今年も、最後のかじとり通信を書く時期になりました。
昨年12月30日付けのかじとり通信で、農業者を増やしたいと
主張したところ、思いのほか早く準備・調整が進み、今年の4月か
ら新規就農者支援事業を始めることができました。
現在まで12人の皆さんが、助成金の受給者に決まっており、既
に長野県農業大学校に入学したり、市内の里親農家の指導を受けた
りして、専業農業者への道を歩んでおられます。年間目標人数の
30人にはまだ至っていませんが、来月1月にもう一回、本年度分
の募集をしますので、目標に少しでも近づいてくれることを期待し
ています。この事業を10年間続ければ、年30人で合計300人
の農業者が生まれるわけで、長野市の農業の大きな担い手になるは
ずです。
国でも長野市の取り組みに刺激されたかのように、来年度から同
じような事業をスタートさせると聞いています。長野市は、対象者
を原則として40歳未満としたのですが、国の制度では原則45歳
未満とするそうです。細かい違いは別として、国でもやってくれれ
ば、長野市の負担は減ることになりますし、もっと違う事業に資金
を回せるかもしれません。
昨年も紹介させていただいたことですが、長野市には、この新制
度とは別に、平成5年度から行っている就農促進奨励金支給事業が
あります。この事業は、資格などについて細かい規定を設けずに、
農業委員さんに推薦していただき、認定審査会で認定を受けた人に
対し、奨励金(40歳以下10万円、41~55歳5万円)を交付
している制度で、今年は24人が選ばれました。昨年は今年と同程
度の25人でしたが、一昨年までは毎年おおよそ10人程度でした。
新規就農後2年以上経過した就農者という応募資格を昨年度から1
年以上に緩和した効果かもしれませんが、人数が倍以上に増えたこ
とは、素晴らしい成果です。
実は、以前この奨励金の受給者約100人の就農状況について追
跡調査をしましたら、ほとんどの人が農業に引き続き従事している
ことが分かりました。今の長野市の農業において、こうした皆さん
が果たす役割は大きく、この事業は大変有益なものであると思って
います。
12月20日、市役所で就農促進奨励金の交付式を行い、24人
の皆さんに奨励金をお渡ししました。その際の皆さんの決意表明は
本当に立派で、意欲に満ちており、農業への強い思いを持って取り
組んでおられることがよく分かりました。
これまでサラリーマンとしてお勤めされていた人がほとんどでし
たが、農業のことをよく知っておられましたので、大部分の皆さん
が農家出身という感じでした。農業委員さんが推薦されただけに、
この皆さんなら長期にわたって農業に従事し、長野市の農業発展に
貢献してくれそうだなあと感じました。
農業経営には、広い農地を確保する必要があります。そのため、
こうした農業支援策をむやみに拡大し、農業者を増やせば良いとい
うものではないと感じています。ただ、当面は農業者を増やしなが
ら、農業で生活できるシステムをつくることが必要でしょう。
かじとり通信に「新規就農者支援について」を書いてから1年足
らずで、事業がある程度形を成してきたのには、ちょっとびっくり
です。通常は、初年度に制度設計をし、庁内の議論、有識者を含め
た検討委員会で協議、議会への説明などを行い、次年度から募集と
いうように時間がかかるのですが・・・。もちろん、関係機関の協
力が大きかったのでしょう。それにしても、新規就農者の支援が国
を巻き込むほどの事業になりそうなことは、国の政策も含めて行政
としては異例と言えるほど早い対応でした。私が普段よく言ってい
る「いい加減が良い」ことの典型的な実例かもしれません。時間を
かけて完全な状態にしてから始めるよりも、未完成でもスピード感
をもって実施し、その後修正を加えていく方が効果的なのです。
これほど早く長野市が事業を進めることができ、また国も同様の
事業を始めるのには、次のような要因がありそうです。
(1)農業者の高齢化と後継者不足が限界に近づいている
(2)農業委員、農協など、地域の農業関係者の危機感が大きい
(3)国は農業政策をいろいろやっているが、再生に向けての決定
打にはなっていない
(4)長野に国の農業政策をリードする政治家がいた
(5)長野市の制度は、市単独事業として取り組める規模であり、
ある程度の成果が期待できた
(6)長野市の制度は地域の実情から出てきたものであり、反対が
なかった
しかし、10年後ぐらいに、長野市の農業が隆々としていなくて
は、私の政策判断が誤りだったということになります。祈る気持ち
で期待しています。
長野市の農業生産額は、果樹が圧倒的に多く、米などの穀物は少
ないようです。そこで、今後、農作物の売り上げを伸ばすためには、
品質の優れた果樹を中心に外に向けて販売していくことが重要にな
ります。
今、先進的な農業者は、インターネットでの販売に取り組んでお
り、生産者の紹介や商品の特徴など細かい情報がそこには掲載され
ています。昔はよく普通の商売でも「顔の見える商売」と言いまし
たが、まさにこれは顔の見える商売と言えそうです。
もう一つは、海外に販路を求めることも重要だと思っています。
海外で食べる果物の味の悪さを経験されたことのある人も多いと思
います。長野市の果物が宝物のようにすら感じられます。素晴らし
い長野市の果物を何とか世界に売っていきたい。そんな野望を抱い
ています。
今年最後の市の政策会議で、TPP(環太平洋経済連携協定)が
心配などという内向き思考では駄目、攻めの農業を開始しようと、
