2007年11月29日木曜日

「雑談力」について


 個人的な話から入ることをお許しください。
 最近、女房から「あなた、最近面白くない!行政に関係ある話し
かしていないのでしょう。もっとロータリークラブ、JC、会議所
など、昔からのお友達と遊びなさいよ」と言われたことがあります。

 あまり気にも留めていなかったのですが・・・先日、海外出張を
する際、ヨーロッパまで片道12時間近くかかるものですから、飛
行機の中での暇つぶしに、小さな本を3冊ほど買い込み、持ってい
きました。
 その中の一つに、千葉大学の多湖輝名誉教授の“人の心をつかむ
「雑談力」 情報が集まる「雑談力」”というのがあり、面白い内
容でした。多湖教授といえば、昔「頭の体操」というベストセラー
があって読んだことを覚えていますが、今回本屋をブラついている
とき、目に留まったものです。

 読んでみて、「雑談」が必要だということが、よく分かりました。
雑談の中にこそ、いろいろなアイデアが生まれる、一見何の関係も
無いことを喋っているうちに、あることの解決策に出会う、気が付
くのだそうです。また、人の心をつかむ、あるいは情報が集まると
いう効用もあるようです。

 考えてみますと、市長の公務は、庁内外の会議、視察、イベント
に参加してのあいさつなどいろいろあり、毎日忙しい中、その合間
をぬって、副市長を含めた打ち合わせや事前レクチャーの時間が結
構多いのですが、「雑談」というのはあまり無いなあということに
気が付きました。

 会議や打ち合わせの時間というのは、はっきり目的があって、そ
の目的について話し合い、懇談し、最終的には方針を決断するわけ
ですが・・・その中に「雑談」というのはほとんどありません。必
要なことを市長に伝え、市長が意見を言い、長い短いはありますが
議論をして、市長が了解するか否か・・・話が終わると、みんなさ
っさと部屋を出ていきます。打ち合わせ時間が15分とか30分と
秘書課があらかじめ伝えてあるようですから、仕方がないと言えば
そのとおりです。

 私にとっての「雑談」について考えてみました。
 雑談の場として一つは秘書課の職員と行う暑気払いや忘年会、場
合によっては若手職員との飲み会もあります。スキーの仲間とスキ
ー場での歓談もその一つかもしれません。
 また、地域での会議や、市民・ボランティアの皆さんとの懇談。
あるいはまれですけれど農業委員さんとの懇親会、経済団体との会
合。
 ほかにもあるかもしれませんが・・・これらが本当に雑談といえ
るかどうか、疑問はあります。いずれにしろ市長という肩書きを外
してというわけにはいきませんから、雑談とはいえないのかもしれ
ません。

 大学や高校の同窓会・・・これは雑談の絶好のチャンスでしょう
が、年に一回ぐらいで、それも出席できない場合が多く残念です。
 市長就任前から所属していた組織の会合、例えばロータリークラ
ブ、JCシニア会、NUPRI・・・これらは、気楽に喋るという
意味ではありがたいし、目的のない雑談をしているということでは
ありますが・・・なかなか肩書きを外して喋るというのは、困難だ
と感じています。

 私が雑談をすることによって、私自身が変わるわけではないでし
ょうが、もしかするともう少しアイデアを出せるようになるかもし
れません。少なくとも女房に「あなた、面白くない」と言われるこ
とは、無くなるのではないか・・・そんな期待を持っています。

 皆さんの参考に約60項目もある「雑談力」の目次の中から、い
くつかのフレーズをご紹介しますと「考えが行きづまったらとにか
く雑談しよう」「雑談のよさは気軽さと直感にある」「雑談はでき
るだけ異業種、異世代の人とやるとよい」「脱線するから雑談は面
白い!」「否定的な見方より肯定的な見方をしよう」など・・・。
ご紹介したのは、本のわずかな部分ですが、およそ想像していただ
けるかと思います。

 飛行機に持ち込んだ残りの本も、結構面白く読ませていただきま
した。東京工業大学大学院の橋爪大三郎教授の「人間にとって法と
は何か」と、京都大学の中西輝政教授の「なぜ国家は衰亡するのか」
の2冊です。

 限られた時間、そして飛行機の中、あまり厚い本を読むのは無理
ですが、新書版ならポケットに収まり、便利です。しかも最近はな
かなか読み応えのある本がそろっていますので、もっぱら私の愛読
書になっています。