2011年3月31日木曜日

ある市民からの手紙への返事


 このたびの東北地方太平洋沖地震の発生を受け、ある市民の方か
ら、市役所第一庁舎と長野市民会館の建て替え方針を再考してはど
うか、というお手紙を頂きました。以下は、それに対して私が返信
した手紙の趣旨です。

**********
 私も今回の東北地方太平洋沖地震による未曽有の事態をテレビの
ニュースなどで拝見するたびに、また、長野市から派遣した緊急消
防援助隊からの報告を聞くたびに、心が痛みます。罹災(りさい)
された多くの方々のご心境や、現在置かれているご不自由な環境を
思いますと、すぐにでも駆け付けて援助激励をしたいというのが偽
らざるところです。

 当面は、こうした被災者の方々のお気持ちに配慮し、またお亡く
なりになった方々に対して哀悼の意を表するためにも、さまざまな
行事やイベントなどを自粛するようになると思います。現に、幾つ
かのスポーツイベントは、すでに延期ないし中止の決定がなされて
います。

 とにかく今は、行政をはじめ、各種団体、そして長野市民が一丸
となって、全力を挙げ被災地への支援を行うことだと考えており、
緊急消防援助隊や保健師などの人的派遣はもちろんのこと、市民の
皆さんからの義援金や支援物資を被災地の避難所などへお届けして
いるほか、被災者の受け入れなどを精力的に進めているところです。

 一方で、阪神・淡路大震災のときもそうであったように、数カ月
後には被災地の状況も一段落し、被災者の皆さんの日常生活も不自
由ながらも動き出すでしょうし、その頃には国による復興プログラ
ムも示され始め、わずかずつでも明かりが見えてくるものと思いま
す。また、そうあってほしいと願っています。
 そして、将来のことを考えますと、さまざまな面で、いつまでも
日本中が萎縮し続けてしまうことは市民生活のみならず、経済全体
にとって決して良いことではありませんし、ひいては被災地の復興
のためにもならないことです。

 私は、今回の大地震で改めて市民の皆さんの安全を守るためには、
地震に強いしっかりとした施設の建設が欠かせないと感じています。
決して起きてほしくないことですが、仮に長野市が罹災した際には、
庁舎は災害対策本部になる建物ですし、長野市民会館は市民の皆さ
んの避難所など、救援拠点になるはずの施設です。
 私の使命であります「災害に強い都市づくり」のためには、仮に
罹災した場合でも、被害者支援のための行政機能をしっかり果たす
ことができる施設・体制をあらかじめ構築しておくことも重要だと
考えています。

 一方で、ご指摘されているように、今後、合併特例債の扱いが変
更される可能性は否定できません。長野市民会館・庁舎ばかりでな
く、斎場建設などの特例債の活用を前提としている大型プロジェク
トにつきましても、国や県の対応が明らかになってきた段階で、必
要に応じて、国・県と協議を行い、しかるべき対応をしていきたい
と思っています。
 被災地の状況、国の動向などを見極め、総合的に判断をするため
には、もう少し時間を頂きたいと思います。

 また、お手紙にもありますとおり、小・中学校校舎の耐震化につ
いては、人的、物理的な限度はあるものの、できる限り前倒しする
ように進めたいと考えています。

 さまざまなご助言ご忠告をありがとうございました。
 時節柄、ご自愛のほどお祈りします。
**********

 手紙を頂くまでもなく、今起きている事態の深刻さに大変な危機
感を持っていました。長野市という一地方自治体ができることは何
だろうか、どのように行動すべきだろうか、ということです。
 今回の災害は、空前絶後の国家的危機であり、今後、おそらく社
会が変わる、変わらざるを得ない重大な事態に直面していると感じ
ています。ただ、非常時だからこそ慌ててはいけない、しっかり腰
を落ち着けて熟慮の上決断することが大切・・・という場面が実は
多いのだと、私は教えられてきました。

