今後の後
利用をどうするか、課題は大きいと感じています。
戸隠と飯綱高原のスキー場は、一体的に考えていく必要があると
考えており、両スキー場共に運営に当たる指定管理者は、長野市開
発公社になっています。赤字を抱えている施設ですから、いろいろ
工夫が必要ですし、温暖化の進行が続くと厳しい局面もあるかもし
れませんが、工夫によってまだまだ伸びる余地はありそうです。
しかし、結局は、スキーヤーやスノーボーダーの数を全体的に増
やさないと、スキー場の隆盛は図れないということになるのでしょ
う。そのための工夫、サービスを考えなくてはいけません。そして、
宿泊して滑りに来てくださる利用者も大切にしたいですよね。指定
管理者の長野市開発公社、今シーズンの経営指導を依頼した東急リ
ゾートサービス、それと地元の観光協会、旅館組合、地域の皆さん
などで、いろいろ相談していく必要があります。
県内には数多くのスキー場がありますが、今後、伸びる所と、廃
業に追い込まれる所と二極化していくのでしょう。戸隠・飯綱高原
は必ず伸びる方向にいくと感じています。これからも長野の冬は、
スキーやスノーボードなど、スポーツでお客さんをお呼びしていき
たいものです。
そして、キャンプ場、牧場を中心としたグリーンシーズンの取り
組みも重要でしょう。自然散策、トレイルラン、グラススキー、乗
馬のエンデュランス競技、キャンプもたいへん人気があるそうです。
例えば、キャンプエリアの拡張やバンガローの改築、牧場の観光牧
場化で誘客を図る・・・あるいは、ハンググライダーなどもどうで
しょうか。
また、そろそろ、外国人観光客を誘致する“インバウンド”にも
力を入れなければならない時期かもしれません。
いろいろ雑談的にアイデアを並べましたが、私とすれば、長い時
間をかけて、飯綱、戸隠、そしてそこに隣接する鬼無里を加えたエ
リアを高級リゾート的な場所、世界中の人のあこがれの地にしたい
・・・そんな夢も見ています。
最後に、私のことについても報告させていただきます。
今シーズンも、土・日曜日の仕事の合間を縫ってスキーに行って
きました。中には、2~3時間だけ、などという日もあったのです
が、戸隠スキー場を中心に、市外のスキー場にも足を伸ばすことが
できました。実感したのは、やはり戸隠の雪質はいい、“魔法の粉
雪”と宣伝させていただいているだけのことはあるということです。
そして、私がスキーを再開してからずっと苦しんできたカービン
グスキー。一緒に滑ってくれる仲間に言わせれば、「格段の進歩」
だそうです。5月の連休がありますので、あと何回かはスキーに出
掛けたい気持ちですが、無理でしょうかね・・・。
2010年4月29日木曜日
市営3スキー場の総決算
2010年4月22日木曜日
長野市のスポーツ、大いに盛り上がっています
3月12日、北信越フットボールリーグの開幕に先立ち、201
0シーズンに向けた関係者の決起集会を兼ね、平成21年度「ホー
ムタウンながの推進協議会」の総会が開催されました。この協議会
は、AC長野パルセイロのホームタウンである長野地域が一体とな
った支援体制をつくることなどを目的に、長野地域の関係団体で構
成している組織です。
会長を務めていただいている前市長の塚田佐さんからは、今年こ
そパルセイロの日本フットボールリーグ(JFL)昇格に向けて努
力しようという決意が示され、集まった関係者にハッパが掛けられ
ました。
昨シーズンは悔しい思いをしました。同じ北信越1部リーグを戦
ってきた宿敵「松本山雅」と「ツエーゲン金沢」が一足先にJFL
への昇格を果たしたのです。2チームの昇格を祝福しながらも、や
はり悔しい。後塵(じん)を拝したままではいられない、何として
も追いつくぞ・・・そんな思いでした。
バドゥ監督が退任したパルセイロは、今シーズン、薩川(さつか
わ)新監督の下、戦力面でかなりの補強を行いました。薩川監督の
