2012年6月28日木曜日

6月市議会定例会で申し上げたこと


 新年度が始まり、3カ月が過ぎようとしています。各種事業も軌
道に乗り、順調に進んでいます。特に、複数の部局にまたがる政策
課題へ対応するために立ち上げた副市長プロジェクトは、成果を意
識したスピーディーな対応と、着実な進展を図ることにより、政策
課題の解決に向け動き始めています。多様な課題に的確かつ迅速に
対応するため、トップマネジメントの強化を図った副市長2人体制
の効果を強く感じています。

 こうした中、本年度最初の市議会となる6月市議会定例会が、6
月7日から22日まで開催されました。「平成24年度長野市一般
会計補正予算」などを議決いただき、また本会議や委員会において
出された貴重な質問、意見、提案を今後の市政運営に反映したいと
考えています。
 今回は、開会および閉会のあいさつで申し上げたことや、一般質
問で出された事項などを中心にお話しします。

 最初に、平成23年度一般会計決算見込みについてです。
 基幹収入である市税は、東日本大震災の影響などにより対前年度
比4億円減の約575億円となる見通しですが、特別交付税などの
確保が図られたほか、国・県財源の有効活用や、経費節減に努めた
ことなどから、当初予算で予定していた26億円の基金の取り崩し
が、最終的に10億円にとどまる見通しです。なお、基金について
は、合併特例債を原資とする「地域振興基金」に10億円を積み増
すことなどから、全体の基金残高は約376億円と対前年度比約
2.5億円の増を確保し、今後の財政需要に備えた対応が図られ、
また、市債については、年度末残高が約1,338億円と対前年度
比42億円ほどを縮減できそうです。

 次に、本年度の主な施策・事業の動向についてです。
(1)都市内分権の推進について
 住民自治協議会が本格的に活動を開始して3年目となる本年度、
役員の皆さんの負担を軽減し、安定した活動ができるよう、地区か
ら要望のあった事務局長を雇用するための経費に対する補助制度を
創設しました。32地区のうち既に25地区において事務局長が雇
用され、新たな体制の下で本年度の活動がスタートしています。

(2)公共交通機関の整備について
 4月1日に運行を開始した長野電鉄屋代線廃止に伴う代替バスは、
大きなダイヤの乱れや乗り残しもなく、4月に行った調査では、平
日の平均乗車人数は朝夕の中学生・高校生を中心とする935人で、
順調な滑り出しです。今後は、長野電鉄活性化協議会で設定した年
間利用者目標値の達成に向け、地元の皆さんと連携しながら利用促
進を図っていきます。
 また、長野電鉄屋代線の跡地利用については、松代地区と若穂地
区の検討組織による活用方法に関する検討状況や、用地・鉄道施設
の現況を踏まえ、また、沿線の千曲市、須坂市、そして長野電鉄と
も協議を重ね、この秋をめどに方向性を決めたいと考えています。
 なお、次世代型路面電車システム(LRT)を含めた新交通シス
テム導入や新幹線金沢延伸に伴う長野以北並行在来線の新駅設置の
可能性についての調査も実施します。

(3)環境対策の充実、エネルギーの適正利用について
 太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーにより発電した電
力の固定価格買い取り制度の施行を来月に控え、買い取りの価格や
期間が決定するなど、普及促進に向けた環境が整いつつあり、今後、
発電事業への新規参入が増え、再生可能エネルギーの導入が一層進
むことが期待されます。長野市においても引き続き、公共施設への
導入や補助制度などを積極的に推進していくとともに、普及促進策
についても研究していきます。

 また、長野広域連合が大豆島地区松岡に計画しているごみ焼却施
設については、本年3月、環境影響評価書の縦覧が終了し、長野県
環境影響評価条例に基づく事前の手続きが完了しました。今後、長
野市としても、地元の皆さんのご意見を十分お聴きしながら、建設
の同意が頂けるよう鋭意努力していきます。

(4)市役所新第一庁舎および新長野市民会館の建設と文化芸術活
動への支援・文化の創造について
 7月下旬まで、両施設全体の施設配置や平面プランなどの基本設
計案についてパブリックコメントを実施し、市民の皆さんや議会、
市民ワークショップなどのご意見をお聴きするとともに、7月9日、
11日には、全市を対象に市内2カ所で市民説明会を開催します。
 また、事業について一層ご理解を深めていただくために、各地区
で開催される元気なまちづくり市民会議においても、広く市民の皆
さんに説明し、本年度中をめどに実施設計を進めていきます。
 新市民会館の運営などのソフト面については、昨年度、パブリッ
クコメントなどで寄せられたさまざまなご意見を反映し、運営管理
基本計画を策定しました。本年度は運営管理実施計画を策定し、新
市民会館が文化芸術拠点施設としての機能を最大限発揮できるよう、
事業計画、組織体制、収支計画などの具体化を図ります。

