2011年12月1日木曜日

電動バスの実証実験と晩秋の出来事


 11月20日、多くの皆さんからご好評を頂いている中心市街地
循環バス「ぐるりん号」に電動バスが初めて導入され、実証実験と
して運行が始まりました。

 この実証実験は、早稲田大学が環境省の「チャレンジ25地域づ
くり事業」に、長野市での実験計画を応募し、それが採用されて実
現しました。実施主体は、早稲田大学です。前日の19日には、出
発式をJR長野駅のコンコースで開催し、早稲田大学からは、橋本
周司副総長、紙屋雄史理工学術院教授、そして新井智本庄総合事務
センター事務部長、柳澤一夫環境総合研究センター事務長と、そう
そうたる皆さんがお見えになり、大変な力の入れようでした。
 環境省が本実験計画を採用してくれたこともありがたいのですが、
やはり実証実験の舞台として長野市を選んでくれた早稲田大学に心
から感謝します。

 今回の電動バス実証実験では、温室効果ガスの排出削減に向けた
低炭素型交通システムの構築を目指しています。長野市は、平成
24年度の当初予算編成方針で「エネルギーの適正利用」「公共交
通機関の整備」などを優先施策として位置付けており、この実証実
験は、まさに本市が進めようとしている施策と合致するものです。
市としても実験の成功のために最大限の協力をさせていただきたい
と考えています。

 このバスは、日野自動車の低床マイクロバス「ポンチョロング」
を改造したもので、乗車定員は25名となっています。電動バスの
心臓部ともいうべきメーンバッテリーにはリチウムイオン電池を、
充電方式には非接触電磁誘導型を採用し、短距離走行・高頻度充電
により、大きく、重く、コストの高いバッテリーの搭載量を必要最
小限にできるため、ぐるりん号のような市街地走行に適した方式と
考えられます。
 なお、非接触充電方式では、地中に埋設した送電装置上にバスを
停車させ、乗務員は車内から操作するだけで充電できるとのことで、
電気プラグを車体に接続する従来の方式より短時間で充電できるそ
うです。
 私も実際に乗車してみましたが、車内にはバッテリー残量や使用
電力量、電気を消費しているのか充電しているのかが表示される大
きなパネルが設置されており、走行も大変スムーズでした。運行は、
長野駅(善光寺口)を午前10時、正午、そして午後2時に発車す
る3本ですが、多くの皆さんにご利用いただきたいと思います。

 新型車両が来月に1台、さらに平成25年度にもう1台が導入さ
れ、合計3台により中心市街地循環バスやシャトルバスなどとして
の実証実験が予定されています。非接触充電装置を搭載した電動バ
スが、今年を含めて3年間(実質2年半)という長期間にわたり実
証実験を行うのは国内初の取り組みであり、しかも長野市の金銭的
な負担はほとんどなく、非常にありがたい実験です。

 長野市では、三菱自動車と日産自動車の小型の電気自動車を既に
導入して、使い勝手などの検証を行っていますが、バスという大型
車両の運行は初めてです。早稲田大学は、長野市が内陸盆地のため
夏は暑く、冬は寒冷で積雪もあるという気候に加えて、地形的にも
坂道での走行実験が可能であること、そして、何より環境対策に力
を入れていることに着目して、長野市を選んでくれたのだと想像し
ています。
 長野市で導入した電気自動車のこれまでの走行データからは、中
山間地域(坂道の多い場所)での使用が有効ではないかという意外
な報告を得ています。その理由としては、上り坂では電気を余計に
使ってしまいますが、下り坂では充電されるので、思った以上に蓄
電性能が高いということのようです。

 環境省の「チャレンジ25地域づくり事業」について、頂いた資
料から少し説明します。
 温室効果ガスの削減に向けては、地域単位でさまざまな技術が人
々に利用される仕組みの構築が必要です。そこで、この事業は、全
国の「モデル」となるような仕組みづくりを進め、CO2(二酸化
炭素)の25%削減に効果的な先進的対策の検証など、実証事業に
絞って集中的に実施し、全国展開を目指すものです。このため、
(1)都市未利用熱などの活用、(2)低炭素型交通システムの構
築、(3)大規模駅周辺などの低炭素化、(4)バイオマスエネル
ギーなどの活用の4つの分野において、技術は確立されているもの
の、効果の検証がされていない先進的対策の検証や、地域の特性に
応じた複数の技術の組み合わせを行う対策など、新たなチャレンジ
が期待されているのです。
 温室効果ガス削減に向けたこの実証実験が、関係機関の協力の下、
電動バスの早期普及に寄与することを期待しています。

