新年度に入り1カ月半がたち、各事業も軌道に乗り始めました。
4月1日からは、副市長を黒田和彦氏と樋口博氏の2人体制とす
ることで、トップマネジメントの強化を行いました。効果が表れる
のはこれからですが、大いに期待してください。
副市長複数制は、決して珍しいことではありません。長野市でも
過去には、長野オリンピック準備段階で2人制(当時は助役)でし
たし、他の40市の中核市でも37市で複数制は採用されています。
長野市とは規模が違うので単純には比較できませんが、長野県は副
知事が2人、東京都は5人、さらに、先日訪問した中国・石家庄市
は政治制度も異なりますが、副市長が7人とお聞きしました。
もちろん、副市長複数制には利点だけではなく、欠点もあると思
いますが、その欠点を補いながら、それぞれの役割分担をきちんと
果たすことが大切でしょう。今回は、この副市長2人制について、
当面考えていることを説明します。
まず、副市長2人制の目的と効果を明確にするため、部局間をま
立ち上げ、成果を意識したスピーディーな対応を図ることにしてい
ます。すなわち、部局横断案件について、関係部局を集めたプロジ
ェクトチームを組み、副市長がプロジェクトマネージャーとして取
り組むように役割を決めました。このことによって、行政の欠点と
いわれている縦割り制度の弊害を克服することにもつながると期待
しています。以下、各プロジェクトの内容を説明するのと併せて、
担当する副市長、関係部局についても記載します。
(1)市役所第一庁舎・新市民会館建設および運営体制調整プロジ
ェクト(樋口副市長担当)
文化芸術拠点としての運営体制の構築やどのような文化事業を中
心に展開するのかといったソフト面にも軸足を置き、それを実現す
るハード面はどうあるべきかという視点での検討を始めます。
【関係部局:教育委員会・総務部】(以下、先頭の部局がプロジ
ェクトの主管部局です)
(2)新幹線金沢延伸・中心市街地活性化対策プロジェクト(黒田
副市長担当)
・新幹線名称問題
・長野駅善光寺口駅前広場整備事業(善光寺御開帳開催時などの駅
前広場演出計画など)
・中央通り歩行者優先道路化事業
・セントラル・スクゥエア活用計画策定および残地取得・整備事業
・後町小学校跡地および県勤労者福祉センター跡地利活用計画
【関係部局:都市整備部・商工観光部・企画政策部・財政部】
(3)南長野運動公園サッカースタジアム整備検討プロジェクト
(黒田副市長担当)
・JリーグとAC長野パルセイロとの調整および支援
・サッカースタジアムの整備財源の検討
・工事期間中の仮スタジアムの確保
本年度予算に南長野運動公園総合球技場再整備のための調査費
800万円を計上しましたので、プロジェクトでは具体的な検討を
していきます。スケジュール的にはかなりハードですが、市民の皆
さんの機運も高まっていますので、スピード感を持って取り組みま
す。
【関係部局:企画政策部・都市整備部・教育委員会】
(4)公共交通利便性向上プロジェクト(黒田副市長担当)
・新交通システム(LRTほか)導入検討
・長野電鉄屋代線廃止に伴う諸課題検討
・長野以北並行在来線問題
・公共交通の在り方検討
LRT(次世代型路面電車システム:Light Rail
Transit)をはじめとする新交通システムの本市への導入可
能性については、既に長野市交通対策審議会の専門部会に諮るとと
もに、プロジェクトにおいても庁内検討を進めています。
また、長野電鉄屋代線の跡地については、地元のご要望を伺いな
がら、地域の活性化に寄与する活用方法を検討していきます。
【関係部局:企画政策部・商工観光部・都市整備部・環境部】
(5)中山間地域活性化推進プロジェクト(樋口副市長担当)
市域の4分の3を占める中山間地域の活性化については、
2010(平成22)年度に「やまざと振興計画」を策定し、関係
