2008年12月25日木曜日

本年の最終メルマガ


 今年最後のメルマガですから、多少個人的な意見を交えて、あま
り趣旨一貫していないことを承知の上で、日ごろ感じていることを
雑談的に書かせていただきます。

 私は本が大好きです。東京出張から帰る際、東京駅構内にある本
屋さんは、私の時間調整の場所であり、情報取得源の一つです。最
近は、時間が無いことを口実に、あまり厚い本は読みませんが、文
庫本や、新書判の本には随分お世話になっています。

 前から、図書館は大切だと思っているのですが、実は、私自身は
あまり利用したことがありません。高校時代だったと思いますが、
何かの論文(まね事ですが)を書くとき、調べ物をするために旧県
立図書館(今の長野市立図書館の場所にあって、なかなか趣のある
建物でした)を利用したことが、唯一の思い出です。

 この県立図書館が長野市に造られた代わりに、松本市には立派な
陸上競技場が造られたと言われていたことを思い出します。当時か
ら長野・松本のバランスが考えられていたのだろうと思いますが・
・・どちらが良かったのでしょうかね。

 平成17年の豊野・戸隠・鬼無里・大岡との合併の折に、当時の
市川衛助役と「あまりお金の掛かることはできないが、合併によっ
て新たに長野市民になった人が、合併して良かったと即座に感じる
ことができる事業として何が良いだろうか」ということを話し合っ
たことがありました。結果は、移動図書館の事業を拡充し、新市域
に展開しよう、ということになりました。
 結果が良かったかどうか分かりませんが、新長野市民の皆さんに
は喜んでいただけた事業だと信じています。多分、今回の信州新町
・中条村との合併でも、そんな形が求められると思います。

 長野市にある図書館は、市立が二つ、県立が一つということで、
図書館の数自体は多いとは言えませんが、調べてみると、中核市の
中でも蔵書の数はかなり多いほうです。移動図書館車に積んでいる
本、それから、市立公民館にも南部図書館の分室ということで本を
配備していますので、市民の皆さんのご利用をお待ちしています。

 話は変わります。
 論理だけで人は、そして社会は動かないということを、最近痛切
に感じます。大事なことは、人間の善意であり、人間関係であり、
表現力だなあと感じています。仮に夫婦の間でも、悪口を言ってい
るだけでは、意思は相手に伝わっても、了解はしてくれないでしょ
う。議会の議論でも同じだと思います。

 作家の童門冬二氏の作品に、「たとえどんな良いことでも、やは
り日本人の場合には、『人間関係』が大きくものを言う。誰を知っ
ているかということであり、そしてその誰が、肝心な場所でどれだ
け力を持っているか、ということが大きく左右する」という文章が
出てきます。このことは、コネや根回しなどの手法が大切だという
意味につながる可能性もありますが、現実に国会審議などを見てい
ると、そうだなあ!と感じることが多いと思いませんか?

 最近、同窓会や同級会に出席する機会があります。われわれの年
代になりますと、社会の第一線で活躍している方は少なくなってい
ますが、昔からの仲間と酒を酌み交わしながら、話をするのは、楽
しいし、知らない話、それも良い話を聞かせていただくと、うれし
いものです。同窓会などに限らず、気の合った仲間と、わずらわし
い俗世間の話を超越して、酒を酌み交わしながら、自由に談論風発
していると、本当に至福の時と感じます。

 また、話題が変わります。
 「地頭力(じあたまりょく)」という言葉をご存じですか?NH
Kのテレビ番組で見て、不思議に思い、本を買って読んだのですが
・・・今、企業が一番欲しい力だということかもしれません。
 「地頭力」とは何か。経営コンサルティング会社代表の小林英二
氏によると、頭が良い人には、優等生的な人と地頭の良い人という
二つのタイプがあって、「優等生的な頭が良い人とは、正解のある
問題に答えを出すことができる人であり、地頭が良い人とは、田中
角栄、松下幸之助(創業者タイプ)のような人で、正解のない問題
に答えを出す人」と定義しておられます。

 少し理屈っぽく『地頭力を鍛える』という本を書かれた細谷功氏
の意見では、「仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象思考力、
具象化力、楽しさ創造力を駆使し、与えられた情報で仮説をつくり、
すぐ仕事に取り掛かる。その際、俯瞰(ふかん)した目で状況を把
握し、問題解決に向けた公式を考える。その公式を抽象的な話で終
わらせずに、関係者と具体的に話を詰めていく。これら一連の作業
を楽しそうに、イキイキとこなしていく」力なのだそうです。

 このような能力がある人のことを「地頭力」のある人というので
しょうが、現代社会には必要なことであると、私は常々感じていま
す。市の職員と話していても、優等生的な人が多く、突拍子もない
意見が出てこない・・・。先ほどのNHKのテレビ番組で紹介され
ていたのは、ある外資系企業で出された「地頭力」を試すための試
験問題で、「富士山を取り除くには?」という問題だったように記
憶しています。

 また、話題を変えます。
 フランス革命の時の旗印は“自由”“平等”“博愛”であり、こ
れが中世封建社会を打ち破る原理となり、その後“人権”という概
念も加わって、現代社会の基本原則になったということは、よく言
われています。そして、当然の権利として普及してきたわけです。

 でも、最近、“自由”と“平等”という概念は全く反対の概念だ
なあ!と、つくづく思います。“自由”を尊ぶ・・・これを突き詰
めていくと“平等”は実現できない、逆もまた真でしょう。

 中国社会は毛沢東(もうたくとう)国家主席の共産主義の時代、
彼が“平等”を求めたが故に、“自由”な社会とはほど遠かった。
でも、トウ(「登」に「おおざと」)小平(しょうへい)氏が出現
して、「白いネコでも黒いネコでも、ネズミを捕るのは良いネコだ」
と言って、自由主義・資本主義を掲げたら、貧富の差が拡大し、中
国社会は平等社会から大きく離れてしまったように見えます。

 アメリカ合衆国は、常に“自由”を国是(こくぜ)として掲げて
発展してきたわけですが、新自由主義的な政策を実施し始めたら、
格差があまりにも広がり過ぎて、低所得層の不満が渦巻いているよ
うにも見えます。
 “自由”と“平等”は、同時に求めることが理想ですが、相反す
る概念に見えますから、難しい調整、妥協が常に必要であると感じ
ています。

 ただ、理念は違っても、具体的政策となると、それほど大きな違
いはなくなると感じています。話し合いさえきちんとすれば、そし
て、相手を立てるという気持ちが双方にあれば、大した言い争いに
もならず、穏やかに済みそうなことばかりです。
 衆参両院のねじれ現象の故かもしれませんが、議会などで、話し
合いの必要性が大変増えているように思います。話し合いでは、ガ
チンコ勝負などと、余計な悪口まで言ってしまうと、まとまるもの
もまとまらなくなると、いつも感じています。

 世界的な景気後退が本格的になってきて、企業のリストラも大変
な勢いで進んでいると感じています。世界的に物が売れない時代、
皆が萎縮(いしゅく)してしまっているようで、信用収縮が起きて、
1930年代にあったような世界大恐慌になるのではないかとの心
配も広がっています。
 期間従業員や派遣社員を中心に大リストラに踏み出した日本の大
企業、ホンダがF1(フォーミュラ・ワン)から撤退、ソニーが全
世界で1万6,000人解雇、トヨタですら相当のリストラに踏み
込んでいるのですから、心配も無理はないとは思うのですが・・・。

 企業が、不況で、文化活動やスポーツへの力も入らなくなってき
ています。新聞などで大きく報道されましたが、ホンダに限らず、
自動車業界は急激な売り上げ減少から、費用負担に耐えられずに、
スポーツ界からの撤退が進んでいる。長野にとっても、西武がアイ
スホッケー部を廃部するというニュースがありましたから心配です。
スポーツに限らず、文化活動も大ピンチになっている。無理もない
と言えばその通りと言わざるを得ないのですが・・・。

 読売新聞の「編集手帳」欄にあった話ですが、旭化成の社長・会
長だった故宮崎輝氏の言葉に「企業は実力の範囲内で健全な赤字部
門を持たねばならない」という言葉があるそうです。「健全な赤字
部門」とは、企業の文化活動やスポーツ、あるいは新規事業の開発
部門のことでしょうが、企業精神を支える「健全な赤字部門」を抱
える余力は限界に近づいているのかもしれません。
 このように改めて考えてきますと、経済は大切ですね。不況にな
ると、世の中でいろいろな不満が渦巻き、世相も暗くなり、社会が
不安定になる。そんな中で、明るい話題、例えば、スポーツで郷土
の選手が大活躍するニュースはうれしいものです。

 迎える新年は、明るく希望に満ちた年となることを期待したいと
思います。
 皆さまには、くれぐれもご健康に留意され、ご健勝で輝かしい新
年を迎えられますことを祈念しております。

2008年12月18日木曜日

今年一年を振り返って


 少子高齢化の進展や地方分権改革などによる社会構造の変化、国・
地方の厳しい財政状況を見据える中で、「市民が主役」であるとい
うことを常に念頭に置き、市民の皆さまとのパートナーシップによ
り、今年も元気なまちづくりを進めてまいりました。しかし、サブ
プライムローン問題に端を発した経済環境の激変、不況の深刻化に
よって、日本中、いや世界中のすべてが変わってしまった・・・今、
そんな思いに襲われています。

 年末恒例の一年を振り返る時期になったのですが、特に10月以
降の景気の悪化が大きな圧力になっていて、春から夏ごろまでのこ
とは、随分昔のことのようであまり思い出せない・・・そんな中で
はありますが、私として印象に残ったことを書かせていただきます。

 今年は、スポーツに関するさまざまな話題に沸いた年であったと
思っています。
 まず、長野冬季オリンピック・パラリンピックの開催から10周
年を迎え、1月から4月にかけて、さまざまな記念事業が開催され
ました。これらの事業によって、みんなの心にあの感動がよみがえ
り、将来の長野市のまちづくりを進めていくための力が生まれると
いうことを実感しました。有形・無形の素晴らしい財産を残してく
れたオリンピック・パラリンピックを振り返ることは、とても大切
なことだと改めて思っています。

 1月には、「長野かがやき国体」のスケート競技会が、2月には、
全国中学校スケート大会が開催されました。全国中学校スケート大
会は、長野市で10年間継続して開催することになっている大会で、
今年がその1年目でした。長野市が「スケートのメッカ」となるこ
とを目指して、これからどんどん盛り上げていきたいと思っていま
す。

 春の選抜高校野球大会で「長野日大高校」が県勢として17年ぶ
りにベスト8入りを果たしたことや、北京オリンピックに、本市出
身である男子バレーボールの松本選手、自転車の宮沢選手が出場さ
れたこともうれしい話題でした。

 サッカーの「AC長野パルセイロ」の大活躍も印象に残っていま
す。今シーズンは、北信越フットボールリーグ1部優勝、全国社会
人サッカー選手権大会も初優勝し、11月の全国地域サッカーリー
グ決勝大会に進み、あと一歩のところで決勝ラウンドへの進出を逃
しましたが、大健闘でした。来シーズンに向けて頑張っていただき
たいと思います。

 4月には北京オリンピックの聖火リレーも行われました。世界中
から注目される中、無事に聖火を韓国へ引き継ぐことができたと思
っています。でも、あまり話題にはなりませんでしたが・・・あの
とき、地元市長としてのあいさつの苦労を知っていただきたい、実
は、次のような事情もあり、大変難しかったのです。
(1)あのような形で世界中の注目を集めることになるとは、聖火
  リレーをお引き受けした時には、全く想定外のことであった。
(2)聖火リレーが始まったら、ロンドンやパリなどでの騒動が大
  きく取り上げられだした。
(3)長野での聖火リレーには、駐日中国大使が出席することにな
  っていたことに加え、中国の胡錦濤(こきんとう)国家主席が
  来日される直前だった。
(4)チベット問題に直接的に触れることは難しい、でも、人権問
  題に対しては長野市としても何らかの姿勢を示したい。
(5)善光寺さんも、チベット問題への対応として、出発式の会場
  を辞退された。

 このような中で、長野市長として、どうすれば良いか・・・聖火
リレーを担当していた教育委員会との議論の末、国連の人権宣言に
思いが至りました。この宣言は、日本はもちろん、中国も認めてい
る文章でしたので、私のあいさつでは、あえて、うまくはなかった
のですが英語で世界人権宣言を読み上げさせていただきました。今、
思い起こしてみても、これで良かったのではないかと思っています。
ただ、駐日中国大使からは、多少、気にしておられたような発言も
ありましたが・・・。

 このほか、今年も長野マラソンへ大勢の皆さんにご参加いただき
ましたし、全日本フロアホッケー競技大会をはじめ、数々の大会を
長野市で開催していただきました。そして、12月になり、ショー
トトラックとスピードスケートのワールドカップも相次いで開催さ
れました。さらに、来週25日(木)からは、全日本フィギュアス
ケート選手権大会も長野市で開催されることになっています。こち
らには、今、注目の浅田真央選手も出場されるようです。
 また、先日、あいさつに来てくださったのですが、21日(日)
に京都市で開催される全国高等学校駅伝大会に長野東高校陸上部の
女子駅伝チームの皆さんが出場されます。これまで励んでこられた
練習の成果を発揮して、ぜひ上位に食い込んできてもらいたいと思
っています。

 このように、この一年、さまざまなスポーツ大会の開催により、
まちのにぎわいも生み出していただきましたし、地元チームや選手
の皆さんの活躍により、大いに元気づけていただきました。

 また、今年は長野市立長野高等学校(略称「市立長野(いちりつ
ながの)」)が、男女共学の単位制総合学科の高校として開校した
年でもありました。4月の開校後、市立長野では、信州大学教育学
部や清泉女学院大学・短期大学、産業界などのご協力をいただく中
で、生徒が自らの進路の学習を深めるために、大学訪問やインター
ンシップなどを行うなど、市立長野ならではの特色が出せているよ
うです。部活動では、新たに設立したスピードスケート部が活動を
開始しており、今月開催された長野県高等学校総合体育大会スケー
ト競技会に公式戦初参加を果たしました。今後の活躍が楽しみです。

 観光の話題では、「1200万人観光交流推進プラン」の3年目
として、今年は、「飯綱高原」と「善光寺界隈(かいわい)」で集
中的な観光キャンペーンを展開しました。善光寺では、山門の大修
理が終わり、山門へ登楼して内部を参拝することができるようにな
りました。歴史的な建物ですから、バリアフリーというわけにはい
かなかったのですが、違った視点で長野市の門前町を見ることがで
きる素晴らしいスポットになったと思っています。
 また、飯綱高原でもさまざまなイベントが開催され、大勢の人に
訪れていただきました。
 11月には、信越本線開業120周年を記念して、蒸気機関車D
51がJR長野駅と黒姫駅の間を走りました。郷愁を感じさせる汽
笛の音や、石炭を燃した煙のにおい。懐かしく往時を思い出したひ
とときでした。

 市内30の地区で地区ごとに設立をお願いしている住民自治協議
会ですが、今年は、新たに、戸隠、更北、七二会、吉田、若穂、篠
ノ井、芋井、柳原、芹田、信更、三輪の11地区で立ち上げていた
だきました。住民自治協議会は、市が「都市内分権」を進める上で
欠かせない組織として、平成18年度から設立をお願いしており、
これまでに22地区で設立していただいています。残りの8地区に
ついても来年3月までの設立を予定されているとのことで、大変う
れしく思っています。

 信州新町、中条村との合併協議も進みました。2月に両町村から
合併協議の申し入れがあった後、事務レベルでの調査研究を経て、
市民会議などで市民の皆さまからご意見をお伺いしてきました。9
月には、合併協議会の設置について市議会の議決をいただき、10
月に3市町村による合併協議会を設立しました。現在は、まだ協議
を進めているところですが、これまでに、合併期日を平成22年1
月1日とすることなどが決まっています。

 これらのほか、1月に長沼地区で北陸新幹線の設計協議が整った
ことにより、年末までに市内ルート全線で工事が始まったこと、長
野市版放課後子どもプランがスタートしたこと、もんぜんぷら座の
全館利用が始まったこと、戸隠地質化石博物館がオープンしたこと、
市農業公社により「ながのいのち」ブランド事業が始まったことな
ども印象に残っています。

 しかし、うれしいことばかりではありませんでした。「中国・四
川大地震」「岩手・宮城内陸地震」などの大地震、事故米・汚染米
の不正転売や相次ぐ食品偽装など、暮らしの安全・安心を脅かす大
きな災害や事件もありました。そして、ガソリン税などの暫定税率
の失効に代表される政局の混乱、サブプライムローン問題に端を発
したアメリカ発の世界規模の金融危機、原油・原材料の高騰、さら
に円高。日本経済を大幅な後退局面へと向かわせる大変な年となっ
てしまいました。
 100年に一度の大不況を何とか吹き飛ばしたい、そんな思いを
強く感じた年末です。内需拡大、新しい経済秩序の確立に全力を挙
げたいと考えています。

 私が市長に就任してから7年余が経過し、任期も残すところ1年
を切りました。来年も、私の行政経営の「核」とも言うべき5つの
原則、「入りを量りて出ずるを為す」「市民とのパートナーシップ」
「簡素で分かりやすい行政」「民間活力の導入」「職員の意識改革
を図り、きちんとした行政を遂行すること」を基本として、長野の
将来を思う心を抱き、第四次長野市総合計画の目標である「善光寺
平に結ばれる~人と地域がきらめくまち“ながの”」の実現に向け、
元気なまちづくりを進めていきたいと決意を新たにしている今日こ
のごろです。

2008年12月11日木曜日

長野市の存在感を高めるために


 市の存在感を高めるためには、さまざまな方法があると思います。
今、いろいろ議論が起きていますが、今回は、長野市の存在感をさ
らに高めるために取り組んでいる施策について、ハード・ソフトの
両面からアトランダムに書いてみました。ただ、善光寺や松代など、
すでに一定の軌道に乗っていると私が感じていることについては、
割愛させていただきました。

 まず、「ふるさとNAGANO応援団」ですが、これについては
先週のメルマガで書かせていただいたとおりです。

 「ながの御穀膳」は、長野市の食文化をアピールできる名物メニ
ューを創出しようと商工会議所が中心になって研究し、その趣旨に
賛同していただいた飲食店が長野の代表的な食に育てようと取り組
んでいる事業です。健康にも良く、そば・おやき・リンゴと並ぶ長
野の食に成長することを期待しています。
 来年の善光寺御開帳を前にして、長野市の土産品の充実にも取り
組んでいます。前回の合併を記念して行った推奨土産品の選定でグ
ランプリに選ばれた鬼無里の「えごまクッキー」は、現在も売れて
いるそうです。食だけではなく、違う産品も生み出したいですよね。

 こちらも善光寺御開帳を前にして、来年3月の完成を目指してい
るのですが、表参道である中央通りに全部で48基の灯籠(とうろ
う)を復元する事業が、「善光寺表参道に灯籠を復元建立する会」
により進められています。この事業により、灯籠が立ち並ぶように
なれば、門前町としての中心市街地の新たなシンボルになりそうで
す。灯籠には、それぞれ別々の灯(あか)り絵がはめ込まれていま
すから、長野駅から灯籠を楽しみながら善光寺参りをすることもで
きるようになります。

 直接的な土産品とは違うかもしれませんが、長野市農業公社が
「ながのいのち」という特産品のブランド化事業を今年の秋から開
始しました。皆さんは、長野県の平均寿命が、男性が全国1位、女
性が全国5位だということはお聞きになったことがあると思うので
すが、長野市の平均寿命が男女共に長野県を上回っている、という
ことをご存じでしょうか。「ながのいのち」という名は、長野市が
長寿の都市であることを売り物にしていこう、ということで決まっ
たブランド名です。
 この事業は、このブランド名と「いのちちゃん」というキャラク
ターを使って、包装紙や宣伝広告などを統一しながら、マーケティ
ング面を強化し、地域の農業で頑張っている皆さんと農業の活性化
を図ろう、農業でもうけようというものです。地産地消ということ
で、まず、地元でこのブランドの基盤をつくることを目指していき
ますが、長野の土産品としても有名になればと期待しています。

 平成になってから2度目の合併協議が、信州新町・中条村との間
で順調に進んでいます。まだ協議中ですので正式決定ではありませ
んが、これまでに、長野市への編入合併とすること、合併の期日を
平成22年1月1日とすることなどが決まりました。この合併は、
将来の長野市にとって、平成17年1月に合併した豊野・戸隠・鬼
無里・大岡と共に、大切な財産になるであろうと考えています。
 それぞれの地域の特性を生かし、いかに長野市の魅力を向上させ
ていくか、新市の一体感をどう醸成していくか・・・合併した後が
大切です。両町村が持っている資源は限りなく大きいと思っていま
す。

 17人の委員さんにより、市役所第一庁舎と長野市民会館の在り
方を検討していただいてきた「在り方懇話会」から、12月1日
(月)、市役所第一庁舎の建設を急ぐべき、との報告書をいただき
ました。現在の第一庁舎は、昭和41年の大合併の前年に完成した
建物ですから、かなり古いことは事実です。震度5でも倒壊する可
能性があると言われると、大勢の市民の皆さんが来庁されるわけで
すし、職員も仕事をしていますので、早い機会に建て替えなくては
いけないと思っています。
 基本的には、建物を造るというハードの話ですが、その場合には、
100年は使える、そして長野市の象徴的な建物にしたいと思って
いますが、皆さんはどう思われますか?まちなか観光の名所となる
ような建物であっても良いと思うのですが・・・。

 併せて、財政状況をよく考えた上で、長野市民会館も建て替える
べきとのご指摘もいただきました。現在の市民会館は、市民の皆さ
んに多様な目的で使っていただいており、無くてはならないものと
思っています。しかし、この建物は第一庁舎より4年古く、構造的
には大きなドームが主体の柱が少ない建物ですから、第一庁舎より
も危険度は高いのではと感じているのも事実です。
 報告書では、現在の長野市民会館を壊して、そこに市役所第一庁
舎を建て、市民会館は別の場所に建て替えるべきとのことでした。
この市民会館も、長野市の存在感を高めるための建物の一つにした
いと思っています。

 長野駅の善光寺口をどうするべきか、ということについても検討
委員会での検討が始まりました。これも大切な事業です。併せてこ
の検討委員会では、善光寺口と東口との一体性の確保や機能分担に
ついても検討していただくことにしています。現在の駅周辺の姿は、
長野新幹線の開業や長野オリンピック開催を目前にして、大急ぎで、
暫定的に整備したものです。長野駅は長野市の顔ですから、いずれ
は何とかしなくてはいけないと思っていました。
 でも、長野市が単独でできることではありませんし、地域の皆さ
んの考え方、とりわけJR東日本さんの考えも重要です。新幹線の
延伸を前にして、JR東日本さんもやる気になっていただいていま
すので、この際、無理をしてでも何らかの解決策を考えなくてはい
けないと感じています。
 駅の外観については、新幹線が来る前の仏閣型駅舎に郷愁を覚え
ていらっしゃる方もかなり多いようで、市民の皆さんからいろいろ
なご意見をいただいています。検討委員会でどんな議論がなされる
のか、じっくりお聴きするつもりです。

 茶臼山動物園も長野市の存在感を高めるための大切な施設です。
開園以来25年を経過し、施設の老朽化や動物の飼育・繁殖スペー
スの不足、ユニバーサルデザイン化などのことを考えますと、そろ
そろリフォームが必要な時期になってきたと言えます。また、隣接
する自然植物園や恐竜公園などとの一体的な利用にも課題がありま
すので、茶臼山一帯が、市内外からお越しいただく皆さんにもっと
楽しんでいただけるエリアとなるよう、再整備に向けて準備を進め
ていきたいと考えています。

