「みんなの声が『ながの』をつくる」。市長就任以来、一貫して
申し上げていることで、私の市政運営の根幹を成すものです。広く
市民の皆さんの声に耳を傾け、対話を大切にしたいと考え、毎年
「元気なまちづくり市民会議」を各地区住民自治協議会主催で開催
していただいていますが、2009(平成21)年度からは年度当
初に「市政方針市民会議」を市主催で開催し、その年度の予算や重
点的に取り組むべき課題、全市的なテーマについてお話ししていま
す。これにより、各地区での「元気なまちづくり市民会議」では、
市政方針の説明を省略し、地域の皆さんのご意見をじっくりお聴き
することができるようになり、地区の意向に沿った地域主体の会議
が実現できるよう工夫したものです。
本年度の市政方針市民会議は4月18日に開催し、本年度の共通
課題、予算、優先施策について説明しました。共通課題の中でお話
ししたのは以下の6項目です。
1 公共交通機関の整備
2 環境対策の充実
3 中山間地域の活性化
4 子育ち・子育て環境の整備
5 緑育の推進
6 大規模プロジェクト事業の実施
今回のかじとり通信では、このうち「1 公共交通機関の整備」
と「4 子育ち・子育て環境の整備」について、市民会議でお話し
した内容を中心にお話しします。
「公共交通機関の整備」
公共交通は、電気・ガス・水道と同じように「都市のインフラ」
だと考えています。
これまで、廃止代替バスや地域循環バス、乗合タクシーなどの運
行、また昨年10月からバス共通ICカード「KURURU(くる
る)」の運用を開始するなど、「インフラ」の充実に努めてきまし
た。
人口減少の時代を迎える中、公共交通を持続可能なシステムとし
ていくことは容易なことではありません。また、LRTやBRT
(*)などの新交通システムの導入検討、JR長野駅~豊野駅間に
おける新駅設置など将来を見据えた取り組みも必要です。このため
本市では、公共交通の将来像を明らかにした「長野市公共交通ビジ
ョン」を策定し、その維持・発展に向けた施策を計画的に展開する
ことにしました。このうち、市民の利便性向上とまちの魅力を高め
る効果などが期待される「新交通システム」は、私としてはぜひや
りたいプロジェクトです。事業費とのバランスなど多くの課題につ
いて、長野市公共交通ビジョンの策定を進める中で検討していきた
いと考えています。
長野電鉄旧屋代線の関連資産の活用策として、線路敷地を自転車
道や遊歩道に整備するとともに(間伐材などによるウッドチップ舗
装ができれば素晴らしいでしょう)、駅舎を有効活用することを
「千曲川新道活性化プラン(基本構想)」に位置付けました。本年
度は、自転車・遊歩道の概略設計や綿内駅と信濃川田駅のトイレ整
備・駅舎耐震診断などを実施する予定です。
「子育ち・子育て環境の整備」
少子化は、日本の社会構造を大きく変える大変深刻で憂慮すべき
問題であることは周知のとおりです。未婚化だけでなく、晩婚化や
ライフスタイルの変化など、さまざまな要因が複合的に絡み合って
いて、特効薬などないといっても過言ではないでしょう(仕事と生
活の両立を図るワーク・ライフ・バランスといった考えも広まりつ
つあるとは思いますが・・・)。
2011(平成23)年の長野市の出生数は3,226人で、
2001(平成13)年が3,683人ですから10年間で457
人(約12%)減ったことになります。こうした中、出生率を少し
でも上げるため、本市では不妊治療や妊婦健診に掛かる費用の助成
により経済的負担の軽減を図るとともに、安心して子どもを産み、
育て、さらに仕事と家庭を両立させることができる環境を整備する
「ながの子ども未来プラン」を策定し、子育ち・子育て支援を推進
しています。さらに、親子の交流の場として、もんぜんぷら座こど
も広場「じゃん・けん・ぽん」、篠ノ井こども広場「このゆびとま
れ」を運営し、市内15カ所の保育所には「地域子育て支援センタ
ー」を併設しています。また、保育所・幼稚園の園開放、保育所に
おける一時預かり、延長保育や休日保育、児童手当や福祉医療費の
支給など、さまざまなサービスを行っています。