(5)中山間地域の活性化について
 農業者の法人化を積極的に支援するとともに、マーケティングの
強化、ブランド化対策および6次産業化の推進など「攻めの農業政
策」を進めます。
 新規就農者の育成対策については、本年度から、国が実施する
「新規就農総合支援事業」が始まりました。この事業の給付対象と
なるには、地域ごとに「人・農地プラン」の作成が義務付けられて
いるため、現在、新規就農者のいる市内十数地区について同プラン
作成の準備がされており、その他の地区についても順次作成される
予定です。また、国の事業の対象とならない新規就農者については、
できる限り長野市の「新規就農者支援事業」の給付対象とするなど、
引き続き農業の担い手の確保・育成に努めます。

(6)スポーツを軸としたまちの活性化について
 サッカー・AC長野パルセイロのJリーグ準加盟申請については、
本年2月のJリーグ理事会において「審査継続」となりましたが、
パルセイロが5月31日付けで提出した再申請書類が受理され、6
月27日、Jリーグによる現地ヒアリング審査が実施されました。
パルセイロのJリーグ準加盟が承認されることを期待するとともに、
今後もパルセイロと十分連携を図りながら対応します。

 南長野運動公園総合球技場の再整備については、現在、基本プラ
ンの検討を進めています。施設規模は、当初J2仕様の1万人収容
で考えていましたが、ゴール裏のスペースが広く収容規模の拡大が
可能であることから、J1仕様の1万5,000人収容を前提とし
て検討を行い、1万人収容の場合と比較検討した上で、基本プラン
を決定したいと考えています。これは、本会議一般質問において、
サッカースタジアムの規模についての質問に対して答弁したもので
す。市民の皆さんの機運も高まっていますので、スピード感を持っ
て取り組みます。

(7)国旗・市旗の掲揚について
 本会議一般質問で、支所における国旗・市旗の掲揚の状況につい
ての質問を頂きました。現在は、本庁のほか、掲揚台のない5支所
を除く22支所で常時掲揚を行っています。わが国の伝統と文化を
尊重し、それらを育んできた郷土を愛する心を抱くことはとても重
要なことだと考えています。全支所で、国旗・市旗を掲揚できるよ
う、早期に対応したいと考えています。

 以上、主な項目についてお話しさせていただきました。この他、
平成27年の新幹線金沢延伸に向けての長野駅善光寺口駅前広場の
整備状況、中小企業の新技術・新製品の研究開発を支援するため、
長野県テクノ財団、八十二銀行、長野信用金庫と立ち上げた「長野
市企業コーディネート・サポートチーム」、4月にスタートした長
野市教育振興基本計画に基づく「次世代を担う子どもたちの生きる
力の育成」、観光交流を推進する「四季の彩りキャンペーン」、本
年10月診療分から福祉医療費給付事業における乳幼児等の対象年
齢の「小学校3年生まで」から「小学校6年生まで」への拡大、
「新あんしんいきいきプラン21」に基づく高齢者福祉施策、「人
権同和政策推進基本方針」の策定などについても申し上げました。

 閉会のあいさつの最後に、本市職員も含めた公務員の不祥事が最
近立て続けに発生していることに対し、本市職員へ猛省を促す意味
も込め、あらためて行政への信頼を揺るがす深刻な問題であると語
気を強めて述べました。職員一人一人が自らの行動を再確認すると
ともに、公務員として常に襟を正し、全体の奉仕者であることをあ
らためて自覚するよう強く促し、一日も早く信頼を回復することが
できるよう取り組んでいきます。

 これまで、議会の際には、議員、市民の皆さんに分かりやすい答
弁を心掛けるように、答弁者となる部局長に指示してきました。今
回このことをあらためて徹底した結果、より簡潔で分かりやすい答
弁ができたと感じています。市長就任以来、私が掲げてきた5原則
のうちの一つ「簡素で分かりやすい市政運営」に、さらに磨きをか
けていきたいと思っています。