 被災地から連日届くあのすさまじい惨状を見るにつけ、また被災
地の支援から帰ってきた消防局職員の話を聞くにつけ、子どもの頃、
実際に見た、終戦直後の名古屋市の焼け野原の記憶が脳裏によみが
えってきます。当時、伯母が満州から引き揚げてきて、たまたま名
古屋市に住んでいたことから、母に連れられて汽車に乗って訪ねて
行ったのですが、焼け野原というものを初めて見た記憶は、今でも
鮮烈に残っています。
 でも、あの惨状から名古屋市は・・・いや日本はよみがえったの
です。東京はもっとすごかったのでしょう。長野市だって戦災を受
けているのです。

 立ち上がるために、何をすべきか・・・当面の問題に適切に対処
することは当然として、そろそろ復興に向けた検討をする状況にな
っていると思います。
 今、一番必要なのは、国のリーダーシップです。

2011年3月24日木曜日

市議会3月定例会が閉会しました


 2月25日に開会した市議会3月定例会が、昨日閉会しました。
提出した議案は、全てご決定いただきました。
 本定例会で特筆すべきことは大きく二つあると思っています。
 一つは、多くの議員さんから長野電鉄屋代線に関するご意見・ご
質問を頂いたということです。本会議でもお答えしてきたところで
すが、今後、代替バス運行の検討に当たっては、地元の皆さん、利
用者の皆さんと共に持続可能な公共交通を確保するという共通認識
の下で、責任を持って進めていきたいと考えています。

 もう一つは、本定例会の会期中に、東北地方太平洋沖地震および
長野県北部の地震が発生したことです。幸い長野市への直接的な影
響は軽微でしたが、北海道から関東地方にかけて広範囲に大規模な
被害があったことに加え、福島第一原子力発電所の事故がいまだ予
断を許さない状況にあることもあり、広く日本全体に影響を与える
事態になっています。

 このような災害の発生を受け、市議会では、当初の日程にはなか
った本会議を18日に急きょ開催し、市および市民とともに積極的
な支援に努めるという決議を全会一致で可決しました。

 この災害への対応として、一義的にしなければならないことは、
被災地への援助です。
 人的な支援としては、行方不明者の捜索や給水活動などに消防局
や上下水道局の職員が当たっていますし、すでに任務を終えていま
すが、市民病院の医師、看護師、薬剤師も被災地での医療活動に従
事しました。
 さらに本日は、保健師を派遣しました。現地では、避難している
被災者の皆さんの健康相談や心のケアに当たることになっています。
 このほか、市職員ではありませんが、介護職員、ごみ・し尿の収
集に当たる人員・機材などについても派遣できるよう、準備・調整
を進めているところです。

 支援物資は、緊急消防援助隊の派遣に合わせて、毛布、水、タオ
ルなどを届けています。17日の支援物資提供の呼び掛けに際して
は、多数の市民の皆さんにご協力を頂き、数多くの物資をご提供い
ただくことができました。翌18日には、毛布150枚、タオル
2,000枚、ペットボトル入りの水840本、おむつ・生理用品
80箱、トイレットペーパー60箱などを宮城県七ヶ浜町にお届け
させていただきました。物資をご提供いただいた皆さんに深く感謝
いたします。

 義援金については、市や社会福祉協議会に窓口を設けて、市民の
皆さんのご協力をお願いしています。18日に長野商店会連合会の
皆さんに100万円もの義援金をお持ちいただいたことをはじめ、
数多くの皆さんにご協力を頂いています。
 同時に、長野市としても平成22年度一般会計予算から総額1億
円を見舞金として提供することにしています。このことについては、
議会最終日に追加議案として補正予算案を提出し、お認めいただき
ました。この見舞金は、東北地方だけでなく、長野県北部の地震で
被災した栄村にもお送りする予定です。

 空いている市営住宅を使い、避難している被災者の皆さんを長野
市へ受け入れることも開始しています。今後、市民の皆さんのご協
力も頂きながら、さらに受け入れを進めていきたいと考えています。

 今後も、必要な支援活動を継続して進めるために、明日25日に
兼務職員5人を配置した「長野市災害支援本部」を立ち上げること
にしました。市としてもできる限りの対応をしていきたいと考えて
いますので、市民の皆さんには、今後とも引き続き、力強く温かい
ご支援・ご協力を頂きますようお願いいたします。

