先日、インターネットを見ていたところ、明治時代初期の師範学
校について知ることができました。少し引用してみます。
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師範学校は、卒業後教職に就くことを前提に授業料が掛からない
のみならず、生活も保障されたので、優秀でも貧しい家の子弟への
救済策の役割も果たしていた。師範学校→高等師範学校→文理科大
学というコースをたどれば、学費無料で中等学校→高等学校→帝国
大学というルートに匹敵する教育が受けられたため、経済的な理由
で進学を断念せざるを得ない優秀な人材を多く吸収した。
この制度に助けられた人物に、明治・大正期の陸軍軍人の秋山好
古や、昭和期の軍人で元韓国大統領のパク・チョンヒ(朴正煕)
(どちらも教師を経て陸軍士官学校入学)、実業家の五島慶太(東
急グループ初代総帥、旧制上田中学校卒業後、小学校の代用教員を
経て東京高等師範学校→英語教師→東京帝国大学)らがいる。
**********
(秋山好古は、今評判の「坂の上の雲」でも登場していますよね)
何を言いたいかと言うと、明治の先人たちは、新しい時代の日本
をつくるために、何が大切かを知っていたのだと思います。つまり、
教育ですよね。
農業者とお話しさせていただくと、多くの皆さんは異口同音に
「みんな高齢者ばかりになって・・・」、「後継者がいない・・・」、
「農産物価格が安くて・・・」、「つらい仕事にくる人がいない・
・・」などとおっしゃいます。このままだと10年後、特に中山間
地域の農業は壊滅してしまう、とおっしゃる方もいます。
では、これらを解決するためにはどうしたら良いか、いや、どう
すべきなのか・・・具体的な提案はなかなか難しいようです。
今、二つの命題があります。
(1)農業界は人手不足で困っている
(2)世間では、依然として厳しい雇用情勢が続いている
この二つをマッチングできないか・・・私なりに考えてみました。
そこで、前述の師範学校です。あのシステムを今の農業に当ては
められないか、ということです。本来、国がすべきことだとは思い
ますが・・・国がしないのなら、地方自治体としてやってみる、努
力してみる価値があると考えたのです。
一方、世の中はデフレ、需要が足りない、これらを克服するため
には、新しい付加価値をどこかに具体的に求めなくては駄目・・・
行政として、第二次産業、第三次産業にそれを求めることはなかな
か難しい。今、高い付加価値を求めることができるのは農業しかな
い、そんな気がするのです(行政が商業・工業に手助けできること
は限られているという側面もあります)。
そして、他産業から農業へ人を誘導するシステムがどうしても必
要なのではないか、と思っています。即効性はないかもしれません
が、じっくり根本から考えていこうということです。
長野市には、従来から新規就農者を支援するシステムがあります。
1年間農業をやってみて、この人なら農業の担い手として大丈夫だ
ろうという新規就農者を農業委員さんに推薦していただき、その方
に長野市から就農促進奨励金(40歳以下10万円、41~55歳
5万円)を支給するという制度です。毎年10人前後の方が推薦さ
れており、私から奨励金をお渡ししています。
過去のデータを調べてみると、10年間で100人ぐらいの方が
この奨励金を受給していらっしゃいました。そして、その方々は、
現在も農業に従事しておられることも分かりました。10年間で
100人というのは大変な数字です。現在の長野市の農業を支えて
いるのは、まさにこの人たちであり、よくできた制度だと感じてい
ます。
ただ、問題は、この100人のうち、本当の意味での新規就農者
は約1割で、大部分は農業後継者(親が農業者)だということです。
それが悪いというわけではありませんが、これでは農業の現状を維
持することが精一杯で、農業の拡大、農業者を増やす方向にはあま
り貢献できていない、そんなことも感じてしまいました。本当の意
味での新規就農者を求めるには、もう少し充実した制度が必要だと
いうことでしょう。
新規就農者が魅力を感じて農業に取り組めるようにするためには、
就農当初に、ある程度生活費の面倒を見る、きちんと農業を教える、
農地の斡旋(あっせん)もする、地域社会が受け入れる、そんなと
ころまで踏み込まないと駄目なのではないでしょうか・・・。
私はこのことの実現に向けて、関係者が連携して仕組みを考え、
実行する必要があると考えています。もちろん、教育が大切です。
甘い気持ちで農業を始めて挫折した方の話は、ハウツーものの本を
読んだだけでも枚挙にいとまがありません。
先日、県の農業大学校を訪問して話をお聞きする機会がありまし
た。私が知らなかっただけで、例えば、里親制度や奨学金制度など、
実は国や県でも、十分ではありませんが、いろいろな農業者育成シ
ステムを持っていることが分かりました(農業大学校は専修学校と
のことですから、卒業すると専門士の称号が得られるそうです。
“農業専門士”ということでしょうか)。
私が考えているのは、このような国や県の既存システムを組み合
わせて活用し、金額や期間など、それを大きく補完するシステムを
長野市などが提供する、ということです。
具体的には、農業大学校で勉強することを原則に、ある程度生活
費の面倒を見る、そして徹底的に農業を勉強してもらい、農業社会
に入ってもらう・・・。篠原農林水産副大臣の話をお聴きしますと、
フランスでは、新規就農者に400万円ぐらい支給する制度があっ
て、10年間農業をやれば、返さなくても良いのだそうです。その
くらいしないと、農業に夢を持ち、頑張る若者が出てこないのかも
しれません。
私としては、例えば、農業後継者には月5万円、全くの新規就農
者には月10万円、それを3年から5年程度継続して支給する、そ
の間、農業大学校と里親をやっている農業者が責任を持って教育す
る・・・大ざっぱに言えば、そんなスキームを想定しています(制
度に登録している里親は、市内に15人おられるそうです)。
もちろん、教育が終わった後は、10年間ぐらいは長野市で農業
に従事してもらうことを原則にしなくてはならないとは思いますが
・・・。
では、生活費はいくら支給するか、その期間はどのくらいにした
ら良いか、指導者はどうするか、ある程度経験を積んだとして、農
地をどう世話するのか、農機具や栽培用ハウスにもお金が掛かるそ
うですが、それをどうするか、住宅をどうするか・・・。
それと、これが大切なのですが、公募を前提に考えるとして、何
人ぐらいの農業者を育成すれば長野市の農業を再生することができ
るのか、ということも考えなくてはいけません(全体のスケールを
考えて取り組むべきでしょう・・・一応の数字として240人ぐら
いかなと農政課では言っていますが・・・)。
さらに、旧来の農業社会が新規就農者をうまく受け入れてくれる
か、年齢制限をどうするか・・・。考えればいろいろ問題はありそ
うです。
究極のバラマキ政策みたいで気が進まない面もありますが、農業
は大切だ、農業をやろうよ、そういう掛け声だけでは、つらい、も
うからない、夢を持てないと思われている農業に、新たな専業就農
者は期待できないと思うのです(市民菜園などで趣味的に取り組ん
でいる人は増えていますが、それだけでなく、私は専業農家をつく
る必要を感じています)。
国の戸別所得補償という政策も出てきました。しかし、大規模農
業者を育てることに重点を置いていることに加え、本年度は稲作限
定で、市内の対象農業者があまりにも少なく、ほとんど恩恵があり
ません(来年度からは、小麦、大豆なども対象になるそうですから、
長野市にもメリットがありそうですが)。
新規の農業者が生まれるためには、加えて、現在の雇用情勢を少
しでも改善するためには、“農業が魅力的で夢が持てる”と思える
ようにする施策が必要だと思っています。そしてそれは、社会を安
定させる安全弁の役目が果たせる施策であってほしい、正直そう思
っています。
今年も1年間、このメルマガにお付き合いいただきありがとうご
ざいました。
迎える新年は、明るく希望に満ちた年となることを期待したいと
思います。皆さまには、くれぐれもご健康に留意され、ご健勝で輝
かしい新年を迎えられますことを祈念しております。
2010年12月30日木曜日
年末随想(農業への想い)
2010年12月23日木曜日
この一年を振り返って
「広報ながの」12月1日号に「長野市この一年」と題して、今
年一年間の市内の主な出来事を振り返る記事を掲載させていただき
ました。
たくさんの出来事がありましたので、ここでは、少し視点を変え
て、私なりに出来事をテーマごとに分けて整理してみました。この
一年間の長野市の活動をご理解いただければ幸いです。
[行政・一般]
・まずは、長野市と信州新町・中条村との合併です。1月1日午
前0時、3市町村が合併、カウントダウン会場に集まった皆さ
んと共にお祝いしました。その5年前の平成17年の1町3村
との合併を含めますと、7市町村の合併が行われたことになり
ます。長野市も広くなりました・・・。
・市役所第一庁舎・長野市民会館の基本構想を決定しました。そ
の後いろいろな議論を経て、両施設を現在地(緑町)に建て替
えることになりました。平成26年度の完成を目指し、来年か
ら具体的な設計に取り掛かりたいと考えています。
・柳原支所・柳原公民館・東部文化ホールが完成
・若穂中央公園が全面オープン
・住民自治協議会の活動が本格的にスタート
・キックオフ・トークを皮切りに、「長野市の未来を語ろう『み
んなでトーク2010・ながの』」の議論が始まる
[公共交通関係]
・路線バス(地域循環バス・乗合タクシーなど)の実証運行を実
施
・長野電鉄屋代線の実証実験を実施
・庁用車に電気自動車を導入。今後の本格導入へ向けて準備を開
始
[観光・文化・文化財関係]
・観光キャンペーン「2010松代イヤー」開催
・松代観光地路線バスの実証運行を実施
・旧樋口家住宅と旧前島家住宅(ともに松代町松代)の公開開始
・市立博物館が長野市合併記念事業を開催
・松代城築城450年記念 真夏の太鼓競演開催
・松代まち歩きセンターがオープン
・国指定史跡「真田邸」の保存修理工事が終了、公開開始
・生涯学習センター利用者50万人達成
・信州デスティネーションキャンペーンが展開(戸隠神社などが
大にぎわい)
[国際関係]
・長野市・クリアウォーター市姉妹都市提携50周年記念市民親
善訪米団を派遣
・鬼無里地区住民有志がオーストリアのベルフェンベンク村を視
察
[スポーツ関係]
・第30回全国中学校スケート大会を開催
・バンクーバーオリンピック・パラリンピックで長野市ゆかりの
選手が大活躍
・小平奈緒選手と狩野亮選手に長野市民栄誉賞を授与
・第12回長野オリンピック記念長野マラソン大会、第6回長野
車いすマラソン大会を開催
・長野オリンピックスタジアムの人工芝張り替え工事が完了
・エムウェーブとスパイラルが、ナショナルトレーニングセンタ
ーに再指定
・裾花中学校女子バレー部が全国大会で優勝(5年ぶり4回目)
・長野市陸上競技協会駅伝部が、県市町村対抗駅伝、県市町村対
抗小学生駅伝、県縦断駅伝で三冠を達成
・ゆめ舞台応援プロジェクト・ながの設立。ながの夢応援基金を
創設、基金への寄付依頼を開始
・AC長野パルセイロのJFL(日本フットボールリーグ)昇格
が決定
[都市計画・産業振興関係]
・長野駅前A-3地区再開発ビル「Nacs(ナックス)末広」
が完成。約40年にわたる関係者の努力が実る
・都市計画道路栗田安茂里線が開通
・主要地方道長野真田線が開通
・川合新田産業用地、第二東部工業団地の分譲開始
[保健福祉関係]
・子ども広場「じゃん・けん・ぽん」入館者40万人達成
・おひさま広場を開設。全ての幼稚園・保育園で、園開放・育児
相談開始
・西部保育園がしゅん工
[災害関係]
・集中豪雨により、篠ノ井・信更地区などで災害発生
以上、広報広聴課がまとめた今年の主な出来事を私なりのテーマ
で整理してみました(少し追加もしています)。
項目で見てみますと、行政・一般、観光、スポーツに関する出来
事が多いなあと感じますが、項目数は少なくても重要な課題もたく
さんあることをご理解いただきたいと思います。来年につながる課
題も数多いので、長野市を元気にするために、ぜひご支援をお願い
します。
2010年12月16日木曜日
雪!いよいよスキーシーズンがやってきました
12月18日(土)は、待ちに待った「戸隠スキー場」、「飯綱
高原スキー場」のオープンです(ただし、戸隠スキー場「中社ゲレ
ンデ」のオープンは28日です)。12月9日には、かなりの降雪
があったようですから、少なくとも戸隠スキー場の当日オープンは
間違いなく大丈夫でしょう。
戸隠スキー場の素晴らしさは、有名です。先日の市議会12月定
例会でも、ある議員さんのご質問にお答えしたところですが、有名
スキー雑誌のゲレンデ・ランキングで戸隠スキー場は、全国446
のスキー場の中で「総合16位」、「眺望5位」との評価を頂いた
そうです。
確かに、神秘のパウダースノー“魔法の粉雪”、初心者から上級
者まで楽しめる変化に富んだコース、新幹線駅から1時間かからず
に着けるアクセスの良さ、瑪瑙(めのう)山の頂上から見る眺望の
良さ・・・北アルプス、戸隠連峰、黒姫山、妙高山、火打山を望む
景色は素晴らしいものです。
そして、宝光社や中社の宿坊街、ペンション街、おいしいそば、
グリーンシーズンや歩くスキーも楽しめる戸隠牧場・・・まだ未開
発の部分もありますが、将来性も含めて戸隠は魅力いっぱいです。
昨シーズン、古くなった中社ゲレンデと越水ゲレンデの連絡リフ
トを架け替えました。かなりの投資金額になって、一部の皆さんか
らは「このスキー冬の時代になんだ!」とお叱りを頂いたのですが、
私は中社ゲレンデと越水ゲレンデの一体化、あえて言えば「両ゲレ
ンデは運命共同体、一体で頑張りましょう」という意味を込めて、
整備に踏み切ったものです。
“魔法の粉雪”についても、少し宣伝させてください。戸隠スキ
ー場のパンフレットからの抜き書きです。
「本州の標高わずか1200メートル程度の多雪地帯に、なぜこ
のような良質の雪が降るのでしょう? 冬の季節風によって日本海
から戸隠へもたらされる雪雲は、北部にそびえる妙高連山や北アル
プスを越え、戸隠連峰に沿うように南西風に乗って運ばれます。日
本海から戸隠までの直線距離は本来なら50キロメートルですが、
北アルプスを経由する長い道のりの過程で、水分の多い重い雪は落
ち、驚くほど軽い雪だけが『魔法の粉雪』となって戸隠に降り積も
るのです。」
これで戸隠の雪が、いかに神秘的か、お分かりいただけたと思い
ます。私とすれば、この雪質を生かして、ぜひ国際的なスキー大会
を戸隠で開催したいと思っているのですが・・・。
飯綱高原スキー場は、長野市街地から30分足らずで行くことが
できます。私の友人いわく、「50万人近い人口を有する場所で、
30分ぐらいで標高1000メートル以上に行ける場所なんて、世
界中にあまりないよ・・・」とのことです。
飯綱高原スキー場は、近いだけでなく、ゲレンデも素晴らしい。
ただ、南斜面のため、ベストシーズンが少し短いのは残念です。で
も、私も好きなコースです。今シーズンも楽しみたいものです。
行政としては、スキーもそりもできる、子どもの遊園地のような
場所にするのが良いのかなあと思っています。
長野の冬の観光の基本はスキーです。確かに現在はスキーの人気
は落ちていて、スキー場は苦しい経営を強いられていますが、私は
必ず再生できる、いや、しなくてはならないと考え、頑張っていま
す。
これだけスキー人気が落ちているのですから、現在この地方にあ
るスキー場が全て生き残れるなんて思っていません。現に長野市で
も、積雪が少なくシーズンが短い、そしてアクセスに難がある聖山
パノラマスキー場は、昨シーズン限りで閉じさせていただきました
(地元の大岡地区の皆さんには、本当に苦渋の選択をしていただき
ました)。
先日、戸隠と飯綱高原スキー場のオープンに備え、足慣らしとい
うことで、仲間と志賀高原の横手山スキー場へ行ってきました。横
手山は標高が戸隠や飯綱高原よりかなり高いので、スキーシーズン
が長く、早くから滑れる、うらやましいスキー場です。志賀高原の
中でも、一番標高が高いスキー場のようです。また、頂上に日本一
高い場所にあるパン屋さんやラーメン屋さんがあることでも有名で
す。とにかく素晴らしいスキー場で、とても楽しく滑ってきました。
そして、今シーズン私は、数年間使い続けたスキーを新調しまし
た。ところが、新調したスキーの取り回しが思いのほか難しいので
す。スキー板自体の技術が進歩しているのでしょうか、これまでの
板の感覚との違いに結構戸惑っています。そのうちに慣れると思っ
ていますが・・・まあ、楽しく滑ることにしましょう。
スキーには、自分の体を動かすことの楽しさがあります。そして、
身近な自然の魅力を体感する良い機会でもあるでしょう。
近年は、ゲームなど、コンピューターで作り出された仮想の世界
に浸りきっている人が増えているように感じています。冬とはいえ、
室内にばかりこもらず、ウインタースポーツを楽しんでみるのはい
かがでしょうか。こんなに素晴らしい場所が身近にあるのですから、
利用しないなんてもったいないと思います。皆さんもスキー場に出
掛けませんか。おすすめです。
17日は飯綱高原スキー場の安全祈願祭。翌18日は、いよいよ
オープンです。朝行われる戸隠スキー場の安全祈願祭の後、私は、
半日、仲間と一緒に滑ることにしています。
話は変わります。本当かどうか分かりませんが、日本でスキー板
を作っているのは、長野市の小賀坂スキー製作所(OGASAKA
SKI)だけだと聞いたことがあります。昔はいろいろなスキー製
作会社があったことを覚えていますが、確かに、最近はあまり見掛
けなくなったように感じています。スノーボードの工場はあるそう
ですが、スキー工場は中国へ移ってしまったのでしょうか・・・。
調べてみますと、どうも、現在も国内で生産しているスキーメー
カーは、小賀坂さんだけではないようでした。ただ、国産スキーの
トップメーカーであることに間違いはなさそうです。
2010年12月9日木曜日
サッカーのAC長野パルセイロ、JFLへ
うれしいニュースです。
12月3、4、5日の3日間、千葉県市原市で開催された「第
34回全国地域サッカーリーグ決勝大会」の決勝ラウンドで、AC
長野パルセイロが見事2位に入り、日本フットボールリーグ(JF
L)昇格への切符を獲得しました。そして、昨日開かれたJFL理
事会で、パルセイロのJFL昇格が正式に決定したそうです。
「決勝大会」の1次ラウンドは、各地域リーグの優勝チーム、全
国社会人サッカー選手権大会優勝チームなど、12チームが3グル
ープ(1グループ4チーム)に分かれて対戦。パルセイロは北信越
地域リーグで優勝し、この大会に駒を進めていました。
3日間で3連戦をこなす厳しい日程の大会です。パルセイロが属
したCグループの試合は、四国の高知市で開催。パルセイロは、カ
マタマーレ讃岐(香川県)にPK戦で負けて2勝1敗。グループ1
位であれば問題なく決勝ラウンドへ進めるのですが、残念ながらパ
ルセイロは2位でした。しかし、各グループの2位の中で最高成績
のチームが決勝に進めるというワイルドカードに救われ、決勝ラウ
ンド4チームに残ることができたのです。
舞台は市原市に移って、決勝ラウンド。再び4チームのリーグ戦、
すなわち再び3連戦という厳しい日程でした。ルールでは、このラ
ウンドで1位か2位になると自動的にJFLへ昇格。3位はJFL
の下位チームと入れ替え戦を行って、勝てば昇格できるということ
になっています。
初戦のカマタマーレ讃岐には、またもやPK戦で負け。2戦目の
三洋電機洲本サッカー部(兵庫県)には4対0で圧勝、3戦目のN
PO横浜スポーツ&カルチャークラブ(神奈川県)にはまたまたP
K決着で負け。しかし、結局、勝ち点5で2位が確定しました。
この大会の順位決定は点数制で、試合時間内の勝利は勝ち点3、
負けると勝ち点0、PK戦での勝利は勝ち点2、負けても勝ち点1
だそうで、この合計点で順位を決めます。なおかつ同点の場合は、
得失点差も影響するようです。パルセイロは、激戦を見事勝ち残り、
JFLへの切符を獲得しました。
長野から市原市入りした応援団は、500人を超えていたそうで
す。見事にスタンドをチームカラーのオレンジ色に染めることがで
きました。
そして、パルセイロの弱点なのでしょうか、今回、PK戦での弱
さが気になりました。しかし、幸いにもJFLの試合にPK戦はな
く、引き分けとなるそうですから、ひとまずご心配には及びません。
5日夜には、選手の皆さんがバスで凱旋(がいせん)。午後9時
から、トイーゴ広場で報告会が開かれました。
JFL昇格、本当にうれしい。選手・監督・役員・サポーターの
皆さん、本当にお疲れさま、そしておめでとう。長野エルザ結成以
来20年、長年の苦労が報いられました。
“スポーツを軸としたまちづくり”を掲げている長野市としても、
大きな一歩であると思います。確かに、JFLに昇格したことによ
る悩みも出てくるのですが、でも長野エルザの時代からの努力が実
を結んだのですから、ここは素直に喜びたいと思います。
私は試合会場へ応援に行くことができず、インターネット中継で
観戦していました。長野エルザ結成当初からずっとチームに関わり、
代表を務めてこられた丸山さんが、表彰式で2位の賞状を受け取っ
ている姿を画面で拝見しましたが、本当に万感迫る思いだったろう
と想像しています。
話は変わりますが、本年度が始まった4月以降これまでに、市内
在住のアスリートをはじめ、いろいろなスポーツチームが活躍し、
市役所に報告に来ていただいています。“スポーツを軸としたまち
づくり”が、少しずつ前進していると感じています。
以下、秘書課の記録を追ってまとめてみました。
5月
・長野県市町村対抗駅伝競走大会長野市チーム 11年連続優勝
他チームからのマークも一段と厳しくなる中での11連覇。本
当に素晴らしいと思っています。
・長野県市町村対抗小学生駅伝競走大会長野市チーム 初優勝
20分30秒という大会新記録での初優勝でした。
7月
・長野東リトルシニアリーグ 全国大会出場
2年ぶり3回目、そして、チーム結成40年という節目の年の
全国大会出場です。
・中学生女子ソフトボールクラブ 全国大会出場
予選では、圧倒的な強さを発揮して、全国大会出場を決めたそ
うです。
8月
・日本空手協会(市内4支部) 小中学生全国大会 優勝ほか
中学生女子団体形の部で優勝、中学生2年女子と中学生1年男
子ともに個人組み手の部で準優勝。そのほか、9部門で入賞と
のこと。素晴らしい成績です。
・東北中学校サッカー部 全国大会出場
長野市の中学校サッカー部では、初の全国大会出場だったそう
です。
・竹下友崇選手、清水直弥選手 カヌーポロ世界選手権大会出場
U-21部門の日本代表選手10人のうち、2人が長野市出身
ということで、とても名誉なことです。ところで、カヌーポロ
という競技は、カヌーに乗って水上で行うバスケットボールと
ハンドボールを合わせたような競技とのことです。
9月
・女子ソフトボールチーム「ゴーゴービューティー」全国大会出場
過去8年間で5回の出場とのことで、全国大会常連チームなの
だそうです。こちらもチーム結成30年という節目の年の出場
でした。
・裾花中学校女子バレーボール部 全国大会優勝
女子バレーボールの伝統校で、5年ぶり4回目の全国制覇です。
・国体出場選手壮行会((財)長野市体育協会主催)
長野県選手団416人のうち、市内在住選手は51人、17競
技に出場されました。
10月
・全国障害者スポーツ大会出場選手激励会
長野県選手団36人のうち、市内在住選手は5人、3競技に出
場されました。
12月
・長野県縦断駅伝競走長野市チーム 優勝
4年ぶり10回目の優勝です。2位とは大会史上最小の11秒
差だったそうですが、1日目の4位からの見事な逆転勝利でし