 11月20日(木)、石川県金沢市で「北陸新幹線沿線都市観光
サミット」が開催されました。集まった市は、新幹線に沿って東京
方面から記しますと、高崎、長野、上越、富山、高岡、金沢の6市
で、将来的には佐久、上田、糸魚川など、もっと増やしていく必要
があると思っています。
 いずれの市も、単なる通過地にはなりたくない、ストロー現象で
お客さんを取られては困る、都市の魅力を高めようと一生懸命です。
“連携”が大切ということは当たり前ですが、具体的にどんな事業
を生み出せるか、アイデア勝負になると思います。

 長野市とすれば「単なる通過地にならないような努力」は当たり
前ですが、逆に北陸地方からお客さんを呼び込みたい、もう一歩踏
み込んで北陸と縁が深い関西圏のお客さんにも来ていただきたい、
そんな積極的な姿勢が大切です。長野市には、毎年1,000万人
もの観光客にお越しいただいていますが、市ではこれを2割増の
1,200万人にしたいと考えています。長野市にとって、「2割
程度ぐらい・・・」と受け止められているかもしれませんが、
1,000万人という数自体は大変な数字であることを、ぜひ理解
していただき、さらにおもてなしの心を大切にし、多くの方が長野
に“再遊”したい、もう一度行きたい・・・と思っていただける、
そんな都市になりたいものです。

 話は変わりますが、市職員の政策形成能力の養成を図るために、
毎年、職員研修所が中心になって、「政策課題研修」を実施してい
ます。この研修では、若手職員が4~5人でチームを作り、自由な
研究をすることになっており、半年間、他都市の視察や勉強をした
り、議論を積み重ねたりして、アイデアをまとめ、秋に発表会を行
っています。
 今年は、4つのチームが次のような発表をしてくれました。
  Aチーム「救急救命体制の強化 15万人のおたすけ隊を目指
       して」
  Bチーム「2030年問題を解決せよ やる気の出る人事制度
       を目指して」
  Cチーム「自転車が地球を救う! 自転車のまちNAGANO
       を目指して」
  Dチーム「おやきNow On Sale!! 販売促進NA
       GANOモデルの構築」

 テーマを見ていただいただけでは、理解が難しいと思いますが、
ご想像ください。いずれも半年間の研究成果の発表で、なかなかの
ものでした。
 これらは、必ずしも採用されるとは限らないのですが・・・例え
ば「おやきの販売促進」については、長野市農業公社でも取り組み
テーマとして、すでに検討が始まっているようですし、「自転車の
まちを目指す」というテーマは、交通政策課や環境管理課、体育課、
あるいは観光課あたりでも、取り組んでみたら面白いと思っていま
す。救急体制や人事制度の件も、当然検討されているはずです。
 いずれにしろ長野市の存在感を高める事業として、取り組んでみ
たいテーマだと思いますし、実現に向けて担当者が頭をひねってく
れていることでしょう。いずれ事業計画案として出てくることを、
私は楽しみにしています。

2008年12月4日木曜日

ふるさとNAGANO応援団、来長


 昨年、“ふるさと長野市”を応援してほしいとの思いから、首都
圏で活躍されていらっしゃる長野市にご縁のある方々27人にお願
いして、「ふるさとNAGANO応援団」を結成していただいたこ
とは、既にご存じのことと思います。

 ご就任いただいた方々は、次の通りです(五十音順)。長野市ご
出身の方が主体ですが、何らかのご縁があるということでお入りい
ただいた方もいらっしゃいます。
 青木擴憲さん(株式会社AOKIホールディングス代表取締役社
        長/長野市出身)
 荒井寿光さん(東京中小企業投資育成株式会社代表取締役社長/
        市内の高校出身)
 井浦秀夫さん(漫画家/市内の高校出身)
 猪瀬直樹さん(作家、東京都副知事/長野市出身)
 碓井光明さん(明治大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教
        授/長野市出身)
 金井政明さん(株式会社良品計画代表取締役社長/長野市出身)
 北村晴男さん(弁護士/市内の高校出身)
 小島秀康さん(国立極地研究所教授/長野市出身)
 齋藤宣彦さん(医師/長野市出身)
 眞田幸俊さん(慶應義塾大学理工学部准教授/松代藩主眞田家第
        14代当主)
 島田博文さん(コムシスホールディングス株式会社代表取締役会
        長/元NTT信越支社長)
 鈴木善統さん(日本電子計算機株式会社常務取締役/長野市出身)
 高野 登さん(ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日
        本支社長/長野市出身)
 田中信義さん(キヤノン株式会社専務取締役/長野市出身)
 鶴田康則さん(日本OTC医薬品協会理事長/長野市出身)
 童門冬二さん(作家/小説「幕末の明星佐久間象山」著者)
 飛田紀久子さん(広報アドバイザー、「千曲川草誌」編集・発行
        /市内の高校出身)
 中村 健さん(信越化学工業株式会社取締役/長野市出身)
 夏目雄平さん(千葉大学大学院理学研究科教授/長野市出身)
 服部信孝さん(順天堂大学医学部脳神経内科教授/長野市出身)
 花岡信昭さん(ジャーナリスト/長野市出身)
 飛田和緒さん(料理家/市内の高校出身)
 松木則夫さん(東京大学大学院薬学系研究科教授/長野市出身)
 丸田義晴さん(財団法人全国法人会総連合事務局長/長野市出身)
 持田澄子さん(東京医科大学教授/市内の高校出身)
 山田真美さん(作家/長野市出身)
 依田 巽さん(株式会社ティーワイリミテッド代表取締役会長/
        市内の高校出身)

 “応援”とは何かということですが、ほかの都市では“○○観光
大使”といった名刺を持っていただき、観光PRへの期待をかけて
いることが多いようです。長野市ではもう少し幅を広げ、メンバー
の方々の高度な専門知識、豊かな経験、広い人脈を基に、市政に対
する提言、観光および名産品や特産品のPRなど、長野市の魅力の
情報発信、企業誘致やコンベンション(学会・シンポジウムなど)
の誘致に関する情報の提供をはじめとして、市政全般を応援してい
ただき、長野市の存在感をもう一回り大きくしたい、その一翼を担
っていただきたい、と欲張っています。

 昨年は、都内で意見交換会を開催させていただき、メンバーの方
々の長野市への思いをお聴きしたり、市政についてアドバイスをい
ただいたりしました。ただ、メンバーの皆さんのお話をお伺いして
いますと、最近の長野市の様子をあまりご存じでない方もいらっし
ゃるということでしたので、今年は、長野市へお招きすることにな
ったものです。

 11月1日(土)の午前10時30分に長野駅に集合していただ
き、マイクロバスで市内視察に出発。市の部長の案内により、中心
市街地と善光寺、松代をご覧いただき、そして“ながの御穀膳”を
ご賞味いただきました。本当はもっと自然豊かな田舎の風景に親し
んでいただこうかとも考えたのですが、長野市へお招きする1回目
の会でしたので、ばっちり“おのぼりさんスタイル”で実施させて
いただきました。
 中心市街地では、車中からもんぜんぷら座やトイーゴを、徒歩で
ぱてぃお大門を案内させていただき、そのまま歩いて善光寺参拝へ。
善光寺では、昨年度末に修復工事が終わった善光寺山門にも登楼し
ていただきました。松代では、松代荘で“ながの御穀膳”を味わっ
ていただいた後、文武学校や山寺常山邸、象山地下壕(ごう)など
をご覧いただき、長野駅までお送りして解散となりました。

 この日、お越しいただいた皆さんには、今まで知らなかった長野
市を知ることができたということで、おおむねご好評をいただきま
した。中心市街地のことはご存じの方も多かったのですが、ぱてぃ
お大門は興味深く見ていただきました。修復成った善光寺山門への
登楼は、私も子どものころ以来で感激でしたが、皆さんはおそらく
初めてでしたから、きっと印象に残ったことと思いますし、松代荘
の“ながの御穀膳”については、1,000円という価格を聞いて
「安い!今日は応援団が来たので特別メニューですか」といった質
問もあり、「そんなことはありません」という支配人の話に感心し
ておられました。

 応援団の皆さんには、このような機会にご意見やご提言をいただ
いているほか、さまざまな形で長野市を応援していただいています。

 AOKIホールディングス社長の青木擴憲さんからは、「長野か
ら総理大臣を出そう」プロジェクトの提案をいただきました。教育
委員会が事務局を引き受け、私も含めた選考委員会を開き、4人の
高校生や中学生を選抜させていただきました。選抜された皆さんは、
すでに1年間の研修に入っています。
 青木社長さんのこのご提案は、一見突拍子もないご提案ですし、
出していただくお金も半端ではありません。しかし、今の時代、こ
のような発想も必要ですし、何よりも長野の子どもたちにとっては、
素晴らしいプレゼントだと思っています。

 ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日本支社長の高野
登さん、良品計画社長の金井政明さんには、長野市の管理職研修の
講師を務めていただき、職員に感銘を与えていただきました。私は
講演をお聴きできなかったのですが、金井社長さんとは、昼食を食
べながら、景気動向や良品計画の会社経営の神髄を少し聞かせてい
ただきました。

 また、慶應義塾大学准教授の眞田幸俊さんには、眞田家第14代
当主として真田十万石まつりにご参加いただいていますし、千葉大
学教授の夏目雄平さんには、生涯学習センターで「子どもの科学」
と題してご講演いただいたり、出版された著書の中で長野市をご紹
介いただいたりしています。

 弁護士の北村晴男さんには、今年3月に横浜市で開催した「おい
でよ長野」キャンペーンの際に、トークセッションへご参加いただ
きましたし、広報アドバイザーの飛田紀久子さんには、市の長野駅
善光寺口整備計画検討委員会の委員にご就任いただいています。東
京都副知事の猪瀬直樹さんには、「広報ながの」に掲載する特集記
事のためのインタビューに応じていただき、長野への応援メッセー
ジを発信していただきました。

 さらに、東京大学教授の松木則夫さんには、ご自身のホームペー
ジから長野市のホームページへのリンクを設定していただいたり、
そのほかメンバーの方々のホームページやブログなどで長野市との
かかわりを取り上げていただいたり・・・というように、枚挙にい
とまがありません。

 応援団の皆さんにこのような活動をしていただくことは大変あり
がたいことです。とにかく影響力のある方々ですから、これからも
さまざまな機会で長野市をPRしていただけるとうれしく思います。
 今後についてですが、応援団の範囲を首都圏に限らず、中京圏、
関西圏などに広げること、活躍されている分野も広げていけたら
・・・そんなことも考えています。

 応援団の話とは別ですが、サッカーのAC長野パルセイロが、福
岡県で行われた全国地域サッカーリーグ決勝大会の一次リーグに出
場し、4チームでのリーグ戦に臨むことになったということは、先
月のメルマガでもお知らせしました。
 結果は、大健闘したのですが、2勝1敗で、残念ながら優勝を逃
してしまいました。勝負に“たら”“れば”は禁句ですが、本当に
あともう一歩のところだったと思っています。惜しい逸機が幾つか
あり、特に最終戦バンディオンセ加古川との試合は、前半2点のリ
ードを守りきれませんでした。勝てると思って、硬くなってしまっ
たのでしょうか・・・「負けた」というメールをもらったときは、
がっくりして何もする気になれませんでした。本当に残念です。

 ですが、サポーターの皆さんは熱心に応援してくださったとのこ
とです。チームが募集した応援ツアーの参加者は30人ぐらいだっ
たそうですが、自家用車などでさらに50人ぐらいの応援団が駆け
付けてくださり、4チームの中では圧倒的に遠距離なのに、応援団
の数は一番多かったとのこと、頭が下がります。

 今年は、絶対にJFL(日本フットボールリーグ)に昇格できる
と信じ、最後まで頑張って、勝てる寸前までいっただけに、後遺症
が心配です。今後、来期に向けてどういう体制をつくるか、選手・
スタッフの気力が盛り上がるか、応援態勢も大丈夫か・・・チーム
も正念場を迎えることになりますが、何とか気力を振り起こしてほ
しいものです。

2008年11月27日木曜日

不況対策(3)


 3回目の今回は、以前から考えていたことも含め、麻生首相の緊
急経済対策発表以来、私なりに勉強させていただく中で考えてきた
ことを、少しおこがましいかもしれませんが書かせていただきます。

 少し前になりますが、読売新聞に「市場大波乱 どう立ち向かう」
と題した連載記事で、3人の識者の見解が掲載されていました。今
回のメルマガの序論として、その一部をご紹介したいと思います。

リチャード・クー氏(野村総合研究所主席研究員)
 「日本は株価が急落する一方で、円相場は高くなっている。株と
 為替が両方とも下落して苦境に陥っている多くの海外諸国よりま
 だまし。世界は日本経済を『まだ余力がある』と見ており、円高
 は、『世界の経済がおかしい時は円を買う』という動きの表れ。
 (麻生首相が首相就任時に日本経済は全治3年と発言したことに
 対して)この3年間、できることは何でもすべき。国内景気を回
 復させるには内需拡大が必要。このような景気後退の時に財政再
 建という選択肢はない。」

小島邦夫氏(経済同友会副代表幹事・専務理事)
 「今の株価は、日本の企業業績や金融システムの現状からはとて
 も説明できないほど安い。日本の経済危機ではなく、あくまで株
 式市場の危機ととらえるべき。円高も急激な変動は困るが、悪い
 ことばかりではない。原材料価格が相対的に下がり、コスト削減
 効果が出てくる。」

加藤寛氏(嘉悦大学長、元政府税制調査会長)
 「日本は欧米に比べて傷は浅い。必要以上に自信を喪失する必要
 はない。今回の金融危機をくぐり抜けた後、日本が世界のリーダ
 ーに立っている可能性もないわけではない。」

 この3人の方の説は、バブルの崩壊とそこから立ち直った経験を
もつ日本経済は、そんなに弱くはないし、今の状況は必ずしも悪い
材料ばかりではない。そして、必要な対策を講じてこの混乱を脱す
ることが必要、ということでしょうか。

 日本経済は弱くないということを裏付けるかのように、現在、日
本の企業は、史上空前の海外企業買収攻勢に出ています。例えば、
野村ホールディングスは、倒産した米国大手証券会社リーマン・ブ
ラザーズのアジア、太平洋、欧州、中東地域の部門を買収したそう
ですし、三菱UFJフィナンシャルグループも、米国大手証券会社
のモルガン・スタンレーに出資し、同社の筆頭株主になったといい
ます。
 このほか、医薬品や食品メーカーなども相次いで海外企業を買収
しているそうで、日本企業による海外企業のM&A(企業の合併や
買収)は、今年1月から10月までの累計で、前年同期の3.7倍、
過去最高とのことです。

 円高も進んでいます。確か、長野オリンピックの少し前だったと
記憶していますが、1ドルが90円を割ったことがありました。長
野冬季五輪組織委員会では、ドル建てで契約してあったスポンサー
料とテレビ放映権料が目減りしてしまうと、かなり慌てていたこと
を今思い出します。結果は、しばらくしたら円安に振れて、わずか
な損で済んだようでしたが・・・。

 基本的に、円高は日本の力が上がっているということですから、
喜ぶべきことと私は思います。確かに輸出産業はつらいし、外国か
らの観光客が減るかもしれないということなどで、短期的には厳し
い時代でしょう。今月17日発表された7~9月期の国内総生産
(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動を除いた実質で、前
期(4~6月期)比0.1%減、年率換算0.4%減となったとの
ことで、四半期連続でマイナスになったのは、約7年ぶりとのこと
です。

 ただ、輸出産業にとっても、輸入資材はあるはずですから、その
部分は値下がりするわけです。何年か前、円高が進んだころに、新
日鉄は、円が変動しても会社の利益には関係ないシステムにしてい
る、という新聞記事があったように思います。輸出と輸入の金額を
同じにすれば、理論的には可能ですよね。
 また、現に石油価格は、ひところに比べれば大幅に下がってきて
いますし、ほかの原料の価格も下がってきているようです。すでに
高い価格で輸入を決めている業種では、在庫がありますから、すぐ
には値下げできないでしょうが、長期的に見れば輸入価格は下がる
はずです。

 前述の加藤寛先生のおっしゃるように、一段落したら、日本が圧
倒的な強さを発揮して世界のリーダーになっている、そんな図式は
まんざら荒唐無稽(こうとうむけい)なことではないかもしれませ
ん。麻生首相の緊急経済対策が功を奏せば、日本経済の未来はそう
悲観したものではないようです。

 麻生首相が消費税増税に言及したことに批判も出ていますが、私
は、現在の国の財政状況を冷静に考えてみれば、たとえ選挙に不利
であっても、増税に触れること無しでは、無責任と言わざるを得な
いと考えています。

 昭和50年代のことですが、長野市長も務められた故夏目忠雄元
参議院議員が、赤字国債を出していることについて「申し訳ないが
赤字国債の半分はインフレにすることで実質的に消していく、半分
は利益を上げて税金で返す。それが原則だろう」とおっしゃってい
たことが思い出されます。でも結果は、そうならなかった。どうし
ても増税は必要なのです。

 麻生首相と自民党総裁選を争った後、経済財政政策担当大臣に就
任した与謝野馨さんは、その著作『堂々たる政治』の中で、「国は
巨大な割り勘組織」という主張をされています。
 与謝野大臣は、「勘違いされている方が多い気がしてならない。
国と自分を分けて考えがちな国民が意外と多いのではないか。実際
には、国民と国家はイコールのものだと私は思っている。民主主義
国家においては特にそうである・・・国と国民というのは、字句は
異なるが同義語だということを忘れがちだ・・・国家とは、国民が
割り勘で運営している組織にすぎない・・・国と国民は同義語だか
ら、国の借金というのは国民の借金である」と述べておられます。

 さらに、「2011年(平成23年)までに財政健全化の第一歩
を踏み出すという方針が決まった。借金の返済にめどをつけつつも、
社会保障などの制度も維持することになっている。この方針につい
てはそう異論はあるまい。ただし、そのためにはみんなでちゃんと
割り勘分を払わなければ、本当にこの国は支えられない。そこのと
ころをわかってもらわないと駄目だ」とも書いていらっしゃいます。
 私はこの“割り勘組織”という言葉に感心しましたし、国民一人
一人が自分の割り勘分を払うことの必要性がよく分かりました。

 そして増税の話ですが、私は消費税しか考えられない、いや、そ
れしかあり得ないだろうと思います。特に地方財政については、消
費税を中心にすべきです。
 個人市民税や法人市民税など所得に応じて課税させていただく税
は、景気に左右されて変動しますし、地域によって偏在しているこ
とも問題です。さらに、国に対し地方へ金を回せと言うだけでは難
しいでしょうから、法人も個人も含めて所得による税は国にすべて
お渡しし、その代わりに地方が必要とする財源は、消費税から配分
してもらうべきだと私は以前から主張しています。
 「地方共有税」というのと同じ発想かもしれませんが、税源とし
ての消費税は、地域による偏在性が少ないこと、極めて安定してい
ることが特徴でしょう。とにかく、住民サービスに直結している地
方としては、収入が不安定では困るのです。なにせ地方は、お金の
印刷機を持っていないのですから。

 以上、識者の方々の意見もお借りしながら、年来の私の主張を述
べさせていただきました。

2008年11月20日木曜日

不況対策(2)


 先週に続き、先月末に麻生首相が発表した緊急経済対策について
書かせていただきます。今週は、首相が一つ目として発表した国民
のための経済対策についてです。
 まず、麻生首相から発表があった対策の概要を、「新たな経済対
策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議」の報告書
から抜粋して、以下に記載させていただきます。

●生活者の暮らしの安心
 1.家計緊急支援対策
  (定額給付金支給、賃金引き上げの環境づくりなど) 2兆円
 2.雇用セーフティーネット強化対策
  (雇用下支え強化など)          3,000億円
 3.生活安心確保対策
  (介護従事者の処遇改善、出産・子育て支援、
   障害者・医療・年金対策推進など)    7,000億円
●金融・経済の安定強化
 4.金融資本市場安定対策
  (国際金融資本市場安定化に向けた国際協調推進など)
                       事業費記載なし
 5.中小・小規模企業等支援対策
  (中小・小規模企業資金繰り支援など)21兆8,000億円
 6.成長力強化対策
  (「成長力強化税制」導入、研究開発支援など)
                       1,000億円
●地方の底力の発揮
 7.地域活性化対策
  (高速道路料金引き下げ、強い農林水産業づくりなど)1兆円
 8.住宅投資・防災強化対策
  (住宅投資促進、公共施設耐震化推進など) 4,000億円
 9.地方公共団体支援策
  (地方公共団体の地域活性化取り組み支援など)
                       6,000億円

           合計       26兆9,000億円

 これらの対策のうち、現在は、定額給付金のことばかりが前面に
出て話題に上っていますが、ここで掲げたそれ以降の項目の方がも
っと大切なのではないでしょうか。日本の景気を何とかしようとす
る麻生首相の意気込みが表れていると思っています。
 そして、このような時は、何をやっても、「バラマキ」という評
が出ることは当然でしょう。でも、景気をよくするために急いで何
かやるとすれば、「バラマキ」しかないわけで、私は当然だと思い
ますし、よくこんなに考えられたものだと感心しています。
 ただ、若干言わせていただくとすれば、以下の6つです。

(1)1.家計緊急支援対策の「定額給付金」について
  麻生首相が対策を発表した時には、一世帯当たり6万円の定額
 給付と表現していましたが、先週になって内容が具体的になり、
 支給額は、一人当たり1万2,000円とし、18歳以下と65
 歳以上には8,000円を加算。所得制限を設けるかどうかは市
 区町村の判断に委ねることとし、所得制限を設ける場合の目安と
 して、所得1,800万円を下限とするということになりました。

  この定額給付金について私は、発表があった当初からすべての
 国民に給付するというのは疑問で、所得要件を設けるべきと思っ
 ていました。でも、地方自治体とすれば、その事務作業がとても
 大変なのは事実であり、現状では要件を設けることは難しいと思
 っています。ただ、年間1,800万円以上の収入がある人に、
 一人当たり1万2,000円を給付することにどの程度意味があ
 るのか、とも考えてしまいますが・・・。
  しかし、この給付金を支給することによって、ざっと見積もっ
 て長野市内だけでも50~60億円のお金が流れることになるわ
 けですから、これはとてもありがたいことです。文句を言うより
 もっと歓迎すべきであると思っています。

  なお、これは余談ですが、今月11日に行われた市の定例記者
 会見で、この定額給付金についてのやり取りを記者さんたちとす
 る中で、私は「本来払っていただくべき税金や水道料金が払われ
 てないものがあり、それを差し引かせてもらえるとありがたい」
 という趣旨のお答えをしました。
  ところが、この発言が思わぬ波紋を呼んだようで、東京のテレ
 ビ局から取材の申し入れをいただくことにもなってしまいました。
 このお申し入れはお断りしたのですが、インターネットの掲示板
 でもかなりの量の書き込みがあったようです。ざっと目を通して
 みたのですが、さまざまな意見がある中で、私の発言に賛同する
 意見も随分あったように感じました。もちろん給付金の趣旨と異
 なることは承知していましたが、私とすればごく一般的な発想と
 思っていましたので、この反響は少々意外でした。

(2)3.生活安心確保対策の「介護従事者の処遇改善」について
  介護報酬の改定により介護事業者の処遇改善を図り、介護に携
 わる人材を増やすが、これに伴う介護保険料の急激な上昇は緩和
 するとのことです。介護報酬額は、介護保険制度の改正のたびに
 下げられてきており、介護事業で働く人が生活していけないと言
 って、転職していることは事実ですから、超高齢社会における政
 策としては必要であり、良かったと感じています。ただ、一時的
 な処置では困ります。