指導はかなり厳しいと言われていますが、それは当然でしょう。J
FL昇格への大きな期待が掛かっているのですから。その厳しさに
耐えることが、必ず良い結果に結び付くはずです。
また、昨年11月、大原学園JaSRA女子サッカークラブから
移管された女子チーム「AC長野パルセイロ・レディース」も、今
シーズンから女子の「チャレンジリーグ」に参入しています。「パ
ルセイロ・レディース」には、長野地域における女子サッカー文化
の普及に貢献してほしいと思っていますし、もちろん1部「なでし
こリーグ」への昇格も大いに期待しているところです。
女子チームの誕生により、「地域密着協働型スポーツクラブ」を
目指すAC長野パルセイロの幅が広がるとともに、華やかさも加わ
ったと言ってもいいでしょう。相乗効果も期待でき、今後が楽しみ
です。
4月11日、北信越1部リーグを戦うパルセイロのシーズン初戦
が、南長野運動公園総合球技場で行われました。
勝ちましたよ!!・・・前半で5対0と大差をつけ、後半にはさ
らに3点を追加して8対0。安心して見ていられました。相手は、
昨シーズン1部リーグへ昇格を果たした「アンテロープ塩尻」です。
今シーズン、全勝での北信越リーグ制覇が期待されているパルセイ
ロにとって、初戦からモタモタすることは許されません。そんなプ
レッシャーの中、見事、圧勝で開幕戦を飾ってくれました。
ちょっと肌寒い日でしたが、選手は皆一生懸命走り、はつらつと
プレーしていました。この初戦、薩川監督がどう感じているかは分
かりませんが・・・この調子で全勝を目指しましょう。2戦目も勝
ったとのことですから、その後も良い流れが続いているようです。
そして皆さん、スタジアムで応援しましょう。満員の観客、応援
団は、選手にとって一番うれしいことですし、力の源泉でもありま
す。もちろん、勝つことで、より多くのお客さんに来ていただける
と思っています。私もできるだけ応援に駆けつけるつもりです。
パルセイロより一足早い4月4日、県民球団「信濃グランセロー
ズ」のホーム開幕戦が長野オリンピックスタジアムで開催されまし
た。相手は「富山サンダーバーズ」。見事な勝利を挙げ、昨シーズ
ンとは一味違う姿を見せてくれました。
グランセローズが所属するBCリーグは、今年で4シーズン目で
す。所属する6つの県民球団(新潟・富山・石川・福井・長野・群
馬)は、地域密着型のチームとして、それぞれ年間72試合を行う
ことになっています。
ホーム開幕戦に当たり、私からは「野球を愛する多くの人たちに
元気を与えるとともに、子どもたちには夢と希望を与え、将来の目
標になるリーグとなるよう期待する」とあいさつさせていただきま
した。始球式には、バンクーバーオリンピックのスピードスケート
女子500メートルで5位入賞を果たした吉井小百合さんが来てく
ださり、見事な投球を披露してくれました。
会場となったオリンピックスタジアムの人工芝ですが、スタジア
ム完成から10年が経過し、劣化が目立ってきていました。そこで、
昨年末から人工芝の張り替え工事に着手。無事、開幕戦に間に合わ
せることができました。両チームに絶好のコンディションを提供で
きたことをうれしく思っていますし、誇らしくも思います。関係者
からも、おおむね好評のお言葉を頂くことができました。
ただ、工事費は随分掛かりました。天然芝は普段の手入れが大変
ですが、人工芝も10年に一度ぐらいは大きなお金が掛かることを
覚悟しておかなくてはならない、ということでしょう。
長いリーグ戦を戦うわけですから、選手の皆さんには、できるだ
け良いコンディションを提供していきたいと思っています。そして、
優勝を目指し、最後まで試合をあきらめず、スピード感あふれる真
剣なプレーをお願いしたいものです。
応援も大切です。ホーム開幕戦のこの日、スタンドには大勢の観
客の皆さんがお越しになっていました。これからもぜひ球場に足を
