2週間ほど前になりますが、3月23日、市役所で、地域活性化
推進員と各地区の住民自治協議会の会長さんなどにお集まりいただ
き、市からも関係職員が出席して、「地域活性化アドバイザー月例
会議」を開催しました。
地域活性化推進員というのは、昨年度までの「地域活性化アドバ
イザー」のことです。会議の席でも説明させていただいたのですが、
“アドバイザー”という名称がどうも人ごとのようでよくない。地
域の皆さんと共に汗をかいて、地域の活性化に向けて一緒になって
取り組んでもらいたいという思いを込めて、本年度から名称を「地
域活性化推進員」に変更することにしたのです。今後、この名称を
使わせていただきますのでご理解をお願いします。
中山間地域では、高齢化、人口流出が進んでしまい、地域活動を
しようにも人手が不足している・・・中山間地域の活性化を考えた
場合、これが最大の問題だと言っていいでしょう。それでは試しに
人を配置して住民自治協議会と支所と協力し合って、地域に何が必
要かを考え、そして行動していこうではないかと計画したのが、地
域活性化推進員の配置です。
とにかく、何でもやろう、やってみよう、地域が少しでも元気に
なればいい、走りながら考えようではないか、ということで始めま
した。行政のやり方としては、練りきれていない施策だと思われる
かもしれませんが、日本中で困っている問題、しかも解決方法が見
えない、決め手が無いことですから、これもやむを得ないことだと
思っています。
昨年4月、中山間地域を抱える11地区に、市の嘱託職員を1人
ずつ配置してから、ちょうど1年が経過しました。本年度から、信
州新町地区、中条地区にも配置していますので、現在の地域活性化
推進員は13人です。
地域活性化推進員の配置は、以前から長野市が独自に考えてきた
事業ですが、将来の財政負担を考えると、ためらっていた部分もあ
りました。
ところが、ちょうど時を同じくして総務省で、全国的にも高齢化
の進展が著しく集落維持が困難となっている過疎地域などへの対策
として、「集落支援員」制度がつくられたのです。この制度は、集
落への目配りや住民のパートナーシップの構築などを主な目的に、
地方自治体が地域に配置する「集落支援員」に対し、国が特別交付
税により財政支援をしてくれるというものです。これは、本市にと
ってとてもありがたく、早速この制度のお世話になることにしまし
た。
ただ、これはあくまでも国の制度ですから、この先いつまで続く
のか分かりません。
本市とすれば、この地域活性化推進員の配置を継続していく必要
があると考えていますので、総務省にはぜひ、事業が定着するまで
この制度による支援を継続していただきたいと思っています。財政
状況さえ許せば、さらに人数を増やしたり、対象地区を拡大したり
することも必要でしょう。地域活性化推進員の配置は、中山間地域
の活性化対策として、とても可能性を秘めていると考えているので
す。
もともと地域活性化推進員は、市から補助金を交付することで、
住民自治協議会で雇用してもらいたいと考えていました。ただ、で
きたばかりの住民自治協議会に人の雇用までしていただくには負担
が大きいこと、市の関係課の業務とも連動させたいなどの理由によ
り、当面は、市の嘱託職員として市職員の退職者を主体に配置する
ことにしたのです。
将来的には、地域出身の方、特にその地域で生まれ育って、いっ
たんはほかの地域で働き、年を取ってUターンしてきた方などにも
名乗りを上げていただけるのが一番望ましい形かなあ・・・などと
考えているのですが・・・。
この日の会議では、地域活性化推進員が、それぞれ取り組んでき
たことや本年度の計画などを発表した後、住民自治協議会の会長さ
んからご意見を頂きました。
苦労話としては、高齢化が進み活動できる人が足りないこと、有
害鳥獣の被害が多いこと、ごみの不法投棄に悩まされることの3点
が共通していたように思います。
この1年間、羅針盤が無い中で、任命された皆さんは、本当に頑
張ってくれました。地域活性化推進員が実施した事業を大きく4項
目にまとめて列記してみます。
(1)集落点検活動
・集落点検マップの作成
・地域の課題および地域おこし資源洗い出し、現地調査
・不法投棄パトロールなどの実施
・自主防災活動への参加
(2)地区内での話し合いの実施
・住民自治協議会などが主催する会議への出席
・集落支援の在り方や活性化に向けた方策などの検討
(3)各種計画策定などの支援
・「やまざと支援交付金」を活用した事業計画の策定
・「やる気支援補助金」や県の「元気づくり支援金」を活用し
た活性化事業の計画策定、申請書類作成など
(4)具体的な活動への参加、協力
・地域の活性化に向けた取り組みへの参加、協力
・グリーンツーリズム事業(長野市こども夢学校推進協議会な
ど)への協力
・有害鳥獣対策支援(猟友会の活動への協力)
・そのほか、集落支援および地域の活性化に資する事業への参
画
まとめると、地域の皆さんとの話し合いを通して各地区の特性や
実情に応じた、具体的な活動をしてきたということでしょう。
ただ、実際には、住民自治協議会の役員さんの考え方や意見、地
域の置かれている状況、そして何より地域活性化推進員の考え方、
行動力・・・それらによって、活動はかなり違っていることは事実
のようです。
私の感想としては、総合的に見て初年度としては良くやったと思
っています。そして、そのことに感謝もしています。ただ、今後の
ことを考えると、制度の上で幾つか改善する必要があると思ってい
ます。
まずは人の問題です。1人では大変すぎる、1人でできることに
は限界がある、財政的な問題を抜きに考えれば、最低でも2人は欲
しいと感じています。ただ、2人になった場合は、そのコンビネー
ションが難しくなるかもしれません。
もう一つは、特に中山間地域でもうかる仕事をつくり出す工夫が
欲しいということです。それには、もう少しゆとりをつくり、考え
ることが必要なのでしょう。
それともう一つ、新しい発想が出てきたとき、それをくみ上げる
システムが不十分だということもありそうです。支所も一緒になっ
て、担当課と掛け合って予算を獲得してくるぐらいの馬力が欲しい
ですね。
会議の最後には、私のまとめとして「説得力のある理由があれば
推進員の人数は増やしたい。実施する事業の計画さえきちんとして
いれば、いずれ予算を増やすことも考えたい。そのためにも、住民
自治協議会の皆さんと十分にコラボレーション(協働)してほしい」
ということを伝えさせていただきました。
地域活性化推進員として活動を進めていくためには、まだまだい
ろいろな課題がありそうですが、さらなる活躍を期待したいと思っ
ています。私とすれば、もしかすると、中山間地域活性化の切り札
を手にしたのではないだろうか・・・そんなおこがましい感想まで
持たせていただいたひとときでした。