その方法論を検討するよう関係部長に指示しました。
同じころ、長野県農政部が、「目指せ農業所得1,000万円」
という事業を打ち出したことが新聞報道にありました。若手農業者
の企業的経営能力を高めるもので、「信州農業MBA(*)研修事
業」というのだそうです。詳細な中身については分かりませんが、
農業に具体的な光が当たり始めたということであれば、これほど素
晴らしいことはありません。
市内には農業者に「8桁会」という団体があることは、以前かじ
とり通信に書かせていただきました。8桁とは1千万円の位ですか
ら、県の事業は、まさにこれと同じように、農業所得を増やそうと
いう政策だと感じています。農業は「もうかる商売」なんだと分か
れば、若い人も大いなる夢を描いて、この業界に入ってきてくれる
と私は信じています。
2年続きで、年末のかじとり通信は、農業再生に懸ける私の想い
を書きました。
来年こそ、明るい希望に満ちた良い年にしたい!皆さん良い年を
お迎えください。
*MBA:Master of Business
Agriculture
2011年12月29日木曜日
農業への想い、もう一度
2011年12月22日木曜日
今年のふるさとNAGANO応援団意見交換会
長野市に縁があり、首都圏でさまざまな分野で活躍されている皆
さんにお願いして、平成19年10月に「ふるさとNAGANO応
援団」を設立してから4年がたちました。メンバーの皆さんがお持
ちの高度な専門知識、豊かな経験、広い人脈から、これまで多くの
ご意見、アドバイスを頂くとともに、広く長野市をPRしていただ
くなど、まさに長野市の応援団として活動していただいています。
今年新たに二人の方をお迎えし、メンバーは現在38人です。いず
れも心強い皆さんです。新メンバーのお二人をご紹介します。
鎌原正直さん(三菱レイヨン株式会社取締役社長/長野市出身)
柄澤康喜さん(三井住友海上火災保険株式会社取締役社長/長野
市出身)
長野市の存在感をもう一段高めるため、新たな視点からのご支援
をお願いします。
メンバーの皆さんには、実際に長野市にお越しいただき本市の現
状を視察していただいたり、都内での意見交換会に参加していただ
いたりしています。今年の視察は10月29日に行い、イヤーキャ
ンペーンを展開中の篠ノ井地区と信州新町地区を訪問していただき
ました。意見交換会は、11月28日に都内で開催しました。
今年の意見交換会では、「中山間地域の活性化」「ながのシティ
プロモーションの推進」「長野県短期大学の4年制化」の3つにテ
ーマを絞り、まず私がそれぞれの現状や課題について説明し、その
後、意見交換に移りました。以下、それぞれのテーマについてお話
しした概要と、それに対してメンバーの皆さんからどんなお話があ
ったか、要約させていただきながら、できるだけ意見交換会の雰囲
気が伝わるようにご紹介したいと思います。
(1)中山間地域の活性化
長野市域の約4分の3の面積を占める一方で、人口は市全体の約
1割である中山間地域の活性化は、大きな課題です。小・中学生農
家民泊誘致受入事業や、本年度から始めた農業政策の目玉である新
規就農者支援事業、農業法人化事業、薬草栽培など、中山間地域の
活性化を探る各種取り組みについて説明しました。また、野生鳥獣
による農作物の被害がとても大きいことなどについてお話ししまし
た。ちなみに会場では、長野市農業公社の「ながのいのち」ブラン
ドの新商品として、若穂保科地区の農家グループ「信州ほしな食彩
園」さんと洋菓子店「手作りケーキ工房キャロット」さんが共同開
発した「シフォンケーキ」と「ほし~な・りんご姫(アップルパイ)
」を皆さんにお配りし、ご賞味いただきました。
まず、最初に話題となったのは農家民泊事業についてです。「小
・中学生が農家民泊し、農業を経験することは大事なことだ」「山
がきれいだ、星がきれいだというように長野市にほれ込んでくれれ
ば、なおいい」といったうれしい感想を頂きました。また、薬草栽
培については、「どの薬草を選ぶかが非常に重要であるため、戦略
的に考えなければならない」といった専門分野からのご意見や、新
規就農者支援事業については、「補助金を出すというやり方もある
が、根本的にビジネスモデルをどう変えていくかという開発を両建
てでやる必要がある」といった意見も頂きました。
また、「国土交通省が、2050年の1平方キロメートルメッシ
ュの人口予想を出している。それによると、現在、人が住んでいる
場所の21%が無人化するとしている。また、現在、人が住んでい
る場所の60%が、人口が半減するという予測をしている。このよ
うな長期見通しを踏まえて中山間地域対策をどう考えるのかお聞き
したい」と、この問題の核心を突くご質問もありました。
私はまとめとして、「中山間地域や農業の活性化については、好
意的な意見の方だけではない。『もう遅い』という意見もある。し
かし、行政としては、何としても農業を活性化し、農業で食べてい
けるようにしなければならない。農業は、やり方によってはもうか
る。そして、現在の何となく閉塞(へいそく)感のある社会の中で、
付加価値を生み出していく産業は、農業である。そのため、農業が
活性化するための振興策をさらに推進したい」と申し上げました。
(2)ながのシティプロモーションの推進
シティプロモーションとは、人口減少時代など社会構造の大きな
変化が予想される中で、地域ブランドの確立などにより都市の魅力
を高め、市外から人や企業などの資源を獲得し、都市づくりを進め