(3)5.中小・小規模企業等支援対策について
  中小企業の資金繰り対策ということで、信用保証協会による緊
 急保証枠を新たに14兆円追加するとともに、政府系金融機関に
 よる貸付枠を7兆円追加するとのことです。今回の緊急対策全体
 の中で、事業費の約8割を占めるのがこの項目であり、もっとも
 重要な対策であると言えるのでしょう。

(4)7.地域活性化対策について
  「高速道路料金の値下げ」や、強い農林水産業づくりについて
 は、内容のすべてが明らかになっているわけではありませんし、
 民主党案の丸のみと言えないことはないのでしょうが、意外な効
 果を表すかもしれません。大いに期待したいと思います。

(5)9.地方公共団体支援について
  これも内容がまだよくは分かりませんが、ありがたいことです。
 ただ、いろいろな制限があり地方の自由にならない“ひも付き”
 でないこと、そして地方負担がない100%補助であることを願
 うのみです。

(6)3年後、消費税を上げるということも言及されています。こ
 れは、やむを得ないことであり、麻生首相だけでなく、誰が首相
 をやっても触れざるを得ないことで、そのことに言及することは、
 絶対に必要だと私は思っていました。

 「ふるさとNAGANO応援団」のお一人で、ジャーナリストの
花岡信昭氏は、ご自分のメルマガで、福島県相馬市長の次のような
コメントを紹介しておられます。
 「私は景気対策をするなら、この際地方の社会資本整備を進める
ことを提唱したい。イノベーション(技術革新)に対する投資も中
長期的に見れば確かに必要だが、短期的な経済効果が得られ、中長
期的には地方の生産基盤の強化につながる政策が求められると思う。
国際経済低迷の不安を我々地方都市に投影すれば、避けられないで
あろう企業の収益減や労働分配の低下を政策的に緩和し、企業の業
績好転も含めた将来への希望を企画するという意味でも、港湾や幹
線道路などの社会資本の整備を今こそ急ぐべき時代である。」

 私もこの提案にほぼ賛成です。今年の秋口のことですが、私は、
ご案内をいただいた自民党、民主党、公明党それぞれの県連大会に
出席させていただきました。その時、私から申し上げさせていただ
いたことは、「景気浮揚を図るなら、中途半端な規模では駄目。最
大限の規模にすべきである。“兵力の逐次投入はいましむべし”と
いうことわざがある」ということです。
 公共事業悪玉論が行き過ぎてしまった結果、地方の道路、下水道
を含め、社会資本の整備は、市民の要望が高いにもかかわらず、随
分遅れていると言わざるを得ない。地方建設業界の不況感は、働く
人員が多い業界だけに厳しい場面を迎えています。

 それともう一つ、公共事業は、国が予算をつけてくれた場合に、
必ず地方負担が生じる仕組みになっており、これが地方自治体にと
って大きな負担になっています。あわせて、国の予算はハードだけ
が対象になっていて、ソフトは対象にならない。言い換えれば、修
理費、改修費などメンテナンスや利便性を上げること、あるいは必
要な人材を雇用することには、直接的な予算がつきません。
 使い勝手がよく、地方にとって真に必要なことに使えるような支
援をお願いしたいと思っています。

 以上、2回にわたり、麻生首相が発表された緊急経済対策につい
て、私なりの感想を述べさせていただきました。
 次回は、今回書かせていただいてきたこのテーマの将来展望も含
め、少しまとめてみたいと思います。

2008年11月13日木曜日

不況対策(1)


 先月末、麻生首相が、自ら、不況克服のための緊急経済対策を発
表しました。「現在の経済は、100年に一度の暴風雨が荒れてい
る。金融災害とでも言うべき、アメリカ発の暴風雨と理解している
・・・」という冒頭発言に始まる言葉は、基本的には地方自治体に
身を置くわれわれの認識と一致していると感じています。

 国家経済は国政で対応すべき問題であり、地方自治体が意見を言
うことは犬の遠ぼえみたいで、私はあまりしたくない、地方自治体
は所与の条件の中で最大限の努力をすべきなのだ・・・と考えてい
ますが、今回は、地方自治体にとっても大きな影響があることです
ので、あえて書かせていただきます。

 本年6月に、3回にわたって「お金を「おもちゃ」にした“つけ”
はどうなるの?」と題して、このメルマガでサブプライムローン問
題を取り上げたことを覚えていただいているかもしれません。今回、
麻生首相が緊急経済対策を発せざるを得なかった問題の根源は、こ
のサブプライムローンにあることは事実でしょう。でも、私がメル
マガ原稿を書いた6月の時点では、まだ、国際的な金融世界の問題
で、実体経済にどんな影響が出るかはよく分かっていませんでした。

 当時は、世界的な株式相場の減速がきっかけで、原油を筆頭に、
食料などの資源価格が暴騰するという事態に遭遇していました。こ
れは、株に投資していた資金が、株は駄目だということで原油や食
料に向かったとか、中国やインドなどの新興国家の経済が発展して
資源を大量に使うようになった、などと説明されてきましたが、本
年9月、問題の震源地である米国の大手証券会社リーマン・ブラザ
ーズの破たんを引き金にして世界同時株安が加速し、ついに実体経
済に深刻な影響が出始めたということでしょう。

 今までは、景気が悪くなると、企業の業績や雇用の問題はもちろ
んですが、「今後、地方の税収が減るだろうなあ」と、地方自治体
としての収入面を心配していました。今回は、どうもそれだけでは
済みそうもなく、地方自治体にも具体的にいろいろな影響が出てき
そうな様子です。6月の時点でメルマガに書かせていただいた意見
は、今でも特に変える必要はないと思っているのですが、現在の事
態が6月に書かせていただいた内容の延長上にあるということもあ
り、もう一度、書かざるを得ないと考えました。ですので、今回は、
その続編ということでご理解ください。

 10月に入って、景気が急速に落ちてきたようです。先日、ある
会社の社長さんとお話しする機会があったのですが、その際の話で
は、「当社の9月末の中間決算は増収増益で好調。でも10月に入
ってから急速に悪化している」とのことでした。普通の企業にとっ
ては、9月末の中間決算ですら相当深刻なのに、それ以後、急速に
悪化しているということですので、来年3月の決算数字はもっと悪
くなる可能性が高いと予想され、心配です。
 それまで好調であった業績が、10月に入って急に悪くなること
は、考えにくいと思うのですが、景気は、心理的要素が大きいとも
言われていますので、サブプライムローン問題に加え、証券会社や
銀行の破たん報道が続いて、もしかすると日本も・・・そんな心理
が働き、買い控えや設備投資の抑制など、景気後退への動きが出て
きたのでしょうか。

 麻生首相は、「選挙より経済」として、予想されていた総選挙を
延期しての緊急経済対策の発表となりました。ねじれ国会の下です
から、すぐできる政策と、国会の議決に時間を要する政策がありそ
うですが・・・確かに過去に例を見ない大掛かりな政策であると私
は感じました。

 麻生首相の発言を追っていくと、対策は大きく分けて二つです。
 一つ目は国内でできること。それは生活者の安全保障であり、金
融の安定ということで、考えられる限りの大胆な対策を、経済対策
としてまとめた、とのことです。
 二つ目は、国際的にしなければならないことで、金融安定化のた
めに、国際協調を進める、とのことでした。

 私は、ここで不思議に思うことがあります。一つ目のことについ
ては、報道各社や政党関係、経済団体などのコメントがいろいろな
角度から、論じられており、分析がされていますが、二つ目につい
てはどこも取り上げていないように思うのです。
 私は、麻生首相の記者会見の中継をテレビで拝見していて、二つ
目の部分に“なるほど”と感じたのですが、その後の新聞報道に全
くと言っていいほど現れてこない、これは変だと思っています。根
源的な問題ですから、もっと解説なり、批評があってしかるべきで
はないでしょうか。
 実は、このメルマガを書くために、新聞報道を改めて見返してみ
たのですが、二つ目として発言があった経済対策の内容は、とうと
う発見することができませんでした。仕方がないので、インターネ
ットで首相官邸のホームページを開き、記者会見の項目の中からよ
うやく見つけることができたのです。

 私はあえて、麻生首相のおっしゃる二つ目から考えてみます。

 金融機関に対する監督と規制の国際協調体制について、サブプラ
イムローン問題に端を発した金融危機の問題には、以下の三つの問
題があると、麻生首相は指摘しておられます。
(1)貸し手側が行ったずさんで詐欺的な融資
(2)証券化商品の情報が不透明
(3)格付け会社の格付け手法に対する疑問
これらのことは、失礼ながら、私が6月のメルマガで指摘させてい
ただいたことと同じであり、当然のことです。

 麻生首相は、「こうした証券化商品が世界中の投資家の投資の対
象になったことで、危機が全世界に広まってしまった。金融機関と
いう、本来、厳格な規制が必要とされる分野で、ここまで大きな問
題点を見過ごした監督体制について、反省すべきである」というこ
とを指摘しておられます。そして、「このことは、各国当局がおの
おの監督を行う仕組みでは不十分で、いかに国際協調を構築するか
が大切で、金融に関するいわゆる首脳会議において議論をしよう」
と主張しておられます。

 私は、麻生首相の意見には大賛成です。が、仕方ないことではあ
りますが、表現が随分穏やかすぎると感じています。米国の責任を
もっと糾弾してもよかったのではないでしょうか。補償を求めても
良いぐらいです。倒産したリーマン・ブラザーズの最高経営責任者
は昨年、最も優れた経営者として表彰されているのだそうです。冗
談でしょうと言いたいところですし、金融工学と称する経済分野で
ノーベル賞を取った学者さんも、確かアメリカ人だったような記憶
があります。

 続いて、格付けの在り方についても指摘しています。「格付け会
社は、債権市場発展には不可欠なインフラであるが、深刻な問題が
あったことは否めず、世界的な金融不安を増長した。こうした影響
力を有する格付け会社に対する規制の在り方がどうあるべきか、ま
た、アジアなどローカルな債権の格付けを行う地場の格付け会社を
育成する必要がある」と主張し、これも国際会議の場で議論したい
とおっしゃっています。

 この点について、私は納得がいきません。格付け会社は「債権市
場発展に不可欠なインフラ」という認識がどうも分かりません。格
付け会社というのは、要は投資会社が自己責任を放棄して、安易に
投資ができるようにするためにあるのだと私は思っていますから、
そのようなものは不必要ではないかと考えています。投資会社は、
自己責任で投資先を調査して、自己責任で投資すべきということは、
当たり前ではないでしょうか。

 さらに、会計基準の在り方についても言及しています。「今回の
ような金融市場が大きく乱高下する状況において、すべからく時価
主義による評価損益の計上を要求することが、果たして適切だろう
か。時価主義をどの範囲まで貫徹させるべきか、さらに有価証券を
売買するか、また、満期まで保有するのかによって、いかなる評価
方法が適切であるのか。国際的な合意を目指して議論したい」との
ことです。

 この点についても、私は疑問があります。有価証券は変動する商
品ですから、時価をきちんと把握しておくことは、正しいと思って
います。まあ、売買用の証券か、保有用の証券かを分けて、保有用
については何らかの対策をとるような合意はなされるかもしれませ
んが、あくまで時限立法の範囲にしておくべきではないでしょうか。

 以上が、麻生首相が発表された二つ目の経済対策についての私の
感想です。
 次回は、一つ目の対策について、新聞報道などを参考にしながら、
書かせていただきます。

2008年11月6日木曜日

元気なまち「長野」の秋10月のイベント(2)


 先週に引き続き、この秋、市内で行われたいろいろなイベントに
ついて、私が出席させていただいたものを中心にご紹介させていた
だきます。

・10月5日(日)「ノーレジ袋店頭強化キャンペーン」
 「ながの環境パートナーシップ会議」の皆さんが取り組んでおら
れるこのキャンペーンに、長野商工会議所の加藤会頭さん、市議会
福祉環境委員会の議員さんと一緒に参加させていただき、店頭でチ
ラシを配ってPRしました。
 全国地球温暖化防止活動推進センターによると、レジ袋や過剰包
装を断ることで年間に一世帯当たり58キログラムの二酸化炭素の
削減になるとのことです。一人一人にとってはわずかな量でも、多
くの皆さんに取り組んでいただくことが大きな成果につながります。
市民の皆さんに少しでもご理解いただき、ご協力いただければと思
います。

・10月10日(金)、11日(土)「産業フェア in 善光寺
 平 2008」
 長野法人会を中心に、長野市を含む3市1村、県テクノ財団善光
寺バレー地域センター、信州大学など、産・学・官の積極的な連携
により開催しました。「地域ブランド」とも言えるさまざまな産業
や企業を紹介し、その技術や製品を広くPRすることで、販路開拓
や新事業の創出を進めていこうとするもので、加えて産業の担い手
となる学生層の関心を高め、雇用にもつなげることを目的にしてい
ます。
 いろいろなセミナーをはじめ、個別マッチング商談会、信州「食」
の商談会、企業ブース出展など、直接ビジネスに結びつくプログラ
ムに加え、サイエンスショー、エコな乗り物試乗コーナー、産業ク
イズラリー、長野高専ロボットパフォーマンス、おもしろ“ものづ
くり”体験ランド、そば打ち教室など、市民の皆さんにもお楽しみ
いただけるイベントがたくさんありました。

・10月11日(土)「2008長野市農業フェア in エムウ
 ェーブ」
 この「農業フェア」は、生産者と消費者、市民が、一緒に農林産
物の収穫を祝い、地元で採れたものを地元で味わう喜びを分かち合
うことを目的に開催しているもので、今年のテーマは「安全・安心
!!とれたてNAGANO 大集合」でした。今年の農作物の生育
状況は、大きな災害もなく、これまでのところ順調で、価格の低迷
が心配されるものの、文字通り「豊作の秋」を迎えたとのことでし
た。
 毒入りギョーザや事故米の不正規流通問題、ミルクへの有害なメ
ラミンの混入事件など、「食の安全」に対する信頼が失われかねな
い昨今の食糧事情の中で、安全で安心な農林産物による地産地消の
拡大は、ますます重要になっていることを痛感します。
 今回は特に、「長野市地産地消推進協議会」に参加いただき、地
産地消特選コーナーを設けて、地元食材を利用した料理と試食など
で地産地消をアピールする試みも行われました。

・10月12日(日)「松代藩真田十万石まつり」
 鎧兜(よろいかぶと)を着用し、白馬に乗って、松代町内を練り
歩きました。真田家14代当主の真田幸俊さんも真田信之役で参加
され、私は真田幸隆役で参加させていただきました。大勢の観客の
皆さんの声援をいただきながら、馬上から見る松代のまちは、いつ
もと違う目線で見るせいでしょうか、また違った楽しさがありまし
た。

 同日、長野駅前で「如是姫(にょぜひめ)まつり」、中央通りで
は「2008善光寺表参道秋まつり」が行われました。私は、松代
で馬に乗って行列に加わっていましたので、残念ながら参加できず、
副市長や部長に代わってもらいましたが、大変なにぎわいだったと
報告がありました。

・10月18日(土)「ながの花と緑大賞2008表彰式」
 花と緑に囲まれた潤いのあるまちづくりを進めることを目的に、
市民の皆さんの優れた花づくりや緑化活動を顕彰するもので、今年
も多くの皆さんから応募をいただきました。
 この日は、「緑化活動」、「花づくり(個人の部・団体の部)」、
「事業所緑化」、「緑の写真」の部門ごとに、作品を映像で拝見さ
せていただきながら、入賞された方々に私から賞状と賞金をお渡し
させていただきました。
 長野市は、四方を山に囲まれていますので、緑には恵まれている
ように感じがちですが、市街地を見ると意外に緑が少ない状況です。
入賞された皆さんをはじめ、賞にご応募いただいた多くの皆さんの
活動から、花と緑の輪が大きく広がっていくとうれしく思います。

 同日、「永井由比フルートコンサート」が若里市民文化ホールで
開催されました。このコンサートは、日ごろクラシック音楽に触れ
ることが少ない方にも気軽にお出掛けいただけるよう、市の音楽文
化活性化事業として平成18年から毎年企画しているもので、3回
目の今年は、桐朋学園芸術短期大学非常勤講師でフルート奏者の
永井由比さんをお招きして開催したものです。
 私は、コンサートに出掛けることはできなかったのですが、17
日(金)に市長室で永井さんとお話しさせていただく機会がありま
した。市長室では、ごあいさつのように、突然フルートで一曲演奏
してくださり、予期しない出来事に少し驚きましたが、とても澄ん
だきれいな音色で、心地よいひとときを味わいました。

・10月25日(土)、26日(日)「全国路地サミット2008 
 IN 長野」
 全国各地から200人余りの参加者をお迎えし、6回目となるサ
ミットが善光寺界隈(かいわい)や松代の路地を舞台に行われまし
た。私は、交流会で開催市市長としてあいさつさせていただき、そ
の後、しばらくの間、路地の魅力を熱く語る皆さんとご一緒させて
いただきました。長野には、大林宣彦監督撮影の映画「転校生」や、
吉永小百合さん出演のテレビCMでも取り上げられた善光寺門前町
の路地、また、松代の閑静な武家屋敷や町屋など、味わい深い空間
がたくさんあります。ぜひ、市民の皆さんにもまち歩きの魅力を楽
しんでいただきたいと思いました。

 まだまだ、たくさんありそうですが・・・あまりに多すぎてご紹
介し切れなかった部分もあります。お許しください。

 なお、今年は、本年度の観光キャンペーン「飯綱高原イヤー」を
実行委員会の皆さんと共に繰り広げています。このキャンペーンで
は、「オトナリ高原いいづな」というとても親しみのわくキャッチ
フレーズとともに、4月から、音楽や自然観察、農業体験など、さ
まざまなイベントが開催されてきました。

 私は、4月に行われたオープニングセレモニーをはじめ、「飯綱
火まつり」、先週ご紹介した「NAGANO飯綱高原健康マラソン
大会」などに参加させていただきましたが、実行委員会の精力的な
取り組みで、数多くのイベントが、毎週のように開催されています。
 10月26日(日)には、多くのボランティアの皆さんの協力に
より、5月から大座法師池近くに建設していた飯綱高原ビジターセ
ンター「オトナリハウス」が完成したそうです。今後、ここを訪れ
る観光客と地元の人が交流する拠点として、さまざまな利用が期待
されるところです。
 これからも、まだまだ、たくさんのイベントが予定されています。
ぜひ、皆さんも「オトナリ高原」へ足を運んでみてください。

 「長野では、毎日どこかで何かやっているよ」と言うことができ
るまちにするのが目標です。でも、そこまではなかなか難しいので
しょうが、「元気なまち」を目指している私とすれば、少しずつで
はありますが、実現していると信じています。

2008年10月30日木曜日

元気なまち「長野」の秋10月のイベント(1)


 長野の秋は、一年で最も良いシーズンといわれています。確かに
秋は、いろいろなイベントが行われ、活気づいているように感じま
す。9月末に開催されたイベントも含めて、今回は、思いつくまま
に、そして概略だけですがご紹介します。
 まずは、スポーツの話題からです。

・9月28日(日)「第21回長野県日中友好武術太極拳フェスティ
 バル」
 ビッグハット一面に大勢の方々が演技しておられました。数千年
の歴史があるといわれている中国武術のうち、特に太極拳は伸びや
かで大きく、ゆったりとした動きで高齢者でも体力に応じて親しめ
る健康法として、県内でも愛好者が近年増加しているそうです。
 昭和50年ごろ、私が初めて中国へ行った時、街角や公園、空港
待合室などでゆっくりとしたリズムで演じている人を見て、なるほ
ど、太極拳は中国の国民に浸透しているのだなあと感じたことを思
い出しています。実は、会場に行って初めて知ったのですが、私と
普段お付き合いがある方もこのフェスティバルに参加されていたの
です。そうとは知らずにいましたので、私はびっくりしたのですが、
健康に良いということからでしょうか、長野でも太極拳が浸透して
きているようです。

・10月5日(日)「NAGANO飯綱高原健康マラソン」
 市制90周年を機会に始まったイベントで、今年で22回目にな
ります。市内外から800人を超える多くの皆さんに参加いただき
ました。遠くは兵庫県からの参加もあり、また参加された方の中で、
最高齢者は75歳ということでした。本年度の観光キャンペーン
「飯綱高原イヤー」とも連携して、秋風さわやかな飯綱高原で、楽
しい大会になりました。

・10月11日(土)、12日(日)「第3回全日本フロアホッケ
 ー競技大会」
 この大会は、3回目を迎えるのですが、今年もホワイトリングで
開催されました。2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大
会でフロアホッケーの会場となったホワイトリングは、まさに日本
のフロアホッケー発祥の地です。障害の有無や年齢、性別を問わず
に楽しめるスポーツとして、少しずつ愛好者が増えているようで、
小中学生のチーム、社会人チーム、アスリートチーム・・・多くの
皆さんが参加されました。さらに普及して、将来もっと大きな大会
になるとうれしいですね。

・10月18日(土)「2008ながの中学駅伝大会」
 南長野運動公園のオリンピック聖火台を基点に、千曲川堤防道路
などを利用した素晴らしいコースが設定され、市内をはじめ、県内
各地からの参加校、そして招待チームの駒ヶ根市立東中学校を含め、
女子チーム29校、男子チーム32校が参加した盛大な大会になり
ました。昨年はプレ大会を開催し、今年は本番、十分な準備をして
の大会で、熱戦が繰り広げられました。
 長野県は、過去13回の全国都道府県対抗男子駅伝競走大会で4
度の優勝という素晴らしい成績を挙げており、駅伝王国といっても
よいかと思います。ただ、中学生が経験する機会は限られていまし
たので、この大会を開催することになったものです。
 結果は、男女とも招待チームの駒ヶ根市立東中学校が優勝しまし
た。さすが招待チームだと感心しましたが、来年以降は、長野市内
の中学校の奮起を期待したいですね。

・10月19日(日)「長野市地域公民館連絡協議会連合会 女子
 バレーボール大会」
 毎年、長野運動公園の総合体育館で行われている大会です。私は、
始球式でサーブを打たせていただいているのですが、今年はちょっ
と失敗、1本目は相手コートに入りませんでした。お恥ずかしい限
りです。ただ、各地域公民館から選ばれて参加した女性選手の皆さ
ん、大変上手な方が多く、もはや素人ではないなあと感心しました。

・10月24日(金)~26日(日)「SBC杯第15回全日本ス
 ピードスケート距離別選手権大会」
 今シーズンの幕開けとなる大会で、ワールドカップの前半戦とユ
ニバシアード冬季競技大会の日本代表選手の選考を兼ねた重要な大
会でした。私は、女子500mの競技を見させていただいたのです
が、新谷志保美選手や加治木彩選手など市内の企業に所属する選手
が出場しており、とてもうれしく思いました。エムウェーブを拠点
に、さらに多くの選手が育ってほしいものです。
 そして、私が観戦した日は、約1,000人もの方が観客として
入場されていたとのことでしたが、スタンドは6,500席もあり
ますので、少しさびしい気がしました。ぜひ、ここを満席にして選
手の皆さんをお迎えしてみたい・・・そんなことも考えながら競技
を見させていただきました。

 最後に、長野市で行われたイベントではありませんが、大きな朗
報がありましたので、付け加えさせていただきます。
 第44回全国社会人サッカー選手権大会が、10月17日(金)
から22日(水)までの6日間、新潟県の新潟市、新発田市、聖籠
町で開催され、AC長野パルセイロが激戦を制し、見事初優勝を飾
りました。
 試合終了後、「勝った!」というメールをもらい、本当にうれし
かった。長野県勢としてはもちろん、北信越リーグのチームとして
も初の全国制覇ということです。