た。
お越しいただいた皆さん、本当におめでとうございます。厳しい
練習に耐えた上での成果だったのでしょう。皆さんの活躍は、長野
市としても誇りに思っています。ぜひ来年も、素晴らしい成果を挙
げ、報告に来てください。お待ちしています。
さらに、このほか、市役所へお越しいただいていない皆さんの活
躍もたくさんありそうです。スポーツで、明るく元気な長野市です。
2010年12月2日木曜日
最近の出来事4題
今回は、ここ最近の出来事で、皆さんにご報告しておいた方が良
いと考えていることについて、まとめて書かせていただきます。
(1)消防広域化
10月26日、消防広域化研究協議会の正副会長会議があり、消
防広域化の枠組みなどの方向性について協議を行いました。この研
究協議会は、消防組織法の改正と国の指針を受けて県が策定した
「消防広域化推進計画」に基づいて設置されたもので、東北信地域
の消防広域化について協議を進めていました。
この日の協議で達した結論は、国が示した期限である平成24年
度末までに東北信地域の消防組織を統合・広域化することは困難で
あるということです。今後は、「将来的な一本化」を視野に東北信
地域内の連携を保ちながら、消防本部ごとに調査研究を重ねていく
ことになりました。ただし、「消防救急無線のデジタル化」につい
ては、東北信地域で一本化して整備していくことにしています。
今回の結論に達するまでには、研究協議会の総会や正副会長会議
のほか、検討会や研究会を設けて検討を進めてきました。あらため
て申し上げるまでもありませんが、消防を取り巻く環境の変化や大
規模災害などに備えるためにも、消防体制の整備・確立は必要なこ
とです。
しかし、研究を進める中では、管轄人口や面積、組織規模、財政
規模の違いなどから、広域化によるメリットの大きい地域と小さい
地域があること、また広域化した場合の災害対応面、組織運営面、
財政負担面などの問題が浮き彫りになってきたことも事実です。特
に組織運営面では、二交代制・三交代制など、現状の勤務体制の相
違も課題になりました。
また、市町村合併とは違い消防組織の統合は、現場組織であるが
故に合理化ができないという事情もあります。すなわち、人員を削
減すると、現段階では、どうしても住民サービスの低下に直結して
しまう可能性があるのです。これらのことを克服できなかったこと
が、今回の結論に至った大きな要因だと思っています。
研究協議会では、東北信地域に暮らす110万人の住民の皆さん
が、より充実した消防サービスを受けられるよう研究してきました
が、その結果は、必ずしも県の計画と一致するものではありません
でした。しかし、これまで手間をかけて検討・協議してきたことは、
決して無駄ではなく、将来、必ず役に立つと信じています。
今後とも、「将来的な東北信地域の一本化」を視野に、調査研究
を重ねることができればと思っています。
(2)長野森林組合 長野市林業経営構造対策事業 しゅん工式
11月8日、鬼無里地区にある長野森林組合の「おが粉製造施設」
のしゅん工式にお招きいただきました。
林業を取り巻く環境は、厳しい状況が続いていますが、森林には
二酸化炭素の吸収源や災害防止などの役割のほか、木質バイオマス
燃料供給源としての利用についても期待が高まっていることはご承
知のとおりです。
森林の持つ多面的機能を維持・管理するためには、間伐を進める
ことが重要であり、本市でも、国・県の支援や森林組合のご協力を
頂きながら、積極的に取り組んでいます。
しかしながら、間伐材については、木材価格の低迷や搬出コスト
が高いことなどから、本市の間伐材の約8割が現場に切り捨てられ
たままになっているのが現状で、有効活用されていません。このた
びしゅん工したおが粉製造施設は、このような間伐材の利活用に道
を開くもので、今後、間伐材の搬出が進み、有効活用できるように
なるものと期待しているところです。
長野市では、「すべての政策に環境の屋根を架ける」ことを政策
の一つとして取り組んでいます。今回、おが粉製造施設がしゅん工
し、間伐材などの木質ペレット燃料化が可能になったことで、バイ
オマス資源を活用した自然エネルギー利用の拡大による温室効果ガ
ス削減に向けて、大きな効果を見込むことができます。また、木材
を利活用した新たな産業の育成にもつながることでしょう。
このように、おが粉製造施設は、林業経営構造の確立を図るため
のツールであるほか、バイオマス資源の利用拡大による循環型社会
を構築するツール、さらには、地域における新たな雇用創出につな
がるツールとしても効果が期待できると考えています。ちょっと期
待しすぎかもしれませんが、それぐらい、本市にとって大変意義深
いものと考えており、この施設の設置については、市としても最大
限の支援をしてきました。
この施設導入により生産されるペレットは、地域材100%の
「Nagano・Pellets(長野ペレット)」の名称で、市
内を中心に東北信地域にも販売することになっています。このほか
おが粉は、キノコ培地としての需要も多いようです。
長野市としても、このたびの施設完成に合わせ、市有施設へのペ
レットボイラー導入を進め、ペレット需要拡大に努めていくことに
しています。
(3)涌池史跡公園しゅん工式
11月25日、信更地区に涌池史跡公園がしゅん工しました。こ
の地域では、弘化4(1847)年の善光寺地震により、斜面崩壊
という大災害を経験しています。涌池史跡公園は、この経験を風化
させることなく、末永く後世に語り継ぎ、防災意識の高揚に役立て
たいという涌池区民の皆さんの熱意により、県の「元気づくり支援
金」を活用して区民の皆さんが整備したものです。
樹木の伐採や草刈り、遊歩道整備、石積みなど、区民の皆さんの
参加によりしゅん工に至ったということでしたが、事業の決算書を
見せていただきますと、県の「元気づくり支援金」、区の予算から
の支出のほか、経費の面においても各戸が一定の負担をされている
ようです。
公園にある桜の木や周辺の草木については、これから大きくなっ
ていくだろうと期待を込める部分もありますが、行政が造る公園に
勝るとも劣らない、見事な出来栄えだと思いました。しゅん工式に
は、お年寄りから若者まで、地域を挙げて大勢の皆さんが参加され
ていたことからも、皆さんの思い入れが感じられます。獅子舞の披
露もありました。
この事業を進めてきた信更地区住民自治協議会会長でもある涌池
区長の村田憲一さんをはじめ、役員の皆さんのリーダーシップには、
感激しているところです。そして、しゅん工式でのあいさつでも申
し上げさせていただきましたが、涌池区の皆さんの取り組みは、長
野市が目指す自治のモデルともなる素晴らしい取り組みだと思って
います。
(4)ふるさとNAGANO応援団
11月26日、都内で「ふるさとNAGANO応援団」の意見交
換会を開催しました。
応援団のメンバーの皆さんには、任期3年でお願いしていました
ので、本年でいったんその任期が来たわけです。そこで、メンバー
の皆さん全員に継続をお願いしたところ、ご快諾を頂いたことに加
え、新たに7人の皆さんにも加わっていただくことができました。
メンバーの皆さんは、何らかの形で長野市とご縁を結んでおられ
る方々ですので、今後も、その高い見識で長野市へのアドバイス、
そして長野市のPRをしていただくようにお願いしたところです。
“長野市の存在をもう一段高めたい”そのことへの支援を期待して
います。
意見交換会では、私から長野市の現状を説明させていただいた後、
意見交換に移ったのですが、今までにも増していろいろなご意見を
頂くことができ、外から見た長野市という視点で、勉強させられる
ことが多かったと感じています。その後の交流会での会話を含め、
大変有意義な会合でした。メンバーの皆さんには心から感謝いたし
ます。
なお、メンバーの皆さんは、今回新たにお願いした方々を含め、
以下のとおりです(50音順)。
青木擴憲さん(株式会社AOKIホールディングス代表取締役会長)
荒井寿光さん(東京中小企業投資育成株式会社代表取締役社長)
井浦秀夫さん(漫画家)
猪瀬直樹さん(作家、東京都副知事)
碓井光明さん(明治大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教授)
恩田乾次郎さん(株式会社ウイングメディカル代表取締役社長)
加藤和年さん(株式会社ながの東急百貨店顧問)【新メンバー】
金井政明さん(株式会社良品計画代表取締役社長)
北村晴男さん(弁護士)
小島秀康さん(国立極地研究所教授)
齋藤宣彦さん(医師)
眞田幸俊さん(慶應義塾大学理工学部准教授)
佐野幸男さん(株式会社協和エクシオ NTT営業本部長)
島田博文さん(コムシスホールディングス株式会社相談役)
清水愼一さん(株式会社ジェイティービー常務取締役)【新メンバー】
鈴木善統さん(日本電子計算機株式会社常務取締役)
高野 登さん(元ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日本
支社長)
竹元正美さん(外務省特命全権大使(査察担当))【新メンバー】
田中信義さん(キヤノン株式会社顧問、東北大学特任教授)
鶴田康則さん(日本OTC医薬品協会理事長)
童門冬二さん(作家)
徳永 保さん(文部科学省国立教育政策研究所長)【新メンバー】
飛田紀久子さん(広報アドバイザー、「千曲川草誌」編集・発行)
永澤征治さん(長野朝日放送株式会社特別顧問)【新メンバー】
中村 健さん(信越化学工業株式会社取締役)
夏目雄平さん(千葉大学大学院理学研究科教授)
幡野保裕さん(郵船クルーズ株式会社顧問)
服部信孝さん(順天堂大学医学部脳神経内科教授)
花岡信昭さん(拓殖大学大学院地方政治行政研究科教授)
飛田和緒さん(料理家)
松木則夫さん(東京大学大学院薬学系研究科教授)
丸田義晴さん(財団法人全国法人会総連合事務局長)
三神万里子さん(ジャーナリスト、キャスター、信州大学経営大学院
客員准教授)【新メンバー】
宮林茂幸さん(東京農業大学地域環境科学部長)【新メンバー】
持田澄子さん(東京医科大学教授)
山田真美さん(作家)
依田 巽さん(株式会社ティーワイリミテッド代表取締役会長)
2010年11月25日木曜日
篠ノ井と長野の恵比寿(えびす)講
11月6日(土)、7日(日)、篠ノ井まつり恵比寿(えびす)
講が開催されました。
6日(土)は、篠ノ井西小学校太鼓クラブと川中島陣太鼓の演奏
などのほか、篠ノ井駅前通りでは、“しののいソーラン”が行われ
ました。本場高知県より「よさこい須賀連」が参加されたこともあ
り、大いににぎわったようです。
7日(日)は、子どもたち集まれということで、“天装戦隊ゴセ
イジャー”の格好良いショーがあり、人気を集めていました。そし
て、駅前通りでは、七福神と山盛りの御供(ごく)を乗せた「宝船」
が街中を練り歩き、集まった皆さんに、たくさんの福をお分けしま
した。「宝船」は、この祭りのハイライトと言うべきなのでしょう。
船の周りは、大変な人出でした。私も七福神のうちの恵比寿さまに
扮装(ふんそう)させていただき、船の上から御供をまかせていた
だきました。
実は、このお祭り、歴史は随分古いのだそうですが、それにして
は市内に知れ渡っていなかったと感じています。昨年、酒井副市長
がやはり宝船に乗せていただき、大変盛大なお祭りで、人出もすご
かったとの報告を受け、“宝船というのは話には聞いているけれど、
乗ったことはないので一度乗せてほしいもんだ”なんて言ったもの
ですから、今年は光栄にも私に声を掛けていただいたようです。
七福神とは、私の恵比寿のほか、布袋(ほてい)、大黒天、福禄
寿(ふくろくじゅ)、弁財天、寿老人、毘沙門(びしゃもん)天で、
それぞれ篠ノ井地区住民自治協議会の役員さん、JAグリーン長野
の理事さん、長野商工会議所の役員さんが扮装して役割を務めまし
た。
大変楽しいイベントで、篠ノ井地区の皆さんにも大いに喜んでい
ただけたのではないでしょうか。ただ、御供をまく七福神としては、
立ったりかがんだり、なかなか大変な重労働。正直申し上げて私は
足の筋肉痛になり、4日間ぐらい、痛くて階段の上り下りができず、
往生しました。
「宝船」以外にも、花火、ジャンボフワフワ、ミニ新幹線、太神
楽(だいかぐら)の競演、華道展、篠ノ井東中学校・篠ノ井西中学
校生徒による吹奏楽の演奏などが行われ、篠ノ井は街中にぎわって
いましたが、私はほとんど動けない状態でした。
篠ノ井地区にこんなに楽しい、にぎやかなお祭りがあることを私
は知りませんでした。篠ノ井地区といえば、昨年、善光寺御開帳で
初めてお目にかかった大獅子もなかなか見応えがあり、記憶に鮮明
に残っています。
そして来年は、篠ノ井イヤーです。キャンペーンイヤーを迎える
に当たり、地区の皆さんには、一生懸命企画を考えていただいてい
ます。先日、私が聞いた報告によりますと、基本コンセプトを「信
州しののい 人・モノ・交流文化のまち」として、次の3つのテー
マを中心にさまざまなプログラムを用意し、「篠(しなやか)な心
とおもてなしの心」で来訪者と交流を図ることにしているそうです。
・書聖 川村驥山(きざん)と交流文化のまち
・咲かせよう 育てよう 花と笑顔 ~みどりと花いっぱい篠ノ井~
・スポーツで 人づくり まちづくり
大いに期待したいものです。
さらに来年は、信州新町イヤーでもあります。こちらも地区の皆
さんが知恵を絞って企画を練っています。こちらのコンセプトは、
「こころ・はずむ こころ・やすらぐ こころ・つなぐ 信州新町」
だそうです。信州新町地区では、合併前、“アート&グルメ”をキ
ャッチフレーズに観光振興に取り組んできました。その成果を基に
して、ジンギスカン・サフォーク料理、左右(そう)高原のそば、
西山大豆などの食文化、琅鶴(ろうかく)湖、北アルプスを望む景
観、地区ゆかりの芸術家など、さまざまな素材を活用したキャンペ
ーンになるのでしょう。
このイヤーキャンペーンをきっかけに、来年は、あらためて信州
新町の魅力を再発見できる年になると思っています。
篠ノ井の恵比寿講に続いて、11月23日(火)、長野えびす講
煙火大会が行われました。
えびす講煙火大会は、以前、毎年11月20日に行われていまし
た。ある年、20日が日曜日だったことがあり、そのとき市内の車
の流れが格段にスムーズだったのです。それを受け、これからは休
日に開催しよう、それには23日の勤労感謝の日が20日に近く、
開催日を固定するには一番良いのではないかということになり、以
後、23日に行われるようになっています。
犀川の河川敷は、例年多くの露店が立ち並び、大勢の人出でとて
もにぎわいます。
新聞報道によりますと、38万人とのことですが、今年も多くの
お客さんが集まりました。弁当付きの有料観覧席も完売だったよう
です。今年は、長野商工会議所創立110周年記念ということで、
花火の打ち上げ数は、例年よりも多い1万発。花火の質も毎年上が
っている感じで、人気のミュージックスターマインでは、歓声が絶
えませんでした。
冬の花火、ひところは寒いということで評判の悪い時期もありま
したが、最近は空が澄んでいて、花火がとてもきれいに見えるとい
うことで、人気が高まっているようです。煙火師さんにとっても、
夏の忙しい時期に比べれば冬枯れの時期、大いに頑張っていただけ
るのだろうと感じています。
事故の無いように、そしてみんなが大いに楽しめるように・・・
そして、もう一つ、花火の終了時間をもっと遅くすべきだ、との意
見も毎年聞いています。新幹線の終発が過ぎてから終わる方が、経
済効果が期待できるということでしょう。ただし、近隣にお住まい
の皆さんへの影響もありますから、時間を遅くするには難しい面も
あるのだと思いますが、長く滞在していただき、楽しんでいただく
ために宿泊付きのツアーを企画するなど、いろいろ工夫もされてい
るようです。
煙火大会の会場で、東京大学名誉教授の田村昌三さんと、京都の
花火会社社長の國友繁明さんにお会いしました。お二人の話により
ますと、再来年のえびす講煙火大会に併せて、長野市で「国際花火
シンポジウム」を開催したいという意向があるそうなのです。まだ
決定ではないようですが、長野で開催することになれば、さらに、
にぎやかな煙火大会になりそうですね。
同じ日、待望久しかった更北地区の主要地方道長野真田線の4車
線化工事が完了し、開通式が行われました。長野真田線は、長野市
の中心市街地と上信越自動車道長野インターチェンジ、松代方面と
を結ぶ幹線で、市内の社会・経済活動を支えている大変重要な道路
です。4車線化が完成したことにより、車の流れが格段に良くなり
ました。日常生活での利便性向上に加え、善光寺・松代という長野
市にとっての二大観光地間のアクセスが良くなることで、大きな効
果が生み出されるものと期待しているところです。
さらにこの道路は、地蔵峠を経由して上田市へ通じるルートでも
あり、同じ「真田」で結ばれる両市の交流が、ますます深くなって
いくように感じています。
2010年11月18日木曜日
市役所第一庁舎と長野市民会館について
市が提案してきた市民会館の建設地や在り方に対しては、市民の
皆さんの意見のほか、市議会、長野市民会館建設検討委員会、長野
市民会館市民ワークショップなど、昨年来、さまざまな立場の多く
の皆さんからご意見を頂いてまいりました。これらを踏まえた上で、
先日、現段階における考え方の方向性について市としての結論を出
し、発表させていただいたところです。
今日は、これまでに頂いた市民会館の建設地についての主な意見
をご報告し、次の段階に移るに当たってのまとめとしたいと思いま
す。
(1)市民の皆さんからの意見
権堂B-1地区東街区案・現在地案それぞれに対する意見が
あります。
○東街区案に賛成
・文化・芸術の発信拠点は、街の中心、交通の便の良い所にあ
るべき。
・少子高齢化、人口減少の今、大型施設は市街地へ集中させる
必要がある。
・周辺の映画館や北野文芸座などとの連携を図ってほしい。
・権堂地区なら、高齢者も公共交通機関で行くことができ、商
店街の活性化にもつながる。
○現在地案に賛成
・商店街の活性化と一緒に考えるべきでない。
・権堂地区は建設地にふさわしくない。
・現在地は市の土地であり公平性がある。
・現在地は駐車場を庁舎と共用できるが、権堂は交通渋滞が心
配。
(2)市議会の意見
東街区案に反対(市役所第一庁舎及び長野市民会館調査検討
特別委員会)。
現在地とすべき(4会派31人)、対震改修により継続使用
すべき(1会派6人)、東街区案に賛成(無所属議員2人)、
機能を分けて両地区に建設すべき(無所属議員1人)。
(3)建設検討委員会からの意見
東街区で建設する場合の意見(権堂周辺の環境整備や活性化
計画の策定など)を付した上で容認する。
(4)市民ワークショップの提言
勤労者女性会館しなのき、映画館、大型店など、集客施設が
隣接し、北野文芸座などとの文化ゾーン形成も期待でき、東街
区案がより適している。
結果的には、それぞれの立場や考え方で、さまざまな意見があり、
東街区案、現在地案のどちらか一方が優れているとする明確な根拠
は見いだし難いように思われると結論付けました。
市議会議員の皆さんからは、建設地を「東街区」に変更した進め
方についてもご指摘を頂きました。市としては、同じ権堂B-1地
区の中であり、当初「権堂」とした建設地の考え方や効果は同じで
あることから提案したものでしたが、議員の皆さんにとっては違和
感があったようです。市としての説明に、不足があったとすれば、
申し訳なく感じています。
ただ、最終的に市議会の意見と市側の意見が一致しないと、行政
は混乱してしまいます。市民会館の場所を権堂B-1地区東街区と
する案について、市議会の賛同を得られなかったことは残念ですが、
市議会の意見を重く受け止め、市民会館は、第一庁舎と一緒に現在
地を中心に検討を開始することとしました。
今後についてですが、すべての意見を満足させることは困難であ
り、要件を絞って検討する必要があると考えています。ただ、市民
会館と第一庁舎を建て替えることは、市議会3月定例会で関連予算
を認めていただいたことにより決定しているわけで、また、合併特
例債の活用も財源確保の面では欠かせないことから、基本構想に沿
って建設を進めていくことには変わりありません。
市としては、これまでの経過や、市としての説明継続性の面から、
以下の5つの基本的な考え方を踏まえて市民会館・第一庁舎の整備
を検討していきます。
(1)当然のことながら、市民会館は、基本構想に沿って文化芸術
振興が図れる施設とすること。併せて、第一庁舎は使い勝手の
良さを追求すること。
(2)市民会館および第一庁舎の建設地は現在地を中心とすること。
(3)中心市街地の活性化のために、権堂B-1地区の再開発事業
は実現していくこと。
(4)合併特例債を活用して平成26年度までに建設すること。
(5)市役所南部方面への相互通行化を見据え、将来の都市構造に
配慮した道路整備が可能な配置とすること。
以上の5点を主な要件として踏まえながら、市議会と十分に相談
し、お互いに意見を出し合う中で成案とし、12月中旬には決定し
たいと考えています。
基本的な考え方について、少し補足させていただきます。平成
26年度までに建設するとしていることについてですが、これは、
それまでに完成させないと合併特例債そのものが使えなくなってし
まうという事情からです。
また、権堂B-1地区の再開発事業を実現することについては、
この再開発計画は地域の皆さんと時間をかけて検討してきている案
件で、ほぼ全地権者の同意を得ていること、さらには、権堂商店街
や大型商業施設イトーヨーカドーとのコラボレーションによる相乗
効果が期待できること、長野市の都市構造を考えると、欠くことが
できない拠点の一つである、ということなどが主な理由になります。
市民会館と第一庁舎の建て替えの成案については、現在の場所で、
両施設をどんな配置にすべきか、規模はどうするか、将来の道路構
造をどうすべきか等々について、関係機関と話し合いを進めていま
す。
併せて権堂B-1地区の再開発事業についても検討を進めていま
す。また、権堂B-1地区のみならず、権堂アーケード通り、権堂
A地区再開発計画、権堂C地区再開発計画、さらには既に動き始め
た中央通りの歩行者優先道路化も含めた地区全体の将来構想につい
ても、地元の皆さんと連携して策定したいと考えています。そうす
ることで、将来の中心市街地活性化の方向性を、点から線へ、さら
には面の開発へ、構想を広げていけるものと思っています。
詳細については、検討する余地がまだまだありますので、皆さん
からの積極的なご意見をお待ちしています。
2010年11月11日木曜日
3年間でめどを付けなければならないテーマ
本日、11月11日で、私の市長任期はあと3年になりました。
任期いっぱい、皆さんにお約束したマニフェストの実現を目指し
て全力を挙げることは当然ですが、私としてはそのほかの施策も含
め、さらに具体化した目標を持ってきちんとやることが必要だと思
っています。そこで今回は、現段階で今後3年間にめどを付けなけ
ればならないと考えている課題を整理してみました。
(1)コミュニティーの再生、新しい住民自治の確立
まずは、都市内分権の仕組みの充実と住民自治協議会の活動を
軌道に乗せることです。そして、コミュニティーの再生に向け、
住民自治協議会中心の仕組みを確立していきたいと思っています。
コミュニティーの再生は、私にとって市長就任時からの重要施策
であり、40年来の念願です。住民自治協議会の取り組みは、始
まったばかりですから最終形はまだ分かりませんが、戦後、社会
が失った大きなものを再生していきたいと思っています。今後、
若者や企業の参加の可能性を探っていく必要がありそうです。
併せて、市域の4分の3を占める中山間地域を、生活の場とし
て、環境保全の場として、中山間地域ならではの付加価値を加え
