2005年10月14日金曜日

観光都市“長野”を目指して



長野市の発展を考える場合、人口が増えることが必要とおっしゃる方がかなり多いので
すが、現在の社会状況を考えると、合併以外に人口が増える要素はあまりないことは事
実でしょう。他県の例ですが、三重県のように、行政が大きな補助金を用意し、IT産業
の工場を誘致して何千人かの雇用を増やしたことは有名ですが、相手のある話ですから、
簡単に真似すれば良いとは言えません。
いろいろな方々の意見をお聞きしていますが、長野市はもっと「観光」に力を入れ、人
口増は難しいとすれば、交流人口を増やす努力をする、即ち「観光都市」「イベント都
市」として発展すべきであると言う提案をされる方が多いと感じています。その通りで
はありますが、しかし、日本中の全ての都市が、今そのことを狙っているわけで、競争
はかなり激しい、なまじの手段では勝ち抜くことは困難と思わざるをえません。

ただ、冷静に長野市と他都市と比較した場合、評論家的な発言ではありますが、観光都
市としての要素は充分に持っていると考えています。イベントだけとっても、東京、大
阪、京都等の大都市にはかなわないようですが、オリンピック以後、世界レベル・全国
レベルの大会や競技会等をこれだけ開催している地方都市は無いと思います。
オリンピック、パラリンピック、スペシャルオリンピックスを開催した世界唯一の都市
としての知名度を生かし、既存の資源をいかに上手に使うか、合併で得た素晴らしい資
源を活用できるか、市民の「おもてなしの心」が本物か、そして都市住民が癒しを求め
ている現代の風潮の中で・・・・長野市は「観光都市」「イベント都市」に挑戦する資
格は充分あると考え、当面の景気対策としても、元気なまちづくりの中心施策の一つと
しているものです。

観光、イベントを考える場合、まずなんと言っても善光寺です。年間600万人を超えるの
参詣者が訪れるという善光寺、平成15年のご開帳時には、たった56日で628万人の
参詣客を全国から迎えました。魅力を益々上げていくことが、重要です。お朝事、冬の
灯明まつり、ライトアップ・・・・そして周辺環境を整えて、ユネスコの世界遺産に登
録しようという運動がはじまっています。
松代。昨年の「エコール・ド・まつしろ2004」は市民の皆さんの参加を得て、素晴
らしい成果を上げました。それまで年間40万人前後の観光客だった松代に、一気に
86万人のお客さんがいらっしゃいました。そして2004年度の締めくくりに、一連
の活動が、日本広告大賞受賞という形で結実しました。本年に入っても観光客の出足は
好調と聞いています。今後ですが、松代にはまだ埋もれている多くの歴史・文化の魅力
スポットがありますし、歴史上の人物が輩出されています。これらをどう遊客・誘客に
繋げていくか、地域の方々の戦略に期待しています。
それと食や土産の開発も大切です。食べ物が美味くなくては、人が遊びに来ないと思う
のです。そしてなんと言っても松代の町が儲からなくては長続きしません。私が「エコ
ール・ド・まつしろ」で学んだことは、「思い切って決断すること」でした。

飯綱・戸隠・鬼無里。この三地区は、長野の高原を代表する地域でしょう。既にかなり
の知名度もありますが、観光のスポット、市民の楽しみの場として、今後の発展を目指
す地域です。昔からの魅力は沢山ありますが、特に人口30万人以上ある標高300mの
地(長野市街地)から、車で30分ぐらいで、標高1000m以上の素晴らしい高地に行
ける・・・こんな場所は世界的にも珍しいのだそうです。即ち、観光地としても、市民
の憩いの場としても、理想的な環境にあるということでしょう。自然を大切にしながら、
秩序ある開発を息長く行っていくことが重要と思います。トレッキングコースや乗馬コ
ースの設定、スキー場やキャンプ場、牧場、奥裾花の自然園の水芭蕉やブナ林、登山・
・・魅力を数えたらきりがありません。特にスキー場は、長野県の冬季間の観光を考え
た場合、無視できない貴重な存在です。

オリンピック施設の活用は、運動施設としての利用は当然ですが、観光スポットとして
も充分価値ある存在と考えています。指定管理者制度で民間活力を導入しながら、より
魅力的な場所にしていきたい。オリンピックを開催した都市として、スポーツを軸とし
たまちづくりをしたい、その中心施設です。
併せて、都市観光(市街地)も大切な視点です。長野市景観賞の建物や野外彫刻も増え
てきました。街並みの素晴らしさも、観光スポットとして活用出来るようになると思い
ます。美術館も東山魁夷館、北野美術館、水野美術館・・・その外、民間や法人等の活
動があり、都市観光の一助になっていただいています。旧長野駅の姿をもう一度復元し
ようという運動を始めた方々もいらっしゃいます。

都市部と中山間地の市民交流も今後発展していくはずですし、癒しの場として日本の原
風景は重要であり、大切にしていきたいと考えています。市内各地には埋もれている山
城、神社、仏閣など・・・歴史を調べてみると、素晴らしい資産になりうるものがたく
さんあります。これらをネットワークすれば、それだけで長野市民の宝物になりそうで
す。
茶臼山動物園もこの地方としては有数のものです。もっと宣伝してお客を呼べる、そし
て教育施設としても大切に育てたいと考えています。

それらをトータルして、近い将来、現在800万人台の観光客を1200万人まで増やそう
というのが、当面の目標です。