 この大会では、10月18日(土)から22日(水)まで、5日
間連戦したのですから大変です。ちなみに、相手チームと試合結果
を書いてみますと、
 18日 1回戦  対 矢崎バレンテFC 1-1 PK4-3
 19日 2回戦  対 クラブドラゴンズ 4-0
 20日 準々決勝 対 佐川急便中国   4-0
 21日 準決勝  対 ホンダロック   4-0
 22日 決勝   対 NECトーキン  2-1
という成績でした。パルセイロの選手層が厚くなって、連戦に耐え
る力が付いてきたから勝てたとのことです。

 でも、本番はこれからです。すなわちJFL(日本フットボール
リーグ)昇格をかけての「全国地域リーグ決勝大会」が始まるので
す。この大会には、9つの全国地域リーグの優勝チーム、全国社会
人サッカー選手権から2チーム、一部の地域リーグの2位のチーム
など、全部で16チームが集まり、北九州市、鳥取市(2会場)、
高知市に4チームずつ4組に分かれて、11月22日(土)から
24日(月)までの3日間でリーグ戦を行います。従って3連戦で
す。

 パルセイロは、強豪チームぞろいの組に決まったそうで、22日
がホンダロック(社会人サッカー選手権3位、九州リーグ3位)、
23日が沖縄かりゆしFC(九州リーグ1位)、24日がバンディ
オンセ加古川(関西リーグ1位)との戦いになります。今回、前評
判が一番高いチームがバンディオンセ加古川。ほかの2チームも九
州リーグでの評判が大変高いチームだそうです。
 まさか、こんな組み合わせになるとは想像していなかった、とい
う声もパルセイロ関係者から漏れてきました。でも、パルセイロは、
全国社会人サッカー選手権大会の準決勝でホンダロックを4対0で
一蹴(いっしゅう)しているのですから、相手にとってもパルセイ
ロは脅威でしょう。会場は北九州市の本城陸上競技場です。

 そして、それぞれの組で1位になった4チームが、11月28日
(金)から30日(日)にかけて、沖縄県石垣市で行われる決勝ラ
ウンドのリーグ戦に出場することになります。当然のこと、こちら
も3連戦です。連戦に耐えられるチームの厚みが大切になるでしょ
う。
 ここで1位または2位になると、JFLへの昇格が自動的に決ま
り、3位はJFLの最下位チームと入れ替え戦を行うことになるの
だそうですが、この辺はJ1、J2、JFLの事情で変わってくる
ようです。例えばJFLからJ2へ昇格するチームが多ければ、J
FLへの昇格チーム数も増える場合もあるとのことですから、石垣
市での決戦に臨む4チームに残っていれば、昇格チャンスをつかむ
こともあるかもしれません。もちろん狙いは1位です。そうすれば、
文句なしの昇格です。

 それと、Jリーグに昇格していくためには、強さだけではなく、
いろいろな条件整備が必要になります。例えば、ホームグラウンド
の収容人員、行政の支援・・・。複雑な心境ですが、うれしい悩み
の種をぜひつくってきてもらいたいと思っています。
 来週は、スポーツ以外の話題を紹介させていただきます。

2008年10月23日木曜日

市長交際費の違法判決について


 長野市長の交際費に関し、9月25日、東京高等裁判所で一部の
支出が違法であるという判決が出されたことにつきましては、市民
の皆さまに、ご不快な思い、また、ご心配をお掛けしましたこと、
心からおわびいたします。
 ただ、今回の判決について、私としてはどうしても納得がいかな
い点も幾つかあるのです。しかし、訴訟を継続していくための時間
や労力などを考慮した結果、最高裁への上告はせず、違法と判断さ
れた事案7件、7万4,000円に遅延損害金を加えて、
8万4,190円を市に返還させていただきました。
 今回は、私の納得がいかない理由をお聞きください。

(1)まず、平成18年5月、住民訴訟が提起された事案は、62
  件、47万6,500円です。
(2)平成19年12月に長野地裁で判決があり、違法であると判
  断されたのは、そのうち7件、7万1,000円でした。詳細
  は次の通りです。
 1.北信政経会懇親会費 6,000円
 2.長野市交友会通常総会懇親会費(2人分)1万円
 3.長野市交友会市政懇談会懇親会費(3人分)1万5,000円
 4.宮司就任祝賀会費 1万5,000円
 5.長野県議会副議長就任祝賀会費 1万円
 6.すそばな会総会懇親会費 5,000円
 7.『名頭紋鑑』出版記念会会費 1万円

 この判決について、私なりに解説させていただきます。
 まず、提訴された62件のうち、違法であると判断されたのは7
件ですから、55件は違法性がないということです。そして、違法
であるとされた7件についてですが、
1.北信政経会の懇親会は、地元選出国会議員の衆議院議員選挙当
 選祝いと大臣就任祝いの会だったのですが、たまたま同じ時期に
 市長選挙も行われており、その案内状に私(市長)の当選報告会
 も兼ねるとされていたことがいけなかったようです。でも、ほか
 の議員さんの議長・副議長就任祝いにも出席しているのですが、
 こちらについては今回の長野地裁判決でも適法と認められ、また、
 同様の事例について最高裁判決でも適法と認められているのです
 から、この点についての判断基準があいまいだと思っています。
2.3.長野市交友会というのは、長野市職員OBの会であり、2
 回開催されました。会員の皆さんはすでに退職しているので、い
 わば外部の存在ということになります。その会合に、助役と収入
 役が私と同席して、会員の皆さんに行政の現状をお話し、意見を
 交わすことで、市政運営に必要なご助言をいただいたり、ご理解、
 ご協力をお願いさせていただいたりすることは、私は「公務」で
 あると思っていたのですが・・・疑問が残ります。
4.宮司就任祝賀会は、法務省が主唱する「社会を明るくする運動」
 の民間協力者であり、矯正業務に関して長野刑務所長表彰を受け
 ていらっしゃるなど、社会貢献されている方のお祝いをする会で、
 市内のホテルで行われました。しかし、政教分離という観点から
 すると、まずかったかもしれません。
5.長野県議会の副議長就任祝賀会も違法と判断されましたが、適
 法であるとする最高裁の判例が、現在の判断基準の趨勢(すうせ
 い)となっており、理解に苦しむところです。
6.“すそばな会”というのは、長野市職員の長野工業高校卒業生
 の会です。ところが適法とされた分に長野商業高校卒業生による
 “しらいわ会”が入っているのです。同じような会なのに、判断
 が異なるということは、一貫性が無いと言わざるを得ません。
7.出版記念会は、長野市技能表彰を受けた方が長い間努力をされ
 てできた本の出版で、長野市に関する貴重な記録と言えるでしょ
 う。問題になる理由がよく分かりません。

(3)このように、私としては、一審判決には全体的に事実が理解
  されていないと思われる点もあり、交際費の支出が違法になる
  かどうかの判断基準もはっきりしないと感じましたので、平成
  19年12月に控訴させていただきました。原告の方々も、附
  帯控訴ということで、28件、19万5,500円分を提出さ
  れましたので、合計35件について改めて判断を仰いだわけで
  す。
(4)平成20年9月、東京高裁で判決があり、35件のうち、7
  件、7万4,000円に違法性があるということで、額が
  3,000円増え、内訳も多少入れ替わりました。
 1.一陽会連合会総会懇親会費 3,000円(市議会議員立候
  補予定者の後援会で、一審では適法だったのですが、新たに違
  法とされました)
 2.北信政経会懇親会費(一審と同じく違法との判決です)
 3.長野市交友会通常総会懇親会費(一審で違法とされていた助
  役、収入役の会費に加え、新たに市長の会費5,000円も違
  法とされました)
 4.長野市交友会市政懇談会懇親会費(3と同様、新たに市長の
  会費5,000円も違法とされました)
 5.宮司就任祝賀会費(一審と同じく違法との判決です)
 6.すそばな会総会懇親会費(一審と同じく違法との判決です)
 7.出版記念会会費(一審と同じく違法との判決です)
  なお、長野県議会副議長就任祝賀会費については、適法とされ
 ました。

 今回、東京高裁の示した判断理由のうち、特に納得できない点に
ついて触れさせていただきます。

 市職員のOB会である長野市交友会には、総会と市政懇談会に出
席し、市政の状況についてあいさつさせていただいたり、講演させ
ていただいたりしました。当然、会員の皆さんは退職された方々で
あり、私の指揮監督権は及ばない、いわば外部の組織で、市政への
ご理解とご協力をお願いしたものです。
 しかしながら、東京高裁判決においては、会ないし会員の地域社
会における活動などについての具体的な主張立証がなく、地方自治
法第1条の2第1項に「地方公共団体は、住民の福祉の推進を図る
ことを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施す
る役割を広く担うものとする」と規定されている行政が、公費をも
ってお付き合いすべきであると客観的に見ることができるとは言い
難い、ということで、違法とされたわけです。でも、会員である職
員OBの皆さんは、区長など地元地区の役員に就いている方も多く、
行政には、大いに協力していただいているのです。

 “すそばな会”は、高校の同窓会であり、違法性がないとされた
“しらいわ会”とまったく同様の団体です。市役所内部の組織であ
れば、当然、交際費は支出しないのですが、これらの会には、市職
員のほかに学校長などの学校関係者、市議会議員も出席されていま
す。また、最高裁の判例では、学校の同窓会活動は外部の者が含ま
れるかどうかという点のみならず、それとは別の観点で「社会活動
の一つである同窓会活動を行う」という設立目的や会の活動自体か
らも外部性が認められているのです。

 このようなことを主張していたのですが、判断が示されなかった
と考えています。

 私は、正直なところ、非常に残念でなりません。金額が増えてし
まったからそのように言うわけではありません。もっときちんとし
た理由と、判断基準が欲しかったのですが、それがかなわなかった
ということです。
 今回の判断に対し、さらに判断を仰ぎたい気持ちもありますが、
時間と労力の問題、訴訟費用が公費でまかなわれること、そして市
民の皆さまにご心配をお掛けすることなどにかんがみて、上告をあ
きらめました。

 ただ、あいまいな判断であるが故に、私が従来、記者会見などで
主張してきたこと、すなわち「市長でなかったら出席しないであろ
う、市長であるがゆえに出席を求められる会合へ、市長として出席
依頼があった場合の会費は、市長交際費から支出する」ということ
を基本原則と考え、今後も対処していきたいと考えています。
 具体的には、平成18年4月に改定した交際費の執行基準に沿っ
て、政教分離の原則に反しないか、市の利益に資するものであるか
どうか、市長の指揮監督権が及ばない外部的なものかどうか、社会
通念上の儀礼の範囲かどうかなど、基本原則を踏まえつつ判例を参
考にしながら、個々具体的に判断することになると思います。もち
ろん、厳格に運用するとともに透明化を図り、執行状況のすべてを
市のホームページで公表していくことは当然です。

 最後に申し上げますが、今後、酒席を伴う会合だとしても、遠慮
させていただく予定はありません。と言いますのも、さまざまな会
に出席させていただき、市民の皆さまのご意見をお聴きして市政に
反映するとともに、私から市の政策などを直接ご説明させていただ
くことは、市長の重要な職務であると考えているためです。
 ただ、現在の私のスケジュールでは、出席されている皆さんとゆ
っくりお話しさせていただく時間をとることができないのも事実で
す。その意味では、会を主催されている方や出席されている方には、
かえって失礼になってしまっているのかもしれません。ですが、
「お酒は、和を大切にし、人と争わないように心掛けてきた日本人
の心」であるとおっしゃる方もいらっしゃいます。あらかじめ、中
座させていただくことをお断りした上ではありますが、私が出席さ
せていただくことで、市政に良い効果をもたらすのであれば、たと
え、酒席を伴ったとしても、出席させていただくことが良いのでは
ないかと考えています。
 今後も市民のため、長野市のため、臆(おく)することなく積極
的に市長職に取り組んでいく決意です。

2008年10月16日木曜日

「ふるさと納税制度」のご案内


 本年4月の地方税法の改正により、「ふるさと納税制度」がスタ
ートしました。この改正を受け、いずれの地方自治体も受け入れ態
勢を整えたり、寄付をしていただくためのさまざまな工夫をしたり
しています。

 「ふるさと納税制度」は、「ふるさと」を応援したいという納税
者の皆さんの思いを実現するため、応援したい市町村などに寄付を
していただくと、所得税と個人住民税から寄付額のうち5,000
円を超える額が軽減されるという制度です。つまり、本来はお住ま
いの自治体などに納めていただく税金の一部を、応援したい市町村
などに「寄付金」として“納税”していただくことができるのです。
 ここで言う「ふるさと」とは、現住所や戸籍などとはまったく関
係がありません。本市で言えば、長野市出身の方、転勤や就学など
で長野市に住んでいた方、観光で長野市を訪れたことのある方など、
どなたでもお申し込みいただくことができます。もちろん、現在、
長野市にお住まいの方でも良いのです。

 「ふるさと納税制度」の仕組みは、少し複雑ですが、具体的な例
として、総務省の公表資料によりご説明します。夫婦と子ども2人
の家族で、給与収入が700万円ある方が、仮に4万円の寄付をし
たとします。この場合は、所得税から3,500円、個人住民税か
ら3万1,500円、つまり5,000円を超える寄付金相当額で
ある3万5,000円の税金が軽減されることになります。
 ただし、税金の軽減を受けるためには、寄付をした翌年の3月
15日までに確定申告をしていただくことが必要です。また、軽減
される個人住民税は、税額のおおむね1割までとなっています。

 次に、長野市にいただいた寄付金の活用方法についてご説明しま
す。長野市では、昨年度からスタートした第四次長野市総合計画を
基に、次のとおり、7つの活用先メニューを用意しています。この
ようなメニューを用意したのは、いただいた寄付金の使途を明らか
にし、透明性を確保したいと考えているからです。

 7つの活用先メニュー
・「めざせ!金メダル!」
  長野オリンピック記念長野マラソン大会などスポーツ大会の開
  催や、地域のプロスポーツクラブの育成など、スポーツを軸と
  したまちづくりへの支援として活用させていただきます。
・「牛に引かれて善光寺参り」
  国宝善光寺と門前町の世界遺産登録に向けた取り組みや、城下
  町松代の歴史的な景観・街並みの保全など、歴史や文化財を生
  かしたまちづくりへの支援として活用させていただきます。
・「山あおく・水清き・ふるさと」
  豊かな森づくりと水源の保全、太陽光発電などの自然エネルギ
  ーの活用など、森林保全や環境にやさしいまちづくりへの支援
  として活用させていただきます。
・「おらほうへ、よってけさ!」
  都市と農村の交流活動の促進や、りんご・おやき・そばの特産
  品づくりなど、中山間地域での交流活動・魅力づくりへの支援
  として活用させていただきます。
・「世界に羽ばたけ!長野っ子」
  特色ある教育内容の充実や地域でのびのび育つ環境づくりなど、
  未来を担う子どもたちの人材育成などへの支援として活用させ
  ていただきます。
・「ふるさとの父・母へ」
  介護予防や介護サービスの充実、高齢者の生きがい・健康づく
  りなど、高齢者が地域で安心して暮らせる環境づくりへの支援
  として活用させていただきます。
・「市長におまかせ」
  上記の6つの応援メニュー以外で、市長が選定する政策などに
  活用させていただきます。

 この「ふるさと納税制度」が創設された経緯なのですが、この制
度は、昨年5月に当時の菅総務大臣が提案したことに始まっていま
す。当時は、大きく報道されていましたので、ご存じの方も多いと
思います。制度創設の理由の一つには、法人二税を中心とする税収
が、企業活動が活発な東京をはじめとする大都市に集中し過ぎたこ
とにより、地方間の財政力格差が拡大していることから、それを是
正するために税源調整を図るという目的がありました。

 また、従来から言われてきたことですが、地方では多額の公的負
担をして子どもたちを育てているが、いざ納税の段階になると東京
などの大都市に出て行ってしまう。この子どもたちが大都市で納税
した分を地方へ還元する何らかの対策が必要だ、との議論も行われ
たようです。
 このようなことも、今回の制度には織り込まれています(ただ、
長野市も含めて、自分の市からほかの市へ寄付金が行ってしまうこ
ともあるわけで、市町村の競争を引き起こす可能性もあります。そ
ういう意味では自治体のイメージも重要になるのでしょう。正直に
言えば、私は、この競争をあまりやりたくないと感じているのです
が・・・長い目で考えていくテーマかも知れません)。

 なお、この制度の名称は「ふるさと納税制度」となっていますが、
実際には、いわば寄付税制の改正です。日本人は、寄付という行為
に対してあまり積極的とは言えない、と以前から私は感じていまし
た。事実、日本の成人一人当たりに換算した寄付額は、英国の16
分の1、米国の50分の1という調査結果もあるようです。特に、
米国では寄付が多く、そのための制度も充実しているようですが、
これは、もうけたお金は社会に還元するという価値観、文化が浸透
していることの表れであるといわれています。

 今回の「ふるさと納税制度」の創設を契機に、日本でも寄付行為
に対する理解が進み、いわゆる寄付文化というものが育ってくれる
ことを大いに期待しているところです。そのためには、日本の税制
における寄付の考え方も大きく変えていく必要があり、この制度の
創設がそのきっかけになってほしいと思っています。

 ただ、一方では、納税者(寄付者)の自己負担となる5,000円
相当の地元特産品を贈っている自治体もあるようです。特典などを
付けて、より多くの寄付金を集めようというのは、それはそれで一
つの考え方だとは思います。しかし、制度の趣旨が、「ふるさと」
を思う心に根差した善意を期待していることを考えると、先ほどの
話のとおり、いくら都市間競争の時代とはいえ、私としては、こう
した形をとってまで競争したくないというのが本音です。
 5,000円という適用下限額を定めた本来の趣旨は、寄付金額
の多寡にかかわらず、市町村などがふるさと納税の手続きをする際
に事務経費が掛かることから、その分を配慮したということのよう
です。

 余談ですが、「エンジェル税制」という制度をご存じでしょうか。
 この制度は、今後、発展が期待されるベンチャー企業への投資環
境を整備し、企業を育成するために設けられたもので、国民のお金
を貯蓄から投資へ向けたい、という国の方針の一環として整備され
ました。
 現在、米国発の金融不安が世界を席巻し、大きな混乱を引き起こ
していますが、これは実体経済から乖離(かいり)した各種の金融
商品が開発され、破たんしたことが原因の一つと言われています。
 一方で、戦後、日本の経済成長を支えたソニー、ホンダ、松下
(現パナソニック)といった多くの企業のスタートがベンチャー企
業であったことを考えますと、ベンチャー企業を育てていくことは、
これからの着実な経済発展のためには非常に重要なことであると思
っています(実は、この制度にも大いに関心を持っていただきたい
のですが・・・)。
 この「エンジェル税制」では、投資家のリスク軽減を目的に、投
資額をその年の総所得金額から控除するという優遇措置が設けられ
ているのですが、この場合も5,000円を適用下限額としていま
す。恐らく「ふるさと納税制度」と同じ考え方での制度設計なので
しょう。

 いずれにしても、この「ふるさと納税制度」によって今後もより
長く、より多くの皆さんに長野市を支援していただくためには、応
援したくなるような魅力的な「ふるさと」にしていくこと、そして、
共感を得られるような施策を企画・実施していくということが、一
見、回り道のようでも、長野市にとっては、最も重要なことになる
のだと、私は思っています。

※「ふるさと納税制度」の概要や、長野市へのご寄付の方法など、
 詳細につきましては、
 長野市ホームページ(http://www.city.nagano.nagano.jp)の
 「ふるさと納税のご案内・ながのふるさと応援サイト」でご覧い
 ただけます。

  ご寄付のお申し込みや「ふるさと納税制度」についてのお問い
 合わせは、
  長野市企画課 電話番号026-224-5010
         ファクス番号026-224-5103
         Eメール=kikaku@city.nagano.nagano.jp
 へお願いします。

2008年10月9日木曜日

長野市・信州新町・中条村合併協議会が設立されました


 先週の10月2日(木)、長野市・信州新町・中条村合併協議会
設立の調印式が行われました。先月のメルマガ第335号でもご報
告させていただきましたが、この協議会は、各市町村議会で「合併
協議会設置」と「それに伴う補正予算」を議決いただいたことによ
り、この日の設立を迎えることになったものです。

 調印式は、3市町村長のほか、各市町村議会の議長の皆さん方に
もご出席いただいて開催しました。この日、3市町村長が調印した
のは、合併協議会の設置と、それに伴い必要となる事項を定めた協
議書です。協議書には、立会人として議長の皆さん方にも一緒に調
印していただきました。
 6人の調印が済んだ後、まず、私からあいさつをさせていただき
ました。私が申し上げたことの概略は、以下のとおりです。

 「市町村合併は、地方分権の進展、人口減少社会の到来、日常生
活圏の拡大、財政問題など、今日の社会経済情勢の変化に対応し、
基礎自治体の強化、住民の福祉向上を図るための重要な手段です。
長野市では、平成17年1月1日に豊野町、戸隠村、鬼無里村およ
び大岡村と合併し、市内各地域の特性を生かしながら、本市の一体
的な発展のため、さまざまな施策を展開しています。
 このたびの信州新町、中条村の住民総意に基づく合併協議の申し
入れに対しては、平成17年の合併の経験を基に、長野市・信州新
町・中条村合同研究会を設置し、合併に関する基本的事項などの調
査・研究を行い、合併を進めるか否かを判断するための材料を作成
してきました。

 その結果として、各市町村議会の議決をいただき、本日の調印に
よって、いよいよ合併協議会へ検討の舞台を移すことになりました。
 この協議会は、法律に基づく協議会であり、位置付けは、これま
での事務レベルの合同研究会とは異なるものとなります。合併後の
まちづくりについては、「~善光寺平に結ばれる~ 人と地域がき
らめくまち」をコンセプトとして進めていきたいと考えており、合
同研究会での協議結果を基本に、それぞれの市町村の豊かな自然を
生かしながら、それぞれがはぐくんできた歴史や伝統、あるいは地
域の特性を十分尊重し、積極的に協議を重ねていきたいと考えてい
ます。

 もとより、合併に関する情報や協議内容については、住民の皆さ
まに情報提供し、住民の皆さまのご理解をいただきながら取り組ん
でいく所存であり、住民、議会、行政が一体となってこの地域の将
来を、地域づくりをどうしていくのかということをしっかりと議論
していきたいと考えています。
 どうか本協議会が、夢と希望にあふれ、活力ある魅力的な市の誕
生に資する協議会になりますよう、皆さまのご支援、ご協力をお願
いします。」

 続いて、信州新町の中村町長と中条村の久保田村長からもごあい
さつがありました。お二人のあいさつは、おおむね以下のような趣
旨であったと思います。

・信州新町 中村町長
 「地方分権が進む中において、住民の多様化する行政需要に的確
に対応していくためには、市町村の役割が重要になってきている。
ところが、国・地方ともに厳しい財政見通しが伝えられており、小
規模自治体にとっては厳しい将来が予想される。
 このような中で信州新町では、長野市との合併により、一定の行
政サービスの水準を将来にわたり確保・維持していくことが、住民
福祉の向上ひいては地域全体の発展につながるという結論になった。
 これまでの3市町村による合同研究会での調整を基本に、今後も
豊かな自然を生かしながら、先人の皆さまがはぐくんできた歴史や
文化、それぞれの地域の特性を十分に尊重し、互恵互譲の精神を持
って、協議を進めていただきたい。」