る場として、活性化することにも努力したいと考えています。
(2)公共交通の活性化・再生と長野市地球温暖化対策地域推進計
画の目標達成
車社会の進展により、良くなったこともたくさんありますが、
課題も生じています。マイカーの便利さを追求するだけではなく、
バス交通や長野電鉄屋代線など、利用者の減少が続く公共交通を
再生させることも重要です。自転車の積極的な活用促進も検討し
ていかなくてはいけません。
同時に、車社会を見直すことで温室効果ガスの排出削減を実現
し、環境問題にも貢献したいと考えています。
(3)ごみ問題、特に焼却施設の建設・最終処分場の確保と産業廃
棄物問題の解決
現在、近隣市町村と力を合わせて進めている、ごみ焼却施設の
建設と最終処分場の確保については、どうしても実現する必要が
あります。特に、清掃センターの建て替えは、地元の皆さんのご
理解の下、やり遂げなくてはならない政策です。併せて、産業廃
棄物問題を解決することも避けては通れません。
(4)長野市民会館・市役所第一庁舎の建設
合併特例債を活用して、耐震対策を行うとともに市民サービス
の向上と質の高い文化芸術拠点の整備を目指します。併せて、I
T市役所の実現と、IT技術を活用したミュージアム構想も検討
したいと考えています。中心市街地を活性化する視点も重要です。
(5)学校の耐震化
安心・快適な学習環境を整えるため、市立小・中学校81校の
耐震補強、老朽施設の改築を計画的に進めています。
(6)斎場の整備
施設の老朽化と高齢化の進展に伴う今後の火葬需要増加に対応
するためには、施設の更新整備が必要です。
(7)長野市民病院の黒字化
安全で質の高い医療を継続的に提供するためには、健全な経営
が必須条件です。
(8)4年制大学の誘致
地域での人材育成、若者の流出防止などの観点から、必要な政
策だと考えています。
(9)企業誘致、既存地元企業への支援(税収アップ)
企業に元気がなければ、まちの元気も出てきません。
(10)いいとき観光エリアの資源活用
まずは、戸隠スキー場・キャンプ場・牧場などの基盤整備を進
め、癒やしの場としての存在感を高めたいと思っています。
(「いいとき」=飯・戸・鬼=飯綱・戸隠・鬼無里の頭文字)
(11)茶臼山地域の活性化
茶臼山動物園開園から間もなく30年。老朽施設更新の時期を
迎えた茶臼山エリアの活性化構想を策定し、一帯を順次再整備し
ていきます。これに併せて、ぜひ、遊園地を新設したいと思って
いるのですが・・・。
(12)オリンピック選手の輩出
本年度創設した「ながの夢応援基金」を最大限活用し、長野の
子どもたちが夢にチャレンジできる環境を作りたいと思っていま
す。スケート選手育成のためには、通年利用できるリンクが必要
かもしれません。また、オリンピック資産を生かすためにも、オ
リンピックを再招致しようという声も聞こえてきています。当面
はユースオリンピック、冬季アジア大会などを視野に入れてはど
うでしょうか。
(13)スポーツによる市民の求心力の創出
市民が心を一つにして盛り上がることができるものをつくりた
いと考えています。サッカー、野球などが候補として思い浮かび
ますが、サッカーが有力だと言えるでしょう。そのためには、グ
ラウンド整備を含む環境整備も重要な要素となります。
(14)国際性の涵養(かんよう)
姉妹都市・友好都市との交流、長野オリンピックを契機とした
一校一国運動などで培ってきた国際性を、もう一段高い位置に押
し上げることは、長野市の将来にとって大きな力になるでしょう。
以上14項目、現在の長野市、将来の長野市にとって必要なこと、
プラスに働くであろうことを市民の皆さんと共有していくことが大
切だと考え、あえて整理してみました。「欲張り過ぎだ」というご
批判は甘んじて受けましょう。もちろん、3年間ですべて実現でき
るとは考えていません。しかし、めどだけは付けたいと思っていま
す。
ただ、このように整理してみますと、すでに手を付けているテー
マが大部分であり、新鮮味に欠ける面もあるかもしれません。そし
て、市民の皆さんの意見をまとめ、財政的にもめどを付け、実現に
結び付けていくことは、容易なことではないとも感じています。
このほか、理念的なことも加えれば、市民すべてが豊かで幸福を
感じる社会、子どもが夢を持てる社会、お年寄りが豊かに生活でき
る社会、働く場がたくさんある社会、音楽や絵画を気軽に楽しめる
社会、スポーツを楽しめる社会、格差が少ない社会、自然を大切に
する社会、歴史文化を大切にする社会・・・まだまだ数え切れない
ほどありそうです。人口が増える、子どもが増えることも理想でし
ょう。
重要性については、人それぞれ考えが違うはずです。また、現実
の話として優先順位も考えなくていけませんし、時間の経過ととも
に、さらに新しいテーマが出てくることもあると思います。長野市
の存在感をさらに高めるために、オリンピックに替わる「新しい旗」
は何だろうかと、私は真剣に考えています。
1998年の長野冬季オリンピック開催に当たって大きな投資を
したことにより、長野市の借金がかなり増えたことは事実ですが、
その反面、長野市のステータスは確実に上がっていると思います。
雌伏13年。努力のかいもあり、当時の借金も順調に減少し、財
政の健全性も維持しています。6町村との合併もあり、長野市の存
在感は一段と上がっていると感じています。現在の長野市には、
14項目すべてのめどを付けるだけの十分な財政力があると思って
います。
ただし、これまでに、国が地方に約束してきた財源、例えば市債
の交付税措置、耐震化工事への補助金、ごみ焼却施設に対する交付
金などの支出がきちんと守られることが前提です。
民主党政権の主張する「地域主権」、「一括交付金」の中身がい
まひとつはっきりしないことから若干の心配はありますが、地域主
権を掲げておられる以上、大丈夫だと私は信じています。
もう一つ付け加えるとすれば、14項目の中には、民間活力を活
用できる事業、あるいは行政と民間が共同で行える事業もありそう
です。いや、むしろその方が多いようにも感じています。
行政がすべてをやる時代ではない・・・ということは、私が以前
から申し上げてきていることです。指定管理者制度の導入は随分進
んだと感じていますが、一方で、完全民営化が進んでいないという
ことも、現段階での私の反省事項です。
2010年11月4日木曜日
市民会議の新しい形式と海外視察
「元気なまちづくり市民会議」は、市内32地区ごとに、各地区
の主催で開催していただいていることはご存じのとおりです。6月
27日の篠ノ井信里地区から始まった本年度の会議もあと4地区を
残すだけとなりました。会議は、今年4月の住民自治協議会の活動
本格化を受け、本年度からすべての地区で住民自治協議会の主催に
なっています。
住民自治協議会の主催になり、会議の進め方も少しずつ変わって
きました。各地区の独自色が出てきていると感じています。
そのような中で、他地区との違いが際立っていたのは松代地区の
市民会議です。ここでの会議は、昨年度に引き続きパネルディスカ
ッション方式でした。
この方式の市民会議は、地区の課題を深く共有するには良い方式
だと思っています。また、これまでの会議とは違う新鮮味もあるで
しょう。ただ、まったく別分野の提案をしたいと思っている皆さん
もいるでしょうから、そのような皆さんには物足りなさを感じる面
があるかもしれません。
今回、松代地区の会議では、私もパネリストの一人として参加さ
せていただき、「農業振興による松代地区の活性化」をテーマに約
2時間、しっかり討論させていただきました。
討論のコーディネーターは、松代地区住民自治協議会区長会副会
長の北原正雄さん、私以外のパネリストは、農業委員の半田孝一さ
ん、松代地区住民自治協議会区長会会長の中島嘉一郎さん、長野県
農業会議事務局長で松代町柴区特別会計の白石芳久さん、専業農家
の花見敏史さんです。
討論の柱にしたのは、「遊休農地・耕作放棄地」、「有害鳥獣被
害等」、「収益を生む農業」、「新規農業従事者を探る」の4点で
す。これらのことは、松代地区のみならず、全市的、さらには全国
的な課題でもあり、すぐに決定的な結論が出るような内容ではあり
ません。
しかし、だからこそ、市民の皆さんや行政などが一緒になって地
道に課題を出し合い、解決策を探り、試行錯誤を繰り返す以外に方
法がないと思っています。その面では、今回のこの会議は有意義だ
ったのではないでしょうか。
以下は、今回の討論の中で出されたことの抜粋です。
遊休農地・耕作放棄地について
・荒廃農地を復元したら、その後作付けした作物に応じて一定の所
得が確保できることが大事であり、荒廃農地対策には販売面のフ
ォローが必要。
・ソバは、中山間地域だけでなく、基盤整備された平地でも作れる。
農地は、荒れることなく作付けできているということが大事。
・野菜生産組合に所属する人を中心に農業生産法人をつくり、契約
栽培でタマネギを作付けしたい。また、農産物加工施設を造り、
販売できる会社と提携したい。
・戦後の農地解放の影響からか、公が関与しないと農地の貸し借り
が進まない。市農業公社の組織を強化したらどうか。公社の松代
支所があってもいい。
有害鳥獣被害等について
・徹底的に防護柵で囲うことが必要。電気柵で囲ってから被害はな
い。ニホンジカは柵を飛び越えるので、今とは違う防護柵が必要。
・薬草は被害に遭わない。イノシシは見向きもせずにまたいで行く。
ただ、栽培技術が確立し、普及するまでの間は「戸別所得補償」
的な支援ができないか。
・猟友会が高齢化して駆除が難しい。
・有害鳥獣は、農地だけでなく、生活の場にも危害をもたらすよう
になってきた。農家だけではなく、住民総意で取り組むべき。
・イノシシ牧場のような場所を作り、不要な農産物をそこに出し、
食べに来たイノシシを一網打尽にしてはどうか。
収益を生む農業について
・「定時」、「定量」、「定質」がないと産地間競争に負けてしま
う。契約栽培、地産地消など多様な販売方法を構築していかなけ
ればならない。
・JAの直売所ができてから意欲が出てきた。自分で売ってみるこ
と、販路確保が大事。
・観光資源がある松代の中心地区で販売拠点を確立して農産物を売
りたい。加工所も併設したい。ロスがない販売ができれば、農家
も育つし、若い世代も出てくる。B級グルメはどうか。
・市が奨励作物へ補助することは素晴らしいが、補助金単価が下が
ってやっていけない。販売も含めて市でコーディネートしてもら
えれば独立できる。
・地元にいながら地元の優れた農産物を知らない。地産地消で地元
の農産物を消費することが大事。
新規農業従事者について
・就農者が絶対的に足りない。Iターンも含めた若者を受け入れる
システムが必要。国や県でも多くの支援策があるが、市として地
元として、地元でなければできない支援が不十分ではないか。
これらのことについては、市としてもさまざまな支援や対策を進
めています。
例えば、遊休農地対策の一つとしては、市農業公社で遊休農地を
借り上げて集積し、貸し出す事業を始めていますが、なかなか農地
がまとまらないのが実情です。有害鳥獣対策では、わなや防護柵の
設置、駆除、緩衝帯整備などに対する補助制度を用意しているほか、
駆除したイノシシを食肉加工して販売することも研究しています。
本来、農業はとても付加価値が大きな産業です。市内には“8桁
(けた)会”、すなわち年間1千万円以上の収入を得ている農業者
だけのグループもあるのですから、条件を整えて苦労をいとわなけ
れば、十分収益を得られるはずだとも思っています。そのために、
法人化の支援もしています。
ただ、いずれも、一朝一夕でできることではありませんし、確実
な決め手もありません。あらゆる手段を講じていくことが大切です。
これからも、市として必要な施策を進め、少しでも前進できるよう
にしていきたいと考えています。
住民自治協議会の話題でもう一つ。鬼無里地区の皆さんを中心に
した有志21人が、“ソフトモビリティー(環境に優しい交通手段)”
の研究のため、自費でオーストリアのザルツブルク州ベルフェンベ
ンク村へ視察に行ってこられたとのことで、先日、その報告のため
に、市役所へお越しくださいました。
ベルフェンベンク村は、アルプスのふもとに位置しており、標高
は900メートル前後、人口は900人余り。日本で言えば、典型
的な中山間地域で、限界集落とも言えそうなのですが、人口は増加
傾向で、10年前より約200人も増えているそうです。そして、
住人の平均年齢は36.5歳というのですから、驚いてしまいます。
村の主な産業は、農業と民宿業。この村には、滞在型の旅行者が
多く、1週間から10日間程度滞在して軽い登山やウオーキングな
どを楽しんでいくそうで、農家は酪農と民宿で生計が立つそうです。
そして、この村の売りは、徹底的な環境対策にあります。村では、
観光客の移動手段として電気自動車、電動アシスト自転車、馬車な
ど、ソフトモビリティーを用意して、自家用車を使用させないよう
にしているそうです。また、住民自身も暖房などには薪(まき)を
利用し、電気も村内の太陽光発電所や、木質バイオマスにより発電
した電力を使用しているというのですから、徹底しています。景観
が良いことに加え、環境の良さからも人口が増えているのでしょう。
村外に通勤している住人もいるようです。
視察してこられた皆さんは、鬼無里地区でも環境に配慮した移動
手段を普及し、観光の目玉にしていきたいと考えています。ミズバ
ショウやブナ原生林など、自然を売りにしている鬼無里地区ですし、
市としても奥裾花自然園への小水力発電施設設置を検討していると
ころですから、ベルフェンベンク村は良いお手本になるかもしれま
せん。
いずれにしても、自費でオーストリアまで視察に行ってこられた
という熱意には、敬意を表する次第です。
2010年10月28日木曜日
「みんなでトーク2010・ながの」キックオフ・トーク
新しい懇話会を創設しました。10月12日夜、そのスタートに
先立ち「長野市の未来を語ろう『みんなでトーク2010・ながの』」
のキックオフ・トークを開催しました。
この「みんなでトーク2010・ながの」という新しい懇話会は、
今後の長野市をデザインするために、あらゆる年代の皆さんに長野
市の将来にどんな夢を描くのか、自分が市長だったらこんな市にし
たい、といったことを自由に語ってほしいという思いから創設した
ものです。懇話会には、公募に応じていただいた皆さんのほか、市
の職員も加わり、夢を語り合うことにしています。
私が若いころ、と言っても30歳代前半、故柳原市長さんのころ
ですが、私が所属していた長野青年会議所のメンバーと市の若手職
員が、朝食会を開催して意見交換をしたことがあります。お互い初
対面でしたが、市職員とのコミュニケーションは随分楽しかったで
すし、お互いに勉強になったと感じました。何回続いたか記憶は定
かではありませんが、今回の新しい懇話会はそのときのことを思い
出して、私から提案したものです。
ただ、今回のメンバーは、青年会議所ではなく、公募した市民の
皆さんと市の職員ですので、あのころの趣旨とは少し違うものにな
っています。
キックオフ・トークでは、フリーパーソナリティーの武田徹さん
にコーディネーターをお願いして、パネルディスカッションをしま
した。パネリストは、ゲストとしてお迎えした「ふるさとNAGA
NO応援団」のメンバーの幡野保裕さん、フリースタイルスキー・
モーグル選手の上村愛子さん、主婦で、以前、放送局のディレクタ
ーをされていた上條麻美さんの3人と私です。
キックオフ・トークですから、懇話会のメンバーの方はもちろん
ですが、トークは公開で行い、メンバー以外の皆さんにも一緒にお
聴きいただきました。
最初に、コーディネーターの武田さんから私に、今回の「みんな
でトーク2010・ながの」の趣旨についてお尋ねがありましたの
で、あいさつを兼ねて次のような話をさせていただきました。
これまで、市内各地区で開催している「元気なまちづくり市民会
議」をはじめとして、中山間地域、国際交流、女性など、テーマや
対象者別の市民会議の開催や、現場へ出掛けての「移動市長室」な
どを行っている。
これらは、市民のご意見・ご要望などをお聴きする場として大変
重要な会議ではあるが、会議のテーマは、例えば、それぞれの地域
の「当面の課題」や、部分的な「個別・具体の話」に限られ、長い
年月を見据えた長野市全体についての議論は少ない。10年後、
20年後を見据え、「これから先、長野市はこうあるべきだ」とい
うような、ある意味「大きな議論」が必要だと感じている。
このようなことから、創設した「みんなでトーク2010・なが
の」では、18~29歳、30~49歳、50歳以上というように、
年代別の懇話会を設け、メンバーの皆さんとひざを交えて、長野市
の将来をどのように考えるか、長野市は今後何を目指していくべき
かを議論し、一緒に考え、長野市のこれからの「旗印」を探してい
きたい。
そのスタートに先立ち、本日はゲストの皆さんから「外から見た
長野市」をテーマの中心としてお話をお聴きし、今後の懇話会を進
めていく上での参考にさせていただきたいと思っている。
こんな趣旨で話させていただきました。
今回パネリストをお願いしたゲストの皆さんは、長野市にかかわ
りを持ちながら、世界、国内、県内をよくご存じの皆さんです。デ
ィスカッションでは、武田さんの素晴らしいコーディネートにより、
さまざまなお話をお聴きすることができました。
幡野さんは、高校時代を長野で過ごされ、柔道のインターハイ県
代表選手としても活躍。大学卒業後は、日本郵船株式会社に就職し、
平成8年から15年まで豪華客船「飛鳥」の船長をされた方です。
世界中の港町を回った経験からお話を伺うことができました。
**********
印象に残っている町は、ニュージーランドのクライストチャーチ。
この町の売りはガーデニングで、道から庭が見えるデザインになっ
ており、住民が自宅の庭を一生懸命奇麗にしている。また、町の中
心には大きな公園・運河があり、ボートで巡ることができる。ボー
トの中で求愛すると成功するという伝説を上手に使い、町をPRし
ている。
地球温暖化について考えている都市も印象深い。サンフランシス
コのベイエリアは、電気自動車の普及を目指すモデルとして、パワ
ーステーション(充電スタンド)の設置を進めている。フランスの
ラ・ロシェルは、映画祭と音楽祭で売っている町。それに加えて最
近は、電気自動車の普及を進め、市内は電気自動車しか走らせない
ようにしようとしている。パワーステーションの設置と電気自動車
のレンタルを計画中。
いろいろな所に行って思うのは、住民がどれだけ町に対する意識
を持っているかが重要だということ。一人一人の細かい積み上げが
町をつくっていると感じている。
長野のイメージは、素晴らしい自然と里山。そして、長野のホス
ピタリティが世界に認められた冬季オリンピックの大成功。オリン
ピックは平和の象徴であるが、北京オリンピックの聖火リレーでの
善光寺の存在感も平和を象徴する町のイメージを強くした。これら
は長野の大きな財産で、うまく利用したい。
**********
上村さんは、ご紹介するまでもなく、長野オリンピックから今年
のバンクーバーオリンピックまで4大会連続で出場した、日本を代
表するスキーヤーです。いろいろな国で競技をされた経験から、気
に入っている町についてお聴きすることができました。
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スイスのツェルマットによく行く。この町は、自動車の乗り入れ
が規制されていて、お客は一つ手前の町に駐車して、登山電車やタ
クシー(電気自動車)で行くことになる。静かで空気も澄んでいる。
家一軒一軒に花を飾る決まりもあるなど、観光地としてのコンセプ
トが決まっていて、町のどこを見ても「ツェルマットだな」という
景色が広がっている。
そこでは氷河で滑らせてもらっているが、毎年毎年、氷河が小さ
くなっていることを実感。環境問題が自分の競技に直結している。
長野市全体では難しいが、例えば山の方に行ったら、電気自動車が
たくさん走っている場所があれば魅力的ではないか。
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上條さんは、放送局のディレクターをされていたことから、長野
県内をくまなく回って取材をした経験をお持ちです。また、現在の
主婦としての立場から、どんな長野市にしたいかという思いもお話
しいただきました。
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駒ヶ根のソースカツ丼など、町全体が頑張っている所は活気があ
ると感じている。先代より2代目、3代目の人たちが頑張っている。
長野市にも「○○横丁、○○通り」というような、新しいB級グル
メが集まった区画があれば面白い。
自分の子どものことで考えると、大学進学などで東京などに行っ
たとしても、帰って来られる町になったら良い。私も学生のころは、
東京で就職したい、親から自立したいと思っていたが、実際に子ど
もを持ち、親の立場になると、帰ってきて長野で就職してもらいた
いと思う。だから、企業が元気になってほしい。10年後、20年
後に働き口があるかどうか不安がある。
**********
パネルディスカッションを進めていく中では、武田さんからも次
のようなヒントを頂きました。
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外から人を呼び込むことも大事だが、われわれ自身も日常生活の
中で、里山や自然を楽しむことができる市民になることも大事。自
分たちの町なのだから、自分たちが楽しんで、自分たちが健康で暮
らせる、そういう「暮らし」にわれわれもギアチェンジする必要が
ある。
中央通りの活性化も言われているが、住民が地元の物を買って、
地元の物を愛するようにならないと活性化しない。安い物があれば、
よその物を買う。経済の原則からすれば仕方ないが、長い目で見れ
ば自分たちの首を絞めている。地元の人が何かに取り組んでいたら、
それに協力して、少しくらい高くても買って、根付かせることをみ
んなでしていかないと、まちづくり・活性化は絵に描いた餅(もち)
で終わってしまう。
未来を考えるときに、10年先、20年先、世界がどうなるかを
頭に入れる必要がある。環境問題も深刻化すると思う。食糧難の時
代も来るのではないか。飢餓に遭わないまちづくりもある。資源の
問題もある。その地域だけで小水力発電をやるとか、中山間地域の
木材を活用する検討も必要。善光寺はさまざまな宗派を受け入れる
素地がある。世界宗教者会議のようなものを開催し、世界平和につ
いて語ってもらうこともオリンピックを開催した長野市ならできる。
**********
パネルディスカッションの最後は、「外から見ると、長野市には
いろいろな宝があるが、宝はそのままにしておいても何の役にも立
たない。『宝の持ち腐れ』にならないような長野市の未来を考えて
いってほしい」という武田さんの言葉で締めくくっていただきまし
た。
実際には、もっとたくさんのお話を展開していただきましたし、
私も発言させていただいています。今回は紙幅の都合もあり、略さ
せていただきました。お許しください。
「みんなでトーク2010・ながの」の本番は、10月26日の
50歳以上の皆さんとの懇談でスタートしました。今後、2月に開
催する予定の「ファイナル・トーク」までの間、長野市のこれから
の「旗印」を皆さんと一緒に探し出していきたいと思っています。
2010年10月21日木曜日
秋、観光事業への取り組み
10月、秋の観光事業の最盛期です。スポーツや農産物イベント
なども含め、大勢の皆さんにお越しいただいています。
10月1日から、信州デスティネーションキャンペーン(信州D
C)が始まりました。これは、長野県内の観光関係者や市町村など