就学後は、「長野市版放課後子どもプラン」により、希望する児
童に安全・安心な放課後などの居場所を確保し、遊びや生活、学び
や交流の場を提供しています。「既存の児童館や児童センター、小
学校施設の活用」、「既存の児童館、児童クラブなどの放課後対策
事業の一体化」、「市民ボランティアの参加」を3本の柱としてい
ます。
出席者の方から「長野市がどのような少子化対策を打ち出してい
るのか」との質問を頂きましたが、前述のとおり少子化解消に向け
て考えられる対策は全て講じていると思っています。しかし、この
問題は地方自治体レベルでの地道な取り組みに加え、やはり国全体
で対応しなければ解決に向けた大きな動きにはならないだろうと感
じています。
男女の出会いの場を提供する取り組みがいろいろされているよう
ですが、なんといっても一番は、若者の所得を上げ、結婚、そして
出産、子育てに必要な収入を確保することでしょう。40歳以下の
カップルが誕生したらお祝い金を差し上げる・・・そんなことも一
案かもしれません。
また、優先施策として、次の3つの項目について説明しました。
1 新幹線延伸に対応したまちづくり
2015(平成27)年春の新幹線金沢延伸は、経済や観光面に
おいてまさに「好機到来」です。
JR長野駅新幹線改札口正面に開設している「観光情報センター
の再整備」、「観光案内の広域化」、「市内での滞在期間延長の促
進や周辺地域への回遊性の向上」など「効果的な情報発信」を進め
るとともに、「集客プロモーションパートナー都市」として協定を
締結した金沢市、富山市、上越市、甲府市、静岡市、そして昨年度
国土交通省の認定を受けた「信越観光圏」の構成都市である北信地
域14市町村と上越市、妙高市との「広域連携」により、観光誘客
を積極的に図っていきます。
2 地域に根ざす産業づくり
「地域農業の確立と経営基盤づくり」として、国に先立ち始めた
「新規就農者支援事業」に加え、本年度からは「市民菜園開設補助
金」および「やまざとビジネス支援補助金(4月11日のかじとり
通信でもお話ししました)」を新設し、「売れる・もうかる農業」
を積極的に推進します。
3 健やかで安心なまちづくり
2015(平成27)年度における建物の耐震化率90パーセン
トを目指し、耐震診断と補強工事に対して補助を行ない、耐震化の
促進を図っています。また近年、全国各地で発生している集中豪雨
に備え、河川や排水機場、雨水調整池などの流出抑制施設のハード
整備を進めるとともに、防災教育などのソフト対策にも取り組み、
「防災体制の整備」を進めます。
また、「スポーツ環境の整備・充実」の一つとして、長野市北部
地域のスポーツレクリエーションの拠点施設「(仮称)北部地域ス
ポーツ・レクリエーションパーク」の建設を進めており、2014
(平成26)年3月の完成を目指しています。
「文化芸術活動への支援と文化の創造」としては、次代を担う子
どもたちの豊かな感性を育むために、音楽やミュージカルの鑑賞会
などを開催する「子どものための文化芸術プログラム」事業を推進
します。また、長野市は1973(昭和48)年から取り組んでい
る「野外彫刻ながのミュージアム事業」により、日本有数の野外彫
刻都市となっています。市内に設置した野外彫刻賞受賞作品数は昨
年度末で144点となり、民間事業者や合併前の信州新町が設置し
た作品(信州新町支所前に、「カマキリのエアロビクス」をモチーフ
にした、とてつもなく大きな作品がありますよね)なども含めると
200点を超えています。本年度も新たに2点を設置する予定で、
野外彫刻めぐりや野外彫刻写真コンテストを開催するなど、内容の
充実を図ります。
市政方針市民会議では、重点施策を中心に、長野市が何を考え、
何に取り組むのかを分かりやすく説明させていただきました。もち
ろん、今回お話しできなかった項目についても、一生懸命取り組ん
でまいります。
* LRT(Light Rail Transit):次世代型
路面電車システム
BRT(Bus Rapid Transit):バス高速輸
送システム