・中条村 久保田村長
 「振り返ってみると、中条村では、幾多の壁を乗り越えて、本日
を迎えることができた。その意味で本日は、村民一同、待ちに待っ
た調印式であり、感無量のものがある。中条村は、少子高齢化が大
変進んでおり、加えて財政難でもある。このような中ではあるが、
この地域を守り、皆が中条村に住んでいて良かったと言えるような
地域にしたいと村民皆が考え、方策を模索する中で、長野市との合
併という結論が出た。
 住んでいて良かったという中条村を、今までどおり守っていただ
けるように、また、長野市の皆さんともども栄えるように、そして、
この緑豊かな、こんなに良い地域をぜひ後世にも残していきたい、
そんなことを願いながら、印を押させていただいた。
 残された時間はごくわずかになってきたが、長野市の皆さんのご
迷惑にならないように、一生懸命頑張って合併を迎えたいと思って
いる。」

 その後、立ち会っていただいた3市町村議会の議長さんからもご
あいさつをいただき、最後に6人でがっちりと握手をして、調印式
を終了しました。

 今回、3市町村の合併協議会を設立したことにより、これから、
合併に関する本格的な議論が始まることになります。
 元気なまちづくり市民会議や市町村合併に関する市民会議などで
は、毎回説明させていただいてきたのですが、合併は市町村ができ
る最大の行政改革であると私は考えています。確かに、顔の見える
行政サービスを提供するには、自治体の規模が小さいほど良いとは
思うのですが、例えば、市町村長、議会などを置く必要があるなど、
どんなに規模が小さくても自治体としてどうしても必要となる経費
があります。市町村合併は、このような経費を削減・効率化するこ
とができるのです。

 ちなみに、今回の3市町村で比較しますと、住民一人当たりの歳
出金額(普通会計)は、信州新町が長野市の約1.8倍、中条村で
は約2.6倍です。両町村が長野市よりぜいたくをしているという
ことではなく、上記のような事情から、小さな自治体ほど住民一人
当たりのコストがどうしても高くなってしまうということが、この
数字には表れているようです。

 市民会議では、このようなことや、新「合併特例法」に基づく国
や県の支援施策、合併後の財政見通しなどについて話をさせていた
だきました。これに対して、何人かの皆さんから質問・提言などの
発言はあったのですが、その場では、特に反対意見はありませんで
した。
 ただし、会議が終わってから、お聴きした意見がありますのでご
紹介しますと、「何で信州新町や中条村と合併しなくてはいけない
のか?と思っていたが、説明を聞いて、なるほどと思った。だから
意見を言わなかったのだ」ということでした。

 これは、私の説明が良かったということではなくて、合併するこ
とに対し、いろいろ支援をいただけるメニューを用意してくれた国
・県の施策が良かったということだと思っています。ですので、時
限立法である新「合併特例法」の期限(平成22年3月末)が切れ
ると、新たな合併は難しくなると考えています。
 実は、今回の合併で適用を目指している新「合併特例法」は、平
成17年3月末を期限としていた旧「合併特例法」に比べ、支援が
随分減ってしまっているのです。ご意見をいただいた方とは、「で
も、無いよりは良いですよね・・・」と話してきましたが、たとえ
減ってはいても、支援策があるからこそ、今回の合併を検討するこ
とができるのです。今後、仮に、新・新「合併特例法」ができたと
しても、現在の新「合併特例法」よりは、さらに支援が減ると考え
られますので、当然、新たに合併することは難しくなると思ってい
ます。

 なお、今週の10月6日(月)に、信州新町の中村町長と中条村
の久保田村長と共に、村井県知事を訪ね、「長野県市町村合併構想」
の構想対象市町村へ位置付けていただくよう申し入れを行ってきま
した。
 この構想は、新「合併特例法」に基づいて県が策定したもので、
市町村が合併する際に、国の財政支援措置を受けるためには、この
構想の対象として位置付けられていることが必要になります。県の
構想では、「合併協議会が設置され、申し入れがあった場合に構想
対象市町村として追加する」とされていることから、今回申し入れ
に伺ったものです。知事さんからは、「将来を考え、決断されたこ
とに敬意を表する。県として手続きをきちんと進めたい」とのお話
をいただきましたので、あわせて報告させていただきます。

2008年10月2日木曜日

秋風が吹いて過ごしやすい季節を迎えました


 早いもので、もう10月です。すでに残暑もおさまり、心地よい
秋風を感じる過ごしやすい季節を迎えました。
 ただ、残念なのは、クールビズ・スタイルと称して、ネクタイ・
上着無しで仕事をすることができなくなったことです。今年は特に、
9月市議会定例会の本会議でも、クールビズOKとなりましたので、
市役所の夏の軽装期間である6月から9月末までの4カ月間、6月
市議会定例会とやむを得ない場合以外は、ネクタイをせず、上着を
脱ぐことができて、私にとってはとてもありがたいことでした(先
週から今週にかけて、少し肌寒い日が続きましたが、9月中は意地
でもクールビズ・スタイルを貫き通そうと思い、私は、半袖シャツ
にノーネクタイで過ごしました。ちょっと、涼しすぎて・・・とい
う感じはありましたが)。

 地球温暖化防止のためには、二酸化炭素の削減が最も大切だとい
う認識のもと、生活のいろいろな場面で、一人一人の取り組みが求
められています。そのうち、クールビズは、冷房の設定温度を上げ
て、室内が多少暑くても快適に過ごせるようにしようとの試みであ
ることは、皆さんご承知の通りです。ただ、冬季に行うウォームビ
ズの方が、効果が大きいとおっしゃる方もいますが・・・。

 でも、一方では、地球が温暖化している、ということについて異
論もあるようです。先日、あるテレビ番組を見ていましたら、「地
球は冷えている、5年後になれば分かる」とおっしゃっている学者
さんがいましたし、少し前になりますが、デンマークのビョルン・
ロンボルグ氏も、著書『環境危機をあおってはいけない-地球環境
のホントの実態』の中で、地球温暖化について異論を唱えています。
ただ、この本の内容には、批判的な意見もあるようですが・・・。
 本当のところは、どうなのでしょうか?真偽のほどはともかくと
して、今は、地球温暖化防止は重要なことと信じて取り組んでいく
ということが正解なのでしょう。

 地球温暖化に関して、長野市として悩ましい問題の一つに、スキ
ー場の問題があります。雪がドンドン減ってしまったら困る、設備
投資をしたら資金を回収できなくなるのではないか・・・という心
配です。
 少し前に、このことについて、気象台の関係者に非公式にお聞き
したことがあります。その方によると、「地球温暖化で、気温が上
がれば蒸発する水分が多くなるから降雨量は増えるかもしれない。
そして、標高の低い場所は雨になり、高い場所は雪になるのではな
いでしょうか・・・」ということでした。似たようなことを、信州
大学の教授からお聴きした記憶もあります。

 正確なところは、まだ、はっきりしないようなのですが、本当に
そうなれば、これは、ある意味ありがたい話です。
 すなわち、冬でも平地は雨で、山では雪だということですから、
行政の都合だけで言わせていただければ、平地は除雪費用が掛から
なくて済みますし、雪による交通渋滞も緩和されそうです。そして、
山のスキー場はたっぷり雪があってお客さんに来ていただける。捕
らぬ狸(たぬき)の皮算用、さらには、地球温暖化を容認するのか、
とも言われてしまいそうですし、平地の雪によって商売が成り立っ
ていた皆さんにもしかられてしまいそうですが・・・。でも、期待
したい気持ちもわいてきてしまいますよね。

 ただ、その方に「雪になる所と雨になる所の境目はどの辺でしょ
うか」とお聞きしたのですが、「それは分かりません」とのお答え
でした・・・。標高1,000メートルぐらいであればちょうどい
いのかなとは思いますが・・・。

 話は変わります。少し旧聞(7月)に属することですが、環境対
策として将来に期待が持てる事業がスタートしています。「ながの
学校版環境マネジメントシステム」が動き始めたのです。

 この「ながの学校版環境マネジメントシステム」は、「アジェン
ダ21ながの-環境行動計画」(平成15年3月策定)のプロジェ
クトの一つとして、「ながの環境パートナーシップ会議」が導入の
検討を進めてきたものです。環境問題には教育が大切だ、それには
学校を対象にプロジェクトを考えよう、そんな意気込みがあったよ
うです。

 システムの内容は、環境に配慮した学校づくりに取り組んでいる
学校を審査し、認定するというもので、長野市をはじめ、いろいろ
な企業が取得してきた「ISO14001」の学校版と考えてよい
と思います。
 ただし、長野市のシステムは、ISO14001の基本的な考え
方であるPDCAサイクルを活用しつつも、児童・生徒が取り組み
やすいよう簡易な仕組みとし、環境教育、環境学習に軸足を置いて
います。さらに、学校の主体性を生かし、取り組む内容を規定せず、
最初の取り組みから徐々に広げていけるものにし、最終的にはPT
Aや地域の企業などを巻き込んでいくことも視野に入れています。

 このシステムを導入するに当たっては、まず、平成18年に、こ
のパートナーシップ会議の皆さんが先進地の熊本県水俣市を視察。
この視察を機に、長野市での実施に向けて本格的な準備が始まり、
この会議の中のチームと市の関係課による実施会議において、実施
要項、手順などを作成してきました。そして、平成19年1月から
戸隠小学校で試行し、結果を検証して仕組みを改善。同年10月に、
実施について市内全小・中学校へ周知しました。
 その結果、4校から申請があり、今年の7月10日に開催した認
定委員会で審査し、第1回の認定を決定したものです。

 準備から今回の認定に至るまで、市民・事業者・行政の三者のパ
ートナーシップにより行ってきました。これは、長野市のシステム
の大きな特徴の一つです。
 そして、今後も、「ながの環境パートナーシップ会議」が中心に
なってこのシステムを運用していくことになっており、各学校の取
り組みの支援から、審査、認定に至る一連の過程を三者協働で実施
していくことにしています。参加校はまだ4校と少ないのですが、
徐々に広がっていくことを期待しています。

 今回認定された4校の取り組みをご紹介します。
・櫻ヶ岡中学校 資源回収や地域の美化活動の取り組み
・犀陵中学校  リサイクル推進活動
・安茂里小学校 節電、節水の取り組み
・戸隠小学校  節電、紙ごみ減量の取り組み 緑を増やす活動

 読んでいただければ、お分かりになると思いますが、別に目新し
いこと、難しいことではありません。また、普段の学校活動の中で、
既に取り組んできていることだと思います。
 でも、このシステムの優れた点は、思い付きではなく、目的を決
めて、継続的に取り組んでいくところであり、そこに意義があると
思っています。学校での取り組みは、児童・生徒の卒業、あるいは
先生の転勤によって、継続性が保てない場合があることは、皆さん
ご承知の通りです。このシステムは、その欠点を補うものであると
私は見ています。何といっても環境問題は、地道に継続していくこ
とが大切だと考えています。

2008年9月25日木曜日

9月市議会定例会


この定例会に関連した内容について、幾つか報告させていただきま
す。

(1)市議会での質問に「一問一答方式」が導入されました。
 「一問一答方式」は、現段階ではまだ試行ということですが、市
議会の議論の活性化と分かりやすい議会運営を目指し、従来の「一
括質問・一括答弁方式」に加えて、新たに導入されました。どちら
の方式で質問するかは、質問する議員さんが選択することになって
います。

 「一括質問・一括答弁方式」というのは、従来から行ってきた方
式で、はじめに議員さんが質問項目すべてをまとめて質問し、その
後、市長や各部局長などの執行部局側が質問項目について順次回答
する方式です。「一問一答方式」が加わった今回の議会でも、質問
議員18人のうち、7人の議員さんがこの方式を選択されました。

 今回から導入された「一問一答方式」は、文字どおり1つの質問
項目ごとに執行部局側が回答するもので、これを制限時間の中で繰
り返しながら議論していく方式です。
 この方式を選択されたのは、11人の議員さんでした。今回は、
議員さん・執行部局側ともに、まだこの方式に慣れていないという
こともあるのでしょう、それほど議論が活性化したということはな
かったように思いました。

 ただ、質問に対してすぐに回答があるので、議場で傍聴されたり、
ケーブルテレビや市のホームページで議会の様子をご覧になったり
していた皆さんにとっては、分かりやすい部分もあったのではない
かと思います。
 逆に、今回はそのような例はなかったのですが、執行部局側の当
意即妙の回答が増える可能性もあります。質問事項を十分検討して、
責任を持ってきちんとお答えするというのがこれまでの趣旨だった
のですが、今後、場合によっては、本来回答すべき内容から遠い回
答をしてしまう可能性もありそうです。執行部局としての資質もこ
れまで以上に問われることになります。

 また、議員さんの質問数が多すぎて、時間内で収まらない場面が
多かったように思います。これには、執行部局側の回答が長すぎる
ことも要因の一つでしょう・・・しかし、長くなるのは、小泉元首
相のようなワンフレーズ・ポリティクスだと、質問者に納得してい
ただくのが難しいのではと考えてのことでもあるのですが・・・。
 時間内に収めるためには、質問時間だけを制限して、回答時間は
フリーにするという方式の検討にも余地がありそうです(私は、執
行部局側には反問権があっても良いのではないかと思っています。
ただし、その反問に対する議員さんの回答時間の制限をどうするか
という問題もありますが・・・)。
 「一問一答方式」の試行は12月市議会でも行うということです
ので、いろいろな場面を想定して研究していく必要があると思って
います。

(2)市議会議員の政務調査費を減額することになりました。
 政務調査費は、議員さん個人に支給されている報酬とは別に、市
議会の各会派に対して交付している議員さんの調査・研究費であり、
議員一人当たり月額9万7千円が認められています。
 この金額はそれぞれの市町村によって違っており、長野市の金額
は、同規模の中核市と比較すると中ぐらいなのですが、長野県内の
市で比較すると、圧倒的に高いことは事実です(中核市の平均は約
10万7千円。最高が東大阪市と熊本市の20万円、最低が豊田市
の3万1千円余。県内19市の平均は約1万4千円、長野市に次い
で高い松本市は2万円余です)。

 長野市では、年2回、各会派に半年分の政務調査費をまとめて交
付し、年度末に精算することになっています。
 昨年度の下半期に、各会派が実際に使った金額は、議員一人当た
りの月額に換算すると新友会5万3千円、共産党市議団8万4千円、
公明党市議団9万6千円、政信会8万3千円、市民ネット4万6千
円であり、予算額である一人当たり月額9万7千円と比較して、か
なり余らせていることは事実です。そして、余った分は市に返還さ
れており、翌年に繰り越すことはできないことになっています。

 政務調査費の減額については、昨年の12月に市議会の中に「政
務調査費等検討委員会」が設けられ、検討されてきました。委員会
の中では熱心な議論があったようですが、市議会の各会派が主張す
る金額にはかなりの差があり、残念ながら意見は一致せず、その差
は埋まらなかったようです(ちなみに、最終的に各会派が主張され
ていた金額は、新友会6万円、共産党市議団8万5千円、公明党市
議団・政信会7万7千円、市民ネット8万2千円ということだった
ようです)。

 議論は、今回の定例会の間も続けられ、最終的には、正副議長さ
んと議会運営委員会の正副委員長さんがまとめた「議員一人当たり
月額8万5千円」の案が全会一致で了承されたようです。また、附
帯事項として、今後も適時に金額を見直すことや、政務調査費の透
明性の向上、議員としての調査・研究活動の充実についても盛り込
まれたそうです。

 政務調査費の金額を正式に変更するためには、市が設けている特
別職報酬等審議会の意見をお聴きし、その後、条例を改正するとい
う手続きを踏むことになるのですが、私としては、できることであ
れば、まず、議員さんの議論の中で金額や方向性を示していただく
ことが一番良いと思っていました。その意味で、今回、議会として
結論を出されたことは、とても良かったと思っており、附帯事項と
して盛り込まれたということで透明性の向上や調査・研究活動の充
実にも大いに期待したいと思っています。

(3)長野市・信州新町・中条村の合併協議会を設置することが議
  決されました。
 今回の合併については、今年1月に信州新町と中条村で住民意向
調査が行われて以降、2月には、両町村から長野市に対しての合併
協議の申し入れ、3月には3市町村での合同研究会の設置、という
経過で進んできました。
 合同研究会は、合併するかどうかの判断材料を事務レベルで作る
ために設けた研究会です。研究会は、3月から8月までの間に常に
公開で9回開催し、約1,300項目の調整・協議を行ってきまし
た。

 その間、市民の皆さん、市議会へもあらゆる情報を提供してきま
した。合同研究会での協議内容は、ホームページや広報ながのなど
でお知らせするとともに、「元気なまちづくり市民会議」や5会場
で開催した「市町村合併に関する市民会議」において、今回の合併
について説明させていただき、ご意見をお聴きしてきました。
 市民会議では、私から直接ご説明させていただき、質問などにも
お答えしてきているのですが、ご質問やご意見の内容・趣旨などか
らすると、今回の合併を進めていくことについては、おおむねご理
解いただけたのではないかと思っています。

 9月5日(金)には、信州新町の中村町長、中条村の久保田村長
にお越しいただき、合併協議会設置に向けた市町村長会議を開催し
ました。この会議は、これまでの合同研究会の協議結果を踏まえ、
今後さらに合併に向けての手続きを進めるか否かについて意見を交
わすために開催したものです。両町村長さんからは、「今後さらに
合併協議を進める」、「9月議会に合併協議会設置の議案を提出す
る」との意向が示されたことから、長野市としても同様の対応をと
ることをお伝えしました。

 そして、今回の定例会に、追加議案として「合併協議会設置」と
「それに伴う補正予算」について提案し、議決いただきました。
 信州新町・中条村の両町村議会でも合併協議会設置議案が可決さ
れたとのことですから、今後、3市町村の合併協議会を設置し、合
併するか否かの議論を始めることになります。

(4)市議会初の女性副議長が誕生しました。
 今回の定例会の最終日、祢津栄喜議員が副議長を辞職されたこと
に伴い、議員さんによる副議長選挙が行われ、小林紀美子議員が第
53代副議長に当選されました。明治30年の長野市議会発足以来、
初めての女性副議長の誕生です。
 さまざまな分野で女性が活躍されている現代社会の中にあって、
初めて女性副議長が誕生したというのは、少し遅いような気がしな
くもありません。しかし、今回それが実現したのですから、喜ばし
いことだと思っています。
 小林副議長には、さまざまな形で市議会に新たな風を吹き込んで
いただけることを期待しています。

 このほか、議員さんからいただいたご質問とそれに対する執行部
局としての回答など、今回の定例会に関しては、まだ、お知らせし
たいと思うことはあるのですが、今回は、以上の4点について報告
させていただきました。

2008年9月18日木曜日

中山間地域の物語


 先日、鬼無里地区の地域審議会の皆さんが来られ、いろいろ話を
した際に、『谷の京物語 伝説の鬼無里』と『秘境の谷 鬼無里の
自然』という2冊の本をいただきました。早速読ませていただいた
のですが、面白い。そして、科学が発達した現代の感覚からすると
少々荒唐無稽(こうとうむけい)な(失礼)・・・と感じるところ
もあるのですが、しかし、何か信じたくなるロマンを感じさせる本
でした。

 『谷の京物語 伝説の鬼無里』の内容を少しご紹介します。
 日本最古の歴史書『日本書紀』には、飛鳥から都を遷(うつ)す
場所を探すため、天皇が信濃の国に使者を派遣したという記事があ
るそうです。それは、天武天皇13年(684年)のことで、二人
の使者が信濃の国へやって来て、検分して帰ってから、天武天皇に
信濃の国の地図を奉り、そして翌年も三人の使者が来て、束間(つ
かま)の湯(筑摩郡山辺)に行宮(あんぐう)を造らせたのだそう
です。
 束間の湯とは、松本市の浅間温泉のことでしょうから、信憑(ぴ
ょう)性はありますよね(天武天皇は壬申(じんしん)の乱で、兄
の天智天皇の後継をめぐって戦い、勝利した天皇だったと思います。
戦いで荒れた近畿地方に嫌気が差して、遷都を考えた・・・なんて、
私は愚考をしているのですが・・・)。そしてその時、鬼無里にも
調査があったらしいのです。

 この『日本書紀』の記事と呼応するように鬼無里には、天皇の使
者が水無瀬(みなせ)の里(のちの鬼無里)へ来て、ここを都にし
ようとしたという伝説があるのだそうです。実際に遷都した藤原京
が大和三山の真ん中にあるように、戸隠・新倉(あらくら)・虫倉
の三山に囲まれた谷あいの水無瀬の里は、水がきれいで、地形の占
いでも都城を造営するにふさわしい場所だということで、天皇にこ
この地図を差し上げたというのです。

 ところが、ここに住んでいた鬼どもが、われわれのすみかへ都を
遷されてたまるものかと、皆で相談して、一夜のうちに山を運んで
きて、谷の真ん中に据え、用地をふさいでしまったというのです。
これが一夜山です。
 惜しいことをしたと思いませんか。もしかすれば、天武天皇が造
ろうとした都は、鬼無里にあったかもしれない、そしてその後も都
が続いて今の京都みたいになっていた可能性もある・・・。
 戸隠、新倉、虫倉の三山の中央にある一夜山を取り除いてみると、
この盆地は、藤原京はもちろん平城京に匹敵する広さがあって、遷
都の話があってもまんざらおかしくないそうですし、現在の鬼無里
にある西京(にしきょう)・東京(ひがしきょう)といった地名、
白髯(しらひげ)神社や加茂社・春日社の存在・・・。

 真偽の程は私には分かりませんし、この本にあるような伝説を正
確に話してくださる鬼無里の方に、お会いしたこともありません。
でも、ロマンを感じます。鬼無里の魅力を高めるために、この伝説
を、鬼無里の物語の中心に据えて、もっと広めてみませんか?