ていこうという考えです。本年度から本格的に取り組みを始めてお
り、オリンピック開催都市であることを旗印に、海外に向けても発
信していきたいと考えています。ふるさとNAGANO応援団との
連携の重要性についてもお伝えしました。
このテーマについては、「今、多くの自治体がアジア諸国に売り
込みをしているが、外国から見ると、それぞれの自治体が別々に売
り込みに来るので混乱している。複数の県で連携してはどうか。そ
して、若い世代に影響力のあるカリスマ・ブロガーを呼び、観光地
を回ってもらいブログを書いてもらうなど、費用対効果の大きいア
プローチを取っている事例もあり、こうしたことを戦略的に行う必
要がある」と、インターネットを利用したSNS(ソーシャル・ネ
ットワーキング・サービス)を活用するご提案を頂きました。また、
「日本は海外の観光客誘致が戦略的に欠けている。山間部を利用し
たり、オリンピック開催都市であることを生かしたりして、短期間
であれば地元の農村に泊まっていただくなど、文化とコラボレーシ
ョンした形で田舎を売りにして、単価を高く取れるビジネスもある
のではないか。森林があって、神秘的なコンテンツがあって、国際
的な知名度もあって、スキーもできて、これだけの観光資源があれ
ば、そういった売り込みもできる」といった海外を視野に入れたご
意見も頂きました。
また、篠ノ井・信州新町地区の視察に参加されたメンバーの方か
らは、「両地区ともいいものはある。それを丁寧に掘り起こしてい
く日々の努力が大切だ」というご意見を頂いたほか、「鬼の無い里」
という地名の由来に昔から興味があり、今年初めて鬼無里を訪れた
というメンバーの方からは、「非常に古い歴史や神話がある鬼無里
と、多くの神話や伝説が残る隣の戸隠を一体的に生かしたらどうか」
という提案を頂きました。これはまさに今取り組んでいる「いいと
き観光エリア事業」に一致するものであり、その取り組み状況を説
明し、またネーミングについてもお話ししました。実は、「いいと
き」は、飯綱・戸隠・鬼無里の頭文字を取って、私が名付けました。
シティプロモーションについては、今回メンバーの皆さんから頂
いたご意見をはじめ、さまざまな立場の皆さんのご意見・ご提案を
お聞きしながら、本市の魅力度アップや活性化につながる取り組み
を進めていきたいと考えています。
(3)長野県短期大学の4年制化
長野県短期大学の4年制化については、今年7月に、「長野県短
期大学の将来構想に関する検討委員会」において、長野県の高等教
育を一層充実させるため、長野県短期大学を改組し、新たな公立4
年制大学に転換することが必要との提言に至りました。所在市であ
る長野市としても、長年の悲願であり、大変喜ばしいことです。こ
れまで、独立行政法人という運営形態が所在市として応援しやすい
のではと申し上げ、また、大学機能の一部が中心市街地に設置され
ることとなれば若者が行き交うまちにつながることから、平成24
年度をもって閉校予定の市立後町小学校跡地の利用についても県へ
提案していることをお話ししました。
このテーマについては、多くのご意見を頂きました。まず、現在
の大学を取り巻く社会環境を踏まえ、「現在の短期大学の学科構成
や取得可能な資格を見ると、これまでは教育関連に就職できていた
と思うが、今後子どもの人数が減ると、当然就職先も減ることが予
想される。女子大ということで言うと、日本は、先進諸国の中で最
も男女平等が遅れており、女性の産業振興力が一番生きていないと
いう意味で、「埋蔵金」という言われ方もしている。これをどう生
かすかが重要で、例えば経済学、経営学に強い女子大にするのも手
である。差別化をしていく、また、長野の地域資源を生かして産業
につなげていくという切り口で、4年制移行に伴う学部構成も戦略
的に行っていく必要があると思う」「私立大学においては、今年3
月に卒業予定だった学生の5分の1ほどが就職留年している状況で
あり、就職できる力をどう身に付けるかということが重要である。
資格を取ればいいというものではないので、世界中どこへ行っても
働けるというキャリアマインドを養成する大学にしなければ、4年
制化しても意味はない。日本国内に大学が多すぎるという声もある
が、世界的な水準でみると日本の大学進学率はかなり低い。アジア
の中でも日本より低い国はあまりない」といったご意見がありまし
た。
また、学部構成の話にもなり、「学部は、流行を追ってつくれば
良いというものではない。大学などの教育機関は常勤の教授や講師
が熱心に教育するというのが基本であるが、それだけでは不十分で
ある。東京から長野へは新幹線で1時間30分であり、千葉からだ
と八王子の大学に行くよりも信州大学に行く方が楽である。そうい
った利点を生かせば、東京の人材を非常勤講師として活用できるの
で、学部構成という枠を超えて新しい取り組みをしていってほしい」
「実務教育と既にある教育をどう組み合わせるか、教育を受けても
就職できない人をどこで生かすか、ということについては産業政策
と連動させる必要がある。4年制大学の学部構成を検討する際に、
個々の分野の専門の方々だけで議論するのも深掘りができていいが、
横のつながりを考慮するべきである」といった意見がありました。
私はこれに対し、「現在の教員の専門性を全く生かさずに新しい
ものをつくるというのは現実的ではない。そのため、徐々に変えて
いくということもあり得る。しかし、私としては、既存のものにこ
だわらず新しいものにしていくことを強く主張していきたい」と申