運んでいただき、選手の一生懸命のプレーに熱い声援をお願いした
いと思っています。
試合の結果は、10対1という大差でグランセローズが勝ちまし
た。昨年までは富山に負け続けていた印象がありましたので、大喜
びです。グランセローズの三沢社長にお聞きすると、新加入の選手
は18人とのことですから、ほとんどの選手が入れ替わったという
ことでしょう。確かに、昨年までとは動きが違っていたような気が
します。この日先発した新加入の杉山投手の球速も、随分速いと感
じました。
この試合の前日、アウェーで群馬ミリオンスターズと戦い、負け
ていましたので、もしかしたら今年も・・・と心配していたのです
が・・・快勝で大変良かったと思います。
さらに、その後も連勝を重ねたそうですから、今シーズンのグラ
ンセローズは期待が持てそうです。
4月16日、バンクーバーオリンピックで活躍された小平奈緒さ
んと、同パラリンピックで活躍された狩野亮さんのお二人に市役所
へお越しいただき、長野市民栄誉賞を贈呈させていただきました。
女子スピードスケート・チームパシュートで銀メダルを獲得した
小平奈緒さん。金メダルのドイツチームとは0.02秒差でしたか
ら、悔しさが募るでしょう。しかし、見事な成績で、日本の女子ス
ピードスケートとしては、オリンピック史上最高です。
狩野亮さんは、アルペンスキーの男子スーパー大回転座位で金メ
ダル、滑降座位で銅メダルを獲得しました。この競技では、もう名
選手と言って良いでしょう。クラス分けが変更になった前回大会以
降ということですが、こちらも、日本選手としては、パラリンピッ
ク史上最高の成績です。お二人とも、ソチを狙うとのことですから、
皆さん、これからも応援していきましょう。
4月18日、「長野オリンピック記念長野マラソン」と「長野車
いすマラソン」が行われました。前日には、雪が降ってびっくりし
ましたが、当日はまったく問題なし。快晴で、絶好のマラソン日和
になりました。
私は例によって、車いすマラソンのスターターを務めさせていた
だいた後、NHK長野放送局の前へ移動して長野マラソンの応援を
しました。ここは、ちょうど10キロメートル地点を少し過ぎた付
近で、スタートから30分ほどでトップ選手が通過。その後、しば
らくしてから、市民ランナーの皆さんが延々と続いていきました。
皆さん、とても元気に走り抜けていきました。
車いすマラソンは、長野市の樋口政幸選手が2連覇。本当にうれ
しい限りです。
マラソンは、男子はケニアのニコラス・チェリモ選手、女子はオ
ーストラリアのリサ・ウェイトマン選手が優勝しました。こちらは
今のところ、長野市のランナーが優勝というわけにはいかず、ちょ
っと残念ですが、でも仕方無いですかね。いつの日か、長野市出身
のランナーがトップでゴール、そんな夢も見ながら大会を続けてい
きたいと思っています。
ランナーや応援の皆さんに好評だったのは“Qちゃん”の愛称で
有名な、シドニーオリンピックの女子マラソン金メダリストの高橋
尚子さんの参加です。前回からですが、高橋さんには、選手として
ではなくスペシャルゲストとして、市民ランナーの激励をしていた
だいています。今年も、ハイタッチをしたり、ランナーと手をつな
いでゴールしたりして、市民ランナーを元気付けていただきました。
手が真っ赤になってしまったそうですが、今年も大いに大会を盛り
上げていただきました。
そして、今大会からは、新たに視覚障害者の部が設けられました。
沿道で応援している時に目にした、伴走者と共にさっそうと駆け抜
けていく姿は、強く印象に残っています。
夕方の表彰式でお聞きして驚いたのですが、最も障害が重いB1
クラスで優勝した飯山市の南沢選手のフィニッシュタイムは3時間
2分。この速さにはびっくりです。
この部で参加されたランナーの皆さんにも、大いに大会を盛り上
げていただきました。
2010年4月15日木曜日
有限会社「たんぽぽ」 松代イヤー
