次に保育園の民営化について、私の考え方を申し上げます。
長野市の保育園は、民間経営が41園、市営が44園(公設民営4園含む)であること
は、前回報告しました。(幼稚園については、県立短期大学付属幼稚園を除き、全て民
間経営ということも、前回報告しました)。
保育園については、民間であろうと市営であろうと、大枠では長野市行政の制度の枠内
で運営していただいています。例えば保育園を新設する場合には、必要性について審査
が行われ、認可を受けて初めて設置できるものですし、保育料も規準の部分は統一され
ていますし、経営内容についても、毎年市の保健福祉部が報告を受け、監査もさせてい
ただいています。
民間保育園に関して申し上げますと、それぞれの経営者の皆さんは、先生方、そして保
護者の皆さんと協力して、いろいろ工夫され、素晴らしい運営をしておられます。評判
も素晴らしいし、保育サービスが市営保育園より劣るなんていうことは全くありません。
・・・市営保育園も頑張っていますが、市条例等の縛りがあることから、特色ある運営
という面で申し上げますと、「市営」であるが故に、思い切ったことは出来難いという
面があります。
そして根本に横たわる問題として、お預かりしている子供さん一人当たりの費用が、計
算方法にもよりますが、市営の方が高い(年間:公立79万1千円、私立69万2千円)
ということが、あります。
現在、日本中で行財政改革が叫ばれています。小泉首相は「地方で出来ることは地方に」
「民間で出来ることは民間に」ということをキャッチフレーズにしておりますが、これ
は小泉首相でなくとも、実行していかなくてはならないテーマだと私は思います。
私は市長就任直後から職員に対し、行政が行っている全ての事業について分析し、「民
間と行政が同じことをやっている事業」「行政がやっているけれど、民間でも充分やっ
ていけそうな事業」「行政がやっている事業であり、民間では無理と思われる事業」
「法的にみて行政がやらなくてはならない事業」の4分類の表を作ってもらい、以来今
日まで、その表を睨みながら、行政を行ってまいりました。そして幾つかの事業につい
て民営化しておりますが、まだまだスピードが足りないと感じています。
その中でも特に保育園の民営化については、私の判断ミスもあってスタートに当たって
ボタンの掛け違いをしてしまったことを反省しています。もう少し現場の話し合い、即
ち保護者や保育士との話し合いを充分してから打ち出すべきだったと思っています。反
対しておられる保護者のご意見には、子供が慣れた先生と離れることが困るという意見
もありましたが、それは民間移管後、暫らく保育士を出向させるよう考えています。
そこで本年度に入り、有識者の方々にお願いして懇話会を開き、いろいろな意見をいた
だいています。
その中での議論を通して民営化への道筋、そして保育園の将来の姿、あるいは経営形態
などについて前回お話した「幼保一元化」や少子化による子どもの減少を踏まえた配置・
規模、といった問題を含めて議論していただいています。
その懇話会の結論を待って、長野市の姿勢を明確にし、市民の皆さんの心配を払拭して
から、民営化を進めていきたいと考えています。
地域の市民会議等での話し合いの中で、ひとつ大きな誤解があることを感じています。
即ち、民営化、即合理化ということで、廃園につながるのではないかというご懸念があ
るようでが、これは基本的に違う問題です。
もちろん、子どもの数が極端に減った場合にはいくつかの園を統合したり、廃園も考え
なければなりませんが、保育園は基本的に必要とする地域に市の責任で自らが設置、又
は設置を認可するもので、それぞれの地域において必要な規模の保育サービスをより合
理的に行う方法として民営化しようということであり、保育園の必要性ということは、
民営化か市直営かということとは、関係はありません。