2012年5月31日木曜日

長野市開発公社の理事に就任しました


 4月13日、長野市開発公社の本年度第1回管理職会に出席しま
した。辞任された伊藤克昭前理事長の後を受け、3月22日に私が
理事長に就任しましたので、初めて同会に出席したものです。市長
が同公社の長を兼務することになったわけですが、今回のかじとり
通信では、同公社に関連して、日頃考えていることをお話ししたい
と思います。

 開発公社や農業公社、保健医療公社など、市に関連する組織(外
郭団体)の長を市長が兼務することは、組織を運営する上で都合の
良い場合もありますが、あまり望ましいことではないと私は思って
います。なぜならば、各組織にはそれぞれ目標があり、それらに向
かって懸命な努力をするわけですから、市長の職務を行いながら、
そうした組織の仕事に専念することは難しいですし、本来の市長の
職務の遂行に支障がでる可能性があるかもしれません。そして何よ
り、各組織のことを全て理解することは、市長職との兼務では不可
能でしょう。また、補助金を交付するような場合も、「市長の鷲澤」
から「外郭団体の長の鷲澤」に補助金を渡すということになるわけ
です(事務手続き上は、同一人物同士が補助金の申請・交付をしな
いように処理をしています)。

 特に、市開発公社のような大きな組織で、その組織の仕事が行政
の仕事とは必ずしもイコールにならない、例えばレクリエーション
事業や宿泊事業のような仕事をしている場合は、長である理事長は
専任でその職務に取り組む必要性があると感じています。さらに理
想を言えば、同公社は行政に頼らずに、自立・自尊の姿勢で頑張っ
てほしいというのが本音です。

 同公社を取り巻く環境は、欧州金融への信用不安や原油に関わる
政情不安などの世界経済のマイナス要因に加え、国内においても東
日本大震災の影響が依然として残るなど、経済をはじめ、さまざま
な分野で先行きが不透明で、大変厳しい状況です。しかし、同公社
の場合、市民はもとより長野市を訪れる多くの皆さんに対し、行政
では実施し難いサービスや、楽しみと癒やしなどを提供する必要が
ありますし、当然、利益を上げなくてはならない宿命を負っていま
す。多くの皆さんに施設をご利用いただいて、その対価として利用
料などを頂戴し、同公社や施設を維持し、さらに新たなサービスを
開発していくことが任務です。
 しかも、民間事業者が取り組んでいるサービスとの重複はできる
だけ避けるべきでしょうし、民間事業者では採算に合わないけれど
市民や観光客の皆さんの満足度を高めることができるサービスにも
取り組む必要があります。また、同じようなイベントを繰り返しや
っているだけでは、お客様に飽きられてしまいます。お客様のニー
ズを先取りし、ニーズにあった満足度の高いサービスを提供するこ
とが肝心です。お客様が一番大切なのです。

 お客様に最良のサービスを提供していくためには、各施設で働く
職員が心も体も健康であることが前提です。職員一人一人が、この
困難な時期をたくましく乗り越えていくという心構えを自覚するこ
とはもちろん、公社職員として働くことに誇りを感じることができ
るような職場づくりや職員の心と体の健康管理にもしっかりと取り
組んでいくつもりです。
 毎月開催している管理職会議にもできるだけ出席して、目標の達
成度の確認や情報の共有化を図り、組織の団結力が深まるような方
向へリードしていきたいと感じています。

 ここで、同公社の事業について、平成23年度の実績などを中心
にお話しします。
 まず、子どもと一緒に家族みんなで楽しめると人気の高い茶臼山
動物園については、「サマーナイトZoo」や冬期間限定の「アル
パカとの触れ合い」といった各種イベントが好調で、入園者数は
23万人を超え、過去最高となりました。また、妊婦さんを対象に
したマタニティビクスや水中エアロビクスなど多彩な教室内容で好
評を得たサンマリーンながのなどの施設が黒字となりました。

 しかし、戸隠スキー場は、オープン当初の雪不足の影響などで年
末年始を中心に収入が十分確保できず、約9千万円の大幅な赤字に
なったほか、宿泊施設アゼィリア飯綱も、県外から学生の合宿を受
け入れることで宿泊利用者を増やしたり、経費を削減したりするな
ど経営の改善に努めたにもかかわらず、黒字に転換することができ
ず、その結果、2011(平成23)年度同公社は、約3,900
万円の赤字決算となりました。赤字の原因を詳しく分析し、今後同
じ轍(てつ)を踏まぬよう具体的な対策を講じていこうと決意して
います。

 併せて同公社では、多様化する市民ニーズや高齢化など社会全体
の大きな変化に対応していく必要がある中、一般社団法人への移行
といった一大改革や2013(平成25)年度から2018(平成
30)年度までを計画期間とする中期経営計画の策定を予定してい
ます。したがって、本年度を重要な一年と位置付け、計画の着実な
実施に向けて取り組んでいきます。

 同公社では、「いつも笑顔で、真心、感謝、親切」をモットーに、
本年度もおもてなしの心を大切にした取り組みや楽しいイベントを
数多く始めています。
 4月にリニューアルオープンした城山動物園のモノレールは、来
園した子どもたちに大変人気だとのことですし、先日、飯綱高原の
大座法師池では、ワカサギの卵1千万匹分を放流し、池の風物詩で
あったワカサギ釣りの復活を目指しています。利用者が年間5万人
に迫る戸隠キャンプ場は、キャンプサイトを拡張するとともに、ト
イレ棟、シャワー棟、ログキャビンなども新築しました。さらに多
くのお客様にお越しいただき、隣接する戸隠牧場も含めた戸隠の大
自然を満喫していただきたいと願っています。
 スキー場経営については、スキー人口が減少していくという厳し
い現実がありますが、戸隠スキー場は、「魔法の粉雪」と称される
抜群のパウダースノーや晴れた日の戸隠連峰の雄大な景色を生かし、
また、飯綱高原スキー場にあっては市街地に近い立地から、子ども
や家族連れに喜ばれる魅力的な企画の充実を図っていくことで、利
用者の獲得に努めていきたいと考えています。また、国内屈指の最
高級の泉質で天然かけ流し温泉のある松代荘や千曲川の爽やかな風
を感じながら本格的なショートゴルフやサッカーなどアウトドアス
ポーツを満喫できる千曲川リバーフロントスポーツガーデンなど、
その他の各施設においても、さまざまな自主事業や企画の展開を図
ることで、集客力を一層高めるとともに、ホスピタリティーに溢れ
た魅力的かつ効率的な運営を目指していきます。
 
 職員一丸となって知恵を出し、汗をかき、同公社が管理・運営す
る施設などをフルに活用し、長野市の魅力を多くの皆さんに伝える
とともに、ご利用いただいたお客様に満足いただけるよう、サービ
ス向上と収益アップに向け、日々、努力を積み重ねていきたいと思
います。
 開発公社は、行政の仕事と民間の仕事の隙間を埋める重要な役割
を担っています。公社として何ができるのか、また、何をしなけれ
ばいけないのかをしっかり考えて、取り組んでいきたいと考えてい
ます。