とJR6社が連携して、全国から長野県へお客さんを呼ぼうという
取り組みで、長野県での開催は12年ぶりだそうです。12月31
日まで開催しています。
このチャンスを生かすべく、長野県はもとより長野市としても、
今まで取り組んできたことを中心に、さらに充実させて、いろいろ
な事業に取り組んでいます。テーマは「未知を歩こう」です。県内
には、まだ知られていないスポットやイベントがたくさんあるとい
うことでしょうか。
JRとしても、全国を対象にキャンペーンを組むと効果が散漫に
なってしまうからでしょう、“選択と集中”の典型的な事業だと私
は感じています。
ながのウエルカムガーデン。昨年は、善光寺御開帳に併せてでし
たが、今年は、信州DCに併せての設置です。「ようこそ秋色の長
野へ」をテーマに、秋の七草をはじめ、色とりどりの花々による見
事なガーデンが長野駅善光寺口の駅前広場に出来上がりました。昨
年と同様、長野を訪れる皆さんに喜んでいただけるだけでなく、通
勤・通学で長野駅を利用する皆さんの目も楽しませ、癒やしにもな
るイベントになっていると感じています。ガーデンは、11月末ま
で設置する予定です。
また、夕闇迫るころになると、ガーデンの背後にはJRが設置し
たきれいなイルミネーションが輝き始めます。長野駅前で昼も夜も
お楽しみください。
10月3日、飯綱高原健康マラソン。市内外から約1,000人
の参加者がいらっしゃったのですが、新聞報道などでご存じのとお
り、3キロコースのスタート直後に選手の皆さんが突然スズメバチ
に襲われ、競技は途中で中止。33人が救急車で長野市民病院と長
野赤十字病院に運ばれる騒ぎになってしまいました。重症者が出な
かったことは幸いでしたが、申し訳ない結果になってしまい、参加
された皆さんには心よりおわび申し上げる次第です。コースに隣接
した廃屋の中にハチの巣があったようで、前日、前々日に行った事
前の点検では発見できませんでした。今後は、これまでにも増して
安全管理を徹底し、安全で楽しい大会にしていきます。
戸隠神社奥社の杉並木が、パワースポットブームと、吉永小百合
さんのテレビコマーシャル効果で、大変な人出のようです。報道を
通じての情報ですが、奥社の宮司さんが“こんなことは初めて”と
おっしゃっていたことが、印象的でした。この人気、一過性ではな
く、リピーターの増加につながると良いですね。
市内では、松代の皆神山もパワースポットだそうです。そういえ
ば、しばらく前にピラミッドパワーということで、評判になったこ
とがあったと記憶しています。
10月4日、北陸新幹線停車駅都市観光推進会議で、富山市へ行
ってきました。高崎市、長野市、上越市、黒部市、富山市、高岡市、
金沢市・・・7市長が集まって、駅前整備やまちづくり、誘客戦略
について熱く語り合いました。高崎市と長野市は、すでに新幹線が
開通していますが、その他の都市にとっては、平成26年度の開通
を前に、今まさに正念場でしょう。長野市としても、再開発ビルの
完成や駅および駅前広場の整備のことなど、オリンピック前、大急
ぎで暫定整備した長野駅周辺の今後について、夢を語ってきました。
10月9日、長野市農業フェア。もう40回目を迎えました。こ
のイベントは、農業関係団体が実行委員会をつくり、長野市地産地
消推進協議会などとの共催で開催しています。昭和43年に長野市
民会館で始まったイベントですが、その後ながの東急百貨店での開
催を経て、エムウェーブに定着したものです。今年も大勢のお客さ
んがいらっしゃっていました。
同日、第5回全日本フロアホッケー競技大会が開会し、2日間の
日程で競技が行われました。2005年のスペシャルオリンピック
ス冬季世界大会に引き続き、第1回から長野市のホワイトリングで
行われている大会で、この競技もすっかり定着してきたように思い
ます。毎回、日本フロアホッケー連盟の細川佳代子会長が出席され
ており、会長さんからは、「今度一緒にプレーしましょう!」と誘
われてしまいました。
同じく10月9日の夕方から夜にかけて、川中島古戦場まつりが
行われました。あいにく、午後から雨模様になってしまい、開催で
きるか心配していたのですが、実行委員会では開催を決断したよう
です。私は会場へ向かう途中、長野大橋で起きた交通事故の影響で、
大渋滞に巻き込まれてしまいました。開始時間に遅れそうでハラハ
ラしましたが、何とか間に合い、花火の点火式に参加させていただ
くことがきました。降りしきる雨のため、観客の皆さんが腰を下ろ
す場所がなかったのは残念でしたが、役員の皆さんのご努力で、花
火を打ち上げることができ、良かったと思っています。多くの皆さ
んが楽しんでいらっしゃいました。
10月10日、松代藩真田十万石行列が行われました。本年度、
松代イヤーの白眉(はくび)のイベントと言っていいでしょう。前
日の雨が午前中まで残るという予報で心配しましたが・・・結局、
雨は降らず、絶好のお祭り日和になりました。昼ごろからは青空に
なって、午後はむしろ天気が良すぎて、暑くて困ったくらいです。
真田家14代当主の真田幸俊様もご参加くださり、人気を集めて
おられました。私も白い大きな馬に乗せてもらい、3時間、松代城
下を楽しませていただきました。
今年も行列には、「カチューシャの唄知音都市」として交流して
いる中野市、島根県浜田市、新潟県糸魚川市の皆さんにご参加いた
だいたほか、真田サミットで交流のある上田市や大阪市の皆さんに
も加わっていただき、うれしく思っています。沿道も大変にぎやか
でした。
10月14日~15日、福井県大野市で、第157回北信越市長
会総会が開催されました。大野市は、福井県東部に位置する市で、
面積は長野市よりも一回り大きい872平方キロメートル、人口は
長野市の約10分の1の3万8千人という市です。“北陸の小京都”
と言われるだけあり、きれいな町でした。
会議では、全国市長会へ提出する25の議案について分科会に分
かれて話し合ったり、北陸新幹線の建設促進や鳥獣被害防止対策の
推進などの決議を採択したりしたほか、次回、第158回総会を、
来年の5月に長野市で開催することが決まりました。
長野市での総会でも、さまざまな議題について話し合うことにな
ると思いますが、会議の合間には、お迎えする67市長さんに市内
をご覧いただく時間を設け、新緑の季節を迎えた長野市の魅力を発
信したいと考えています。
2010年10月14日木曜日
長野市選出の県議会議員の皆さんとの懇談会
9月27日、ここ数年の恒例行事になっていますが、長野市選出
の県議会議員の皆さんとの懇談会を開催させていただきました。長
野市選出の県議会議員は10人です。この日は、全員の方々にご出
席いただくことができました。
懇談内容は、先週ご報告させていただいたように、阿部知事との
懇談で要望したことと同じ10項目についてです。皆さんには、長
野市の主な懸案・課題事項として私から説明させていただき、ご理
解をお願いしました。
10項目のうち、
(1)長野県短期大学の4年制大学への移行について
(2)市街地再開発事業に対する県費補助金の確保について
の2項目については、先週、報告させていただきましたので、今回
は、残りの8項目についてお話しさせていただきます。
(3)地域公共交通への支援の充実について
市では、国の地域公共交通活性化・再生総合事業に取り組んで
いますが、本年度の補助金が、本来の計画に対して大幅に減額さ
れてしまい、事業実施が困難な状況です。
一方、国においては、地域公共交通の確保・維持などのための
新たな支援策を立案中と聞いています。このため、現事業につい
ては当初方針どおりの支援を、また、新たな支援策の制度設計に
当たっては地方の取り組みに対する支援の充実を図るよう、国に
要望していただくことをお願いしました。
加えて、県としても、公共交通の維持・確保に対する支援を充
実していただきたいと考えています。
(4)長野地域職業訓練センターの今後の運営について
独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止に伴い、大豆島にある
長野地域職業訓練センターが本年度末で廃止されることになって
います。機構からは、土地を所有する長野市が希望する場合には
施設を無償譲渡することが提示されており、11月末までに引き
受けるか否かを決定しなければなりません。
この施設は長野市民のみならず、県内外の多くの人に利用され
ていることから、市では、県での引き受けを求めてきましたが、
県からの回答は「できない」とのことでした。現在の厳しい雇用
情勢下で、職業訓練や研修、技能の向上を図る場の存続は大変重
要です。職業能力開発促進法に基づく施設で、利用者も多く、存
続要望も多いことから、このまま廃止することはできないでしょ
う。存続するための県の相応の支援が必要だと考えています。
(5)上水内北部広域営農団地農道豊野幹線の建設促進について
上水内北部広域営農団地農道豊野幹線は、国の交付金などを受
けて県が整備している道路です。平成28年度の全線供用開始を
目指し、大半の用地買収が済み、工事も始まっています。
ただ、昨年、国の事業仕分けで農道整備事業が「廃止」判定さ
れたこともあり、今後の事業費確保に不安があることも事実です。
今後も国の支援が継続されるよう、県として対策を講じていただ
きたいと考えています。
(6)災害に強い県管理の砂防・河川施設の整備促進について
近年頻発する災害により、復旧事業などの緊急対応が増加して
おり、災害の予防対策として計画的に推進すべき砂防、河川事業
が極めて進めにくい現状にあります。市内の中山間地域は、急峻
(しゅん)な地形が多い上、地盤がもろく不安定で、災害を受け
やすい条件にあり、土砂災害や水害を防止する砂防、河川事業は、
大変重要です。
住民の生命・財産を守り、安全で安心な地域づくりを進めるた
めにも、基幹的な砂防・河川施設の整備について、より一層の取
り組みをお願いしたいと考えています。
(7)長野駅周辺第二土地区画整理事業の促進について
市が行っている長野駅周辺第二土地区画整理事業は、市都心部
の新たな拠点形成を図るとともに、老朽建築物が密集する地域の
防災対策を進め、安全で安心な住民生活を確保するために実施し
ています。事業推進に当たっては、権利者の皆さんの生活を確保
するためにも計画的な事業費確保が必要であり、国および県の財
政的支援は不可欠です。
しかし、本年度当初の国の交付金額は、本市の要望額を大幅に
下回ってしまいました。その後、追加配分を頂けましたので良か
ったのですが、結果的に市の負担が増加してしまったことも事実
です。この事業に関する国の特定財源および県の補助金の確保・
配分について、特段の配慮をお願いしました。
(8)文化財の保護・保存に要する費用に対する支援の拡充につい
て
国・県指定文化財の保護・保存には、多額の事業費が掛かるた
め、国・県からの事業費補助は不可欠です。しかし、現在のとこ
ろ、県の要綱に定めがあっても県からの補助が無いか、縮小傾向
にある状態です。
例えば、県の要綱では、県指定文化財を保存整備する場合には
対象事業費の50%以内、国指定文化財の場合には同25%以内
の補助金が交付できることになっています。これに対し、国の史
跡である新御殿跡(真田邸)や県宝の旧前島家住宅の保存整備事
業などでは、県の補助金はありませんでした。また、国の史跡で
ある大室古墳群の保存整備事業では5%の補助金を頂いています
が、来年度は4%になると聞いています。
このままでは、文化財の保護・保存に重大な影響を及ぼしかね
ません。県として応分の財政支援をしていただきたいと考えてい
ます。
(9)冬季競技国際大会、全国大会などの誘致・開催に伴う県の財
政支援について
これまで市内では、長野オリンピック記念基金からの助成を受
けて、冬季競技大会やオリンピック記念イベントなどが開催され
てきましたが、昨年度をもってこの助成は終了となりました。こ
のことに伴い、市では「長野市冬季競技振興基金(愛称:ながの
夢応援基金)」を創設し、今後も市内の各種大会や選手育成など
へ助成していきたいと考えています。
ただし、大規模な国際大会などについては、県からの支援がな
ければ誘致・開催することは困難です。オリンピック開催以前は、
県の支援を頂いてきた経過もありますので、今後も同様に、県の
財政支援を頂きたいと考えています。
(10)市町村の消防の広域化について
県が策定した「長野県消防広域化推進計画」では、東北信・中
南信の2ブロック体制で消防組織を広域化することを目指してい
ますが、現在、このような単位の行政組織はありません。円滑に
広域化するためには、なじみのない2ブロック制ではなく、東・
北・中・南信の4ブロック制が望ましいと考えています。また、
北信ブロックで広域化する場合には、事務委託方式とすることが
妥当だと考えています。
協議をしている北信ブロックでの結論は出ていませんが、ご支
援とご理解をお願いしました。
私から説明させていただいた事項は以上です。このほか、県議会
議員の皆さんには、その他の課題として次の7項目についても資料
でお示しさせていただきました。
(1)長野以北並行在来線問題について
(2)市町村合併に対する県の姿勢について
(3)長野県森林づくり県民税について
(4)中山間地域活性化のための取り組みについて
(5)東外環状線の4車線化および五輪大橋の無料化について
(6)県道塩崎バイパス全線の早期供用開始について
(7)県営水道の市町への移管について
懇談会では、議員さんから積極的なご意見なども頂けましたので、
ご説明した課題については、おおむねご理解いただけたものと感じ
ています。今後も、必要に応じて機会をとらえ、本市の考え方、現
場の声を県政に伝えていきたいと考えています。
2010年10月7日木曜日
阿部新知事との懇談
8月の県知事選で、私は腰原前副知事を推していましたので、面
白おかしくツーショットにしたかったのでしょう、大変多くのマス
コミが取材に来ていました。
でも、選挙が終わればノーサイド。知事と話し合いをする必要は
常にあるわけで、マスコミに面白おかしく取り上げていただくよう
なことは、基本的に無いと思っています。
阿部知事も、当然のこととして県民の確かな暮らしと県民主権の
県政実現のためにご尽力いただけるものと、私は思っています。そ
れが故に、本市が抱える諸課題、とりわけ、県政に対する本市の要
望について、知事さんにご理解いただかなくてはならないと考え、
このたびの懇談になったわけです。
懇談では、長野市としての県政に対する要望10項目を要望書に
まとめてお渡ししました。懇談時間が限られていましたので、実際
に説明させていただいたのは、重点的な要望事項である以下の二つ
です。
(1)長野県短期大学の4年制大学への移行について
県では、「長野県短期大学の将来構想に関する検討委員会」を設
置して検討を始めていただいていることですが、地域での人材育成、
若者の県外流出の防止などの観点から、長野県短期大学の4年制化
を実現していただきたいと考えています。
県内高校出身者の県外大学への流出率が80%を超える状況の中
で、若者の減少による地域のにぎわいの低下、人材流出による企業
の進出環境や雇用への影響、税収の減少が懸念されています。公立
短期大学が急速に減少している時代の流れの中で、長野県短期大学
が衰退してしまうことによる社会的損失は計り知れません。
また、単に4年制化するだけではなく、県民が真に望む学部も設
置していただきたいと考えています。
(2)市街地再開発事業に対する県費補助金の確保について
疲弊した中心市街地の再生を図る手法の一つとして、市街地再開
発事業は大変有効です。この事業の実施に当たっては、事業者負担
を軽減するための補助制度があり、補助対象事業費の3分の2を国
と地方で半分ずつ補助することになっています。
ただ、地方補助分の県と市町村の負担割合についてですが、近県
では5対5の均等なのに対し、長野県では県3割、市町村7割なの
です。この制度では、地方補助分と同額しか国が補助しないことに
なっていますので、県内市町村は、事業者負担を増やさないように
するために多額の負担に耐えているのが現状です。
さらに昨年は、県費補助金を削減する動きもありました。最終的
には、現行どおりの補助金を確保していただくことができましたが、
民間活力を活用し、市民と協働によるまちづくりを進めるには、今
後も国・県・市が一体となって市街地再開発事業へ支援をしていく
ことが必要だと考えています。これからも、県費補助金を確保して
いただけるようお願いしました。
以上二つが、重点的に要望させていただいた項目です。
なお、浅川ダムについてですが、長い間、民主的に議論を積み重
ねた結果として、この問題の結論はすでに出ています。つまり、長
野市とすれば、もう要望すべき課題ではなく、解決したテーマだと
考えていることから、今回の要望には入っていないことを口頭で申
し上げました。
また、知事さんの主たる主張である「信州型事業仕分け」につい
ては、まだ「何を」「誰が」仕分けするのか不明でしたので、私か
ら触れることはしませんでした。
知事さんからの話としては、(1)についてはよく検討する、と
いうことでした。(2)については前向きなお答えを頂いたと感じ
ています。いずれにしても、阿部知事と意見交換できたことは、良
かったと思っています。
なお、そのほか要望書にまとめた項目は、以下のとおりです。
(3)地域公共交通への支援の充実について
(4)長野地域職業訓練センターの今後の運営について
(5)上水内北部広域営農団地農道豊野幹線の建設促進について
(6)災害に強い県管理の砂防・河川施設の整備促進について
(7)長野駅周辺第二土地区画整理事業の促進について
(8)文化財の保護・保存に要する費用に対する支援の拡充につい
て
(9)冬季競技国際大会、全国大会などの誘致・開催に伴う県の財
政支援について
(10)市町村の消防の広域化について
以上の10項目については、9月27日に開催した長野市選出の
県議会議員さんとの懇談会でも長野市の懸案・課題事項としてご説
明させていただきました。詳しくは、来週のメルマガでお話しさせ
ていただきます。
2010年9月30日木曜日
暑かった9月、終わりました
9月は暑かったですねえ・・・“残暑厳しき折”というのが枕こ
とばなのでしょうが、残暑というより真夏みたいな感じでした。と
ころが、下旬になって急に涼しくなり、時には肌寒くすら感じる日
が続いています。おかしな気候ですよね。
6月から始まった市役所の夏の軽装、いわゆるクールビズですが、
4カ月を経過して今日で終了です。この期間、私は、“このスタイ
ルが制服”というつもりで徹底的にクールビズを貫き通してきまし
た。その点、失礼があったかもしれません。お許しください。
明日からは、ネクタイに背広。従来のスタイルに戻るのは、まだ
まだ苦痛ですが、仕方ないですね。
環境問題は、現在、わが国では景気回復と並んで最大のテーマで
す。クールビズの取り組みは小さなことかもしれませんが、多少の
暑さは我慢して、空調を調整して室内温度をあまり下げないように
する・・・本当は、ウォームビズの方が温室効果ガス削減には効果
があるのだそうですが、当然、クールビズだって効果があります。
5年前、平成17年度に長野市内で排出された温室効果ガスは、
234万7,532トンだそうです。昨年末にまとめた「長野市地
球温暖化対策地域推進計画-低炭素社会アクションプラン-」では、
市内の温室効果ガス排出量を、これから10年後の平成32年度ま
でに平成17年度の排出量に比べて15%以上、40年後の平成
62年度までに同じく60%以上削減することを目標にしています。
つまり、あと10年で市内の温室効果ガスの排出量を約35万ト
ン以上減らして199万5千トン以下に、40年後には約140万
トン以上減らして94万トン以下にするということです。
何か雲をつかむような話で実感がわいてきませんが、例えばご家
庭で4キロワットの太陽光発電システムを設置すると、平均的な家
庭の全電力量を賄うことができ、温室効果ガスを約2トン減らすこ
とができるそうです。目標値どおり、温室効果ガスを35万トン削
減するためには、単純計算で17万5千軒のご家庭に太陽光発電シ
ステムを設置していただく必要があります。ただ、この17万5千
軒という数は、市内全世帯にシステムを設置していただいてもまだ
足りない、そういう数字です。
「地域推進計画」では、太陽光発電を一戸建て住宅の15%に設
置して2万8千トンを削減、木質ペレット(注)を燃料にするペレ
ットストーブを一戸建て住宅の10%に設置して1万7千トン、次
世代省エネ基準の住宅が20%普及して1万7千トン、そのほか省
エネ家電・高効率給湯器、電気自動車やハイブリッド自動車、自家
用車通勤の半減、自転車通勤の普及・・・これらを積み上げて、目
標値を達成したいと考えていますが、簡単ではありません。
この目標の達成に向け、長野市では、さまざまな取り組みを始め
ています。ごく一部だけですが、ご紹介します。
9月3日、7月から公募していた「長野市地球温暖化防止活動推
進センター」事業を行う法人を、社団法人長野県環境保全協会に指
定しました。このセンターは、「地域推進計画」にまとめた66施
策を効果的に推進するために開設するものです。10月上旬から
TOiGO(トイーゴ)の向かい側、新田町交差点の角にある長野
県環境保全協会が「長野市地球温暖化防止活動推進センター」とし
ての活動を開始することになります。
センターでは、地球温暖化対策の重要性の啓発や広報活動、市民
の皆さんの温暖化対策の実態調査、温暖化対策の相談窓口開設など
の活動を行うことになっています。
今回、センターに指定させていただいた長野県環境保全協会は、
以前からさまざまな環境保全活動を行っている実績がありますから、
市民・事業者の温暖化対策に対する行動を、効果的、積極的に促し
ていただけるものと期待しているところです。
「ながの環境パートナーシップ会議」の皆さんも頑張っています。
この組織は、市民、事業者、行政が連携して「長野市環境基本計画」
を推進していくために、平成13年に設立されました。
さまざまな環境問題が私たちの日常生活や事業活動に起因してい
る以上、持続的発展が可能な環境に優しい社会にしていくためには、
従来の意識やライフスタイル、社会システムを変えていく必要があ
ります。つまり、環境問題を解決するためには、市民、事業者、行
政の三者が連携共同して活動していくことが必要だということです。
ながの環境パートナーシップ会議は、そのための組織として、三者
が参加して運営されています。
この「会議」では、環境基本計画の具体的な実行プログラムとし
て策定した「アジェンダ21ながの」に基づいて活動しており、水
環境保全プロジェクト、生ごみの削減・再利用システムの構築プロ
ジェクト、太陽エネルギー普及促進プロジェクト、市民の森づくり
プロジェクトなど、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。
また、この「会議」からは、建て替える市役所第一庁舎に「なが
の環境総合センター」を設置してはどうか、といったご提案も頂い
たところです。
「地域推進計画」では、二酸化炭素の排出の少ない「エコカー」
の普及も促進することにしています。その一環として、9月1日、
市役所でも「電気自動車」を導入しました。電気自動車は、二酸化
炭素を一切排出しないため、今後の地球温暖化対策の有効な手段と
して大いに期待しています。
家庭に起因する温室効果ガスのうち、自動車からの排出量は23
%を占めているそうです。電気自動車への転換は、地球温暖化対策
の大きな力となることは言うまでもありません。
ただ、充電スタンドの設置や価格などの課題もあり、電気自動車
が広く普及するには、まだまだ時間がかかると考えられます。今回
は、行政として先導的な役割を果たそうということで、導入したも
のです。