 話は変わります。サッカーのJFL(日本フットボールリーグ)
・AC長野パルセイロが、Jリーグへの加盟を目指し、準加盟申請
書をJリーグへ提出する準備を進めています。長野市はホームタウ
ンとなる自治体として、それを応援する姿勢を示す「支援文書」を
作成し、11月28日にパルセイロ側に渡しました。Jリーグ加盟
条件を全て満たすのは、来年以降のことになるでしょうが、一つず
つ課題を解決し、チーム、そしてそれを応援する市民が一丸となり、
Jリーグ加盟に向けて、さらなる飛躍を遂げることを期待していま
す。スポーツを軸としたまちづくりを目指す長野市としても、でき
る限り支援していきたいと考えています。

 18チーム中、現在2位のパルセイロは11月20日、ホームの
南長野運動公園総合球技場で1位のSAGAWA SHIGA 
FCとの首位決戦に臨みました。冷たく強い風が吹き荒れ、小雨が
混じり、寒くて居ても立ってもいられないほどの最悪の天気でした
が、スタンドには3,300人を超す大勢のサポーターが詰め掛け
てくれました。屋台などの出店も多く、7月に開催された信州ダー
ビーを思わせるほどの熱気とにぎわいでした。しかし、試合は、0
対1で惜しくも負けてしてしまい、パルセイロの自力優勝の可能性
が消滅してしまいました。それでも、11月23日のブラウブリッ
ツ秋田とのアウェー戦は、2対0で勝利し、続く27日のFC琉球
戦もアウェーでありながら、4対0で圧勝。これで、今シーズンの
4位以上が確定しました。JFL参加1年目でこの成績は見事とい
うしかありません。優勝を諦めないチームの熱い思いが伝わってき
ます。
 残り試合は、ホームでのFC琉球戦とアウェーでのSAGAWA
SHIGA FCとの最終戦の2試合のみ。12月4日のFC琉球
戦は、ホーム最終戦です。ぜひ、多くの皆さん、応援に来てくださ
い。

 今年も長野の晩秋の夜空を彩る「長野えびす講煙火大会」が、
11月23日に盛大に開催されました。以前かじとり通信で、「花
火は人を引き寄せる力がある」と書きましたが、今回は比較的寒さ
が緩んだこともあり、何と約39万人もの人出となりました。長野
市の人口が約38万8,000人ですから、それを上回ったわけで
す。本当に驚きです。

 第106回を迎えた今回は、東日本大震災や栄村を中心とする地
震の被災地復興祈願の花火を皮切りに、約1万発の花火が打ち上げ
られました。加藤長野商工会議所会頭の開会のあいさつにもありま
したが、今年は、震災と原発事故、新潟県や福島県の豪雨災害、台
風12号・15号の被害など悲惨な出来事が続きました。そうした
暗い雰囲気を吹き飛ばし、地域を元気にしたいという思いが込めら
れた花火大会であったと思います。こうした状況下でも、企業や個
人への協賛依頼に奔走し、昨年同様に過去最大規模の大会を主催し
ていただいた長野商工会議所と長野商店会連合会の皆さんのご尽力
に対し、心からお礼を申し上げたいと思います。

 「日本でいちばん美しい晩秋の花火」が打ち上げられるたびに、
会場からは歓声と拍手が沸き起こりました。特に、花火と音楽と光
の共演「ミュージックスターマイン」は圧巻でした。年々その規模
といい、迫力といい、とにかく素晴らしくなっていて、また、お祭
り気分を一層盛り立てるきらびやかな夜店の数も毎年増えているよ
うに感じています。有料観覧席も満席、そのうち8割以上が県外か
らの観光客とのことで、1万円のプレミアムシート(150席)は、
発売から3時間で完売したそうです。花火観賞のバスツアーもある
そうで、これからも多くの皆さんにお越しいただきたいと思います。
えびす様もニッコリの花火大会でした。