各課においてさまざまな施策を展開しています。この計画に定めら
れている各施策の実施による有効性を高め、より大きな成果を挙げ
るためには、部局間の連携が重要であると考えています。
まずは、各部局で実施している各種サービス事業を生活支援、地
域活性化などの分野ごとに再度洗い出し、部局間連携を強化するこ
とにより無駄を省き、サービスの質を高められないかを検討したい
と考えています。中山間地域にお住まいの方が安心して生活できる
よう、さまざまなサービスがよりニーズに合った分かりやすい仕組
みとなるよう努めていきます。
【関係部局:地域振興部・保健福祉部・商工観光部・農林部・消
防局・企画政策部(公共交通)】
(6)冬季オリンピック友好都市交流検討プロジェクト(黒田副市
長担当)
・姉妹都市・友好都市交流関係の再確認
・韓国・平昌(ピョンチャン)との友好都市交流の検討
平昌冬季オリンピックが開催される2018(平成30)年は、
長野オリンピック開催20周年の節目の年に当たります。平昌オリ
ンピックの開催決定以降、長野市には関係者の視察が続いており、
冬季オリンピックの開催経験に基づいたアドバイスと施設活用とい
うソフト・ハードの両面から平昌への何らかの協力ができないか、
またこれを機とした両市の友好交流の可能性についても検討します。
【関係部局:企画政策部・教育委員会・商工観光部】
また、これらのプロジェクト以外でも、積極的に取り組むべき重
要事業があります。
○長野県との調整を要する事業(黒田副市長担当)
・長野県短期大学の4年制移行と市の対応
・長野以北並行在来線に係るしなの鉄道株式会社との調整
・浅川ダム建設および内水対策問題
これらは、主に長野県の事業であり、また、JRやしなの鉄道の
事業ですが、長野市にとっても重要課題ですので、長野県との太い
パイプがある黒田副市長が担当し、長野県職員として培った経験・
人脈をフルに生かし、組織の機動性を高め、しっかり取り組んでい
きたいと考えています。
○8つの大規模プロジェクト事業(樋口副市長担当)
市役所第一庁舎・新市民会館建設事業や小・中学校耐震化事業な
どの8つの大規模プロジェクト事業については、方向性は決まって
いますので、樋口副市長を中心に、担当部局がしっかり取り組んで
いきます。
○その他:今後、確かな道筋を付けるべき政策課題として、いくつ
かの課題が挙げられますが、その主な課題の担当も決めてあります。
・ながのシティプロモーション事業の具体化(黒田副市長)
・再生可能エネルギー普及推進などのエネルギー政策(黒田副市長)
・善光寺表参道観光キャンペーン計画の策定(樋口副市長)
・次世代エネルギーパーク整備事業(樋口副市長)
・「いいとき構想」の推進(飯綱・戸隠・鬼無里)(樋口副市長)
・戸隠観光施設事業会計の在り方の検討(樋口副市長)
・「ドリーム40」構想(茶臼山動物園・自然植物園の充実)実現
の方向性確認(黒田副市長)
また、全体に関わる事項として、支出が伴う案件については、財
政判断が求められることから、基本的に財政部担当の黒田副市長と
の協議を要することにします。また、2人制による弊害をなくすた
め、原則として、市長、副市長による定例会議で検討することとし
て、財政面を含め、課題の共有を図っています。
その他、行政に減価償却費の考えをどう取り入れるかなど、やら
なくてはならない仕事はまだまだたくさんあります。副市長プロジ
ェクトを効果的に展開し、より確実かつスピーディーな市政運営を
進める覚悟です。
そして、最終的には私が全ての事業に責任を持って、かじ取りを
しながら取り組んでいくことは言うまでもありません。
これまでどおり、“みんなの声が「ながの」をつくる”を基本と
し、市民の皆さんや市議会をはじめとする関係者の皆さんには、適
時的確な情報提供に努め、ご意見をお聴きしながら進めていきたい
と思っています。