導入した電気自動車は、長野市清掃センターへ配置しました。清
掃センターには、ごみの焼却熱を利用して発電する設備のほか、太
陽光発電システムも設置しています。この車は、これらで発電した
電力を利用して充電し、走行性能の検証を兼ねて不法投棄パトロー
ルなどに使用しているほか、市民向けの啓発活動にも活用する予定
です。この車が、長野市の地球温暖化対策のシンボルの一つとなる
ことを期待しています。
なお、車体に描かれているシンボルマークは、公募作品98点の
中から選定したものです。このマークは、今後導入していく電気自
動車にも使用していくほか、啓発資料などにも積極的に活用してい
きたいと考えています。
このほかにも、いろいろな地球温暖化対策を進めなければなりま
せんが、費用対効果から、現時点で比較的有効だと考えられるのは、
太陽光発電を利用することや、バイオマスエネルギーを使うペレッ
トストーブ・ペレットボイラーなどを使用することです。これらの
利用が増加すると、その分、電力や化石エネルギーの使用を減らす
ことができ、温室効果ガスの排出削減につながります。ぜひ、皆さ
んのご家庭でもご検討ください。
これからも、地球温暖化対策地域推進計画を着実に推進し、市内
の温室効果ガス排出をできる限り抑えていきたいと考えています。
(注)木質ペレット・・・木材を粉砕し、圧力をかけて成型した燃
料。
2010年9月23日木曜日
史跡松代城跡附新御殿跡(真田邸)が公開されました
9月18日、文化庁の本中眞主任文化財調査官、真田家14代当
主の真田幸俊さんをはじめ、多くの方々にご臨席いただき、史跡松
代城跡附新御殿跡(まつしろじょうあと つけたり しんごてんあ
と)の新御殿跡(真田邸)の公開記念式典を開催しました。地元松
代の皆さんには、工事などでご迷惑をお掛けしたことをおわびしな
がら、ようやく待望の「真田邸」公開再開の日を迎えたことを報告
し、共に喜び合いました。
真田邸は、江戸末期の元治元(1864)年に建てられました。
明治元年の4年前のことです。その後、146年という時間の経過
により著しく傷みが進行していたことから、平成14年度に整備基
本計画を策定。発掘調査を経て、文化庁のご指導を頂きながら、平
成15年度から保存整備事業を実施してきました。
敷地内にある「役人詰所」の解体修理工事など、一部の工事がま
だ残っているため、整備事業自体は来年度末まで続きますが、この
たび、御殿(主屋)部分と庭園の大部分の修理が完了したことから、
一般公開できるようになったものです。
真田邸は、幕末期のいわゆる「御殿建築」で、敷地内には、主屋
や庭園、また表門や土蔵といった付属建物が一体のものとして残っ
ています。御殿建築自体が全国に数少ない上に、主屋だけでなく、
庭園や付属する建物などが全体として残っており、真田邸は、非常
に貴重な存在なのだそうです。昨今の歴史ブームが続く中、県内外
からも多くの方にお越しいただけるものと思っています。
また、今回の事業では、真田邸を各種の講座会場などとしてもご
利用いただけるように、主屋の中と土蔵の一部に貸し出しスペース
を設けました。単に「見る」ための文化財でなく、「活用する」た
めの文化財として、地元の皆さんをはじめ、多くの皆さんに有効に
活用していただきながら、より一層のにぎわいを創出していただけ
れば幸いです。
より多くの人に訪れていただける、そんな魅力的なまち「信州松
代」を、これからも皆さんとともに作り上げ、全国に向けて発信し
ていきたいと思っています。
ついては、主要な「観光拠点」の一つとして、大勢の来訪が予想
されるこの真田邸を、皆さんのお力を頂きながら、ますます盛り立
てていきたいと考えています。真田邸を含めた松代の多くの文化財
が、今後も一層、地域の皆さんをはじめとする長野市民に親しまれ、
松代のまちが一層発展するよう頑張りましょう。
そういえば、私の市長就任からしばらくして松代を訪問したとき、
“「長野市松代」というより「信州松代」の方が、なんとなくふさ
わしい感じがするのですが、いかがですか・・・”と言う意味のあ
いさつをしたことを思い出しました。
長野市は多様性に富んだまちです。善光寺、松代、飯綱高原、戸
隠、鬼無里・・・合併した地区も含めて、さまざまな魅力を持って
います。「長野市」という名称は全体的な冠で、それぞれの地区が
その特徴を生かして情報を発信していくことが良いのではないか・
・・私はそんなことを感じています。松代の皆さんもそのことに賛
同して「信州松代」をロゴマークにしておられると思っているので
すが・・・。
また、皆さんご存じのとおり、今年は「2010松代イヤー」で
あり、松代のまちの中では年間を通していろいろな企画が用意され
ています。数が多く、とても全部は紹介しきれませんが、これまで
に開催されたイベントを少しご紹介しましょう。
詳しくは、松代イヤー実行委員会のホームページなどをご覧くだ
さい。
4月 東条あんずまつり、松代城春まつり、松代城本丸桜ライトア
ップ、信州松代ウオーキング、浪漫人力車体験、西条のしだ
れ桜めぐり、古城跡めぐり奇妙山コーストレッキング、童謡
の歌碑巡り
5月 祝(ほうり)神社御柱祭、押し花体験教室、皆神山ピラミッ
ド祭、松代藩文武学校旗争奪中学校選抜剣道大会・同学校杯
争奪小学生選抜剣道大会、松代武家屋敷お庭拝見
6月 旧樋口家一般開放、松代藩文武学校弓術大会
7月 あんずの収穫・加工体験、真夏の太鼓競演
8月 長いもDE(で)おやつレシピコンテスト、お姫様の生活を
体験、わくわく体験倶楽部
以上が、春・夏のイベントの一部ですが、9月になり、すでに秋
バージョンに入っています。ある意味、今年の松代イヤーのハイラ
イトの季節を迎えたと思っています。
秋には、松代藩真田十万石まつり(10月9日、10日)をはじ
めとして、松代の至る所で多くのイベントが企画されていますので、
皆さんにも楽しんでいただきたいものです。私も、馬に乗った姿を
皆さんにご披露できるかどうか・・・頑張ります。
このような記念の年に、真田邸の新しい姿を皆さんにご覧いただ
けるのは、本当に喜ばしいことです。
文武学校、松代城跡、旧横田家住宅、旧白井家表門、山寺常山邸、
旧樋口家住宅、旧前島家住宅、そして真田邸・・・これまで松代で
多くの保存整備事業を行ってきました。しかし、そのほかにも整備
しなくてはならない、保存しなくてはならない文化財は、まだ山ほ
どあります(例えば、象山ゆかりの旧松代藩鐘楼など)。そのほか、
松代に数多くあるお寺や町屋のことまで考えれば、あと100年は
かかりそうです。それまで私たちは生きているわけはありませんが
・・・今の流れを引き継いで行っていただければうれしいですね。
真田邸の保存整備事業が完了すると、長野市が松代の歴史ある古
い町並みを生かし、文化と歴史の香りが高いまちにしようと努力し
てきたことが一区切り。今、花開かん、としていると感じています。
まだまだこれからも、文化財の修復は続くと思いますが・・・こ
れからは、少しお金を回収させていただきたい。すなわち、さらに
多くの人に来ていただいて、入場料を払っていただければありがた
い、そして、もっと松代のまちで食べたり飲んだり、買い物もして
いただき、お金を落としていただけたらありがたいと感じています。
そうなれば、松代のまちの整備について、もう少し予算が付けら
れるようになるはずです。
松代イヤー公式ページ: http://www.matsushiro-year.jp/
2010年9月16日木曜日
信州新町地区での移動市長室
8月23日、みどりの移動市長室として、信州新町を中心に活動
している特定非営利活動法人「ふるさと」の皆さんと懇談させてい
ただきました。
「ふるさと」は、指定管理者として長野市信州新町水防会館の管
理を行っています。そして、この会館をベースにして、ユニークな
事業に取り組んでいるということで、今回、訪問させていただくこ
とになりました。
「ふるさと」の正会員は、13人。衣料品店を経営しておられる
理事長の黒岩さんをはじめ、全員、信州新町の商店主の方々です。
以下は、皆さんからお聴きした話をまとめたものです。
主な活動内容(予定を含む)
(1)地域に根付いた「手づくりの冠婚葬祭」
(2)信州新町水防会館の指定管理
(3)お年寄りの生活支援(宅配事業)
活動の詳細
(1)手づくりの冠婚葬祭
かつては葬儀といえば、地元のお寺や自宅で行われていました。
しかし、高齢化や生活様式の変化、式を取り仕切る年長者がいなく
なってしまったことなどから、信州新町地区でも長野市街地の葬祭
センターなどで行うことが多くなってきていたそうです。
地元で葬儀が行われていたころには、仕出しや引き物、生花など
の需要がありましたが、地区外での葬儀となれば、それらも地区外
へ流出してしまいます。結果的には、信州新町地区の商店街の衰退
や、コミュニティーの弱体化につながっていったようです。
このような状況の中、信州新町の商店街の店主(若だんな)が立
ち上がり、「ふるさと」を設立。地域に伝わる文化やしきたりを大
切にした「手づくりの葬儀」を請け負うことにより、地域経済やコ
ミュニティーの活性化を目指すことになりました。
商店主の皆さんが葬儀を取り仕切るわけですが、メンバー13人
のうち9人が「葬祭ディレクター2級(厚生労働省認定)」の資格
を取得しているそうで、専門的なノウハウに基づいた運営をしてい
ます。
地域の人が亡くなり、「ふるさと」に葬儀の依頼が入ると、メン
バーは各自の仕事を中断して、その日から通夜、葬儀の準備に着手。
水防会館で葬儀を行う場合、1階の会議室を式場、2階の大会議室
をお斎(とき)の席にするそうです。祭壇の組み立てなどの会場準
備に始まり、会葬御礼の印刷、料理の手配に至るまで、各自がてき
ぱきと役割を果たし、あっという間に準備が整ってしまうそうです。
年間の葬儀請負件数は50~60件。お斎の料理から香典返しの
商品に至るまで、品物はすべて地元商店街から仕入れています。
ちなみに、平成21年度の売上げは、なんと1億1,300万円
余り、地元商店街からの仕入れは約8,000万円。これだけの消
費を地元につなぎとめ、あるいは取り戻し、地元経済の活性化に結
び付けているのです。
また、「顔見知り」の関係を生かして、生前、故人が好きだった
料理をお斎に出したり、地域のしきたりを継承したりすることも心
掛けているそうです。
地域の人にとっても、葬祭費用が安い上、自宅に近い場所で行え
るというメリットがあります。「ふるさと」の皆さんが活動するよ
うになってから、葬儀の参列者も増えたそうです。
このほか「ふるさと」は、結婚式を請け負ったことも4回ありま
す。葬儀同様、手づくりで親しみやすいと好評だったようです。
(2)信州新町水防会館の指定管理
信州新町水防会館は、平成6年に信州新町が設置した施設で、会
議室などを有料で貸し出しています。長野市との合併前、「ふるさ
と」が信州新町から管理者として指定を受け、この施設の管理を行
うことになりました。本年1月の合併後も長野市がこれを引き継い
でいますので、現在も「ふるさと」がこの施設を管理しています。
管理期間・・・平成21年4月1日~平成24年3月31日(3
カ年)
(3)お年寄りの生活支援(宅配事業)
お年寄りの二人世帯、独り暮らし世帯を主な対象に、弁当や生活
物品を地元商店街で購入して宅配する事業で、活動開始に向けて準
備を進めているそうです。配達の際に言葉を交わすことで、安否や
健康状態の確認も併せて行い、離れて暮らす家族に、近況報告する
ことまで計画しています。
また、配達員として、地域の元気なお年寄りや主婦の皆さんにお
願いすることも考えており、雇用創出効果もありそうです。
この活動を始めるに当たっては、ながのまちづくり活動支援事業
補助金49万7,000円を見事に獲得。この補助金を活用して、
まずは、10軒を目標にスタートし、年度末までに30軒の受注を
目指しているそうです。今後は、補助金に頼らずに実施できるよう
にし、活動範囲も大岡、信更、七二会など、周辺地区へも広げてい
きたいと張り切っています。
以上が、現地でお聴きした活動内容の概略ですが、若干、私の感
想を申し上げさせていただきます。
(1)信州新町の商店街は、とても頑張っていると感じました。理
事長さんに言わせると、“店が無くなったら街が終わってしま
う”、だから頑張っているのだそうです。
(2)このような事業ができるのは、長野市街地からの距離感が適
当なのだろうと思います。そして、信州新町地区は、自立心が
旺盛だと感じました。長野市の“西の都”に位置付けられてい
くのではないでしょうか。
(3)「ふるさと」の構成員の皆さん全員が熱心で、全員が商店主
と葬儀社という二枚看板をこなし、お客の信頼を得ているよう
です。まさに“顔の見える”商売に徹しています。1億円を超
える売り上げを達成しているのは、メンバーの団結力、そして、
リーダーの力なのでしょう。
昨年度、無作為抽出した市民5,000人を対象に実施した市の
「まちづくりアンケート」で、近所付き合いの程度について調査し
たところ、「何か困ったときに助け合う親しい人がいる」と答えた
人の割合は21.5%でした。平成15年度に行った同調査の回答
結果は30.0%であり、8.5ポイントの減となっています。
同様に、独り暮らしや寝たきりの高齢者世帯への支援について、
「できる範囲で援助したい」と答えた人の割合は、平成15年度調
査の43.5%から今回35.2%と、8.3ポイント減少してい
ます。
「コミュニティーの希薄化」が指摘されている昨今ですが、この
結果は、そのことを裏付けているようです。そのような状況の中で、
「ふるさと」の皆さんが取り組んでいる「手づくりの冠婚葬祭」や、
準備中の「お年寄りの生活支援」事業は、大変意義深いものと感じ
ており、心から敬意を表します。
本年4月、各地区の住民自治協議会による活動が本格的に稼動し
ました。
これにより、長野市の住民自治は新たなステージに入ったと考え
ており、各地区の特色を生かした地域づくりが、今後さらに進むも
のと期待しているところです。今後も「ふるさと」の皆さんが「も
うける」「新しい事業を興す」という視点を持ち、信州新町地区住
民自治協議会とともに、地域経済の活性化とコミュニティーの再生
に向けて活動を継続していっていただきたいと思っています。
また、このような視点を持つ活動が他の地区で増えてくることも
期待しています。
2010年9月9日木曜日
長野市民会館の建設地について
長野市民会館は、昭和36年に開館してから約50年が経過しま
した。そのため、老朽化に加え、施設の造りや設備面などで、観客・
主催者の双方にとって使いにくいものになっています。
市では、平成19年から長野市民会館の在り方について検討を始
め、「長野市役所第一庁舎及び長野市民会館の在り方懇話会」、
「長野市民会館建設検討委員会」を組織して、有識者や公募委員の
皆さんにも検討をお願いしてきました。
そして、本年2月に策定した市民会館基本構想では、質の高い文
化芸術拠点として建て替えることを決定したところです。この基本
構想では、新しい市民会館の基本理念を「人と環境にやさしい文化
芸術創造のステージ」とし、長野市の文化芸術の核(コア)となる
拠点施設にしたいと考えています。
基本理念を実現するためのコンセプトとして掲げているのは、以
下の5つです。
(1)「文化芸術との出会いの場」として、質の高い音楽や演劇に
対応でき、また、市民が気軽に芸術と触れ合える場所
(2)「子どもたちの文化芸術の育成の場」として、次世代を担う
子どもたちが一流の芸術に触れ、また、自分たちもそこで演技・
発表できる場所
(3)「長野を象徴する文化芸術拠点」として、長野の市民文化や
まちの魅力を創造・発信していく場所
(4)「市民が集う、にぎわい交流拠点」として、練習室やギャラ
リーなどを備え、常に市民が集まる場所、活用できる場所
(5)「環境建築拠点」として、温室効果ガスの排出やヒートアイ
ランド化を抑制するなど、環境にやさしい場所
これらの考え方を実現できるよう、芸術性が高い催事が開催可能
なホールや、催しがない日でも人々が集える練習室・リハーサル室・
ギャラリーなどを設置していきたいと考えています。
また、6月からは、公募でお集まりいただいた「長野市民会館市
民ワークショップ」の皆さんに、長野市にはどんな市民会館が必要
なのか、ということで、市民会館の機能や役割・運営など、さまざ
まな視点で検討を進めていただいています。
ただ、ここにきて当初の構想を一部変更することが必要になりま
した。7月8日のこのメルマガでもご報告させていただきましたが、
基本構想で予定していた権堂B-1地区の西街区に市民会館を建設
することが困難になったのです。
このことを受け、権堂B-1地区市街地再開発事業準備組合から
は、長野大通りを挟んだ向かい側に位置する東街区で再開発事業を
実施したい、との提案を頂きました。市としても、東街区に建設す
ることが可能かどうか検証を重ねた結果、基本構想に示す文化芸術
の拠点にふさわしい施設を建設することが十分可能であるとの結論
を得るに至り、このたび、「建設地を東街区」とする方針案を固め、
お示しさせていただいたところです。
なお、地権者の合意による再開発事業組合が設立できなかった場
合には、現在の市民会館がある場所を建設地とする方針に変わりは
ありません。
する中で、長野駅前、権堂B-1地区再開発事業予定地、現在地
(緑町)の3カ所に絞り、最終的に権堂B-1地区に建設すること
が一番良いということで、その方針を決めたものです。
権堂B-1地区がある権堂町は、善光寺のおひざ元に位置してお
り、古くから人と人との交流によってはぐくまれてきました。この
ような歴史を踏まえると、新たな文化交流拠点としてこの地域の再
生を図ることは、中心市街地全体、長野市全体にとっても必要なこ
とと考えています。
そして、第三地区の住民自治協議会会長さんおよび各区長さん、
長野商店会連合会など中心市街地の商店街の代表者の方々からも、
権堂B-1地区に建設される市民会館と連携・協力し、一丸となっ
て中心市街地活性化のためのまちづくりを進めていくとの意思表示
も頂いています。
一方、権堂町は歓楽街の顔も持っており、文化施設の建設場所と
してはいかがなものかといったご意見を頂いていることも事実です。
しかし、権堂は古くから長野のまちの中心地であり、公共交通の便
も大変良いという側面も持ち合わせています。市民会館を含む再開
発を契機として、今後、住民の皆さんとともに、将来に向けてまち
づくりを真剣に考えていきたいと考えています。
昭和30年代後半、東京オリンピック前後からモータリゼーショ
ンが進展し、郊外のロードサイドへの大型店の出店が増え始め、住
宅地もどんどん郊外に整備されるようになりました。その結果、中
心市街地はドーナツ化現象(注1)によって人口が減少し、商店も
減り、徐々に往時の力を失ってきてしまったのです。
そうなった一番の理由には、中心市街地は地価が高くてコストが
掛かること、そして、モータリゼーションの進展に見合う駐車場ス
ペースが十分に取れないために新しい施設、業態が生まれなかった
ことがあると言えるでしょう。
数年前、市内で、大型店の郊外出店計画が何件も申請されたこと
があります。
これらの申請をどうするか、長野市としては随分迷いましたが、
国が農地をこれ以上減らさないようにという方針だったこと、長野
市としても基本的には、これ以上のスプロール現象(注2)は望ま
しくないと考えたことから、大型店は郊外ではなく、既存の市街地
へ出店してほしいという決断をしました(長野オリンピック開催の
ため、競技施設が郊外に造られたことで、農地が大幅に失われてい
たことも事実です)。
これに対しては、地権者の皆さんを中心に随分しかられましたし、
経済界でも賛否両論があったようです。
この決断により、すぐに市街地の開発が進めば良いのですが、急
に方向転換を図ることはなかなか難しいようです。
そんな中でも市街地の再生は徐々に進展しています。時期は前後
しますが、もんぜんぷら座、TOiGO(トイーゴ)、長野駅前A
-3地区の再開発ビル「Nacs(ナックス)末広」の完成、そし
て市民会館建設・・・中心市街地の再生は、都市としての重要な顔
作りです。地価の下落などにより、コストを抑えることができる現
在は、中心市街地を再生する千載一遇のチャンスでもあるのです。
権堂B-1地区の再開発についてですが、関係権利者の方々もお
おむね事業にご理解いただいていると聞いていますので、市民会館
を含む事業の実現に支障はないと考えています。
私としては、本来、市民会館が持つ文化芸術を振興する機能に加
え、市民会館と商店街との相乗効果による市街地の活性化、善光寺
や長野駅前だけではない「まちの広がり」など、まちづくりの効果
にも期待しているところです。
今回の建設地の方針案に関する詳細は、「広報ながの」9月1日
号、または市ホームページをご覧ください。市民会館の建設地は、
この方針案についてお寄せいただいた市民の皆さんからのご意見の
ほか、建設検討委員会や市議会のご意見をお聴きした上で、決定し
たいと考えています。
長野市民会館建設地の方針案:
http://www.city.nagano.nagano.jp/pcp_portal/contents?CONTENTS_ID=21274
(注1)ドーナツ化現象・・・都心部の人口が減って周辺部の人口
が膨れ上がる現象。
(注2)スプロール現象・・・都市郊外に宅地が無秩序・無計画に
広がってゆく現象。
2010年9月2日木曜日
8月に完成した素晴らしい施設の紹介
8月7日、篠ノ井二ツ柳にある西部保育園の新園舎のしゅん工式
を行いました。
旧園舎は、昭和46年度の建設で、建物が老朽化していたこと、
また地域の保育需要が増えて手狭になってきたことから改築を行っ
たものです。新園舎は、平成20年度に地盤調査・実施設計を実施、
平成21年度に建設工事を行い、今年の3月に完成しました。その
後、仮設園舎を建てていた園庭の整備工事を行い、7月末に完成し
たことから、この日のしゅん工式となったものです。
新園舎は、敷地を有効に活用できる「コ」の字型とし、できる限
り自然光を取り入れるなど、子どもたちが安全で快適に、そして楽
しく過ごせる施設となるように配慮しました。
また、保育室や遊戯室、廊下などに木材を多く使うことで、木の
ぬくもりが感じられる優しい空間に仕上げています。中でも遊戯室
は、木に囲まれたログハウスのような楽しい雰囲気です。
そして、太陽光発電設備も設置しました。太陽光発電を取り入れ
ることで、温室効果ガスの削減を図るとともに、子どもたちの環境
学習にも活用できるようになっています。
昨今の社会情勢は、少子高齢化の進行、人口減少時代への移行な
ど、かつてない厳しさを見せていますが、今後も、保育需要に応じ
た保育園の規模と配置の適正化を図るとともに、公立保育園の民営
化を推進し、民間活力を活用したさらなる保育サービスの向上と保
育の充実に努めていきたいと思っています。
8月20日、長野駅前A-3地区第一種市街地再開発事業による
再開発ビル「Nacs(ナックス)末広」が完成して、しゅん工式
が行われました。
このA-3地区を含む長野駅前A地区については、長野市で最初
の再開発事業として、昭和49年に都市計画決定をしていました。
それから数えても36年ですが、実際に計画が持ち上がったころか
らすれば、40年を優に越す長い年月が経過しています。
都市計画決定後、社会経済状況も激変しましたし、関係権利者の
意向も揺れ動いたのでしょう。この長野駅前A地区の再開発事業は、
なかなか事業化に踏み出せませんでした。
しかし、冬季オリンピックを迎えるために、市の玄関口にふさわ
しい整備をしなければということで、A地区全体を3つの地区に分
割、すなわちA-1、A-2、A-3に分け、それぞれで再開発組
合を組織して事業が進められてきました。
平成9年には、A-2地区の商業・業務ビル「ウエストプラザ長