 このたびの震災により、改めてその重要性を感じたところですが、
市有施設の耐震化については、ここ数年来、喫緊の課題として取り
組んできています。中でも小・中学校の耐震化については最優先に
進めています。耐震化率は、平成23年度末には82.1%、平成
25年度末には90%を達成できる見込みです。できるだけ早く
100%の耐震化が達成できるよう、今後も引き続き全力で取り組
んでいきたいと考えています。

 なお、小・中学校の耐震化以外にも、本市では、市役所第一庁舎
と長野市民会館の建設などの大規模プロジェクト事業を計画してい
ます。これらの事業と、今後国が示すであろう、震災に対する支援・
復興事業とは、基本的に次元の異なる事柄であると考えていますが、
すでに廃止を決定していただいている長野市民会館の取り壊しは進
めていくものの、今後、必要に応じて国や県との協議を行いながら、
議会との緊密な連携の下で事業を進めていきたいと考えています。

 災害の折に常々感じることは、日頃からの地域住民の皆さんの絆
が何よりも大切であるということです。市としては、今後も、住民
自治協議会を中心とする地域コミュニティーの再生を図るとともに、
新年度において地域防災計画の全体的な見直しを行い、地域住民の
皆さんと行政との連携による、災害に強い、安全・安心のまちづく
りを進めていきたいと思っています。

 地震発生後、日本経済に対する市場の不信から、日経平均株価が
大きく下がりました。しかし、その一方で、円相場は急騰。その後
の先進各国の協調介入により、今は落ち着きを取り戻しているよう
ですが、この円高は理解に苦しむところです。このほか、物流の混
乱や事業所の被災などにより、日本経済全般への影響も広がってい
ます。

 一昨日、来月17日に開催予定であった長野オリンピック記念長
野マラソンと長野車いすマラソンの中止が発表されました。未曽有
の大災害に全ての人々が心を痛めており、まずは、被災地の救援に
全力を注ぐべき段階ですから、残念ではありますが、この決定はや
むを得ないものと受け止めています。このほかにも全国各地でスポ
ーツ大会やイベントの中止や延期が相次いでいるようです。

 このまま自粛が続いていくと、被災していない地域での経済活動
にもマイナスになるという声も理解できるところです。どこかのタ
イミングで、やはり皆が前を向き、少しずつでも元気を出していく
ことが、被災地の皆さんをも勇気づけ、ひいては復興への力になっ
ていくものと思っています。

 地震発生から間もなく2週間になりますが、日を追うごとに犠牲
者の数が増え、被害の全容も把握しきれていないのが現状ですから、
自粛を解くことがまだまだ難しいことは事実でしょう。
 しかし、少しずつでも良いと思っていますが、皆さんの「明るい
笑顔」が一日も早く全国各地に戻ってくることを願わずにはいられ
ません。

2011年3月17日木曜日

未曽有の大震災


 いよいよJFL(日本フットボールリーグ)18チームの激戦が
始まりました・・・と、先週すでに書き始めていたのですが・・・
11日の午後に発生した東北・関東地方を中心にした大地震と大津
波、そして原子力発電所の事故の影響で、JFLの開幕戦9試合は
全て中止になりました。翌12日未明には、長野県北部でも地震が
あり、栄村を中心に被害が出ています。

 いずれにしても、サッカーどころではありません。先週末予定さ
れていたスポーツ大会やイベントのほとんどは中止になったようで
す。このような時には、あらゆる機能を使って、まずはこれ以上の
被害が出ないような手当て、被害を受けた方々への支援を最優先す
ることは言うまでもありません。さらに復興へ・・・当分の間は、
一丸となって被災者支援に全力を挙げなければなりません。

 現段階で、私たちにできることは限られているのが現実ですが、
長野市としては、消防局の職員が地震の起きた日の夕刻、すなわち
11日の段階で、総務省消防庁からの要請により被災地へ向けて出
動しました。
 消防局では、県内の13消防本部とともに長野県緊急消防援助隊
を編成し、宮城県多賀城市と七ヶ浜町、塩釜市において行方不明者
の捜索や救急活動に当たっています。報道などを通じて目にしてい
るように、大津波による被害はすごいことになっているようです。
 11日に1次隊として長野市から出動したのは24人。その後、
交代要員を順次派遣しており、15日の朝には、3次隊23人が、
被災地で不足している毛布と水を積み込んだ車両とともに出発しま
した(毛布と水は多賀城市にお届けしたのですが、昨日、市長さん
からお礼のお電話を頂いてしまいました)。