 そのほか鬼無里には、時代は下りますが鬼女紅葉物語、木曾殿ア
ブキなどの伝説もあり、こちらも惹(ひ)かれるものがあります。
とにかく鬼無里は、伝説の宝庫であることを教えられました。
 もう1冊の『秘境の谷 鬼無里の自然』もなかなか読み応えのあ
る本です。詳しくは述べませんが、白馬方面から鬼無里に入る三本
の道の記述が一番面白かった・・・。

 実は戸隠にもたくさん伝説があるようです。長野市との合併前に、
当時の横川村長さんが私を訪ねて来られた際に、戸隠に関する本を
何冊かいただきました。そして村長さんいわく「戸隠はいろんな方
が書いてくれた本が山ほどあります」と言っておられました。
 いただいた本、そのときは興味深く読ませていただいた記憶があ
るのですが、今回、あらためてメルマガに書かせていただけるほど
は覚えていません。確か、戸隠支所の元村長室にいろいろな本があ
ったように思います。時間があればゆっくり読ませてもらおうと思
っています。

 話は変わって、8月23日(土)、戸隠の迎え火・送り火の会に
お招きをいただき、戸隠を愛する若い皆さんと移動市長室を開催さ
せていただきました。
 この会の目的は、地域の大切な文化である民俗行事、伝統行事に
加えて新しい戸隠の魅力をつくることによって、地域住民はもとよ
り、地域を離れた人々にも故郷を敬愛する思いを抱いていただき、
「また戸隠で暮らしたい」という気持ちになってもらいたい。その
ために、戸隠の魅力に気付いてほしい、という願いを込めて設立さ
れた会とのことです。

 具体的な活動としては、地蔵盆祭に合わせて、宝光社区の地蔵堂
(お寺)から戸隠神社“宝光社”の鳥居前までの参道に住民参加に
よる手作りの灯籠(とうろう)を並べ、灯籠の明かりの演出による
魅力づくりをしているのだそうです(約100から120基、小学
生にも手伝ってもらって作るのだそうで、平成19・20年度の市
の「ながのまちづくり活動支援事業補助金」を獲得して活動してい
るとのことです)。
 また、戸隠神社“奥社”の二年参りの際にも、参道に手作り灯籠
を設置、点灯しているとのことです(これは約200基設置予定と
のこと)。

 懇談が終わった後、宝光社の階段の上から順々に灯籠に灯をつけ
ながら、地蔵堂まで下っていき、堂の中を見せていただきました。
 堂の前の広場は大勢の方が集まって来ており、お聞きすると、間
もなく神社の神主さんと地蔵堂の住職さんが来られて、お二人でお
祭りをされるとのことでした。まさに神仏混交ですよね。そして皆
で盆踊りをするのだそうです。

 また話は変わりますが、中山間地域の道路についてです。中山間
地域にも市道は多くあるのですが、幹線道路のほとんどは県道で、
整備が遅れている路線も目立っています。そこで、私(長野市長)
が会長になって、それぞれの道路の改良促進期成同盟会を組織し、
県に早期整備をお願いしています。その中の一つ、一般県道小川長
野線の期成同盟会が先日開かれました。

 この県道は、小川村の日本記(にほぎ)を起点に、中条村、長野
市七二会・小田切の両地区を通り、小鍋の国道406号に至る総延
長34キロメートルの道路です。この地域にお住まいの方以外(私
も含めて)は、この道路を通る機会がなかなかないのではないでし
ょうか。
 私は、小田切支所や青少年錬成センターなどへ向かう時などにこ
の道路を使いますから、長野市内分の様子はある程度知っているつ
もりでした。しかし、全線を通る機会はなかったものですから、私
が会長をやっている以上、きちんと実態を見ておきたいと思い、先
日の土曜日、運良く空いた時間を利用して視察に出掛けました。

 小川村の起点からこの県道に入ったのですが、国道406号と合
流する終点まで、全線にわたり山の中をうねうねと曲がり、上った
り下ったりする道路で、全線を一気に踏破するには、ちょっと大変
な道路でした。ただ、景色は良いですし、車は少ないですし、快適
な部分もあって楽しかったのですが、七二会や小田切地区の見覚え
のある道路に来たときに、ホッとしたことは事実です。

 長野市街地から大町や白馬方面に行く車の多くは、県道長野大町
線、あるいはオリンピック道路を通るのだと思います。この県道は、
それに並行して北側の山の中を横断していく道路です。現実には、
この道路を通過する車はそれほど多くはありませんが、周辺に住ん
でおられる方々にとっては、重要な生活路線です。決して大きな集
落ではありませんでしたが、この県道が幾つもの集落をつないでい
ることを、私は今回の視察で実感してきました。

 このように県道でもまだまだ整備不足ですが、市道には整備が必
要な道路がもっとたくさんあることを認識しています。そして、中
山間地域の活性化には、基盤となる道路整備が大切な事業であるこ
とをあらためて痛感させられた日でした。

2008年9月11日木曜日

勝った!優勝だ


 サッカーの北信越フットボールリーグ1部(北信越1部リーグ)
の今期最終節、昨年優勝の「松本山雅FC」と昨年2位だった
「AC長野パルセイロ」の試合が、9月7日(日)南長野運動公園
の総合球技場で行われました。

 ここまで、パルセイロは、勝ち点差1でトップを維持しており、
勝てば文句無く北信越1部リーグで、3年ぶり3回目の優勝。しか
し、2位のJAPANサッカーカレッジ(新潟県聖籠町)が最終節
で勝利し、勝ち点を伸ばすことを考えると、どうしても勝たなくて
はならない試合でした(JAPANサッカーカレッジは、同日金沢
市でツエーゲン金沢と対戦して2-3で負けましたので、結果とし
ては、この試合を落としてもパルセイロの優勝だったのですが・・
・)。
 長野市民の皆さんもそれが分かっておられたのでしょう、球技場
は3,000人を超える観客で埋まりました。どうやらこの日は、
この球技場始まって以来最高の観客数だったようです。

 山雅は今シーズン前半の不調がたたり、優勝の望みはなくなって
いるのですが、徐々に調子を上げ、伝統の一戦、信州ダービーを勝
ちたいと意欲満々でした。
 ゴール裏に陣取った山雅のサポーター。グリーンのシャツを着て、
見事に統制のとれた応援を繰り広げていました。あの規模、休むこ
とを知らない応援の声、敵ながらあっぱれで、残念ながらパルセイ
ロより上ではないかと思いました。長野でのホームゲームですから、
球技場全体では、パルセイロのオレンジ色のシャツが圧倒的に多か
ったのですが・・・。

 戦いは、一進一退、とても厳しいものでした。ヒヤッとする場面
もありましたが、パルセイロにも、貞富選手のクロスバー直撃のシ
ュートなどがあって、少し押し気味だったように感じていました。
 そして、前半43分、藤田選手が得たPKをエース要田選手が落
ち着いてゴール右上に決めて先制。山雅をリードして前半を終了し
ました。

 最近のパルセイロの試合ぶりは、前半リードされていて、後半に
ひっくり返すパターンが多く、いつも途中まではヒヤヒヤしていた
のですが、今回は落ち着いてハーフタイムを過ごすことができまし
た。

 私の目から見た感想ですが、得点こそ奪うことができないながら
も、後半も押し気味に試合を進め、あまり危ない場面は無く、前半
の1点を守り、逃げ切ったというところでしょうか。でも、最後の
15分間が本当に長かった。そして、ロスタイムの3分間も「時間
よ早く過ぎろ」と、祈りながらの観戦でした。

 しかし、勝ったことで、すべてOKです。試合終了の瞬間、パル
セイロのサポーターは大喜び、選手も抱き合って喜びを爆発。信濃
毎日新聞の号外も出され、祝勝ムードがさらに盛り上がりました
(最近の号外はすごいですね。球技場の脇にとめてあった新聞社の
車の中で、あっという間に刷ってしまうのです。びっくりでした)。
 私もグラウンドに降りて、バドゥ監督と抱き合って喜び、そして
お礼を言いました。監督がインタビューの中で、「長野に来て
790日になる。この日が来るのを待ち望んでいた。」そして、ス
タンドで観戦されていた奥さんに向かって「今夜は帰らないよ!」
と言っておられたのは、とても印象的でした。

 今期のパルセイロの成績は11勝1敗2分け、勝ち点35(得失
点差は圧倒的にトップだったようです)。選手の力量はもちろん大
切ですが、何と言っても監督の手腕により今日を迎えることができ
たのだと、心底感謝しています。

 山雅とパルセイロの公式戦はここ1カ月で、3試合もあったので
す。まさに因縁の対決といっても良い、両雄相打つ勝負でした。

 まず8月17日(日)、福井県坂井市で行われた、全国社会人サ
ッカー選手権北信越大会の決勝戦です。ここでは、パルセイロが勝
ちました(ただ、この大会は、2位までが全国大会に出場できます
ので、お互い準決勝を勝った時点で目的は達成していました)。

 2回目は、先週、松本市のアルウィンで開催された、長野県サッ
カー選手権大会の決勝戦(天皇杯予選長野県代表決定戦)。ここで
は山雅が勝ちました。山雅は天皇杯全日本サッカー選手権大会に進
出です。
 しかし、この大会は全国地域リーグ決勝大会にはつながってはい
ません。そして、ここで勝ち上がっていくと、大会に出場している
J1、J2のチームと対戦することになりますので、優勝するのは
かなり厳しい大会です。
 そんなこともあり、負け惜しみではありませんが、パルセイロと
すれば、翌週に控えた今回の試合を第一目標に据えて臨んでいたの
だと思います。

 そして3回目、今回の試合です。このリーグで優勝して全国地域
リーグ決勝大会への出場権を得ることは、パルセイロの今シーズン
最大の目標でした。それは、その後、JFL、J2、J1へと昇格
していく道が開けるからです。
 全国地域リーグ決勝大会へは、全国社会人サッカー選手権から勝
ち上がっていく道もあり、パルセイロも山雅もその可能性はあるの
ですが、強豪との厳しい試合が待っているので簡単ではありません。
今回、北信越1部リーグで優勝したということは、パルセイロがそ
こへの切符を一歩先に手にすることができたということです。

 全国地域リーグ決勝大会は、地域リーグ9地区の優勝チームを含
む16チームで争うのだそうです。16チームですから優勝の9チ
ームだけでなく、ほかに参加資格を得た7チームが加わるというこ
とです(どうやって選ばれるのかは、事務局に説明を受けたのです
が、かなり複雑です。全国社会人サッカー選手権の勝者や、大学連
盟の推薦チームも・・・)。
 この大会は11月に開かれる予定ですから、それまでしっかり鍛
えて、最高のコンディションに持って行ってほしいものです。

 今年の大会の1次ラウンドは、西日本が舞台ということで、大変
遠い場所で開催されることになります。最終決戦となる決勝ラウン
ドは、なんと沖縄県の石垣島とのこと。でも、そこで優勝か準優勝
できれば、JFLへの昇格が確定します。

 昇格までには、まだまだ、長い、そして高いハードルが残ってい
ます。今回の勝利により、ようやくそのスタートラインにつくこと
ができたということです。でも三度目の正直です。頑張ってほしい
ものです。皆さん応援をお願いします。

2008年9月4日木曜日

長野市選出の県議会議員さんと長野市との懇談会


 先日、表記の会合を持たせていただきました。
 長野市選出の県議会議員さんは10人いらっしゃいます。県議会
全体では57人ですので、人数からするとかなりの割合を占めてい
ることになりますから、長野市の考えをご理解いただくことが大切
だということで、昨年から定期的に開催させていただくことにした
会合です。

 当日は、残念ながらお二人が公務のためにご欠席でしたが、8人
の議員さんにご出席いただきました。市側からは、市議会議長、副
議長、市長、副市長のほか、関係部局課長が出席し、意見交換をさ
せていただきました。
 今回は、その懇談でのテーマと市側の見解を中心に、報告させて
いただきます。

 まず、県議会議員さん側から、「長野県短期大学(県短)の4年
制大学への移行について」提案がありました。
 このテーマは、村井県知事誕生以来お願いしている・・・という
より、何十年も前からの長野市の“悲願”というべきものであり、
県議会議員さんから提案していただいたことは、大変ありがたいこ
とでした。
 以下、この問題について長野市の見解をまとめて記します。

・県短の4年制大学移行に対する長野市としての見解について

 道州制についての議論などもいよいよ本格化し、大きな流れとし
て地方分権が進むなか、長野市は地方の中核都市として、文字通り
その「拠点性」をこれまで以上に向上させていく必要があります。
そのための方策の一つとして、大学などの高等教育機関立地による
都市機能の充実という点が挙げられると考えています。

 地方中核都市の拠点性という面では、金沢市、熊本市などが、そ
の好例として挙げられます。金沢市は8大学(短期大学含む)・学
生数約19,000人、熊本市は9大学(短期大学含む)・学生数
約26,000人となっており、こうした大学の存在が地域のにぎ
わいという面だけでなく、都市としての活力維持に寄与していると
ころは大きいと考えています。
 長野市は、6大学(短期大学含む)・学生数約5,000人。多
くの若い学生が市外・県外へ流出しているのが現状です。

 また、長野市には、信州大学工学部、長野工業高等専門学校(長
野高専)などの技術系学部や、信州大学教育学部、清泉女学院大学・
短大、県短などの教育系学部などが存在していますが、政治・経済・
経営系学部が少ないということが指摘できます(県内には信州大学
経済学部などもありますが、長野県全体としてもこの分野はもっと
必要だと思います。特色を求めるならスポーツや観光分野も欲しい
ところです)。
 長野市では現在、産学行連携を進めるために、県短をはじめ、信
州大学や長野高専と包括連携協定を締結し、各大学とのつながりを
強めていますが、政治・経済・経営系の分野が弱いということは日
ごろから感じている点です。

 一方で、少子化の影響から、私立大学などで入学者の定員割れと
いった事態が散見される「大学冬の時代」のなか、新たに4年制大
学を誘致することは、非常に難しいと判断していることも事実です。

 現状では、県短のこれまでの実績と評価に根ざした伝統の力「県
短ブランド」を生かし、加えて4年制に移行(併設というべきかも
しれません)していくことがもっとも現実的であり、大学としての
発展も期待できる考え方・進め方であると考えています。

 ただ、現在は「県立」として立派に運営されており、評価も高い
短大ですから、現段階で長野市あるいは外部からいろいろ申し上げ
ることは礼を失することであると承知しています。今後、持続可能
で、魅力ある大学としてのデザイン設計は、こうした長野市として
の主張を理解していただき、県短の将来性を考えた上で、まずは県
において検討していただく必要があると考えています。

 その際に、求められれば長野市は、県短が所在している自治体と
して、そうした調査・研究に参画させていただき、場合によっては
財政面も含め側面から支援させていただく立場であると考えていま
す。
 ただ、県立である以上、長野市が直接的にお手伝いするわけには
いかないことも事実です。結局、長野市がお手伝いさせていただく
ためには、資本や運営などに市の参加が可能になる「独立行政法人
化」が必要であると思っています。

 財政面の話とすれば、「ぜひ大学を誘致したい」という悲願実現
のため、市議会の議決を経て、故柳原元市長の時代から数年間にわ
たって基金を積み立ててきました。
 これは、大学を誘致するには、おそらく100億円ぐらい用意し
なくてはいけないだろうという話から積み立ててきたのですが、誘
致できる可能性が低くなったことから、現在は追加の積み立てを停
止しています。この基金からは、清泉女学院大学ができる時に1億
5千万円を拠出しただけですから、現在は、おそらく13億5千万
円ぐらい残っているはずです。
 議会の議決を経なくては、はっきりとは言えませんが、県短の4
年制移行に向けた支援の一環として使うことは、目的に合致してい
ると考えています。

 以上のことのほか、県の包括外部監査や県短の同窓会の動向など
も含めてまとめますと、
(1)長野市としては、拠点性を高め、活性化を求め、県民の学習
  熱に応える必要性から、また、大学生の県外流出が多いという
  状況から、4年制大学を熱望している。ただ長野市単独では不
  可能である。
(2)県の包括外部監査の意見にあるとおり、短大は長期的に考え
  た場合には衰退の可能性がある。そこで清泉女学院短大が清泉
  女学院大学を併設した前例は、大変参考になる。
(3)県の責任で移行ができればありがたいが、現在は財政的に厳
  しく、難しいと思われる。長野市としては、できる範囲でお手
  伝いをしてでも実現したい。
(4)六鈴会(県短同窓会)も、過去熱心に陳情を繰り返している。
(5)県の動きを注視し、期待している。

 以上が長野市の見解であり、議員さん方にもおおむねご理解いた
だけたと思っています。

 懇談会では、県短の問題に続いて、長野市側の提出議題を一括し
て説明させていただきました。
(1)テレビ難視聴地域解消事業補助金の交付について
(2)持続可能な地域公共交通の再構築について
(3)中山間地域活性化のための取り組みについて
(4)地球温暖化対策の推進について
(5)商工団体の統合について
(6)東環状線の4車線化および五輪大橋の無料化について
(7)県道塩崎バイパス全線供用開始について
(8)市営水道と県営水道との統合について
(9)善光寺御開帳について
(10)「ながの御穀膳」について

 項目が多くて恐縮ですが、読んでいただければ、ご理解いただけ
ると思いますので、詳細は省かせていただきます。
 いずれも県と長野市の関係において、市としてぜひお願いしたい
こと、あるいは検討していただきたいことをお話させていただきま
した。もちろんこのほかにも、例えば並行在来線や県道の問題など、
大きな問題もあるのですが、十分お分かりいただいていることです
ので、今回は上記の10項目に絞って話題にさせていただきました。

 県都である長野市は、長野県との協力関係が欠かせません。また、
長野市だけのエゴと思われることは、遠慮しなくてはならないと自
戒しながらも、県議会議員さん方と協力して、素晴らしい長野市、
そして、素晴らしい長野県をつくるために努力する決意です。

 なお、9月1日に県議会文教企業委員会の議員さん方が県短を現
地視察されました。これに合わせて私も県短にお伺いして、県短の
4年制大学移行に関する陳情書をお渡しし、前述の趣旨を委員会の
議員さんに説明させていただきました。
 当日は、県短の同窓会である六鈴会の会長さん方もお越しになっ
ており、県外への学生の流出を防ぎたいといった主旨で、同じく県
短の4年制大学移行について陳情していらっしゃいました。
 長野市や同窓会の思いをぜひご理解いただき、悲願の実現に向け
て、一歩でも二歩でも前進させていただきたいと願っています。

2008年8月28日木曜日

北海道洞爺湖サミットについて


 旧聞に属する感じで恐縮ですが、7月7日~9日の3日間、福田
かせていただきます。
 開催から約1カ月半を経たこと、そして、ここしばらくの間の報
道が北京五輪一色になっていたということもあり、何かはるか前の
出来事のようにも思えるのですが、大変重要なことであり、新聞論
調を含めマスコミの評価も一巡したように思いますので、私なりに
このサミットについて考えてみました。

 サミットは、1975年(昭和50年)、フランスのランブイエ
で6カ国が参加して第1回が開催されて以来毎年開催されており、
今回で34回目、日本での開催は5回目です。メンバーは時代の流
れとともに多少増えてきており、現在のメンバーは、G8(主要8
カ国)ということで、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイ
ツ、カナダ、イタリア、ロシアの8カ国、それにEU(欧州連合)
委員長が加わっています。

 今回は、主要テーマが地球温暖化問題ということで、MEM(主
要経済国会合)のブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカ、
インドネシア、韓国、オーストラリアも招待国として、また、関係
国際機関として、国連、世界銀行、OECD(経済協力開発機構)、
IEA(国際エネルギー機関)なども参加したようです。

 サミットの目的は、経済・社会問題を中心に、国際社会が直面す
るさまざまな課題について、非公式かつ自由闊達(かったつ)な意
見交換を通じて、物事を決定し、その成果を宣言としてまとめるこ
となのだそうです。
 他の国際フォーラムとは異なり、事務局はなく、それぞれの国で
総合的・横断的にさまざまな分野を総覧する立場にある首脳がトッ
プダウンで物事を決めるため、迅速な決断と処置を行うことが可能
な仕組みということです。

 ただ、私見を述べさせていただくと、サミットが、国連総会など
が形式化して多くの国の利害調整が難しくなり、重要事項などを迅
速に決めることができなくなっていることから始められた会合だと
すれば、参加国が増えるということはいかがなものでしょうか。ま
た、自由闊達な意見交換というのも、メンバーが多くなるとどんな
ものでしょうか?

 イタリア在住の塩野七生さんが、『文芸春秋』9月号に「サミッ
ト・雑感」という文章で、サミットはもうやめたらいいのではない
かと、幾つかの理由を挙げて述べておられます。
 参加国が増えていることについては、「当事者を参加させれば問
題の解決も早くなる、などという、人間性に無知でしかも偽善的な
考えをもったのも、サミットを機能不全にした要因の一つであった。
当事国同士で話し合って解決できた局地紛争が、一つでもあったろ
うか。・・・サミットの利点は、当事者でない人たちが、当事者を
越えた視点に立って考えた政策を、そのもつ経済力を活用して具体
的に実施することにあった」と指摘されています。まさに卓見であ
ると思います。

 今回のサミットの結果についてのマスコミの論調は、おおむね辛
口の評が多く、福田首相の人気回復にはつながらなかったというも
のが多かったのですが、分かりやすくて、私が受けた印象に一番近
かった論評を転載させていただきます。

*******************
 排出国ぶつかる国益(7月10日付け産経新聞)

 地球温暖化の責任を問うべきは「過去」なのか「未来」なのか・
・・。北海道洞爺湖サミット最終日に開かれたMEMでは、G8と
中国、インドなどの間で、温室効果ガスの排出削減をめぐって責任
のなすりつけとも映る場面が見られた。
 背景には、1997年(平成9年)に採択された京都議定書が、
先進国の過去の排出分に責任があるとしているのに対して、現在の
議論は、今、排出増加を続ける途上国、とりわけ中国やインドなど
の新興国に「未来責任」を問うているからだ。

 「これまで蓄積している温室効果ガスの発生源は、19世紀後半
以降、工業化を先に進めてきた先進国だ。責任を認めた上で、議論
を進めるべきだ」(新興国)・・・「それは否定していない。先進
国が率先して削減を進めていくべきだとの認識だ」(先進国)・・
・9日のMEMでのやりとりだ。
 また、中国やインドなど新興国側は「新興国といわれるが、いま
だ国内に多くの貧困を抱えている。経済成長が少しでも脅かされる
ことはできない」とも訴えた。

 G8に中国、インドなどの9カ国を加えたMEMは、「温室効果
ガス」削減の長期目標について「世界での共有を支持する」との首
脳宣言を採択した。排出削減の義務付けを警戒する中国、インドな
どの反発もあり、「2050年までに半減」などの具体的な数値目
標や時期を明記することができなかった。
*******************

 このように、「2050年までに排出半減の長期目標を世界が共
有する」としたG8側のサミット首脳宣言に比べ、MEMの合意は
かなり後退している印象は免れませんが、私は次の2点において一
歩前進ととらえるべきだと考えています。

 まずは、京都議定書を批准しないアメリカを、曲がりなりにも巻
き込んで数値目標を入れたこと。そして、削減義務を負うことは絶
対にできないと言っていた新興国を、「長期目標について世界での
共有を支持する」というところまで巻き込んだこと。これは、言葉
の遊びのようにも聞こえますが、新興国の妥協をここまで引き出せ
たことは、上出来だと私は思いますし、新興国側にも、それだけ地
球温暖化に対する危機感があるということを明らかにできたことに
も価値があると思います。

 現在の世界的な危機は、三つのFだという論を読んだことがあり
ます。三つのFとは、「Fuel(フュエル:燃料)」、
「Food(フード:食料)」、「Finance(ファイナンス
:金融)」。すなわち、アメリカのサブプライムローン問題に端を
発した金融市場の乱れから、投機資金が商品先物市場に流れ込んだ
結果、原油や食料価格の高騰を招き、これら3つが絡み合って現在
の危機的な経済状況を引き起こしている、というものです。

 また、石原東京都知事は、新聞に連載しているエッセーの中で、
「環境破壊」「物価高騰」「H5N1型鳥インフルエンザ」という
三つの事項により、人類は、その存在そのものを危うくする危機に
瀕(ひん)していると指摘しています。
 そのうち、「環境破壊」「物価高騰」の元凶は、市場原理主義と
株主至高の価値観だろうと主張しておられました。

 確かにこれらは、現在の地球的な規模での危機を表しているもの
とは思いますし、これらも含めて総合的にサミットで論ずべきとの
意見だろうと思います。ですが、限られた時間のなかで議論すると
すれば、やはり「地球温暖化」でしょう。すべての危機のベースに
なるかもしれない大問題であり、後戻りが許されないテーマだと思
います。

 身近な地球温暖化対策や長野市としての取り組みについては、第
219号や第267号のメルマガなどでも触れてきました。当時と
比べれば、クールビズの取り組みも随分浸透しましたし、過剰包装
やレジ袋を断るということも一般的になってきました。
 そして、皮肉なことに、このところの原油価格の高騰を受けて燃
料などを節約せざるを得なくなり、その結果、削減できた温室効果
ガスの排出量も相当な量に上っているのではないでしょうか。