野」がオリンピックに辛うじて間に合い、続いて平成18年には、
A-1地区でマンションと商業施設の複合ビル「A-one City
(エーワンシティ)」が完成。そしてこのたび、ホテルと商業施設
からなるA-3地区の「Nacs末広」が完成したことにより、再
開発事業全体の完成を見ることができました。
ここに至るまでの間、資金面や権利者間の調整など、さまざまな
困難を乗り越えて事業を進めてこられた関係者のご努力に対しては、
心から敬意を表しています。
特に、「Nacs末広」を運営する株式会社末広町ビルディング
の水品社長さんのしゅん工式でのあいさつにもありましたが、私の
親友故青木恵太郎氏の努力には、本当に頭が下がる思いでした。ご
自分を無にして、ひたすら再開発事業の推進に全力を傾けられたこ
とを私は知っています。一昨年、完成を前にお亡くなりになってし
まったことが、本当に残念です。しゅん工式の会場で奥さんにお会
いしましたので、ビルの完成に対する心からの祝意とともに「残念」
ということを申し上げました。
青木さんが経営しておられたのは、「末広化粧品店」というお店
です。「Nacs末広」と名付けたのは、“末広町”という町名も
ありますが、水品社長さん方が青木さんの功績を残したいと思って
くださったのではないか・・・私は勝手にそう信じています。
完成した「Nacs末広」には、屋上緑化、太陽光発電、LED
照明などのエコビルにふさわしい設備や、多目的トイレ、授乳室が
設置されるなど、人と環境に優しい配慮がなされています。
また、既存の「ウエストプラザ長野」との一体感と回遊性を高め
るとともに、将来的に駅との連絡性が向上することも視野に入れ、
歩行者用デッキとエレベーターも設置されました。このように、長
野駅前として必要な都市機能の向上を図っていただいたことに対し
ても、感謝申し上げるところです。
この再開発事業は、中心市街地、特に善光寺表参道のにぎわいの
再生や長野駅前の環境整備にも重要な役割を果たすことから、長野
市としても国・県の補助を頂きながら支援をしてきました。併せて、
関連する公共施設として、歩道への融雪設備の設置、高速バス停留
所の移転整備も行っています。
このたびの「Nacs末広」の完成により、長野駅前A地区のハ
ード面の整備は完了しましたが、これは新しいまちづくりのスター
トにすぎないと感じています。整備された建物が、長野市の玄関口
の顔として市民の皆さんに愛され、街のにぎわい創出につながるこ
とを心から祈っています。
話はまた変わります。
8月30日、都市計画道路栗田安茂里線の工事が完了し、めでた
く開通式を迎えました。これもひとえに、地権者をはじめとした地
域の関係団体や地元の皆さんのご支援のたまものと、まずもって厚
くお礼申し上げます。
加えて、工事を安全に進めていただいた施工者の皆さん、この開
通式の準備をしていただいた開通式実行委員会や関係者の皆さんに
も感謝を申し上げなければいけません。
栗田安茂里線は、文字通り、栗田地区と安茂里地区を結んでおり、
東(あずま)通りを起点に、長野駅東口線、国道117号などと交
差して国道19号に至る、全長3,130メートル、幅員12~2
2メートルの市街地南部を東西に横断する主要幹線道路です。
この日、開通した区間は、東通りから芹田支所北側までの約37
0メートルで、平成9年度の事業着手以来、13年を費やして開通
の運びとなりました。
この地域には、ビッグハットなどのコンベンション施設や、芹田
小学校、信州大学工学部などの教育施設が立地しています。この道
路は、これらの施設の間を結ぶ地域の幹線道路としても、その役割
は重要です。また、近い将来、長野駅東口周辺の都市計画道路が開
通することで、この地域の渋滞緩和が進むとともに、生活道路の交
通環境がさらに向上することでしょう。
今後とも、都市機能を支える道路ネットワークの構築や身近な生
活道路の整備を推進し、安全で暮らしやすいまちづくりに取り組ん
でいきますので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。行政と
して一生懸命努力していきます。
2010年8月26日木曜日
新たなスポーツ基金について
長野オリンピック記念基金からの助成が平成21年度で終了した
ことは、以前も報告させていただきましたが、長野市ではこの基金
に替わる新たな基金の創設を考えています。今回は、このことにつ
いて書かせていただきます。
長野市では、第四次総合計画において、「スポーツを軸としたま
ちづくりの推進」を重点施策の一つに掲げ、オリンピックを契機に
得たスポーツに関する豊富な資源を生かし、国際大会や全国大会な
どのスポーツ大会を開催するとともに、市民が気軽にスポーツを楽
しめる環境づくりを推進しています。
中でも、オリンピック開催都市として、長野オリンピックの歴史
を後世に伝え、子どもたちに夢と希望を与えるためにも、また、エ
ムウェーブ・スパイラルの両施設がナショナルトレーニングセンタ
ー(NTC)に再指定されたことからも、両施設をはじめとするオ
リンピック施設を活用して、自他共に認める“ウインタースポーツ
の拠点”を目指したいと考えています。そのためには、新たな基金
の創設が必要だと思っています。
長野オリンピック記念基金は、オリンピック開催によって生じた
剰余金46億8,422万円を長野県の基金として積み立てて運営
されてきたもので、長野オリンピックを記念した事業の実施や冬季
スポーツ競技大会の開催への助成など、スポーツの振興に重要な役
割を果たしてきました。
この基金の運営に当たってきたのは、平成10年12月に設立さ
れた長野オリンピックムーブメント推進協会です。協会では、基金
から毎年4億円程度を補助金として受け、それを活用して長野市や
長野県内をはじめ、北海道や青森県で開催された競技大会などへ助
成してきました。
長野市関連では、おおむね毎年2億円程度の助成金を頂いてきま
した。これまでの主な活用実績としては、スピードスケートワール
ドカップや世界フィギュアスケート選手権など冬季スポーツを中心
とする競技大会開催のほか、長野オリンピック記念長野マラソン、
長野灯明まつり、オリンピックデーラン長野大会など、オリンピッ
クムーブメントの普及事業の実施、スパイラル・ビッグハットを使
用した選手強化育成事業などがあります。
しかし、長野オリンピック記念基金の残高が少なくなったことか
ら、平成21年度をもって基金からの助成事業は終了となってしま
いました。
一方、NTC指定により、アイスリンクの製氷費用や施設維持に
かかわる光熱水費、トレーニング機能にかかわる費用、選手強化に
かかわる人件費などが国から助成されることになります。しかしな
がら、施設維持費全額というわけにはいきません。長野市の負担も
かなりの金額になっています。
“ウインタースポーツの拠点”を目指すために、長野市が行って
きた主な取り組みは、大きく次の3点です。
(1)全国中学校スケート大会の10年間継続開催
平成19年度から10年間、全国中学校スケート大会を長野
市で開催することになっています。これにより、スケート競技
の普及と選手強化を図る予定です。
この大会は、現在、日本のトップアスリートとして活躍して
いる多くの選手が、中学生時代に出場して優勝した大会であり、
長野市内のジュニアの選手たちも、この大会への出場を目標に
してもらいたいと思っています。
そして、長野市出身の強い選手を生み出すこと、さらには、
大会中エムウェーブやビッグハットをお客さんでいっぱいにす
ることができれば、素晴らしいのですが・・・。
(2)国内外トップレベルの大会の計画的な誘致・開催
今後も国内外トップレベルの大会を計画的に誘致・開催して、
青少年が間近で観戦できるようにしたいと考えています。これ
により、冬季スポーツへの関心を高め、国際感覚を養い、豊か
な心をはぐくむ環境を提供するとともに、大会運営への積極的
な市民参加を目指し、スポーツボランティアの育成を図ってい
きます。
(3)世界レベルで戦えるアスリートの育成・強化
経験・実績のある指導者を市職員として採用し、エムウェー
ブスケートクラブや市立長野高校スピードスケート部の指導を
行っています。ジュニア期からそれぞれの段階に応じた的確な
トレーニングを実施することにより、将来的に世界レベルで戦
えるアスリートを育成・強化することを目指しています。
また、AC長野パルセイロのアイスホッケーチームの子ども
たちも頑張っています。
長野オリンピック記念基金からの助成が終了してからも、安定的
にこれらの取り組みを継続していくためには、どうしても新たな仕
組みが必要です。そこで、新たな基金として、「長野市冬季競技振
興基金」(愛称「ながの夢応援基金」)を創設することにしました。
この基金は、長野オリンピック記念基金の残余金からの配分金1
億4,000万円余を原資に、長野市からも5年分として3億円を
積み立て、さらに企業や個人の皆さんにも寄附金のご協力をお願い
して創設したいと考えています。
また、基金の目的や基金への協力を広くアピールするなど、この
基金を応援・サポートしていただくために、「ゆめ舞台応援プロジ
ェクト・ながの」を8月22日に立ち上げました。このプロジェク
トには、バンクーバーオリンピックスピードスケート競技のメダリ
ストである長島圭一郎さんや加藤条治さんなど、冬季競技の選手や
競技連盟の皆さんにも参加していただいています。
「ながの夢応援基金」の活用先として現在考えている具体的な取
り組みは、以下のとおりです。
(1)全日本スピードスケート距離別選手権大会、全国中学校スケ
ート大会、長野オリンピック記念長野マラソン大会など、市内
で開催される競技大会への助成
(2)冬季競技の選手育成・強化、指導者の育成・確保につながる
事業への助成
(3)長野灯明まつりやオリンピックデーラン長野大会など、長野
オリンピック記念イベントへの助成
「ながの夢応援基金」の創設により、長野オリンピック開催で開
いた世界への扉をさらに大きく開き、オリンピックレベルで活躍で
きる長野市出身選手を育成するとともに、冬季オリンピック開催都
市としての存在感を示していきたいと考えています。そして、オリ
ンピック開催都市として、さらに輝き続けるために、これからもオ
リンピック資産を大切にしていく決意です。
関係する条例や補正予算案などは、市議会9月定例会に提案する
ことにしており、現在準備を進めています。議決いただけましたら、
今後、企業や市民の皆さん、あるいは、長野市以外にお住まいで長
野を応援していただける方々にも、広く基金への協力をお願いして
いく予定です。その際は、ぜひともよろしくお願いします。
ところで、今シーズン、AC長野パルセイロが好調です。北信越
フットボールリーグ一部で、今季の優勝が事実上確定し、11月に
開催される全国地域リーグ決勝大会への切符をほぼ手中にしたので
す。また、全国社会人サッカー選手権大会北信越大会でも優勝し、
全国大会への出場権も確保しました。
次は、天皇杯へ続く長野県サッカー選手権大会の決勝で、宿敵、
松本山雅FCとの信州ダービーです。
現段階で、AC長野パルセイロへの支援については、この「なが
の夢応援基金」とは別だと考えています。理由は、長野オリンピッ
クと直接的な関係が無いからです。
ただ、12チームで戦う全国地域リーグ決勝大会を勝ち抜くと、
来年はJFL(日本フットボールリーグ)への昇格、そしてさらに
J2、J1への階段を目指していくことになるわけで、市民の皆さ
んの大きな応援が必要になります。行政としても、スタジアム整備
などで支援する必要がありそうです。そのときは、また考えましょ
う。
具体的な支援については、以前、周辺自治体のご協力を頂いて
「ホームタウンながの推進協議会」という組織を立ち上げています
ので、この組織の出番になりそうです。
何かと市民の皆さんの応援をお願いすることが多く恐縮ですが、
私も頑張ります。長野市の政策、「スポーツを軸としたまちづくり」
に向けて全力を挙げていきます。
2010年8月19日木曜日
県知事選挙が終わりました
36万票余を獲得して当選。2位の腰原愛正前副知事とは、約5,
000票差という、まれに見る大接戦でした。
選挙運動期間中のことですが、松本候補を応援するインターネッ
トのホームページを読んでいたところ、「残念ながら松本候補は勝
てそうもない。阿部候補に票を移そう」という意味の文章がありま
した。こうした動き、コメントは、真剣に戦っている候補に対して
も大変失礼なことです。
ましてや、これがどの程度効果があったかは分かりませんが、イ
ンターネット利用の選挙運動については、法整備を早くしないと、
真面目な候補ほど不利だなあと痛感しています(まあ、利用方法を
良く知らない面があることも、自覚しているのですが・・・)。
以下は、選挙前にメルマガに書こうと思って書きかけた“望まし
い知事像”に関する文章の一部です(結局、選挙前には書ききれま
せんでした)。
**********
まずは、市民の皆さんに、一人一人の生活が懸かっている県知事
選挙に関心を持っていただき、投票所に足を運んでいただきたいと
思っています。
次に、地方行政を進める上でパートナーとなる県知事像について、
私としての若干の所見を申し上げさせていただきますと・・・
よく「出たい人より、出したい人を」ということを言いますが、
さまざまな面で県政運営が難しい今日ほど、経験豊富で安定感のあ
る方が求められている時代はないように思うのです。
県政においては、村井知事のご努力により、あの混乱と不信の時
代から抜け出し、厳しい中にも明かりが見えつつあると言っていい
のでしょう。この流れを継続していただくことが長野県の将来にと
って、何よりも必要なことと考えています。
そして、市民の皆さんの暮らしに直結する、待ったなしの案件が
めじろ押しの中で、思い付きでない、現実的で確かな判断を下せる
知事の誕生を切に願っています。
そのための1つ目の要件は、行政経験が豊富なこと。残念ながら、
これから行政のことを勉強して・・・ということを許すだけのゆと
りはありません。
2つ目が、郷土・信州にしっかりと根を張り、長野県のことをよ
く理解していること。良い意味での信州人に期待したいのです。
3つ目が人柄。見た目の派手さではなく、県民の声にきちんと耳
を傾け、市町村長とスムーズな連携を図りながら県政を進められる
方が求められていると思っています。
現在のような、変革期と呼ばれ、閉塞感のある時代には、とかく、
これまでの流れを変えさえすれば、何か良いことが起こるだろうと
考えられがちですが、結果は失望と混乱のみということは、過去の
多くの事例が証明していることです。
繰り返しになりますが、村井県政が耕し、種付けした畑にきれい
な花が咲くように、新たに選ばれた知事さんには、これまでの流れ
を大切にしてほしいと思っています。
**********
投票日の翌日、阿部守一さんから市役所にいた私に電話がありま
した。「今後よろしく」ということでした。私も素直に祝意を表し
ました。
私は、アメリカの大統領選挙が選挙の理想だと思っています。選
挙はお祭り、陽気に騒いで、楽しむべきなのです。日本のように深
刻なものでなく、勝負がついた時、負けた人が勝った人に電話で祝
意を述べる(もしかすると反対かもしれません)、そんなことを聞
いたことがあります。
アメリカ大統領選挙をみならって、選挙が終ればノーサイド。市
民の皆さんのためになるよう、阿部新知事とは力を合わせていかな
くてはなりません。
4年前のことになりますが、私は、知事に就任されたばかりの村
井さんに、長野市として次のような提言を申し上げました。全部で
20項目ありますので、少し長くなります。
提言1 県と長野市との調整事項(緊急を要する課題)
(1)浅川治水対策と北陸新幹線用地買収問題の解決(確認書問題)
国、県、市の技術者レベルの論議と技術的検証が重要と考え
ています。政治家の好みの問題ではないし、市民の意見も出尽
くしていると思います。
(2)長野以北並行在来線問題
(1)とも絡む問題ですが、これも長野以北の新幹線建設に
当たって、県が沿線市町村と交わした約束があります。いずれ
にしても、並行在来線の経営のめどを付けることが重要で、そ
れにはJR東日本と話し合った上で、実現の可能性を検討し、
新潟県との話し合い、さらには篠ノ井-長野間の問題を解決す
ることが肝要だと思います。
(3)県立高校再編問題
地域ごとに賛成を得られた所は、新年度スタートで良いと思
いますが、反対の多い所は、急ぐ必要はないのではないでしょ
うか?長野市とすれば、長野南高校は人口増加地帯にあり、県
教委の説明も十分でない状況では、統合される理由が分かりま
せんし、納得できません。
提言2 県政運営の基本方針にかかわること
(1)廃棄物対策(一般廃棄物、産業廃棄物)について県の姿勢の
変更
一般廃棄物処理については、廃棄物処理法で市町村の責任で
行う事業であって、県はそれについて技術的援助をすると決め
られています。県で制定を検討している条例は、法の権限を越
える内容であり、市町村から要請があった場合のみ、その問題
について援助する、あるいは一緒に解決するという姿勢を堅持
すべきだと思います。県知事との事前協議を義務付ける必要は
ないはずです。
産業廃棄物等最終処分場の設置について、県は廃棄物処理事
業団を設置し事業を推進してきましたが、公的関与を見直し建
設中止としています。県はもっと積極的に推進すべきであると
考えます。
(2)市町村合併について県の姿勢の変更
合併については、県が指導力を発揮し、促進すべきです。国
が定めた指針にのっとり、新合併特例法に基づいた合併構想を
つくるべきです。また、県が約束した合併特例交付金の交付を
保障し、合併特例債の使い勝手も良くして、市町村のインフラ
整備に協力していただきたいと思います。
(3)県の審議会、検討委員会の委員について
「長野県調査委員会」など、特別な事案を検討する委員会に
関し、県外委員の選出や都内での開催の傾向が見られますが、
委員の主力は長野県内から選ぶべきではないでしょうか。まし
てや大部分が東京在住ということで、東京で委員会を開くとい
うことは好ましい話ではないし、コストが掛かり過ぎると思い
ます。
また、長野オリンピックは素晴らしい大会であり、有形無形
の財産を残しました。これまでマイナスイメージを持たせる行
動ばかり目立っていて県民益に反します。むしろ開催地として
良いイメージを有効活用するよう考えるべきです。
(4)県と市町村の間の対話復活
県と市町村の担当課同士が事務的に話し合うことが大切です
し、広域連合単位ぐらいで知事と市町村長がざっくばらんに意
見交換をする会合を開くことも有意義だと思います。
車座集会は、県は国と市町村の中間組織であることを考える
と、必ずしも適当ではないと思いますし、市町村が加わってい
ないことも問題があると思います。しかし、直接民主主義の流
れからすると、県施策の説明、あるいは反対意見を聴くことは
大切だとは思いますが、反対者の意見を聴くことは、実際には
なかなか難しいと思います。
(5)安全・安心の県土づくり
安全重視の県土づくりをお願いします。基本的には、長野県
の特殊性にかんがみ、土木事業(道路を含む)の充実を考える
べきだと思います。
(6)企業誘致施策の充実
平成13年に比べると、県内では事業所数や雇用が減ってい
ます。企業を育てるには時間がかかることから、雇用を増やし
ていくためには当面は企業誘致だと思います。長野県は人件費
が高いといった問題もありますが、県に企業立地のための制度
が少ないとか、対象業種や対象地域が限定されているといった
こともあるので、県にもぜひ企業誘致施策の充実を図っていた
だきたいと思います。
提言3 県政への事業提案(すぐにできることではないかもしれま
せんが、検討していただきたい事項)
(1)市町村の広域連合と県の現地機関等の統合
実現できたら県と市町村の協力体制の象徴になりますし、地
域住民に直結する行政サービスを一元的に提供する組織体制の
構築・行政組織の簡素化などが実現できるのではないでしょう
か。
ただし、この提案は長野広域連合内での検討はしていません。
現段階ではあくまで長野市の意見です。
(2)県立短期大学の4年制移行
長野市にある県立短大は長い歴史があります。そして過去、
卒業生を中心に、ぜひ4年制へ移行したいという願望が強く出
されていました。現在、短大は専門学校に押されてあまり元気
がないとも言われています。そして、“長野市に大学を”とい
うことは故夏目市長のころからの悲願であり、そのための準備
基金としてわずかですが、積み立てをしてきています。財政が
厳しい時期ではありますが、地方独立行政法人としてやるなら
可能性があるのではないでしょうか。長野のレベルアップのた
めに、長野の若年人口を増やすためにも、ぜひお願いしたい、
長野市としても協力させていただきます。
(3)公共交通機関の再生
高齢社会になって、移動手段を確保することが大切です。し
かし、市町村が、それぞれで取り組むことには限界があります。
市町村の垣根を越えていくためには、県の取り組みがぜひ必要
です。
提言4 その他諸課題について
30人規模学級の協力金について、コモンズ支援金について、
広域消防の在り方について、看護師養成学校について、長野県
勤労者福祉センターについて、長野養護学校について、県道改
良・県営中山間地域総合整備事業の進ちょくについて、長野県
青少年保護育成条例(仮称)の制定について
以上が、4年前に村井知事に申し上げたことの概略です。これら
の中には、すでに実現したり、方向が決まったりしたこともありま
すし、まだ課題として残っていることもありますが、復習の意味で
あらためて書き出してみました。ただ、4年間で事情が変わったこ
とも事実ですので、再度検討してみる必要もありそうです。
いずれにしても、長野市が抱えている課題について、新知事にも
ご理解いただきたいと考えています。
2010年8月12日木曜日
合併記念特別展
現在、信州新町美術館・化石博物館では、長野市・信州新町・中
条村合併記念の特別展として「横井弘三童心画展」と「化石特別巡
回展」を開催しています。少し前のことになりますが、7月24日
にそのオープニング式典を行いました。
式典ではまず、中条虫倉太鼓の皆さんに、勇壮な響きの素晴らし
い太鼓の演奏を披露していただきました。長野市にはたくさんの太
鼓グループがありますが、また一つ新しいグループが仲間入りした
ということでしょうか。
本年の1月1日に3市町村が合併し、はや7カ月。少しずつ旧市
町村の枠を越えた交流が進んできているように感じています。
信州新町と縁の深い横井弘三は、明治22年に飯田市で生まれ、
26歳の時に二科展で樗牛(ちょぎゅう)賞を受賞して華々しくデ
ビューした画家です。翌年には二科賞を受賞するなど“日本のアン
リ・ルソー”と言われて評判となったそうです。
その後、社会に作品が受け入れられないなど、苦難の時代もあっ
たようですが、晩年に信州新町に滞在した際に描いた作品30点が
当時の水内小学校に寄贈され、これらが現在の信州新町美術館に収
蔵されています。
そのほかにも、市内にはたくさんの作品が残されており、今回の
特別展は、公立の施設に寄贈された作品や資料など約100点を集
め、展示しているものです。塚田前長野市長さんも立派な作品をお
持ちになっており、今回、この特別展のためにお借りしました。
普段お目にかかることのない作品をご覧いただける貴重な機会で
す。どうぞごゆっくりご鑑賞ください。
次に、「化石特別巡回展」についてです。善光寺平西部の西山地
域一帯は、400万年から500万年前は海であったことが、地層
の調査などから分かっています。特に中条地区では、貴重な化石が
たくさん見つかっています。
例えば、昭和45年に裏沢(うらさわ)の沢筋で発見されたシン
シュウゾウの上顎(うわあご)化石は県内最古のゾウ化石だそうで