 このほか、12日の午前中に栄村へ給水車2台と上下水道局職員
4人を派遣。翌13日には給水車2台と職員6人が岩手県に向かい、
14日から同県山田町で給水活動をしています。15日には、栄村
で被災建築物の応急危険度判定に当たるため、建設部職員4人を派
遣しました。
 原子力発電所の被害も広がっています。電力不足を少しでも軽減
できるよう市としても節電に努めていますが、現段階では、それ以
外に直接手を出すことはできそうにもありません。

 なお、12日未明に発生した長野県北部の地震を受け、東北地方
へ向かっていた兵庫県と奈良県の緊急消防援助隊(総勢345人)
が、急きょ目的地を変更し、長野県の応援に入ってくれました。一
時、エムウェーブなどで待機していましたが、救援活動は不要だと
の判断により、その日のうちに福島県へ向かったとのことです。

 こんな時に大切なのは、司令塔がしっかりしていることでしょう。
そして、その指揮の下で、全ての支援部隊が機能的に動くことでし
ょう。すでに懸命な活動をされていますが、最も機動力を持ち、指
揮命令から人員体制、装備、後方支援に至るまで、自己完結力を持
っている自衛隊が主力部隊として活躍していることは心強いところ
です。
 海外からも多くの支援の手が差し伸べられています。この支援の
力を最大限発揮してもらうためにも、司令塔が果たす役割は非常に
大きいと思っています。

 地方行政として今、そしてこれから何ができるか、一生懸命考え
ています。支援策として、現在、長野市が行っていることは以下の
とおりです。
(1)義援金
  現金:市役所と各支所、市社会福祉協議会で受け付け中です。
  口座振込み:八十二銀行長野市役所支店 
        普通 口座番号242417
        「長野市東日本大震災義援金」
        (八十二銀行本支店窓口にて、指定書式で手続き
        されますと、振込み手数料が免除になります)

(2)救援物資
  本日17日午後5時まで、長野運動公園陸上競技場前駐車場で、
  被災地から要請があった以下の物品のみを受け入れます。
   毛布・タオル(新品限定)、紙おむつ(大人用・子ども用)、
   粉ミルク、水(ペットボトル)、トイレットペーパー、
   生理用品(全て未開封の物)
  22日からは、長野市民会館集会室で受け入れます。詳しくは、
  市ホームページなどでご確認ください。

(3)災害ボランティア
  市社会福祉協議会で登録のみを受け付けし、現地の受け入れ態
  勢が整い次第、順次派遣する予定です。

 そして、どうしてあんなに大きな災害が発生したのか、それを防
ぐ手段をどうすべきか・・・長野市で、あのような大きな災害が起
きたらどうするか、対処するための手段を持っているか、あらゆる
点から再検討していく必要もありそうです。

 幸いにも長野市内では、今回の地震による被害はほとんどありま
せんでした。それだけに被災地を支援する義務があると思うのです。
 阪神・淡路大震災の際、当時の長野県建設工業新聞社の伊澤社長
が、水が出なくなった神戸市の野村海浜病院で風呂の提供を始め、
長野オリンピックボランティア推進会議(チーム98)の会長をし
ていた私にも支援を求めてこられました。病院の中庭に風呂おけを
設置し、現地に用意したバスを宿泊所代わりに利用。新聞社の社員
やボランティアの皆さん、市内外の企業の皆さん、NAOC(長野
冬季オリンピック組織委員会)の職員などと当番制で、連日長野か
らタンク車で水を運んで風呂を沸かして提供し、利用された周辺の
住民の皆さんに喜んでいただいたことを思い出しています。