4月10日、有限会社「たんぽぽ」の加工所、直売所のしゅん工
式に出席させていただきました。
有限会社「たんぽぽ」は、平成4年4月に篠ノ井信里地区の農家
の女性の皆さんが発足させた「たんぽぽの会」を前身とし、平成1
1年3月に23人の出資により設立された会社です。地元産の野菜
・果物の直売や料理の仕出し、弁当やおやきの販売など、農産物加
工品の生産販売に取り組み、順調に業績を伸ばしてこられました。
社長の小池峰子さんは、すご腕の経営者だと私は以前から感じて
いましたが、社会的な信用はもちろん、得意先や社員の皆さんの信
頼を一身に受けておられるようです。さらに、社員の皆さんの結束
も十分だと感じています。
「たんぽぽ」は、平成14年度に「食アメニティ・コンテスト」
で農林水産大臣賞、平成18年度に日本農業賞の「食の架け橋賞」
を受賞されるなど、その業績は全国レベルでも高く評価されてきま
した。このたび、国の補助事業を活用し、加工所と直売所の建て替
えをされたのですが、今回、補助の対象となったのは、過去のこの
ような実績も評価されたのだと思っています。
市としては、国の補助金とは別に「たんぽぽ」の増資に応じ、市
農業公社を通じて250万円を出資させていただきました。この出
資は、農業者団体などによる事業が、小さくてもビジネスとして成
り立つよう積極的に法人化を促し、スモールビジネスを育てようと
いうことで、昨年から公社が取り組んでいる「農業法人化支援事業」
の一環として行ったものです。「たんぽぽ」には、この事業の第1
号として出資させていただきました。
ただ、今回は、既存会社の増資に対する出資ですから、純粋な意
味での“法人化支援”とは言えないかもしれません。
もっとも「たんぽぽ」は、これまでとても優秀な成果を挙げてお
られ、今回の増資も順調に行われており、公社の出資金は不必要だ
ったようにも思います。公社の事業に協賛する意味で、出資を受け
入れていただいたのではないかとも思えたのですが、小池社長さん
には、とても喜んでいただいているようです。例えわずかでも応援
することができ、うれしく思っています。
私は、今後、この「農業法人化支援事業」で、100社ぐらいに
出資したいと考えています。
なぜ法人化が必要か・・・。従来、農業は個人経営が主体ですか
ら、高齢化によりやめてしまう方も多く、耕作放棄地になってしま
う農地が多いと感じています。そこで、高齢化時代の農業を長続き
させるためには、集団での経営が必要だと考え、法人化を支援する
ことにしたのです。
法人化すれば、当然しっかりとした事業計画を立て、経理もきち
んとしなくてはなりません。どんぶり勘定では、法人組織になれな
いのです。どんぶり勘定から脱却する必要があります。
次に、どうして“出資”なのかということです。一般的に考えて、
事業者が資金調達する手段には、主として次の3つがあるでしょう。
(1)借入金
(2)補助金
(3)出資金
借入金は返すことが前提ですから、経営を安定させるのは苦しい
ですし、借金が好きな人は少ないはずです。借りないで済むのが何
より良いでしょう。
補助金はもらったものですから、返済する必要はありませんから、
経営的には安定するはずです。しかし、補助を受けるためにはいろ
いろな要件に合わせることが必要ですし、補助金の使い方にも制限
が加えられます。それに、補助金漬けになると、経営に緊張感が無
くなってしまうのです。
そこで、出資金です。出資金は返す必要がありませんから、安定
的に経営でき、出資者から応援やアドバイスを受けることも可能で
す。ただ、その代わりに配当を要求されることが原則ですし、出資
者からいろいろ注文が付くことも多くなるのが一般的でしょう。
しかし、公社の「農業法人化支援事業」では、原則的には配当を
求めない予定です。もうかったら配当ではなく、出資によって公社
が持つことになった株式を買い取ってください、ということにして