す。また、平成7年に同じ裏沢から発見されたセイウチの祖先の化
石も極めて貴重な物とのことです。
さらに、昨年8月には土尻川でダイカイギュウの肋骨(ろっこつ)
の化石が2本見つかり、県内最古のダイカイギュウ化石として話題
を呼びました。
そのほかにも、信州新町、鬼無里、戸隠、七二会など、各地区で
貴重な化石が多数産出しており、この巡回展を通して夢とロマンに
あふれた太古に戻ることができると感じています。
今回の展示でこれらの化石をご覧いただき、この地が海であった
こと、さまざまな海の生物がこの地を泳ぎ回っていたことなどに思
いをはせてみてください。そして、この地が形成されてきた歴史も
学んでいただきたいと思います。これらも、長野市の大きな財産で
す。
合併を契機として、西山地域は、昔から地層も風土もつながって
いたことがきっとご理解いただける、そんな展覧会になりそうです。
信州新町での展示は8月29日までですが、その後、9月から
12月にかけて、中条公民館、戸隠地質化石博物館、生涯学習セン
ター、市立博物館を巡回する予定です。
さらに、この期間中には地層観察バスツアーや講演会、シンポジ
ウム、ギャラリーツアーなど、盛りだくさんな内容を計画していま
す。大勢の市民の皆さんや県内外の皆さんに足を運んでいただき、
長野市が海だったことを実感していただきたいと思います。
画しており、11月3日から信州新町美術館と有島生馬記念館で行
うことにしています。
皆さんご存じだと思いますが、有島生馬は、兄が小説家の有島武
郎(たけお)、弟が同じく小説家の里見〓(とん)(注)という家
に育った洋画家・文学者です。信州新町には8回も来訪されており、
犀川のダム湖を琅鶴湖(ろうかくこ)と命名するなど、信州新町と
は深い縁があります。
こうしたことから、鎌倉にあった生馬の邸宅が取り壊されること
になった際、住民の寄付により、この地に移転改築されたのが有島
生馬記念館だそうです。「有島生馬展」では、生馬と関係の深かっ
た「一水会(いっすいかい)」の作家を中心に、知友作家(ちゆう
さっか)の作品の展示を予定しています。
また、生涯学習センターと市立博物館で行う巡回展では、生馬の
代表的な油彩画や家族の作品、生馬の遺品などを展示し、生馬が残
した偉大な業績を紹介する予定です。
この展覧会を通して有島生馬の人となりを紹介すると同時に、有
島生馬記念館の存在も全国にアピールしたいと思っています。こち
らもぜひ、ご覧ください。
最後に、皆さんに知っておいていただきたいことが一つあります。
実は、長野市は、市立美術館を持っていませんでした。ただ、市内
に美術館が無いわけではありません。公立では長野県信濃美術館・
東山魁夷館、そして民間には、北野美術館、水野美術館などなど、
立派な館があるのですが、「市立」美術館は無かったのです。北信
美術会などの文化芸術団体の皆さんからは、ぜひ市立美術館を造っ
てほしいとの陳情を頂いていましたが、なかなかその段階になりま
せんでした。
信州新町美術館は合併前、信州新町立でしたので、合併で長野市
立となったわけです。これにより、初めて「長野市立美術館」がで
きたことになります。みんなで盛り上げていただきたいと思ってい
ます。
今回の特別展開催の目的は、信州新町地区と中条地区の資源やお
宝を知っていただくことです。また、併せて地域間の交流や文化の
伝承などにも貢献できればありがたいと思っています。この特別展
をきっかけに、新たな交流の輪が広がることを期待し、特別展開催
にご協力いただいた皆さんに感謝し、この展覧会が盛会であること
を祈念して、私の報告とします。
(注)「とん」の漢字は、弓ヘンに享
2010年8月5日木曜日
UFO長野ものづくりサロン
州大学工学部の敷地内にある「UFO長野」(長野市ものづくり支
援センター)で盛大に開催されました。
出席されていたのは、各企業の経営者、研究者、大学の先生方の
ほか、長野のものづくりに向けて、“産・学”連携や“産・産”連
携の促進、そして地域の発展のためにご尽力いただいている皆さん
です。
長野市では、平成17年に「UFO長野」を設置して、信州大学
などの学術機関の知識を活用し、“産・学・行(官)”の連携・交
流を通じた地域企業の新技術・新製品の研究開発活動や、ベンチャ
ー企業の育成などを積極的に支援しています。
また、「UFO長野」という研究施設の提供による支援だけでな
く、資金面の支援として「ものづくり研究開発事業補助金」、「新
産業創出ワークショップ支援事業補助金」の制度も用意しています。
昨年度末までに、これらの補助制度で採択した事業は16件です。
この日は、昨年度に採択した補助事業4件の成果について、各企
業の皆さんから発表していただきました。
私は、専門家ではありませんが、分かりやすく、なかなか立派な
発表だったと思っています。中には、商品化に成功してすでに販売
を始めている製品もあるそうです。これらの発表が、来年度以降の
補助金活用の参考になればいいと思っていますし、“産・学・行”
連携の拡充や、応用分野への展開などに向けた企業活動の足掛かり
になることも期待しています。
このほか、新潟県の上越地域の異業種交流グループである「上越
技術研究会」の皆さんにも遠路はるばるご参加いただき、上越地域
の“産・学”連携の取り組みについて発表していただきました。
“産・学・行”連携による付加価値の高いものづくりが行われる
ことは、これからの地域産業の魅力と活力を引き出す上でとても重
要だと考えています。そして、ものづくりに性急に結果を求めるこ
とは難しく、ある意味、気長にやっていくことが必要だとも思って
います。効果が薄いという理由により、事業仕分けなどで事業を否
定することは、長い目で見れば発展の芽を摘んでしまうことになる
のでしょう。私はそんな思いを持っています。
長野市では、引き続き「UFO長野」を中心に“産・学・行”の
交流の輪を広げ、産業の発展を期待したいと思っています。
話は変わりますが、7月14日、東京ビッグサイト(東京国際展
示場)で開催された「企業誘致フェア2010」に参加してきまし
た。
景気のせいでしょうか、今年は参加企業、参加自治体共にかなり
減ったようです。しかし、私は、継続して長野市の魅力を宣伝して
いくことが大切だと考えていますので、昨年に続いて今年も出展し、
プレゼンテーションもさせていただきました。
私のプレゼンテーションの内容は、おおむね以下のとおりです。
(1)間もなく北陸新幹線が金沢まで延伸し、太平洋側と日本海側
をつなぐ素晴らしい交通環境が生まれること。
(2)自然環境、景色、文化、歴史、そしてスポーツ環境の素晴ら
しさもさることながら、清浄な空気、快適な生活環境があり、
災害も少ないこと。
(3)新たな産業用地と大変有利な助成制度などを用意して、企業
の皆さんをお待ちしていること。
(4)「UFO長野」を整備しており、大学・研究機関、他企業な
どとの連携が可能であること。
(3)について少し補足させていただきます。
長野市では、新たな産業用地として「川合新田産業用地」と「第
二東部工業団地」の2カ所の分譲を今年の5月から開始しています。
分譲に当たっては、分譲価格の30%を助成する制度や土地代金
の分割払いを可能にする制度、土地をリースする制度、固定資産税
相当額を3年間助成する制度、新たな雇用を行った際の助成制度な
ど、企業の皆さんに進出していただきやすくするためのさまざまな
支援制度も用意しました。
なお、第二東部工業団地には、新たな消防分署の設置を計画して
いますので、将来的には地域防災の拠点としての機能も加わる予定
です。
6月末までの一次募集では、2カ所の産業用地に8社から延べ2.
7ヘクタール(分譲予定地の約47%)の入居申し込みを頂きまし
た。
ただ、両用地とも、入居企業の要望に応じて区画を整備するオー
ダーメード方式を採っており、今後、造成工事を行う必要がありま
す。実際に、入居企業へ引き渡しできるのは、早い所で来年の10
月ごろになる予定です。
これまでには、このような景気の中で産業用地の分譲なんて本当
に大丈夫かと、ご心配いただいた向きもありました。しかし、現在
の状況を見る限り、順調にお申し込みを頂いていると言ってもいい
のでしょう。
ただ、まだ用地には余裕があることも事実です。8月中旬以降か
ら二次募集を行いますので、企業の皆さん、ぜひ、長野市での企業
立地をご検討ください。お申し込みをお待ちしています。
2010年7月29日木曜日
天下りの善しあし
官僚の天下りについては、かなり以前から議論が盛んです。また、
今年の4~5月には、国の事業仕分けも行われましたので、関連す
る記事を目にする機会も多くなったように思っています。
これまで私は「天下り禁止」なんて当たり前だと単純に考えてい
たのですが、詳細な調査記事などを読んだ結果、そう簡単な話では
ないことを痛感させられました。そして、細かく見れば見るほど、
日本社会に深く浸透しているシステムだということもよく分かって
きました。一首長の立場でうっかり口を出せるほど、簡単なことで
はないようです。
あくまでも報道を通じて知った範囲ですから、どこまで事実を反
映しているのかは分かりません。ただ、あまり正確でないとしても、
国民目線、市民目線に立った場合、どうしても納得できないことが
あると私は感じています。
高級官僚の方々には、多くの場合55歳前後で退官せざるを得な
い暗黙のルールがあるそうです(昇任競争があって、そういう方々
のモチベーションの維持を考えると無理もないのかもしれません)。
市町村などでは、60歳の定年まで勤め通すことがほとんどですか
ら、国でもそうなると良いのですが、国の現状を考えると、再就職
先が必要になるのは仕方ないことなのでしょう。
天下り先には大きく分けて、営利目的組織(企業)と非営利組織
(公益法人など)があるようです。
営利目的組織は、民間企業が主体でしょうが、民間企業がその人
の能力を買って採用するのですから、問題ないはずです。
ただ、談合に介在することや、コネを使って仕事を取ることは厳
禁すべきでしょう。入札がルール通りに行われていれば、あるいは
政治家の不当な口利きや介入さえなければ、それほど大きな問題は
ないと思います。官僚の方々の能力を民間企業が買っているのです
から、むしろ歓迎すべき状況です。
問題は、非営利組織への天下りとその報酬です。天下り先の組織
には、研究機関、大学、社団法人、財団法人、独立行政法人など、
いろいろあるようですが、根本的には、まずその組織が社会にとっ
て必要なものかどうかの検証が重要だと思っています。そして必要
な組織だと検証されたなら、優秀な人が天下ることは歓迎すべきこ
とです。
ただ、国の補助金や発注で成り立っているような組織では、天下
りの人の報酬額を厳密に監査する必要がありますし、退職金は廃止
すべきでしょう。
天下り先での報酬額は、本当にその職責や職務に見合ったものな
のでしょうか。60歳までの現役並みの報酬は理解できますが、そ
れ以降の高額報酬には疑問に感じます。ましてや著しく高額な退職
金や、退職金の二重・三重取りは許せないと思います。その組織に
は、当然ですがプロパー職員もいるわけで、その人たちの士気も大
切にしなくてはなりません。
いずれにしろ、退職後も、能力の高い方々が社会のために尽くす
ことは、重要なことだと思いますし、当然、社会のためになること
です。公務員にも優秀な人がたくさんいますから、有効に使わなく
ては国家の損失だと思います。もっと活躍の場をつくる必要がある
と感じています。
そこで、私は次のような提案をしたいのです。
一つは、退官した官僚を政策秘書として公費で国会議員全員に付
けたらどうか、ということです。新人議員が増えている状況で、優
秀な元国家公務員がお手伝いすれば、議員としての実力がはるかに
発揮しやすくなるのではないでしょうか。もちろん決定権は議員に
あります。公務員としての心構えがきちんとしていますから、不正
にはくみしないと思います。
もう一つは、地方自治体へ派遣するというのはどうでしょうか。
人材が不足している小さな自治体もあるようですから、国がある程
度の報酬を出すことにすれば、自治体は喜ぶのではないでしょうか。
国の統制を心配する人、政策や事業に精通した人をうっとうしく思
う人もいるでしょうが、それは首長・議会の能力と受容力の問題で
す。国の政策を理解してもらうためにも、有効な手段だと思います。
国家公務員の天下りは、全部が悪いわけではないと思います。
「小さな政府」をつくるためには、少数精鋭、適材適所の職員配置
の中での天下りは必要だと思います。一方、退職した優秀な人の経
験を生かすことは大切ですし、高いモチベーションを保てるような
仕組みも必要です。
60歳の定年でみんな引退してしまったら、もったいないだけで
なく、国家的な損失になる可能性もあります。年金支給が65歳か
らになったこともあり、次のステージを用意しなくては、生活に困
るということもあるでしょう。さらに、社会も天下りを必要として
いる面があると私は感じています。
ここまでは、随分前に書いていたのですが、7月21日付けの産
経新聞に曽野綾子さんの『「天下り」の活用』という文章が載って
いました。有名な方と同じ意見と申し上げるのは失礼ですが、まさ
に私の考えていることと同じなのです。少し長くなりますが、以下
に転載させていただきます。
**********
世論というものは同調する人が多いから世論になるのだろうが、
私はいわゆる官僚の「天下り」について少し別の感じを持っている。
官僚だって、再就職して老後の生活を成り立たせなければならな
い。
(中略)
「天下り」が悪いのは、それが法外な高給で遇されるからである。
原則として妻と自分の生活費が出せればいいのが老後だ。(中略)
まず貯金を減らさずに食べられて、月に数回女房に気兼ねせずに、
仲間と赤提灯(あかちょうちん)に行ける程度の金銭的自由が確保
されればいいはずである。
だから「天下り」はむしろうんと安い給与にして堂々と採ればい
いと思う。地位の名称としては「理事長」でも「会長」でもなんで
もいい。ただ外部調査があった時、はっきりと次のことが明確にな
ればいいのである。
退職金など一切なし。
給与の額は(今の感覚で言うと)30万円前後でよろし、である。
通勤用の専用の自動車などなし。年を取ったら歩いて通うほうが、
体と、何よりも精神的な訓練にいい。
(中略)
「天下り」をする人たちの中には、やはり長い経験による知識と
人脈の蓄積を持つ人が多いのだ。それを利用しない法はない。本当
に役に立つ人材が、払う金に見合う仕事をしてくれるなら、私企業
も歓迎するはずだ。
(中略)
「天下り」を一概に悪いとする論は、今後高齢化社会に向って、
誰もがもっと長く働かねばならなくなり、人材もとことん使わねば
ならなくなる「モッタイナイ」の大原則にも反する。もちろん霞が
関時代、恐ろしく権力的だった悪名高いトップが、堂々と国際機関
などに就職している話を聞くと、私のような甘い話は一笑に付され
るのだろうが、「退職金なしの低給与」の原則を維持すれば、半分
ボランティア精神で働いてもらって少しも悪くはない。それができ
ることこそ、エリートの証明なのである。
**********
以上、略した部分も含めて、曽野さんの意見、私はおおむね賛成
です。
違うのは、長野市では30万円も払えません。それと、給与は全
員一律ではなく、自己責任での判断が求められ、重い責任を負う役
職であれば、ある程度は高くても良いかなと感じています。
2010年7月22日木曜日
長野市の子育ち・子育て支援施策
少し前になりますが、長野市民会館で「長野市幼稚園・保育所職
員研修会」を開催しました。
幼稚園と保育園(所)の統合は、国でも前から言われていること
ですが、最近では両者を統合する形の「認定こども園」と呼ばれる
制度もできたことにより、かえって複雑になってしまいました。
幼稚園の根拠法は学校教育法で、必要な資格は「幼稚園教諭」、
保育園は児童福祉法で「保育士」というように、両者は基づく法律
や必要な資格が違います。ただ、実際に幼稚園や保育園を見学させ
ていただくと、基本的に子どもを育てるということでは同じではな
いか・・・と私には考えられるのです。
今後、本当の意味での統合に向けた検討が国で始まるようですが、
私は一足先に合同で研修会を行うことを主張し、それまでの保育園
職員に幼稚園職員を加えた研修会を平成18年度から開催してきま
した。
いずれにしても、就学前の子どもたちの保育と教育を充実させ、
すべての子育て世帯への支援を充実するためには、幼稚園・保育園、
公立・私立の連携が大変重要です。事業の推進に当たっては、今後
も一緒になって取り組んでいきたいと考えています。
就学後の施策の一つとして、平成20年度から長野市版放課後子
どもプランを無料で実施しています(ただし、おやつ代などの実費
負担があります)。
放課後子どもプランというのは、核家族化、共働き世帯の増加な
どを受け、希望する児童に安全・安心な放課後などの居場所を確保
するとともに、遊びや学びの場などを提供している事業です。有料
にすべきかどうか、市の負担も考えると判断が難しかったのですが、
昨年の市長選の時に市民の皆さんからの強い要望を受け、思い切っ
て無料のままとすることにしました。
この事業では、希望する全児童を受け入れるために、これまでの
児童館・児童センターに加えて、小学校の施設も活用しています。
そのため、事業の実施には、学校施設を使用することが必須条件と
なります。また、事業の運営には地域の皆さんのご協力が欠かせま
せん。
しかし、これらの事情は、小学校区によって異なることから、準
備が整った所から順次実施することにしており、これまでに開設で
きたのは、対象学年を限定しているところも含めて34校区です。
来年度以降は毎年10校区程度の開設を目指し、できるだけ早く全
56校区で全学年を対象に実施できるようにしたいと考えています。
国の補助事業として実施しており、本年度の予算額は約5億4,
480万円です。このうち施設運営人件費などが補助対象となり、
その3分の1を補助金として支出していただける予定です。
このほか、子育ち・子育て支援施策を講じるには、とても幅広い
取り組みが必要で、関係事業の本年度当初予算総額は113億22
0万円余りです。以下、一部ではありますが、長野市が実施してい
る施策を紹介させていただきます。
(1)おひさま広場
こども広場“じゃん・けん・ぽん”と“このゆびとまれ”、市
内14カ所の子育て支援センターだけでなく、身近な地域で子育
て支援を受けられるようにするために、本年度から拡大させた事
業です。
これまでは、公立保育園を中心に、一部の私立保育園・幼稚園
で園開放や育児相談などを行ってきましたが、本年度からは“お
ひさま広場”として市内すべての幼稚園・保育園で実施できるよ
うにしたいと考えています。まだ実施していない園もありますが、
今後さらに充実させていく予定ですので、お気軽にお近くの幼稚
園・保育園にお出掛けください。
本年度の予算額は約2,260万円で、全額市費で賄う予定で
す。
(2)はじめまして!赤ちゃん事業
生後3カ月までの乳児のいる世帯全戸を市の助産師・保健師が
訪問して、子育ての不安や悩みをお聴きし、相談に応じる事業で、
平成20年度から始めています。子育てに強い不安や孤立感を感
じる人には、継続的に相談に応じたり、訪問したりして、乳児の
健全な育成環境の確保を図っています。
本年度の予算額は約1,140万円で、出生数に応じて交付さ
れる国の交付金で賄う予定です。
(3)妊婦健診の公費助成の拡大
これまでも妊婦の定期健診費用の一部を公費で負担してきまし
たが、国(県)の補助制度を活用することで、平成21年度から
公費で負担する回数をこれまでの5回から14回に拡大しました。
さらに本年度からは、公費で負担する検査内容、超音波検査の
対象者・回数を拡大しています。
本年度の予算額は約3億8,080万円、うち約4分の1を補
助金として支出していただける予定です。
(4)乳幼児等の福祉医療費給付制度
この制度は、乳幼児等、障害児や障害者、母子・父子家庭の母
子・父子などを対象に、病院、薬局などで支払った保険診療費の
自己負担分の一部を市が給付する制度です。
この制度の対象のうち、これまで小学校就学前としていた乳幼
児を、今年の4月から小学校3年生まで拡大しています(入院の
み。通院も含めて拡大するのは10月診療分からです)。
県の補助事業として実施しており、本年度の予算額は約17億
7,750万円、市が独自に給付している対象分などを除き、給
付額の2分の1を補助金として支出していただける予定です。
(5)子ども手当
従来の児童手当に代わり、本年度から支給が始まりました。子
ども手当の対象者は、中学校修了前までの子どもを養育している
人で、所得に制限はなく、支給額は子ども1人当たり月額1万3,
000円です。
児童手当に比べて1人当たりの支給額が増えましたし、支給年
齢が中学生まで引き上げられ、対象者数も大きく増えましたので、
本年度の予算額は約81億1,480万円に膨らみました。この
額は、児童手当を支給していた昨年度の約3倍です。必要な費用
は国が支出することが基本ですが、県と市で約1割ずつ負担して
います。
来年度以降、この手当がどうなるかはまだ決まっていません。
今後、国会などで検討されることになっています。
(6)公立保育園の民営化
これは、施策というより方針ですが、市では、公立保育園を順
次民営化していきたいと考えています。長野市には現在88の保
育園があり、うち公立が46園で在園児が3,277人、私立は
42園(うち2園は休園中)で在園児が4,705人です。今後
も引き続き、すべての公立保育園を対象に、民営化の可能性を検
討していくことにしています。
いずれにしても、公立・私立どちらも国の保育指針や基準によ
って運営していますし、すべての保育園に対する指導・監督は市
の責務です。ご心配される向きがあるようですが、民営化によっ
て保育の質が低下するというようなことは一切ないことを付記し
ておきます。
子育ち・子育て支援施策には、「子ども手当」のように国の政策
に左右される事業もあり、難しいことが多いのも事実ですが、今後
とも積極的に事業を展開していきたいと考えています。
2010年7月15日木曜日
長野電鉄屋代線に乗ってみました
7月7日、千曲市の屋代駅から、長野電鉄屋代線の電車に乗って
きました。この日は、みどりの移動市長室で、若穂地区の住民自治
協議会を訪問し、屋代線の存続について意見交換することになって
いましたので、ぜひその前に乗っておきたかったのです。
屋代線の平成21年度の経常損益は、1億7,000万円の赤字。
加えてこれまでの累積赤字は50億円を超えているそうで、非常に
厳しい経営状況になっています。
大正11年に開通した屋代線は、長野電鉄の中で一番古い鉄道路
線です。もともとこの路線を敷設した目的は、須坂の繭・絹糸を国
鉄の駅へ輸送することだったとお聞きしています。最盛期の昭和
40年度には、年間330万人もの乗客があったそうです。
昭和30年代中ごろのことですが、私にとって屋代線(当時は河
東線)といえば、こんなことがありました。上野駅から信越線の列
車に乗って帰郷する際、間違えて私は湯田中行きの車両に乗ってし
まい、気が付いたら須坂の手前。慌てて降りて、須坂駅で長野行き
に乗り換えた・・・こんなことを思い出しました。
以前は、国鉄が屋代駅から長野電鉄へ乗り入れていたのです。そ
して、このころの車内は、かなりにぎやかだったと記憶しています。
そのピークから、毎年のように乗客が減り続け、昨年度は46万
人(ピーク時の約14%)にまで減少してしまいました。特にショ
ックなのは、昨年度は屋代線を何とか存続させたいという地域の皆
さんの努力がすでに始まっていましたから、増えないまでも一昨年
度に比べて同等の数字にはなると考えていたのですが、さらに1万
人減ってしまったことです。
