市長として12年間、毎週このメールマガジン「かじとり通信」
を書き続けながら、全身全霊を懸け長野市発展のために取り組んで
きました。なぜメルマガを始めたかというと・・・動機は小泉純一
郎元首相のメルマガに刺激されたことは事実ですが、市民の皆さん
になるべく分かりやすく正確に情報をお伝えしたい、市長が何を考
えているか、あまり行ったことのない場所へ出張したような時はそ
の報告もしなくては・・・こんな思いからメルマガを始めました。
次から次へと切れ目なく仕事が入り忙殺される日々に、締め切りが
切迫して困ったこともありましたが、毎週欠かさず木曜日にメルマ
ガを配信してきました。「何をどう書こうか・・・」。中には、考
えれば考えるほど難しいテーマもあり、決して楽な仕事ではありま
せんでした。でも、市民の皆さんにお伝えしなくてはならないこと、
ご理解を求めるもの、元気な長野市を発信する出来事、そして時に
は私自身のことなどをテーマに、時期やタイミング、バランスを考
えて、毎週日曜日の夜までに原稿を書き上げ秘書課に送る仕事を何
とか果たしてきました。
しかしながら、メルマガを長野市のサーバー(公的な機関)から
配信していたため、内容について制約を受けることがあり、窮屈に
感じたこともありました。そして、2期目と3期目の市長選挙前の
3カ月間は、NHKの自主規制に倣って、配信の自粛も行いました。
NHKの自主規制に合わせただけで公職選挙法とは関係なかったの
ですから、自由にやればよかったとも思っていますが、今回もこの
市長選前の9月の配信分からは、前例に倣って配信を自粛させてい
ただく予定です。そして、この間は、市長選挙に関係する話題につ
いても触れざるを得なくなるかもしれませんので、長野市からでは
なく、別のサーバーから配信させていただく予定です。
今回の選挙について、私はまだ出馬するとかしないとかという話
はしていません。従って現段階では、選挙に関してまったくニュー
トラルです。
そうした立場ではありますが、かじとり通信を長野市メールマガ
ジンとして確実に配信できる期間は残りわずかですから、私が約
12年間市長をやらせていただき分かったこと、感じたことを、若
干の反省も込めて、そして、今後、長野市が成長し発展していくた
めにも具体的に書き残しておきたい・・・。いろいろと考えてみた
ことを今回から数回に分けて、選挙とは全く関係なく、正直に書い
てみます。私の市長3期12年の集大成になるかもしれません。
(本来は任期が終わってから書くべきだと言われるかもしれませ
んが、市長に就任させていただいたがゆえに取り組むことができた
数々のことを、感謝の気持ちを込めて文章にしたためさせていただ
きます)。
まず、これまでの長野市の歴史、長野市を取り巻く状況など感じ
ていることを書いてみます。今後の市政の方向性を左右する重要な
ものでもあります。
(1)昭和30年代から40年代にかけて整備されてきた長野市の
骨格が、かなり古くなってしまったことは事実でしょう。そし
て、右肩上がりに経済、社会が成長する中、1972(昭和
47)年に発表された、世界の一流学者たちによる「ローマク
ラブ」の提言「成長の限界」では、地球上の資源には限界があ
ることを痛感させられました。実際、翌1973(昭和48)
年に発生した第一次オイルショックは、資源の枯渇が現実に起
こり得る問題であることを身をもって経験した大きな事件でし
た。
(2)1981(昭和56)年に建築基準法が改正され耐震基準が
見直された結果、それ以前の建物は既存不適格な建物となり、
いずれは建て替えなくてはならなくなってしまいました。これ
により、まち全体をリニューアルしなくてはならず、大きな投
資が必要になってしまいました。
(3)長野冬季オリンピックの開催によって、道路を含めた新しい
構築物がたくさんできましたが、完成から15年余が経過して
補修管理が必要になってきてしまいました。施設の維持費が大
きな課題になったことを痛感しています。
(4)歴史的な建造物や町並みの維持・整備、伝統的な祭礼などの
継承を目的に策定した「長野市歴史的風致維持向上計画」が、
本年4月に国から認定をいただきました。長野市のまちづくり
を考えたとき大切なことであり、重要性の高い案件になりまし
た。
(5)県の事業ですが、長野県短期大学の4年制化については、こ
の6月に基本構想が決定され、「現在の県短期大学所在地を基
本に設置」と決まりましたが、具体的な施設整備計画がなかな
か決定しません。長野市の都市計画、そして何よりも市内の学
生の進路に大きく影響する話ですから、早く決めていただき、
市として積み立ててきた大学整備基金を有効に活用して、でき
る限りの支援をしていきたいと考えています。
こうした状況を踏まえ、将来の長野市の姿を考えた場合、もう一
度長野市の骨格を整備する必要性に迫られてきました。特に、市道
・県道・国道と入り組んでいる道路については、その必要が高く、
そのうち特に早急な整備が求められる7路線については、7月18
日号で触れさせていただきました。当然ながら、相当の投資が必要
です。
国の財政が逼迫(ひっぱく)している今、地方の財政も当然厳し
くなってきています。ただ、長野市は、先輩の皆さんのおかげ、そ
して市民の皆さんの協力のおかげ、市職員の正しい判断のおかげ、
さらには国・県の応援のおかげで、今後も国の財政運営が現状のと
おりに行われていくとすれば、財政破綻を起こす危険性はまずない
ですし、自画自賛で恐縮ですが、全体としては確実に良い方向へ向
かっていると思っています。2年前に掲げた大規模プロジェクト事
業も、財政的な裏付けがなければ、実施に踏み切ることはできませ
んでした。当初、大規模プロジェクト事業は8事業でしたが、その
後2つ増え10事業となりました。いずれもかなり順調に進展して
おり、1年前のかじとり通信でも書かせていただきました。くどい
かもしれませんが、もう一度大規模プロジェクト事業を再掲させて
いただきます。
1 新市役所第一庁舎建設事業
2 新長野市民会館建設事業
3 斎場新設事業(大峰斎場・松代斎場)
4 ごみ処理施設広域負担金
5 ごみ焼却施設周辺整備事業
6 長野駅善光寺口駅前広場整備事業
7 長野駅周辺第二土地区画整理事業
8 小・中学校耐震化事業
9 南長野運動公園総合球技場整備事業
10 第四学校給食センター建設事業
これら10の大規模プロジェクト事業については、ほぼめどが付
いたと感じています。ただ、その他にまだまだやりたいことはたく
さんあります。とても一度にはできません。結局、事業の優先順位
をどう付けていくかということになりそうです。今後の公共施設の
適正な配置を検討するため、今ある公共施設の現状と課題などを洗
い出す「公共施設白書」も現在作業中ですが、基本的にはプロジェ
クト事業の必要性を認識し、毎年の予算立ての中で、適正に実施し
ていくことになるのでしょう。
次回のかじとり通信では、今後数年間でやらなくてはならないこ
と、また、50年間ぐらいのもっと長期的な視点で計画すべきこと
を、あまり整合性はないかもしれませんが、思い付くままに書いて
みたいと思います。