います。経営についても応援はしますが、経営の自主性を尊重する
ことが原則です。
そして、経営者には、出資者に対する説明責任も生じます。その
ことが適度な緊張感を生み、経営の透明性も高めると思うのです。
「たんぽぽ」を第1号に、次々と出資の申し入れがあることを期
待しています。
話は変わりますが、同じ日、「2010松代イヤー」観光キャン
ペーンのオープニングセレモニーが、松代のホテルで開催されまし
た。春原芳夫松代地区住民自治協議会会長が実行委員長に就任され、
松代地区が総力を挙げて取り組む姿勢を見せていただきました。
市では、平成17年度に策定した「1200万人観光交流推進プ
ラン」に基づき、年度ごと、地域ごとに集中的な観光キャンペーン
を展開しています。このキャンペーンの展開で目指すのは、地域の
素材を生かした体験型観光やグリーンツーリズムなど、新たな視点
から交流人口の増大を図るとともに地域ブランド化を推進し、「多
軸型観光都市ながの」を形成することです。
今年、松代城は、築城450年を迎えます。この記念すべき年を
大いに盛り上げようということで、本年度のキャンペーンエリアは
「松代」ということになりました。また、来年は、佐久間象山先生
の生誕200年を迎えるというタイミングでもありますので、今年
のキャンペーンで、こちらもうまく盛り上げてもらいたい、そんな
意味合いも込めています。
松代でのキャンペーンは今回で2回目です。前回「エコール・ド
・まつしろ2004」が成功し、その後のキャンペーンのモデルに
なったわけですが、あれから5年が経過し、観光のスタイルは物見
遊山ではない体験志向がさらに強まっているようです。時間をかけ
て松代を歩いて見て回る旅行も増えるように思います。
前回は、生涯学習、趣味の舞台として松代の文化財を活用したわ
けですが、今回はそれだけでなく、地域全体を歴史遺産と見立て、
散策を通じて松代の魅力を体感していただきたいと思っています。
そのためにもボランティアガイドの養成に地道に取り組んでいただ
きたいと思いますし、住民参加で地域のおもてなしの心を盛り上げ
ていただきたいと考えています。
オープニングセレモニーの基調講演では、静岡大学名誉教授の小
和田哲男先生に「海津城・松代城と戦国群像」と題して興味深いお
話しをしていただきました。先生には、平成6年から「松代城跡附
新御殿跡整備委員会」の委員として、松代の文化財についていろい
ろアドバイスを頂いています。
セレモニー終了後、少し余った時間を利用して、東条地区のアン
ズの花を見に行ってきました。まさに満開の素晴らしい景色でした。
そして、松代城へ。この日、急に暖かくなったせいか、桜は満開
になっていました。夕闇迫る中で、城内を一回りして、桜の花を観
賞しました。
その後、松代城二の丸南門前で、「松代城春まつり」夜の部の点
灯式に出席しました。
このまつりは今年で7回目です。本格的な春の訪れを告げる長野
市の風物詩となりました。松代地区の小学生や幼稚園・保育園児が
作った1,000個を超える筒絵にろうそくで火をともし、さらに
桜をライトアップ。大変見事なスタートを切りました。
私は、長野電鉄のお花見電車に乗って再び松代へ来る予定ですの
で、ライトアップされた桜はその時の楽しみにすることとして失礼
させていただきましたが、とても幻想的な眺めでした。桜も満開に
なっていますので、大勢の皆さんにお越しいただき、松代を楽しん
でいただきたいと思います。
2010年4月8日木曜日
地域活性化推進員との懇談
2週間ほど前になりますが、3月23日、市役所で、地域活性化
推進員と各地区の住民自治協議会の会長さんなどにお集まりいただ
き、市からも関係職員が出席して、「地域活性化アドバイザー月例
会議」を開催しました。
地域活性化推進員というのは、昨年度までの「地域活性化アドバ
イザー」のことです。会議の席でも説明させていただいたのですが、