し上げました。
いずれにしても、この県短4年制化は長野県が主体となるもので
すから、メンバーの皆さんから頂いたご意見を参考にし、今後大学
の所在市の立場から、県に提言していきたいと考えています。
今回も、さまざまな分野でご活躍中の皆さんから、大変貴重なご
意見を頂きました。毎回思いますが、行政とは違った視点からのご
意見に、なるほどと思う点を多々発見することができます。今年の
意見交換会も大変有益なものとなりました。
お忙しい中ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
2011年12月15日木曜日
市議会改選後、初の定例会
9月の市議会議員一般選挙後初めてとなる市議会定例会が、11
月30日に開会しました。新たな議会構成となり、開会日の議場は
緊張した雰囲気が漂い、各議員さんが強い思いを持って臨まれてい
ることを感じました。理事者側も気を引き締めて対応するとともに、
代表質問、個人質問に対しては、市民の皆さんに分かりやすい議論
となるよう、簡潔な答弁を心掛けました。
開会の私のあいさつの冒頭、11月5日に逝去された故伊藤將視
議員さんを悼み、ご冥福をお祈りしました。また、同月、本市の管
理職職員が飲酒運転の上、交通事故を起こしたことについて、お詫
び申し上げました。この場をお借りし、かじとり通信をお読みいた
だいている皆さんにもお詫び申し上げます。
以下、あいさつで申し上げた主な内容です。
国は、新年度予算編成について、先に閣議決定した「中期財政フ
レーム」に沿って、地方の安定的な財政運営に必要な財源総額は平
成23年度の水準を下回らないよう確保し、また、震災の復旧復興
支援では、被災団体以外の地方自治体の負担に影響を及ぼすことが
ないように、通常の歳入歳出とは別枠で整理し対応していくとのこ
とです(震災の影響で、地方予算が大きく削られることはなさそう
で、ホッとしています)。本市としては、健全財政の堅持および計
画的な行政の推進を念頭に置いて、市政の重要課題・懸案事項の着
実な改善・解消に向けて、積極的に取り組んでいきます。
本市の新年度予算編成については、「予算編成方針」で、「エネ
ルギーの適正利用」「文化芸術活動への支援と文化の創造」「公共
交通機関の整備」の3つを優先施策とし、「小・中学校耐震化事業」
など8つの大規模プロジェクト事業に、必要な財源を重点的に配分
することとしました。
また、将来にわたり鋭意取り組むべき市政課題である「都市内分
権の推進」「中山間地域の活性化」「防災対策の推進」「子育ち・
子育て環境の整備」、そして「魅力ある教育の推進」「スポーツを
軸としたまちの活性化」などについても、適切かつ必要な財源の配
分に留意することとしています。
次に、本年度の主な施策・事業の動向についてです。
(1)都市内分権の推進について
住民自治協議会が本格活動を開始して1年半余りが経過する中、
多くの住民自治協議会から事務局長設置に対する市の財政支援の要
望を頂いています。住民自治協議会が将来にわたり活動を継続し、
自立していくためには、事務局長のポストは大変重要であると考え
ていますので、今後前向きに検討していきます。
(2)公共交通機関の整備について
長野電鉄屋代線の廃止に伴い、バス代替による地域の交通手段の
確保に向けて沿線地域の皆さんと十分な協議を行い、路線、停留所
およびダイヤ編成などの代替交通運行計画を11月2日の長野電鉄
活性化協議会で決定しました。また、屋代線跡地については、今後、
須坂市、千曲市と事務的な調整を行いつつ、沿線地域の皆さんや長
野電鉄と十分に協議し、地域の活性化のために有効に活用できるよ
う早急に検討を進めていきます。
また、12月1日付けのかじとり通信でお知らせしました早稲田
大学と連携した電動バスの実証実験は、二酸化炭素を出さない交通
で地域づくりを進める「モデル」として、注目しています。
(3)環境対策の充実、エネルギーの適正利用について
「再生可能エネルギー特別措置法」が成立し、再生可能エネルギ
ーで発電した電力の固定価格買取制度の導入が決定しました。これ
により再生可能エネルギーの普及が一層加速するものと考えられ、
今後、買取期間や買取価格の具体化に合わせ、再生可能エネルギー
の積極的な導入に向けた取り組みを進めていきます。
また、商店会の要望により、9月市議会定例会で補正予算を可決
していただき、商店街街路灯のLED化などへの省エネ改修補助事
業を進めています。本年度実施予定は31商店会で、現在の進捗
(しんちょく)率は94%と、事業は順調に進んでいます。街路灯
は、商店街のにぎわいの創出や道路照明のほか、地域の防犯にも役
立っており、商店会の電灯料金負担軽減にもつながることから、引
き続き支援していきます。
(4)中山間地域の活性化について
都市と農村との交流・活性化事業として、「小・中学生農家民泊
誘致受入事業」を実施しています。芋井、信里、七二会、信更、鬼
無里、大岡、中条地区において実施され、今年は7地区で合計31
校、何と4,203人もの小・中学生を受け入れました。こうなれ
ばもう一大産業です。日本の原風景ともいうべき豊かな自然に囲ま
れた農家での生活は、子どもたちにとって貴重な経験となるようで、
今後も、より魅力的で、かつ、安全な受け入れ体制を構築し、事業
のさらなる継続・発展を目指したいと考えています。
中山間地域において大きな問題となっているのが、野生鳥獣によ
る農作物の被害です。防護柵の設置などを推進するとともに、捕獲
