荒れる浅川も最近は天井川の河川改修がかなり進んでいますので、
あまり危機感がなくなっています。某メディアの調査では、流域で
はダムは要らないという人が多いという調査が発表されました。浅
川から100m以内の方を対象にした調査のようですから、昔から
その地にお住まいになっていた住民があまり対象になっていない調
査でしょう。「昔から浅川流域に住んでいる方は、あの辺には家を
造らない。それは浅川の氾濫の危険性を知っているから」そう語る
方もいます。でも、現在そこに住んでいる住民の方々はそのことを
知らない。なぜなら河川改修が進んで、当面は危険がないようにみ
えるからです。でもそれは絶対ではありません。過去にあった雨量、
すなわち既往最大の雨があれば危ないのです。ましてや温暖化が進
んで異常気象で大雨が頻繁に降っている状況では、既往最大より多
い雨が降らないと誰が保証してくれるのでしょう。ダム計画がある
から安心して家を造ったという方もいるでしょう。
ダムがいらないとおっしゃる方に対しては、もし(100年未満
で)50年に一度以上の雨が降って被害があった場合、私は申し訳
ないけれど、長野市は責任を持てません。皆さんがそれで良いとお
っしゃったのですから・・・・・・・・・。そんなことは言えない
ことは分かっています。でもそれではいかにも長野市は可哀相では
ありませんか?既に工事が始まっていたのに、誰かが理念でいらな
いとおっしゃって、流域の方もそれでよろしいとおっしゃっている
とするなら・・・・・・・。しかし、長野市はそれでは困ります、
基本高水流量の切り下げだけは、何がなんでも認めませんよと申し
上げているのはそう言う理屈なのです。自己責任の社会はこのまま
では動かなくなります。
すみません、また基本高水流量の話になってしまいそうです。今
回はその話より、安全性の話をするつもりでした。
浅川上流の土質は崩れやすいと言われています。だから、ダムを
造ってもすぐ埋まってしまい意味がないとダム反対派はおっしゃい
ます。でも、もしそうなら、浅川ダムがなければ、上流からの土砂
により河床はどんどん埋まってしまって、せっかく河川改修を行っ
ているのに、また天井川になってしまうのではないでしょうか?現
に改修が終った部分ですでに1mから土砂が溜まっているという報
告もあります。川の浚渫(しゅんせつ)をすればよいとおっしゃい
ますが、コスト的にかなり厳しいものがあるようですし、その度に
水辺の生態系は変わってしまうでしょう。浅川ダムが完成すれば、
確かにダムに溜まった土砂をどう排除するかという問題はあります。
素人考えですが、このことについては、ダム湖上部の一定区間は地
すべり対策として通常の水位面まで盛り土を行いますので、結果と
して上部からの土砂はここに多く堆積するものと思われます。さら
に浅川ダム湖の周囲には管理用の道路がある上、渇水期にはダンプ
カーや重機が土砂排除のために入っていくことが容易であり、河川
流域での土砂排除より作業は簡単ですし、安全だと常識的には思え
るのですが。
ダムを造っても土砂が堆積してダムの効用がなくなるという説は、
私は間違いだと思います。そういう土質(岩盤ではない)だとする
なら、ダムがなければ、全ての土砂や流木は下流に押し出してくる
わけで、土石流の発生原因や天井川という危険な川になる原因にな
ることは事実のようです。
先日、国土交通省の河川局長さんにお聞きした話ですが、「ダム
は土砂や流木を止め、土石流の発生を防ぐ役割がある。長野県は日
本で一番災害の多い県(面積が極端に広い北海道は別です)であり、
それは長野県の急峻な地形による地崩れが大きな原因です」という
お話をお聞きしました。
先人が治水を一生懸命考え、過去営々と努力していただきました。
それなのに具体策を先送りして理念だけで止めてしまい、流域住民
を危険にさらしてよいのか、ぜひ考えていただきたい。
次回は、それではそのダムそのものが崩れるということが起こる
可能性があるのか、地震とか断層とはどういう関係にあるか、そん
なことを書きたいと思います。ご期待ください。
浅川ダムの平面図・横断面・縦断面と土砂の堆積場所については
http://www.city.nagano.nagano.jp/ikka/hisyo/zumen/asakawa.htm
をご覧ください。