“アドバイザー”という名称がどうも人ごとのようでよくない。地
域の皆さんと共に汗をかいて、地域の活性化に向けて一緒になって
取り組んでもらいたいという思いを込めて、本年度から名称を「地
域活性化推進員」に変更することにしたのです。今後、この名称を
使わせていただきますのでご理解をお願いします。
中山間地域では、高齢化、人口流出が進んでしまい、地域活動を
しようにも人手が不足している・・・中山間地域の活性化を考えた
場合、これが最大の問題だと言っていいでしょう。それでは試しに
人を配置して住民自治協議会と支所と協力し合って、地域に何が必
要かを考え、そして行動していこうではないかと計画したのが、地
域活性化推進員の配置です。
とにかく、何でもやろう、やってみよう、地域が少しでも元気に
なればいい、走りながら考えようではないか、ということで始めま
した。行政のやり方としては、練りきれていない施策だと思われる
かもしれませんが、日本中で困っている問題、しかも解決方法が見
えない、決め手が無いことですから、これもやむを得ないことだと
思っています。
昨年4月、中山間地域を抱える11地区に、市の嘱託職員を1人
ずつ配置してから、ちょうど1年が経過しました。本年度から、信
州新町地区、中条地区にも配置していますので、現在の地域活性化
推進員は13人です。
地域活性化推進員の配置は、以前から長野市が独自に考えてきた
事業ですが、将来の財政負担を考えると、ためらっていた部分もあ
りました。
ところが、ちょうど時を同じくして総務省で、全国的にも高齢化
の進展が著しく集落維持が困難となっている過疎地域などへの対策
として、「集落支援員」制度がつくられたのです。この制度は、集
落への目配りや住民のパートナーシップの構築などを主な目的に、
地方自治体が地域に配置する「集落支援員」に対し、国が特別交付
税により財政支援をしてくれるというものです。これは、本市にと
ってとてもありがたく、早速この制度のお世話になることにしまし
た。
ただ、これはあくまでも国の制度ですから、この先いつまで続く
のか分かりません。
本市とすれば、この地域活性化推進員の配置を継続していく必要
があると考えていますので、総務省にはぜひ、事業が定着するまで
この制度による支援を継続していただきたいと思っています。財政
状況さえ許せば、さらに人数を増やしたり、対象地区を拡大したり
することも必要でしょう。地域活性化推進員の配置は、中山間地域
の活性化対策として、とても可能性を秘めていると考えているので
す。
もともと地域活性化推進員は、市から補助金を交付することで、
住民自治協議会で雇用してもらいたいと考えていました。ただ、で
きたばかりの住民自治協議会に人の雇用までしていただくには負担
が大きいこと、市の関係課の業務とも連動させたいなどの理由によ
り、当面は、市の嘱託職員として市職員の退職者を主体に配置する
ことにしたのです。
将来的には、地域出身の方、特にその地域で生まれ育って、いっ
たんはほかの地域で働き、年を取ってUターンしてきた方などにも
名乗りを上げていただけるのが一番望ましい形かなあ・・・などと
考えているのですが・・・。
この日の会議では、地域活性化推進員が、それぞれ取り組んでき
たことや本年度の計画などを発表した後、住民自治協議会の会長さ
んからご意見を頂きました。
苦労話としては、高齢化が進み活動できる人が足りないこと、有
害鳥獣の被害が多いこと、ごみの不法投棄に悩まされることの3点
が共通していたように思います。
この1年間、羅針盤が無い中で、任命された皆さんは、本当に頑
張ってくれました。地域活性化推進員が実施した事業を大きく4項
目にまとめて列記してみます。
(1)集落点検活動
・集落点検マップの作成
・地域の課題および地域おこし資源洗い出し、現地調査
・不法投棄パトロールなどの実施
・自主防災活動への参加