したイノシシなどの肉の処理施設建設を補助金により支援したいと
考えています。併せて、肉の消費拡大、販路確保についても、商工
会議所や農業協同組合と連携して取り組んでいきます。
本年度から実施している「新規就農者支援事業」は、農業政策の
目玉事業です。これまで12人の皆さんが助成金の交付対象者に決
定しており、このうち、現在市内の里親農家や長野県農業大学校な
どで就農に向けた研修をしている人が8人、研修を修了し就農して
いる人が4人です。来年1月に3回目の募集を予定しており、今後
も広くPRし、県内のみならず県外からも農業の担い手の確保・育
成に努めます。
(5)スポーツを軸とした活性化について
昨年創設した「ながの夢応援基金」については、ご寄付を頂いた
皆さんへの感謝の気持ちを表すため、寄付者のお名前を記した銘々
板(めいめいばん)をJR長野駅東西自由通路に設置しました。こ
の基金を活用し、スピードスケート競技のジュニア選手育成プログ
ラムの実施などにより、ウインタースポーツの拠点づくりに向けて、
オリンピックムーブメントの推進と冬季スポーツ選手の育成・強化
に取り組んでいきます。引き続き、多くの皆さんのご支援・ご協力
をお願い申し上げます。
(6)権堂B-1地区の再開発事業とセントラルスクゥエアについ
て
前回の長野市都市計画審議会では、計画案の再検討が求められま
した。現在、案の見直し作業を進めており、再度、審議会へ諮問す
る予定です。
また、中央通り沿いのセントラルスクゥエアに計画している表参
道長野オリンピックメモリアルパークの整備については、来年4月
のオープンに向け、12月中旬に工事着手、年度内の完成を目指し
ています。解体・撤去するステージの跡地は、試験的に大型バス駐
車場とし、善光寺を訪れる観光客に中心市街地を歩いていただくた
めの課題などを調査する実証実験に着手します。
(7)市役所第一庁舎および長野市民会館の建て替えについて
両施設の設計者については、公募プロポーザル方式により選定を
進めた結果、世界的にも著名な建築家である槇(まき)文彦氏を代
表とする株式会社槇総合計画事務所を選定しました。また、同社と
設計共同企業体を構成する、地元企業の育成と参画の観点から設け
た市内企業枠には、長野設計協同組合を承認し、基本設計に着手し
たところです。今後、市民ワークショップなどの意見も参考にしな
がら、建設基本計画に基づいて設計を進めていきます。
また、旧長野市民会館の解体工事は、内装の撤去などがほぼ終わ
り、外壁の解体に着手したところです。
なお、先日閉会した臨時国会に合併特例債の活用期間を5年間延
長する法案が提出されましたが先送り(継続審査)となりました。
延長自体は東日本大震災を踏まえた適切な措置であると考えていま
すが、耐震化・老朽化対策は喫緊の課題であることから、市役所第
一庁舎・長野市民会館の建設については、当初の計画に沿った着実
な整備を進めていきたいと考えています。
この他、子育ち・子育て支援の推進として下氷鉋保育園の運営委
託や「長野市版放課後子どもプラン」の状況、長野広域連合が計画
するごみ焼却施設の建設、12月2日から2回目の受け付けを開始
した住宅リフォーム補助事業、長野駅善光寺口駅前広場整備、長野
駅東口の(仮称)複合交通センター用地を観光バスなどの乗降場・
待機場とするための暫定整備、エムウェーブ西側の第二東部工業団
地の好調な契約状況、東日本大震災関連の本市の取り組み、AC長
野パルセイロのJリーグ準加盟申請に当たり、南長野運動公園総合
球技場改修の検討などを記載した長野市の支援文書提出などについ
てもお話ししました。
そのパルセイロは、12月10日に今シーズンの全日程を終了し、
最終戦のSAGAWA SIGA FCとの対戦は、1対2で残念
ながら負けてしまいましたが、準優勝という見事な結果を残しまし
た。12月4日のホーム最終戦では、詰め掛けた3,000人を超
す観客の期待に応えてFC琉球を3対1で破り、試合は大変盛り上
がりました。ちょうどその日、ライバルの松本山雅FCは念願のJ
リーグ昇格を決定付ける勝利を収め、12日のJリーグ理事会で昇
格が正式決定しました。ここまでの道のりは長く険しいものであっ
たことを新聞記事などからあらためて知ることができましたが、や
はり平均観客数約7,500人というサポーターの力は大きかった
と思います。心から祝福の拍手を送りたいと思います。
12月市議会定例会でも、多くの議員さんからパルセイロを応援
すべきとの心強いご意見を頂いています。市では、Jリーグ基準を
満たすスタジアム整備に向けた検討を行いますが、パルセイロには、
“GO to J”の掛け声の下、さらにチームの実力と魅力を高
め、サポーターや観客をもっと増やす取り組みを進めてほしいと願
っています。
初当選された議員さんが、一般質問で市議会デビューされる中、
議会の雰囲気が少し変わったなあと感じる場面もあった12月市議
会定例会ですが、補正予算や条例に係る審議を行い、16日に閉会
します。そうすると、いよいよ年の瀬といった感が強まります。そ
して、待ちに待った本格的なスキーシーズンの到来です。既に真っ
白な志賀高原、白馬、菅平の山々を見るたびに、そして各地から一
足早いスキー場開きの便りを聞くたびに、居ても立ってもいられな
い気持ちになります。早く滑りたくて毎日うずうずしているのです。
17日に戸隠スキー場と飯綱高原スキー場がオープン予定ですが、
オープン日には、雪が降り積もり、素晴らしいスキー日和となるこ