 復興段階になれば、ボランティアの活躍、募金活動も大切でしょ
う。しかし、まず現段階で大切なのは、被災された方の救出作業や
援助に向けて、国がきちんと対処し、その上で各自治体に向けても
必要な指示や要請を出すことでしょう。
 もう一つは、ねじれ国会で政治闘争を繰り広げるのではなく、大
災害に対処する政策をきちんと決めて行動することでしょう。それ
には、大連立以外にないと私は思います。すなわち挙国一致内閣の
成立です。災害対応を第一義に取り組み、バラマキ政策をやめて、
財政再建にも取り組んで、たとえ国民に不人気であっても、また、
結果的に国民や自治体に我慢を強いることになっても、必要な政策
に取り組む、という姿勢を示すことが大切だと思っています。自治
体としても、そのような政策を受け入れる心構えをしておく必要が
あるでしょう。

 被災された方々には、心からお見舞い申し上げますとともに、犠
牲になられた方々とご遺族の方々に対し、深くお悔やみ申し上げま
す。先例のない事態の中、長野市としても被災された方々に対し、
できる限りの支援をしていきたいと考えています。

市ホームページ:
http://www.city.nagano.nagano.jp/pcp_portal/contents?CONTENTS_ID=22683

2011年3月10日木曜日

二つの懇談会と市立長野(いちりつながの)の卒業式


 2月24日の夜、市役所で本年度の国際交流市民会議を開催しま
した。
 この市民会議は、国際都市としての在り方や生活しやすいまちづ
くりについて意見交換する場として、平成元年から継続して開催し
てきており、多文化共生社会の実現や相互理解といった観点から、
主に市内在住の外国人や滞在中の外国人留学生などの皆さんと意見
を交わしてきました。もんぜんぷら座にある国際交流コーナーを誕
生させるきっかけになった市民会議でもあります。
 会議の形態は一定しておらず、意見交換会やスピーチコンテスト、
時にはワークショップを行うなど、さまざまです。中でも昨年度は、
戸隠スキー場に外国籍市民の皆さんと一緒に行き、冬の長野を体験
してもらいながら意見交換しました。

 本年度の市民会議は、これまでとは趣向を変えて開催してみまし
た。集まっていただいたのは、市内で活動している国際交流に関係
する団体の皆さんです。一言で国際交流といってもその範囲は極め
て広く、各団体の活動内容もさまざまで、目的も違えば、交流する
相手国も違うといったように、それぞれ独自に活動されているわけ
です。
 そこで、各団体の皆さんが普段どのような活動をされているのか、
どのような課題をお持ちなのか、自由に意見交換することにより、
現在長野市が行っている姉妹都市・友好都市交流のさらなる発展、
また、それとは別に何か新しい国際交流の可能性が発見できるので
はないかということで、このような内容で開催することにしたもの
です。
 今回は、以下の17団体の皆さんのほか、4人の市民の皆さんに
参加していただきました。

◇長野国際親善クラブ:長野オリンピックを契機に始めた「一校一
  国運動」を中心に、外国語講座開講、通訳・翻訳サービス、ホ
  ームステイ受け入れなどの活動をしている。
◇長野市日中友好協会:日中友好協会全国本部・長野県日中友好協
  会の下部組織。帰国者への理解を深める活動、交流活動などを
  している。
◇長野みすずライオンズクラブ:長野オリンピックの翌年から、長
  野国際親善クラブと一緒に「一校一国運動」を実施している。
◇長野青年会議所:国際交流委員会を設け、ソウルや台中の青年会
  議所との訪問・受け入れ事業を実施。長野びんずるでは「国際
  連」を結成して外国籍市民の参加を支援している。
◇長野県国際交流推進協会:県の外郭団体。国際交流団体検索シス
  テム・多文化共生くらしのサポーター制度の運営、外国籍児童
  への母国語教室の支援などをしている。
◇長野県青年国際交流機構:内閣府の青年国際交流事業(青年海外
  派遣、世界青年の船、東南アジア青年の船など)の推進に協力、
  支援をしている。
◇日墺協会長野:本部は松本市。長野は長野オリンピックが開催さ
  れた平成10年に結成。主にオーストリアのチロル地方との交
  流活動をしている。昨年は、鬼無里地区の皆さんとベルフェン
  ベンク村を視察。
◇長野日仏協会:東京の日仏会館が中心となり、全国の日仏協会が
  年1回フランス大使館で交流。フランス語講座などを開催して
  いる。
◇長野県日独協会:ドイツ語講座とドイツ語で歌う会(シュタムテ
  ィッシュ)などを開催している。今年は日独交流150周年。
◇長野県ベトナム交流協会:枯葉剤散布被害児童リハビリ施設への
  資金援助を目的としたチャリティーコンサート開催を機に組織。
  ベトナム人留学生の就職支援活動などをしている。
◇国際伝統文化交流協会:国際交流コーナーを訪れる外国人に日本
  の伝統文化を経験してもらうことを目的に設立。お茶、三曲、
  着物の着付け、折り紙などを体験してもらっている。
◇ながの国際交流スポーツクラブ:長野オリンピックの前年に設立。
  語学教室、国際文化理解、スポーツ交流活動などをしている。
◇北信外国人医療ネットワーク:国籍や信条によらず、外国人が安
  心して医療を受けられるよう、無料健診、医療通訳などの活動
  をしている。
◇信州大学工学部:工学部に在籍する12カ国75人ほどの留学生
  が、充実した大学生活を送り、満足して、日本は良かったと思
  って帰国してもらえるよう努力している。
◇長野県短期大学 地域・国際連携センター:アメリカのミズーリ
  州立大学セントルイス校、中国の河北大学と連携、交流してい
  る。
◇清泉女学院大学・短期大学:学内の地域連携センターの中に国際
  交流オフィスがあり、海外へ学生を送り出したり、迎え入れた
  り、学内で国際交流を行うなどの活動をしている。
◇長野工業高等専門学校:日本国費での留学生、マレーシア政府派
  遣の留学生の受け入れ、学生の外国との交流を支援している。