(2)地区内での話し合いの実施
・住民自治協議会などが主催する会議への出席
・集落支援の在り方や活性化に向けた方策などの検討
(3)各種計画策定などの支援
・「やまざと支援交付金」を活用した事業計画の策定
・「やる気支援補助金」や県の「元気づくり支援金」を活用し
た活性化事業の計画策定、申請書類作成など
(4)具体的な活動への参加、協力
・地域の活性化に向けた取り組みへの参加、協力
・グリーンツーリズム事業(長野市こども夢学校推進協議会な
ど)への協力
・有害鳥獣対策支援(猟友会の活動への協力)
・そのほか、集落支援および地域の活性化に資する事業への参
画
まとめると、地域の皆さんとの話し合いを通して各地区の特性や
実情に応じた、具体的な活動をしてきたということでしょう。
ただ、実際には、住民自治協議会の役員さんの考え方や意見、地
域の置かれている状況、そして何より地域活性化推進員の考え方、
行動力・・・それらによって、活動はかなり違っていることは事実
のようです。
私の感想としては、総合的に見て初年度としては良くやったと思
っています。そして、そのことに感謝もしています。ただ、今後の
ことを考えると、制度の上で幾つか改善する必要があると思ってい
ます。
まずは人の問題です。1人では大変すぎる、1人でできることに
は限界がある、財政的な問題を抜きに考えれば、最低でも2人は欲
しいと感じています。ただ、2人になった場合は、そのコンビネー
ションが難しくなるかもしれません。
もう一つは、特に中山間地域でもうかる仕事をつくり出す工夫が
欲しいということです。それには、もう少しゆとりをつくり、考え
ることが必要なのでしょう。
それともう一つ、新しい発想が出てきたとき、それをくみ上げる
システムが不十分だということもありそうです。支所も一緒になっ
て、担当課と掛け合って予算を獲得してくるぐらいの馬力が欲しい
ですね。
会議の最後には、私のまとめとして「説得力のある理由があれば
推進員の人数は増やしたい。実施する事業の計画さえきちんとして
いれば、いずれ予算を増やすことも考えたい。そのためにも、住民
自治協議会の皆さんと十分にコラボレーション(協働)してほしい」
ということを伝えさせていただきました。
地域活性化推進員として活動を進めていくためには、まだまだい
ろいろな課題がありそうですが、さらなる活躍を期待したいと思っ
ています。私とすれば、もしかすると、中山間地域活性化の切り札
を手にしたのではないだろうか・・・そんなおこがましい感想まで
持たせていただいたひとときでした。
2010年4月1日木曜日
3月末の出来事
3月24日、すべての議案を決定いただき、3月市議会定例会が
終了しました。
この定例会で市民の皆さんの関心を呼んでいた議題といえば、長
野市版都市内分権にかかわる予算、議員提案による「長野市商店街
の活性化に関する条例」はもちろんのこと、市役所第一庁舎と長野
市民会館建設などが挙げられるでしょう。
市役所第一庁舎と長野市民会館建設については、多くの市民の皆
さんからご意見を頂いて長いこと検討してきたわけですが、新年度
予算として事業の基本的な経費となる地盤調査、劇場コンサルタン
ト費用などを、賛成多数で認めていただきました。
また、この議題以外にも福祉、教育、環境問題、さらには中山間
地域の活性化や公共交通機関の再生などについて、多くの議員の皆
さんからご意見を頂きました。いずれも大切な問題です。それぞれ
のご意見を踏まえ、新年度、皆さんのご協力を頂きながら、しっか
り取り組んでまいります。
3月25日、柳原総合市民センターが完成し、記念式典が行われ
ました。柳原総合市民センターは、柳原支所・公民館、東部文化ホ
ール、そして既存の柳原体育館を加えた施設の総称です。
これまでの支所、公民館は、ながの農協との合同庁舎ということ
で、とても手狭になっていました。また、公民館が2階にあったこ