とを期待しています。
2011年12月8日木曜日
友好都市締結30周年記念訪日団
中国河北省石家庄市から、王大軍副市長を団長とする8人の友好
代表団の皆さんが、11月26日から28日まで長野市を訪れまし
た。石家庄市は、北京から高速道路を利用して車で約2時間半。人
口約1千万人の大都市です(長野市の人口が約38万8千人ですか
ら、友好都市とはいっても規模が桁外れに違います)。
石家庄市と長野市は、それぞれが省都・県都であり、内陸部に位
置し、地形や気候が似ていたことや両市において果樹栽培が盛んで
あったことなどから、1981(昭和56)年4月19日に友好都
市の調印・締結をして、今年で30周年の節目の年を迎えました。
締結当時の長野市長は、故柳原正之さんでした。その後、1983
(昭和58)年には、長野県が河北省と友好提携を締結しています。
友好都市締結以来、代表団や中学生の相互派遣のほか、本市は石
家庄市からのさまざまな分野の研修生を受け入れるなどの交流を中
心に友好を深めてきました。現在までの交流実績は、本市への受け
入れ総数が109団・821人、本市からの派遣総数が67団・
824人です。その間には、元市議会議員の千野昭さんが石家庄市
で川中島白桃の栽培を指導し、石家庄市から名誉市民の称号を受け
られたり、長野市の造園事業者が研修生を受け入れ、石家庄市の造
園事業に大きく貢献したり、長野市の企業が石家庄市で学校を建設
し、寄付したりするなどの交流もありました。
私は市長就任後の2004(平成16)年と、友好都市締結25
周年の2006(平成18)年の2回石家庄市を訪問しましたが、
その間の2年で石家庄市は大きく変貌し、その発展ぶりには目を見
張るものがありました。さらに、今回の訪日団の皆さんから見せて
いただいた石家庄市の現在の写真には、本当にびっくりしました。
その後の5年間で、まちは驚くほど開発が進んでいました。
石家庄市では、2007(平成19)年から2008(平成20)
年にかけてギョーザ中毒事件が、2010(平成22)年には日本
人が軍事管理区域を撮影したとして拘束された事件などがあり、実
態は正確にはよく分かりませんが、嫌な思いを抱いた時期もありま
した。しかし、こうしたことを克服しながら、今日の両市の関係に
発展してきたことを大切にしなくてはいけないと思っています。
26日、訪日団は新幹線で長野入りされました。JR長野駅のコ
ンコースで、市民、市議会議員の皆さんに大勢参加していただき、
盛大に歓迎式典を開催しました。訪日団をお迎えする男声合唱団
「ZEN」の皆さんの歌声が、とても印象的でした。
夕方から市内のホテルで、長野市と市議会への表敬、続いて友好
都市締結30周年記念レセプションが開催され、大勢の市民の皆さ
んにも参加していただきました。本来なら、市長室や議長室で表敬
を受けるべきでしょうが、この日は土曜日で市役所が閉庁していた
こともあり、できませんでした。
27日・28日は、訪日団の皆さんの希望により、経済団体との
交流や環境分野での視察をしていただきました。長野市としても、
交流をより有意義なものに発展させるためには、こうした具体的な
分野での情報交換、人・物の交流を促進したいと考えていましたの
で、関係団体・企業に積極的に働き掛け、効果の上がる視察の準備
を進めてきました。しかし、企業訪問などは日程の都合上、主に
27日の日曜日に設定せざるを得ず、訪問先の企業の皆さんには、
ずいぶんご迷惑をお掛けしました。それにもかかわらず、訪日団の
視察を快く受け入れていただき、また多くの社員の皆さんに玄関で
お迎えいただくなどご配慮いただき、本当にありがとうございまし
た。
以下、同行した秘書課国際室からの報告を中心にお話しします。
まず、経済団体との交流は、長野商工会議所、長野市商工会にご
協力いただき、また観光団体としてながの観光コンベンションビュ
ーローにもご参加いただき、懇談会と昼食会を開催しました。既に
北京や上海などに進出している企業や金融機関が、この懇談会を機
に、今後石家庄市との交流を視野に入れた交渉を希望する話や、両
市の観光資源を生かした観光交流の話など、かなり具体的かつ現実
的な意見交換ができたとのことです。
発展目覚ましい石家庄市ですが、環境問題、特に大気汚染が喫緊
の課題のようです。訪日団の中に電動自動車会社の取締役の方がお
られ、日本の環境技術に高い関心を示し、日本の電気自動車をぜひ
見たいとのことで、長野三菱自動車販売株式会社と長野日産自動車
株式会社を訪問していただきました。中国の自動車産業も近年大き
く発展していますが、電気自動車に関しては日本がかなりリードし
ているようで、両社においては電気自動車に試乗し、熱心に専門的
な質問をされたそうです。それならばと、前回のかじとり通信でも
お伝えした長野市で実証実験中の電動バスを見ていただくよう私が
提案し、実際に試乗もしていただきました。特に、車体に電気プラ
グを接続せずに充電できる非接触充電方式に興味津々であったそう
です。
中国でも高齢化が進んでいて、介護や生活支援といった高齢社会
問題が顕著になっているとのことで、老人福祉施設・ケアハウス南
長野を視察していただきました。私は、かつて中国で人口増への対
策として行われていた「一人っ子政策」のしわ寄せみたいなものが、
いずれ出てくると思っていたのですが、そろそろそんな時代に入っ
ているのかもしれません。
今回の訪日団の中に物流会社の総支配人の方がおられたことから、
