2005年10月7日金曜日

幼保一元化と民営化について



幼保一元化と保育園民営化は分けて考えるべきであると、考えています。
まず幼保一元化について、考えてみます。
幼保一元化の問題は何とかすべきだということで、何十年も前から議論されてきたテー
マです。即ち幼稚園は、就学前教育ということで、文部省(現在は文部・科学省)の管
轄。保育園は、保育に欠ける子を預かるということで、厚生省(現在は厚生・労働省)
の管轄。寄って立つ法律が違い、管轄が違うが故に、二つのシステムは全く違う場とし
てそれぞれ発達してきたのです。

しかし、両方の現場を見学し、話しを聞いていくと、両者の違いは何だろうと考えさせ
られてしまいます。保育所の存在根拠になる「保育に欠ける」子供と言う意味はかなり
曖昧ですし、幼稚園以上の教育をしている例はいくらもあります、正規の保育時間が、
幼稚園より長いようですが、これも幼稚園が対抗上、預かり保育等を実施しており、違
いはわかりにくくなっている。極論すれば、違いは入園料の有無や保育料システムぐら
いといっても過言ではなさそうです。勿論幼稚園の先生は幼稚園教諭、保育所は保育士
ということで、資格が違うということで、このことも統合が出来ない一つの理由になっ
ているようですが。

ただ長野市の状況を申し上げれば、幼稚園は全て民間経営(県短を除いて)ですが、保
育所は民間経営が41園、市営が44園(公設民営4園含む)ですが、どちらも行政の
許認可を受けて、長野市の責任で保育を行っているけれど、ある部分を民間にお願いし
ているのが、実情です。ですから幼稚園の授業料は幼稚園が直接保護者から徴収します
が、保育所の保育料については市が保護者から保育料を徴収し、そこへ国の基準の運営
費などを足して保育所に渡すのが、原則です。
勿論保育所によっては、保育料以外に保護者の了解のもとに、別料金を徴収して、保育
の質を上げている例はあるようです。

歴史的な流れを振り返ってみれば、昭和30年代前半ぐらいまでは、幼稚園の方が保育園
より格が上といった発想があり、保育園が幼稚園に変わった例はあったようです。しか
し、その後、国の福祉政策重視という方向が定着し、幼稚園より保育所への補助金が優
遇される時代になって、現在は保育所の経営が幼稚園の経営より楽というのが、一般的
な世論といわれています。(経営責任が行政にあるということも、保育所の経営が安定
している一つの理由かもしれません)

保育所の全国大会などで、会長さんの挨拶を聞いていると、幼保一元化絶対反対と仰っ
ている、その中で幼保一元化は必要と申し上げるのは、かなり勇気が必要ですが、逆に
幼稚園大会等で、私が幼保一元化の必要性を申し上げると、納得していただけていると
感じます。そのことは上記の意見の証明であると私は考えています。

しかし、私はどうも納得がいきません。保育所と幼稚園は就学前の幼児教育ということ
では、ほとんど同じことをやっているわけで、それが違う制度で同じ土俵の上に乗って
いるとは言えない。不公平だと思うのです。保育所と幼稚園を同じ制度にして同じ名前、
例えば「幼児教育・保育施設」にする。教育内容の違い、保育時間の違いなどは、それ
ぞれの園の特色ですから、自由にやれば良い。保護者はその特徴を調べて、必要なサー
ビスと料金を提供してくれる園を選べば良い、と私は思います。行政の補助も一律であ
るべきで、本来は保護者に一定の補助をしてお任せすれば良いのではないでしょうか。

制度上、3歳未満児の養護中心の保育が保育所で行われてきたという状況の違いはあり
ますが、幼保一元化というテーマは、昔から不合理だということで、解決しなくてはな
らない・・そう大部分の人が感じていながら、そのままになっていた問題です。

本年、解決の第一歩になるかもしれない制度が試行されています。幼稚園と保育所を一
緒にした総合施設が、全国で36箇所認められました。そのうちの一つが県内で長野市に
認められ、若穂綿内の若穂幼稚園で行われています。この試行に必要な予算が国におい
て認められ、実施されています。
私は現段階まだ視察していませんが、なるべく早く見せていただきたいと考えています。
もしかすると、長年の懸案が解決に向かって動き出す最初の一歩になるのではないか・
・・・そんな思いで見守っています。

次回は保育園民営化について申し上げます。