4月10日、有限会社「たんぽぽ」の加工所、直売所のしゅん工
式に出席させていただきました。
有限会社「たんぽぽ」は、平成4年4月に篠ノ井信里地区の農家
の女性の皆さんが発足させた「たんぽぽの会」を前身とし、平成1
1年3月に23人の出資により設立された会社です。地元産の野菜
・果物の直売や料理の仕出し、弁当やおやきの販売など、農産物加
工品の生産販売に取り組み、順調に業績を伸ばしてこられました。
社長の小池峰子さんは、すご腕の経営者だと私は以前から感じて
いましたが、社会的な信用はもちろん、得意先や社員の皆さんの信
頼を一身に受けておられるようです。さらに、社員の皆さんの結束
も十分だと感じています。
「たんぽぽ」は、平成14年度に「食アメニティ・コンテスト」
で農林水産大臣賞、平成18年度に日本農業賞の「食の架け橋賞」
を受賞されるなど、その業績は全国レベルでも高く評価されてきま
した。このたび、国の補助事業を活用し、加工所と直売所の建て替
えをされたのですが、今回、補助の対象となったのは、過去のこの
ような実績も評価されたのだと思っています。
市としては、国の補助金とは別に「たんぽぽ」の増資に応じ、市
農業公社を通じて250万円を出資させていただきました。この出
資は、農業者団体などによる事業が、小さくてもビジネスとして成
り立つよう積極的に法人化を促し、スモールビジネスを育てようと
いうことで、昨年から公社が取り組んでいる「農業法人化支援事業」
の一環として行ったものです。「たんぽぽ」には、この事業の第1
号として出資させていただきました。
ただ、今回は、既存会社の増資に対する出資ですから、純粋な意
味での“法人化支援”とは言えないかもしれません。
もっとも「たんぽぽ」は、これまでとても優秀な成果を挙げてお
られ、今回の増資も順調に行われており、公社の出資金は不必要だ
ったようにも思います。公社の事業に協賛する意味で、出資を受け
入れていただいたのではないかとも思えたのですが、小池社長さん
には、とても喜んでいただいているようです。例えわずかでも応援
することができ、うれしく思っています。
私は、今後、この「農業法人化支援事業」で、100社ぐらいに
出資したいと考えています。
なぜ法人化が必要か・・・。従来、農業は個人経営が主体ですか
ら、高齢化によりやめてしまう方も多く、耕作放棄地になってしま
う農地が多いと感じています。そこで、高齢化時代の農業を長続き
させるためには、集団での経営が必要だと考え、法人化を支援する
ことにしたのです。
法人化すれば、当然しっかりとした事業計画を立て、経理もきち
んとしなくてはなりません。どんぶり勘定では、法人組織になれな
いのです。どんぶり勘定から脱却する必要があります。
次に、どうして“出資”なのかということです。一般的に考えて、
事業者が資金調達する手段には、主として次の3つがあるでしょう。
(1)借入金
(2)補助金
(3)出資金
借入金は返すことが前提ですから、経営を安定させるのは苦しい
ですし、借金が好きな人は少ないはずです。借りないで済むのが何
より良いでしょう。
補助金はもらったものですから、返済する必要はありませんから、
経営的には安定するはずです。しかし、補助を受けるためにはいろ
いろな要件に合わせることが必要ですし、補助金の使い方にも制限
が加えられます。それに、補助金漬けになると、経営に緊張感が無
くなってしまうのです。
そこで、出資金です。出資金は返す必要がありませんから、安定
的に経営でき、出資者から応援やアドバイスを受けることも可能で
す。ただ、その代わりに配当を要求されることが原則ですし、出資
者からいろいろ注文が付くことも多くなるのが一般的でしょう。
しかし、公社の「農業法人化支援事業」では、原則的には配当を
求めない予定です。もうかったら配当ではなく、出資によって公社
が持つことになった株式を買い取ってください、ということにして
います。経営についても応援はしますが、経営の自主性を尊重する
ことが原則です。
そして、経営者には、出資者に対する説明責任も生じます。その
ことが適度な緊張感を生み、経営の透明性も高めると思うのです。
「たんぽぽ」を第1号に、次々と出資の申し入れがあることを期
待しています。
話は変わりますが、同じ日、「2010松代イヤー」観光キャン
ペーンのオープニングセレモニーが、松代のホテルで開催されまし
た。春原芳夫松代地区住民自治協議会会長が実行委員長に就任され、
松代地区が総力を挙げて取り組む姿勢を見せていただきました。
市では、平成17年度に策定した「1200万人観光交流推進プ
ラン」に基づき、年度ごと、地域ごとに集中的な観光キャンペーン
を展開しています。このキャンペーンの展開で目指すのは、地域の
素材を生かした体験型観光やグリーンツーリズムなど、新たな視点
から交流人口の増大を図るとともに地域ブランド化を推進し、「多
軸型観光都市ながの」を形成することです。
今年、松代城は、築城450年を迎えます。この記念すべき年を
大いに盛り上げようということで、本年度のキャンペーンエリアは
「松代」ということになりました。また、来年は、佐久間象山先生
の生誕200年を迎えるというタイミングでもありますので、今年
のキャンペーンで、こちらもうまく盛り上げてもらいたい、そんな
意味合いも込めています。
松代でのキャンペーンは今回で2回目です。前回「エコール・ド
・まつしろ2004」が成功し、その後のキャンペーンのモデルに
なったわけですが、あれから5年が経過し、観光のスタイルは物見
遊山ではない体験志向がさらに強まっているようです。時間をかけ
て松代を歩いて見て回る旅行も増えるように思います。
前回は、生涯学習、趣味の舞台として松代の文化財を活用したわ
けですが、今回はそれだけでなく、地域全体を歴史遺産と見立て、
散策を通じて松代の魅力を体感していただきたいと思っています。
そのためにもボランティアガイドの養成に地道に取り組んでいただ
きたいと思いますし、住民参加で地域のおもてなしの心を盛り上げ
ていただきたいと考えています。
オープニングセレモニーの基調講演では、静岡大学名誉教授の小
和田哲男先生に「海津城・松代城と戦国群像」と題して興味深いお
話しをしていただきました。先生には、平成6年から「松代城跡附
新御殿跡整備委員会」の委員として、松代の文化財についていろい
ろアドバイスを頂いています。
セレモニー終了後、少し余った時間を利用して、東条地区のアン
ズの花を見に行ってきました。まさに満開の素晴らしい景色でした。
そして、松代城へ。この日、急に暖かくなったせいか、桜は満開
になっていました。夕闇迫る中で、城内を一回りして、桜の花を観
賞しました。
その後、松代城二の丸南門前で、「松代城春まつり」夜の部の点
灯式に出席しました。
このまつりは今年で7回目です。本格的な春の訪れを告げる長野
市の風物詩となりました。松代地区の小学生や幼稚園・保育園児が
作った1,000個を超える筒絵にろうそくで火をともし、さらに
桜をライトアップ。大変見事なスタートを切りました。
私は、長野電鉄のお花見電車に乗って再び松代へ来る予定ですの
で、ライトアップされた桜はその時の楽しみにすることとして失礼
させていただきましたが、とても幻想的な眺めでした。桜も満開に
なっていますので、大勢の皆さんにお越しいただき、松代を楽しん
でいただきたいと思います。