とから、高齢の方や障害がある方にとって利用しにくい施設でもあ
り、平成4年ころから建設のご要望を頂いてきたのです。
東部文化ホールにも長い経過があります。長野市の東部地区に文
化施設が欲しいというのは、私が市長に就任するよりずっと前、昭
和60年前後から地域の皆さんの要望でした。私の中では、以前、
地元の若い皆さんが建設への願いをアピールするために作ったバン
ドの演奏をお聴きしたことが記憶に残っています。
平成4年に、東部5地区(古里、柳原、大豆島、朝陽、長沼)の
皆さんが一体となり、「東部地区総合文化施設建設期成同盟会」を
結成。文化施設の場所・種類・規模・在り方などを討議され、視察
なども行い、長野市へ要望書を提出するなど、さまざまな活動をし
てきました。地域の皆さんが長い間努力された結果、出来上がった
施設がこのホールです。
完成した建物は、平屋建てで段差も無く、お使いいただきやすい
施設だと思います。支所事務室の横には、住民自治協議会の事務室
もできました。ホールは、326席で、練習室が4部屋あります。
住民自治の拠点、生涯学習の拠点、文化芸術の拠点として大いに活
用していただきたいと思います。
3月27日、長野市に信州新町・中条村が合併したことを祝して、
合併記念式典を挙行しました。長野市民会館に約800人もの市民
の皆さん(信州新町・中条地区の皆さんが多かったように感じてい
ます)が集まり、北沢防衛大臣、関博之総務省大臣官房企画課長、
村井仁長野県知事をはじめ、地元選出国会議員、県議会議長、県議
会議員の皆さんなど、大勢の方々を来賓にお迎えして、盛大に開催
できました。
式典では、初めに私から式辞を申し上げさせていただきました。
大意として、私が申し上げたことは以下の3点です。
1.信州新町と中条の両地区の皆さんは、長野市に託す期待を胸に、
先人たちの英知と努力の下で長年にわたり培ってきた町制・村制
の幕を閉じられた。皆さんのこの思いをしっかり受け止めていか
なければならない。
2.合併は手段であって、目的ではない。合併の目的は「合併して
良かった」と思っていただけるようにすること。地域の特性や住
民の皆さまの声を生かしながら、地域が輝き、住んで良かった、
これからも住み続けたいと思われるまちづくりを進めていきたい。
3.合併により、引き継ぐことになった両地区の豊かな自然や素晴
らしい歴史・伝統を最大限に生かし、魅力を補完し合いながら、
都市内分権の推進をはじめとして、地域の皆さんの元気が市全体
の活力につながるように、「~善光寺平に結ばれる~人と地域が
きらめくまち“ながの”」を目指して、長野市のさらなる発展に
全力を尽くしたい。
私の式辞の後、市議会議長のあいさつに続いて、総務省を代表し
てご出席いただいた関企画課長から、総務大臣表彰がありました。
表彰を受けられたのは、編入合併された旧町村の首長と議会議長の
皆さんです。その後、ご出席いただいた来賓の皆さんからの祝辞、
姉妹都市、友好都市市長からのメッセージ紹介、長野市市歌斉唱、
最後は、濱中区長会長さんの音頭により、全員で万歳を三唱して閉
式となりました。
式典に続き、両地区ゆかりのアトラクションの披露がありました。
中条地区から「中条虫倉太鼓」の皆さんによる太鼓演奏、信州新町
地区から「サンコーラス」の皆さんによる合唱、最後は「ナチュラ
ルムーブメント3-2-1」の皆さんによるダンスパフォーマンス。
私も会場にお越しの皆さんと共に楽しませていただきました。
本年度は、合併を記念した行事が幾つか予定されていますので、
しばらくはお祝いムードが続くことになります。ただ、お祝いばか
りでなく、式辞で申し上げたとおり、皆さんの思いを受け止め、こ
れからも住み続けたいと思われるまちづくりをしっかりと進めなけ
ればなりません。「~善光寺平に結ばれる~人と地域がきらめくま
ち“ながの”」を目指して、全力を挙げていきたいと思っています。