長野運送株式会社を訪問し、日本の環境に配慮した物流体制やシス
テムについて視察していただきました。また、近年石家庄市では、
健康志向の高まりにより、低カロリーのきのこなどが人気だそうで、
視察したホクトメディカル株式会社では、現地での製品販売などに
ついての具体的な情報交換が行われたようです。
こうした懇談会や視察のほかに、長野市日中友好協会の皆さん主
催の歓迎宴にも出席されました。両市の交流が30年間続いている
のは、長野市日中友好協会の皆さんによる草の根の交流なくしては
語れません。歓迎宴では、踊りや歌などで大いに交流を図ることが
できたようです。
その他、訪日団の皆さんは、茶臼山動物園や松代を視察し、28
日に長野市を出発されました。JR長野駅でのお別れの際には、涙
を浮かべていた方もおられたとのことです。
訪日団の団長は、若干44歳にして大都市石家庄市の副市長を務
めている王大軍さんです。王団長は、帰国を前にして、「もっと長
野市に滞在して、多くの企業関係者と懇談したり、自然の宝庫であ
る戸隠や鬼無里に行ったりしたかった。東京より長野を、より広く、
深く知りたかった」とおっしゃってくれたそうです。そういえば、
王団長は、長野駅に到着して開口一番、「空気がおいしい」。そし
て、「まちがきれいだ」と何度もおっしゃっていました。
また、「長野市には人間の手が加えられていない素晴らしい自然
がある。そして、長い歴史を感じさせる建物や風景が、まちの中で
も取り壊されずに残っている。冬季オリンピックにより高速道路や
新幹線も整備され、都市と自然と文化が共存するコンパクトでとて
もきれいなまちだ」と絶賛してくれました。そして、市民の皆さん
のおもてなしの心を強く感じたそうです。
日本の料理も楽しまれたようで、新鮮な野菜やきのこの“おひた
し”を「おいしい」といって気に入ってくれたそうです。中国の人
は、油っぽい料理を好むのかと思っていましたが、意外です。
王団長は、「日本と中国は、歴史上つらい出来事があった。今も
反日感情を持つ人がいる。しかし、これからはお互いがパートナー
として、両市にとって何が有益か、両市の理解と信頼関係を築きた
い。そのためには、経済、観光、そして市民同士の交流をもっと推
進しよう。石家庄市のほとんどの市民は長野市を全く知らない。今
度長野市から石家庄市に来ていただく時は、市民との交流、そして
長野市をPRする場を設けたい」とおっしゃったそうです。表敬訪
問や記念レセプションでも、王団長は私に両市のこれからの友好交
流を熱く語ってくれました。
今度は、長野市が石家庄市を記念訪問する予定です。市民の皆さ
んの参加も募り、将来につながる効果の高い訪問を今から考えてお
きたいと思います。
最後になりましたが、今回の記念事業にご協力いただきました全
ての皆さんにお礼を申し上げます。
2011年12月1日木曜日
電動バスの実証実験と晩秋の出来事
11月20日、多くの皆さんからご好評を頂いている中心市街地
循環バス「ぐるりん号」に電動バスが初めて導入され、実証実験と
して運行が始まりました。
この実証実験は、早稲田大学が環境省の「チャレンジ25地域づ
くり事業」に、長野市での実験計画を応募し、それが採用されて実
現しました。実施主体は、早稲田大学です。前日の19日には、出
発式をJR長野駅のコンコースで開催し、早稲田大学からは、橋本
周司副総長、紙屋雄史理工学術院教授、そして新井智本庄総合事務
センター事務部長、柳澤一夫環境総合研究センター事務長と、そう
そうたる皆さんがお見えになり、大変な力の入れようでした。
環境省が本実験計画を採用してくれたこともありがたいのですが、
やはり実証実験の舞台として長野市を選んでくれた早稲田大学に心
から感謝します。
今回の電動バス実証実験では、温室効果ガスの排出削減に向けた
低炭素型交通システムの構築を目指しています。長野市は、平成
24年度の当初予算編成方針で「エネルギーの適正利用」「公共交
通機関の整備」などを優先施策として位置付けており、この実証実
験は、まさに本市が進めようとしている施策と合致するものです。
市としても実験の成功のために最大限の協力をさせていただきたい
と考えています。
このバスは、日野自動車の低床マイクロバス「ポンチョロング」
を改造したもので、乗車定員は25名となっています。電動バスの
心臓部ともいうべきメーンバッテリーにはリチウムイオン電池を、
充電方式には非接触電磁誘導型を採用し、短距離走行・高頻度充電
により、大きく、重く、コストの高いバッテリーの搭載量を必要最
小限にできるため、ぐるりん号のような市街地走行に適した方式と
考えられます。
なお、非接触充電方式では、地中に埋設した送電装置上にバスを
停車させ、乗務員は車内から操作するだけで充電できるとのことで、
電気プラグを車体に接続する従来の方式より短時間で充電できるそ
うです。
私も実際に乗車してみましたが、車内にはバッテリー残量や使用
電力量、電気を消費しているのか充電しているのかが表示される大
きなパネルが設置されており、走行も大変スムーズでした。運行は、
長野駅(善光寺口)を午前10時、正午、そして午後2時に発車す
る3本ですが、多くの皆さんにご利用いただきたいと思います。
新型車両が来月に1台、さらに平成25年度にもう1台が導入さ
れ、合計3台により中心市街地循環バスやシャトルバスなどとして
の実証実験が予定されています。非接触充電装置を搭載した電動バ
スが、今年を含めて3年間(実質2年半)という長期間にわたり実