 皆さんとは、“長野ヤキメン”を食べながら、懇談させていただ
いたのですが、いろいろなお話をお聴きすることができました。や
はり、それぞれの団体が全く違う目的のために活動していることが
よく分かったというのが私の印象です。連携が必要かどうか、各団
体の事情は異なると思いますが、まず、お互いに知り合い、それぞ
れの団体の皆さんがやっていることを分かってもらえたという面で
は、今回、非常に良かったのだろうと思っています。

 しかし、今回、全ての国際交流団体が集まったわけではありませ
ん。情報不足で長野市から呼び掛けをしなかった団体、連絡はした
けれど都合がつかなかった団体、そのほか個人で熱心に活動してい
る方々もいらっしゃるようです。全ての皆さんに集まっていただく
ことは難しいことですし、組織化することなどはもっと大変だなと
痛感しました。

 いずれにしましても、今回集まっていただけた各団体の皆さん同
士でいろいろなことを雑談する中で、今後、何か生まれてくるのか
なあと、そんな期待も持てた市民会議でした。

 この1週間ほど前、2月18日の夜には、みどりの移動市長室と
して、川中島地区のNPO法人「信州・川中島平ファクトリー」の
皆さんと懇談させていただきました。
 川中島地区は、“川中島白桃”の発祥の地です。しかし、競争力
の高い特産品であるにもかかわらず、栽培農家の高齢化・後継者不
足から、川中島には「発祥の地」という名前だけが残り、主産地は
山梨県、福島県ということになりかねない、そんな危惧すらあるの
が現状だそうです。
 そんな危機感を背景に「信州・川中島平ファクトリー」の皆さん
は、“川中島白桃”という貴重な地域資源を農・商・工連携により
守る取り組みを始めています。

(1)規格外品の農産物を使った商品の開発
  通常廃棄されてしまう規格外品の白桃を活用し、ジャムなどの
 さまざまな加工品にして販売することで、生産農家の収入増につ
 なげる。

(2)地域の活性化と雇用の創出
  川中島地区周辺の企業、団体などが連携して加工品の製造、販
 売に当たることで、農業だけでなく商工業の振興も目指し、地域
 での雇用創出、地域の活性化を目指す。

(3)長野市と都市部の交流
  東京で子どもの体験活動を企画している団体と提携し、互いの
 地域で子どもたちが学び合う活動を実施し、子どもの農業や食に
 対する理解、お金や流通に対する理解を深める。

(4)“川中島白桃”の農地の保全と生産拡大
  耕作できなくなった農家の代わりに農地を管理し、栽培作業を
 行っているNPO法人「風とみどりの会」と連携することで、荒
 廃農地の解消と生産拡大を図る。