 このように、私たちは、着実に温室効果ガスの排出量を減らして
きていると思えるのですが、京都議定書で日本が世界に約束した
「2012年(平成24年)までに日本の温室効果ガス排出量を
1990年(平成2年)に比べて6%削減する」という目標には、
まだ遠いようです。
 少し前のデータですが、2006年度(平成18年度)の段階で
の排出量は、前年に比べて1.3%減少したとのことですが、
1990年(平成2年)と比べると6.2%上回った状態なのだそ
うです。あと4年余りで約12%の削減。京都議定書の数値ですら、
並大抵なことでは実現が難しいというのが現実です。

 今回のサミットにより、あと40年間で温室効果ガスを半減する
という長期目標を示したことは大きな成果といえます。しかし、こ
れを実現していくための方法をいかに具体化していくか、われわれ
人類の存亡をかけた重要な課題です。

 サミットでの話は、日本で、あるいは世界での削減ということに
なるのですが、どうもピンと来ないというのが実感です。私たちは、
自分のことと考えて、一人一人がどう対処するかというレベルに引
き戻していくことが、大切なような気がします。

 日本の温室効果ガス排出量の削減目標を実現するための国民的プ
ロジェクト「チーム・マイナス6%」では、身近な温暖化対策とし
て次の6点の実行を提案しています。
 ・温度調節で減らそう 冷房時の室温は28度、暖房時は20度
  に設定しよう
 ・水道の使い方で減らそう 蛇口はこまめにしめよう
 ・自動車の使い方で減らそう エコドライブをしよう
 ・商品の選び方で減らそう エコ製品を選んで買おう
 ・買い物とごみで減らそう 過剰包装を断ろう
 ・電気の使い方で減らそう コンセントからプラグをこまめに抜
  こう

 私たちの日常生活では、二酸化炭素の排出量など、あまり気にし
ないで行動することが多いと思います。食事の時にカロリー摂取量
を気にするように、これからは、二酸化炭素排出量も意識して生活
できるようになると効果がありそうです。

 ちなみに、長野市の家庭部門の温室効果ガス排出量は、2004
年(平成16年)の時点で、1990年(平成2年)に比べ
48.2%も上回っているそうです。目標達成にはかなりの努力が
必要です。
 目標の達成には、ライフスタイルの見直しや省エネ機器の購入は
もちろんですが、高気密・高断熱住宅や低公害車の普及、太陽光発
電、バイオマスなど、再生可能なエネルギーの利用も進める必要も
あります。また、実用可能な燃料電池車や家庭用燃料電池が開発さ
れていますが、今後の技術革新などにより低価格化が進み、普及す
ることを願っています。

2008年8月21日木曜日

長野オリンピック10周年記念事業は終了しました


 今月8日の開幕以来、北京ではさまざまな競技で熱戦が繰り広げ
られていますが、今年は、長野オリンピックの開催から10周年と
いう年でもあります。

 10年前の1998年(平成10年)2月7日から16日間にわ
たって、「愛と参加の長野オリンピック」が、山ノ内町、白馬村、
軽井沢町、野沢温泉村、そして長野市を会場として開催されました。
このときの感激と感動は、今なお忘れ得ぬものがあります。
 20世紀最後の冬季オリンピックとして、すべての人の「愛と参
加」のもとに、「子どもたちの参加」「美しく豊かな自然との共存」
「平和と友好の祭典の実現」という三つの目標が実現できた大会で
した。

 その長野オリンピック開催から10年を迎えるに当たり、大会が
目指した基本理念とオリンピックムーブメントを再認識し、地域の
魅力を再発見するために、昨年5月、実行委員会を設立して、「長
野オリンピック10周年記念事業」を企画、実施してきました。

 一部の事業については、以前のメルマガでもご紹介させていただ
きましたが、2月9日の「記念式典」をはじめ、各種フォーラム・
イベント、数多くの関連イベントが、4月26日の「北京2008
オリンピック聖火リレー」を最後に、すべて実施できたことは、実
行委員会の皆さまをはじめ、関係されたすべての皆さまのお力によ
るものと、深く感謝申し上げます。
 そして、これらのイベントは、北京オリンピックへの応援になっ
たようにも思います。

 去る7月22日に、この実行委員会の解散総会が開催されました。
実行委員会はその目的を達成し、解散しましたが、長野オリンピッ
ク10周年を機に、開催地自治体や競技団体、商工団体などで構成
された実行委員会のつながりが、今後もより地域の発展へとつなが
るよう願ってやみません。

 記録の意味も含め、以下に、長野オリンピック10周年を記念し
て行われた行事について、皆さまへの感謝の気持ちを込めて報告い
たします。

(実施事業)
・長野オリンピック10周年記念式典 2月9日(土)
  会場:ビッグハット 参加人数:2,200人
  長野オリンピックの感動がよみがえる映像や音楽、各種アトラ
  クションのほか、ゲストに伊藤みどりさん、荻原健司さん、船
  木和喜さん、有森裕子さん、小谷実可子さんほかをお迎えして
  トークセッションなどを開催

・スポーツと環境トークショー 2月11日(月)
  会場:若里市民文化ホール 参加人数:350人
  出演:山本浩さん、伊藤みどりさん、松岡修造さん、大林素子
     さん、水野正人さん

・長野オリンピックメモリアルコンサート 2月16日(土)
  会場:長野県県民文化会館大ホール 参加人数:1,300人
  出演:森山良子さんほか

・スポーツとまちづくりシンポジウム 2月17日(日)
  会場:若里市民文化ホール 参加人数:250人
  出演:木田悟さん、宮澤ミシェルさん、堀繁さん、丸山朗さん、
     今久留主成幸さん

・吹奏楽オリンピック記念コンサート 2月17日(日)
  会場:長野県県民文化会館大ホール 参加人数:1,500人
  演奏:ヤマハ吹奏楽団ほか

・トップアスリートによる冬季スポーツ教室 12月~2月
  会場:スパイラル・エムウェーブ・ビッグハット
  参加人数:180人

・写真展・メモリアルグッズ大集合 2月9日(土)~11日(月)
  会場:生涯学習センター 入場者数:2,912人

・テレビ放送
 「ザ・駅前テレビ 長野オリンピック10周年記念スペシャル」
  2月9日(土)9:30~10:50放映
  事業主体:abn長野朝日放送

 「2008NAGANO冬の祭典」
  2月9日(土)12:00~16:54放映
  事業主体:テレビ信州

 「長野オリンピック16日間の記録 ハイビジョン総集編」
  2月11日(月)19:30~20:55放映
  事業主体:NHK長野放送局

・ラジオドラマ放送
 「熱い冬~長野オリンピック10年前のあの日へ」
  1月6日(日)~2月24日(日)毎週日曜日15:30~
  15:50(全8回放送)
  事業主体:信越放送

・一校一国運動発表会 第9回こどもたちの国際交流発表会
  2月24日(日)
  会場:勤労者女性会館しなのき
  発表:信田小学校、徳間小学校、通明小学校、裾花小学校、柳
     町中学校、若穂中学校
  事業主体:長野みすずライオンズクラブ、社団法人長野国際親
       善クラブ

・その他(広報)
  信濃毎日新聞、長野市民新聞に広告を掲載

(関連事業・・・実行委員会とは別の組織をつくって運営していた
だいた事業です)
・国際親善アイスホッケー大会U16長野オリンピックメモリアル
 カップ2008
  2月8日(金)~10日(日) 会場:ビッグハット
  観客数:4,500人
  1位日本、2位カナダ、3位ロシア 主催:同実行委員会

・第10回東口フェスティバル 2月9日(土)~10日(日)
  会場:長野駅東口ユメリア通り一帯 主催:同実行委員会

・第5回長野灯明まつり 2月9日(土)~17日(日)
  会場:善光寺境内、中央通り、トイーゴ広場
  主催:同実行委員会

・氷の彫刻展inエムウェーブ 2月9日(土)~10日(日)
  会場:エムウェーブ 主催:株式会社エムウェーブ

・長野オリンピック記念平和とスポーツの日「市民平和の日のつど
 い」 2月10日(日)
  会場:若里市民文化ホール 主催:同実行委員会・長野市

・第10回長野オリンピック記念長野マラソン大会
  4月20日(日)
  会場:長野市内 主催:同実行委員会

・北京2008オリンピック聖火リレー 4月26日(土)
  会場:長野市内 主催:同実行委員会

(関係町村実施事業)
・山ノ内町:メモリアルシュプール、ジュニアスキースクール、志
  賀高原ツアーアテンダーシステム、志賀高原バックカントリー
  スキーツアー、スノーシューハイキング「大雪原の小さな冒険」、
  ピラカンサス植樹、スノービレッジ(スノーライトアップ)

・白馬村:サマーノルディックコンバインド・イン・白馬、サマー
  クロス・イン・白馬

・軽井沢町:abnドキュメンタリー特別番組、軽井沢カーリング
  フォーラム、長野オリンピックメモリアル写真展

・野沢温泉村:オリンピック選手と滑ろう、雪だるままつり、ニコ
  ニコ夜祭り、灯明夜まつり

 皆さま、ご協力ありがとうございました。

 なお、北京オリンピックは、今日現在、開会から14日目を迎え
ました。開催国である中国に対しては、開催前の聖火リレーでの混
乱をはじめ、人権、治安、大気汚染、食の安全性、開会式の演出の
問題など、さまざまな批判的意見もありますが、「大会を支えるボ
ランティアの大学生が親切で礼儀正しい」と石原東京都知事がコメ
ントされたように、現地では、批判報道から受けるイメージとは必
ずしも一致しない場面も多いようです。

 また、中国産冷凍ギョーザ中毒事件に関して、中国側が従来の主
張を転換する内容を明らかにしたことにも象徴されますが、北京オ
リンピックを契機に、中国という国が確実に変わりはじめていると
思えるのです。
 日本が各国にも認められる国になってきたのは、44年前に日本
が初めて開催した東京オリンピックが契機であったようにも思いま
す。中国も、オリンピックを境に、より成熟した国に発展していけ
るのではないでしょうか。

 始めにも申し上げましたが、私たちが長野オリンピックで得た感
激と感動は、今なお忘れ得ないものがあります。同じオリンピック
とはいえ、夏と冬とでは大会の規模が全く違いますが、北京オリン
ピックの開催により、中国の皆さんが得る感激と感動がいつまでも
心の中に残ることは、私たち長野と同じなのではないでしょうか。
 この感激と感動を糧に、北京オリンピック・パラリンピックのス
ローガン「One World One Dreem(ひとつの世
界、ひとつの夢)」の真の実現に向けて、主体的な役割を担う国と
して中国が成長していくことを期待しています。

2008年8月14日木曜日

7月末から8月上旬、忙しかった(2)


 甲子園での熱戦に加え、今年は北京オリンピックもあり、皆さん、
テレビの前から離れられないお盆を過ごしていらっしゃるのではな
いでしょうか。
 先週のお祭りに引き続き、今週は、市内のスポーツの話題につい
てご報告させていただきます。

 7月26日(土)から、長野運動公園と長野オリンピックスタジ
アムで、第42回長野市少年野球大会が行われました。私は、開会
式に出席させていただきましたが、野球を愛する小学生85チーム、
中学生19チームの選手の皆さん、そして役員やコーチ、監督、保
護者の皆さんなど、大勢の皆さんが参加してくださり、今年も盛大
に開催されました。
 両会場では、熱戦が繰り広げられ、小学生の部では綿内少年野球
クラブA、中学生の部では長野東柳クラブAが優勝を決めました。

 サッカー北信越リーグで好調に1位を保ってきたAC長野パルセ
イロですが、7月27日(日)に新潟県で行われた試合で、リーグ
2位のJ.S.C(ジャパンサッカーカレッジ)と対戦。この試合
は、今期の優勝を決定的にする大事な一戦だったのですが、これに
敗れて、2位に転落してしまいました。
 ところが翌週、8月2日(土)にAC長野パルセイロがツエーゲ
ン金沢に勝ったことに加え、翌日、松本山雅FCが、J.S.Cに
勝ったことにより、AC長野パルセイロが再び1位に復帰しました。
ほっと一安心です。
 一気に優勝を決めることはできませんでしたが、現在のところ、
AC長野パルセイロが優勝に一番近い位置にいることは事実です。

 最終戦は、9月7日(日)に、AC長野パルセイロ対松本山雅F
C、J.S.C対ツエーゲン金沢の4強対決で行われます。勝ち点
と得失点差によって微妙な問題もありますが、勝てば文句なしにA
C長野パルセイロが優勝です。
 JFL(日本フットボールリーグ)への昇格を目指すには、北信
越リーグで優勝することが必要ですが、全国社会人サッカー選手権
や長野県サッカー選手権(天皇杯予選)から昇格する道もあります。
AC長野パルセイロは、現段階でそのすべてに勝ち残っています。
大きなチャンスです。今年こそ、ぜひJFL、そしてJリーグへの
道を切り開いてほしいものです。

 そして、この時期、うれしい報告が相次ぎました。
 まずは、野球です。市内の硬式野球2チームが、全国大会に出場
するとのことで、あいさつに来てくださいました。

 7月29日(火)に来てくださったのは、長野東リーグ(リトル
シニア)の皆さんです。信越大会で準優勝し、東京の神宮球場など
で行われる「日本リトルシニア野球選手権大会」に出場されるとい
うことでした。この大会は、すでに終わったのですが、長野東リー
グは、惜しくも1回戦で敗退してしまったそうです。

 8月5日(火)には、長野東リトルリーグの皆さんが来てくださ
いました。こちらは、信越大会で優勝し、8月22日(金)から福
島県で行われる「2008ザバスカップ全国選抜リトルリーグ野球
大会」に出場されるとのことです。日ごろから鍛えている技やチー
ムワークをいかんなく発揮して、試合に臨んでいただきたいと思っ
ています。

 続いてバレーボールです。8月4日(月)には、若穂ジュニアバ
レーボールクラブの男子小学生の皆さんが、8月12日(火)から
東京体育館などで行われる全国大会への出場を決めたということで、
あいさつに来てくださいました。このチームは、県内でも強豪のよ
うで、今回は2年ぶり4回目の出場です。前回出場されたときは、
全国優勝を果たし、優勝報告に来ていただきました。今回もぜひ勝
ち上がっていただき、夏休みのすばらしい記念をつくってきていた
だきたいと思います。

 そして、北京オリンピック。8月8日(金)に開会式がありまし
たが、それを前に長野市出身のオリンピック選手として、7月24
日(木)には男子バレーボールの松本慶彦選手が、8月1日(金)
には自転車競技の宮澤崇史選手が市役所にあいさつに来てください
ました。両選手とは、練習の様子や大会出場に向けた意気込みなど
について懇談させていただきましたが、お二人とも、北京での活躍
を力強く誓っていってくださいました。
 オリンピック開催都市として、長野市関係者からオリンピックに
出場する選手が輩出されることを、私は願っていたのですが、それ
が実現してうれしくてたまりません。

 そのお二人の状況です。テレビや新聞などを通じて皆さんすでに
ご存じだと思いますが、宮澤選手は、開会式の翌日に行われた自転
車男子ロードレースに出場され、143人中86位という結果だっ
たようです。レースでは、53人もの選手が途中棄権しているよう
ですから、初出場にして堂々の完走、と言って良いでしょう。
 私は、一緒に来られた伯父さんのお話によって知り、びっくりし
たのですが、宮澤選手は、お母さんのために、生体肝移植で肝臓を
半分提供されたのだそうです。そういう経験をしながら、オリンピ
ックへ、さらにはツール・ド・フランスを目指し、ヨーロッパを転
戦しているとのこと。本当に感じ入りました。

 そして、松本選手が出場している男子バレーボール。10日のイ
タリア戦では、イタリアが2セットを連取。第3セットは奪ったも
のの、セットカウント1-3で残念ながら敗戦となりました。12
日はブルガリア戦。これは勝てるかもしれない、そんな期待もでき
るぐらいの試合展開でしたが、最後は競り負け、こちらもセットカ
ウント1-3で、惜しくも勝利を逃してしまいました。
 今日は中国戦です。今度こそ勝利を手中にし、なんとか決勝トー
ナメントへ勝ち進んでもらいたいと思います。
 皆さん、応援をよろしくお願いします。

 少し前になりますが、水泳でもうれしい報告がありました。市内
の高校2年生の箱山愛香選手が、7月9日(水)~13日(日)に
ロシアで行われた「FINAシンクロナイズドスイミング世界ジュ
ニア選手権大会」に出場されるということで、市役所にあいさつに
来てくださいました。
 残念ながら、今回、私は、お会いすることができなかったのです
が、箱山選手は、中学生のころから市水泳協会の強化選手になって
おり、年々実力を上げてきているとのことです。これからもさらな
る活躍が期待されます。

 ところで、東京が2016年(平成28年)のオリンピック・パ
ラリンピックを招致したいと立候補していることは、皆さんご存じ
だと思います。その招致活動の一環として、7月25日(金)、長
野オリンピックスタジアムで、信濃グランセローズの試合の前に招
致委員会主催のキャンペーンが行われました。東京オリンピック・
パラリンピック招致ふるさと特使で、長野市在住のオリンピック選
手である、スケルトンの越和宏選手とともに、私もその中のトーク
ショーに参加しました。

 トークショーでは、東京オリンピック招致の可能性についてコメ
ントを求められましたので、私は、「東京はあらゆる面で整備され
ており、招致は可能だと思う。IOC委員の投票なので絶対はない
けれど、可能性は十分あるのではないか。ただ、IOCの調査でも
指摘されたようであるが、足りないのは東京都民の盛り上がり。長
野では、行政だけでなく、みんなで頑張った結果、オリンピックを
招致することができた。その喜びを東京都民にも味わってもらいた
い。ぜひ、頑張ってほしい。」と、東京の招致活動を激励させてい
ただきました。
 私が参加させていただいたのは、15分ほどの短い時間だったの
ですが、2回目になる東京オリンピックの招致が成功すれば、長野
で再びオリンピックを、なんてことも考えられるのかもしれない、
そんなことも頭をよぎったひと時でした。

 さまざまな競技で市内の皆さんが活躍していることは、本当にう
れしいことです。スポーツを軸としたまちづくりを進めたいと考え
ている長野市としても、とても励みになります。市民スポーツ・競
技スポーツともに、もっと盛んにし、オリンピックの開催で得られ
た、有形、無形の資産を生かしていきたいと思っています。

2008年8月7日木曜日

7月末から8月上旬、忙しかった(1)


 今年の夏の暑さは別格ですね。でも私は、外で汗を流して仕事を
するのは、嫌いではありません。28度に設定しているとはいえ、
冷房の効いた市長室にいるより、健康にも環境にも良いはずです。
 この時期、市内各地でいろいろなお祭りが開催されています。ま
た、学校が夏休みに入ったためでしょうか、スポーツ大会も盛んに
行われており、私は、忙しくとび歩いています。

 まず、私も参加させていただいたお祭りからご報告します。
 7月26日(土)に「若穂ふれあい踊り」、「篠ノ井合戦まつり」、
「大豆島甚句まつり」が行われました。以前、「若穂ふれあい踊り」
は「若穂びんずる」、「篠ノ井合戦まつり」は「篠ノ井びんずる」
と称していたお祭りで、「長野びんずる」とともに昭和46年に始
まり、今年で38回目を数えます。

 「若穂ふれあい踊り」には、ステージイベントの後に行われた開
会式に参加させていただきました。この日は、3つのお祭りを掛け
持ちで回らせていただきましたので、長い時間いることができずに
残念だったのですが、年々にぎやかなお祭りになってきていると感
じました。“ふれあい”と名称を変更してから、若穂地区の皆さん
が独自性を発揮されているためでしょう。

 「篠ノ井合戦まつり」も、篠ノ井地区を挙げてのお祭りです。私
は、びんずる踊りが始まる直前の火釜への点火式から参加させてい
ただきました。私がお伺いさせていただいた時には、すでに大勢の
皆さんが集まっており、篠ノ井駅前の通りは満杯といった状態でし
た。昼間は子どもみこし、夜はびんずる踊りと、こちらも華やかに
展開されました。

 「大豆島甚句まつり」も、すでに29回目を迎えています。甚句
とは、神に供える農作業の仕事唄として起こったものだそうです。
古くから肥沃(ひよく)の地「大豆島」の人々に脈々と受け継がれ
てきた唄と踊りは、昔の人の豊穣(ほうじょう)の喜びを今に伝え
るものとのこと。農作業の仕事唄としての甚句は、もともと長野盆
地一帯に共通してあったようなのですが、江戸時代の歌詞が完全な
形で唄い継がれてきているのは大豆島地区だけであり、民俗学的に
も貴重な存在になっているのだそうです(このほか、「芋井甚句」、
「三輪甚句」、「安茂里甚句」、「新町甚句」などが伝承されてい
ます)。

 長野市では、この大豆島甚句が民俗芸能として非常に価値が高い
ことから、昭和55年6月に市の無形文化財に指定しました。その
ことを記念して始められたのが「大豆島甚句まつり」です。

 このお祭り、私も何度か参加させていただきましたが、大勢の人
が踊るにしては、道が狭くて、少しもったいないなあ・・・と、失
礼ながら感じていました。役員さんにそんな話をしましたら、間も
なく整備が完了する大豆島公園に会場を移したいと考えているとの
ことでした。

 8月1日(金)、第1回「東口ゆめりあ祭り」が行われました。
昨年までは「東口ゆめ祭り」というお祭りだったのですが、11回
目を迎えるに当たり、装いも新たに、内容も充実して「東口ゆめり
あ祭り」になったとのことです。
 さまざまなステージイベントに加え、ゆめりあ通りいっぱいに並
んだテーブルをそれぞれ囲みながら、皆さん楽しいひとときを過ご
していらっしゃいました。冬の「東口フェステイバル」と並んで、
さらに定着していくことを期待しています。

 8月2日(土)は「長野びんずる」本番。踊りに先立ち、善光寺
本堂において、大勧進、大本願、そして一山のご住職の読経のもと、
長野びんずるの役員、各連長が参加して、採火式が厳粛に行われま
した。続いて、法燈(ほうとう)行列として、善光寺木遣(きやり)
保存会の皆さんの先導でトイーゴ広場までパレード、分火式の後、
各火釜に点火され、スタートの掛け声とともに踊りが始まりました。

 230連、踊り手1万1,000人余の皆さんが、びんずる囃子
(ばやし)と“ソーレ”の掛け声のもと、約2時間半、元気に踊り
続けていらっしゃいました。
 私は、善光寺本堂からの一連の行事に参加してから、INC長野
ケーブルテレビの番組に出演し、その後、中央通りや長野大通りを
見てまわりました。あまりの人込みにちょっと疲れましたが、今年
も大勢の皆さまに足を運んでいただいたことをうれしく思いました。

 毎年のことなのですが、このような人込みや踊りの様子を見てい
ると、「長野びんずる」が長野市を代表するお祭りになったことを
改めて実感します。昭和46年の「長野びんずる」立ち上げにかか
わった私としては、我が子の成長を見るような感慨深いものがあり
ます。

 少し前になりますが、7月12日(土)、13日(日)の両日、
市立皐月高校・市立長野高校の第40回皐月祭が行われました。皐
月高校は女子高校として長い伝統がありますが、この4月から市立
長野高校として、男女共学、総合学科の高校に生まれ変わり、現在
は二つの学校が並存している状況です。

 今年度、市立長野高校には、新しい1年生が入ってきたわけです
が、男子生徒の占める割合は、43%とのことです。女子高から男
女共学に変わったにしては、ちょうど良い比率になってよかったと
感じています。
 文化祭は、これまでどおり「皐月祭」として、皐月高校の3年生
の女子生徒が中心になって運営したようですが、両校が一致団結し
た素晴らしいお祭りで、元気もよく、大いに楽しませてくれました。