証実験を行うのは国内初の取り組みであり、しかも長野市の金銭的
な負担はほとんどなく、非常にありがたい実験です。
長野市では、三菱自動車と日産自動車の小型の電気自動車を既に
導入して、使い勝手などの検証を行っていますが、バスという大型
車両の運行は初めてです。早稲田大学は、長野市が内陸盆地のため
夏は暑く、冬は寒冷で積雪もあるという気候に加えて、地形的にも
坂道での走行実験が可能であること、そして、何より環境対策に力
を入れていることに着目して、長野市を選んでくれたのだと想像し
ています。
長野市で導入した電気自動車のこれまでの走行データからは、中
山間地域(坂道の多い場所)での使用が有効ではないかという意外
な報告を得ています。その理由としては、上り坂では電気を余計に
使ってしまいますが、下り坂では充電されるので、思った以上に蓄
電性能が高いということのようです。
環境省の「チャレンジ25地域づくり事業」について、頂いた資
料から少し説明します。
温室効果ガスの削減に向けては、地域単位でさまざまな技術が人
々に利用される仕組みの構築が必要です。そこで、この事業は、全
国の「モデル」となるような仕組みづくりを進め、CO2(二酸化
炭素)の25%削減に効果的な先進的対策の検証など、実証事業に
絞って集中的に実施し、全国展開を目指すものです。このため、
(1)都市未利用熱などの活用、(2)低炭素型交通システムの構
築、(3)大規模駅周辺などの低炭素化、(4)バイオマスエネル
ギーなどの活用の4つの分野において、技術は確立されているもの
の、効果の検証がされていない先進的対策の検証や、地域の特性に
応じた複数の技術の組み合わせを行う対策など、新たなチャレンジ
が期待されているのです。
温室効果ガス削減に向けたこの実証実験が、関係機関の協力の下、
電動バスの早期普及に寄与することを期待しています。
話は変わります。サッカーのJFL(日本フットボールリーグ)
・AC長野パルセイロが、Jリーグへの加盟を目指し、準加盟申請
書をJリーグへ提出する準備を進めています。長野市はホームタウ
ンとなる自治体として、それを応援する姿勢を示す「支援文書」を
作成し、11月28日にパルセイロ側に渡しました。Jリーグ加盟
条件を全て満たすのは、来年以降のことになるでしょうが、一つず
つ課題を解決し、チーム、そしてそれを応援する市民が一丸となり、
Jリーグ加盟に向けて、さらなる飛躍を遂げることを期待していま
す。スポーツを軸としたまちづくりを目指す長野市としても、でき
る限り支援していきたいと考えています。
18チーム中、現在2位のパルセイロは11月20日、ホームの
南長野運動公園総合球技場で1位のSAGAWA SHIGA
FCとの首位決戦に臨みました。冷たく強い風が吹き荒れ、小雨が
混じり、寒くて居ても立ってもいられないほどの最悪の天気でした
が、スタンドには3,300人を超す大勢のサポーターが詰め掛け
てくれました。屋台などの出店も多く、7月に開催された信州ダー
ビーを思わせるほどの熱気とにぎわいでした。しかし、試合は、0
対1で惜しくも負けてしてしまい、パルセイロの自力優勝の可能性
が消滅してしまいました。それでも、11月23日のブラウブリッ
ツ秋田とのアウェー戦は、2対0で勝利し、続く27日のFC琉球
戦もアウェーでありながら、4対0で圧勝。これで、今シーズンの
4位以上が確定しました。JFL参加1年目でこの成績は見事とい
うしかありません。優勝を諦めないチームの熱い思いが伝わってき
ます。
残り試合は、ホームでのFC琉球戦とアウェーでのSAGAWA
SHIGA FCとの最終戦の2試合のみ。12月4日のFC琉球
戦は、ホーム最終戦です。ぜひ、多くの皆さん、応援に来てくださ
い。
今年も長野の晩秋の夜空を彩る「長野えびす講煙火大会」が、
11月23日に盛大に開催されました。以前かじとり通信で、「花
火は人を引き寄せる力がある」と書きましたが、今回は比較的寒さ
が緩んだこともあり、何と約39万人もの人出となりました。長野
市の人口が約38万8,000人ですから、それを上回ったわけで
す。本当に驚きです。
第106回を迎えた今回は、東日本大震災や栄村を中心とする地
震の被災地復興祈願の花火を皮切りに、約1万発の花火が打ち上げ
られました。加藤長野商工会議所会頭の開会のあいさつにもありま
したが、今年は、震災と原発事故、新潟県や福島県の豪雨災害、台
風12号・15号の被害など悲惨な出来事が続きました。そうした
暗い雰囲気を吹き飛ばし、地域を元気にしたいという思いが込めら
れた花火大会であったと思います。こうした状況下でも、企業や個
人への協賛依頼に奔走し、昨年同様に過去最大規模の大会を主催し
ていただいた長野商工会議所と長野商店会連合会の皆さんのご尽力
に対し、心からお礼を申し上げたいと思います。
「日本でいちばん美しい晩秋の花火」が打ち上げられるたびに、
会場からは歓声と拍手が沸き起こりました。特に、花火と音楽と光
の共演「ミュージックスターマイン」は圧巻でした。年々その規模
といい、迫力といい、とにかく素晴らしくなっていて、また、お祭
り気分を一層盛り立てるきらびやかな夜店の数も毎年増えているよ
うに感じています。有料観覧席も満席、そのうち8割以上が県外か
らの観光客とのことで、1万円のプレミアムシート(150席)は、
発売から3時間で完売したそうです。花火観賞のバスツアーもある
そうで、これからも多くの皆さんにお越しいただきたいと思います。
えびす様もニッコリの花火大会でした。