 これらの活動をコーディネートすることを目的に設立されたのが
「信州・川中島平ファクトリー」だそうで、活動に関わる農家や企
業などの皆さんで構成されています。
 懇談会でお聴きしたところによりますと、開発した“川中島白桃”
を加工した商品の販売契約が、都内の有名店との間で成立したとの
ことでした。そのほかにも引き合いが来ているようで、販売価格も
悪くはないそうです。

 私は以前から、“作る農業”からマーケティング手法を取り入れ
た“売る農業”へ転換する必要があると考えてきており、市独自に
農業法人化や農産物加工施設設置に対する支援制度を整えてきまし
た。国でも農産物の生産(第一次産業)、加工(第二次産業)、販
売(第三次産業)まで取り込んだ農業の“六次産業化”を進めてい
ることもあり、農産物の「高付加価値化」「売れる・もうかる農業」
の確立へ向けた環境が整いつつある状況です。
 必ずしも同じではありませんが、「信州・川中島平ファクトリー」
の皆さんが目指す方向性はこれらとよく似ています。長野市を代表
する成功例となるよう、生産、加工、販売ともしっかりもうけても
らい、関係する皆さんの収入増につながることを願うばかりです。

 話は変わりますが、3月5日、市立長野高等学校(市立長野)の
誕生と共に入学した1期生157人の卒業式がありました。
 市立高校の歴史は大変古く、大正8年の実科高等女学校の創立ま
でさかのぼります。以来、実に今年で92年。その長い歴史の中で、
平成20年4月に男女共学の単位制総合学科の高校として再生した
のが“市立長野”です。県内唯一の市立高校として、市立ならでは
の特色を出して存在感のある学校にしたい、そんな願いを込めてつ
くりました。

 その1期生の皆さんが、学習をはじめ部活動や生徒会活動など、
さまざまな分野で大いに活躍し、多くの成果を残して卒業されるこ
とを大変うれしく思っています。特に、インターハイや国体でのス
ケート部の活躍は、創部3年目とは思えない素晴らしいものでした。
 卒業生の進路状況を見ますと、四年制大学希望者82人、短期大
学希望者24人、専修・各種学校希望者44人、就職希望者7人で、
おおむね希望どおりの進路へ進むことができたようです。

 1期生が刻んだ新たな歴史を礎に、2期生、3期生・・・と歴史
を積み重ね、存在感ある伝統校に成長していってもらいたいと思っ
ています。

2011年3月3日木曜日

市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えと公共交通機関の整備


 市議会3月定例会が始まりました。その初日、私から説明させて
いただいた新年度の施政方針の中で、現在の懸案事項について、こ
れまでの議論を整理する形で触れさせていただきました。
 私から申し上げたのは、次のような内容です。

 まず、市役所第一庁舎と長野市民会館の建て替えについてです。
 昨年12月27日、議会や市民の皆さんのご意見などを伺う中で、
「現在地を中心に建て替える」ことなど、4つの基本的な考え方に
基づく両施設の「望ましい配置案」をまとめました。さらに、1月
18日の市議会臨時会では、本年4月1日から長野市民会館の供用
を廃止するための「長野市民会館等条例の一部改正」を、特別議決
により可決していただいたところです。

 その後、両施設の「建設基本計画案」の策定作業を進めてきてお
り、このほどまとまりました。この計画案は、施設の設計を行うた
めの基盤となるもので、昨年2月に策定した基本構想をさらに一歩
進め、両施設の一部を合築することを加えたほか、具体的な施設の
内容や機能などについて盛り込んでいます。
 計画案の内容については、「広報ながの」3月1日号への掲載、
チラシの全戸配布によりお知らせするほか、市ホームページや支所・
市立公民館などで閲覧できるようにして、市民の皆さんへの情報提
供に努め、約1カ月間、ご意見を伺っていくことにしています。
 なお、3月10日には、長野市民会館で説明会を開催する予定で
す。

 今後、4月上旬には、頂いたご意見を反映して「建設基本計画」
をまとめ、「基本設計」へと進んでいくことになります。設計者の
選定に当たっては、設計者の創造性、技術力、提案力を活用できる
プロポーザル方式による選定が最適であり、市内事業者の参画につ
いても十分検討する予定です。新年度当初には、建築やホール設計
に携わる専門家による設計者選定委員会を設置し、設計者の選定を
進めていくことにしています。