 このほか、残念ながら私は参加できませんでしたが、8月2日
(土)、3日(日)には戸隠の「ミセスウェストン祭」、7月25
日(金)から始まり本日が最終日となる権堂町の「長野七夕まつり」
もありました。

 そして、これからも、まだまだお祭りが続きます。8月9日(土)
には、飯綱高原イヤーのイベントの一つである「オトナリGREE
N SESSION『湖上の歌、地球の声』」、10日(日)には
「豊野ヨイショコまつり」、「飯綱火まつり」が開催されます。

 また、お盆の最中となる13日(水)~15日(金)には「善光
寺お盆縁日」、14日(木)には「ひじり三千石まつり」、15日
(金)には「鬼無里ふるさと夏まつり」があります。
 まさに、夏祭り絶好調です。皆さん大いに楽しみましょう。

 お祭りで大切なことは、多くの皆さんが楽しめることはもちろん
ですが、地域の皆さんと商業者が相互に連携し、商業者の皆さんも、
もうかるようにすることだと思います。これが長続きする秘訣(ひ
けつ)なのではないでしょうか。
 市内の商業にもプラスになるよう、長野市としてもお祭りを支援
していきたいと考えています。

 来週は、スポーツ関係の話題について報告させていただきます。

2008年7月31日木曜日

戸隠地質化石博物館


 茶臼山動物園のすぐ隣に、茶臼山自然史館という施設があったこ
と、覚えていらっしゃいますか。私が長野市の教育委員をさせてい
ただいていた昭和60年に、長野市立博物館の分館として完成した
施設です。

 当時、教育委員会の議題として、完成した自然史館の入館料をい
くらにするかという案件があったことを記憶しています。私は「提
案の金額は安いように思うけれど、どうやって算定したのですか」
と質問したのですが、事務局職員からは「周辺の類似施設の入館料
を調べて決めた」という意味の答えがありました。私は「へえー、
原価計算をして決めるわけではないんだ、類似施設というのもよく
分からないなあ」と、不思議に思ったことを鮮明に覚えています。

 そして、教育委員という立場であったことから、開館後早々に見
学しました。地層や化石の展示・説明があって、長野地域の生い立
ちが分かるようになっていたと記憶していますが、その後、市長に
就任してからも含めて、残念ながらこの自然史館の展示を直接見る
機会はありませんでした。

 その茶臼山自然史館ですが、昨年11月に閉館しました。茶臼山
自然史館と類似した施設として、戸隠栃原に、旧戸隠村時代に整備
された「地質化石館」がありましたので、統合することにしたので
す。

 「地質化石館」は、昭和24年に建てられた旧柵(しがらみ)中
学校の木造校舎を利用していましたので、傷みも激しくなっていま
した。また、茶臼山自然史館も、手狭で博物館としての業務に支障
を来している状態でした。
 そこで、「地質化石館」と同じ敷地内にあり、小学校の統廃合に
より平成18年度から空き校舎となっていた旧柵小学校の校舎を活
用し、総事業費約2億円を投じて新たな博物館を整備することにし
たのです。この地域は、鬼無里方面も含めて、全国有数の化石の宝
庫といえる場所でもあります(小学校の統廃合は、旧戸隠村時代に
決定していたもので、平成18年4月に、柵小学校と戸隠小学校、
戸隠小学校宝光社分校を統合して、新戸隠小学校を開校しました)。

 新しい博物館は、それぞれ20年以上も活動を続けた博物館を統
合して整備しましたので、地質や化石を中心に約5万点もの豊富な
資料を収蔵することになりました。この資料数は、県下でも有数の
コレクションと言うことができるそうで、博物館の規模も、自然史
系博物館の中では県下最大級とのことです。

 結果的に、このような立派な博物館が誕生することになりました
が、重要なことは、この博物館の誕生により、類似施設が2館ある
ことによる不効率や、両館が抱えていた課題を発展的に解消するこ
とができたということです。
 これも、平成17年に長野市と戸隠村が合併した効果の一つと言
えるかも知れません。

 『広報ながの』7月15日号の一面に、大きな岩塊を館に運び込
んでいる写真を掲載させていただきましたが、しばらく前からボラ
の開館に向けた引っ越し作業をしてきました。
 この岩塊は、旧柵小学校の入り口に置かれていた化石の巨大な塊
で、重さは2トンもあるそうです。平成17年に裾花川の河原で発
見されたものなのだそうで、小学校の閉校式での式辞で、校長先生
が「天からの贈り物です」と形容されていたことを思い出します。
 今回、これも展示に使用させていただくことになり、写真のよう
に、大掛かりな引っ越しとなったわけです。

 そして、7月26日(土)の午前10時から、開館式が行われま
した。私も参加して、主催者としてあいさつをさせていただいた後、
館内をゆっくり見学しました。

 この博物館は、長野の大地の生い立ちを戸隠の化石から学ぶ施設
という位置付けをしており、戸隠山の生い立ちや飯綱火山・長野盆
地のでき方を中心に、長野周辺の自然に関する展示もあります。
 ちなみに、ホタテガイの化石が見つかる戸隠山は、約500万年
前の海底が隆起してできた山だということです。だからあんなにゴ
ツゴツしているのでしょうか。

 長くなりますので、展示内容の詳細については、実際にお越しい
ただき、皆さんご自分の目で確かめていただきたいと思います。た
だ、お越しいただけるとお分かりいただけると思いますが、市街地
から少し遠い、アクセスが悪いというのが、現段階での評価になる
でしょう。
 しかし、そのことを別にすれば、本当に素晴らしい施設が誕生し
たと思っています。館の周囲にも豊かな緑が広がっており、とても
よい場所です。

 この博物館の最大の特色は、「ミドルヤード」という新しい発想
のもとでつくられていることです。これまでの博物館は、来館者の
皆さんにご覧いただく展示室(フロントヤード)と研究・収蔵・管
理をする非公開の場(バックヤード)が分かれていました。そのた
め、博物館としての魅力を十分にお伝えすることができなかったの
ではないかという反省から、その中間の場となる「ミドルヤード」
という考え方を導入しました。
 これにより、これまではお見せしていなかった博物館の裏側、す
なわち、資料を保存している収蔵庫や学芸員の研究室などもご覧い
ただけるようにしました。そのほか、これまで学芸員が行っていた
資料の保存や展示に必要な作業なども、来館者が一緒に行えるよう
にするなど、従来にない体験をしていただくことも可能です。

 もともとこの地にあった「地質化石館」は、古い校舎を利用して
おり、見栄えのする建物ではなかったのですが、知る人ぞ知る博物
館だったようで、「若いころ、ここで勉強した」とおっしゃる方が
たくさんいらっしゃるようです。松田館長は、今までは「建物は古
いけれど中味は濃い」と言われてきたけれど、これからは「建物も
“濃く”て、中味も濃い」と言えるようになった、と喜んでおられ
ました。
 今回、新たな考え方も取り入れて整備し直したことにより、自然
史研究や学習の場として、日本を代表するような博物館になってい
ってほしいと願っています。

 この博物館にはもう一つ誇ることがあります。それは学芸員の存
在です。開館式の後、大勢のお客さんと一緒に館内を見学したので
すが、学芸員の語りは抜群でした。皆さん学芸員の説明に聞き入り、
感心していました。
 「地質化石館」のころからの経験により、慣れているといえばそ
の通りですが、よく勉強しており、お客さんの気持ちを察しながら、
自分の話に引き込んでいく話術はたいしたものだと感じました。

 「単なる施設、景色だけでは人を呼べない、優れた語り部(案内
人)が必要である」と、松代などの観光地でも力説してきましたが、
この館は、まさにそのような形でもお客さんを喜ばせてくれるので
はないかと感じました。
 学校関係の理科の勉強にも、有効ですから、大いに活用していた
だき、たくさんの子どもたちに来ていただいて、勉強していただけ
るとうれしいですね。

 車で、長野駅から国道406号経由で約30分、戸隠中社からは
約20分です。貝のマークが入った紺色の案内標識が主な交差点な
どに出ていますので、目印にしてください。
 市街地からバスで行く場合には、川中島バス鬼無里線で「参宮橋
入口」下車、市営バス参宮線または西部線に乗り換えていただいて
「農協前」下車、徒歩1分です。
 ただし、現段階でこの市営バスは、便数が少ないことに加え、戸
隠地区の方々が市街地方面へ行きやすいようにダイヤを編成してい
ます。市街地から博物館へ向かうルートは、逆方向になることから
バスの接続が悪く、乗り換えの待ち時間が大変長くなってしまいま
すので注意してください。
 大変残念ですが、現在のところ車でお越しいただくことが無難で
あると言わざるを得ません。

2008年7月24日木曜日

茶臼山動物園


が到着したのが既に午後3時過ぎだったせいでしょうか、お客さん
はあまり多くはありませんでした。

 最初に、昨年拡張した駐車場を視察しました。約100台分が増
えたのですが、園長いわく、大変な効果があって、5月の連休中に
お待たせした車は、以前と比べてとても少なくなったようです。車
の長さと前後の車との距離を合わせ、車1台当たり6メートルと仮
定して計算すると、この駐車場を整備したことにより、約600メ
ートルほどの渋滞が解消できたのではないかと考えています。

 もう一昨年になりますが、5月の連休中に、私は孫を連れて茶臼
山動物園に行こうとしたのですが、途中で車が詰まってしまい、1
時間近くも動くことができず、どうしようもなかったという経験を
したことがあります。動物園の駐車場が満車で、入り切れない車で
渋滞していたのです。

 連休明けに担当者を呼んで話を聞いたところ、「駐車場を拡張し
たいと考えているが、なかなかうまく進んでいない。」とのことで
した(進まない理由には、市の予算の制約もあったのかもしれませ
ん)。
 私は、「自分が経験したから言うわけではないが、動物園にはも
う二度と行きたくないという人を増やしているのではないか。そし
て、あの県道を使っている住民の皆さんの迷惑は、計り知れない・
・・何が何でも駐車場を拡張すべきだ。」と伝えておきました。

 その後、予算を確保し、地権者の方々のご了解もいただくことが
でき、駐車場を拡張することができたわけです。そして、この約
100台分が効果を発揮したようですから、地域の皆さんにご迷惑
をお掛けしている度合いも、少しは減ったのではないでしょうか。

 駐車場を視察した後、担当の公園緑地課と、指定管理者として動
物園の運営を委託している市開発公社のスタッフと一緒に園内をひ
と回りしました。
まなリフォームが必要になってきています。ライオンとトラの檻
(おり)の前では、檻の位置を変える構想について、話を聞きまし
た。その構想は、「この檻の反対側には、雄大な景色を眼下に見る
ことができる絶好の場所があるが、現在は生かしきれていない。そ
こで、この景色を背にして檻を配置し直し、ライオンやトラだけで
なく、この景色も楽しんでいただけるようにしたい」というもので
した。確かに良い考えかもしれません。

 動物の見せ方も開園時とは変わってきています。これは、日本の
動物園で最多の入園者を誇る北海道旭川市の旭山動物園の影響もあ
キリンやシマウマなどがいるアフリカ平原コーナーでは、キリンの
エサやりが体験できるようになっています。
 私は初めてだったのですが、このエサやりは楽しかった。高い台
に登ってエサになる木の枝を用意すると、キリンは知っていて、す
ぐに寄ってきて首を伸ばしてくるのです。枝から葉っぱを器用には
がしてムシャムシャ・・・。キリンの舌があんなに黒い(青っぽい)
とは知りませんでした。動物を眺めているだけでは味わえない、知
ることができない経験でした。

 そして、話題のレッサーパンダ。6月30日に、千葉市動物公園
から「風鈴(フウリン)」が来園しました。「風鈴」のお父さんは
後脚だけで立つことで有名になった「風太(フウタ)」君。お母さ
さんの故郷「茶臼山」に里帰りすることになり、来園したのです。

 レッサーパンダ舎では、もう一つ、うれしい話題があります。レ
ッサーパンダの赤ちゃんが2頭生まれたのです。まだ、公開されて
いませんし、私も見せていただけなかったのですが、飼育係の職員
の話ではとてもかわいい赤ちゃんのようです。レッサーパンダ舎の
前には、赤ちゃんの様子を見ることができるモニターがあります。
皆さん、ぜひご覧ください。

 このレッサーパンダの獣舎も、来年度、新しく造る計画がありま
す。飼育頭数も大幅に増やし、レッサーパンダをいろいろな見せ方
で展示する予定です。その第一弾として、今回、「風鈴」が里帰り
することになったもので、「風太」のように立つレッサーパンダと
して人気を集めることが期待されています(ただ、「風太」が少し
有名になりすぎたため、商業利用にもなっていることを批判してい
る論調もあるようです)。

好都市提携をしたときに、先方から贈られたのが始まりとなってい
ンダの飼育地になっているとのことです。
 今後さらに繁殖させるには、血統が近すぎるといけないというこ
とで、他の動物園と協力して計画を作り、相手を選んで、やりとり
しているのだそうです。最近では、オスの「セイタ」が、婿入りの
ために北海道札幌市の円山(まるやま)動物園へ旅立ちました。元
気で良い子をつくってほしいものです。

 この日は、これらのほか、東京都多摩動物公園からお嫁に来たチ
ンパンジーの「カコ」や、栄村で不幸にも親熊を失って保護された
2頭の小熊(近年の熊の出没被害のことを考えると複雑な気持ちで
したが、とてもやんちゃな、かわいい熊たちでした)、長野県在来
の鶏の一種で、長い鳴き声が特徴の信州唐丸(とうまる)などを、
それぞれの動物の性格や裏話などの説明を聞きながら見て回りまし
た。

 短い時間だったのですが、職員の説明を聞きながら園内を回ると、
動物たちをより一層身近に感じることができましたし、一味違った
動物園を見たようにも思いました。
 私は、以前から観光地には「語り部」が必要だということを申し
上げてきました。名所や旧跡などに行くと、名物「語り部」がいて、
おもしろおかしく、そして分かりやすく解説をしてくれることがあ
ります。この解説により、その場所の印象がより深くなったりする
ものです。動物園でも同様に、「語り部」の存在は大切だと感じま
した。
職員の説明をお聞きいただけるイベントもありますので、皆さん、
ぜひご参加ください。きっと、より深く動物園を楽しんでいただけ
ることと思います。

されることになっています。この研究会には、秋篠宮さまもおいで
契機に動物園をリフレッシュするべく、園長以下、大いに張り切っ
ています。動物園、植物園、恐竜公園、そしてマレットゴルフ場・
・・茶臼山はさらに楽しい場所になっていくでしょう。

 ただ、この辺りは、以前、大規模な地滑りがあり、長い間その復
旧工事を進めてきた場所なのです。そのため、土地を利用するには
いろいろ制約せざるを得なかったことから、動物園などを整備して
きたのです。さらに、山の中腹を利用しているということもあり、
動物園や植物園など、配置されているそれぞれの施設をつなぐ動線
は、必ずしも機能的になってはいないと感じています。しかし、逆
に考えれば、その動線を見直して、すべての施設の関連がよくなれ
ば、もっと素晴らしい場所になるとも考えています。
 今後、今ある施設を有効に活用できるようアイデアを出し合いな
がら、さらに皆さんに楽しんでいただける場所にしていきたいと思
っています。

2008年7月17日木曜日

明るい選挙について


 7月4日、長野市民会館で「長野市明るい選挙都市宣言・長野市
明るい選挙推進協議会40周年記念大会」が開催されました。開会
に当たり、私は主催者の一人として、以下のようなあいさつをさせ
ていただきました。

 長野市は、昭和43年3月に、民主政治の健全な発展を期するた
めには「選挙が明るく正しく行われなくてはならない」との理念の
もとに、「明るい選挙都市宣言」をしてから40周年を迎えました。

 選挙を明るく正しいものにしようという運動は、昭和27年に
「公明選挙運動」として始められました。この運動は、民間有志に
より始められ、その後、官民一体となって全国的に展開されたので
すが、この前年の統一地方選挙では、選挙違反が相次ぎ6万人もの
検挙者が出たり、昭和27年の衆議院議員総選挙に向けても禁止さ
れているはずの事前運動が盛んに行われていたりした、という状況
だったようです。
 名称は、その後「明るい選挙推進運動」に変わりましたが、活発
な啓発活動を行って今日に至っています。

 この間、長野市でも、国政選挙、地方選挙を含め数多くの選挙が
行われてきましたが、関係者の皆様方をはじめ、有権者のご理解と
ご協力により、大きな選挙違反もなく、また、選挙無効に発展する
ような選挙の管理執行上における大きな問題もなく経過してきたこ
とは、大変喜ばしいことです。

 しかしながら、理想選挙への道はなお遠い、いや、だんだん問題
が出てきていると言わざるを得ない状況を感じています。特に、各
種選挙における投票率の長期低落傾向は、全国的なものとはいえ、
誠に憂慮すべき現象です。
 皆さんご承知のとおり、昨年行われた長野市議会議員一般選挙で
は、初めて投票率が50%を割り、49.71%と過去最低を記録
しました。この投票率は、前回に比べ、3.11ポイント低下とい
う大変残念な結果でした。
 さらに、前回の市長選挙に至っては、約37%という状況であっ
たわけで、実に遺憾であると言わざるを得ない状況です。

 投票率の向上に関しては、選挙管理委員会の努力、白バラ友の会
の皆さんの献身的な啓発活動など、いろいろな方々にご尽力いただ
いているわけですが・・・残念ながら、低落傾向を止めるところま
での効果は上がっていないのが実態です(しかし、皆さんが活動さ
れているからこそ、現在の投票率が維持できていると言えるのかも
しれません)。

 選挙を通じて政治に参加することは、有権者の権利であり、自ら
に課せられた義務でもあります。改めて、有権者一人一人が一票の
大切さを認識し、積極的に投票に参加されるようお願いしたいと思
います。また、明るい選挙推進運動も、過去の啓発活動の枠組みに
とらわれず、時代に即した効果的な方策により推進する必要があり、
決意を新たに真剣に取り組まなくてはならないものと思っています。

 私があいさつで申し上げたのは、おおむね以上のような内容です。

 ここから先は、私の個人的な意見として聞き流していただきたい
のですが・・・日本は、選挙によって代表者を選出し、その代表者
に権力の行使を託すことで国民が政治に参加し、意思を反映させる
間接民主制の国です。真に民主的な社会を実現するためには、その
基本である選挙が正しく行われることが必須の条件であり、これは
常識です。

 ただ、この常識について、最近、私は疑問を感じています。「民
主主義」イコール「選挙」とは言えないのではないかということで
す。
 現状の投票率を見ると、半分にも満たない数の有権者によって代
表者が選ばれ、その代表者により国や地方の政治が動かされている
ことは少なくありません。果たして、これが、正しい民意を反映し
ている状況と言えるのでしょうか。日本人の経験として、独裁的な
国家体制の中で人々が血みどろの戦いを経て、選挙権を獲得してき
たという歴史がないからこのようなことになってしまったのでしょ
うか。

 権利と義務ということについても考えるところがあります。投票
は権利でしょうか、義務でしょうか、問いたい。仮に、義務だとす
れば、投票しなかった人に何らかの罰があってもよいのかもしれま
せん(事実、投票を行わないと罰金が課される国もあるようです)。

 公職選挙法という法律があります。この法律は、国会議員や都道
府県・市町村議会議員、知事、市町村長の選挙のルールを定めてい
るのですが、選挙運動でしてはいけないことが羅列されています
(してはいけないことがあまりにも多く、当初は私も驚きました)。
 金権選挙を防止し、公正な選挙を行えるようにすることは当然必
要なのですが、これでは、選挙運動も萎縮してしまうかもしれませ
ん。買収だけはいけないとして、あとは何をやってもよい、では言
い過ぎですが、現在の状況に即して、もう少し分かりやすくすると
いうのも一つの方法かもしれません。そして、インターネットも、
もう少し自由に利用できればよいと思うのですが・・・。

 立候補する側の質も問われなければいけません。選挙に、そして
政治に興味関心を引くためには、候補者としての政策はもちろんで
すが、人物も重要です。単なる人気だけでなく、周りを引き付ける
だけの求心力をもっているか、燃え上がるような熱情を生み出せる
人物かどうか・・・難しい注文ですが、このような要素も必要でし
ょう。

 公務員や選挙で選ばれている人が立候補する場合に、その職を辞
めなくてはいけないという規定もあります。
 この決まりは、ある意味、公平性を欠いているようにも思うので
す。会社の社長や従業員、自営業の人とか、作家、タレント、弁護
士や司法書士など“士”のつく職業の人も、現職のまま立候補でき
ますよね。
 同じように公務員も現職のまま立候補でき、当選したら辞めると
いうことでもいいのではないでしょうか。辞めてから立候補すると
いうのは、リスクが大き過ぎると思うのです。
 確かに、首長や議員、公務員が仕事上の立場や機会を利用して選
挙運動を実施すれば、とても有利に働いてしまいますから、理解で
きないわけではありません。ただ、この決まりをなくすことができ
れば、もう少し幅広く立候補者が出て、より関心度が高い選挙にな
るような気もしています。

 代表者を選ぶ方法として、江戸時代から続くと言われる面白い決
まりをご紹介します。
 先日、松代で設立総会が行われた善光寺回向柱(えこうばしら)
寄進建立会に出席したときにお聞きした話ですが、建立会の会長人
事は、建立会の最後の打ち上げ式で、時の会長が予告なしに次の会
長を指名するのだそうです。その人事には誰も異議を唱えない、指
名された本人も断ることができないことになっていて、指名された
人は次の御開帳まで6年間会長職を務める、これが江戸時代から続
く伝統だそうです。そして、会長としてふさわしい人がちゃんと選
ばれてきたようです。松代流でうまい方法だなあ・・・と感じまし
た(でも、思い返してみると、うまく運営されている組織の代表者
選びは、実質的にこれと同じように行われているような気がしてい
ます)。

 以上、私の勝手な意見を書かせていただきましたが、地方選挙の
低投票率を憂いての発言としてお許しください。
 最後に、40周年記念大会の大会決議文を掲げて終わりにいたし
ます。

 大会決議

 昭和25年4月、民主政治の健全な発展を願い、その根幹をなす
明るく正しい選挙の実現を期して、公職選挙法が制定されました。
 本年は、我が長野市が昭和43年に「明るい選挙都市宣言」をし
て、40周年を迎える意義ある年であります。
 私たちはこの間、政治の重要性を深く認識し、創意工夫をこらし
た啓発活動を展開し、選挙本来の意義とその重要性を訴え、投票総
参加のために鋭意努力を重ねて参りました。
 しかしながら、投票率の低落傾向には依然歯止めがかからず、と
りわけ少子高齢化が進む中、若年層の政治・選挙離れは、大変深刻
な状況にあります。
 地域のそして国の将来を正しく決定していくためには、私達有権
者一人一人が一票の大切さを認識し、積極的な、投票による政治参
加が不可欠であります。
 特に、若年層の有権者には、次代を担う社会の一員としての自覚
を求めるとともに、家庭や地域の中で積極的に、政治や選挙につい
て語り合えるような環境作りをしていくことが、今、選挙啓発関係
者のみならず全ての市民に求められています。
 明年秋には、任期満了による市長選挙の執行が予定されています。
この機会に臨み、改めて、明るい選挙啓発の趣旨並びに重要性を強
く訴え、時代に対応した啓発活動の展開と、政治に関する意識の更
なる高揚を図り、明るい選挙の実現を強力に推進します。

 平成20年7月4日

 長野市明るい選挙都市宣言40周年記念大会
 長野市明るい選挙推進協議会40周年記念大会