本年度は、若穂地区の皆さんを中心にさらにいろいろなイベント
に取り組んでおられますから、乗客は増えると思っていますが、ど
んな数字になるか・・・期待しています。
7月に入って、屋代線の活性化・再生を目的に、国の法律に基づ
いて策定した「長野電鉄屋代線総合連携計画」および「活性化・再
生総合事業計画」による実証実験が始まりました。電車やバスによ
る増便、終発時間の繰り下げ、サイクルトレイン、割引回数券の発
行など、さまざまな事業を実施しています。
私もその実態を確かめたいという思いもあり、屋代駅から乗車し
たわけですが、私と同行した市職員、テレビカメラで取材をしてく
れたメディアの皆さんを別にすると、2両編成の電車に乗っていた
お客さんは2人だけでした。まあ、7月から実験的に増やした臨時
運行の電車ですから、仕方ないのかなと思いますが・・・お客さん
が少ないのは厳しいことです。
松代駅からは、若穂地区の住民自治協議会の皆さんや「プロジェ
クト・チーム屋代線」の皆さんがこの電車に乗ってこられましたの
で、車内は一気にとてもにぎやかな雰囲気に変わりました。若穂の
綿内駅まで、説明をお聴きしたり、質問させていただいたりしなが
ら皆さんとご一緒しました。
皆さん大変な意気込みで、沿線の風景を写真に撮り、市の「地域
やる気支援補助金」をフル活用して、パネルを作って若穂地区の各
駅に飾ったのです。とてもきれいな写真ですので、注目度は一気に
上がるでしょう。皆さんもぜひご覧になってみてください。
駅舎を利用した学習塾についても、説明がありました。
もしかすれば、廃線になるかもしれないという危機感を持ちつつ
も、明るく頑張っているという印象を強く感じた次第です。これは、
住民自治協議会長のお人柄の影響かもしれません。
綿内駅で電車を降り、若穂地区の綿内中町区公民館で懇談会を開
催しました。この公民館は、綿内中央土地区画整理事業で施工した
大きな住宅地の中にある地域公民館です。10年前に事業が終わっ
たばかりで、新しく、すてきな家が建ち並ぶ快適そうな住宅地でし
た。
懇談では、住民自治協議会の中の「プロジェクト・チーム屋代線」
のメンバーを中心に、屋代線の存続に向けたさまざまな活動につい
てお話をお聴きしました。私のあいさつ、住民自治協議会長のあい
さつに続いて、住民自治協議会の役員の皆さん、「プロジェクト・
チーム屋代線」のメンバーの皆さん全員が発言されました。
屋代線の話題では、住民自治協議会で企画した「電車にゆられて
たっぷりと古代の旅」には272人、「電車にゆられて小さな旅・
松代編」には168人も参加した、綿内駅前のスーパーが突然撤退
してしまったが電車まで無くなったら困る、障害者施設の通所者が
利用しているので屋代線は必要、高校生が電車で通学している、
11月ごろ存廃が決まると聞いているが心配・・・。これらがすべ
てではありませんが、屋代線をぜひ残してほしいというご意見がた
くさんありました。
一方、そんな意見に交じって、イベント頼りでは活性化は難しい、
住宅地をもっと造りたい、若穂には蓮台寺のアジサイなど花がたく
さんあるので、花でまちおこしをしたい、もっと利用しやすく、ま
とめてお金を出すことなどが必要、個人の力では限界だ、日替わり
通勤運動の強化や税金を投入する必要を感じる・・・このようなご
意見もありました。
皆さんからのお話を踏まえ、最後に私から、
(1)公共交通は都市のインフラであると以前から主張してきてい
るが、公共交通の必要性を理解していただいても、乗っていた
だけなくてはどうにもならない。
(2)公共交通機関を維持するための費用を皆で負担するという考
え方もある。懇談でも同様の提案があったが、方法の一つとし
て、沿線の皆さんに1世帯1万円の年間フリーパスを買ってい
ただく、ということも考えられる。1世帯10万円では難しい
と思うが、1万円であれば可能かもしれない。
(3)道路を改良して、自動車の利便性を良くしすぎると、電車の
乗客が減ってしまうことにもつながる。バランスが難しい。
そんなお話をさせていただきました。
年間フリーパスについて少し補足します。長野電鉄屋代線の年間
赤字額は、投資を別にして1億7,000万円。そして須坂市や千
曲市も含め、屋代線沿線には2万1,000世帯あります。このう
ち1万7,000世帯の皆さんに年1万円のフリーパスを買ってい
ただければ、この赤字が消える計算になるわけです。
もちろん、この計算どおり単純にはいかないと思いますが、将来
的には、技術革新や新規の工夫により、コストが下げられる可能性
もあります。そのほかの手段、例えば駅舎や駅前広場の使い方の工
夫、そして住民が増える方策の実行、観光開発なども必要でしょう。
いずれにしてもこの不況の時代、何をするにも簡単ではありませ
んが、可能性を検討してみることも大切かもしれません。
2010年7月8日木曜日
権堂再開発・住民自治協議会・スポーツについて
6月25日、市議会6月定例会が終わりました。この定例会で論
点になったことのうち、3点について、現段階の課題、今後の方針
という側面から報告します。
1点目は、権堂地区の再開発についてです。定例会中の6月17
日、株式会社イトーヨーカ堂から本市に対して、「権堂B-1地区
市街地再開発事業への参加は困難であり、現在の店舗での営業継続
を前向きに検討する」という方針が示されました。
この再開発事業は、権堂地区にとどまらない中心市街地の活性化、
新たな都市拠点づくりを目指すものであり、そのためにもイトーヨ
ーカドー長野店の存在は、長野市民会館と並んで必要不可欠な要素
であると考え、その「存続」を第一に交渉を進めてきました。本市
を含め、全国的に大型店の撤退と中心市街地の空洞化が深刻化する
中で、今回示された「営業継続」の方針は大変喜ばしく、長野駅前
と並ぶ「中心市街地の核」となる大型店の存続に安堵(あんど)し
ているところです。
再開発事業そのものに参画していただけないことは残念ですが、
イトーヨーカ堂からは、現店舗を使って営業を行い、長野大通りを
挟んだ東側の区域で市民会館などの計画が実現した際には、連携を
強化して街の活性化に協力したい、との回答も頂いています。商業
施設と市民会館の相乗効果によって街の活性化を図りたいとする思
いは、地元の皆さんや本市の思いと同じであり、大いに心強く感じ
た次第です。
そうした中、7月2日に再開発準備組合の代表者が市役所にお越
しになり、権堂地区の活性化のために、西側の既存商業施設を生か
しつつ、再開発の必要性が高い東側の区域で市民会館を含めた再開
発事業を実施したいので、支援してほしい旨の要望を頂きました。
今後、その具体的な変更計画案が示された後、市として十分検証す
るとともに、市民の皆さんや市議会議員の皆さんのご意見を十分に
お聴きし、方針を決めていきたいと考えています。
2点目は、「地域やる気支援補助金」についてです。この補助金
の選考結果については、先日のメルマガでもご報告させていただき
ましたが、事業開始初年度とすれば、まずまずのスタートを切れた
と思っています。ただ、選考方法や予算額についてさまざまなご意
見やご要望を頂いていることも事実であり、今後さらに検討する必
要があることを改めて感じています。
いずれにしても、地域の皆さんの「やる気」が一層高まるような
配慮が大切です。将来にわたって連綿と続く住民自治活動をしっか
りと支援していくためにも、まずは、本年度の課題や効果などを十
分に検証したいと思っています。そして、市議会で頂いたさまざま
なご意見を参考にするとともに、住民自治協議会の皆さんのご意見
をよくお聴きし、地域の「やる気」と「熱意」に応えることができ
る、より良い制度となるよう改善を図っていきたいと考えています。
3点目は、スポーツに関する諸課題です。
オリンピックと並び、スポーツ界最大の祭典とも言われるサッカ
ーのワールドカップが、南アフリカ共和国で開催されています。わ
が日本代表チームは、決勝トーナメント1回戦で惜しくも敗れてし
まいました。
しかし、海外でのワールドカップ初勝利に始まり、強豪国との激
戦を経て決勝トーナメント進出を決めたその戦いぶりは、多くの国
民に勇気と感動を与えてくれたと思っています。ワールドカップは、
いつの時代もサポーターの祖国に対する熱い思いと愛情に満ちた姿
が印象的です。スポーツの持つ素晴らしさを改めて実感しています。
世界のステージではありませんが、今シーズンの後半戦に入った
サッカーの北信越フットボールリーグでは、現在、AC長野パルセ
イロがトップを快走中です。
今年こそJFL(日本フットボールリーグ)への昇格を果たして
ほしいという思いはもちろんのこと、いずれはJリーグへの階段を
も駆け上がり、わがまちのチームからも日本代表選手を送り出す日
が来ることを願っています。
冬季スポーツでは、長野市が熱望していたエムウェーブとスパイ
ラルのナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点
施設の指定について、念願がかないました。6月1日、それぞれ再
指定していただくことができたのです。
両施設のNTC指定期間はバンクーバーオリンピックまでという
ことで、今年の3月末で切れていました。その後、再指定していた
だけるか気をもんでいましたので、正直ホッとしています。今回の
指定期間は、ソチオリンピックが開催される平成25年度までです。
長野市ではこれまで、エムウェーブとスパイラルを拠点として、
国内トップレベルの競技者の国際競争力の向上を目指し、選手強化
を図ってきました。その結果、スピードスケートでは、バンクーバ
ーオリンピックでメダルを獲得することができたわけです。
今後も、競技連盟とも連携して施設を有効に活用し、日本選手が
世界大会において上位入賞を狙えるよう選手強化を図っていきたい
と思っています。
ただ、課題があることも事実です。
まず、スピードスケートについてですが、今回のNTCには、前
回と同様にエムウェーブと北海道帯広市のリンクが同時に指定され
ました。両拠点の利用形態としては、7月から9月中旬までは帯広
市のリンク、9月下旬から3月まではエムウェーブを使用していた
だきたいと考えていますが、それには日本スケート連盟との調整が
必要になります。
ボブスレー・リュージュでは、スパイラルの維持・運営の難しさ
が課題です。氷を維持するのに費用が掛かるだけでなく、危険を伴
うことから選手が一人で気軽に練習することができません。常に監
視員・製氷員が必要で、短い期間しか使えないという悩みを抱えて
います。
長野オリンピック記念基金からの助成が終了したことも課題です。
長野市では、長野冬季オリンピック開催後、スポーツを軸とした
まちづくりの推進を掲げ、スポーツの振興に取り組んできました。
今後、自他共に認めるウインタースポーツのメッカとなるためには、
行政だけでなく、何よりも大勢の皆さんの熱意と支援が欠かせない
と思っています。現在、基金の趣旨を引き継ぐ新たな仕組みを検討
しており、近いうちにご提案できそうです。その際は、大勢の皆さ
んのご理解とご協力をお願いします。
ウインタースポーツのメッカを目指すためにも、今後とも冬季競
技大会の開催や選手の育成・強化に取り組んでいきたいと考えてい
ます。それには、指導者やジュニア選手の育成をはじめ、幼少のこ
ろからスケートやアイスホッケー、ボブスレー・リュージュなどに
慣れ親しんでいるという、精神的なスポーツ文化の醸成も必要でし
ょう。そして、できれば通年で氷を張ることができる施設が欲しい
ものだとも思っています。
以上、今後の市政にとって重要な点についてまとめてみました。
2010年7月1日木曜日
参議院議員選挙について
参議院議員通常選挙が6月24日に公示され、7月11日の投票
日に向けて各政党・候補者は一斉に走っています。
参議院は、3年ごとに半数の議員が選挙の洗礼を受けることにな
っています。そして、衆議院と違って解散がありません。すなわち、
この選挙では、今後6年間、国会議員として活躍していただく人を
選ぶことになるわけです。
選挙について直接的に意見を述べることは、首長という私の立場
からすべきではないと思っていますので、ここでのコメントは差し
控えます。ただ、参議院そのものについて、私は以前から疑問を感
じていることがありますので、今回は、そのことに触れさせていた
だきます。
私が疑問に感じているのは、国会が衆・参の二院制を採っている
ことが無駄ではないかということです。外国の例はあまりよく知り
ませんが、一院制が多いと聞いています。日本の憲法で決まってい
るのだから仕方がないといえばそれまでですが、衆議院だけで国会
の機能は十分果たせるのではないかと以前から思っていました。
衆・参両院の性格が全く違い、役割も違うのなら意味があるかも
しれません。衆議院は政党政治の根幹ですから、政党中心に動くこ
とは仕方ないでしょう。それに対して参議院は、政党とは一線を画
した存在になり、相応の権限を持つようになれば良いと思うのです。
衆議院と参議院の議決が違ってしまう、いわゆる“ねじれ現象”
も、本当の意味の話し合いが行われるのならば良いのですが、現在
のような形では国会審議を複雑にしているだけのように思います。
参議院には、衆議院の行き過ぎをチェックしたり、衆議院の解散
中に国会の機能を代行したりする役割が期待されているようですが、
果たして機能しているのでしょうか。
戦前の貴族院は、政党政治の防波堤という意味合いを持っていた
そうです。貴族院なんて民主主義とは正反対の組織と言われそうで
すが、戦前のことを勉強している中で、「明治維新の元勲が生きて
いる時代には、政党政治家が跳ね上がっても元老が抑え込んでいた。
ところが、昭和になって、生きている元老は西園寺公望1人になり、
抑えが利かなくなって太平洋戦争に飛び込んでいってしまった」と
いう意味の本を読んだことがあります。
現在の参議院にそれほどのパワーを求めることは無理でしょう。
しかし、貴族院のように大御所が選ばれるルールがあれば、新しい
仕組みが生まれるかもしれません。
戦後、参議院になってからも昭和30年代ごろまでは、緑風会と
いう、政党とは一線を画した会派が院内で力を持っていたように記
憶しています。政争とは無縁、大所高所から意見を主張する会派で、
議決に際しては個人の判断と責任で賛否を決めたそうです(実際は
よく知りません。ただ、一服の清涼剤として貴重な存在だったと言
われています)。
この緑風会が力を失ったのは、自由民主党と日本社会党が二大政
党として出現した、いわゆる55年体制ができたときだそうです。
参議院にもだんだん政党の手が伸びて、無所属は無力だという気運
が支配するようになり、衆議院、参議院の区別が無くなってしまっ
たと言われています。それは決して良いことではなかったのでは・
・・と私は思うのです。
解決策として、参議院議員には党議拘束を禁止する、というのは
どうでしょうか。
最近いろいろな本を読んでいて感じることですが・・・民主主義
というのは、歴史の中では比較的新しい考え方であり、成熟したも
のではない・・・すなわち、万能ではないのではないか、というこ
とです。民主主義の起源として、古代ギリシャに陶片追放という制
度があったと子どものころ勉強しましたが・・・。
古代ローマでも、共和政(どちらかというと民主政に近いはず)
から帝政になり、それなりの人物が皇帝に選ばれてきたから、ロー
マ帝国が長く続いたと言えるのでしょう(不適格な皇帝はそれなり
に排除されてきたことも事実のようです)。
現在の民主主義は、民主主義の顔をしていながら、実は独裁者が
支配しているのではないでしょうか。あのヒトラーでさえ、最初は
民主主義的な方法で勢力を築いてきたということです。そして、現
代の日本でも、民主的に選挙で選ばれたはずなのに、いつの間にか
民主的なリーダーではなく、独裁者のようになっている・・・そう
感じている国民が大勢いるというのも実態ではないでしょうか。
そもそも民主主義とポピュリズムは、どこが違うのでしょうか?
選挙公約を見ていると、程度の違いこそありますが、結局ポピュリ
ズムにならざるを得ない・・・前政権、前々政権が実施した定額給
付金や子ども手当の支給、高速道路料金の値下げあるいは無料化・
・・そのほかたくさんありますが、すべてポピュリズムに基づく選
挙対策のように見えるのです。
選挙のために意地を張る、そうでないと選挙に勝てない・・・た
とえ良い政策でも政争のために賛成しない。こんなことが繰り返さ
れてきたように思います。
ただ今回の選挙には、消費税引き上げの話が出てきました。私と
すれば、日本のことを真剣に考えたまともな政策がようやく出てき
たと、ホッとしているのが心境です。どう考えても選挙には不利と
思われる増税の話が打ち出されたこと、ポピュリズムだけではない
ことを感じさせます。
グローバル社会の必然として、企業減税についても話題になって
きました。実施されれば、国として減収の可能性があるのでしょう
が、国際競争に打ち勝つためには、仕方がない選択でしょう。
そして、選挙は本当に最善の方法なのでしょうか?以前このメル
マガで、松代町の善光寺回向柱寄進建立会の会長の選び方を報告し
たことがあります。前任者が真剣に考えて後任者を指名する、とい
う伝統的なあの選び方は、素晴らしいと感じています。
とはいえ、参議院議員選挙は今後の国政を左右する重要な選挙で
す。期日前投票もすでに始まっています。棄権しないで大切な1票
を投じてください。
2010年6月24日木曜日
すべての政策に環境の屋根を架けよう
市長選のマニフェストでも主張したことですが、本年度の施政方
ます。漠然とした表現ですが、意図することは理解していただける
と思っています。ただ、言うまでもなく、大切なことは具体策です。
昨年末、「長野市地球温暖化対策地域推進計画-低炭素社会アク
ションプラン-」をまとめ、発表しました。この計画は、8つの望
ましい社会像(望ましい姿)を実現するために必要な19の方針を
示し、それらの方針の下に66の施策を位置付けるという大変野心
的、具体的なものです。
鳩山前首相は昨年9月、国連気候変動首脳会合で2020(平成
32)年までに温室効果ガスを1990(平成2)年比で25%削
減するという思い切った数字を提示し、国際的には拍手喝采(かっ
さい)を得ました。しかし、国としての具体策、実現までの工程表
は、残念ながらまだ何も出てきていないようです。
長野市が策定した計画は、もちろん不完全な面もあるとは思いま
すが、具体的に事業を組み立てています。66もの施策があります
から、すぐにはご理解いただけないかもしれません。でも、ぜひ市
民の皆さんにも読んでいただきき、実行に向けてできることからご
協力いただきたいと考えています。
19の方針について、題目だけ書いてみます。
望ましい姿1 エネルギー地産地消の暮らし・事業活動
方針1 省エネ住宅・省エネビルの普及
方針2 自然エネルギーの利用
方針3 バイオマスの利活用推進
方針4 低炭素エネルギーへの転換
望ましい姿2
今ある技術を使った低炭素で効率的な暮らし・事業活動
方針5 緑を活かしたエネルギー消費の抑制
方針6 トップランナー基準を達成した機器の普及
方針7 分散型電源と燃料電池の普及
方針8 事業所での省エネ機器・設備の導入
方針9 二酸化炭素排出量の少ない事業活動の推進
方針10 二酸化炭素低排出車(エコカー)普及促進
望ましい姿3 地産地消・旬産旬消を取り入れた暮らし
方針11 地産地消・旬産旬消
望ましい姿4 環境保全意識の高い暮らし・事業活動
方針12 家庭及び事業所での省エネ活動の普及
方針13 環境教育・学習の推進
望ましい姿5 歩いて暮らせるまち
方針14 脱マイカー
方針15 自転車利用促進
方針16 公共交通の改善
望ましい姿6 緑を活かしたまち
方針17 都市部を中心とした緑化推進
望ましい姿7 低炭素で効率の良い省エネのまち
方針18 エネルギーの面的利用促進
望ましい姿8 森づくりの進むまち
方針19 森林間伐などの計画的推進
以上、19の方針をざっと書かせていただきました。行政の計画
は、漏れなくきちんとつくることが大切ですから、多少回りくどい
表現になっているかもしれませんが、計画の大意はつかんでいただ
けたと思います。
省エネ機器を使いましょう、ということについて私の体験をお話
しします。私も使ってみてびっくりしたのですが、最新型のトイレ
は、けた違いに使用する水の量が少ないのです。省エネ技術がいか
に向上しているかが理解できましたし、上下水道局で料金収入が上
がらないと嘆いている理由もよく分かりました。
望ましい姿を追求していくと、難しい問題もたくさん出てきそう
で心配もあります。一番は採算性ということでしょうか。
例えば、現在市では、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産
業技術総合開発機構)の支援を頂いて、エムウェーブに太陽光発電
設備を導入するための準備をしています。計画しているのは、県内
の公共施設としては最大の100キロワット規模の設備で、システ
ムの導入だけでも1億5,000万円ほどの費用が掛かります。
しかし、得られる電気は、エムウェーブ全体の電気使用量の2.
5%にも満たないというのです。この施設の電気使用量がいかに多
いかということでもありますが、こんな話を聞くと、ちょっと困っ
てしまいます。でも、長野市の象徴的な施設だから本市の取り組み
姿勢を示すためにもぜひやろうよ、と言っているのですが・・・苦
しい選択です。
これはちょっとオーバーな話かもしれません。しかし、地球温暖
化対策として今できることは、今実行していかなくてはいけない、
そういう時代だと思っています。
2010年6月17日木曜日
斎場
・しゅん工:昭和44年
・炉数:4基 / ・年間火葬件数:1,819件
・しゅん工:昭和55年
・炉数:2基 / ・年間火葬件数:1,483件
合併により、平成17年1月から長野市が運営
・しゅん工:昭和50年
・炉数:1基 / ・年間火葬件数:30件
合併により、平成22年1月から長野市が運営
・しゅん工:昭和63年
・炉数:1基 / ・年間火葬件数:102件
中野市、長野市(豊野地区)、山ノ内町、信濃町、飯綱町で構
成する一部事務組合で運営(合併後も、引き続き豊野地区の皆
さんに利用していただけるよう、平成17年1月から長野市が
組合に参加)
・しゅん工:昭和48年
・炉数:3基
・年間火葬件数:1,061件(うち豊野地区分83件)
※年間火葬件数は、いずれも平成21年度実績です。
きませんし、需要に応じられる規模を備えた施設であることも必要
化が進み、施設自体も狭いのが現状で、何らかの対応が必要になっ
ています。
現在の長野運動公園の付近にありました。昭和37年に他界した私
の父の火葬は、“太田”だったと記憶しています。今から50年も
あまり良い印象は残っていません。
情的に敬遠する傾向があったことは事実でしょう。
うえん)の地、最高にきれいな厳かな場であってほしいと思ってい
ます。
区の皆さんとの協定が整い、調印式を行いました。
に合意していただいたことは、長年の市政の懸案事項に光明が差す
ことでもあり、市政を預かる者として心より感謝しています。
化することや、ゆとりある空間にするために、既存施設に比べ3倍
ほど広い建物にする予定です。また、犀川以北の火葬需要に対応す
るため、炉も増設することにしています。
設に必要なさまざまな手続きや建物の設計などに着手し、平成26
す。
設に向けた協議・検討が行われています。
し合いを進めているところです。
砂災害防止法による「土砂災害特別警戒区域」および「土砂災害警
戒区域」に含まれる見込みとなってしまいました。安全を確保する
ためにどう対応するか、再検討を余儀なくされている状況です。
いずれにいたしましても、地元の皆さんにご理解、ご協力を頂け
ることが最も重要です。市としても誠心誠意、協議させていただき
たいと思っています。