 いずれにしましても、第一庁舎の建て替えに当たりましては、基
本構想の理念に沿ってワンストップサービスやユニバーサルデザイ
ンの導入、防災拠点としての機能の確保などにより、市民の皆さん
の利便性が向上し、環境にも十分配慮した施設となるようにし、平
成26年度内のしゅん工を目指していきます。
 また、長野市民会館につきましては、本市の文化芸術の振興を図
っていくための4つの役割「育む、楽しむ、創る、つなぐ」を実現
できる施設となるようにし、平成27年4月の開館を目指して鋭意
取り組んでいきます。

 次に、公共交通機関の整備についてです。
 バス交通については、「長野市公共交通活性化・再生協議会」が
本年度、地域循環バス・空白型乗合タクシーなど10路線の実証運
行を行ってきました。そのうち、既存路線の再編として実施した篠
ノ井信里と長沼の2路線については、新年度から本格運行に移行す
ることになっています。協議会では、この2路線を除く8路線につ
いて、本年度の実証運行の結果に基づき、今後の方向性を協議して
きました。

 その結果、利用が極めて低調だった古里地区の「通勤時間帯バス」
は継続しないことになったものの、他の7路線については、運行経
路などを一部見直した上で新年度においても実証運行を行うことに
しています。また、新たに「茶臼山動物園線」を加えるとともに、
中心市街地循環バス「ぐるりん号」への電動バス導入の可能性を調
査する実証実験も行う予定です。
 バス共通ICカードの導入については、システム開発に着手した
ところであり、平成24年度の運用開始を目指し、引き続きシステ
ムの構築を進めていくことにしています。

 長野電鉄屋代線については、去る2月2日に開催された「第12
回長野電鉄活性化協議会」において、「バス代替によって地域の交
通手段を確保する」との決定がなされました。

 長野電鉄活性化協議会では、一昨年5月の設立以降、住民アンケ
ートや観光モニタリング調査、関係団体ヒアリングなどを踏まえて
総合連携計画を策定。本年度は、この計画に基づいて、沿線住民の
利用意識の向上および沿線以外の住民の屋代線存続意義の理解促進
を図りながら、運行本数の増便をはじめ、パークアンドライド、サ
イクルトレイン、割引回数券販売、利用者アンケート、市民意向調
査などの実施と評価を行い、併せて、新たな運営スキームへの移行
について検討するなど、さまざまな協議を行ってきました。

 今回の決定は、利用者の皆さんにとって大変厳しいものと感じて
います。しかし、決定自体は、協議会が協議を積み重ねてきた結果
であり、私としては厳粛に受け止めたいと思っています。
 その後、2月24日に第13回協議会が開催され、代替運行に関
する基本的な考え方が示されたところです。今後、市としては、地
元の皆さんと十分協議し、沿線住民の皆さんの移動手段として公共
交通が確保できるよう、責任を持って対応したいと考えています。

 なお、今定例会では、これらの課題だけでなく、新年度予算につ
いても議論が進んでいます。平成23年度当初予算案は、一般会計
で82億9,000万円の大幅増となる1,547億6,000万
円という、大変大型の予算になったことは先週のメルマガでもご報
告させていただきました。

 長野市として1,500億円を超える当初予算を組んだのは久々
で、オリンピックの準備段階だった平成6、7年度以来のことにな
ります。長野市の税収が増えて、このような大きな予算が組めたの
であれば大いに歓迎すべきです。
 しかし、今回はそうではなくて、地方交付税が国全体で5,00
0億円増えたことで、長野市への配分も14億円増の250億円を
見込んでいる、というようなことが背景にあるのです。加えて、支
出面では、子ども手当や生活保護費など、扶助費が増えていること
も事実です。

 以前から申し上げているとおり、市民の皆さんが今一番望んでい
ること、つまり、景気を浮揚させ、雇用を増やすために、行政とし
てできること、やらねばならないことは、市内にお金を回すことで
す。これが重要であると感じていますので、この時期にこのような
大型予算を組めたことは、何よりだったと思っています。